JP3670461B2 - 事故車修理費用見積システムおよびその記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピュータ・システムを利用して事故車の修理費用を見積もる事故車修理費用見積システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、事故車の修理費用見積においても、CD−ROMなどの記録媒体で供給される部品データベース等を活用したコンピュータ処理による修理費用見積システムが一般的に利用されている。このような事故車修理費用見積システムでは、これらのデータベースから得られる車両諸元ゲータ、部品データを活用して見積を行い、見積書を作成する。
【0003】
たとえば、左フロント部を対向車との衝突により損傷した事故車の修理費用を見積もる場合、見積者は目視により事故車の損傷部分、損傷の程度を判断する。事故車の左側フロント・フェンダー、フロント・バンパー、ラジエータ・グリル、ヘッド・ランプ等に損傷部分を見つけると、見積者は事故車見積システムに対して、各損傷部分(修理個所)およびその個所の修理内容(取替、脱着、板金、点検)を手入力で指示する。事故車見積システムは、指示された入力に対応し、修理内容に応じて定められている修理作業指数を部品データベースから取得すると共に、予めシステムに入力されたレイバレート(作業時間単価)により修理技術料金を算出する。また、修理個所に対応した損傷部分の所要部品一覧を部品データベースから取得し、見積者が該当部品の修理必要性を検討し、必要と選択して手入力した所要部品につき部分代金を取得し、修理費用の見積を行う。
【0004】
なお、特開平8−239017号のように、過去の事故車整備の作業情報を事故車修理見積システム内に持たせ、新規見積の参考資料としてシステムの表示画面に表示させるシステムや、表示画面に車のイラストイメージを表示し、見積者がイラストイメージ上での事故車の損傷部を指定するようにしたシステムも提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の在来システムでは、修理に要する部品価格が瞬時にして得られるので、従前の手作業による見積作業に比べ大幅に見積作業時間が短縮されてきているが、事故車の修理を要する個所の判断および、損傷内容の判断ならびに修理作業内容の判断は、見積者自身が行わざるを得ない。
【0006】
このため、見積者の業務経験やレベルの差によって、適正な見積書が作成できない場合も少なくない。例えば、車の左フロント部が対向車との衝突により損傷した場合でも、車の構造は車両毎に異なり、事故の際の力の大きさ、力の入力点も事故車毎に異なるので、事故車毎に損傷箇所、損傷範囲は全く異なるといってよい。目視により確認不能な車両骨格部および車両内部の損傷箇所は、実際に外装パネル、車輪等を取り外した分解状態とした上でなければ把握できない。しかも、世に流通している車両の種類は、20万型式を超える膨大な量である。このような実情のもと、見積書作成における修理作業項目の選択、部品選択は、経験豊富な者にとってさえ常に難しいものであり、まして経験不足の者では見積ミスが頻出する結果を招いていた。したがって、見積段階では相当にラフな修理作業項目を列挙しておき、実際に事故車を修理した作業結果の内容を事故車見積システムに入力するケースも少なくなかった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、このような点をふまえ、ある程度の熟練者でさえ常に難しい事故車の修理見積に際し、修理作業項目の選択を適正かつ容易に行える判断支援手段を設けることにより、未熟練者でも適正な見積書を作成でき、見積作業の高レベル均一化を可能とする事故車修理費用見積システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、事故車の車両の種類を入力して事故車の修理費用の見積を行う事故車修理費用見積システムにおいて、
車両の構造および種類に対応させた当該車両の修理作業に必要なデータを格納しているデータベースを備え、該データベースは、該修理作業見積のために入力する修理作業項目に対応した注意ないし助言のデータを格納しており、修理作業項目が入力されると、該入力された修理作業項目に対応した注意ないし助言のデータを検索する検索手段と、注意または助言のデータがあれば、そのデータを出力する出力手段とを備え、上記データベースは車両の構造および種類に対応させた当該車両の入力不能な項目の組み合わせを判別できるデータを含んでおり、
複数の前記作業項目が入力された場合、入力不能な修理作業項目の組み合わせについても前記検索手段により検索し、前記出力手段により当該組み合わせに関する注意ないし助言のデータを出力することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0014】
図1は事故車修理費用見積システムのシステム構成を示す。図1において、CPU1は、システム・メモリ2およびハードディスク記憶装置(HDD)6に格納されたシステム・プログラム(たとえば、オペレーティング・システム)を実行して、以下に述べる構成のシステム制御を実行する。CPU1は、さらにHDD6に格納された見積プログラムを実行して、本発明に係る損傷診断支援、見積処理を実行する。この処理については後述する。システム・メモリ2はROMおよびRAMで構成される。ROMにシステム立ち上げ用のシステム・プログラムや基本フォント等が格納される。RAMは実行するプログラムやCPU1の演算データ等を一時記憶する。CRT(陰極線菅表示装置)4に表示するイメージデータもRAMに格納され、CPU1により一定周期で読み出されてCRT4に送られる。
【0015】
入力装置3はキーボードおよびマウスのようなポインティング・デバイスで構成される。入力装置3から、CPU1に対する動作指示や、CPU1の演算に使用する文字、数値等を入力する。ポインティング・デバイスはCRT4に表示された情報をマウス・カーソルにより指示することにより、いわゆるGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェイス)により情報入力を行う。
【0016】
CRT4は情報の表示を行う。本実施例では、事故車の画像、後述の各種のデータベースの内容、損傷診断結果、見積書の内容等を表示する。プリンタ5は見積書の印刷を行う。
【0017】
ハードディスク装置(HDD)6にはシステム・プログラムのほか、見積用プログラムが保存記録される。見積用プログラムは起動の指示に応じて、システム・メモリ2に読み出され、CPU1により実行される。フロッピー・ディスクやCD−ROMに記録された見積プログラムがフロッピー・ディスク駆動装置(FDD)7やCDD8(下記参照)を介してCPU1により読み出され、HDD6にインストールされる。
【0018】
音声入出力インタフェース11は、マイクロフォンから入力される音声をAD変換し、CPU1の制御のもとで音声認識により文字列として入力することができる。また、CPU1の制御のもとで、出力文字列をデジタル音声に変換して、これをDA変換することにより、スピーカやイヤフォーンから出力することもできる。マイクロフォン等からの入力音声を無線等により本システムに送信し、音声入出力インタフェース11により入力することもできる。
【0019】
音声入出力インタフェース11や音声認識、音声合成には周知の方法・装置を使用できる。この音声認識、音声合成は、あらかじめHDD6にインストールした公知の音声入出力プログラムを用いて制御する。
【0020】
CD駆動装置(CDD)8は、CD−ROM14を受け付け、CD−ROM14に記録された情報をCPU1の制御の下に読み取る。CD−ROM14には、車両情報データベース、修理データベースおよび部品データベースがデータベースの形態で記録されている。車両情報データベースは車両に関する諸元情報を車種、類別、型式等(以下、車の種類と総称する)における約14万件類別毎の1車種毎に記録したデータベースである。修理データベースは、事故車の鈑金修理の作業項目および修理見積作業にあたって必要な作業指数情報ならびに部位図版、部品図版を車の種類毎に集積したデータベースであり、さらに、車両の構造および種類に対応させた当該車両の修理注意ポイントとともに、前記修理注意ポイントにおける作業項目選択上の注意ないし助言を記憶してある。また、車両の構造および種類に対応させた当該車両の種類作業項目の選択不能な組合せを記録してある。部品データベースは、14万件類別毎の車両の各部品名称・部品価格を記録したデータベースである。これらは相互に情報利用可能なように関連付けられている。CD−ROM14に記録されたデータベースを以後、修理総合データベースと呼ぶことにする。
【0021】
図1に戻り、画像インタフェース9はビデオ・カメラ10とも接続し、事故車の撮影画像、損傷のない車両の撮影画像を入力することも可能としてある。なお、ビデオ・カメラ10がアナログ出力を行う場合には、アナログ/デジタル変換器を介して、I/O9に撮影画像が入力される。ビデオ・カメラ10は複数台でもよい。ビデオ・カメラに変えてデジタル・スチルカメラを用い、フラッシュメモリ・カード等の記憶媒体を介してI/O9に撮影画像を入力しても差し支えない。
【0022】
以上のシステム構成において実行される見積処理を次に説明する。
【0023】
なお、予め、ビデオ・カメラ10ないしデジタル・スチルカメラにより撮影された事故車の画像(例えば、図6に示すような画像)がHDD6に保存されているものとする。
【0024】
本システムを用いた修理作業項目の選択および見積作成について、図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0025】
見積者は見積プログラムの起動を指示すると、見積プログラムがシステム・メモリ2にロードされてCPU1により実行される。見積者が入力装置3により見積書作成を指示する(S10)と、見積処理(S12)へと移行する。
【0026】
事故車の種類(車種、型式、類別番号、年式等)が入力装置から与えられると(S14)、車両総合データベースを検索し、与えられた車の種類に合致する車両図版、部品図版および修理作業項目ならびに作業指数、車両の構造および種類に対応させた当該車両の修理注意ポイント、当該修理注意ポイントにおける作業項目選択上の注意ないし助言、加えて車両の構造および種類に対応させた当該車両の修理作業項目の選択不能な組合せ等を読み出して、HDD16等に格納する。読み出した情報をもとに、見積処理を進める。
【0027】
次いで、見積者がCRT7の表示画面上で修理を要する部位、部品等を入力装置3により指定し、選択項目として選択可能な取替、鈑金修正、調整、分解、オーバーホール等の修理作業内容を、選択入力する(S20)。
【0028】
この修理を要する部位、部品を選択するときには、図6に示されているような事故車の画像を表示し、CD−ROMから読み出した車両の部品の画像を表示して、比較しながら入力することもできる。
【0029】
この部位、部品の選択に関しては、例えば、図3に示してあるような項目から選択している。図3において、まず、大きな車両の大きな部位を選択する(S140)。図3の例ではS106で示しているように、ラジエータ・コア・サポート(S106)、右フェンダー・エプロン(S112)、および、右サイド・メンバ(S118)を選択している。次にこれらの部位に対する部品や条件をそれぞれ選択する。例えば、ラジエータ・コア・サポートに対しては、部品はすべてを選択している(S108:丸印が選択を表す)。そして、条件を選択するべきところには条件を表示する。図3の例では、ラジエータ・コア・サポートに対して「右」、「左」、「左右」を選択することができる(S110)。この例では「左右」を選択している。同様に、右フェンダー・エプロンでは、部品は右フェンダーエプロンのみで(S114)、これに対して条件としてフロントのみを選択し(S116)、右サイド・メンバでも同様に(S120)、「半裁」を選択している(S122)。
【0030】
このように選択すると、作業の組合わせ表が表示され、選択内容が示される(S124)。ここでは、「ラジエータ・コア・サポート左右/ラジエータ・サポート・アッパ/フロント・クロス・メンバ/フェンダ・エプロン・フロント/サイドメンバ半裁」が選択された様子を示している(ここでは、線で囲っているが表示上では、例えば色を変化させる)。これは、標準作業における指数ではB172を示している。これは7.3の指数であることが次のステップで示される(S126)。
【0031】
図2のフローチャートに戻り、このように部位や部品を選択し、作業を特定することにより、見積対象項目を特定して、図7の表に示すような部位選択がすべて完了する(S28)と、修理費用が算出できる(S30)。この修理費用は、リストアップされた部位、部品の費用を部品情報データベースから取得するとともに、修理内容に応じて予め定められている作業指数を取得し、予め入力した修理作業のレバレート(時間当たり単価)に基づき修理技術料金を算出して、上記部品代を加えることにより行われる。
【0032】
これに塗装費用を別途算出して(S32)、見積書が完成する(S34)。これを表示・印刷することにより、見積作業が完了する。
【0033】
本発明においては、上述の選択入力された修理作業項目に係る部位が修理注意ポイントに属する部位であるときは、注意ないし助言を画面表示し(S24)、選択入力の内容を決定する入力分岐条件を画面表示する。この画面表示の例については、図8を参照されたい。
【0034】
例えば、左フロント・サイドメンバにつき「取替」との選択入力がされたとき、図8に示したようにウィンドウが表示される。その中には、「この車両は衝撃吸収ボディ構造です。衝撃は左フロント・サイドメンバ後部およびダッシュパネル取付部で止まりますが、左フロント・サイドメンバ後部、ダッシュパネル取付部の変形が十分に認められれば、左側フロント部分の部位、部品を全交換する必要があります。関連する部位、部品の全交換を選択しますか? □はい □いいえ」等の表示を行う。
【0035】
ここで、「□はい」を入力装置3により選択する(S24)と、車両の構造に対応させた必要作業項目を自動的に選択する(S26)。この必要作業項目は修理総合データベースの修理データベース内に対応させて記憶しており、前記選択に対応してその内容が付加される。
【0036】
また、例えば、フロント・バンパー「取替」、左側フロント・フェンダ「取替」との選択入力がされたとき、「フロント・エンドパネル 取替95% 取替えますか? □はい □修理鈑金」等の表示を行う。この表示は、図8に示した表示例と同様にウィンドウ内に表示される。マウス等の入力装置によりいずれかを選択すると、見積プログラムは、部位の修理作業項目欄(図7の340)に選択された作業項目を選択入力する。
【0037】
この修理注意ポイントにおける注意ないし助言と一連の処理は、車両構造、事故車における力の波及、損傷の形態、過去の種類作業内容の分析等に基づき構築されている。これらの情報は、修理データベースに記憶されており、経験・知識の少ない見積者に対して選択入力の判断を適切に支援しているので、見積の作業にとって有効である。しかも、修理データベースは車に対応して常に最新ものが提供されるので、進化する自動車ボディ構造等に素早く有効に対処することができる。
【0038】
上記では、修理作業項目である部位の修理作業内容を選択入力する場合を例示して説明したが、修理作業項目である部位選択後に、関連する部品の交換等を選択入力する際も、同様の処理手順により、注意ないし助言等の処理が用意されている。
【0039】
この注意、助言等は、見積作業が進行するなかで、該当する組合せによる当該車両の修理作業項目の選択不能な組合せが生じた場合に対しても行われる。
【0040】
これを含めて、注意、助言の処理について、図4のフローチャートを用いて詳しく説明する。図4のフローチャートにおいて、項目が選択等により入力される(S152)と、この入力された項目と以前に入力された項目とに間の矛盾を検出する(S154)。この矛盾の検出は、例えば、以前に入力された項目のそれぞれと今回入力された項目とのアンド条件により、組み合わせ不能のデータを集めたデータベースを検索することで行う。組み合わせ不能の結果のときは、選択付加を表示する。このときに、注意、助言を表示してもよいことはいうまでもない。見積者は、当該選択不能であることに留意して修理作業項目を見直し、選択入力を訂正入力することができる。
【0041】
つぎに、入力された項目に対する上述のような注意、助言があるかを検索する(S156)。ないときは、この注意、助言の処理を終了する。注意、助言があると、それを表示し(S160)、選択入力がある(s160)と選択入力の処理を行い(S164)、終了する。
【0042】
また、見積処理において、選択入力された修理作業項目に係る部位を、音声入力を用いて行うこともできる。この処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0043】
音声らしきものが入力されると、システムは、入力された音声に対して音声認識を行い、文字列に変換する(S210)。変換されたものが文字列に変換されない場合(S210のNO)は、音声入力がなかったとしてこの処理を終了する。
【0044】
文字列に変換されるとシステム・コマンドであるかを調べる(S212)。システム・コマンドである場合は、この文字列をオペレーション・システム(OS)に送って、OSが入力されたコマンドの処理を行う(S214)。システム・コマンドではない場合は、このアプリケーションに対する入力であるので、このアプリケーションにおいて処理を行う。この場合、このアプリケーションにおいて、予定された項目の入力であるかを検査する。例えば、部品の入力が予定されているときに、部品の項目が入力されないと、エラーを表示する等を行い、この処理を終了する。予定された項目の入力である場合は、見積者のマニュアル入力と区別するための識別符号を付して入力する。識別符号が付された入力は、表示を行う場合に色等で区別して表示を行う。
【0045】
この音声入力による入力は、車両検査者と見積者が別人で、車両検査者が、事故車等を実際に見ながら、ワイヤレス・マイク等から音声入力を行う場合に特に有効である。見積者は、このとき、画面を見ながらマニュアル入力する。
【0046】
見積者は、車両検査者が入力した項目と自分が入力した項目とを入力を色等で区別して表示しているので、識別しながら入力することができる。最終的な変更や選択を行う際に、見積者は自分が入力したか車両検査者が入力したものかを区別して行うことができる。このときに音声入力された項目に対しては、これを生かすかどうかもその際に決定し、音声入力された項目を採用するときは、付加している音声入力であることを示す識別符号を除去する。これは例えば特定のファンクション・キーを押下する等簡単な操作でできるようにしている。
【0047】
通常は、車両検査者が熟練している場合が多いので、見積者は、原則として音声入力手段により記憶された車両検査者の修理作業項目の決定に従う。しかし、入力内容を訂正する場合もある。たとえば、この訂正は、左フロントフェンダの「鈑金修正」が助言されている場合であっても、修理依頼者の希望により「交換」を選択入力するなどのものである。
【0048】
また、車両検査者と見積作業者が同一人である場合にも、筆記用具等の必要がないから、ワイヤレス・マイクを頭部等に装着し、フリーハンド状態で点検観察作業を終え、後にその記憶をもとに見積書作成を行う場合にも、音声入力で入力した項目に対する記憶を確実にし、選択入力の判断を支援するためとしても有効である。
【0049】
このときに、複数の項目例えば、部位・部品や作業項目、またはその組み合わせができるようにして、対応する項目に割り当ててもよい。この場合も入力項目に該当せず、割り当てられない音声入力があると、エラーとして入力しない。
【0050】
なお、上述のように、音声入力を行う場合は、この見積システムが設置されている場所から離れて、事故車両が置かれている場所に音声入力者がいることが多い。この場合は、当然画面をみることができず、上述の注意や助言が表示されても参照することができない。このため、識別符号が付与されている音声入力にたいしては、このような助言等を表示しないようにすることが望ましい。後で見積者が見直して、最終的に識別をとって確認する作業を行う際に表示することが望ましい。
【0051】
また、注意や助言を音声入力インタフェース11から音声で出力することもできる。この場合は、画面を見ることのできない入力者でも、システムからイヤホーン等で注意や助言を得ることができる。
【0052】
修理依頼者と車両検査者との問診時における修理作業項目の決定等の音声入力による採取にあたっては、例えば、修理依頼者から窓口業務者が問題により事故状況等を聞き出す際だけでなく、実際に種類依頼者と車両検査者が現実の事故車を前にして、修理依頼者に修理の概要を説明しながら、修理依頼者の了解のもとに質疑応答を行い、フロント・バンパー取替、エンジン点検、等の修理内容を音声入力により採取する手法を採ることができる。
【0053】
このようにすれば、依頼者の納得のいく形で見積書の修理作業内容が決定されるので、修理見積の透明化の要請に合致し、依頼者が見積内容を全く理解できなかったり依頼者の意思と見積内容とが乖離するといったことがなく信頼性を向上させることができる。
【0054】
従来の見積システムでは、見積者が全てを自分の経験と勘に基づき判断していたのに対し、この実施形態では表示画面上において種々の注意、助言が表示され、特に修理注意ポイントにおける前記した半自動入力や音声入力手段による半自動入力も可能となるため、これらの判断支援手段により、十分な裏付けのある事前見積が可能となると共に、見積者の操作労力が大幅に軽減される。同時に、未熟練のものであっても、車両の構造、損傷個所および修理作業、見積作業についての知識も自然に会得してゆくことができる。
【0055】
見積作業に際し、事故車の画像(図6参照)は、見積作成中に見積者からの指示に応じて、HDD6に記憶された事故車の画像を読み出し、CRT画面に画像を縮小して表示させる。
【0056】
任意の縮小画像を入力装置3により指定すると、指定により選択された縮小図形ないしその一部分が拡大されて表示することもできる。
【0057】
また、見積作業中に、または見積作業とは関係なく、修理総合データベースを検索して、車両情報データベース、修理データベース、部品データベースの内容、特に修理注意ポイントおよび注意および助言を画面表示させることも可能である。この場合、見積者は、修理総合データベースの検索を指定して、検索に必要なキーワード、たとえば、車の修理部位、修理作業項目等を入力する。CPU1はキーワードを使用して、修理総合データベースを検索し、関連する部位、部品情報とともに修理注意ポイントおよび注意および助言を、抽出して画面表示する。
【0058】
以上説明したように、従来の見積システムでは、見積者は何等の判断材料もなく、自らの経験と勘により入力していたのに対し、この実施形態では妥当な見積の根拠となるべき判断支援手段、注意等も表示されているから、経験の浅い者でも、判断支援手段に補佐されて、適切な見積書作成を相当のスピードで行うことができる。さらに、必要に応じて、システム内に搭載したデータベースに対しても個別に参照できるので、見積だけでなく、修理作業にも本システムを役立てることができる。
【0059】
上述の実施形態の他に次の形態も実施できる。
【0060】
1)上述の実施の形態では、例えば図6に示したように、事故車の画像を参照として使用しているが、過去に事故車両を修理した場合には、その時に撮影した画像を今回取得した事故車両の画像と比較して、参照することができる。この場合に好適な一例としては、顧客管理データベースから、氏名、住所などの顧客情報の他に、過去の修理個所、修理日時などの修理履歴とともに、撮影した画像を顧客管理データベースに保存しておくことが考えられる。
【0061】
2)上述の実施形態では、ビデオ・カメラ10により撮影した事故車の画像をオンライン入力しているがオフライン入力することもできる。たとえば、デジタル・カメラにより事故車を撮影し、フロッピーディスク、PCカード等の記録媒体に撮影画像を記録する。この記録媒体を上述のシステムに設置された読み取りドライブにより読み取ってHDD6に保存する。なお、正常車両と事故車を撮影する撮影手段が異なる場合には、撮影画像の縮小/拡大、回転を行って、被写体の画像位置を一致させる必要がある。このための画像処理手法は周知であり、この画像処理手法を使用して、事故車の撮影画像と、正常車両の位置合わせを行えばよい。
【0062】
なお、手動指示で、上述の縮小/拡大倍率や、回転角度を指示してもよいこと勿論である。
【0063】
また、事故車の画像につき、複数枚の画像を合致して、特定方向から見るような画像を合致してもよい。この処理も周知の3D(3次元)画像処理技術を使用できる。
【0064】
3)修理総合データベースから得られる注意ないし助言等の情報の表示形態は任意に設定し得る。たとえば、修理注意ポイント情報だけ知りたい場合には、当該ポイント名称をまず表示させ、当該ポイントの属する部位、部品につき修理データベースや部品データベースの検索に必要な部品番号(または型番等)を表示すればよい。
【0065】
4)項目を文字列で案内し、カーソルをその位置に移動したときに、その案内項目の入力が可能となる画面を表示する場合には、上述のように判断支援手段としての音声入力手段により修理作業項目の決定個所に該当する部位の修理作業項目位置、部品欄に、当該決定に係る修理作業項目部位、部品の名前を初期入力データとして表示することもできる。初期入力データが変更されない場合には、初期入力データがそのまま見積処理に使用される。これにより見積者は、音声入力による修理作業項目を所与の前提として見積を行うことができ、音声入力で実質上概略の見積まで行い、最終的な見積書完成のみを事務系の単純作業者に行わせることも可能となる。
【0066】
【発明の効果】
上記のように入力された修理作業項目に対応する注意・助言が行われるので、車の修理の見積になれていない者でも、見落としなく見積の入力データを入力して見積書を作成することができる。さらに、間違った組み合わせでの修理作業項目のデータ入力を阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】事故車修理費用見積システムのシステム構成を示すブロック図である。
【図2】見積作成の処理を示すフローチャートである。
【図3】部位選択、作業選択を示すフローチャートである。
【図4】注意・助言の表示処理を示すフローチャートである。
【図5】音声入力の処理を示すフローチャートである。
【図6】システムに入力された事故車の画像を示す図である。
【図7】選択された部位、作業項目等を示す図である。
【図8】表示された注意・助言を示す図である。
【符号の説明】
1 CPU
2 システムメモリ
3 入力装置
4 CRT
5 プリンタ
6 HDD
7 FDD
8 CDD
9 画像入力I/Oインタフェース
10 ビデオ・カメラ
11 音声入出力インタフェース
14 CD−ROM
Claims (1)
- 事故車の車両の種類を入力して事故車の修理費用の見積を行う事故車修理費用見積システムにおいて、
車両の構造および種類に対応させた当該車両の修理作業に必要なデータを格納しているデータベースを備え、
該データベースは、該修理作業見積のために入力する修理作業項目に対応した注意ないし助言のデータを格納しており、
修理作業項目が入力されると、該入力された修理作業項目に対応した注意ないし助言のデータを検索する検索手段と、
注意または助言のデータがあれば、そのデータを出力する出力手段と
を備え、上記データベースは車両の構造および種類に対応させた当該車両の入力不能な項目の組み合わせを判別できるデータを含んでおり、
複数の前記作業項目が入力された場合、入力不能な修理作業項目の組み合わせについても前記検索手段により検索し、前記出力手段により当該組み合わせに関する注意ないし助言のデータを出力することを特徴とする事故車修理費用見積システム。
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