JP3673151B2 - 整流子、モータ及び整流子の製造方法 - Google Patents

整流子、モータ及び整流子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、整流子、その整流子を備えたモータ及び整流子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の整流子としては、実開昭61−202163号公報に開示されたものがある。この整流子は、樹脂からなる略円筒形状の絶縁体と、その絶縁体の外周に配設される整流子片(整流子セグメント)とを備える。この整流子は、セグメント成形板を円筒体に形成し、その内周側に液体状態の樹脂を流し込み、樹脂が硬化後、円筒体を等角度間隔に分割することによって形成され、その分割された一つを整流子片とし、硬化した樹脂を絶縁体としている。
【0003】
このセグメント成形板は、平板状の板材の表面に複数の溝(条溝)が形成され、その溝に面して直線状に延びる凸部(立上げ部)には外側(溝側)に向かって突出する突出部(膨突部)が形成されている。この突出部は、垂直に立設された凸部上面に、該凸部の長手方向に延びるV字溝を形成し、その凸部を上方から加圧して該凸部の外縁を外側(溝側)に向かって倒す(押し下げる)ことにより形成されている。
【0004】
突出部は、セグメント成形板が円筒体とされるとき、その内周側に配置され、硬化した樹脂と係合するため、分割後に整流子片が絶縁体から剥落するのを防ぐ。
【0005】
他の整流子を構成するセグメント成形板としては、図16に示すように、凸部51の外縁を上方から断続的に加圧してその個所を潰すことにより溝52側に向かって突出する突出部53を形成したものがある。この突出部53も、前記突出部(膨突部)と同様に、セグメント成形板が円筒体とされるとき、その内周側に配置され、流し込まれた樹脂が硬化すると、該樹脂と係合するため、円筒体が(2点鎖線で示す位置で)分割されても整流子片54が絶縁体から剥落するのを防ぐ。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実開昭61−202163号公報に開示された整流子では、凸部に長手方向に延びるV字溝を形成する際、V字溝の位置が凸部の外縁から若干遠いと該外縁が倒れず突出部が形成されない等の問題が生じるため、V字溝の成形時に高精度な位置決めを必要としてしまう。
【0007】
又、図16に示す整流子形成板材では、突出部53を一度に形成する作業に複雑な金型を必要としてしまう。さらに、図16に示す突出部53は、凸部51の所定箇所を潰すことにより形成されるため、凸部51に対して大幅に低く(溝52の底に近く)なってしまう。そして、突出部53が低くなると、突出部53と溝52との間に挟まれる絶縁体が破損し易くなり整流子片が剥れや易くなるため、突出部53の位置を高くするために凸部51の高さを高くする必要が生じる。このことは、材料費を増加させる原因となる。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、整流子片の絶縁体からの剥離を防止する突出部を、凸部の高さに対して大幅に低くすることなく、容易に形成することができる整流子、その整流子を備えたモータ及び整流子の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、略円筒形状の絶縁体と、前記絶縁体内に配設される凸部、及びその凸設方向と略直角方向に突出し前記絶縁体と径方向に係合する突出部を有し、前記絶縁体の外周側に配設される複数の整流子片とを、備える整流子において、前記凸部には、該凸部を分割するように凸部の一端側の辺から他端側の辺まで延びるとともに該凸部の2つの辺に対してそれぞれ傾斜する複数の溝が、互いに交差することなくジグザグ形状に形成され、前記突出部は、前記溝の形成時に突出形成されてなることを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の整流子において、前記凸部を、前記整流子片の周方向の両端部の近傍に、前記絶縁体の軸線方向に延びるようにそれぞれ形成したことを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の整流子において、前記凸部の前記整流子片端部側の端部に、該凸部の周方向幅を頂部に向かって縮小する傾斜面を形成したことを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、略円筒形状の絶縁体と、前記絶縁体内に配設される凸部、及びその凸設方向と略直角方向に突出し前記絶縁体と径方向に係合する突出部を有し、前記絶縁体の外周側に配設される複数の整流子片とを、備える整流子において、前記凸部には、該凸部を分割するように凸部の一端側の辺から他端側の辺まで延びるとともに該凸部の2つの辺に対してそれぞれ傾斜する複数の溝が、互いに交差することなく、前記凸部の一端側の辺に対して前記絶縁体の軸線方向の同じ側である一端側へ傾斜するように形成され、前記突出部は、前記溝の形成時に突出形成されてなることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項に記載の整流子において、前記凸部を、前記整流子片の周方向の両端部の近傍に、前記絶縁体の軸線方向に延びるようにそれぞれ形成したことを要旨とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至のいずれか1項に記載の整流子において、前記溝を、V字溝としたことを要旨とする
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項1乃至のいずれか1項に記載の整流子を備えたモータを要旨とする。
請求項8に記載の発明は、平板状の板材に凸設された凸部に、その凸設方向と略直角方向に突出する突出部を形成し、その板材を円筒形状にし、その内周側に絶縁材料を充填し、前記絶縁材料の硬化後、前記円筒形状の板材を周方向に分割し、その分割された1つを整流子片とする整流子の製造方法において、前記突出部を形成する工程では、前記凸部に、該凸部を分割するように凸部の一端側の辺から他端側の辺まで延びるとともに該凸部の2つの辺に対してそれぞれ傾斜する複数の溝を、互いに交差することなくジグザグ形状に形成し、該溝を形成することにより前記凸部から前記突出部を突出させることを要旨とする。
請求項9に記載の発明は、平板状の板材に凸設された凸部に、その凸設方向と略直角方向に突出する突出部を形成し、その板材を円筒形状にし、その内周側に絶縁材料を充填し、前記絶縁材料の硬化後、前記円筒形状の板材を周方向に分割し、その分割された1つを整流子片とする整流子の製造方法において、前記突出部を形成する工程は、前記凸部に、該凸部を分割するように凸部の一端側の辺から他端側の辺まで延びるとともに該凸部の2つの辺に対してそれぞれ傾斜する複数の溝を、互いに交差することなく、前記凸部の一端側の辺に対して前記絶縁体の軸線方向の同じ側である一端側へ傾斜するように形成し、該溝を形成することにより前記凸部から前記突出部を突出させことを要旨とする。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項8又は9に記載の整流子の製造方法において、前記溝を、プレス又はローラーで形成することを要旨とする。
請求項11に記載の発明は、請求項8乃至10のいずれか1項に記載の整流子の製造方法において、前記溝を形成する工程は、複数方向に傾斜する溝を一方向毎に順次形成することを要旨とする。
【0015】
(作用)
請求項1,4に記載の発明によれば、整流子片には、自身に形成される凸部の溝の形成時に該凸部からその凸設方向と略直角方向に突出されてなり、略円筒形状の絶縁体と径方向に係合する突出部が形成される。このように溝にて分けられる凸部の鋭角な部分は、体積が小さく容易に変形されるため、小さな加圧力で凸部の上部から突出する突出部を形成することができる。又、溝を凸部の辺に対して傾斜して形成すれば突出部が形成されるため、その溝を形成する際の位置決めを高精度に行わなくてもよい。
【0016】
また、溝は、凸部を分割するように凸部の一端側の辺から他端側の辺まで延びるとともに該凸部の2つの辺に対してそれぞれ傾斜して形成されるため、1つの溝により凸部の一端部側と他端部側とに突出部が形成される。
【0018】
請求項2,5に記載の発明によれば、前記凸部は、前記整流子片の周方向の両端部の近傍にそれぞれ形成されるため、整流子片の周方向の両端部側で絶縁体と強固に係合される。
【0019】
請求項に記載の発明によれば、請求項に記載の発明の効果に加えて、周方向に隣り合う整流子片の隣接する凸部同士が接触し難くなり、整流子片同士の絶縁を確保することができる。
請求項6に記載の発明によれば、溝はV字溝であるため、凸部の上方ほど大きく変形されて突出部が形成される。
【0020】
請求項に記載の発明によれば、整流子を容易に形成することができるため、モータのコストが低減される。
請求項8,9に記載の発明によれば、平板状の板材に凸設された凸部の溝を形成することにより該凸部の凸設方向と略直角方向に突出する突出部が形成される。そして、その板材が円筒形状とされ、その内周側に絶縁材料が充填され、前記絶縁材料の硬化後、前記円筒形状の板材が周方向に分割され、その分割された1つが整流子片とされて整流子が製造される。このように溝にて分けられる凸部の鋭角な部分は、体積が小さく容易に変形されるため、小さな加圧力で凸部から突出する突出部を形成することができる。
また、溝は、凸部を分割するように凸部の一端側の辺から他端側の辺まで延びるとともに該凸部の2つの辺に対してそれぞれ傾斜して形成されるため、1つの溝により凸部の一端部側と他端部側とに突出部が形成される。
【0021】
請求項10に記載の発明によれば、溝は、プレス又はローラーで形成されるため、容易に短時間で形成される。
請求項11に記載の発明によれば、複数方向に傾斜する溝は一方向毎に順次形成される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図11に従って説明する。
図1は、モータの要部断面図である。モータのモータハウジング1には、回転軸2が回転可能に支持され、その回転軸2には整流子3及び電機子4が固定されている。モータハウジング1には、電機子4と対向するようにマグネット5が固定され、整流子3と押圧接触される給電用ブラシ6が保持されている。
【0023】
図2は、整流子3の一部分を切り欠いた斜視図である。整流子3は、樹脂からなる略円筒形状の絶縁体7と、その絶縁体7の外周に配設される複数の整流子片8とを備える。尚、本実施の形態の整流子片8は、絶縁体7の外周に等角度間隔に8個(図2中、7個のみ図示する)配設されている。
【0024】
整流子片8は、図3に示すように、略円筒形状を所定角度で一部分切り取った形状に形成され、絶縁体7に固定される側の面(以下、内周面という)8aには、絶縁体7に埋設される複数の凸部9が凸設されている。又、整流子片8には、図2に示すように、軸線方向の一端から径方向外側に折り返された整流子ライザ8bが形成されている。
【0025】
凸部9は、整流子片8の周方向の両端部の近傍にそれぞれ形成されている。凸部9は、整流子片8の軸線方向の一端から他端まで、軸線方向に延びるように形成されている。
【0026】
凸部9の頂面には、図4(a),(b)に示すように、該凸部9の辺に対して傾斜した溝10a,10bが形成されている。尚、ここで記載する凸部9の辺とは、溝10a,10bが形成される前の状態の凸部9の頂面が形成する4角形の辺のことである。又、ここで記載する傾斜とは、直角(90°)を含まない。又、本実施の形態では、説明の便宜上、溝10a,10bが形成される前の状態も、溝10a,10bが形成された後と同様に凸部9と記載する。
【0027】
溝10a,10bは、V字溝であり、直線状に延びて複数形成されている。溝10a,10bは、凸部9を分割するように凸部9の短手方向一端側から同他端側まで形成され、凸部9の2つの辺に対してそれぞれ傾斜して形成されている。
【0028】
又、溝10a,10bは、交差するように形成されている。詳述すると、溝10a,10bは、凸部9の頂面において、凸部9の短手方向一端側(図4(a)中、左側)の辺に対して軸線方向一端側(図4中、上側)斜め方向に60°傾斜した溝10aと、同辺に対して軸線方向他端側(図4中、下側)斜め方向に60°傾斜した溝10bとからなる。そして、溝10aと溝10bとは、凸部9の短手方向の中央で交差するクロス形状に形成され、そのクロス形状が凸部9の長手方向に連続して複数形成されている。即ち、溝10a,10bは、網目形状に形成されている。
【0029】
凸部9には、上記溝10a,10bの形成時に、凸部9の凸設方向と略直角方向(凸部9の短手方向)に突出する突出部11a,11bが形成されている。
詳述すると、溝10a,10bにて分けられる凸部9の鋭角な部分は、体積が小さく容易に変形されるため、凸部9の短手方向の外側に移動されて突出し、突出部11a,11bとされている。1つの溝10a(10b)は、凸部9の短手方向一端側から同他端側まで形成され、凸部9の2つの辺に対してそれぞれ傾斜しているため、突出部11a(11b)は、1つの溝10a(10b)により凸部9の短手方向両端側にそれぞれ形成されている。又、溝10a,10bは、交差され、その溝10a,10bの間隔や凸部9の短手方向の長さ等が所定値に設定されているため、突出部11aと突出部11bがつながり、該溝10a,10bと辺に囲まれる略3角形の一辺部分が突出された突出部11a,11bとなる。
【0030】
次に、上記のように構成された整流子3の製造方法を図5〜図11に従って説明する。
まず、図5に示すように、一平面上に複数の凸部9を有する導電性の板材12を用意する。尚、この板材12の平面は、整流子3の外周面より大きく設定されている。又、凸部9の間隔は、整流子片8と対応した所定の位置に設定されている。
【0031】
次に、図6及び図7(a),(b)に示すように、プレスにより溝10a及び突出部11aを形成する。詳述すると、プレスは、金型13を備える。金型13は、複数のプレス凸部13aを備え、そのプレス凸部13aは、溝10aを形成すべく凸部9の辺に対して傾斜し、その先端に向かうほど幅が狭くなっている。そして、金型13を凸部9の上方から下降させ加圧する。すると、図7(a),(b)に示すように、溝10aが形成されるとともに、溝10aにて分けられる凸部9の鋭角な部分が、凸部9の短手方向の外側に移動されて突出し、突出部11aが形成される。
【0032】
次に、図8及び図9(a),(b)に示すように、プレスにより溝10b及び突出部11bを形成する。詳述すると、プレスは、金型14を備える。金型14は、複数のプレス凸部14aを備え、そのプレス凸部14aは、溝10bを形成すべく凸部9の辺に対して(プレス凸部13aと反対側に)傾斜し、その先端に向かうほど幅が狭くなっている。そして、金型14を凸部9の上方から下降させ加圧する。すると、図9(a),(b)に示すように、溝10bが形成されるとともに、溝10bにて分けられる凸部9の鋭角な部分が、凸部9の短手方向の外側に移動されて突出し、突出部11bが形成される。このとき、溝10a,10bは、交差され、その溝10a,10bの間隔や凸部9の短手方向の長さ等が所定値に設定されているため、突出部11aと突出部11bがつながり、該溝10a,10bと辺に囲まれる略3角形の一辺部分が突出された突出部11a,11bとなる。尚、本実施の形態では、説明の便宜上、この状態、即ち溝10a,10b及び突出部11a,11bが形成された状態の板材12も、形成前と同様に板材12として記載する。
【0033】
次に、図10に示すように、板材12を打ち抜き、その各長さを所定の長さとするとともに、ライザ用延出部15を形成する。詳述すると、打ち抜きにより、板材12を凸部9短手方向に所定の長さとする。尚、この所定の長さとは、整流子3の外周の長さである。又、このとき、板材12を凸部9の長手方向に所定の長さとするとともに、その一端側にライザ用延出部15を等角度間隔に8個形成する。尚、この所定の長さとは、整流子3の軸線方向の長さである。
【0034】
次に、図11に示すように、板材12を、凸部9が内周側に配置されるように丸めて円筒形状にする。尚、本実施の形態では、説明の便宜上、この状態、即ち円筒形状とされた状態の板材12も、平板状の状態と同様に板材12として記載する。
【0035】
次に、図示しない型に円筒形状の板材12を配置し、円筒形状の板材12の内周側に絶縁材料としての液体状の樹脂を充填する。
次に、その樹脂の硬化後、ライザ用延出部15を径方向外側に折り曲げ、整流子ライザ(図2参照)8bを形成する。
【0036】
次に、図2に示すように、円筒形状の板材12を等角度間隔に8分割することにより整流子片8を形成する。詳述すると、硬化した樹脂を含む円筒形状の板材12の外周側から板材12を貫通し樹脂まで達するように、切削加工により分割溝16を軸線方向一端部から他端部まで形成する。すると、整流子片8及び絶縁体7が形成される。これにより整流子3の製造が完了する。
【0037】
次に、上記実施の形態の特徴的な効果を以下に記載する。
(1)突出部11a,11bは、凸部9の辺に対して傾斜した溝10a,10bが形成されることにより該凸部9からその凸設方向と略直角方向に突出形成されてなる。このように溝10a,10bにて分けられる凸部9の鋭角な部分は、体積が小さく容易に変形されるため、凸部9の上部から大きく突出する突出部11a,11bを小さな加圧力で形成することができる。これにより、整流子片8の絶縁体7からの剥離を防止する突出部11a,11bを小型のプレスで形成することができる。しかも、従来技術(図16参照)の突出部53を形成するときのように複雑な金型を必要としない。
【0038】
(2)溝10a,10bを凸部9の辺に対して傾斜して形成すれば突出部11a,11bが形成されるため、その溝10a,10bを形成する際の位置決めを従来技術(実開昭61−202163)等と比べて高精度に行わなくてもよい。
【0039】
(3)突出部11a,11bは、凸部9の上部で突出形成されてなるため、従来技術(図16参照)のように、凸部9を高く形成しなくても突出部11a,11bが絶縁体7から剥離し難くなる。これにより、整流子片8の絶縁体7からの剥離を防止できる突出部11a,11bを低い材料費で形成することができる。
【0040】
(4)溝10a,10bは、V字形状に形成されている。これにより、凸部9の上方ほど大きく変形し、大きく突出した突出部11a,11bが形成される。(5)1つの溝10a(10b)は、凸部9を分割するように凸部9の短手方向一端側から同他端側まで形成され、凸部9の2つの辺に対してそれぞれ傾斜して形成されるため、1つの溝10a(10b)により凸部9の一端部側と他端部側とにそれぞれ突出部11a(11b)が形成される。
【0041】
(6)凸部9は、整流子片8の周方向の両端部から離れて軸線方向に延びるように形成されているため、円筒形状の板材12を等角度間隔に8分割する工程、即ち切削加工により分割溝16を形成する工程で切削する板材12の厚さが薄くなる。これにより、該分割溝16を容易に短時間で形成することができる。
【0042】
(7)凸部9は、整流子片8の周方向の両端部の近傍にそれぞれ形成されているため、整流子片8の周方向の両端部側で該凸部9が絶縁体7に係合し、整流子片8が絶縁体7に強固に固定される。しかも、両凸部9間で抱え込む絶縁体(樹脂)の量が多くなり(抱え込む絶縁体の周方向の幅が広くなり)、抱え込まれた絶縁体が整流子片8と共に絶縁体7全体から分離し難くなる。これにより、整流子片8の絶縁体7からの剥離がさらに防止される。
【0043】
(8)溝10a,10bをプレスで形成するため、容易に短時間で溝10a,10bが形成される。
(9)2方向に傾斜した溝10a,10bを一方向毎に形成するため、該溝10a,10bを形成するための金型13,14の複数のプレス凸部13a,14aをそれぞれ一方向に傾斜したものとすることができる。これにより、金型13,14をそれぞれ容易に製造することができる。
【0044】
(10)2方向に傾斜した溝10a,10bを一方向毎に形成するため、各溝10a,10bが形成される際に移動する部分が移動する場所(逃げ場)を塞がれない。よって、溝10a,10bの成形作業は更に小さな加圧力しか必要としない。
【0045】
上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記実施の形態の溝10a,10bは、凸部9の少なくとも1つの辺に対して傾斜し、その形成時に凸部9からその凸設方向と略直角方向に突出形成されてなる突出部が形成されれば、他の形状に変更してもよいし、いくつ形成してもよい。
【0046】
・上記実施の形態の溝10a,10bは、図12に示す溝21a,21bに変更してもよい。詳述すると、溝21a,21bは、凸部22の頂面において、凸部22の短手方向一端側(図12(a)中、左側)の辺に対して軸線方向一端側(図12中、上側)斜め方向に60°傾斜した溝21aと、同辺に対して軸線方向他端側(図12中、下側)斜め方向に60°傾斜した溝21bとからなる。そして、溝21aと、溝21bとは、凸部22の長手方向に交互に連続して形成されている。即ち、溝21a,21bは、ジグザグ形状に形成されている。
【0047】
そして、この溝21a,21bにて分けられる凸部22の鋭角な部分は、体積が小さく容易に変形されるため、凸部22の短手方向の外側に移動されて突出し、突出部23a,23bとされている。このようにしても上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
・上記実施の形態の溝10a,10bは、図13に示す溝26a,26bに変更してもよい。詳述すると、溝26a,26bは、凸部27の頂面において、凸部27の短手方向一端側(図13(a)中、左側)の辺に対して軸線方向一端側(図13中、上側)斜め方向に60°傾斜した溝26aと、同辺に対して軸線方向他端側(図13中、下側)斜め方向に60°傾斜した溝26bとからなる。そして、溝26aと、溝26bとは、凸部27の短手方向の中央で交差するクロス形状に形成され、そのクロス形状が凸部27の長手方向に離間して複数形成されている。即ち、溝26a,26bは、独立した複数のクロス形状に形成されている。
【0049】
そして、この溝26a,26bにて分けられる凸部27の鋭角な部分は、体積が小さく容易に変形されるため、凸部27の短手方向の外側に移動されて突出し、突出部28a,28bとされている。このようにしても上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
・上記実施の形態の溝10a,10bは、図14に示す溝31a,31bに変更してもよい。詳述すると、溝31a,31bは、凸部32の頂面において、凸部32の短手方向一端側(図14(a)中、左側)の辺に対して軸線方向一端側(図14中、上側)斜め方向に75°傾斜した溝31aと、同辺に対して軸線方向他端側(図14中、下側)斜め方向に75°傾斜した溝31bとからなる。そして、溝31aと、溝31bとは、凸部32の長手方向に交互に形成されている。又、溝31aと、溝31bとは、凸部32の短手方向一端側(図14(a)中、左側)で長手方向に離れて形成され、凸部32の短手方向他端側(図14(a)中、右側)で長手方向に連続して形成されている。
【0051】
そして、この溝31a,31bにて分けられる凸部32の鋭角な部分は、体積が小さく容易に変形されるため、凸部32の短手方向の外側に移動されて突出し、突出部33a,33bとされている。このようにしても上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
・上記実施の形態の溝10a,10bは、図15に示す溝36a,36bに変更してもよい。詳述すると、溝36a,36bは、凸部37の頂面における短手方向の辺に対して傾斜した曲線状に複数形成されている。
【0053】
そして、この溝36a,36bにて分けられる凸部37の鋭角な部分は、体積が小さく容易に変形されるため、凸部37の短手方向の外側に移動されて突出し、突出部38a,38bとされている。このようにしても上記実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。又、溝を曲線状にすると、直線状の溝では得られない形状の突出部を形成することが可能となる。
【0054】
・上記実施の形態の溝10a,10bは、図7(a),(b)に示す溝10aのみに変更してもよい。即ち、上記実施の形態に比べて溝10bを形成せず、溝10aにより突出される部分のみを突出部11aとする。このようにしても上記実施の形態の効果(1)〜(8)と同様の効果を得ることができる。
【0055】
・上記実施の形態では、溝10a,10bは、底に向かうほどその幅が狭くなるV字形状に形成されているとしたが、溝を形成することにより突出部が形成されれば、深さ方向に他の形状、例えば、コ字形状等としてもよい。このようにしても上記実施の形態の効果(1)〜(3)、(5)〜(10)と同様の効果を得ることができる。
【0056】
・上記実施の形態では、溝10a,10bは、凸部9を分割するように短手方向一端側から同他端側まで形成され、凸部9の2つの辺に対してそれぞれ傾斜して形成されるとしたが、凸部の少なくとも1つの辺に対して傾斜していれば、凸部の一端から凸部の中間までしか形成しなくてもよい。このようにしても、溝にて分けられる凸部の鋭角な部分が突出し突出部を形成する。
【0057】
・上記実施の形態では、凸部9を、整流子片8の周方向の両端部から離れた位置で軸線方向に延びるように形成したが、板材の状態で整流子の周方向に一端部から他端部まで延びるように形成してもよい。このようにしても、上記実施の形態の効果(1)〜(5),(8)〜(10)と同様の効果を得ることができる。
【0058】
・上記実施の形態では、凸部9を、整流子片8の周方向の両端部の近傍にそれぞれ形成したが、凸部9を整流子片8の周方向の中央に1つ軸線方向に延びるように形成してもよい。このようにしても、上記実施の形態の効果(1)〜(6),(8)〜(10)と同様の効果を得ることができる。又、凸部9は、いくつ設けてもよい。更に、凸部9の形状は、その頂面に辺(直線の線分)を有すれば、他の形状、例えば頂面が正四角形等に変更してもよい。
【0059】
・上記実施の形態では、溝10a,10bをプレスで形成したが、凸部9の上方から加圧して形成する方法であれば、他の方法、例えばローラーを用いた方法で行ってもよい。ローラーを用いても、容易に短時間で溝10a,10bが形成される。
【0060】
・上記実施の形態では、2方向に傾斜した溝10a,10bを2つの金型13,14を用いて一方向毎に形成したが、一つの金型で同時に形成してもよい。このようにしても上記実施の形態の効果(1)〜(8)と同様の効果を得ることができる。また、このようにすると、金型の数が少なくなる。
【0061】
・上記実施の形態の凸部9を、図17及び図18に示す凸部61に変更してもよい。詳述すると、凸部61において、整流子片62の端部62a側の端部には、該凸部61の周方向幅を頂部に向かって縮小する傾斜面61aが形成されている。傾斜面61aは、各整流子片62の各凸部61にそれぞれ形成されている。そして、凸部61の頂面には、上記溝21a,21b(図12参照)と同様の溝63a,63bが形成され、この溝63a,63bの形成時に凸部61の凸設方向と略直角方向に突出する突出部64a,64bが形成されている。この凸部61は、絶縁体65に埋設され、その突出部64a,64bが整流子片62の絶縁体65からの剥離を防止する。
【0062】
上記のように構成された整流子66の製造方法を図19及び図20に従って説明する。まず、図19に示すように、圧延加工により一平面上に複数の凸部67を有する導電性の板材68を成形する。凸部67は、板材68が円筒形状に丸められた際、図17に示す整流子66の凸部61の位置に配置されるべく所定の位置に配置されている。そして、各凸部67には、それぞれ近接する凸部67側端部に傾斜面67aが形成されている。傾斜面67aは、凸部67の短手方向幅を頂部に向かって縮小するように傾斜している。
【0063】
次に、上記実施の形態と同様のプレス(金型13,14、図6及び図8参照)により、溝63a,63bと共に、突出部64a,64b(図18参照)を形成する。次に、図20に示すように、板材68を打ち抜き、その各長さを所定の長さとするとともに、ライザ用延出部69を形成する。次に、その板材68を凸部67が内周側に配置されるように丸めて円筒形状とし、該内周側に絶縁材料としての液体状の樹脂を充填する。樹脂の硬化後、円筒形状の板材68の外周側から板材68を貫通し樹脂まで達する分割溝70(図17参照)を軸線方向一端部から他端部まで形成し、整流子片62及び絶縁体65を形成する。
【0064】
このようにしても上記実施の形態の効果と同様の効果を得ることができる。しかも、図17の部分拡大図(2点鎖線円内)に示すように、傾斜面61aを有さない凸部71(図中、一点鎖線で示す)とした場合では、周方向に隣り合う整流子片の隣接する凸部71同士が接触する虞があり、凸部71同士を近接して配置できないが、凸部61には傾斜面61aを形成したため、周方向に隣り合う整流子片62の隣接する凸部61同士が接触し難くなり、整流子片62同士の絶縁を確保することができる。しかも、圧延加工により傾斜面67aを有さない隣接する凸部の短手方向の幅を小さく成形することは困難(圧延加工に用いるロールに形成する溝の成形や、該溝により隣接する凸部を成形することが困難)であるが、隣接する凸部67に傾斜面67aを形成するため、隣接する両凸部67の間隔を大きくすることなく、その圧延加工が容易になる。よって、整流子片62の周方向の両端部近傍に凸部61を容易に形成することができ、整流子片62を絶縁体65に強固に固定することができる。
【0065】
・上記傾斜面61aは、各整流子片62の各凸部61にそれぞれ形成されているとしたが、傾斜面61aを各整流子片62の一周方向側(例えば、時計回り方向側)の凸部61にのみ形成するようにしてもよい。このようにしても、周方向に隣り合う整流子片の隣接する凸部同士の一方に傾斜面が形成されることとなり、周方向に隣り合う整流子片の隣接する凸部同士が接触し難くなり、整流子片同士の絶縁を確保することができる。
【0066】
上記実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)前記溝を複数形成した。このようにすると、複数の溝により複数の突出部が形成される。
【0067】
(ロ)前記溝を、曲線状に形成した。このようにすると、直線状の溝では得られない形状の突出部を形成することが可能となる。
【0068】
(ハ)前記傾斜面を、前記各整流子片の一周方向側の凸部に形成した。このようにすると、傾斜面は各整流子片の一周方向側の凸部に形成されるため、周方向に隣り合う整流子片の隣接する凸部同士の一方には傾斜面が形成される。よって、該凸部同士が接触し難くなり、整流子片同士の絶縁を確保することができる。
【0069】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜に記載の発明によれば、整流子片の絶縁体からの剥離を防止する突出部を、凸部の高さに対して大幅に低くすることなく、容易に形成することができる整流子を提供することができる。
【0070】
請求項に記載の発明によれば、整流子片の絶縁体からの剥離を防止する突出部を、凸部の高さに対して大幅に低くすることなく、容易に形成することができる整流子を備えたモータを提供することができる。
【0071】
請求項〜11に記載の発明によれば、整流子片の絶縁体からの剥離を防止する突出部を、凸部の高さに対して大幅に低くすることなく、容易に形成することができる整流子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のモータの要部断面図。
【図2】本実施の形態の整流子の一部分を切り欠いた斜視図。
【図3】本実施の形態の整流子片を示す斜視図。
【図4】(a)本実施の形態の整流子片を説明するための説明図。(b)(a)のA−A断面図。
【図5】本実施の形態の整流子の製造方法を説明するための説明図。
【図6】本実施の形態の整流子の製造方法を説明するための説明図。
【図7】(a)本実施の形態の整流子の製造方法を説明するための説明図。(b)(a)のB−B断面図。
【図8】本実施の形態の整流子の製造方法を説明するための説明図。
【図9】(a)本実施の形態の整流子の製造方法を説明するための説明図。(b)(a)のC−C断面図。
【図10】本実施の形態の整流子の製造方法を説明するための説明図。
【図11】本実施の形態の整流子の製造方法を説明するための説明図。
【図12】(a)別例の整流子片を説明するための説明図。(b)(a)のD−D断面図。
【図13】(a)別例の整流子片を説明するための説明図。(b)(a)のE−E断面図。
【図14】(a)別例の整流子片を説明するための説明図。(b)(a)のF−F断面図。
【図15】(a)別例の整流子片を説明するための説明図。(b)(a)のG−G断面図。
【図16】従来技術の整流子片を説明するための説明図。
【図17】別例の整流子を説明するための断面図。
【図18】(a)別例の整流子片を説明するための説明図。(b)(a)のH−H断面図。
【図19】本実施の形態の整流子の製造方法を説明するための説明図。
【図20】本実施の形態の整流子の製造方法を説明するための説明図。
【符号の説明】
7…絶縁体、8,62…整流子片、9,22,27,32,37,61…凸部、12,68…板材、10a,10b,21a,21b,26a,26b,31a,31b,36a,36b,63a,63b…溝、11a,11b,23a,23b,28a,28b,33a,33b,38a,38b,64a,64b…突出部、61a…傾斜面、62a…整流子片の周方向の端部。

Claims (11)

  1. 略円筒形状の絶縁体(7)と、
    前記絶縁体内に配設される凸部(2,3,61)、及びその凸設方向と略直角方向に突出し前記絶縁体と径方向に係合する突出部(23a,23b,33a,33b,64a,64b)を有し、前記絶縁体の外周側に配設される複数の整流子片(8,62)と
    を、備える整流子において、
    前記凸部には、該凸部を分割するように凸部の一端側の辺から他端側の辺まで延びるとともに該凸部の2つの辺に対してそれぞれ傾斜する複数の溝(21a,21b,31a,31b,63a,63b)が、互いに交差することなくジグザグ形状に形成され、
    前記突出部は、前記溝の形成時に突出形成されてなることを特徴とする整流子。
  2. 請求項1に記載の整流子において、
    前記凸部を、前記整流子片の周方向の両端部の近傍に、前記絶縁体の軸線方向に延びるようにそれぞれ形成したことを特徴とする整流子。
  3. 請求項2に記載の整流子において、
    前記凸部(61)の前記整流子片(62)端部(62a)側の端部に、該凸部の周方向幅を頂部に向かって縮小する傾斜面(61a)を形成したことを特徴とする整流子。
  4. 略円筒形状の絶縁体(7)と、
    前記絶縁体内に配設される凸部(9)、及びその凸設方向と略直角方向に突出し前記絶縁体と径方向に係合する突出部(11a)を有し、前記絶縁体の外周側に配設される複数の整流子片(8)と
    を、備える整流子において、
    前記凸部には、該凸部を分割するように凸部の一端側の辺から他端側の辺まで延びるとともに該凸部の2つの辺に対してそれぞれ傾斜する複数の溝(10a)が、互いに交差することなく、前記凸部の一端側の辺に対して前記絶縁体(7)の軸線方向の同じ側である一端側へ傾斜するように形成され、
    前記突出部は、前記溝の形成時に突出形成されてなることを特徴とする整流子。
  5. 請求項に記載の整流子において、
    前記凸部を、前記整流子片の周方向の両端部の近傍に、前記絶縁体の軸線方向に延びるようにそれぞれ形成したことを特徴とする整流子。
  6. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の整流子において、
    前記溝を、V字溝としたことを特徴とする整流子。
  7. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の整流子を備えたモータ
  8. 平板状の板材(12,68)に凸設された凸部(22,32,61)に、その凸設方向と略直角方向に突出する突出部(23a,23b,33a,33b,64a,64b)を形成し、その板材を円筒形状にし、その内周側に絶縁材料を充填し、前記絶縁材料の硬化後、前記円筒形状の板材を周方向に分割し、その分割された1つを整流子片(8,62)とする整流子の製造方法において、
    前記突出部を形成する工程では、
    前記凸部に、該凸部を分割するように凸部の一端側の辺から他端側の辺まで延びるとともに該凸部の2つの辺に対してそれぞれ傾斜する複数の溝(21a,21b,31a,31b,63a,63b)を、互いに交差することなくジグザグ形状に形成し、該溝を形成することにより前記凸部から前記突出部を突出させることを特徴とする整流子の製造方法
  9. 平板状の板材(12)に凸設された凸部(9)に、その凸設方向と略直角方向に突出する突出部(11a)を形成し、その板材を円筒形状にし、その内周側に絶縁材料を充填し、前記絶縁材料の硬化後、前記円筒形状の板材を周方向に分割し、その分割された1つを整流子片(8)とする整流子の製造方法において、
    前記突出部を形成する工程は、
    前記凸部に、該凸部を分割するように凸部の一端側の辺から他端側の辺まで延びるとともに該凸部の2つの辺に対してそれぞれ傾斜する複数の溝(10a)を、互いに交差する ことなく、前記凸部の一端側の辺に対して前記絶縁体(7)の軸線方向の同じ側である一端側へ傾斜するように形成し、該溝を形成することにより前記凸部から前記突出部を突出させことを特徴とする整流子の製造方法。
  10. 請求項8又は9に記載の整流子の製造方法において、
    前記溝を、
    プレス又はローラーで形成することを特徴とする整流子の製造方法。
  11. 請求項8乃至10のいずれか1項に記載の整流子の製造方法において、
    前記溝を形成する工程は、
    複数方向に傾斜する溝を一方向毎に順次形成することを特徴とする整流子の製造方法。
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