JP3674652B2 - 合成樹脂発泡成形品の成形金型及び成形方法 - Google Patents

合成樹脂発泡成形品の成形金型及び成形方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂発泡成形品、特に軟質ポリウレタンフォーム等の連通気泡構造或いは独立気泡構造を有する合成樹脂発泡成形品を成形する金型及びこの金型を用いて合成樹脂発泡成形品を成形する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、図5に示すような自動車用シートバックパッドを軟質ポリウレタンフォームにて形成することが行われている。このパッド100は、表面部101と周側部102と裏面部103とが一体成形され、裏面部103に開放部104が形成されて、該裏面部が逆U字状をなす、袋形状を有するものであるが、このような袋状のパッド100をモールド成形する場合、従来は図6及び7に示すような金型51を用いて成形することが行われている。即ち、この金型51は、下型52と上型53と中子型54とからなる3つ割り金型で、下型52と中子型54との間に表面部及び周側部形成用キャビティ55a,55bを形成すると共に、上型53と中子型54との間に裏面部形成用キャビティ56a,56bを形成し、上記キャビティ55a,55b,56a,56b内に軟質ポリウレタンフォーム発泡成形材料を供給し、型締めして、該成形材料を発泡させ、成形品を得るものである。
【0003】
この場合、上記図5に示すようなパッドを成形するに際しては、パッド100の裏面部103上部のトップパッド部103aと称される部分を成形するため、図6,7において、該トップパッド部を形成するキャビティ56aの最奥部まで成形材料を充填する必要がある。このため、成形材料を上記キャビティ55a,55b,56a,56bに本来の供給量よりも若干過剰量で注入して、型内の発泡圧力を高めることが一般的に行われている方法である。
【0004】
しかしながら、このような方法は、
▲1▼成形材料が、本来必要とする量よりも余分に必要である、
▲2▼成形材料をこのようにキャビティ内に余分に供給することで、反応ガスの発生も多くなり、特に図5に示すようなシートバックパッド成形品のような複雑な形状の成形品を成形すると、不良品の発生割合も高くなる、
▲3▼金型内の発泡圧力を高めると、図8に示すように、金型の割り位置(パーティング部)から得られた成形品105にバリ106が多く生じるので、脱型後に余分な工数をかけて補修、仕上げを行う必要がある
等の問題がある。
【0005】
一方、クッションパッド等の自動車用内装材をポリウレタンフォーム発泡成形材料にて成形する場合、キャビティ部の気圧を調整する方法が提案されている(実開昭58−60418号公報)。
【0006】
この方法は、下型と中子型とで成形品の成形用キャビティを形成すると共に、これら下型、中子型を覆い被せるように上型を設置し、かつ中子型と上型とで気圧調整室(チャンバー部)を形成し、中子型にこのチャンバー部と上記キャビティとを連通するベントホールを形成し、このベントホールを介してキャビティ内の空気をチャンバー部に排出するようにしたものである。
【0007】
しかし、この方法は、下型、中子型、上型を用いるといっても、下型と中子型とで成形品の成形用キャビティを形成し、従って成形品は下型と中子型とだけから成形され、上型はただ中子型との間にチャンバー部を形成するだけであるので、本質的には2つ割型であり、それ故、図5に示すようなトップパッド部103aを有するような袋形状の成形品は成形できない。このため、図5に示すような袋形状の成形品は依然として図6,7に示すような3つ割型の金型を使用して成形することが必要である。同様にアンダーカット形状の厳しい成形品の場合も、上記実開昭58−60418号公報の方法は採用し難いものである。
【0008】
また、この実開昭58−60418号公報の方法は、比較的単純な形状をしたパッドを成形した場合は、パーティング部付近にエア溜りが発生し、成形品の不良率が非常に多くなるという問題があり、更にキャビティのチャンバー部との間の圧力の調整がベントホールを介してでしかできないので、ベントホールを大きくしたり、多く設けなければならず、このため局部的に空気が抜けるためにフォームの発泡バランスが崩れる上、成形後にベントホールに入ったバリの掃除を行うことが面倒であるという問題がある。
【0009】
更に、特公平7−102583号公報には、型のキャビティの気圧を低くする工程と、ポリオール成分100重量部に対して発泡成分としての水0.1〜0.6重量部を混合したポリウレタン材料を、前記キャビティ内に注入して発泡させることにより流動及び充満させる工程とを含むポリウレタン発泡体の成形方法が開示されている。しかし、この方法は、型のキャビティの気圧を低くする工程においては、型を構成する少なくとも二つの分割型の型閉時に生じるPL面間の隙間からキャビティを真空吸引するものであり、型のPL面の周囲は空間部を介して取り囲まれ、該空間部を減圧することによりPL面間の隙間からキャビティを真空吸引するものであるので、上記PL面間の隙間からバリが生じ易いという問題がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、自動車用シートバックパッド等のクッションパッド、その他の自動車用内装材などの合成樹脂発泡成形品を高発泡倍率でかつ低密度でバリ発生を可及的に少なくして歩留り良く、しかも効率良く成形することができる合成樹脂発泡成形品の成形金型及び成形方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、以下の成形金型及び成形方法を提供する。
請求項1:
下型と、この下型の開放部を覆って着脱可能に配設され、下型との間に密閉空間を形成する上型と、上記密閉空間内に着脱可能に配設された中子型とを具備し、上記中子型上面に上記上型との間に0.05〜2mmの微小隙間を有するように区画壁を突設し、中子型上面と上型との間に上記区画壁によって区画されたチャンバー部を形成すると共に、このチャンバー部外の上記密閉空間を合成樹脂発泡成形品用材料が供給されるキャビティとする金型本体と、上記チャンバー部内の空気を排出してチャンバー部内を減圧にすると共に、この減圧にされたチャンバー部内に空気を供給してチャンバー部内を大気圧に戻す圧力調整装置とを備え、上記チャンバー部内の空気を排出する際、上記微小隙間を介してキャビティ内の空気を排出すると共に、チャンバー部内に空気を供給する際、上記微小隙間を介してキャビティ内に空気を供給し得るようにしたことを特徴とする合成樹脂発泡成形品の成形金型。
請求項2:
合成樹脂発泡成形品が軟質ポリウレタンフォーム成形品である請求項1記載の成形金型。
請求項3:
上記区画壁の前壁部が中子型の上面先端部と離間した位置に設けられ、この中子型先端部から区画壁の前壁部に至る中子型上面と上型との間にトップパッド部成形用キャビティが形成された軟質ポリウレタンフォーム製自動車用シートパッド成形用金型である請求項1又は2記載の金型。
請求項4:
下型と、この下型の開放部を覆って着脱可能に配設され、下型との間に密閉空間を形成する上型と、上記密閉空間内に着脱可能に配設された中子型とを具備し、上記中子型上面に上記上型との間に0.05〜2mmの微小隙間を有するように区画壁を突設し、中子型上面と上型との間に上記区画壁によって区画されたチャンバー部を形成すると共に、このチャンバー部外の上記密閉空間を合成樹脂発泡成形品用材料が供給されるキャビティとする金型本体と、上記チャンバー部内の空気を排出してチャンバー部内を減圧にすると共に、この減圧にされたチャンバー部内に空気を供給してチャンバー部内を大気圧に戻す圧力調整装置とを備えた成形金型を使用し、上記キャビティ内に合成樹脂発泡成形品用材料を大気圧下に供給し、金型を閉じた後、上記圧力調整装置の作動により上記チャンバー部内の空気を排出すると共に、上記微小隙間を介して上記キャビティ内の空気を排出してキャビティ内を減圧にし、上記合成樹脂発泡成形品用材料を発泡、成形した後、上記圧力調整装置を空気供給動作に切り換えて上記チャンバー部内に空気を供給すると共に、上記微小隙間を介してキャビティ内に空気を供給し、上記チャンバー部内を大気圧に戻した後、上記上型及び中子型を下型から取りはずし、合成樹脂発泡成形品を脱型することを特徴とする合成樹脂発泡成形品の成形方法。
請求項5:
上記微小隙間を介して上記キャビティ内の空気を排出してキャビティ内を減圧にする際の減圧度が、大気圧からの減圧度として10〜500mmHgである請求項4記載の成形方法。
請求項6:
合成樹脂発泡成形品が軟質ポリウレタンフォームである請求項4又は5記載の成形方法。
請求項7:
成形金型が、中子型の上面先端部と離間した位置に区画壁の前壁部を設け、この中子型先端部から区画壁の前壁部に至る中子型上面と上型との間にトップパッド部成形用キャビティが形成された自動車用シートパッド成形用金型であり、軟質ポリウレタンフォーム製自動車用シートパッドを成形するようにした請求項4、5又は6記載の成形方法。
【0012】
本発明の成形金型及び成形方法は金型キャビティ内を減圧にして合成樹脂発泡成形品用材料を減圧下で発泡、成形するので、発泡倍率が向上し、材料の供給量を少なくしてキャビティに供給してより低密度の発泡成形体を成形することができると共に、金型内が負圧になるため、バリの発生も少なく、特に上述した(1),(3)の構成の下型、上型、中子型からなる金型を使用することで、図5の自動車用シートバックパッドのような形状の複雑なものでも歩留り良く、従来品に比べてより軽量にして製造することができ、上述したようにバリも非常に少なく又はバリ発生をなくすこともできるので、仕上げ、修理工程を大幅に減少することが可能であり、上記実開昭58−60418号公報の従来技術の欠点が克服され、特に軟質ポリウレタンフォーム等の連通気泡構造或いは独立気泡構造の発泡成形品を得る場合に好適である。
【0013】
また、発泡、成形後、成形品を脱型する前に、減圧とされたキャビティ及びチャンバー部内を大気圧下に戻した後に上型、中子型を取りはずすようにしたので、上型、中子型の下型からの脱離が容易に行われ、脱型時の操作性が良好である。即ち、キャビティ、チャンバー部内が減圧下にあるままで、上型、中子型を下型から取りはずす場合、その脱離に非常に強い力を要し、減圧度が大きいと金型が開かない場合が生じるが、本発明によれば、チャンバー部と大気との圧力差をなくして脱型を行うので、全く支障なく金型を開けることができるものである。
【0014】
【発明の実施の形態及び実施例】
本発明の合成樹脂発泡成形品の成形方法は、特に軟質ポリウレタンフォーム等の連通気泡構造或いは独立気泡構造を有する合成樹脂発泡成形品の成形に好適に採用され、図5に示すトップパッド部103aを有する袋形状のシートバックパッド等の自動車用クッションパッド、その他の自動車用内装材を成形する場合に有効であり、とりわけ3つ割型又はそれ以上の割型からなる金型を用いて成形品を得る場合に有効である。
【0015】
本発明の成形方法は、上述したように合成樹脂発泡成形品用材料を金型キャビティに供給し、金型キャビティ内を減圧にし、この減圧にされたキャビティ内で合成樹脂発泡成形品用材料を発泡させて成形を行った後、キャビティ内を大気圧状態に戻して金型を開き、次いで成形品を脱型するものであるが、以下、図1,2を参照して図5に示す袋形状のシートバックパッドを成形する方法について詳述する。
【0016】
図1,2は本発明の一実施例に係る金型を示すものであり、図1,2において、金型本体1は下型2と上型3と中子型4と3つ割構造に形成されている。上型3は下型2の上端開放部を覆って着脱可能に配設されていると共に、これら下型2と上型3とによって形成される密閉空間5内に中子型4が着脱可能に配設されている。
【0017】
この中子型4の上面には、枠状の区画壁6が一体に突設されている。この場合、この区画壁6は、前側の壁部6aが中子型4の先端部から所定距離離間した位置に設けられ、後側の壁部6bが中子型4の後端部に設けられ、両側部6cがそれぞれ中子型4の側端部より内側に存して設けられている。そして、上記中子型4の上面と上型3下面との間に上記区画壁6によって区画されたチャンバー部7が形成されていると共に、上記密閉空間5のチャンバー部7以外の空間がキャビティ8として形成されている。即ち、このキャビティ8は、上記中子型4下面と下型2上面との間に形成された表面部成形用キャビティ8aと、中子型4の両側下縁部に一体に設けられた垂下部4a外側面と下型2内側面との間に形成された周側部成形用キャビティ8bと、中子型4の上面と上型3の下面との間に形成された裏面部成形用キャビティ8c,8dが形成されており、この場合、上記中子型4の先端部から区画壁6の前壁部6aに至る中子型4上面と上型3との間がトップパッド部成形用キャビティ8cとして形成されている。
【0018】
また、上記中子型4は、エアシリンダー9によって上記密閉空間5内に上下方向移動可能に配設され、所定位置に保持されるようになっていると共に、図示していないが、上型3はフレームに固定され、エアバック等の適宜な手段で下型2が上型3に対し装着、脱離するようになっている。
【0019】
この場合、上記下型2と上型3とのパーティング部にはパッキン10が介装されて、下型2と上型3とは気密状態に型締めされ、従って該パーティング部における空気の入出が遮断されるようになっている。
【0020】
また、図1に示す下型2に上型3及び中子型4がセットされた状態において、中子型4の区画壁6上端面と上型下面との間には微小隙間11が形成され、この微小隙間11を介してチャンバー部7とキャビティ8とが連通し、空気の流通が可能となるように構成されている。
【0021】
ここで、上記中子型4の上面には、エアシリンダー9を取り囲むように隔離壁12が突設され、かつこの隔離壁12上端部と上型3下面との間にはパッキン13を介装して、エアシリンダー周りからチャンバー部7内への空気の出入が遮断されている。
【0022】
21は圧力調整装置であり、これは上記チャンバー部7内と連通する空気流通孔22を有する連結部材23を有する。そして、この連結部材23の空気流通孔22には、排気弁24を介装する排気用管25及び吸気弁26を介装する吸気管27の一端がそれぞれ連結されている。また、上記吸気管27の他端は真空ポンプ28に連結されている。29は制御部で、この制御部29からの指令により吸気弁26が開き、排気弁24が閉じ、真空ポンプ28がチャンバー部7内の空気を吸引するように作動し、或いは吸気弁26が閉じ、排気弁24が開き、外部の空気が排気弁24を通ってチャンバー部7内に流入するように作動するものである。この場合、上記チャンバー部7内の圧力を検知する圧力センサー30がリード線31を介して上記制御部29に接続され、この圧力センサー30からの信号で上記制御部29による真空ポンプ28の作動、排気弁24、吸気弁26の開閉が行われるようになっている。従って、制御部29からの指令で吸気弁26を開き、排気弁24を閉じると共に、真空ポンプ28を作動させることにより、チャンバー部7内の空気が排気され、チャンバー部7内が減圧になると共に、上記中子型4の区画壁6と上型3との間に形成された微小隙間11を通って上記キャビティ8内の空気がチャンバー部7内から外部に排気され、減圧されるようになっている。また、真空ポンプ28の作動を停止し、排気弁24を開くと共に、吸気弁26を閉じることにより、上記チャンバー部7内、更には上記微小隙間11を介して上記キャビティ8内が大気圧に戻されるようになっている。
【0023】
上記金型を使用して図5に示すような成形品を軟質ポリウレタンフォームにて成形する場合は、図1,2に示すように上型3に中子型4をセットし、下型2をセットしていない状態で軟質ポリウレタンフォーム発泡成形材料を下型2内に導入する。次いで、下型2をセットし、吸気弁26を開き、排気弁24を閉じると共に、真空ポンプ28を作動させる。これによりチャンバー部7内の空気及び上記微小隙間11を介してキャビティ8内の空気が外部に排出され、減圧にされる。チャンバー部7内が所定の減圧度になったことを圧力センサー30が検知した場合、制御部29からの指令によりこの減圧度に維持されるように真空ポンプ28及び排気弁24、吸気弁26の作動が制御される。即ち、所定の設定値より圧力が高いと吸気弁26が開いて空気を排出し、設定値より圧力が下がりすぎた場合は排気弁24が開いて空気を供給するようになっている。
【0024】
このように減圧下で成形材料を発泡、成形した後、排気弁24を開き、吸気弁26を閉じてチャンバー部7内及びキャビティ8内を大気圧に戻し、この状態で上型3及び中子型4を下型2から取りはずす。このようにチャンバー部7及びキャビティ8内を大気圧に戻してから上型3を下型2から取りはずすことによりスムーズに上型3を脱離し得るが、チャンバー部7及びキャビティ8内が減圧下にあるままでは上型3を下型2から取りはずし難いものである。
【0025】
以上のように下型2から上型3、中子型4を取りはずした後、成形品を脱型する。
【0026】
ここで、上記のようにキャビティ8内を減圧するものであるが、大気圧からの減圧度は10〜500mmHg、より好ましくは100〜300mmHgであり、この減圧度合で発泡成形品の低密度化度合が変わるものである。
【0027】
また、上記微小隙間11は、0.05〜2mm、より好ましくは0.05〜0.5mm、更に好ましくは0.05〜0.2mmであることが好ましい。
【0028】
図3,4は本発明に用いる他の金型を示すもので、これは自動車用フロントクッションパッドを形成し得るものであり、この金型は、キャビティ8が実質的に下型2と中子型4との間に形成され、図1,2に示すような裏面部成形用キャビティを有さない以外は図1,2の金型と同様であり、またこの金型を用いた合成樹脂発泡成形品を成形する方法も同様であるため、図1,2と同一構成部品に同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0029】
次に、具体的な実施例を示す。
〔実施例1〕
図1,2に示す金型を使用し、自動車用フロントバックパッドを成形した。この場合、真空ポンプとしては吸引力235L/minの能力のドライポンプ(オリオン社製KRX−3SS)を使用し、排気弁及び吸気弁としては高真空用電磁弁(使用圧力範囲10-8Torr〜2kgf/cm2、CKD HVB形)を使用し、圧力センサーとしては−0.5〜0.5kgf/cm2までの圧力レンジを持つ圧力トランスミッター(長野計器社製KH25)を使用した。また、上記微小隙間11は0.1mm程度とした。なお、金型のキャビティ容積は28.7リットルであり、ポリウレタンフォーム発泡成形材料としては(株)ブリヂストン製のバック用汎用HRフォーム処方を用いた。この成形材料は、金型を用いずにフリー発泡させた場合に密度0.035g/cm3のフォームが得られる。
【0030】
まず、従来金型でキャビティ内を減圧にせず、大気下で1300gの成形材料を注入して発泡、成形した。この結果、密度0.042g/cm3のフォーム成形品が得られたが、これより密度の小さいフォーム成形品は得られなかった。また、成形品は下型と上型とのパーティング部から硬化したバリがかなり発生していた。
【0031】
次に、図1,2に示す金型でキャビティ内の圧力を100mmHg下げ、この状態で成形材料1100gの発泡、成形を行った。その結果、密度が0.038g/cm3のフォーム成形品が得られ、この成形品には殆んどバリは生じなかった。またこの場合、上型から下型を取りはずす際、上記チャンバー部及びキャビティ内が減圧下のままでは上型から下型を脱離し難いものであったが、チャンバー部及びキャビティ内を大気圧に戻した後に上型から下型をはずした場合、容易に脱離した。
【0032】
更に、キャビティ内の圧力を300mmHg下げ、この状態で成形材料970gの発泡、成形を行った結果、密度が0.030g/cm3のフォーム成形品が得られ、しかも成形品にバリは全く生じなかった。なお、上型の下型からの取りはずしも、チャンバー部及びキャビティ内を大気圧に戻して行うことにより、容易に脱離した。
【0033】
〔実施例2〕
図3,4の金型を用いて自動車用フロントクッションパッドを上記実施例と同様に成形した。この場合、真空ポンプ、排気弁、吸気弁、圧力センサーは実施例1と同様のものを用いた。また、上型と中子型との間の隙間11は全周に亘って0.1mm程度とした。なお、金型のキャビティ容積は28リットルであり、ポリウレタンフォーム発泡成形材料としては(株)ブリヂストン製のクッション用高反発配合処方を用いた。この成形材料は、金型を用いずにフリー発泡させた場合に密度0.042g/cm3のフォームが得られる。
【0034】
まず、従来の金型でキャビティ内を減圧にせず、大気下で1500gの成形材料を注入し、発泡、成形した。この結果、密度0.050g/cm3(オーバーオール)のフォーム成形品が得られたが、これより密度の小さいフォーム成形品は得られず、クッションパッド裏面にエア溜りが発生してしまった。また、0.050g/cm3以上の密度の成形品は下型と上型とのパーティング部から硬化したバリがかなり発生していた。
【0035】
次に、図3,4に示す金型でキャビティ内の圧力を100mmHg下げ、この状態で成形材料1320gの発泡、成形を行った。その結果、密度が0.045g/cm3のフォーム成形品が得られ、この成形品には殆んどバリは生じなかった。またこの場合、上型から下型を取りはずす際、上記チャンバー部及びキャビティ内が減圧下のままでは上型から下型を脱離し難いものであったが、チャンバー部及びキャビティ内を大気圧に戻した後に上型から下型をはずした場合、容易に脱離した。
【0036】
更に、キャビティ内の圧力を200mmHg下げ、この状態で成形材料1180gの発泡、成形を行った結果、密度が0.040g/cm3のフォーム成形品が得られ、しかも成形品にバリは全く生じなかった。なお、上型の下型からの取りはずしも、チャンバー部及びキャビティ内を大気圧に戻して行うことにより、容易に脱離した。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、自動車用シートバックパッド等のクッションパッド、その他の自動車用内装材などの合成樹脂発泡成形品を高発泡倍率でかつ低密度でバリ発生を可及的に少なくして歩留り良く、しかも効率良く成形することができ、特に脱型時の操作性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフロントバックパッド用金型の構造の一例を示す概略側断面図である。
【図2】本発明のフロントバックパッド用金型の構造の一例を示す概略横断面図である。
【図3】本発明のフロントクッションパッド用金型の構造の一例を示す概略側断面図である。
【図4】本発明のフロントクッションパッド用金型の構造の一例を示す概略横断面図である。
【図5】フロントバックパッド製品の形状の一例を示す斜視図である。
【図6】従来のフロントバックパッド用金型の構造の一例を示す概略側断面図である。
【図7】従来のフロントバックパッド用金型の構造の一例を示す概略横断面図である。
【図8】上記図6,7の金型を使用して得たウレタンフォーム成形品のバリ発生状況を示す概略横断面図である。
【符号の説明】
1 金型本体
2 下型
3 上型
4 中子型
5 密閉空間
6 区画壁
6a 壁部
6b 壁部
6c 両側部
7 チャンバー部
8 キャビティ
8a 表面部成形用キャビティ
8b 周側部成形用キャビティ
8c,8d 裏面部成形用キャビティ
9 エアシリンダー
10 パッキン
11 微小隙間
12 隔離壁
13 パッキン
21 圧力調整装置
22 空気流通孔
23 連結部材
24 排気弁
25 排気用管
26 吸気弁
27 吸気管
28 真空ポンプ
29 制御部
30 圧力センサー
31 リード線

Claims (7)

  1. 下型と、この下型の開放部を覆って着脱可能に配設され、下型との間に密閉空間を形成する上型と、上記密閉空間内に着脱可能に配設された中子型とを具備し、上記中子型上面に上記上型との間に0.05〜2mmの微小隙間を有するように区画壁を突設し、中子型上面と上型との間に上記区画壁によって区画されたチャンバー部を形成すると共に、このチャンバー部外の上記密閉空間を合成樹脂発泡成形品用材料が供給されるキャビティとする金型本体と、上記チャンバー部内の空気を排出してチャンバー部内を減圧にすると共に、この減圧にされたチャンバー部内に空気を供給してチャンバー部内を大気圧に戻す圧力調整装置とを備え、上記チャンバー部内の空気を排出する際、上記微小隙間を介してキャビティ内の空気を排出すると共に、チャンバー部内に空気を供給する際、上記微小隙間を介してキャビティ内に空気を供給し得るようにしたことを特徴とする合成樹脂発泡成形品の成形金型。
  2. 合成樹脂発泡成形品が軟質ポリウレタンフォーム成形品である請求項1記載の成形金型。
  3. 上記区画壁の前壁部が中子型の上面先端部と離間した位置に設けられ、この中子型先端部から区画壁の前壁部に至る中子型上面と上型との間にトップパッド部成形用キャビティが形成された軟質ポリウレタンフォーム製自動車用シートパッド成形用金型である請求項1又は2記載の金型。
  4. 下型と、この下型の開放部を覆って着脱可能に配設され、下型との間に密閉空間を形成する上型と、上記密閉空間内に着脱可能に配設された中子型とを具備し、上記中子型上面に上記上型との間に0.05〜2mmの微小隙間を有するように区画壁を突設し、中子型上面と上型との間に上記区画壁によって区画されたチャンバー部を形成すると共に、このチャンバー部外の上記密閉空間を合成樹脂発泡成形品用材料が供給されるキャビティとする金型本体と、上記チャンバー部内の空気を排出してチャンバー部内を減圧にすると共に、この減圧にされたチャンバー部内に空気を供給してチャンバー部内を大気圧に戻す圧力調整装置とを備えた成形金型を使用し、上記キャビティ内に合成樹脂発泡成形品用材料を大気圧下に供給し、金型を閉じた後、上記圧力調整装置の作動により上記チャンバー部内の空気を排出すると共に、上記微小隙間を介して上記キャビティ内の空気を排出してキャビティ内を減圧にし、上記合成樹脂発泡成形品用材料を発泡、成形した後、上記圧力調整装置を空気供給動作に切り換えて上記チャンバー部内に空気を供給すると共に、上記微小隙間を介してキャビティ内に空気を供給し、上記チャンバー部内を大気圧に戻した後、上記上型及び中子型を下型から取りはずし、合成樹脂発泡成形品を脱型することを特徴とする合成樹脂発泡成形品の成形方法。
  5. 上記微小隙間を介して上記キャビティ内の空気を排出してキャビティ内を減圧にする際の減圧度が、大気圧からの減圧度として10〜500mmHgである請求項4記載の成形方法。
  6. 合成樹脂発泡成形品が軟質ポリウレタンフォームである請求項4又は5記載の成形方法。
  7. 成形金型が、中子型の上面先端部と離間した位置に区画壁の前壁部を設け、この中子型先端部から区画壁の前壁部に至る中子型上面と上型との間にトップパッド部成形用キャビティが形成された自動車用シートパッド成形用金型であり、軟質ポリウレタンフォーム製自動車用シートパッドを成形するようにした請求項4、5又は6記載の成形方法。
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