JP2004142349A - 発泡成形体の製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動車のシート用パッド等の発泡体の真空発泡成形において、成形体の欠肉を効果的に防止することができる製造装置を提供する。
【解決手段】上型22と下型20とを備えて内部にキャビティ12を形成する金型14と、キャビティ12内の気体を吸引して真空にする真空化装置16と、キャビティ12内に発泡原料Uを注入する注入装置18とを備える発泡成形体の製造装置において、成形体の凸形状を成形する上型22の凹部44に貫通穴46を設けて、貫通穴46を多孔質金属材料からなる通気性部材48で塞ぐとともに、貫通穴46の背後に外気から遮断されかつ通気性部材48を介してキャビティ12内と接続されたチャンバー部52を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】上型22と下型20とを備えて内部にキャビティ12を形成する金型14と、キャビティ12内の気体を吸引して真空にする真空化装置16と、キャビティ12内に発泡原料Uを注入する注入装置18とを備える発泡成形体の製造装置において、成形体の凸形状を成形する上型22の凹部44に貫通穴46を設けて、貫通穴46を多孔質金属材料からなる通気性部材48で塞ぐとともに、貫通穴46の背後に外気から遮断されかつ通気性部材48を介してキャビティ12内と接続されたチャンバー部52を設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡原料を真空で発泡成形する発泡成形体の製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車などの車両のシート用パッドや家具用クッションには、弾力性に富む軟質ポリウレタンフォームなどの合成樹脂発泡成形体が用いられている。かかるシート用パッドにおいては、近年の自動車の軽量化・低コスト化の要請に伴い、低密度で軽量なものが求められている。そこで、発泡成形体の低密度化・軽量化を図るため、また複雑な形状品について成形性を確保するために、発泡原料を大気圧によりも低い気圧下で発泡硬化させる真空発泡成形装置が種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、上型に開孔部を形成するとともにチャンバー部材を気密状態に取り付け、該開孔部壁面との間に微小隙間を形成するピストンと該ピストンを駆動させるエアシリンダーとをチャンバー室内に設け、更に該チャンバー室に真空ポンプを接続して、該真空ポンプを作動させることによりチャンバー室内及び上記微小隙間を介してキャビティ内を真空にする発泡成形体の製造装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、上型と下型との型割り面の外周空間に真空ポンプを接続し、該真空ポンプを作動させることにより型割り面を介してキャビティ内を真空にする発泡成形体の製造装置が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−202676号公報
【0006】
【特許文献2】特開2000−326346号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように真空発泡成形は、真空にしない通常の発泡成形に比べて、複雑な形状品について成形性を確保しやすいものであるが、上型に成形体の凸形状を成形する凹部がある場合、必ずしも満足した成形性を確保できないことがある。
【0008】
特に、上記特許文献2のように上型と下型の型割り面を介してキャビティ内を真空にする場合、発泡体が上型の凹部に充填される前に型割り面に到達してしまい、それ以降真空排気できないことになるので、該凹部に残された空気や発泡原料の発するガスが逃げ場を失い、その結果、成形体の凸形状部に欠肉が生じてしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、真空発泡成形において成形体の欠肉をより一層効果的に防止することができる発泡成形体の製造装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の発泡成形体の製造装置は、上型と下型とを備えて両者を型閉めすることで内側にキャビティを形成する成形型と、前記キャビティ内の気体を吸引して真空にする真空化装置と、前記キャビティ内に発泡原料を注入する注入装置とを備え、前記真空化装置によりキャビティ内を真空にしながら前記発泡原料を前記キャビティ内に発泡充填させる発泡成形体の製造装置において、前記上型の一部に設けられた貫通穴が通気性部材で塞がれ、該貫通穴の背後に外気から遮断されかつ前記通気性部材を介して前記キャビティ内と接続されたチャンバー部が設けられたものである。
【0011】
本発明の製造装置によれば、発泡成形の比較的初期の段階では、真空化装置によりキャビティ内が真空にされる際に、通気性部材を介してキャビティと接続されたチャンバー部も真空になる。そして、発泡充填が進んで発泡体により貫通穴まわりのキャビティ空間が真空化装置から切り離された場合でも、キャビティ内に残された空気や発泡原料の発するガスを、通気性部材を経て予め真空とされたチャンバー部に逃がすことができる。即ち、キャビティ外に逃がすことができる。一方、発泡原料は貫通穴が通気性部材で塞がれており、しかも上記の残された空気やガスがチャンバー部に流れ込むことによりチャンバー部の内圧がある程度高くなっていることから、通気性部材を越えてチャンバー部内に溢れ出ることはない。以上より、成形体の欠肉を効果的に防止することができる。
【0012】
本発明の製造装置においては、前記通気性部材が多孔質金属材料からなることが好ましい。この場合、通気性部材の表層部に付着した発泡体は成形体の脱型動作に伴って除去される。また、それでも残った発泡体については、例えばチャンバー部側からキャビティ側に向けて加圧エアによるエアブローを行うことにより除去することができる。更に、仮に目詰まりした場合でも、溶剤等を使用した超音波洗浄、火炎による焼却等の方法により通気性の回復が可能である。また、放電加工や機械加工等が可能であるため、任意の形状にて設置することができ、従って、平面でない壁面部分にも設けることができる。
【0013】
本発明は、上型に成形体の凸形状を成形する凹部がある場合に、この凹部に上記貫通穴を設けて、上記通気性部材により凹部内の気体をチャンバー部にガス抜きするように構成することが特に好適である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態は、軟質ポリウレタンフォームよりなる自動車用シートパッドの製造装置に関する。
【0015】
図1,2に示すように、本実施形態の製造装置は、内側に密閉されたキャビティ12を形成する金型14と、キャビティ12内の気体を吸引することでキャビティ12内を大気圧よりも気圧の低い真空状態にする真空化装置16と、キャビティ12内にポリウレタンフォーム原料Uを注入する注入装置18とを備えてなる。
【0016】
金型14は、上方に開口する下型20と、下型20の上面開口を開閉する上型22とからなり、両者20,22を型閉めすることにより、型割り面(PL部)24の内側に密閉されたキャビティ12を形成する。下型20は、シートパッドの表面側を成形する型であって、それに対応した凹状をなし、一方、上型22は、シートパッドの裏面側を成形する型であって、下型20との間にシートパッド形状に対応する発泡空間であるキャビティ12を形成する。
【0017】
上型22は、金型14を閉じた状態でキャビティ12内にフォーム原料Uを注入できるように注入口26を備え、この注入口26は蓋28で開閉されるようになっている。
【0018】
型割り面24の外周は全周にわたってシリコンゴム等のシール材32で取り囲まれている(図3参照)。シール材32は、下型20の外周フランジ34と上型22の外周フランジ36との間をシールして型割り面24の外周に密閉された環状の外周空間38を形成する。型割り面24には、キャビティ12と外周空間38とを連通するスリット状の排気溝40が周方向の一箇所又は複数箇所に設けられている。
【0019】
真空化装置16である真空ポンプは、配管42を介して金型14の外周空間38に接続されており、外周空間38内の気体を吸引することで、排気溝40を介してキャビティ12内の気体を吸引するようになっている。
【0020】
図4に拡大して示すように、上型22には、シートパッド裏面の凸形状を成形するために下向きに開口する凹部44が設けられており、この凹部44の底に相当する上壁部に貫通穴46が設けられている。貫通穴46は通気性部材48で塞がれており、また、この貫通穴46を背後から覆うように上型22には有底筒状のチャンバー部材50が取り付けられている。そして、このチャンバー部材50の内側には、通気性部材48を介してキャビティ12内と接続され、かつ、外気から遮断された密閉空間であるチャンバー部52が形成されている。
【0021】
ここで、通気性部材48としては、気体のみが透過し得るものであれば特に限定されることなく使用可能であり、好ましくは金属又はセラミックスからなる多孔質体が用いられる。本実施形態では、特に好適な多孔質金属材料からなる通気性部材48を用いており、その具体例としては粉末又は短繊維の焼結金属が挙げられる。この通気性部材48は、内部へのウレタンの侵入を抑えるために、空孔径が3〜20μm(より好ましくは7〜10μm)であることが好ましい。また、通気性(測定圧力:0.5MPa、試料厚さ10mm)は150〜580cc/sec・cm2(より好ましくは260〜330cc/sec・cm2)であることが好ましく、更に空孔率は25%程度が好適である。
【0022】
図4に示すように、本実施形態では、通気性部材48の外周面に雄ネジを切っておき、貫通穴46に雌ネジを切っておいて、両者を螺合させることで、通気性部材48は上型22の型材に埋め込まれている。
【0023】
チャンバー部材50には、配管54を介して不図示の圧縮機に着脱自在に接続するための接続端子56が設けられており、図5に示すように、この接続端子56に配管54先端の接続端子58を繋げることで、圧縮機からチャンバー部52内に加圧エアPを供給できるように構成されている。
【0024】
以上の製造装置を用いてシートパッドを成型する際には、まず、図2に示すように、金型14の下型20と上型22を閉じて、上型22の注入口26の蓋材28を開ける。次いで、真空化装置16を作動させて外周空間38からの排気を開始する。そして、注入装置18を用いて注入口26からキャビティ12内にポリウレタンフォーム原料Uを注入する。フォーム原料Uの注入後、注入口26を蓋28で閉じると、これによりキャビティ12内が密閉されるため、排気溝40を介してキャビティ12内の気体が吸引されて真空化され、このようにして真空化されるキャビティ12内をフォーム原料Uが発泡充填していく。
【0025】
その際、発泡成形の比較的初期の段階では、真空化装置16によりキャビティ12内が真空化される際に、通気性部材48を介してチャンバー部52も真空化させる。そして、発泡充填が進んで型割り面24にウレタンUが到達した後は、図1に示すように、キャビティ12内に残された未充填空間12Aは更なる真空化作用を受けることなく、該空間12Aに残された空気やフォーム原料Uの発するガスがキャビティ12の最上部の凹部44に集まってくる。その際、本実施形態であると、図4に示すように、これらの気体Gを、通気性部材48を通して、予め真空とされたチャンバー部52に逃がすことができるので、ウレタンUを凹部44内に完全に充填させることができる。一方、ウレタンUは、通気性部材48の空孔径が微小であり、しかも上記のように気体Gがチャンバー部52に流れ込むことによりチャンバー部52の内圧がある程度高くなっていることから、通気性部材48の深部には侵入しない。
【0026】
このようにしてキャビティ12内にウレタンフォームが充填された後、金型14を開いて成形されたシートパッドを脱型する。
【0027】
以上のように、本実施形態の製造装置であると、シートパッドが裏面に凸形状を有する場合でも、その凸形状の欠肉を確実に防止することができる。
【0028】
また、通気性部材48が多孔質金属材料からなるため、その表層部に付着したウレタンはシートパッドの脱型と同時に除去され、またわずかにウレタンが残った場合には、図5に示すように、配管54を介してチャンバー部材50を不図示の圧縮機に接続して、ガス抜き方向とは逆方向に加圧エアPによるエアブローを行うことにより除去することができる。なお、通気性部材として不織布などの柔軟なシートを用いた場合には、加圧エアのエアブローにより、シートの変形、破れなどの不具合が生じる。
【0029】
また、通気性部材48が多孔質金属材料からなるため、仮に目詰まりした場合でも、アセトン等の溶剤を使用した超音波洗浄、火炎による焼却等の方法により通気性を回復することができる。また、放電加工や機械加工等が可能であるため、任意の形状にて設置することができ、曲面状の壁面部分にも設けることができる。
【0030】
なお、上記実施形態においては、貫通穴46を一箇所だけに設けたが、上型22に複数の凹部44がある場合にはそれぞれに貫通穴46を設けて通気性部材48及びチャンバー部材50を配してもよいことはもちろんである。また、貫通穴46は上記のようなパッド凸形状を成形する凹部44に設けることには限定されず、上型内面が型割り面よりも高い部位を持つ場合にその最も高い位置に設けたり、あるいはまた、上型が型割り面の内周側で一旦低くなってからその内側が高く形成されている場合(図1に示す上型22において凹部44がない場合)にその内側の最も高い位置に設けてもよい。更に、型割り面24から真空化する場合には限定されず、上型に真空化のための開孔を設けて該開孔に真空化装置を接続し、該開孔から直接キャビティ内を真空化するよう構成された金型においても同様に適用することができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明の発泡成形体の製造装置であると、真空発泡成形において成形品の欠肉を効果的に防止することができ、成形性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態における発泡成形装置の発泡成形時における断面図である。
【図2】同装置のフォーム原料注入時での断面図である。
【図3】同装置における上型の底面図である。
【図4】同上型に設けたチャンバー部を示す断面図である。
【図5】同チャンバー部に圧縮機からの配管を接続した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
12……キャビティ
14……金型
16……真空化装置
18……注入装置
20……下型
22……上型
44……凹部
46……貫通穴
48……通気性部材
52……チャンバー部
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡原料を真空で発泡成形する発泡成形体の製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車などの車両のシート用パッドや家具用クッションには、弾力性に富む軟質ポリウレタンフォームなどの合成樹脂発泡成形体が用いられている。かかるシート用パッドにおいては、近年の自動車の軽量化・低コスト化の要請に伴い、低密度で軽量なものが求められている。そこで、発泡成形体の低密度化・軽量化を図るため、また複雑な形状品について成形性を確保するために、発泡原料を大気圧によりも低い気圧下で発泡硬化させる真空発泡成形装置が種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、上型に開孔部を形成するとともにチャンバー部材を気密状態に取り付け、該開孔部壁面との間に微小隙間を形成するピストンと該ピストンを駆動させるエアシリンダーとをチャンバー室内に設け、更に該チャンバー室に真空ポンプを接続して、該真空ポンプを作動させることによりチャンバー室内及び上記微小隙間を介してキャビティ内を真空にする発泡成形体の製造装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、上型と下型との型割り面の外周空間に真空ポンプを接続し、該真空ポンプを作動させることにより型割り面を介してキャビティ内を真空にする発泡成形体の製造装置が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−202676号公報
【0006】
【特許文献2】特開2000−326346号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように真空発泡成形は、真空にしない通常の発泡成形に比べて、複雑な形状品について成形性を確保しやすいものであるが、上型に成形体の凸形状を成形する凹部がある場合、必ずしも満足した成形性を確保できないことがある。
【0008】
特に、上記特許文献2のように上型と下型の型割り面を介してキャビティ内を真空にする場合、発泡体が上型の凹部に充填される前に型割り面に到達してしまい、それ以降真空排気できないことになるので、該凹部に残された空気や発泡原料の発するガスが逃げ場を失い、その結果、成形体の凸形状部に欠肉が生じてしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、真空発泡成形において成形体の欠肉をより一層効果的に防止することができる発泡成形体の製造装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の発泡成形体の製造装置は、上型と下型とを備えて両者を型閉めすることで内側にキャビティを形成する成形型と、前記キャビティ内の気体を吸引して真空にする真空化装置と、前記キャビティ内に発泡原料を注入する注入装置とを備え、前記真空化装置によりキャビティ内を真空にしながら前記発泡原料を前記キャビティ内に発泡充填させる発泡成形体の製造装置において、前記上型の一部に設けられた貫通穴が通気性部材で塞がれ、該貫通穴の背後に外気から遮断されかつ前記通気性部材を介して前記キャビティ内と接続されたチャンバー部が設けられたものである。
【0011】
本発明の製造装置によれば、発泡成形の比較的初期の段階では、真空化装置によりキャビティ内が真空にされる際に、通気性部材を介してキャビティと接続されたチャンバー部も真空になる。そして、発泡充填が進んで発泡体により貫通穴まわりのキャビティ空間が真空化装置から切り離された場合でも、キャビティ内に残された空気や発泡原料の発するガスを、通気性部材を経て予め真空とされたチャンバー部に逃がすことができる。即ち、キャビティ外に逃がすことができる。一方、発泡原料は貫通穴が通気性部材で塞がれており、しかも上記の残された空気やガスがチャンバー部に流れ込むことによりチャンバー部の内圧がある程度高くなっていることから、通気性部材を越えてチャンバー部内に溢れ出ることはない。以上より、成形体の欠肉を効果的に防止することができる。
【0012】
本発明の製造装置においては、前記通気性部材が多孔質金属材料からなることが好ましい。この場合、通気性部材の表層部に付着した発泡体は成形体の脱型動作に伴って除去される。また、それでも残った発泡体については、例えばチャンバー部側からキャビティ側に向けて加圧エアによるエアブローを行うことにより除去することができる。更に、仮に目詰まりした場合でも、溶剤等を使用した超音波洗浄、火炎による焼却等の方法により通気性の回復が可能である。また、放電加工や機械加工等が可能であるため、任意の形状にて設置することができ、従って、平面でない壁面部分にも設けることができる。
【0013】
本発明は、上型に成形体の凸形状を成形する凹部がある場合に、この凹部に上記貫通穴を設けて、上記通気性部材により凹部内の気体をチャンバー部にガス抜きするように構成することが特に好適である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態は、軟質ポリウレタンフォームよりなる自動車用シートパッドの製造装置に関する。
【0015】
図1,2に示すように、本実施形態の製造装置は、内側に密閉されたキャビティ12を形成する金型14と、キャビティ12内の気体を吸引することでキャビティ12内を大気圧よりも気圧の低い真空状態にする真空化装置16と、キャビティ12内にポリウレタンフォーム原料Uを注入する注入装置18とを備えてなる。
【0016】
金型14は、上方に開口する下型20と、下型20の上面開口を開閉する上型22とからなり、両者20,22を型閉めすることにより、型割り面(PL部)24の内側に密閉されたキャビティ12を形成する。下型20は、シートパッドの表面側を成形する型であって、それに対応した凹状をなし、一方、上型22は、シートパッドの裏面側を成形する型であって、下型20との間にシートパッド形状に対応する発泡空間であるキャビティ12を形成する。
【0017】
上型22は、金型14を閉じた状態でキャビティ12内にフォーム原料Uを注入できるように注入口26を備え、この注入口26は蓋28で開閉されるようになっている。
【0018】
型割り面24の外周は全周にわたってシリコンゴム等のシール材32で取り囲まれている(図3参照)。シール材32は、下型20の外周フランジ34と上型22の外周フランジ36との間をシールして型割り面24の外周に密閉された環状の外周空間38を形成する。型割り面24には、キャビティ12と外周空間38とを連通するスリット状の排気溝40が周方向の一箇所又は複数箇所に設けられている。
【0019】
真空化装置16である真空ポンプは、配管42を介して金型14の外周空間38に接続されており、外周空間38内の気体を吸引することで、排気溝40を介してキャビティ12内の気体を吸引するようになっている。
【0020】
図4に拡大して示すように、上型22には、シートパッド裏面の凸形状を成形するために下向きに開口する凹部44が設けられており、この凹部44の底に相当する上壁部に貫通穴46が設けられている。貫通穴46は通気性部材48で塞がれており、また、この貫通穴46を背後から覆うように上型22には有底筒状のチャンバー部材50が取り付けられている。そして、このチャンバー部材50の内側には、通気性部材48を介してキャビティ12内と接続され、かつ、外気から遮断された密閉空間であるチャンバー部52が形成されている。
【0021】
ここで、通気性部材48としては、気体のみが透過し得るものであれば特に限定されることなく使用可能であり、好ましくは金属又はセラミックスからなる多孔質体が用いられる。本実施形態では、特に好適な多孔質金属材料からなる通気性部材48を用いており、その具体例としては粉末又は短繊維の焼結金属が挙げられる。この通気性部材48は、内部へのウレタンの侵入を抑えるために、空孔径が3〜20μm(より好ましくは7〜10μm)であることが好ましい。また、通気性(測定圧力:0.5MPa、試料厚さ10mm)は150〜580cc/sec・cm2(より好ましくは260〜330cc/sec・cm2)であることが好ましく、更に空孔率は25%程度が好適である。
【0022】
図4に示すように、本実施形態では、通気性部材48の外周面に雄ネジを切っておき、貫通穴46に雌ネジを切っておいて、両者を螺合させることで、通気性部材48は上型22の型材に埋め込まれている。
【0023】
チャンバー部材50には、配管54を介して不図示の圧縮機に着脱自在に接続するための接続端子56が設けられており、図5に示すように、この接続端子56に配管54先端の接続端子58を繋げることで、圧縮機からチャンバー部52内に加圧エアPを供給できるように構成されている。
【0024】
以上の製造装置を用いてシートパッドを成型する際には、まず、図2に示すように、金型14の下型20と上型22を閉じて、上型22の注入口26の蓋材28を開ける。次いで、真空化装置16を作動させて外周空間38からの排気を開始する。そして、注入装置18を用いて注入口26からキャビティ12内にポリウレタンフォーム原料Uを注入する。フォーム原料Uの注入後、注入口26を蓋28で閉じると、これによりキャビティ12内が密閉されるため、排気溝40を介してキャビティ12内の気体が吸引されて真空化され、このようにして真空化されるキャビティ12内をフォーム原料Uが発泡充填していく。
【0025】
その際、発泡成形の比較的初期の段階では、真空化装置16によりキャビティ12内が真空化される際に、通気性部材48を介してチャンバー部52も真空化させる。そして、発泡充填が進んで型割り面24にウレタンUが到達した後は、図1に示すように、キャビティ12内に残された未充填空間12Aは更なる真空化作用を受けることなく、該空間12Aに残された空気やフォーム原料Uの発するガスがキャビティ12の最上部の凹部44に集まってくる。その際、本実施形態であると、図4に示すように、これらの気体Gを、通気性部材48を通して、予め真空とされたチャンバー部52に逃がすことができるので、ウレタンUを凹部44内に完全に充填させることができる。一方、ウレタンUは、通気性部材48の空孔径が微小であり、しかも上記のように気体Gがチャンバー部52に流れ込むことによりチャンバー部52の内圧がある程度高くなっていることから、通気性部材48の深部には侵入しない。
【0026】
このようにしてキャビティ12内にウレタンフォームが充填された後、金型14を開いて成形されたシートパッドを脱型する。
【0027】
以上のように、本実施形態の製造装置であると、シートパッドが裏面に凸形状を有する場合でも、その凸形状の欠肉を確実に防止することができる。
【0028】
また、通気性部材48が多孔質金属材料からなるため、その表層部に付着したウレタンはシートパッドの脱型と同時に除去され、またわずかにウレタンが残った場合には、図5に示すように、配管54を介してチャンバー部材50を不図示の圧縮機に接続して、ガス抜き方向とは逆方向に加圧エアPによるエアブローを行うことにより除去することができる。なお、通気性部材として不織布などの柔軟なシートを用いた場合には、加圧エアのエアブローにより、シートの変形、破れなどの不具合が生じる。
【0029】
また、通気性部材48が多孔質金属材料からなるため、仮に目詰まりした場合でも、アセトン等の溶剤を使用した超音波洗浄、火炎による焼却等の方法により通気性を回復することができる。また、放電加工や機械加工等が可能であるため、任意の形状にて設置することができ、曲面状の壁面部分にも設けることができる。
【0030】
なお、上記実施形態においては、貫通穴46を一箇所だけに設けたが、上型22に複数の凹部44がある場合にはそれぞれに貫通穴46を設けて通気性部材48及びチャンバー部材50を配してもよいことはもちろんである。また、貫通穴46は上記のようなパッド凸形状を成形する凹部44に設けることには限定されず、上型内面が型割り面よりも高い部位を持つ場合にその最も高い位置に設けたり、あるいはまた、上型が型割り面の内周側で一旦低くなってからその内側が高く形成されている場合(図1に示す上型22において凹部44がない場合)にその内側の最も高い位置に設けてもよい。更に、型割り面24から真空化する場合には限定されず、上型に真空化のための開孔を設けて該開孔に真空化装置を接続し、該開孔から直接キャビティ内を真空化するよう構成された金型においても同様に適用することができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明の発泡成形体の製造装置であると、真空発泡成形において成形品の欠肉を効果的に防止することができ、成形性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態における発泡成形装置の発泡成形時における断面図である。
【図2】同装置のフォーム原料注入時での断面図である。
【図3】同装置における上型の底面図である。
【図4】同上型に設けたチャンバー部を示す断面図である。
【図5】同チャンバー部に圧縮機からの配管を接続した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
12……キャビティ
14……金型
16……真空化装置
18……注入装置
20……下型
22……上型
44……凹部
46……貫通穴
48……通気性部材
52……チャンバー部
Claims (3)
- 上型と下型とを備えて両者を型閉めすることで内側にキャビティを形成する成形型と、前記キャビティ内の気体を吸引して真空にする真空化装置と、前記キャビティ内に発泡原料を注入する注入装置とを備え、前記真空化装置によりキャビティ内を真空にしながら前記発泡原料を前記キャビティ内に発泡充填させる発泡成形体の製造装置において、
前記上型の一部に設けられた貫通穴が通気性部材で塞がれ、該貫通穴の背後に外気から遮断されかつ前記通気性部材を介して前記キャビティ内と接続されたチャンバー部が設けられた
ことを特徴とする発泡成形体の製造装置。 - 前記通気性部材が多孔質金属材料からなることを特徴とする請求項1記載の発泡成形体の製造装置。
- 前記貫通穴が、成形体の凸形状を成形する上型の凹部に設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載の発泡成形体の製造装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2022113399A1 (ja) * | 2020-11-27 | 2022-06-02 | 株式会社ブリヂストン | 金型、ガス抜き具、及び、樹脂発泡体の製造方法 |
-
2002
- 2002-10-25 JP JP2002311811A patent/JP2004142349A/ja not_active Withdrawn
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WO2022113399A1 (ja) * | 2020-11-27 | 2022-06-02 | 株式会社ブリヂストン | 金型、ガス抜き具、及び、樹脂発泡体の製造方法 |
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