JP3666222B2 - プラスチック積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置、タッチパネル及び太陽電池変換素子等の基板に好適に使用されるプラスチック積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロニクス技術の急速な進歩に伴い、特に液晶表示装置、タッチパネル、太陽電池変換素子等、光エレクトロニクス分野は拡大している。一般的に、光エレクトロニク素子は、素子を、透明導電層を有するガラス基板上に形成することにより各種用途に供されている。しかしながら、ガラスは重量が大きく、可搬型装置に組み込んだ場合は、ガラスの大きな比重のため機器の重量が大きくなるという問題があった。そのため、軽量化が強く望まれており、ガラス基板に代わるプラスチックシートとして、強度、透明性、耐熱性等に比較的優れたポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート等のシート基板が採用されつつある。
【0003】
しかしながら、現状のこれらシート基板は、厚さが0.1mmm程度であるので、従来のガラス基板に比べて剛性に欠ける。剛性を付与するため、フィルムの膜厚化が考えられるが、溶媒キャスト法では、発泡、平面性の低下、残留溶媒の問題のため現実的には厚さ0.2mm程度の製造が限界である。また、液晶素子への応用のためにはシート基板の複屈折率が通常20nm以下、好ましくは10nm以下であることが必要であるが、プラスチック成形の際、分子配向を受けやすく低複屈折の成形体を製造するのは困難である。そこで、特開平7ー36023号公報などには、複屈折率の小さいシートを2層積層した光学プラスチックシートが提案されているが、かかるシートでは熱可塑性樹脂であるために、剛性が小さく、また、耐薬品性についても大きく劣るといった欠点がある。また、特開平6ー116406号公報には、光学用シートとして基材シートの表面層に硬化性樹脂をコートしたものが提案されているが、かかるシートも基板洗浄時にシート側面から溶剤により膨潤、溶解されるため結果として、耐薬品性に劣り、また、基板の剛性も十分なものではないという問題がある。
【0004】
更に、光エレクトロニクス素子分野では、特に高度の光学特性、ガスバリア性、電気伝導性、機械強度等が要求されるため、実際には、各機能を有する複数層ないしは膜からなる積層構造の基板が用いられ、例えば、特開平2−5308号公報には、プラスチック成形体上の両面に硬化被膜を設け、片面に導電膜を設け、他方片面には金属酸化物被膜を設けた積層体が提案されている。しかしながら、この積層体では、基材シートだけの問題以外にも、各層の性質の相違や密着性の問題等により、加熱時のクラックが発生し易い等の問題がある。
【0005】
一方、ガラス代替基板として有用なプラスチックシート基板であるが、利用価値を高めるには、軽量であることのみならず、可撓性を合わせ持つことが必要である。即ち、ある曲率で基板を撓ませた(屈曲させた)際に、導電膜にクラックが入ったりせず、電気伝導性を保つことが必要である。しかしながら、従来のプラスチックシート基板では、その耐屈曲性が不十分であるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑み、液晶素子装置、タッチパネル、太陽電池等の基板として十分な耐屈曲性を持つプラスチック積層体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
ー 本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、光硬化樹脂を基板しートを含む特定構造のプラスチック積層体の諸物性が顕著に優れていること注目し、本発明に到達した。即ち、本発明のうち、第一発明は、光硬化性樹脂層と導電膜の間にガスバリア膜と硬化被膜を介在させてしてなることを特徴とするプラスチック積層体であり、第二発明は、光硬化性樹脂層の両側に硬化被膜を積層し、一方の該硬化被膜の片側にガスバリア膜を、他方の該硬化被膜に導電膜を積層してなることを特徴とするプラスチック積層体に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明のプラスチック積層体について更に詳細に説明する。
(光硬化性樹脂層)
光硬化性樹脂層は、本発明のプラスチック積層体の基材層を構成する。該基材層となる光硬化性樹脂シートを形成する光硬化性樹脂とは、紫外線等の照射によって硬化する樹脂である。具体的には、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物よりなる樹脂組成物、このアクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物よりなる樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のオリゴマーを多官能アクリレートモノマーに溶融せしめた樹脂組成物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0009】
このうち、式(1)で示される含イオウビス(メタ)アクリレート及び式(2)で示される脂環骨格ビス(メタ)アクリレートより選ばれる少なくとも1種のビス(メタ)アクリレートよりなる組成物が耐薬品性、剛性等の面で好ましい。
なお「(メタ)アクリレート」は、アクリレートないしメタクリレートを総称するものである。
【0010】
【化6】
【0011】
[式(1)中、R1 及びR2 は、互に異っていてもよく、水素原子又はメチル基を示す。R3 は炭素鎖中に酸素原子及び/又は硫黄原子を有していてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基を示す。R4 は炭素鎖中に酸素原子及び/又は硫黄原子を有していてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基を示す。Xはハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示し、aは0〜4の整数を示す。但しaが2以上の整数の場合には、複数のXは互に異っていてもよい。]
式(1)で示される化合物のいくつかを例示すれば、次の通りである。p−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオメチル)ベンゼン、p−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオメチル)ベンゼン、m−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオメチル)ベンゼン、m−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオメチル)ベンゼン、p−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルオキシエチルチオメチル)ベンゼン、p−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオエチルチオメチル)ベンゼン、p−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオメチル)テトラブロムベンゼン、m−ビス(β−メタクリロイルオキシエチルチオメチル)テトラクロロベンゼン。これらの化合物は、例えば、特開昭62−195357号公報に開示されている方法で合成することができる。
【0012】
【化10】
【0013】
[式(2)中、R5 及びR6 は、互に異っていてもよく、水素原子又はメチル基を示す。bは1又は2を示し、cは0又は1を示す。]
式(2)で示される化合物のいくつかを例示すれば、次の通りである。ビス(オキシメチル)トリシクロ〔5.2.1.02 , 6 〕デカン=ジアクリレート、ビス(オキシメチル)トリシクロ〔5.2.1.02 , 6 〕デカン=ジメタクリレート、ビス(オキシメチル)トリシクロ〔5.2.1.02 , 6 〕デカン=アクリレートメタクリレート、ビス(オキシメチル)ペンタシクロ〔6.5.1.13 , 6 .02 , 7 .09 , 13〕ペンタデカン=ジアクリレート、ビス(オキシメチル)ペンタシクロ〔6.5.1.1.3 , 6 .02 , 7 .09 , 13〕ペンタデカン=ジメタクリレート、ビス(オキシメチル)ペンタシクロ〔6.5.1.1.3 , 6.02 , 7 .09 , 13〕ペンタデカン=アクリレートメタクリレート。これらの化合物は、例えば、特開昭62−225508号公報に開示されている方法で合成することができる。
【0014】
以上の式(1)及び式(2)で示される(メタ)アクリレートは、単独もしくは2種以上を併用して用いることができる。式(1)の化合物を単独で用いる場合、本発明により得られる低複屈折板の屈折率は、ナトリウムのD線(589.3mm)において室温で1.54〜1.65となり、高屈折率を有する。また式(2)の化合物を単独で用いる場合は比較的低い屈折率1.47〜1.51となる。したがって式(1)及び式(2)で示される化合物を2種以上併用することにより、1.47〜1.65の間で所望の屈折率を有する低複屈折板を得ることができる。
【0015】
光硬化性樹脂は、上記ビス(メタ)アクリレートを、単独で重合させて使用することができるが、下記の式(3)、(4)及び(5)で示される分子内に2個以上のチオール基を有するメルカプト化合物より選ばれる少なくとも1種のメルカプト化合物をビス(メタ)アクリレート80〜99.1重量部に対して、0.1〜20重量部、より好ましくは1〜15重量部、更に好ましくは5〜10重量部配合することにより複屈折の低減、適度の靱性を付与することができる。メルカプト化合物が20重量部を超えると耐熱性が低くなるのであまり好ましくない。
【0016】
【化8】
【0017】
[式(3)中、複数のR7 は互に異っていてもよく、それぞれメチレン基又はエチレン基を示す。R8 は炭素鎖中に酸素原子及び/又は硫黄原子を含んでいてもよい炭素数2〜15、好ましくは2〜6の炭化水素残基を示す。dは2〜6の整数を示す。]
即ち、式(3)で示される化合物は、チオグリコール酸又はチオプロピオン酸とポリオールとのジエステル〜ヘキサエステルである。そのいくつかを例示すると、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ジエチレングリコールビス(β−チオプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(チオグリコレート)、トリエチレングリコールビス(β−チオプロピオネート)、トリエチレングリコールビス(チオグリコレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(β−チオプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(チオグリコレート)などが挙げられる。
【0018】
【化9】
【0019】
[式(4)中、Yは互に異っていてもよく、HS−(CH2 )e −(CO)(OCH2 −CH2 )f −(CH2 )g −を示す。但しeは1〜4の整数、fは1〜4の整数、gは0〜2の整数をそれぞれ示す。]
即ち、式(4)の化合物はω−SH基含有トリイソシアヌレートである。そのいくつかを例示すると、トリス〔2−(β−チオプロピオニルオキシ)エチル〕イソシアヌレート、トリス(2−チオグリコニルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス〔2−(β−チオプロピオニルオキシエトキシ)エチル〕イソシアヌレート、トリス(2−チオグリコニルオキシエトキシエチル)イソシアヌレート、トリス〔3−(β−チオプロピオニルオキシ)プロピル〕イソシアヌレート、トリス(3−チオグリコニルオキシプロピル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
【0020】
【化10】
【0021】
[式(5)中、R9 及びR10は、互に異っていてもよく、炭素数1〜3の炭化水素基を示す。m及びnはそれぞれ0又は1を示す。pは1又は2を示す。]
すなわち、式(5)の化合物はα,ω−SH基含有化合物である。そのいくつかを例示すると、ベンゼンジメルカプタン、キシリレンジメルカプタン、4,4′−ジメルカプトジフェニルスルフィドなどが挙げられる。
【0022】
また、以上の光硬化性樹脂の重合の際に用いる他の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メタクリロイルオキシメチルテトラシクロドデカン、メタクリロイルオキシメチルテトラシクロドデセン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2′−ビス[4−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,4−ビス(メタクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物、スチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン等の核及び(又は)側鎖置換及び非置換スチレンなどが挙げられる。これらの他の単量体の中でもメタクリロイルオキシメチルシクロドデカン、2,2−ビス[4−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,4−ビス(メタクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、及びこれらの混合物が特に好ましい。更に、これらには少量の酸化防止剤、紫外線吸収剤、染顔料、充填剤等を含んでいてもよい。
【0023】
以上のようなビス(メタ)アクリレート又はビス(メタ)アクリレートとメルカプト化合物との混合物は、紫外線等の活性エネルギー線によりラジカルを発生する光重合開始剤を添加する公知のラジカル重合により硬化させる。その際に用いる光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。好ましい光開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾフェノンである。これら光重合開始剤は2種以上を併用してもよい。
【0024】
光重合開始剤の添加量は、モノマー100重量部に対し0.01〜1重量部、好ましくは0.02〜0.3重量部である。光重合開始剤の添加量が多すぎると、重合が急激に進行し複屈折の増大をもたらすだけでなく色相も悪化する。また少なすぎると組成物を充分に硬化させることができなくなる。
照射する活性エネルギー線の量は、光重合開始剤がラジカルを発生する範囲であれば任意であるが、極端に少ない場合は重合が不完全なため硬化物の耐熱性、機械特性が十分に発現されず、逆に極端に過剰な場合には硬化物の黄変等の光による劣化を生じるので、モノマーの組成及び光重合開始剤の種類、量に合わせて200〜400nmの紫外線を好ましくは0.1〜200Jの範囲で照射する。使用するランプの具体例としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯ランプ等を挙げることができる。
【0025】
硬化を速やかに完了させる目的で、熱重合を併用してもよい。即ち、光照射と同時に組成物並びに型全体を通常30〜300℃の範囲で加熱する。この場合は重合をよりよく完結するためにラジカル重合開始剤を添加してもよいが、過剰な使用は複屈折の増大と色相の悪化をもたらす。熱重合開始剤の具体例としてはベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)等が挙げられ、使用量はモノマー100重量部に対して1重量部以下が好ましい。
【0026】
更に、光照射によるラジカル重合を行った後、硬化物を加熱することにより重合反応の完結及び重合時に発生する内部歪を低減することも可能である。加熱温度は、硬化物の組成やガラス転移温度に合わせて適宜選択されるが、過剰な加熱は硬化物の色相悪化をもたらすため、ガラス転移温度付近かそれ以下の温度が好ましい。
【0027】
光硬化性樹脂シートの成形方法は、少なくとも一面が活性エネルギー線を透過可能な2枚の相対する平板(以下「成形型」という。)を用いスペーサー等によりキャビティを形成させ周辺部をシールしてなる注入型に光硬化性樹脂を注入し、活性エネルギー線を照射して光硬化性樹脂を硬化させる。成形型の材質は、硬化後のシートの表面から、好ましくは研磨ガラスを用い、光硬化性樹脂を硬化させるに充分な活性エネルギー線の透過性を持ち、熱等により容易にその形状を変形させないものであればよい。また、研磨ガラスと同等な表面性を得られるアクリル板等のプラスチック等が挙げられる。
【0028】
また、必要により成形型上に剥離剤等の塗布、又は剥離層を設け硬化後の光硬化性樹脂シートを成形型より除去し易くする処理を行うこともできる。用いる剥離剤、剥離層、その塗布方法などについては特に限定すされるものではないが、光硬化樹脂を硬化させるに充分な活性エネルギー線の透過性を持つ物質であり、更に、光硬化性樹脂を硬化させるための活性エネルギー線や、硬化時に発生する熱等により容易にその形成状態を変形しない物質であり、ガラス表面並の平面性が得られる物質であればよい。
【0029】
活性エネルギー線は光硬化性樹脂を硬化させるものであり、例えば、紫外線等が挙げられる。活性エネルギー線の照射量は用いる光硬化性樹脂を硬化させる量であればよい。キャビティを形成させるスペーサー等については、特に限定しないが、所望のシート厚さが得られるものであればよい。例えば、シリコンゴム等のゴム製、金属製の板もしくは棒状、テフロン等の樹脂製の板もしくは棒状が挙げられる。
(ガスバリア膜)
本発明における膜としては、無機酸化物膜、あるいは、エチレンービニルアルコール共重合体(例えば、エバール商品名エバール、ソアノール)、塩化ビニリデン等のガスバリアー性樹脂層が挙げられるが、好ましくは無機酸化物膜である。無機酸化物とは、金属、非金属、亜金属の酸化物であり、具体例としては、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化カルシウム、酸化カドミウム、酸化銀、酸化金、酸化クロム、酸化珪素、酸化コバルト、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化白金、酸化パラジウム、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化バリウム等が挙げられるが、酸化珪素が特に好ましい。なお、無機酸化物には、微量の金属、非金属、亜金属単体やそれらの水酸化物、また、可撓性を向上させるために適宜炭素又はフッ素が含まれていてもよい。ガスバリア層を形成する方法としては、樹脂等をコートする方法、無機酸化物よりなる蒸着膜を形成する方法が挙げられる。蒸着膜を形成する方法としては、真空蒸着法、真空スパッタ法、イオンプレーティング法、CVD法等、従来公知の方法が使用できる。
【0030】
以上のガスバリア膜の厚さは特に制限はなく、ガスバリア膜の構成成分の種類によっても異なるが、酸素ガスバリア性及び水蒸気バリア性、更には経済性を考慮すると、膜の厚さは5〜50nmが好ましい。更に高度な酸素ガスバリア性や水蒸気バリア性を得るためには膜の厚さを厚くすればよいが、膜の厚さが5nm未満では膜が島状になって膜が形成されない箇所が生ずる可能性があり均一な膜が得られない傾向があるので余り好ましくない。
(硬化被膜)
本発明における硬化被膜としては、有機化合物系硬化被膜であれば、特に限定されることなく用いられるが、ハードコート剤、アンカーコート剤(プライマーコート剤)等より形成されるものである。その具体例としては、ハードコート剤としては、ポリウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどのアクリレートあるいは多官能アクリレート、光重合開始剤、及び有機溶剤を主成分とするものを使用することができる。また、アンカーコート剤としては、イソシアネート系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、アルキルチタネート系等の公知のアンカーコート剤がが挙げられる。これらの樹脂は、単独での使用あるいは2種以上の併用が可能であり、更に、各種硬化剤、架橋剤などを用いて三次元架橋することも可能である。
【0031】
硬化被膜として特に好ましいものを更に具体的に例示するに、表面硬度、耐熱性、耐薬品性、透明性などの諸特性を考慮した場合では、有機高分子としてシリコーン系樹脂を用いることが好ましく、特にアクリロイル基やメタクリロイル基を有するシランカップリング剤を含有する活性エネルギー線硬化性組成物が好適である。アクリロイル基やメタクリロイル基を有するシランカップリング剤を含む活性エネルギー線硬化性組成物を用いると、特に、金属酸化物等からなるガスバリア膜と硬化被膜との密着性がよくなり、かつ、ガスバリア性が特に向上する。その理由は詳らかでないが、密着性の向上は、シランカップリング剤が金属酸化物薄膜と化学結合し、かつシランカップリング剤のアクリロイル基やメタクリロイル基が共存する他の被膜形成々分と反応して硬化被膜を金属酸化物薄膜に強固に結合させることによるものと考えられる。また、ガスバリア性の向上も、金属酸化物薄膜を構成している金属酸化物粒子間の間隙を、シランカップリング剤ないしはそのアクリロイル基やメタクリロイル基と反応した被膜形成成分が充填することによるものと考えられる。
【0032】
シランカップリング剤は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少くとも一方を有するものであればよいが、反応速度の大きいアクリロイル基を有するものの方が好ましい。例えば、反応性基としてイソシアネート基やメルカプト基のみを有し、アクリロイル基やメタクリロイル基を有しないシランカップリング剤を使用したのでは、密着性は改良されない。これはシランカップリング剤と金属酸化物薄膜との結合は形成されても、このシランカップリング剤が共存する他の被膜形成々分と反応して被膜中に取込まれ難いことによるものと思われる。
【0033】
アクリロイル基やメタクリロイル基を有するシランカップリング剤としては、例えばγ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シランなどが挙げられる。
【0034】
これらのシランカップリング剤は、活性エネルギー線硬化性組成物中で、通常0.1〜60重量%、好ましくは0.2〜45重量%を占める。シランカップリング剤が少な過ぎると硬化被膜と金属酸化物薄膜との密着性が十分に発現され難い。これは組成物中の金属酸化物薄膜と反応する官能基の量が十分でないためと考えられる。逆にシランカップリング剤が過剰に存在すると、硬化被膜の耐アルカリ性が低下するようになることがある。これは金属酸化物薄膜と反応しないシランカップリング剤が、硬化被膜中に多量に残存し、これがアルカリと反応するためと考えられる。
【0035】
活性エネルギー線硬化性組成物は、シランカップリング剤を含む以外は、活性エネルギー線の照射により重合して硬化被膜を形成する常用のモノマーやオリゴマー、ポリマー等から成っている。例えばエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等のモノマーやオリゴマーが用いられる。これらのいくつかを例示すると、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、イソアミルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、N−ビニルピロリドンなど、1個以上の炭素−炭素二重結合を有する単官能および多官能のアクリルモノマー、メタクリルモノマー、ビニルモノマー類が挙げられる。 また、活性エネルギー線硬化性組成物には、公知の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、熱重合禁止剤などが配合されていてもよい。
【0036】
活性エネルギー線硬化性組成物で硬化被膜を形成するには、活性エネルギー線硬化性組成物をグラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法などの各種塗布方法で塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させればよい。このとき、塗布してから硬化させる前に予備加熱を行っても良い。活性エネルギー線硬化性組成物が溶剤で希釈されている場合は、この予備加熱の工程において溶剤を除去しなければならない。
【0037】
上記組成物は、通常揮発性溶媒により希釈して液状組成物として塗布されることが好ましい。溶媒として塗布されるものは、特に限定されないが、使用にあたって被塗布物の表面性状を損なわぬことが要求される。さらには、組成物の安定性、基材に対するぬれ性、揮発性などをも考慮して、溶媒は決められるべきである。また、溶媒は1種のみならず2種以上の混合物として用いることも可能である。溶媒としては、アルコール、エステル、エーテル、ケトン、ハロゲン化炭化水素、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素、および非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。
【0038】
なお、硬化被膜には、表面硬度の向上、屈折率の調節、機械的強度の向上、熱的特性の向上、硬化被膜上に設けられる金属酸化物膜、透明導電膜の耐久性向上などを目的に、無機微粒子が添加される。かかる無機微粒子としては、被膜状態で透明性を損なわないものであればとくに限定されない。作業性向上、透明性付与の点から特に好ましい例としては、コロイド状に分散したゾルが挙げられる。さらに具体的な例としては、シリカゾル、酸化アンチモンゾル、チタニアゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾル、酸化タングステンゾルなどが挙げられる。無機微粒子の添加量は、とくに限定されないが、効果をより顕著にするためには、透明被膜中に1重量%以上、80重量%以下含有されていることが好ましい。1重量%未満では明らかな添加の効果が認められにくく、また、80重量%を越えると透明樹脂との接着性不良や被膜自体のクラックが発生し、耐衝撃性が低下するなどの問題を生じる場合がある。無機微粒子の粒子径は、特に限定されないが、好ましくは1〜300mμ、更にら好ましくは5〜100mμのものが使用される。平均粒子径が300mμを越えるものを使用した場合は、生成する被膜の透明性が悪く、濁りが大きくなる傾向がある。また、微粒子状無機物の分散性を改良するために、各種の微粒子表面処理を行ってもよいし、各種の界面活性剤やアミンなどを添加しても何ら問題はない。
【0039】
硬化被膜形成時に使用されるコーティング組成物には、硬化促進や低温硬化などを可能とする目的で各種の硬化剤を併用してもよい。硬化剤としては、各種エポキシ樹脂硬化剤あるいは各種有機ケイ素樹脂硬化剤などが使用される。これらの硬化剤の具体例としては、各種の有機酸およびそれらの酸無水物、窒素含有有機化合物、各種金属錯化合物、金属アルコキシド、アルカリ金属の有機カルボン酸塩や炭酸塩などの各種塩や過酸化物、アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル重合開始剤などが挙げられる。これらの硬化剤は2種以上混合して使用することも可能である。これらの硬化剤の中でも、コーティング組成物の安定性、コーティング後の被膜の着色の有無などの点から、とくにアルミニウムキレート化合物が有用である。
【0040】
ここでいうアルミニウムキレート化合物としては、例えば、一般式AIXn Y3-n で示されるアルミニウムキレート化合物である。ただし、式中のXはOL(Lは低級アルキル基を示す)、Yは一般式M1 COCH2 COM2 (M1,M2 はいずれも低級アルキル基)で示される化合物に由来する配位子および一般式M3 COCH2 COOM4 (M3 ,M4 はいずれも低級アルキル基)で示される化合物に由来する配位子から選ばれる少なくとも一つであり、nは0,1または2である。一般式AlXnY3-n で示されるアルミニウムキレート化合物としては、各種化合物を挙げることができるが、組成物への溶解性、安定性、硬化触媒としての効果などの観点からとくに好ましいのは、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウム−ジ−n−ブトキシド−モノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−iso−プロポキシド−モノメチルアセトアセテートなどである。これらは2種以上を混合して使用することも可能である。
【0041】
硬化被膜形成時に使用されるコーティング組成物には、塗布時におけるフローを向上させかつ透明被膜の平滑性を向上させて被膜表面の摩擦係数を低下させる目的で各種の界面活性剤を添加することも可能である。界面活性剤としては、とくにジメチルポリシロキサンとアルキレンオキシドとのブロックまたはグラフト共重合体、およびフッ素系界面活性剤などが有効である。
【0042】
硬化被膜形成時に使用されるコーティング組成物中には、被膜性能や透明性などを大幅に低下させない範囲で、無機微粒子以外の無機酸化物なども添加することができる。これらの添加物の併用によって、基材との密着性、耐薬品性、表面硬度、耐久性などの諸特性を向上させることができる。添加可能な無機材料としては、例えば以下の一般式(C)で表される金属アルコキシド、キレート化合物および/またはその加水分解物が挙げられる。
【0043】
M(OR)m (C)
ここで、Mは、ケイ素、チタン、ジルコン、アンチモン、タンタル、ゲルマニウム、アルミニウムなどである。Rはアルキル基、アシル基、アルコキシアルキル基である。mは金属Mの電荷数と同じ値である。
硬化被膜は、前記コーティング組成物を硬化させることによって得られるが、硬化は加熱処理によって行なわれる。加熱温度は、コーティング組成物の組成や透明架橋樹脂の耐熱性を考慮して適宜選択されるが、好ましくは50〜250℃である。透明樹脂上への被膜の塗布方法としては、刷毛塗り、浸漬塗り、ロール塗り、スプレー塗装、スピン塗装、流し塗りなどの通常行なわれる塗布方法が容易に使用可能である。コーティング組成物の塗布にあたっては、清浄化、密着性および耐水性等の向上を目的として各種の前処理を施すことも有効な手段である。とくに好ましく用いられる前処理としては、活性化ガス処理、薬品処理、紫外線処理などが挙げられる。これらの前処理は、連続的または段階的に併用して実施することも十分可能である。
【0044】
以上の硬化被膜の膜厚は、とくに限定されるものではないが、接着強度の保持や硬度などの点から、通常0.1〜50μm、好ましくは0.3〜10μmである。また、被膜の塗布にあたって、作業性、被膜厚さ調節などの目的で、コーティング組成物は各種溶剤により希釈して用いられる。希釈溶剤としては、例えば、水、アルコール、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが目的に応じて種々使用可能であり、必要に応じて混合溶媒を使用することも可能である。微粒子状無機酸化物の分散性などの点から、水、アルコール、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、フェニルセロソルブなどの極性溶媒が好ましく用いられる。
(導電膜)
本発明のプラスチック積層体では、光硬化性樹脂層の上に導電膜を積層したものは、液晶表示装置基板として好ましく使用される。この導電膜を形成する導電物質としては、酸化インジウム、酸化スズ、金、銀、銅、ニッケル等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を混合して使用することができる。このうち、通常、酸化インジウム99〜90%と酸化スズ1〜10%との混合物よりなるインジウムスズオキサイド(以下「ITO」という)が透明性と導電性のバランスの面から特に好ましい。透明導電膜を形成する方法は、従来から公知の真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学蒸着法等を用いて行うことができる。このうち、スパッタリング法が密着性の点から好ましい。以上の透明導電膜の厚さは、通常500〜2000Åの範囲が透明性及び導電性のバランスの面から好ましい。
【0045】
また、 また、耐屈曲性能の高いプラスチック積層体として、液晶表示装置、タッチパネル等の光エレクトロニクス分野の基板に好適に使用されるには、導電膜の硬度が2GP以上、又は/或いは、スティフネスが1.5μN/nm以上、又は/或いは、モジュラス(ヤング率)が15GP以上であるプラスチック積層体であれば、一般に、積層体を撓ませても、導電膜にクラックが入らず、電気抵抗値も劣化しない。そして、好ましくは、硬度が3GP以上、又は/或いはスティフネスが1.5μN/nm以上、又は/或いは、モジュラス(ヤング率)が20GP以上である。
【0046】
一般に、成膜された膜は、基材(下地)と膜との熱膨張係数の差により内部応力が生じ、それが大きいと膜にクラックが入りやすいと云われている。膜の内部応力測定は、各種方法が知られているが、次の種々の理由で該プラスチック積層体においては適用できない。
(イ)成膜後の基板のたわみ量計測は、プラスチック基板の場合、熱等の影響分があるため不確かである。
(ロ)薄膜X線回折の結晶ピークの格子定数及び面間隔から求める方法は、膜が非晶質の場合は測定できない。
(ハ)ラマン散乱による測定では、基材がプラスチックであるため測定が難しい。
【0047】
また、膜の内部応力は、成膜後等の静止時におけるクラック発生と関係づけられてはいるものの、プラスチック積層体を撓ませた場合でのクラック発生には他の因子が含まれる。その一つが、プラスチック積層体を撓ませた時の基材シートに対する膜の追従性の良し悪しである。基材シートに対する膜の追従性が悪いとクラックが入りやすい。それを物性として評価として、硬度及び弾性が考えられ、撓みによる膜のクラック発生の有無の影響因子として直接的に特徴づけることができる。
【0048】
導電膜の硬度等の物性を特定値以上にするためには、導電膜の性質を制御してもよいが、積層体における層構成及び導電膜以外の層の性質も大きな影響を与える。なお、基板がプラスチックであるため成膜温度の上限は低く、また、他の成膜条件を如何に変化させても導電膜の物理的性質を変化させるには限りがある。一方、硬化被膜は、処方や硬化条件を変えるなど幅広い範囲で物理的性質を変化させることが比較的容易である。
(積層体の層構成)
積層体の層構成、第一発明は、光硬化性樹脂層と導電膜の間にガスバリア膜と硬化被膜を介在させてしてなるプラスチック積層体であり、かかる構成は図1、図2で示される。このような光硬化性樹脂層と導電膜の間にガスバリア膜と硬化被膜を介在させる構成を採用することにより、ガスバリア性が向上するとともに、導電膜の密着性が良好となる。
【0049】
また、第二発明は、光硬化性樹脂層の両側に硬化被膜を積層し、一方の該硬化被膜の片側にガスバリア膜を、他方の該硬化被膜に導電膜を積層してなるプラスチック積層体であり、かかる構成は図3で示される。このような光硬化性樹脂層の両側に硬化被膜を積層し、一方の該硬化被膜の片側にガスバリア膜を、他方の該硬化被膜に導電膜を積層させることでも、ガスバリア性が向上するとともに、導電膜の密着性が良好となる。また、硬化被膜が光硬化性樹脂層の両面に存在させることにより積層体のカール性を制御しやすくなり、シートのハンドリングの面においても特に望ましい。
(積層体の性質)
本発明のプラスチック積層体は、550nmの光の波長での光線透過率が80%以上であることが好ましい。光線透過率が80%未満だと、カラー表示等の場合、画面が暗くなるため使用でき難く、モノクロ表示素子等の用途にしか使用できない傾向にある。また、プラスチック積層体の複屈折率としては、20nm以下、特に10nm以下であることが好ましい。20nmよりも大きいと表示パネルとした場合、表示画面の色ムラが生じる傾向がある。
【0050】
一方、プラスチック積層体の厚さは、0.10〜2.00mmが好ましい。透明導電性シートは曲げ弾性率は大きいが、0.10mm未満ではシートが自重によりたわみ易く、従来のガラス製基板を使用した液晶表示装置の製造プロセスが使用できない傾向があり、2.00mmを超えると従来の1.5〜0.7mmのガラス基板と同じ重量となり、軽量化の目的からはずれてしまう。
【0051】
本発明のプラスチック積層体の応用例としては、例えば、液晶表示装置用基板として使用する場合、通常、プラスチック積層体によって液晶を挟んだ構成をとる。更に、プラスチック積層体の導電膜上に、必要に応じて絶縁膜、更に、その上に配向膜が設けられた基板により液晶層を挾持した製造をとる。液晶層を挾持した基板の外側には偏向板が設けられる。また、エレクトロルミネッセンス表示素子においては、通常、本発明のプラスチック積層体上に、発光体層、絶縁層及び背面電極を順次形成し、更に全体をガスバリア層で被覆した構造のものが例示される。この場合、発光体層には硫化亜鉛、硫化カドミウム、セレン化亜鉛等が、絶縁層には酸化イットリウム、酸化タリウム、窒化シリコン等が、背面電極にはアルミニウム等が用いられる。
【0052】
【実施例】
以下、本発明の内容および効果を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り以下の例に限定されるものではない。また、実施例及び比較例で得られたプラスチック積層体は、以下の方法により評価した。
<膜の厚さ>
実施例及び比較例により得られた積層体のガスバリア膜と導電膜については、積層体の断面を透過型電子顕微鏡(日立製作所製、H−600型)で観察し、薄膜の厚さを測定した。
<導電膜の表面抵抗値>
三菱化学(株)製の4端子法抵抗測定器(ロレスターMP)を用いて、表面抵抗値を測定した。
<導電膜の耐屈曲性試験>
5x10cm大きさのプラスチック積層体を、導電膜を内側にして長辺に沿ってφ25mmのステンレス管にプラスチック積層体を巻き付けた後、導電膜を外側にして巻き付け、その後、光学顕微鏡で導電膜のクラック発生の有無を調べ、表面抵抗値を上記方法で測定した。
<導電膜のインデント試験>
Hysitron社製PicoIndenterを用い、圧子押し込み深さが膜厚の約10分の1程度になる荷重(μN)で、一回のインデント(圧子押し込み)を10秒間で行い、1サンプルにつき5回測定し平均値を求めた。各回の測定は、圧痕の影響が生じないように測定箇所の距離を十分とった。また、サンプルは試料台に十分固定した。
<耐熱性>
ビガット軟化試験において、測定条件が、圧子断面積1.0mm、荷重5Kg、昇温速度50℃/hr、120℃以下で圧子が0.4mm以上進入したものを×、0.2〜0.4mm進入したものを△、0.1mm以下で進入がほとんどなかったものを○とした。
<複屈折率>
複屈折測定装置(オーク製作所製、ADR100)を使用し、632.8nmの波長で面内の複屈折率を測定した。
<光線透過率>
(株)日立製作所の分光光度計を使用し、波長550nmでの透過率を測定した。
<ITO膜表面の粗さ(Ra)>
表面粗さ測定器((株)東京精密製、サーフコーム575A)を用い、ダイヤモンド針(1μmR、90゜円錐)、測定長さ0.5mm、カットオフ値0.16mm、測定速度0.06mm/sec及び直線補正の条件で測定した。
実施例1
ビスオキシメチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタクリレート100重量部、光開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド(BASF社製「ルシリンTPO」)0.05重量部、ベンゾフェノン0.05重量部を均一に混合撹拌した後、脱泡して組成物を得た。この組成物をスペーサーとして厚さ0.4mmのシリコン板を用いた光学研磨ガラスの型に注入し、ガラス面上にある出力80W/cmのメタルハライドランプにてガラス型面に40J/cm2のエネルギーになるように照射後、ガラス型を離型し、厚さ約0.4mmの光硬化性樹脂シートを得た。
【0053】
得られた硬化樹脂シート(A)層の上に下記成分a,b,c,dをそれぞれ62、38、5、0.3%の割合で混合し、プロピレングリコールモノメチルエエーテルで希釈し、スピンコートで塗布し、出力80W/cmのメタルハライドランプにて5J/cm2のエネルギーになるように照射して、硬化被膜(C)を積層した。更に、硬化被膜(C)の上にアルバック社製RFスパッタリング機によりアルゴンガス全圧6.7E-1Pa、ターゲット材SIOで厚さ10nmの珪素酸化物薄膜(B)を成形させ、続いて同機で酸素分圧1E-2Pa、全圧6.7E-1Pa、ターゲット材ITO(酸化インジウムに対する酸化錫比95:5)で厚さ120nmのITO膜を形成させ、プラスチック積層体を得た。該積層体の評価結果を表−1に示す。また、該積層体の耐熱性、複屈折率、光線透過率、ITO膜表面の粗さも測定したがいずれも良好であった。
成分a;シシクロペンタニルジアクリレート、日本化薬(株)製カヤラッドR684
ジシクロペンタニルジアクリレート、日本化薬(株)製カヤラッドR684
成分b;トリメチロールプロパントリアクリレート及びエポキシアクリレート等混合物、日本化薬(株)製カヤラッドR130
成分c;1−ヒドロキシシクロエキシルフェニルケトンとビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドの混合物、日本チバガイギー(株)製イルガキュア1800
成分d;ポリエーテル変性シリコン、共栄社化学(株)製グラノール450
実施例2
積層の順を、光硬化性樹脂シート、珪素酸化物薄膜、硬化被膜、ITO膜の順に変えた他は、実施例1と同様にしてプラスチック積層体を得た。該積層体の評価結果を表−1に示す。また、該積層体の耐熱性、複屈折率、光線透過率、ITO膜表面の粗さも測定したがいずれも良好であった。
実施例3
珪素酸化物薄膜及びITO膜をアルバック社製DCスパッタリング機で成膜した他は、実施例1と同様にしてプラスチック積層体を得た。該積層体の評価結果を表−1に示す。また、該積層体の耐熱性、複屈折率、光線透過率、ITO膜表面の粗さも測定したがいずれも良好であった。
【0054】
【表1】
【0055】
【発明の効果】
本発明のプラスチック積層体は、耐薬品性及び剛性が優れており、従来のガラス基板プロセスを利用することが可能であり、基板の耐薬品性が優れているので透明導電膜の剥離、ひび割れを生じることがなく、またガラス基板を使用したものより軽量で、耐衝撃性にも優れているという特別に有利な効果を奏し、産業上の利用価値は極めて大である。
【0056】
本発明のプラスチック積層体は液晶表示装置用基板として好ましく使用され、TN(Twisted Nematic 型)、STN(Super Twisted Nematic 型、強誘電液晶)FLC(Ferroelectric Liquid Cristal)型などの単純マトリックス型、MIM(Metal-Insulator-Metal )型、TFT(Thin-Film Transistor)型などのアクティブマトリックス型などの液晶表示装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のプラスチック積層体の一態様を示す。
【図2】図2は、本発明のプラスチック積層体の一態様を示す。
【図3】図3は、本発明のプラスチック積層体の一態様を示す。
【符号の説明】
A:光硬化性樹脂
B:ガスバリア膜
C:硬化被膜
I:導電膜
Claims (11)
- 下記A、B、C、Iの4層からなり、かつ4層がこの順序で積層されてなるプラスチック積層体。
A:下式(1)及び(2)より選ばれる少なくとも1種のビス(メタ)アクリレートを含む組成物を活性エネルギー線により硬化させてなる光硬化性樹脂層
B:ガスバリア膜
C:シリコーン系樹脂またはシランカップリング剤を含む液状硬化性組成物を硬化させてなる硬化被膜
I:導電膜 - 下記A、C、B、Iの4層からなり、かつ4層がこの順序で積層されてなるプラスチック積層体。
A:下式(1)及び(2)より選ばれる少なくとも1種のビス(メタ)アクリレートを含む組成物を活性エネルギー線により硬化させてなる光硬化性樹脂層
B:ガスバリア膜
C:シリコーン系樹脂またはシランカップリング剤を含む液状硬化性組成物を硬化させてなる硬化被膜
I:導電膜 - 下記B、C、A、C、Iの5層からなり、かつ5層がこの順序で積層されてなるプラスチック積層体。
A:下式(1)及び(2)より選ばれる少なくとも1種のビス(メタ)アクリレートを含む組成物を活性エネルギー線により硬化させてなる光硬化性樹脂層
B:ガスバリア膜
C:シリコーン系樹脂またはシランカップリング剤を含む液状硬化性組成物を硬化させてなる硬化被膜
I:導電膜 - 導電膜の硬度が2GP以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかのプラスチック積層体。
- 導電膜のスティフネスが1.5μN/nm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかのプラスチック積層体。
- 導電膜のモジュラスが15GP以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかのプラスチック積層体。
- 光硬化性樹脂シートが式(1)及び(2)より選ばれた少なくとも1種のビス(メタ)アクリレート80〜99.9重量部と下式(3)、(4)及び(5)より選ばれた少なくとも1種のメルカプト化合物0.1〜20重量部とを含んでなる組成物を活性エネルギー線により硬化させて成形したシートであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかのプラスチック積層体。
- ガスバリア膜が無機酸化物からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかのプラスチック積層体。
- ガスバリア膜が酸化珪素からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかのプラスチック積層体。
- 導電膜がインジウムスズオキサイドからなることを特徴とする請求項2〜9のいずれかのプラスチック積層体。
- 請求項1〜10のいずれかのプラスチック積層体からなる液晶表示装置用基板。
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