JPH0753922B2 - 塩化ビニル樹脂製手袋の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル樹脂製手袋の製造方法

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JPH0753922B2
JPH0753922B2 JP22819890A JP22819890A JPH0753922B2 JP H0753922 B2 JPH0753922 B2 JP H0753922B2 JP 22819890 A JP22819890 A JP 22819890A JP 22819890 A JP22819890 A JP 22819890A JP H0753922 B2 JPH0753922 B2 JP H0753922B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、手にフイットし、かつ着脱が容易で塵の発生
しない塩化ビニル樹脂製手袋の製造方法に関するもので
ある。
〔従来の技術〕
従来、塩化ビニル樹脂製手袋は、主として家庭用に使用
されていたが、近年、精密工業における作業用にも、そ
の使用が増加している。しかしながら、塩化ビニル樹脂
製手袋は、柔軟性付与のため多量の可塑剤が配合されて
おり、そしてこの可塑剤が表面にブリードするため、粘
着性を示し、手袋製造時における手型からの離型性や、
使用時における着脱性に劣るという欠点があった。そこ
で、手袋内面にパイル植毛や無機物微粉末による打粉処
理が施されているが、クリーンルーム内で精密加工を行
う場合、植毛繊維や打粉成分が塵の発生原因となり、そ
の改善が要望されていた。
このような問題を解決する方法として、手型に塩化ビニ
ル樹脂層を形成した後、微粒子シリカを含有する合成樹
脂エマルジョンに浸漬処理して製膜し、冷却後、反転脱
型する方法が提案されている。(特公平2−19203号公
報参照) 〔発明が解決しようとする課題〕 上記従来の方法は、有機の合成樹脂エマルジョン中に、
無機の微粒子シリカを配分分散させるため、表面の凹凸
形成によってスリップ性は向上する。しかしながら、表
面にブリードした可塑剤が、合成樹脂を可塑化すると同
時に、シリカ内部にも吸着され、その結果、粘着性を完
全に抑えることができないという問題があった。
本発明は、従来の技術における上記のような問題点を解
決することを目的としてなされたものである。したがっ
て、本発明の目的は、スリップ性に優れ、着脱が容易で
塵の発生しない塩化ビニル樹脂製手袋を製造する方法を
提供することにある。
〔課題を解決するための手段及び作用〕
上記目的を達成するため、本発明者等は、微粒子シリカ
に代えて、特定の平均粒径を有する特定の有機縮合体を
使用したところ、合成樹脂エマルジョンとのなじみに優
れ、経時によっても有機縮合体が沈降分離せず、かつ着
脱が容易な塩化ビニル樹脂製手袋を製造することができ
ることを見出だし、しかも特定の平均粒径を有する特定
の有機縮合体の使用により感触がドライとなり傷付きに
くいという付随的効果も発揮されることを見出だし、本
発明を完成するに至った。
本発明の塩化ビニル樹脂製手袋の製造方法は、表面に塩
化ビニル樹脂層を形成した手袋用手型を、平均粒径1〜
4μmの尿素ホルムアルデヒ縮合体および/またはベン
ゾグアナミンホルムアルデヒド縮合体から選ばれる有機
縮合体を樹脂固形分100重量部に対して10〜60重量部配
合しなる合成樹脂エマルジョン中に0.1〜1分浸漬し、
次いで引き上げ、160〜200℃で1〜3分加熱した後、冷
却して、塗膜表面に凹凸を有する皮膜を形成した後、形
成された積層膜を反転脱型することを特徴とする。
次に、本発明について詳細に説明する。
表面に塩化ビニル樹脂層を形成した手袋用手型は、通常
一般に実施されている方法によって製造することができ
る。即ち、金属製又は陶磁器製の手型を、塩化ビニルペ
ーストレジンに可塑剤、安定剤、顔料、および必要に応
じてゲル化剤、希釈剤、充填剤等を添加混練して得られ
る塩化ビニル樹脂ゾルに浸漬して、手型表面に塩化ビニ
ル樹脂ゾルの薄層を形成させ、次いで、それを加熱して
ゲル化させればよく、それによって手型表面に塩化ビニ
ル樹脂層が形成される。
本発明においては、上記のようにして得られた、表面に
塩化ビニル樹脂層を形成した手袋用の手型を、平均粒経
1〜4μmの尿素ホルムアルデヒド縮合体および/また
はベンゾグアナミンホルムアルデヒド縮合体から選ばれ
る有機縮合体を配合した合成樹脂エマルジョンに浸漬
し、ついで引き上げて加熱処理することにより、手型表
面の塩化ビニル樹脂層の上に、さらに尿素ホルムアルデ
ヒド縮合体および/またはベンゾグアナホルムアルデヒ
ド縮合体から選ばれる有機縮合体を含有する合成樹脂層
を形成させる。
本発明において使用する合成樹脂エマルジョンとして
は、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ウレタン樹
脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、塩化ビニル−
(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−塩
化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アク
リル酸エステル共重合等の一種又は二種以上の混合物の
水分散体があげられる。
合成樹脂エマルジョンは、樹脂固型分濃度5〜20重量%
の範囲で使用するのが好ましい。使用に際しては、通常
用いられる界面活性剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤
等の各種添加剤を添加することが好ましい。
本発明において使用する尿素ホルムアルデヒド縮合体お
よび/またはベンゾグアナミンホルムアルデヒド縮合体
から選ばれる有機縮合体としては、尿素・ホルムアルデ
ヒド縮合体、メラニン・ホルムアルデヒド縮合体、ベン
ゾグアナミン・メラニン・ホルムアルデヒド縮合体、ベ
ンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合体等があげられ
る。これらの有機縮合体は、その粒径が1〜4μmの範
囲のものであることが必要である。粒径が1μm未満の
場合には、表面の凹凸がなくなり、スリップ性が低下し
て着脱が困難となる。一方、粒径が4μmを越えると、
表面の凹凸が粗すぎ、フイット感が減少してザラザラし
た感じを生じる。
本発明においては、これらの有機縮合体は、前記合成樹
脂エマルジョン中に、合成樹脂固形分100重量部に対し
て、10〜60重量部の範囲で配合する。有機縮合体の配合
量が10重量部未満の場合には、有機縮合体の配合効果が
得られなくなり、一方、60重量部を越える場合には、塗
膜にクラックを生じ、外観を損なうと同時に、ザラザラ
した感が生じ、商品価値を損なうようになる。
本発明において、塩化ビニル樹脂層を形成した手型を有
機縮合体を配合した合成樹脂エマルジョン中に浸漬する
際の浸漬時間は、一般には0.1〜1分の範囲であること
が必要である。合成樹脂エマルジョンにおける樹脂濃度
および粘度は、合成樹脂の膜厚が1〜5μmになるよう
に調整すればよく、一般には、樹脂濃度5〜15重量%、
粘度10〜50CPSの範囲が好ましい。
又、合成樹脂エマルジョンの浴温としては、40〜60℃の
範囲が、膜の形成を促進し、浸漬時間の短縮につながる
ので好ましい。
上記のように手型を有機縮合体を配合した合成樹脂エマ
ルジョンに浸漬した後、手型を引き上げ、加熱処理を行
う。加熱処理は、160〜200℃の雰囲気中で1〜3分間保
持することにより行われる。それによって、最表層に有
機縮合体を含有する合成樹脂層、その下に塩化ビニル樹
脂層が形成された手型が得られる。最後に、この手型を
冷却し、手型上に形成された積層膜を反転脱型する。そ
れにより塩化ビニル樹脂製手袋が製造される。
有機縮合体を含有する合成樹脂層は、その表面を三次元
粗さ計で測定したところ、非常に緻密な凹凸が形成され
ており、この結果、手にフイットして一体感が増し、か
つ着脱が容易になるものと考えられる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
実施例1 常法に従って、塩化ビニルペーストレジン(商品名:ゼ
オン121、日本ゼオン社製)100重量部、可塑剤:D.O.P.7
0重量部、およびエポキシ系安定剤(商品名:アデカサ
イザー0−130P、アデカアーガス社製)3部を配合する
ことによって得られたゾル中に、磁器製手型を0.1分間
浸漬し、次いでゾルが滴下しない速さで引き上げた後、
雰囲気温度250℃の加熱炉に入れて回転させながら1分
間保持した。
次に、固形分45%の塩化ビニル樹脂エマルジョン40部
と、固形分30%のポリメチルメタクリレートエマルジョ
ン60部との混合物を樹脂固形分濃度20重量%に調整し、
平均粒径2μmの尿素・ホルムアルデヒド縮合体12部を
配合して、有機縮合体濃度33重量%の混合樹脂水分散液
を調製した。この混合樹脂水分散液中に、上記の手型を
10秒間浸漬した。その後、手型を引上げ、雰囲気温度16
0℃の加熱炉内で1.5分間保持した。ついで空気中で冷却
し、手型から反転離型させて塩化ビニル樹脂製手袋を得
た。
実施例2〜4および比較例1〜5 実施例1の方法において、有機縮合体の種類、および/
または配合量を第1表に示すように代えた以外は、すべ
て同じ方法を実施して、塩化ビニル樹脂製手袋を得た。
得られた結果を第1表に示す。なお、第1表中、評価基
準は次の通りである。
仕上り外観:塗膜面を目視で判定した。〇…クラック発
生なし、×:クラック発生あり。
感触:塗膜面の手触り感で判定した。◎…粘着又はざら
つき感なし、〇…粘着又はざらつき感殆どなし、×…粘
着感あり。
手袋の脱着性:◎…非常に良好、〇…良好、×…不良。
塗膜面の傷付き性:塗膜面を爪で引っ掻き、判定した。
◎…傷付きなし、〇…殆ど傷付きなし、×…傷付きあ
り。
〔発明の効果〕 本発明は、上記のように、特定の平均粒径を有する特定
の有機縮合体を特定量含有する合成樹脂エマルジョンに
よって塩化ビニル樹脂層上に有機縮合体を含有する合成
樹脂層を形成するから、スリップ性に優れ、着脱が容易
で塵の発生しない塩化ビニル樹脂製手袋を製造すること
ができる。しかも、本発明によって得られる塩化ビニル
樹脂樹脂製手袋は、感触がドライであり、傷付きにくい
という利点も有している。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に塩化ビニル樹脂層を形成した手袋用
    手型を、平均粒径1〜4μmの尿素ホルムアルデヒド縮
    合体および/またはベンゾグアナミンホルムアルデヒド
    縮合体から選ばれる有機縮合体を樹脂固形分100重量部
    に対して10〜60重量部配合しなる合成樹脂エマルジョン
    中に0.1〜1分浸漬し、次いで引き上げ、160〜200℃で
    1〜3分加熱した後、冷却して、塗膜表面に凹凸を有す
    る皮膜を形成した後、形成された積層膜を反転脱型する
    ことを特徴とする塩化ビニル樹脂製手袋の製造方法。
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