JP3674920B2 - 田植機供給苗用播種機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、水稲の種籾を育苗箱の床土の上に均等に縦のすじ蒔きするために使用される田植機供給苗用播種機に関する。
【0002】
【従来の技術】
田植機供給苗用播種機は、図1に示すように、機台1の上にかん水装置2、播種装置3、覆土装置4を装備したもので、床土が入った育苗箱5が後端から供給されると、前端方向Pに搬送されることにより、かん水装置2で床土に散水されてから、播種装置3において床土の上に種籾が蒔かれ、覆土装置4ではその上を覆う土が入れられる。
【0003】
播種装置3は、図2に示すように、種籾7が投入されるホッパー9の前方下に播種ロール11を設け、ほぼ真下には播種ロール11の前側面に種籾7を案内する籾シュート13を設け、播種ロール11の回転により外周面の凹凸で掻き上げられた種籾7を均一にしてから、育苗箱5の上に落下させるようにしたもので、そのため、播種ロール11の外周には、上端にロールブラシ15を、側面にロール面ガイド17が具備される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
播種ロール11は、外周面に種籾7を掻き上げる凹凸が設けられているが、その凹凸形状については、従来、ロールの回転方向に対して直角の横溝を全周に配列したものであったから、縦方向のすじ蒔きはできなかった。この点について、田植機は、摺動機構で育苗箱に対して左右に往復する植付爪によりマット状苗を掻き取り、その一往の掻き取り回数が機種により稚苗では例えば26回か24回、中性苗では20回か18回であるが、それに対応しようとする従来の播種機では、横のすじ蒔きとなるため、植付爪による掻き取りにおいて、取り漏れのない横すじの間隔は保証されるが、縦すじ方向には全面保証されないので、一回の苗取り本数が一定せず、苗育成上必要な播種量を少くするほどその影響が大きく、欠株も生じやすかった。よってやむなく、播種量を多くしているのが現状である。
【0005】
また、従来、ロールブラシ15が各横溝に均等に種籾7を配列させる役目を果たすが、それでも横溝の中に欠籾が生じたり、ロール面ガイド17から開放された下端では落下しないで、横溝に納まったままになる種籾があったりして、育苗箱における播種に均等化を期しえない場合があった。これについては、横溝が浅すぎると掻き上げ機能が不十分となるとともに、ロールブラシ15で払い退けられること、逆に、深すぎるとロール面ガイド17からの開放時点での離れが悪くなることが原因であると考えられた。しかし、種籾は大きさや形状が微妙に異なり、また、一晩水に浸して発芽寸前の催芽状態で使用される関係で、種籾の含水状態にもよるため、原因が分かっていても全てに対応する凹凸形状が得られ難いという問題があった。
【0006】
この発明は、上記のような実情に鑑みて、播種ロールについて、従来とは違った外周面の凹凸形状により、欠籾もなく均等に種籾が並ぶ縦のすじ蒔きとなるために、田植え時に欠株や取り残しが生じない田植機供給苗用播種機を提供することを目的とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明は、育苗箱を搬送する機台フレームの上に播種装置を設け、その播種装置が種籾を投入するホッパーと、ホッパーから前面に供給される種籾を全周の凹凸により掻き上げる播種ロールと、掻き上げられた種籾を均すよう播種ロールの上端面を掃くロールブラシと、均した種籾を下端に至るまで保持するよう播種ロールの後側面を覆うロール面ガイドとを装備してなる田植機供給苗用播種機において、播種ロールの前記凹凸形状については、外周面に回転方向の環状凹溝を列設するとともに、各環状凹溝に仕切壁を配設することにより、種籾が1個ないし数個が納まる凹部を設け、環状凹溝と環状凹溝との間の環状壁および前記仕切壁を直立形状に形成する一方、仕切壁をその環状壁よりもやや低く形成し、加えて、各仕切壁については、回転後方の内側面としての掻き取り側面を回転逆方向に高くなる斜面に形成し、回転先方の内側面としての反対側面は垂直に近く形成するとともに、その両側の隅角に種籾が固まらないように角を取るアール面を形成し、さらに、田植機の植付爪で順次横に掻き取られる巾において、その一往の掻き取り位置および回数と、播種位置および条数とが同じになるように、前記環状凹溝が配列されていることを特徴とする田植機供給苗用播種機を構成した。
【0008】
【作用】
上記の構成によれば、ホッパーから種籾を前面に受けると、播種ロールが外周面の仕切壁により掻き上げながらロールブラシに至る。ロールブラシにおいては、仕切壁よりも高い環状凹溝の上端縁としての環状壁の上端面に軽くブラシ先が接するようにしておくことによりロールブラシの払いのけ機能が抑制されるので、凹部に正当に納まる種籾までも払い退けられることはなく、凹部にはその容量に応じた個数が不足することなく確実に納まって、ロール面ガイドに送られる。
【0009】
また、ロール面ガイドでは、環状凹溝の高さに守られることにより種籾の納まりに窮屈さがなく、また、掻き取り側面の斜面や反対側の両隅角のアール面の存在もあり、このためにロール面ガイドから外れた下端では全ての種籾が落下し、育苗箱の床土の上に縦のすじ蒔きが均一になされる。そのすじ蒔きの位置、つまり環状凹溝の位置を田植機の植付爪の掻き取り位置に合わせるとともに、環状凹溝の条数を植付爪の一往の掻き取り回数に合わせてあるため、欠株が生じないように、また取残しも生じないよう田植えをなすことができるようになる。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明においては、田植機供給苗用播種機の全体的な形態を特に限定するものではなく、図1,図2の場合であると、前記したように、レール状の機台フレーム1,1の上にかん水装置2、播種装置3、覆土装置4を装備し、播種装置3は、種籾7が投入されるホッパー9の後方下に播種ロール11を設けてあり、覆土装置4は、床土入り装置を兼ねている。そのときには、かん水装置2にかける前に、前端から空の育苗箱5が後退方向に(P方向とは逆に)供給されるが、床土入り装置を別途に設けることもあるというように様々となる。
【0011】
なお、図示では、左右機台フレーム1,1の両端には、基端補助フレーム1a,1aおよび先端補助フレーム1b,1bがそれぞれ連結され、各フレームの間には、育苗箱5の搬送駆動装置が装備され、播種工程における育苗箱5の前進方向(矢印P)に対して、播種ロール11およびロールブラシ15が後退方向(矢印Q)にそれぞれ回転するようになっている。
【0012】
また、播種装置3では、ほぼ真下にはホッパー9から排出される種籾7を播種ロール11の前側面に案内する籾シュート13を備え、播種ロール11の上端位置にロールブラシ15を、側面にロール面ガイド17が具備されるが、籾シュート13と播種ロール11との間に種籾7の攪拌装置を設けることもある。さらに、ロールブラシ15については、軸に刷毛を取り付けたものの他、スポンジ状部材を取り付けたものであっても良い。
【0013】
環状凹溝10を構成するその両側の環状壁8,8と、その間において凹部14を構成する仕切壁12,12,・・は、種籾7を保持しやすくするために、それぞれ起立壁に形成されるが、仕切壁12については、掻き取り側の面12bを斜めに形成し、その斜面12bで種籾7を柔かく受け入れ、且つ排出をし易くし、反対側面12aは回転下降範囲で種籾7を落ちないよう保持しやすく垂直に近くし、また、播種ロール11の各凹部14には回転方向の両隅角に種籾7が固まらないよう角を取るアール面18を形成することにより、種離れを良くしてある。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の田植機供給苗用播種機によれば、播種ロールの環状凹溝の位置と条数を田植機の掻き取り植付爪の位置と一往の掻き取り回数に合わせることにより、田植えに欠株が生じたり苗の取り残しができたりしないように、育苗箱の床土の上に縦のすじ蒔きを均一になすことができるという優れた効果がある。
【0015】
【実施例】
次に、主に播種ロール11について、実施例を図面に基づいて説明する。
【0016】
播種ロール11は、筒形のロール本体19の両端にロールフランジ21,21を取り付け(図4)、両ロールフランジ21,21が軸22に支持される。その両ロールフランジ21,21間の巾Wa、つまりロール本体19の長さWaを育苗箱5の内巾Wbとほぼ同じ寸法にした。
【0017】
ロール本体19の外面には、外周方向の環状壁8,8,…の配列により環状凹溝10,10,・・を列設し、それよりも低い仕切壁12,12,・・により種籾7が3個程度納まる凹部14,14,・・を形成した。そして、環状凹溝10の条数を稚苗用として23と24のものと、中性苗用として18と20のものとの4種類について、それぞれロール本体19を作った。したがって、種類を取り替えることにより、現在のところ田植機の各機種に対応できる。また、田植機の植付爪による苗取り時に取り残しなく安定するので、26回取りまで環状凹溝10の条数を不都合なく増やすことができることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態の田植機供給苗用播種機を示す正面図である。
【図2】 同田植機供給苗用播種機における播種装置の要部拡大図である。
【図3】 この発明の実施例の播種装置を使用状態で示す要部断面図である。
【図4】 同播種装置における播種ロールを育苗箱との関係で示す斜視図である。
【図5】 図3に示す播種ロールの一部拡大断面図である。
【図6】 図4のA−A線矢視の拡大断面図である。
【図7】 同拡大部分の外周の展開平面図である。
【符号の説明】
1 機台フレーム
3 播種装置
5 育苗箱
7 種籾
8 環状壁
9 ホッパー
10 環状凹溝
11 播種ロール
12 仕切壁
14 凹部
15 ロールブラシ
17 ロール面ガイド
Claims (1)
- 育苗箱を搬送する機台フレームの上に播種装置を設け、その播種装置が種籾を投入するホッパーと、ホッパーから前面に供給される種籾を全周の凹凸により掻き上げる播種ロールと、掻き上げられた種籾を均すよう播種ロールの上端面を掃くロールブラシと、均した種籾を下端に至るまで保持するよう播種ロールの後側面を覆うロール面ガイドとを装備してなる田植機供給苗用播種機において、播種ロールの前記凹凸形状については、外周面に回転方向の環状凹溝を列設するとともに、各環状凹溝に仕切壁を配設することにより、種籾が1個ないし数個が納まる凹部を設け、環状凹溝と環状凹溝との間の環状壁および前記仕切壁を直立形状に形成する一方、仕切壁をその環状壁よりもやや低く形成し、加えて、各仕切壁については、回転後方の内側面としての掻き取り側面を回転逆方向に高くなる斜面に形成し、回転先方の内側面としての反対側面は垂直に近く形成するとともに、その両側の隅角に種籾が固まらないように角を取るアール面を形成し、さらに、田植機の植付爪で順次横に掻き取られる巾において、その一往の掻き取り位置および回数と、播種位置および条数とが同じになるように、前記環状凹溝が配列されていることを特徴とする田植機供給苗用播種機。
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JP2002186117A JP3674920B2 (ja) | 2002-06-26 | 2002-06-26 | 田植機供給苗用播種機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002186117A JP3674920B2 (ja) | 2002-06-26 | 2002-06-26 | 田植機供給苗用播種機 |
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JP2004024129A JP2004024129A (ja) | 2004-01-29 |
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JP2002186117A Expired - Fee Related JP3674920B2 (ja) | 2002-06-26 | 2002-06-26 | 田植機供給苗用播種機 |
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JP (1) | JP3674920B2 (ja) |
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2002
- 2002-06-26 JP JP2002186117A patent/JP3674920B2/ja not_active Expired - Fee Related
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