JP3670009B2 - 注射液カートリッジ - Google Patents
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Description
本発明は非経口注射液または点滴液を投与するための注射液カートリッジの改良に関する。とくに、本発明は使用される注入可能な製剤の良好な利用を可能にするかかる注射液カートリッジの改良に関する。本発明はまた本発明の注射液カートリッジの使用により液体製剤を投与する方法に関する。さらに、本発明はまた静脈内注射用の本発明の注射液カートリッジの使用に関する。
発明の背景
注射液カートリッジは非経口の注射または点滴によつて注入可能な医薬製剤を投与するための広範な用途を見出した。かかるカートリツジはそれらの取扱いの容易さおよび微生物汚染の危険の軽減のごとき多数の重要な利点を有する。注射液カートリッジは一般に注入可能な液体製剤を収容する管状筒体から構成されている。その前端において、管状筒体は注射針またはカニユーレまたは点滴用管のごとき、出口導管によつて突き刺され得る閉止体により密封されている。その後端において、カートリッジはカートリッジから出口導管を通って注入可能な製剤を放出するために前方に移動され得るピストンにより閉止されている。この型式の注射液カートリッジは一室注射液カートリッジとして知られている。
二室注射液カートリッジもまた公知である。かかるカートリッジはその使用寸前の状態において安定性のない注入可能な製剤に使用することを意図したものであり,前方閉止体と後方ピストンとの間のそれらの空間は可動壁により分離されている2つの室に分割されている。前室は通常注入可能な製剤の固形成分を収容し、そして後室は前記製剤の液体成分を収容している。カートリッジ内の予め定めた位置に、カートリッジの内壁の液体バイパス接続部を配置させてあるので、液体成分は可動分離壁を迂回しかつ固形成分と混合するように前室に流れることができる。前方に向けられた圧力が後方ピストンに付加されたとき、この圧力は可動壁を前方に押圧するように液体を通して移動され、この可動壁がバイパス接続部の位置にあるとき、液体が前室中の成分と混合するように壁のまわりに流れる。この方法において、注射液が投与される直前に2つの成分を互いに混合させることができ、そして混合済みの製剤の劣化の時間がない。液体が前室に転送されたとき、後方ピストンは可動壁に当接し、そしてさらに前方への移動において、それらはカートリッジからの混合された製剤を放出するための単一ピストンとして作用する。
米国特許第4,439,184号明細書は2つの流体を別々に連続して供給することを意図した二室を有する2成分投与注射器を開示している。好適な実施例において、尿道にカテーテルを挿入するために、潤滑防腐剤および潤滑麻酔薬が使用されている。防腐剤および麻酔薬の双方の潤滑特性は尿道内でのカテーテルの摺動を容易にさせる。
一室および二室注射液カートリッジの構造および機能は当該業者には良く知られており、ここでは詳細に説明しない。
注射液カートリッジからの液体製剤の投与が終了し、後方ピストンがその最も前方の位置にあるとき、カートリッジの前端部分および出口においてピストンの前方に一定の空容積が存在する。この空容積は特に出口と針またはカニユーレとの間に一定の長さの管が配置されるときには重要である。これは一定量の医薬製剤が患者により利用されないことを意味するので不利である。この不利点は成長ホルモンおよび或る種のペプチドのような非常に高価な医薬製剤が使用されるとき一層重大になる。
この不利点を除去するために種々の方法が試みられた。1つの方法は注入完了後に一定量の血液をカートリッジ内に引き戻しそして次いで該血液を患者に注入して戻し、それにより、この方法において出口を濯ぎ洗いする。これは、しかしながら、外面に非常に感受性の強い血液の成分が破壊される危険があるかまたは凝血塊を形成するように固まる危険があるので、推奨されない。他の方法は医薬剤を収容している注射器を除去しそして注入を完了するために、それを生理食塩溶液のような濯ぎ液を収容している注射器と交換することである。これは複雑でかつ時間が掛かり、そして漏洩および汚染の危険を増加する。
発明の概要
上述した不利点は本発明の注射液カートリッジの改良により除去される。本発明によれば、液体製剤が注射液カートリッジ内に配置されたピストンの移動によつて該カートリッジの前端に配置された出口導管を通ってカートリッジから放出される注射液カートリッジの改良を提供するものである。本発明の特徴は製剤を放出するための前方ピストンの後側のカートリッジ内に濯ぎ洗い液を収容する補助室を配置させ、該補助室は後方ピストンによりその後端で密封され、液体バイパス接続部をカートリッジの前端に配置させ、前方ピストンがその最も前方の位置にあるとき、濯ぎ洗い液は出口導管を濯ぎ洗いしながら前方ピストンのまわりにかつ出口導管を通って流出され得る。
本発明の好適な実施例において、注射液カートリッジは前室が製剤の固形成分を収容しかつ後室が製剤の液体成分を収容する二室カートリッジであり、両方の室は移動可能な可動壁により分離され、後方液体バイパス接続部をカートリッジの内壁に配置させ、液体成分が可動壁を迂回しかつ固形成分と混合するように前室に流れ得る。後室がその後端で前方ピストンにより閉止され、そして濯ぎ洗い液用の補助室が前方ピストンの後方のカートリッジ内に配置されかつその後端で後方ピストンにより閉止されている。
さらに他の好適な実施例において、濯ぎ洗い液の量はその最も前方位置の前方ピストンの前方のカートリッジ内の空間と出口導管の空間とを組み合わせた量の少なくとも2倍にしてある。
発明を実施するための最良の形態
注射液カートリッジの細部の構成は当業者に良く知られているので、図面の各図において、注射液カートリッジは単に略図的に示されている。図中において同じ部材は同一の符号を用いて示している。図面は本発明を例示するためのもので、いずれにしても本発明の範囲を制限するものではない。
図1は注射可能な製剤の投与が丁度始まった従来技術による一室注射液カートリッジを略図的に示している。注射液カートリッジは注射可能な液体製剤2を充填させた筒体1からなっている。この製剤2で充填された室はその後端をピストン3で密封してある。その前端において、カートリッジは出口導管4を備え、図示の実施例において、この導管4は管5に接続され、該管5は注射針またはカニユーレ6に接続されている。注射針6の近くには注射針6を患者の皮膚に固定するための外科用接着テープのような器具7が配置されている。ピストン3の幾らか進んだ位置と符号8で示した製剤の滴下とによって図示したように注射可能な製剤2の投与が丁度開始している。
図2は投与が完了した後の従来技術の注射液カートリッジを示す。ピストン3は筒体1内の最も前方の位置にあり、実質上すべての注射可能な製剤がカートリッジから放出されている。しかしながら、出口導管4および管5により備えられた空容積中に一定量の製剤2が残っている。この量の製剤2は患者に利用されることはなく、通常浪費してしまう。この浪費は成長ホルモンおよびペプチドのような、非常に高価な製剤が投与されるとき経済的観点からかなり重要である。前述したように、現在までこの不都合を救済する適切な方法が提供されなかつた。
図3は投与開始前の濯ぎ洗い用に変形された図1及び図2と同様の一室注射液カートリッジを示す。前に示したように、注射液カートリッジは注入可能な液体製剤2を収容する筒体1からなり、そしてこの製剤を収容する室はその後端で前方ピストン3により密封されている。カートリッジはまたその前端において管5を介して注射針またはカニユーレ6に接続されている出口導管4を備えている。
しかしながら、筒体1は後方に延伸しそして補助室を備えており、該補助室は濯ぎ洗い液9を充填しかつその後端を後方ピストン10により密封されている。さらに、カートリッジの前端近くには液体バイパス接続部11を配置してある。このバイパス接続部11は当業者には良く知られた多数の方法において配置され得る。例えば、その接続部は筒体1の内壁に配置させた溝または筒体1の内壁の他の変形部から構成することができる。液体バイパス接続部はカートリッジの内部にピストン3がその位置にあるとき変形するような収縮性を備えているいわゆる「ネガテイブ」型のものから構成することもできる。液体バイパス接続部により達成されるべき基本的な目的はピストン3がバイパス接続部の位置にあるときピストン3が内壁に対して完全に密封してはならないということである。
図4は注入可能な製剤の全てがカートリッジから完全に放出された後の図3の一室注射液カートリッジを示す。前方ピストン3は筒体1内でその最も前方の位置にあるが、まだ少量の注入可能な製剤2が出口導管4、管5および液体バイパス接続部11によつて与えられた空容積に残っている。その最も前方の位置において、前方ピストン3は前方ピストン3の後側の室から前方ピストン3の横側を通って、前方ピストン3の前方の空容積までの間に液体流通路が形成されるような方法において液体バイパス接続部11上に配置されている。
図5は濯ぎ洗い工程が始まった後の図3の一室注射液カートリッジを示す。後方ピストン10は濯ぎ洗い液9がピストン3のまわりの液体バイパス接続部11を通って出口導管4および管5により形成される空容積に流れでるように前方に向かって移動しており、それによりこの空容積内に存在する注入可能な製剤を注射針またはカニユーレ6を通して患者に放出する。
図6はすべての濯ぎ洗い液がカートリッジから放出された後の図3の一室注射液カートリッジを示す。後方ピストン10は今や前方ピストン3に当接しており、そして出口導管4および管5は実質上濯ぎ洗い液9のみを収容している。実質上すべての注入可能な製剤は滴下12により例示されているように、今や、濯ぎ洗い液の主要部分と共に注射針またはカニユーレ6を介して注入された。
図7は本発明による二室注射液カートリッジを示す。このカートリッジは前室22および後室23に分割されている管状筒体21からなっている。前室22は注入可能な製剤の固形成分24を収容し、かつ後室23は注入可能な製剤の液体成分25を収容している。前室22および後室23は密封可動壁26により分離され、そして後室23はその後端で前方ピストン27により密封されている。カートリッジの筒体1の内壁には液体バイパス接続部28が配置されている。カートリッジの前端には出口導管29が配置され、該出口導管29を通して注入可能な製剤が放出され得る。出口導管29は図1ないし図6に示したように注射針またはカニユーレに直接または管を介して接続されている。図を明瞭にするために、これらの詳細は図7ないし図15には示していない。
本発明の二室注射液カートリッジの上述した特徴は二室型の従来技術の注射液カートリッジから良く知られている。
本発明の注射液カートリッジの筒体21は補助室30を形成するために前方ピストン27の後側を延伸させてある。この室30には濯ぎ洗い液31を充填し、その後端を後方ピストン32により密封している。そのうえ、液体バイパス接続部33がカートリッジの前端に配置されている。
図8は可動壁26が液体バイパス接続部28の位置に配置されかつ液体成分25の一部分が後室23から前室22に流れ出るように後方ピストン32が前方に移動した後の本発明による二室注射液カートリッジを示す。従って、液体成分25は固形成分24と混合されてそれを溶解するかまたはそれを懸濁して、使用寸前の注入可能な製剤を形成する。濯ぎ洗い液31はまだ前方ピストン27と後方ピストン32との間の補助室30内に閉じ込められている。
図9は、固形成分とともに注入可能な製剤を形成するために、液体成分の全てが前室22内に押し出された後の本発明による二室注射液カートリッジを示す。前方ピストン27は今や可動壁26に当接し、後室23が一時的に存在しなくなる。後方ピストン32および前方ピストン27の運動を介して、濯ぎ洗い液31を有する補助室30が前方に移動するが、それ以外は影響をうけていない。
図10は前方ピストン27および可動壁26が液体バイパス接続部28を被覆するまで後方ピストン32かつまた前方ピストン27および可動壁26がさらに前方に移動した後の本発明による二室注射液カートリッジを示す。それゆえ、このバイパス接続部28はこの段階において無活動である。
図11は前方ピストン27が液体バイパス接続部28の位置に位置するように後方ピストン32がさらに前方に移動した後の本発明による二室注射液カートリッジを示す。後方ピストン32のさらに前方の移動により、濯ぎ洗い液31は前方ピストン27のまわりと可動壁26と後方ピストン27との間の空間に流出し始め、かくして後室23を再び形成し、その後室23に濯ぎ洗い液31を充填する。前室22中の注入可能な製剤もまた前方に移動されるが、それ以外は影響を受けない。
図12は濯ぎ洗い液31の全てが後室23に押し出された後の本発明による二室注射液カートリッジを示す。後方ピストン32はそこで前方ピストン27に当接し、そしてこれら2つのピストンは今や1つの単一ピストンとして作用する一方、前者の補助室30は今や消失した。
図13は前室22が注入可能な製剤34で完全に充填されるように前方ピストン27および後方ピストン32、かつまた可動壁26が前方に前進した後の本発明による二室注射液カートリッジを示す。この製剤はそこで患者に対する投与を開始するために出口導管29を通ってカートリッジから放出され得る。液体バイパス接続部28は今や無活動である。
図14は実質上すべての注入可能な製剤34がカートリッジから放出されかつ患者に投与された後の本発明による二室注射液カートリッジを示す。前記製剤の一部分が可動壁26の前方および出口導管29内および注射針またはカニユーレ(図示せず)に接続する管(図示せず)内のカートリッジの空容積に残っている。可動壁26がその最も前方の位置にあるとき、可動壁26は前方の液体バイパス接続部33の位置に配置され、それにより液体バイパス接続部33が活動するようになり、可動壁34をバイパスするように濯ぎ洗い液31を流通させ、そしてその前方の空容積中に流出させる。結合した前方ピストン27と後方ピストン32をさらに前方に移動させると、濯ぎ洗い液31は注入可能な製剤の残部を移動させかつそれを注射針またはカニユーレを通して患者に注入させるために、液体バイパス接続部33を通して押し出されかつ出口導管29を介してカートリッジから放出される。かくして、すべての注入可能な製剤が患者に投与され、かつ浪費がないことが理解されよう。
図15はすべての濯ぎ洗い液が出口導管29を介して放出された後の本発明による二室注射液カートリッジを示す。可動壁26、前方ピストン27および後方ピストン32が今や互いに当接し、そして液体バイパス接続部33は無活動である。カートリッジからの投与はそこで完了する。
本発明による二室注射液カートリッジからの製剤の準備、投与および濯ぎ洗いはピストンロツドによって後方ピストン32を前方に押圧することにより実施される。かかるピストンロツドは簡単な軸線方向前方押圧力により、ネジ機構により、または該押圧力とネジ機構の2つのの組み合わせにより前方に移動され得る。これを達成するための種々の装置は当業者には良く知られているので、ここでは詳細に説明しない。
本発明による二室注射液カートリッジの作用は以下の通りである。
注射液カートリッジは通常図7に示したような状態で使用者に供給される。カートリッジが投与のために準備された際に、使用者は適宜なピストンロツド(図示せず)によつて後方ピストン32に前進押圧力を加える。この押圧力はそれぞれ後室23および補助室30内の実質上圧縮できない液体25および31を介して可動壁26および前方ピストン27が同様に前方に押圧されるように伝達される。可動壁26が液体バイパス接続部28の位置に達したとき、液体バイパス接続部28は可動壁26のまわりに液体成分25を流動させることができるように活動し、液体成分を前室22中の固形成分24と混合させるようになる。該固形成分24はその後注入可能な製剤34を形成するために液体成分25中に溶解されるかまたは分散される。
すべての液体成分が前室22に押し出されるように前方ピストン27が前方に移動した時に、前方ピストン27は可動壁26に当接する。後方ピストン32のさらに行なわれる前進運動は前方ピストン27が液体バイパス接続部28の位置に位置するまで前方ピストン27および可動壁26をともに前方に移動させる。このバイパス接続部28は再び活動するようになり、そこで濯ぎ洗い液が前方ピストン27のまわりを流通することができる。後方ピストン32をさらに前方に移動させると、前方ピストン27は固定したまま残留するが、可動壁26が前方に押圧され、そして濯ぎ洗い液31が可動壁26と前方ピストン27との間に形成される空間を充填するように前方ピストン27をバイパスする。すべての濯ぎ洗い液が空間内に押し出されたとき、後方ピストン32は前方ピストン27に当接し、そしてさらに前方に移動する際に、これらの2つのピストンは単一ピストンとして作用する。
2つのピストン27および32がさらに前方に移動すると、可動壁26は管を経由して注射針またはカニユーレに接続された出口導管29を介して混合された注入可能な製剤34を放出する作用をなす。注射針またはカニユーレはそこで患者に接続され、そして注入可能な製剤の投与が今や行うことができる。
投与完了後、可動壁26はカートリッジの筒体21中のその最も前方の位置にあり、そして実質上すべての注入可能な製剤がカートリッジから放出されたことになる。しかしながら、可動壁26の前方の空間と、出口導管29と、取付けられた管と、カニューレおよび注射針とからなる空容積中に一部分の製剤が残る。この一部分の製剤は本発明による特別な手段を施さない限り、患者に利用されることはない。
その最も前方の位置において、可動壁26は濯ぎ洗い液用の流路が可動壁26のまわりに備えられるような方法において前方液体バイパス接続部33に位置決めされる。結合されたピストン27および32にさらに前進押圧力を加えると、そこで濯ぎ洗い液31は可動壁26のまわりを通り出口導管29と、取付けられた管と、注射針またはカニユーレ中とに流出する。そのようにして、濯ぎ洗い液31は注入可能な製剤の残部が患者に投与されそして出口導管29および管が濯ぎ洗いされるように注入可能な製剤の残部を移動させる。従って注入可能な製剤の浪費がない。すべての濯ぎ洗い液31がカートリッジから放出されたとき、投与は完了する。
注射液カートリッジは注射液の投与においてその使用を容易にするために通常ホルダ装置内に配置されている。かかるホルダ装置はまた従来公知のもので当業者には良く知られている。本発明による注射液カートリッジは公知のホルダ装置の実質的な設計変更を必要としない。前方バイパス接続部を収容すると共に多少長いカートリッジを収納するためにわずかな変更を必要とするだけであり、これらは当業者の遂行能力内である。本発明の注射液カートリッジの製造に使用される材料はガラスおよび各種のプラスチツクおよびゴム材料のような従来の注射液カートリッジに使用される材料と同一である。かくして、液体製剤を収容する前室と濯ぎ洗い液を収容する補助室とを備えたカートリッジにおいて、前方ピストンは弾性材料、好ましくはゴムから形成することができる。しかしながら、本発明のカートリッジが固形成分を得るために凍結乾燥に使用されるとき、前室と後室との間の可動壁は水蒸気の低浸透性を有する弾性材料から形成されるべきである。適切な材料はブチルゴム、好ましくはクロロブチルまたはブロモブチルゴムのごときハロ−ブチルゴムである。また、本発明のカートリッジが凍結乾燥に使用されるとき、カートリッジの筒体は、凍結乾燥工程において使用される低圧力および低温度に良好に耐えるために、堅固な材料から形成されねばならない。適切な材料はガラスである。
濯ぎ洗い液の容量は空容積の完全な濯ぎ洗いを行いかつ残りの注入可能な製剤を移動させて患者に投与するのに十分であることが重要である。濯ぎ洗い液の容量はその最も前方の位置の前方ピストンまたは可動壁の前方の注射液カートリッジの空間と注射針またはカニユーレから出口導管までの空間との結合容積の少なくとも2倍、かつ好ましくは少なくとも3倍にすべきであることが認められた。これは完全な濯ぎ洗い作用を付与する。
本発明の注射液カートリッジは従来の注射液カートリッジに適するものと認められた注入可能な製剤のいずれにも使用することができる。例として治療用プロテインおよびペプチドを挙げることができる。しかしながら、本発明により提供される利点は非常に高価な製剤、例えば組み換えDNA技術により製造された製剤が投与されるとき非常に著しいものとなる。代表的な例は成長ホルモン、幾つかのペプチド、抗ガン薬、ワクチン、インターロイキン、モノクローン抗体、組織プラズマ活性体(tPA)、エリトロポエチン(EPO)、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、低分子量ヘパリンおよびヒトたんぱく質である。詳細には、ヒトたんぱく質は組み換えDNA技術により製造される因子VIII、因子IXまたはアンチトロンビンIIIである。かかる製剤に関して、浪費の回避は経済的に非常に重要である。
適切な注入可能な液体製剤は表面活性剤のごとき少なくとも1つの安定化剤とともに、因子VIII、因子IXまたはアンチトロンビンIIIのごときヒトたんぱく質を含む溶液を含有している。注入可能な製剤の適切な固形成分は凍結乾燥されたヒトたんぱく質、好ましくは組み換えDNA技術により製造された因子VIIIを含有している。
本発明の注射液カートリッジは皮下、筋肉内または静脈内注入のごとき非経口投与に適切に使用し、好ましくはその場合に静脈内注入に使用するものである。より好ましくは、本発明の注射液カートリッジはすべての注入可能な製剤から管および注射針またはカニユーレに接続された出口導管を濯ぎ洗いするのに使用するものである。本発明の注射液カートリッジはヒトたんぱく質、好ましくはその場合に凍結乾燥たんぱく質を投与するのに適宜使用するものである。
本発明の注射液カートリッジからの液体製剤を投与する方法は皮下、筋肉内または静脈内注入のごとき非経口投与に適宜使用し、好ましくはその場合に静脈内注入に使用するものである。より好ましくは、液体製剤を投与する方法はすべての注入可能な製剤から管および注射針またはカニユーレに接続された出口導管を濯ぎ洗いするのに使用するものである。本発明の注射液カートリッジから液体製剤を投与する方法はヒトたんぱく質、好ましくはその場合に凍結乾燥たんぱく質の投与に適宜使用するものである。
濯ぎ洗い液は注入可能な製剤と親和性がありかつ患者に投与されたときいかなる有害な作用を発生させることがない液体にすることができる。かかる液体は当業者には良く知られており、例として生理食塩溶液を挙げることができる。
本発明は図面に示した実施例に関連して明細書中に説明されているが、しかし当業者には、これらの実施例が単なる例であり、どのような方法においても本発明の範囲を限定するものではないことは明らかである。本発明の他の変形および変更は添付の特許請求の範囲内で可能である。
【図面の簡単な説明】
図1は注射液が投与される前の従来技術による注射液カートリッジを示す説明図である。
図2は注射液が投与された後の従来技術による注射液カートリッジを示す説明図である。
図3は注射液が投与される前の濯ぎ洗い用に変形された図1及び図2のものと同様の注射液カートリッジを示す説明図である。
図4は注射液が投与された後であるが、濯ぎ洗い工程が始まる前の図3の注射液カートリッジを示す説明図である。
図5は濯ぎ洗い工程中の図3の注射液カートリッジを示す説明図である。
図6は濯ぎ洗い工程が完了した後の図3の注射液カートリッジを示す説明図である。
図7は注射の準備が行われる前の本発明による二室注射液カートリッジを示す説明図である。
図8は注射の準備が行われている間の本発明による二室注射液カートリッジを示す説明図である。
図9は注射可能な製剤が前室中に再構成された後の本発明による二室注射液カートリッジを示す説明図である。
図10は注射可能な製剤の再構成後の中間段階中の本発明による二室注射液カートリッジを示す説明図である。
図11は濯ぎ洗い溶液が可動壁の後側に形成された室内に流出している本発明による二室注射液カートリッジを示す説明図である。
図12は注射液の投与が準備された本発明による二室注射液カートリッジを示す説明図である。
図13は注射液の投与中の本発明による二室注射液カートリッジを示す説明図である。
図14は注射液投与の完了後であるが濯ぎ洗い工程前の本発明による二室注射液カートリッジを示す説明図である。
図15は濯ぎ洗い工程が完了した後の本発明による二室注射液カートリッジを示す説明図である。
21 筒体
22 前室
23 後室
24 固体成分
25 液体成分
26 可動壁
27 前方ピストン
28 液体バイパス接続部
29 出口導管
30 補助室
31 濯ぎ洗い液
32 後方ピストン
33 液体バイパス接続部
34 注入可能な製剤
Claims (8)
- 注射液カートリッジ中に配置させた前方ピストン(27)の移動によってカートリッジの前端に配置された出口導管(29)を通って放出させる製剤を含有する空間を備えた筒体(21)から構成した注射液カートリッジにおいて、前方ピストン(27)の後方に濯ぎ洗い液(31)を収容する補助室(30)をカートリッジ内に配置させ、該補助室(30)を後方ピストン(32)によりその後端で密封させ、カートリッジの前端と前方ピストン(27)との間の空間を製剤の固形成分(24)を収容する前室(22)と製剤の液体成分(25)を収容する後室(23)とに分割しかつ該前室(22)と後室(23)とを可動壁(26)により分離させ、前方ピストン(27)がその最も前方の位置にあるとき、濯ぎ洗い液(31)が可動壁(26)のまわりを通って出口導管(29)から流出できるように液体バイパス接続部(33)をカートリッジの前端に配置し、前方ピストン(27)が前方に移動したとき、液体成分(25)が可撓壁(26)のまわりを通って固形成分(24)と混合するため前室(22)内に流入するようにそして濯ぎ洗い液(31)が前方ピストン(27)のまわりを通って可動壁(26)と前方ピストン(27)との間の後室(23)に流入するように後方液体バイパス接続部(28)をカートリッジの内壁に配置させたことを特徴とする注射液カートリッジ。
- 濯ぎ洗い液(31)の容量をそのもっとも前方の位置にある前方ピストン(27)から前方のカートリッジ内の空間と出口導管(29)内の空間とを組み合わせた容積の少なくとも2倍にしたことを特徴とする請求項1に記載の注射液カートリッジ。
- カートリッジの前端における液体バイパス接続部(33)をカートリッジの内壁に配置させたことを特徴とする請求項1または2に記載の注射液カートリッジ。
- 液体バイパス接続部(33)をカートリッジの内壁の溝として、または内壁の他の変形部として配置させたことを特徴とする請求項1または2に記載の注射液カートリッジ。
- 出口導管(29)を管および注射液またはカニューレに接続させたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の注射液カートリッジ。
- 固形成分(24)を凍結乾燥させたヒトたんぱく質にしたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の注射液カートリッジ。
- 前室(22)と後室(23)との間の可動壁(26)をブチルゴムから形成したことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の注射液カートリッジ。
- 筒体(21)をガラスから形成したことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の注射液カートリッジ。
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