JP3672278B2 - 結像レンズ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は5枚玉による結像レンズに関し、特にTV電話用、ドアホーン用、監視用等のビデオカメラやスチルビデオカメラ等の撮影レンズとして好適な5枚玉による結像レンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
近年、各種ビデオカメラやスチルビデオカメラの結像面に固体撮像素子を配するものが多い。この固体撮像素子は技術の進歩により年々小型化しており、それに伴ない撮像レンズには小型で広画角なものが用いられている。
【0003】
一方、上記各種のビデオカメラやスチルビデオカメラ等においては、撮影レンズと固体撮像素子との間に、モアレ防止用のローパスフィルタ、固体撮像素子の分光感度を補正するための赤外光遮断フィルタあるいは撮像面保護のためのカバーガラス等を配設することも多く、このような場合にはこのスペースを確保するため撮影レンズのバックフォーカスをある程度大きくする必要がある。
【0004】
また、特開平5-264895号公報には、4枚玉による結像レンズが、米国特許第4525038号公報には、5枚玉による結像レンズがそれぞれ開示されている。しかし、前者は画角が90度と小さく、後者はFnoが4.0以上と非常に暗いものとなっている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、画角が150度以上と超広角でFnoも1.8以下と明るく、小型でバックフォーカスを十分に長くとれる、解像力のある5枚玉による結像レンズを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の5枚玉による結像レンズは、物体側から、負の第1レンズ、負の第2レンズ、正の第3レンズ、正の第4レンズ、負の第5レンズをこの順に配置するとともに、下記条件式を満足するように構成されてなることを特徴とするものである。
【0007】
3.4≦(d4+d5)/f≦7.5
ただし、
d4 :第2レンズと第3レンズとの間隔
d5 :第3レンズのレンズ厚
f :全系の合成焦点距離
【0008】
また、上記結像レンズにおいて、絞りが前記第4レンズの物体側の面よりも像側に配されるように構成するのが好ましい。
【0009】
また、上記結像レンズにおいて、上記第5レンズのアッベ数をν5とするとき、
ν5<40
なる条件式を満足することが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
ここで、図1は実施例1のレンズ基本構成を示すものである。図1に示すように、これらの実施例に係る結像レンズは、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4および第5レンズL5の5枚のレンズを物体側からこの順に配列し、かつ絞りiを第5レンズL5とローパスフィルタ1との間に配設してなるもので、物体側から光軸Xに沿って入射した光束は固体撮像素子の受光面2の結像位置Pに結像される。
【0011】
ここで第1〜5レンズL1、L2、L3、L4、L5は物体側から順に負、負、正、正、負の屈折力を有している。また、これらのレンズは以下の条件式を満足する。
3.4≦(d4+d5)/f≦7.5
ただし、
d4 :第2レンズと第3レンズとの間隔
d5 :第3レンズのレンズ厚
f :全系の合成焦点距離
【0012】
本実施形態のレンズ構成によれば、図1に示す如く、レトロフォーカス型とされており、これによりバックフォーカスを長くとることができるとともに半画角ωを80度程度と広画角なものとすることもできる。
また、物体側の2枚のレンズL1、L2を凹レンズとすることで、球面収差および歪曲を良好にすることができる。
【0013】
また、上記条件式は、第2レンズと第3レンズの間隔d4と第3レンズのレンズ厚d5の和を、全系の合成焦点距離fで割った値の範囲を規定するもので、この条件を満足することにより、球面収差、歪曲、コマ収差がよく補正され、さらに、バックフォーカスが長くとれ、画角を大きくすることができ、十分な性能が得られる。すなわち、上記(d4+d5)/fがこの上限を上回ると、最も物体側の凹レンズL1の径は大きくなり、かつレンズ系全体も長くなり、小型化が難しくなる。一方、上記下限を下回ると、球面収差、コマ収差が良好に補正できなくなり、明るいレンズを得るのは困難になる。また、歪曲が小さくなりすぎて画角が十分に得られなくなり、バックフォーカスも短くなってしまう。
【0014】
また、本実施形態においては、絞り位置を第4レンズの物体側の面よりも後方に設定しており倍率の色収差を抑えることが可能である。さらに、第5レンズL5のアッベ数をν5としたとき、
ν5<40
を満足することにより主に軸上色収差を良好に補正することが可能となる。
【0015】
以下、実施例1〜6の各々について具体的数値を用いて説明する。
<実施例1>
この実施例1における各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔d(mm)、各レンズのe線における屈折率nおよび各レンズのアッベ数νを下記表1に示す。
ただし、この表1および後述する表2〜6において、各記号R,d,n,νに対応させた数字は物体側から順次増加するようになっている。
【0016】
【表1】
【0017】
なお、この実施例1においては、表1の下段に示されるように、レンズ系全体の焦点距離fが1.66mmであり、バックフォーカスが4.84mm、Fnoが1.8、半画角ωが80.1度である。また、(d4+d5)/fの値は5.00となっており、上記条件式を満足している。
【0018】
<実施例2>
この実施例2における各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔d(mm)、各レンズのe線における屈折率nおよび各レンズのアッベ数νを下記表2に示す。
【0019】
【表2】
【0020】
なお、この実施例2においては、表2の下段に示されているように、レンズ系全体の焦点距離fが1.67mm、バックフォーカスが4.85mm、Fno が1.8、半画角ωが78.7度である。また、(d4+d5)/fの値は6.41となっており、上記条件式を満足している。
【0021】
<実施例3>
この実施例3における各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔d(mm)、各レンズのe線における屈折率nおよび各レンズのアッベ数νを下記表3に示す。
【0022】
【表3】
【0023】
なお、この実施例3においては、表3の下段に示されるように、レンズ系全体の焦点距離fが1.67mm、バックフォーカスが4.96mm、Fno が1.8、半画角ωが82.3度である。また、(d4+d5)/fの値は4.13となっており、上記条件式を満足している。
【0024】
<実施例4>
この実施例4における各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔d(mm)、各レンズのe線における屈折率nおよび各レンズのアッベ数νを下記表4に示す。
【0025】
【表4】
【0026】
なお、この実施例4においては、表4の下段に示されるように、レンズ系全体の焦点距離fは1.66mm、バックフォーカスは4.85mm、Fno は1.8、半画角ωは79.0度である。また、(d4+d5)/fの値は6.39となっており、上記条件式を満足している。
【0027】
<実施例5>
この実施例5における各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔d(mm)、各レンズのe線における屈折率nおよび各レンズのアッベ数νを下記表5に示す。
【0028】
【表5】
【0029】
なお、この実施例5において、レンズ系全体の焦点距離fは1.68mm、バックフォーカスは4.85mm、Fno は1.8、半画角ωは78.8度である。また、(d4+d5)/fの値は6.37となっており、上記条件式を満足している。
【0030】
<実施例6>
この実施例6における各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔d(mm)、各レンズのe線における屈折率nおよび各レンズのアッベ数νを下記表6に示す。
【0031】
【表6】
【0032】
なお、この実施例6においては、表6の下段に示すように、レンズ系全体の焦点距離fが1.68mm、バックフォーカスが4.85mm、Fno が1.8、半画角ωが78.8度である。また、(d4+d5)/fの値は3.61となっており、上記条件式を満足している。
【0033】
次に、上記実施例1〜6の各収差(球面収差、非点収差、ディストーション)を各々図2、4、6、8、10、12に示し、また、実施例1〜6のコマ収差を各々図3、5、7、9、11、13に示す。なお、これらの収差図においてωは半画角を示す。図2〜13から明らかなように、本実施例によれば、各収差を良好なものとすることができる。
【0034】
なお、この結像レンズと固体撮像素子の受光面との間において、ローパスフィルタに代えて、あるいはローパスフィルタとともに赤外光遮光フィルタやカバーガラスを挿入することも可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の結像レンズによれば、簡単な5枚レンズ構成としつつ第2レンズの像側の面から第3レンズの像側の面までの距離を所定長以下とすることにより、バックフォーカスを長くとることができ、さらにFnoも1.8程度と明るく、半画角も80度程度と広い角度とすることができる、しかも解像力に優れ、かつ小型化を図ることが可能であるから、各種のビデオカメラやスチルビデオカメラの撮影レンズとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1に係るレンズ基本構成を示す概略図
【図2】実施例1に係るレンズの各収差図(球面収差、非点収差、ディストーション)
【図3】実施例1に係るレンズの収差図(コマ収差)
【図4】実施例2に係るレンズの各収差図(球面収差、非点収差、ディストーション)
【図5】実施例2に係るレンズの収差図(コマ収差)
【図6】実施例3に係るレンズの各収差図(球面収差、非点収差、ディストーション)
【図7】実施例3に係るレンズの収差図(コマ収差)
【図8】実施例4に係るレンズの各収差図(球面収差、非点収差、ディストーション)
【図9】実施例4に係るレンズの収差図(コマ収差)
【図10】実施例5に係るレンズの各収差図(球面収差、非点収差、ディストーション)
【図11】実施例5に係るレンズの収差図(コマ収差)
【図12】実施例6に係るレンズの各収差図(球面収差、非点収差、ディストーション)
【図13】実施例6に係るレンズの収差図(コマ収差)
【符号の説明】
L1 〜L5 レンズ
R1 〜R12 レンズ面の曲率半径
d1 〜d11 レンズ面間隔(レンズ厚)
X 光軸
P 結像位置
i 絞り
1 ローパスフィルタ
2 固体撮像素子の受光面
Claims (3)
- 物体側から、負の第1レンズ、負の第2レンズ、正の第3レンズ、正の第4レンズ、負の第5レンズをこの順で配置するとともに、下記条件式を満足するように構成されてなることを特徴とする5枚玉による結像レンズ。
3.4≦(d4+d5)/f≦7.5
ただし、
d4:第2レンズと第3レンズとの面間隔
d5:第3レンズのレンズ厚
f :全系の合成焦点距離 - 前記第4レンズの物体側の面よりも像側に絞りが配されていることを特徴とする請求項1記載の結像レンズ。
- 前記第5レンズのアッベ数をν5とするとき、
ν5<40
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1もしくは2記載の結像レンズ。
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