JP3669714B2 - 塩化ビニル手袋およびその製造方法 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は塩化ビニル手袋に関し、さらに詳細には、粉体を用いないにも係わらず脱着が容易で、家庭用もしくは作業用手袋として利用することのできる塩化ビニル手袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、家庭用または作業用の手袋では、その基体に塩化ビニルが使用されている。 そして、現在、塩化ビニル手袋には柔軟性を得るために主原料の塩化ビニルとほぼ同量の可塑剤が配合されている。
【0003】
しかしながら、このように多量の可塑剤を配合した場合、その結果、手袋内面の粘着性が強くなり、使用時にも着脱しずらいという問題が発生した。 またこのことは、製造時に手型から反転離型する操作がしずらく、時として破れることさえあり、塩化ビニル手袋の製造上も隘路となっていた。
【0004】
従来より、上記の欠点を補うため手袋基体内面に無機物の微粉末等を散布する方法がとられていた。 しかしながら、この方法では、使用時に粉が手や物に付着し不快感を与えることがあり、また、電子工業、精密工業等粉塵を嫌う産業での使用に適さないという欠陥があった。
【0005】
そこで、例えば粒度の荒い塩化ビニル樹脂を手袋基体に一部混入させる方法やタルク、シリカ等の微粒子を散布付着させる方法等が報告されている。
また、特開昭62−85002号には、手袋基体を塩化ビニルのペーストレジンの水分散液中に浸漬した後加熱することにより、塩化ビニルのペーストレジンを溶着させる方法が、特開昭63−235508号には、塩化ビニル、アクリル樹脂、塩化ゴムからなる皮膜を形成せしめる方法が開示されている。
【0006】
しかし、これらの方法では、物性の変化や強度の低下をまねいたり、付着させた皮膜が剥がれる、使用時に異物感を与える等の不都合があり、充分に満足のいくものとはいい難かった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、使用時の粉塵や強度低下の問題がなく、かつ、着脱が容易で、製造時の反転離型にも問題のない塩化ビニル手袋の開発が要望されていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記実情に鑑み、塩化ビニル手袋の製造に関し鋭意研究を行なった結果、内部架橋した塩化ビニルレジンを手袋基体の内面に溶着せしめて皮膜を設けることにより、上記要求を満足する塩化ビニル手袋が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明は、手型を塩化ビニルゾルに浸漬し、これを引き上げた後加熱して半ゲル化状態とし、次いで内部架橋した塩化ビニルレジンを含有する薄膜形成剤に浸漬し、更にこれをゲル化して表面に微小突起が形成された塩化ビニルの薄膜層を形成することを特徴とする内面に微小突起を有する塩化ビニル手袋の製造方法およびその製造方法により製造された内面に微小突起を有する塩化ビニル手袋を提供するものである。
【0010】
本発明塩化ビニル手袋において、内面に微小突起を有する塩化ビニル薄膜層を形成するためには、通常の方法により手型を用いて手袋基体層を成膜せしめた後、この上に内部架橋した塩化ビニルレジンを含有する薄膜形成剤(以下、「薄膜形成剤」という)を用いて薄膜層を形成せしめ、乾燥させた後、これを手型から反転離型させれば良い。
【0011】
より具体的に本発明手袋の製造法を説明すれば次の通りである。
すなわち、まず必要により可塑剤、安定剤、ゲル化剤、顔料等を配合した塩化ビニルペースト中に手型を浸漬し、これを引き上げ、加熱して手型表面の塩化ビニル樹脂を半ゲル化状態(セミキュアー)とする。
手袋基体をセミキュアーな状態にするためには、一般には、220℃前後の温度で、手袋基体を成膜するより短い時間、例えば、60秒〜3分30秒程度加熱ゲル化すれば良い。
【0012】
次いで、セミキュアー化した手袋基体を薄膜形成剤中に浸漬し、すぐにこれを引き上げ加熱して、手袋基体に薄膜形成剤を溶着せしめる。
【0013】
ここで用いる薄膜形成剤とは、塩化ビニルモノマーと重合性モノマーを共重合させることにより、ポリマー分子間が部分的に内部で架橋結合せしめた、粒径約1〜10μm程度の塩化ビニルレジンを含むものである。
【0014】
この薄膜形成剤における塩化ビニルレジンの架橋度は、皮膜形成時の凹凸に関係しており、架橋度が低い場合には凹凸が形成されず、逆に架橋度が高くなり過ぎると加熱時の熔融が不十分で手袋本体との溶着が困難となる。 従って、本発明においては、架橋度が約40%〜95%の範囲内、特に架橋度80%前後のものを用いることが好ましい。
【0015】
このような薄膜形成剤は、常法により調製し、これを溶剤に懸濁させ使用しても良いが、市販のものを利用しても良い。 好適に使用することができる市販品の例としては、塩化ビニル樹脂C−38(東ソー株式会社製)、塩化ビニル樹脂PX−UH(住友化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
【0016】
また、この薄膜形成剤には、必要に応じて他の任意成分、例えば可塑剤、界面活性剤、安定剤、消泡剤、希釈剤(溶剤)等を加えてもよい。 この場合、水をベースとしてもよく、あるいは可塑剤をベースに溶剤を加えて調製してもよい。
【0017】
更に、薄膜形成剤に抗菌剤や抗かび剤を配合すると、手袋内側で微生物やかび等の生育を抑えることができ、悪臭や着色を防ぐことも可能となる。 この皮膜ペーストに添加することのできる抗菌剤および抗かび剤の例としては、ネオシントール(神東塗料株式会社)、プリベントールBCM(バイエル株式会社)等を挙げることができる。
【0018】
最後に手袋基体層および微小突起を有する塩化ビニル薄膜層が完全にゲル化した後、これを冷却し、手型から反転離型させることにより本発明手袋が得られる。 完全にゲル化させるためには、一般には200〜230℃程度の加熱窯で、5〜7分間程度加熱処理すれば良い。
【0019】
本発明の手袋の製造法は、従来の同種の手袋製造工程に、塩化ビニル手袋基体をセミキュアさせた状態で薄膜形成剤に浸漬し、加熱溶着させる工程が加わったものである。 従って、上記で説明した以外は、塩化ビニル製手袋の製造において通常行われている条件および方法に従い実施することがでる。
【0020】
【作用】
本発明は、内部薄膜を内部架橋した塩化ビニルレジンで調製したことに特徴がある。すなわち、通常の塩化ビニルレジンを用いて皮膜を形成させても、皮膜表面が平坦であるため、依然として粘着性が残る。 これに対し、内部架橋した塩化ビニルレジンで形成される薄膜は、塩化ビニルレジン粒子の内部に架橋結合を有するため、図1に示すように粒子が比較的その形状を保持したままで周辺部のみ熔融し、皮膜表面に微細な凹凸(微小突起)を形成し、粘着性が低下する。
【0021】
しかも、この薄膜は材質が手袋基体と同じものであるため、親和性が良いものである。 従って、内側の薄膜の有する凹凸により手袋内面の粘着性が著しく低下して着脱し易くなり、しかも、この薄膜が基体とほぼ完全に溶着するので剥離する心配がなく、長期間に渡ってその効果を維持することができるのである。
【0022】
【発明の効果】
本発明の手袋は、内側に内部架橋した塩化ビニルペーストレジンの薄膜による微小な凹凸を有するため、内面の粘着性が低下し着脱が容易であり、物性の低下や異物感等もないものである。 また、形成した薄膜は手袋本体と完全に溶着するため、使用中に剥離することがなく、粉塵等を生じることもないものである。
【0023】
従って、一般的な家庭用および作業用手袋としても有利に使用することができるが、更に、電子工業、精密工業等の作業においても無塵手袋として使用しうるものである。
【0024】
さらに本発明方法によれば、手袋を手型より反転離型する操作も容易になり、しかも複雑な工程、操作を付加するものでないため、経済的にも優れ、産業上資するところが大きいものである。
【0025】
【実施例】
次に、実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例になんら制約されるものでない。
【0026】
実 施 例 1
表1の組成の塩化ビニルゾルに陶磁器性手型を浸漬し、ゾルが滴下しない程度の速さで引き上げ、手型表面に塩化ビニルゾルを付着させた。 次にこの手型を加熱窯(250℃)中で60秒間加熱処理し、手型表面の薄膜をセミキュアーにした。
【0027】
このセミキュアーの薄膜を表2の組成の薄膜形成剤中に10秒浸漬し、薄膜形成剤を付着させた。 再度、加熱窯(200℃)中で6分間加熱処理し、全体を完全にゲル化した後、手型より反転離型して手袋を得た(本発明品1)。
【0028】
【0029】
【0030】
*5 塩化ビニル樹脂C−38(東ソー株式会社)
*6 GWIS−120(日本エマルジョン株式会社)
*7 シリコンSM−5512(東レシリコン株式会社)
*8 SC−35(旭電化株式会社)
【0031】
実 施 例 2
薄膜形成剤として表3の組成のものを用いる以外は実施例1と同様の方法で手袋を作成した(本発明品2)。
【0032】
表 3
【0033】
* 9 塩化ビニル樹脂C−38(東ソー株式会社)
*10 DOP(三菱化成ビニール株式会社)
*11 SC−35(旭電化株式会社)
*12 ソルベッソS−100(エクソンケミカル株式会社)
【0034】
試 験 例 1
実施例1および2で得られた塩化ビニル製手袋について、30名のパネルにより、手型からの離型性、着脱性および内面の感触(粘着性)を調べた。 なお、対照としては、表2の組成において、塩化ビニル樹脂をC−38から121(通常の塩化ビニル樹脂)に代えたものを用いた。
この結果を表4に示す。
【0035】
【0036】
+ 評価基準
(手型からの離型性)
記 号 内 容
◎ 手型からの離型性が非常に良い。
○ 手型からの離型性が良い。
× 手型からの離型性が悪い。
【0037】
(着 脱 性)
記 号 内 容
◎ 手袋の脱着が極めて容易である。
○ 手袋の脱着が容易である。
× 手袋の脱着に困難を感じる。
【0038】
( 感 触 )
記 号 内 容
◎ 装着時に粘着性を感じない。
○ 装着時にほとんど粘着性を感じない。
× 装着時に粘着性を感じる。
【0039】
この試験結果から、本発明手袋は装着が容易であり、内面の粘着性がないものであることが明らかとなった。 また、手型からの離型性も良く、作業性も高いものであることが示された。
【0040】
試 験 例 2
本発明手袋の内側表面を、走査型電子顕微鏡により観察した。
この結果、図2および図3に示すように多くの微小突起が確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明手袋の断面を模式的に示す図面。なお、1の表面にもすべりを防ぐための、手型の模様による凹凸があるが、これは省略した。
【図2】 本発明手袋の内側表面を示す図面(写真;350倍)。
【図3】 本発明手袋の内側表面を示す図面(写真;750倍)。
【符号の説明】
1 手袋基体
2 微小突起を有する塩化ビニル薄膜層
3 微小突起
A 外側
B 内側
以 上
Claims (3)
- 手型を塩化ビニルゾルに浸漬し、これを引き上げた後加熱して半ゲル化状態とし、次いで内部架橋した塩化ビニルレジンを含有する薄膜形成剤に浸漬し、更にこれをゲル化して表面に微小突起が形成された塩化ビニルの薄膜層を形成することを特徴とする内面に微小突起を有する塩化ビニル手袋の製造方法。
- 請求項1記載の方法により製造された内面に微小突起を有する塩化ビニル手袋。
- 塩化ビニル薄膜層が、抗菌または抗かび剤を配合されたものである請求項2記載の塩化ビニル手袋。
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JP30585892A JP3669714B2 (ja) | 1992-10-21 | 1992-10-21 | 塩化ビニル手袋およびその製造方法 |
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JPH06136602A JPH06136602A (ja) | 1994-05-17 |
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JP30585892A Expired - Lifetime JP3669714B2 (ja) | 1992-10-21 | 1992-10-21 | 塩化ビニル手袋およびその製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3669714B2 (ja) |
-
1992
- 1992-10-21 JP JP30585892A patent/JP3669714B2/ja not_active Expired - Lifetime
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