JP4453794B2 - 合成樹脂発泡成形品の製造方法 - Google Patents

合成樹脂発泡成形品の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂発泡成形品、特に軟質ポリウレタンフォーム等の連通気泡構造或いは独立気泡構造を有する良好な成形面を有する合成樹脂発泡成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、ポリウレタンフォーム材料の成形は、以下の方法が採用されている。
(1) 上型、下型を開いた状態にしておく。
(2) ウレタン発泡原液を下型側に注入する。
(3) 上・下型を閉じる。
【0003】
この時、ウレタン発泡原液は化学反応でCO2ガスを出し、金型内で成長する(フリー発泡により体積が増加する)。また、発生したCO2ガスは、ベントホール、パーティングラインを通じて型外へ排出される。
(4) 樹脂反応が終了したところで成形品を金型から取り出し、バリを除去して製品を得る。
(5) 金型のベントホール、パーティングラインのウレタン付着物を掃除して除去し、再び上記操作を繰り返す。
【0004】
この場合、車両用フロントシートを成形する金型の場合には、下型と上型との間に中子型を介装し、下型と中子型との間に大容量キャビティを形成し、上型と中子型との間にこの大容量キャビティと連通する低容量キャビティを形成した金型を用いる。この低容量キャビティには、下型に注入した発泡原液からの発泡物が最後に進入、充填されることになる。
【0005】
ところで、樹脂膨張速度は、ライズカーブから判断すると充填完了までは、ほぼ一定であり、上記低容量キャビティは、下型−中子型間の間隔に比べ、上型−中子型間の間隔が狭く、従って、樹脂充填方向に対する断面積が小さい。即ち、フォームの成長速度が一定と考える場合には、発泡物の低容量キャビティの通過速度が大容量キャビティに比べて速くなり、特に、上記低容量キャビティに突出する小突起が上型下面や中子型上面にあると、この小突起乗り越え時にエアを巻き込んだり、細かな破泡が起きて製品欠陥が発生する。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、良好な成形面を有する合成樹脂発泡成形品、特に軟質ポリウレタンフォーム等の連通気泡構造或いは独立気泡構造を有する合成樹脂発泡成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、上記のような狭いキャビティを発泡物が通過する際、上記小突起形成位置の前において、金型内からのガス排出量が少なくなるようにコントロールし、金型内の圧力を高めて通過速度を抑えることにより、エアの巻き込み、細かな破泡の生成を防止して、特に幅狭キャビティによって形成される部分の外観が良好な成形品を製造し得ることを知見し、本発明をなすに至った。
【0008】
従って、本発明は、下記の合成樹脂発泡成形品の製造方法を提供する。
(1)下型と、この下型の開放部を覆って着脱可能に配設され、下型との間に密閉空間を形成する上型と、これら下型と上型との間に配設された中子型とを具備し、上記下型と中子型との間に大容量キャビティが形成されると共に上記上型と中子型との間に上記大容量キャビティと隙間を介して連通する幅狭の低容量キャビティが形成され、かつこの低容量キャビティに突出する小突起を上記上型下面又は中子型上面に有する金型を用い、合成樹脂発泡成形品用材料を大気圧下に大容量キャビティ内へ供給し、金型を閉じた後、上記材料の発泡物が上記隙間到達後、上記小突起位置に至る前に金型からのガスの排出量を型閉め直後のガスの排出量よりも少なく制御して成形を行うことを特徴とする合成樹脂発泡成形品の製造方法。
(2)合成樹脂発泡成形品が軟質ポリウレタンフォーム成形品である請求項1記載の合成樹脂発泡成形品の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、図面を参照して更に詳しく説明すると、本発明の合成樹脂発泡成形品の製造方法は、例えば、図1に示される金型1のように、公知の形状の金型を使用して製造することができるものである。
【0010】
ここで、図1は、車両用フロントシートの金型1の概略断面図を示す。この車両用フロントシート用金型1は、下型2と、この下型2に着脱可能に接合される上型3と、この上型3にシリンダー4の作動によって上下動可能に取付けられた中子型5とを具備する。
【0011】
この中子型5の上面には、上記シリンダー4を包囲するように、上面にシール材6が取付けられた隔離壁7が突設されていると共に、中子型5の先端部とこの隔離壁7との中間位置には、区画用突起8が突設されている。
【0012】
そして、上記下型2と上型3とを接合し、シリンダー4を作動させ、中子型5を上型3に進出させ、上記隔離壁7上面のシール材6が上型3下面に密着させた際、下型2の一側壁と中子型5先端部との間には、隙間9が形成されるようになっており、上記下型2上面と中子型5下面との間に大容量キャビティ10が形成されると共に、上記上型3下面と中子型5先端側上面と上記区画用突起8とによって、上記隙間9を介して大容量キャビティ10に連通され、この大容量キャビティ10に対し、ほぼ180°折れ曲がった状態で連なる低容量キャビティ11が形成されるようになっており、また、上記区画用突起8と隔離壁7との間に排気用空間12が形成されるようになっている。この場合、上記突起8と上型3下面との間には、微小間隙13が形成されるようになっており、上記低容量キャビティ11と排気用空間12とは微小間隙13を介して連通している。
【0013】
上記上型3には、上記排気用空間12形成位置に存してベント管14が設けられており、このベント管14には、バルブ15が介装されている。また、上記下型2と上型3との接合部には、パッキン16が介装されており、従って、上記バルブ15を開くことにより、上記キャビティ10,11内のガスは、上記微小間隙13及び排気用空間12よりベント管14を通って外部に放出することができ、バルブ15を閉じると、金型1内は完全に密閉されるようになっている。
【0014】
なお、上記大・低容量のキャビティ10,11により形成される車両用フロントシートは、大容量キャビティ10が実際の表面に位置させるシート本体を形成すると共に、低容量キャビティ11がシートを裏面に取付けるために必要な取り付け部分をそれぞれ形成するものである。低容量キャビティ11は、シートの取付け部分を形成するものであるが、材料コスト削減の観点から可能な限り低容量にすることが求められる箇所である一方、容量を少なくしすぎると欠陥が生じ易い箇所である。
【0015】
上記大容量キャビティ10と、低容量キャビティ11は、隙間9を介して連結されたもので、この隙間9は、通常2〜20mm程度の幅を有するものとすることができる。また、図2に示したように、下型2と中子型5との間隔aよりも、上型3と中子型5との間隔bが狭く形成され、低容量キャビティは狭く形成されたものである。また、図1に示したように、この例では、上型3下面に低容量キャビティ11に突出する小突起17が形成されている。
【0016】
この金型を用いて軟質ポリウレタンフォームを製造する場合は、下型2にウレタン発泡原液を注入し、次いで、上型3をバルブ15が開いた状態において、下型に接合する。フリーな発泡が生じ、この発泡が上記隙間9に到達した後、小突起17形成位置に到達前に、上記バルブ15を絞り、これにより上記ベント管14より排出されるガス量をコントロールして少なくする。これにより、型内(低容量キャビティ)の圧力がバルブ15を絞る前(又はバルブ15を絞らない場合)よりも高くなり、低容量キャビティに対する発泡物の通過速度が抑えられ、このため、上記小突起17を乗り越える場合にエアを巻き込んだり、細かな破泡の生成が防止され、良好な外観の成形品が得られるものである。
【0017】
なお、この場合、上記発泡成形品が低容量キャビティ11に充填した時点で、更にバルブ15を閉じ、型内を完全密閉することが好ましく、これによってボイドの発生を確実に防止することができる。
【0018】
充填完了後ゲル化前に、上記バルブ15を閉じて金型内を完全密閉する。これにより、フォームの成長を停止させるもので、完全密閉は、ウレタン発泡原液の充填完了(キャビティ内を発泡体が満たした状態)後からゲル化の始まる前までに行う。充填完了後からゲル化が始まる前に密閉するタイミングとは、一般的には、60秒以内、好ましくは10〜50秒であるが、配合によってはゲル化が300秒後に始まる場合があるので、材料に応じてその前に完全密閉するタイミングを調整すればよい。一般的に、フリー発泡のゲル化カーブは、ウレタン発泡原液の注入後、約60秒近辺にあり、この付近で樹脂化が急激に進んでいるため、その前に金型内を完全密閉して金型内の圧力を高くし、フォームの成長を停止させるものである。つまり、図示したような通常の金型では、上記大容量及び低容量キャビティへの発泡体充填完了時間は、30〜40秒であり、金型内部圧力を測定すると、ほぼこのタイミングで圧力上昇を開始するもので、型内(キャビティ内)が樹脂で満たされ、ガスの行き場がなくなって圧力上昇が始まるものである。従って、このようにキャビティ内が樹脂で満たされ、これがゲル化前に、上記のようにバルブ15を閉じて、金型内の圧力を閉じることにより、ボイドの発生が防止されるものである。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の実施例、比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に制限されるものではない。
【0020】
〔実施例、比較例〕
図1,2に示す金型を使用し、軟質ポリウレタンフォーム製造用発泡原液(ブリヂストン社製エバーライトD)を用いて、フォーム成形を行った。なお、この金型において、図2の下型2と中子型5との間隙aは約60mm、上型3と中子型5との間隙bは約15mm、隙間9は約10mmである。
【0021】
上記金型の下型に発泡原液を注入してから、17秒後にバルブ15を開いた状態で、上型3を閉じた。この場合、原液注入後35秒で大容量キャビティ10に発泡物が充満するが、実施例では、発泡物が隙間9を通過する際にバルブ15を1/4に絞って発泡を行い、比較例はバルブ操作をせず発泡を行った。原液を注入してから300秒後に成形品を取出し、その外観を評価したところ、比較例製品はエア溜まりが多数見られた。
【0022】
なお、上記実施例において、低容量キャビティに発泡物が充満した原液注入後37秒後に、バルブ15を完全に閉じ、金型内を完全密閉した場合、全くボイドのない成形品が得られた。
【0023】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、合成樹脂発泡成形品、特に軟質ポリウレタンフォーム等の連通気泡構造或いは独立気泡構造を有する良好な成形面を有する合成樹脂発泡成形品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかるポリウレタンフォーム材料を合成樹脂発泡成形品用材料とする車両用フロントシートの金型を示す概略断面図である。
【図2】図1の金型のX−X’片側断面図である。
【符号の説明】
1 金型
2 下型
3 上型
5 中子型

Claims (2)

  1. 下型と、この下型の開放部を覆って着脱可能に配設され、下型との間に密閉空間を形成する上型と、これら下型と上型との間に配設された中子型とを具備し、上記下型と中子型との間に大容量キャビティが形成されると共に上記上型と中子型との間に上記大容量キャビティと隙間を介して連通する幅狭の低容量キャビティが形成され、かつこの低容量キャビティに突出する小突起を上記上型下面又は中子型上面に有する金型を用い、合成樹脂発泡成形品用材料を大気圧下に大容量キャビティ内へ供給し、金型を閉じた後、上記材料の発泡物が上記隙間到達後、上記小突起位置に至る前に金型からのガスの排出量を型閉め直後のガスの排出量よりも少なく制御して成形を行うことを特徴とする合成樹脂発泡成形品の製造方法。
  2. 合成樹脂発泡成形品が軟質ポリウレタンフォーム成形品である請求項1記載の合成樹脂発泡成形品の製造方法。
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