JP3663874B2 - 電動機の制御装置および電気洗濯機 - Google Patents

電動機の制御装置および電気洗濯機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、家庭用や産業用の動力源として使用される電動機の制御装置およびこの電動機の制御装置を使用する電気洗濯機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般に直流ブラシレスモータと呼ばれる電動機の制御装置を図13に示す。この電動機の制御装置は、固定子1と、この固定子1の内側に回転自在に設けた回転子2から構成されている。固定子1には、珪素鋼板等を積層した鉄心にコイル3、4、5を3相に巻かれており、さらにホールIC6、7、8によって構成した位置検知手段9を有している。回転子2は、永久磁石10、11を設けている。
【0003】
インバータ回路12は、コイル3に接続されたもので、高電位側スイッチング素子13、低電位側スイッチング素子14の直列回路15を有している。さらにインバータ回路12は、高電位側駆動回路16と、低電位側駆動回路17を有するドライバ18を有しており、それぞれ高電位側スイッチング素子13と、低電位側スイッチング素子14に接続されている。直流電源19、20は、それぞれ高電位側駆動回路16と低電位側駆動回路17に直流電源を供給している。
【0004】
インバータ回路21、インバータ回路22はいずれもインバータ回路12と同等の構成となっており、インバータ回路12と同様に、直流電源23、24、25、26が接続されている。直流電源27は、インバータ回路12、21、22に入力されている。
【0005】
3相分配回路28は、位置検知手段9からの信号を入力し、論理式によって、a〜fの論理出力を行うものである。ここで、a、c、eは、3個のインバータのそれぞれ高電位側スイッチング素子をオンオフさせる信号であり、b、d、fは、3個のインバータのそれぞれ低電位側スイッチング素子をオンオフさせる信号である。
【0006】
AND回路29、30、31は、CMOSのロジックICを用いて構成したものであり、a、c、eの各信号を制御するもので、PWM回路32に接続されている。PWM回路32は、三角波の電圧を出力する発振回路33と、コンパレータ34を有している。コンパレータ34のプラス入力端子には、可変抵抗35の摺動端子gが接続されており、両端子h、iは、直流電源36に接続されている。
【0007】
以上の構成において、位置検知手段9によって回転子2の回転角を検知し、3相分配回路28によって、オンさせる高電位側スイッチング素子、低電位側スイッチング素子に対応するa〜fの信号をハイとし、高電位側駆動回路16と低電位側駆動回路17は、ハイ出力が入力された場合に、出力を約15ボルトとして印加することにより、当該のスイッチング素子をオン状態とする。
【0008】
ここで、直流電源19、20、23、24、25、26は、高電位側駆動回路や低電位側駆動回路を働かせ、また高電位側スイッチング素子もしくは低電位側スイッチング素子の制御端子(この場合にはIGBTのゲート端子)にゲート駆動パワーを供給する。
【0009】
コイル3、4、5は、いずれかの高電位側スイッチング素子と低電位側スイッチング素子によって電流が供給され、その結果、回転子2にはトルクが発生して回転し、動力を取り出すことができる。
【0010】
ここで、PWM回路32は、直流電源27の電圧を等価的に100%以下の任意の値に調整するものであり、可変抵抗35を操作することにより、g点の電圧が変化し、発振回路33より出力される三角波の電圧波形との交点により、コンパレータ34からハイとローが切り換えられる。g点の電圧を高くするとコンパレータ34から出力される信号の出力のハイの期間の割合が増加し、逆に低くすると減少するという動作がなされる。
【0011】
AND回路29、30、31は、PWM回路32の出力がハイの期間のみ、3相分配回路28の出力a、b、cをそのまま出力し、ロー期間においては、高電位側駆動回路に対して強制的にロー、すなわち高電位側スイッチング素子をオフさせる信号を発生させる。
【0012】
ここで、発振回路33の発信周波数は、15kHzとしているので、g点の電圧が発振回路33の出力である三角波のピーク電圧よりも低い場合には、a、b、cのいずれかハイとなっているものに対して、当該する高電位側スイッチング素子は15kHzでオンオフを繰り返すことになる。
【0013】
ただし、g点の電圧が発振回路33の出力である三角波のピーク電圧よりも高い場合には、a、b、cの信号がそのまま高電位側駆動回路に入力されるので、高電位側スイッチング素子は、発振回路33の発振周波数とは関係なく、オン状態が継続される。
【0014】
図14は、図13に示した電動機の制御装置の高電位側駆動回路16と低電位側駆動回路17を中心に詳細に回路構成を示した回路図であり、特に、3相の内の1相のみについて図示するものとし、他の2相について省略している。
【0015】
図14においては、直流電源27は、100V、60Hzの交流電源37、整流ブリッジ38、チョークコイル39、平滑コンデンサ40によって構成している。また、高電位側駆動回路16は、発光ダイオードとフォトトランジスタによって構成されたフォトカプラ41、NPNトランジスタ42、43、PNPトランジスタ44、抵抗45、46により構成している。低電位側駆動回路17は、NPNトランジスタ47、PNPトランジスタ48、抵抗49、50によって構成している。
【0016】
高電位側駆動回路16は、抵抗51を介してAND回路29の出力に接続し、また低電位側駆動回路17はそのままAND回路29の出力に接続している。
【0017】
スイッチング電源52は、直流電源19、20、23、24、25、26を供給する具体回路であり、NPNトランジスタ53、駆動回路54、トランス55、スナバ56、ダイオード57、58、59、60、61、電解式のコンデンサ62、63、64、65によって構成し、スナバ56は抵抗66、コンデンサ67で構成している。
【0018】
コンデンサ62からの出力は直流電源19として作用し、コンデンサ65からの出力は直流電源20、24、26として作用するものである。また、j、k、l、mの各端子については、接続の図示を省略しているが、これらは他の2相用の高電位側駆動回路の電源、すなわち直流電源23、25となるものである。
【0019】
このように、従来の技術では、低電位側駆動回路のための直流電源については、共通とすることができるが、高電位側駆動回路については、一般に良く使用される高電位側スイッチング素子がNチャンネルのIGBT(MOSFET)、もしくはNPNパワートランジスタ等であることから共通の直流電源で済ませることができず、結果として多数の直流電源が必要となり、一般に良く使用される3相6石の構成では、最低4つの出力が必要であった。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の構成の電動機の制御装置では、直流電源のプラス側に接続されている高電位側スイッチング素子をオンオフさせる高電位側駆動回路のための電源を、低電位側駆動回路や制御手段などと電気的に絶縁している構成であり、また、一般にこの種のインバータ回路は、3相6石のものを用いることから、スイッチング電源などによって最低4つの出力ができる電源を用いていたことから、電源回路が大形かつ重量が大で、コストも高いものとなっていた。
【0021】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、簡単な構成で、高電位側駆動回路に電源を供給することを可能とし、低コストの電動機の制御装置を実現することを第1の目的としている。
【0022】
また、この電動機の制御装置を具備し、初期充電モードの期間に、ブートストラップコンデンサに十分な充電を行い、簡単かつ低コストの回路構成で信頼性の高い電気洗濯機を実現することを第2の目的としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記第1の目的を達成するために、電動機の3相の電機子巻線に対応した3個の高電位側スイッチング素子と3個の低電位側スイッチング素子を有するインバータを第1の直流電源に接続し、このインバータの動作を制御手段により制御する。制御手段は、高電位側スイッチング素子の制御端子に接続した高電位側駆動回路の電源入力端子間にブートストラップコンデンサを接続し、回転子の位置に同期して、高電位側駆動回路と低電位側駆動回路を動作させることにより6個のスイッチング素子をオンオフし、電機子巻線に3相の交流を供給する駆動モードと、高電位側スイッチング素子をオフ状態に保ったまま低電位側スイッチング素子を間欠的にオンオフし、各ブートストラップコンデンサを第2の直流電源からダイオードと充電抵抗を通して充電する初期充電モードを有し、初期充電モードの期間は、ブートストラップコンデンサの静電容量と充電抵抗の積で定まる充電時定数を、初期充電モードでの低電位側スイッチング素子の導通比で除した時間以上とし、起動時には駆動モードに入る前に初期充電モードを行うようにしたものである。
【0024】
これにより、ブートストラップコンデンサの端子電圧を高電位側スイッチング素子の駆動に必要な値以上に確保し、簡単な構成で、高電位側駆動回路に電源を供給することが可能となり、さらに高電位側駆動回路に必要な電圧を確保し、高電位側スイッチング素子を確実にオンオフさせることができ、信頼性の高い低コストの電動機の制御装置を実現することができる。
【0025】
また、第2の目的を達成するために、上記電動機の制御装置と、電動機によって回転するパルセータを有し、洗浄の際には、正の回転方向の駆動モードの後、休止期間を設けて逆の回転方向の駆動モードに移り、かつ休止期間中に初期充電モードを設けたものである。
【0026】
これにより、初期充電モードの期間に、ブートストラップコンデンサに十分な充電が行われると共に、前回の駆動モードによる回転方向での残留回転エネルギーに対してブレーキとしても作用することから、簡単かつ低コストの回路構成で信頼性の高い電気洗濯機を実現することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、第1の直流電源と、3相の電機子巻線と回転子を有する電動機と、前記第1の直流電源の出力に接続され3相の電機子巻線に対応した3個の高電位側スイッチング素子と3個の低電位側スイッチング素子を有するインバータと、前記インバータの動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記高電位側スイッチング素子のそれぞれの制御端子に接続した高電位側駆動回路と、前記低電位側スイッチング素子のそれぞれの制御端子に接続した低電位側駆動回路と、前記高電位側駆動回路の電源入力端子間にそれぞれ接続されたブートストラップコンデンサと、ダイオードと、充電抵抗と、第2の直流電源とで構成し、前記回転子の位置に同期して、前記高電位側駆動回路と前記低電位側駆動回路を動作させることにより前記6個のスイッチング素子をオンオフし、前記電機子巻線に3相の交流を供給する駆動モードと、前記高電位側スイッチング素子をオフ状態に保ったまま前記3個の低電位側スイッチング素子を間欠的にオンオフし、前記各ブートストラップコンデンサを前記第2の直流電源から前記ダイオードと充電抵抗を通して充電する初期充電モードを有し、前記初期充電モードの期間は、前記ブートストラップコンデンサの静電容量と前記充電抵抗の積で定まる充電時定数を、前記初期充電モードでの前記低電位側スイッチング素子の導通比で除した時間以上とし、起動時には前記駆動モードに入る前に前記初期充電モードを行うようにしたものであり、簡単な構成で、高電位側駆動回路に電源を供給することが可能となり、さらに高電位側駆動回路に必要な電圧を確保し、高電位側スイッチング素子を確実にオンオフさせることができ、信頼性の高い低コストの電動機の制御装置を実現することができる。
【0028】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、制御手段は、初期充電モードと駆動モードへの移行の際に、3個の高電位側スイッチング素子と3個の低電位側スイッチング素子を一旦すべてオフさせるようにしたものであり、初期充電モードから駆動モードに移行する際に、高電位側スイッチング素子と低電位側スイッチング素子を通じて第1の直流電源が短絡されて大電流が流れて破壊するのを防ぐことができ、信頼性の高い電動機の制御装置を実現することができる
【0029】
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の電動機の制御装置と、電動機によって回転するパルセータを備え、洗浄の際には、正の回転方向の駆動モードの後、休止期間を設けて逆の回転方向の駆動モードに移り、かつ前記休止期間中に初期充電モードを設けたものであり、初期充電モードの期間に、ブートストラップコンデンサに十分な充電が行われると共に、前回の駆動モードによる回転方向での残留回転エネルギーに対してブレーキとしても作用することから、簡単かつ低コストの回路構成で信頼性の高い電気洗濯機を実現することが可能となる。
【0030】
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の電動機の制御装置と、電動機によって回転する脱水槽を有し、起動の際に初期充電モードを設けたものであり、簡単かつ低コストの回路構成で、信頼性の高い電気洗濯機を実現することが可能となる。
【0031】
請求項に記載の発明は、上記請求項またはに記載の発明において、初期充電モードでの低電位側スイッチング素子の間欠オン期間は、ブートストラップコンデンサの静電容量と充電抵抗の積で定まる充電時定数以下としたものであり、比較的簡単かつ低コストの回路構成で、ブートストラップコンデンサに対して高電位側駆動回路を動作させるのに必要な電圧を充電することができ、かつ第2の直流電源に必要な電流定格値を低く抑えることができる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0033】
(実施例1)
図1に示すように、第1の直流電源70は、例えば100V60Hzの商用の交流電源を全波整流し、この第1の直流電源70と、電動機73と、インバータ74と、制御手段75を有し、電動機73は3相の電機子巻線76、77、78と永久磁石71、72を有する回転子79を備え、インバータ74は第1の直流電源70の出力に接続している。
【0034】
制御手段75は、3相に対応した3個の高電位側スイッチング素子80、81、82のそれぞれの制御端子、すなわちゲートとエミッタ端子間に接続した高電位側駆動回路86、87、88と、3個の低電位側スイッチング素子83、84、85のそれぞれの制御端子に接続した低電位側駆動回路89、90、91を有している。さらに、高電位側駆動回路86、87、88の電源入力端子間には、それぞれ22μFのブートストラップコンデンサ92、93、94と、ダイオード95を接続している。
【0035】
その上、100Ωの抵抗値を持った充電抵抗110、111、112と、15Vの第2の直流電源96を有し、制御手段75は、回転子79の位置を常にホールIC97、98、99により構成した位置検知手段100で検知することにより、回転子79に同期して、高電位側駆動回路86、87、88と低電位側駆動回路89、90、91を動作させ、計6個のスイッチング素子をオンオフすることにより、電機子巻線76、77、78に3相の交流を供給する駆動モードを有している。
【0036】
CMOSのロジックICで構成したAND回路101、102、103は、マイクロコンピュータ104に接続されており、マイクロコンピュータ104には、位置検知手段100からの信号が入力され、その組み合わせおよび回転方向によって、出力を行うと同時にPWM信号も出力する。
【0037】
PWM信号は、15.5kHzでハイとローの論理を交互に出力すると共に、そのハイの期間の比率を加減するものとなっており、これはマイクロコンピュータ104内部にハードウエアで構成された、発振回路やカウンタやマグニチュードコンパレータ等の論理回路により、CPUからの値に応じて、自動的にPWM信号が出力される構成となっている。
【0038】
PWM信号は、AND回路101、102、103に入力させて論理積が高電位側駆動回路86、87、88に出力されるものとなっており、これによって駆動モードにおいて、高電位側スイッチング素子80、81、82を所定の導通比でオンオフするものとなっていて、等価的に第1の直流電源70の出力電圧値を低減させた状態と、ほぼ同様の運転ができるものとなっている。
【0039】
また、本装置は、高電位側スイッチング素子80、81、82をオフ状態に保ったままで、低電位側スイッチング素子83、84、85を同じタイミングで間欠的にオンオフし、ブートストラップコンデンサ92、93、94を第2の直流電源96からダイオード95を通して充電する初期充電モードも有している。そして、制御手段75は、起動時においては、駆動モードに入る前に初期充電モードで運転を行うものである。
【0040】
本実施例では、制御手段75は、初期充電モードから駆動モードへ移行する際に、高電位側スイッチング素子80、81、82と低電位側スイッチング素子83、84、85を、10ミリ秒間にわたり、一旦すべてオフさせる構成となっている。
【0041】
また、本実施例においては、高電位側駆動回路86、87、88により高電位側スイッチング素子80、81、82を所定の導通比でオンオフさせ、制動トルクを発生させるブレーキモードも有している。
【0042】
制御手段75は、ブレーキモードにおいては、低電位側スイッチング素子83、84、85はオフに保ったまま、マイクロコンピュータ104のPWM信号のハイの期間の比率を加減することにより、高電位側スイッチング素子80、81、82を回転子79の位置に同期した期間内について、85%の導通比でオンオフするものとなっている。また、その他の期間はオフとするものとなっている。
【0043】
加えて、制御手段75は、駆動モードからブレーキモードへの移行の際にも、高電位側スイッチング素子80、81、82と、低電位側スイッチング素子83、84、85を、10ミリ秒間にわたり、一旦すべてオフさせる構成となっている。
【0044】
以上の構成において動作を説明する。図2は、本実施例において、ブートストラップコンデンサ92が充電される等価回路を示している。ただし、3相分の回路は同様に構成されているので、他のブートストラップコンデンサ93、94についても同様の動作となる。
【0045】
図2においては、15Vの直流電圧を出力する第2の直流電源96から、充電抵抗110、ダイオード95を通して、ブートストラップコンデンサ92に充電電流が供給され、低電位側スイッチング素子83を通して、第2の直流電源96に戻るという回路が構成される。
【0046】
高電位側駆動回路86は、ブートストラップコンデンサ92から電源が供給され、低電位側スイッチング素子83がオフの期間中は、ブートストラップコンデンサ92の蓄積電荷が高電位側駆動回路86に供給されて動作する。
【0047】
図2に示す等価回路で、低電位側スイッチング素子83がオンとなる期間は、初期充電モードにおいては、マイクロコンピュータ104から低電位側駆動回路89にオン信号が出力され、低電位側スイッチング素子83のIGBT部分がオンした場合となるが、駆動モードおよびブレーキモードにおいては、上記以外にも高電位側スイッチング素子80がオン状態からオフ状態に移った場合に、電機子巻線76に流れていた電流が回路のインダクタンスにより、流れ続けようとする作用が発生し、低電位側スイッチング素子83のダイオード部分を通して循環電流が生ずるという現象が見られ、この期間についても、図2のスイッチで示す低電位側スイッチング素子83は、オンしている状態となり、したがってブートストラップコンデンサ92は、充電されることになる。
【0048】
なお、その他の条件として、高電位側スイッチング素子80と低電位側スイッチング素子83が共にオフの状態であっても、それ以外のスイッチング素子のオンオフ状態によっては、高電位側スイッチング素子80のエミッタ電位が引き下げられて、ブートストラップコンデンサ92が充電されることも起こるものであることを発明者らは確認しており、このような作用により、比較的簡単な構成でありながら、高電位側駆動回路86、87、88に対して、必要な電源電圧を確保することが可能となり、高電位側スイッチング素子80、81、82をオンオフすることができる。
【0049】
図3は、駆動モードにおいて、正の方向に力行運転を行う場合における、各部の電圧波形図を示している。
【0050】
図3において、(a)〜(c)は、それぞれ、位置検知手段100を構成するホールIC97、98、99からの出力電圧波形を示したものである。なお、本実施例では、ホールIC97、99については、対向する永久磁石の表面がS極である場合にはハイの出力を、N極である場合にはローを出力するように構成している。また、ホールIC98については、対向する永久磁石の表面がN極である場合にはハイの出力を、S極である場合にはローを出力するように構成している。(d)〜(i)は、マイクロコンピュータ104からの出力電圧波形V1〜V6を示している。
【0051】
なお、本実施例においては、ホールIC97、98、99を用いた位置検知手段100によって回転子79に同期した制御をおこなっているが、特にホールICによって磁気的に位置検知を行うものに限定するものではなく、例えば各電機子巻線に発生する誘導起電力を検出して、その出力にローパスフィルタを介して、その出力の零点を検知することにより、ホールICを用いた位置検知手段と同様の位置検知を行うものを使用してもよい。
【0052】
図3に見られるように、電気角で60度回転する度に、ホールIC97、98、99からの出力論理の組み合わせは、1ビットずつ変化して、それがマイクロコンピュータ104へと入力されることにより、正の方向に駆動するという情報がマイクロコンピュータ104で処理された結果として、V1〜V6が出力されている。
【0053】
同時に、マイクロコンピュータ104からは、PWM信号も出力されているため、AND回路101、102、103によって、ハイの期間に変調がかかった信号が高電位側駆動回路86、87、88に出力される。
【0054】
したがって、等価的に第1の直流電源70の電圧値に、PWM信号のハイの期間の比率を乗じた値が印加されたものとして電機子巻線76、77、78に3相の電流が供給され、よって、永久磁石71、72との間のフレミングの左手の法則に従った作用、反作用の力が発生し、これにより、回転子79にトルクを発生されるものとなり、回転の動力を機械的な負荷に供給することができる。
【0055】
図4は、同様に駆動モードにおいて、逆の方向、すなわち図3とは反対の回転方向で動力を出力する力行運転を行う場合での、各部の電圧波形を示したものである。
【0056】
この場合にも、マイクロコンピュータ104が逆の方向の駆動を行うという情報で、ホールIC97、98、99の信号を処理することにより、(d)〜(i)に示す出力波形が得られる。
【0057】
なお、本実施例において、マイクロコンピュータ104は、位置検知手段100からの信号が変化すると同時に、V1〜V6を切り換えているという簡単な制御方法により、ほぼ直流電動機に近い特性を実現しているものであるが、必要とあらば進角制御を行い、位置検知手段100からの信号に対して所定の電気角に相当する期間だけ進相となるようなタイミングで、V1〜V6を出力するような構成としてもよい。
【0058】
その場合には、進相する電気角により、電動機73の負荷角にほぼ等しい電気角の電圧波形の3相電圧が各電機子巻線に供給されることから、永久磁石による磁束と電機子電流との位相角がほぼ90度となり、電機子電流が有効にトルクとなる。
【0059】
これによれば、必要なトルクを得るために流れる電機子電流が低減でき、各スイッチング素子の電流定格を低減できるほか、電動機73の効率も向上することが可能となり、また電動機73内部の磁気回路に通る磁束の値についても、抑えることができるので、小形、軽量の設計も可能となる。
【0060】
図5は、本実施例の初期充電モードの前後における、本実施例の各部波形を示したもので、図5においては(a)〜(c)は、それぞれAND回路101、102、103からの出力を示しており、(d)〜(f)は、マイクロコンピュータ104の出力V4〜V6を示している。
【0061】
本実施例においては、まず6個のスイッチング素子がすべてオフとなる「オールオフ」期間を設け、その後初期充電モードの動作を行わせている。
【0062】
初期充電モードにおいては、低電位側駆動回路89、90、91に対して、1ミリ秒間オン、1ミリ秒間オフというパルスをマイクロコンピュータ104のスキャンタイマを使用し、プログラムを工夫することにより、ソフトウエアによって作り出して出力している。
【0063】
ハードウエアによるPWM信号に比較して、ソフトウエアによるパルス出力は、自由度が制限されるものとなるが、1ミリ秒単位でデューティレシオ(導通比)が50%のような制御であれば、比較的容易に実現することができる。本実施例では、初期充電モードは9パルスの期間出力し、9パルスのハイ期間の間に8回各1ミリ秒のロー期間が存在するため、合計で約17ミリ秒としている。
【0064】
一般に、抵抗を通してコンデンサを充電する場合、コンデンサの静電容量と抵抗器の抵抗値の積で定まる時定数よりも長い時間かけて充電することにより、接続されている直流電源の電圧にほぼ近い電圧値まで充電が行われるものとなるが、本実施例のように、低電位側スイッチング素子のオンオフがなされ、間欠的に充電が行われる場合には、正味の充電される時間がデューティ、すなわち低電位側スイッチング素子の導通比を乗じた時間値となることから、直流電源の電圧とほぼ近い電圧値まで充電するためには、ほぼ上記の時定数を上記の導通比で除しただけの時間が作用するものである。
【0065】
よって、上記の時定数を導通比で除した時間だけ初期充電モードを設けたならば、ブートストラップコンデンサの初期電荷が零の場合、ほぼ第2の直流電源96の電圧に(1−1/e)を乗じた電圧まで充電されることになる。なお、ここでeは自然対数の底であり、2.718…となるので、63%まで充電がなされることになる。
【0066】
本実施例においては、充電抵抗110、111、112の抵抗値100Ωとブートストラップコンデンサ92、93、94の静電容量の積で決まる時定数2.2ミリ秒に対して、時定数を前記の導通比で除した値は4.4ミリ秒となるが、初期充電モードの期間を17ミリ秒設けている。
【0067】
これは、4.4ミリ秒に対して3.8倍の時間に相当することから、ブートストラップコンデンサの初期電荷が零の場合であっても第2の直流電源96の電圧に対して、約98%に相当する電圧まで充電が行われるものとなっており、ブートストラップコンデンサ92、93、94充電が、ほぼ第2の直流電源96の電圧に等しい値となるまで進行させることができるという効果を上げている。
【0068】
また、本実施例においては、初期充電モードにおいて、低電位側スイッチング素子の間欠オン期間、すなわちスキャンタイマの時限を1ミリ秒という値としており、これは充電抵抗110、111、112の抵抗値100Ωと、ブートストラップコンデンサ92、93、94の静電容量22μFとの積によって定まる時定数である2.2粍秒に対して小さい値としている。
【0069】
これは、本願請求項7で示している条件としているもので、上記の範囲に定数を選定することによって、本実施例では、特にブートストラップコンデンサ92の充電に際して、第2の直流電源の負担が小さくてすむものとなり、すなわち初期充電モードにおいて低電位側スイッチング素子に対して間欠的なオンオフを行わず、例えば上記の時定数よりも長い10ミリ秒間程度の所定の期間にわたり、定常的なオン期間を設けて、ブートストラップコンデンサが充電抵抗から充電される場合と比較して、第2の直流電源の負担が著しく低減することが可能となるという効果を得ている。
【0070】
ちなみに、本実施例では、1ミリ秒としている間欠のオン期間長を、本願の請求項7に反して上記時定数2.2ミリ秒よりも長い期間、例えば5ミリ秒とした場合にあっては、たとえ間欠オンオフとするも、充電はほぼ1回目の低電位側スイッチング素子のオン期間中に完了してしまい、その期間中に第2の直流電源に多大な負担がかかることから、間欠オンオフとする意味がなくなってしまうものである。
【0071】
なお、本実施例では、3相に対応して3個の充電抵抗110、111、112を設けているが、必ずしも3個設ける必要はなく、例えば第2の直流電源96と直列になるように1個のみ設け、そこからダイオード95を接続するようにしてもよく、その場合にも3相に対応する3個のブートストラップコンデンサのトータルの静電容量と充電抵抗値の積によって定まる時定数に対して、上記のような関係が成り立つように時間を定めることにより、各ブートストラップコンデンサは、十分な充電がなされる。
【0072】
図5では、初期充電モードの後、さらにすべてのスイッチング素子をオフとするオールオフの期間を10ミリ秒間設け、その後、正の方向の駆動を行う駆動モードに入る状態で動作させている。
【0073】
したがって、初期充電モードで十分にブートストラップコンデンサ92、93、94が充電され、その後のオールオフ期間で一旦すべてのスイッチング素子をオフ状態とさせることにより、上下に接続された高電位側スイッチング素子80、81、82と低電位側スイッチング素子83、84、85の同時オンによる短絡電流の発生を防止している。
【0074】
すなわち、本実施例で使用しているIGBTに限らず、一般にスイッチング素子には、ゲート信号(ベース信号)に対するスイッチング動作の遅れ時間が存在し、しかも普通のバイポーラトランジスタやIGBTなどの場合には、オンからオフに移る時間が、オフからオンに移る時間に対して長くなるという特性を有していることから、上下に接続された2個のスイッチング素子の内、例えば低電位側スイッチング素子にオフの信号を出力し、同時に高電位側スイッチング素子にオンの信号を出力した場合などには、一時的に両スイッチング素子が共にオン状態となり、電源を短絡して大きな電流が流れるという現象が発生し、ひどい場合には、スイッチング素子を破壊させることもあるが、本実施例では、6個のスイッチング素子に対して10ミリ秒間オフの信号を与えていることから、このような短絡電流が流れることはなく、したがって信頼性の高い電動機の制御装置を実現することができる。
【0075】
なお、このオールオフ期間には、ブートストラップコンデンサ92、93、94は、高電位側駆動回路86、87、88によって電源電流が消費されるため、電圧が低下する傾向があるが、本実施例では、このオールオフ期間の長さを10ミリ秒としたことにより、22μFの電解コンデンサで各ブートストラップコンデンサを構成しながらも、0.5mAを高電位側駆動回路に供給した状態で、0.23Vの低下に抑えており、したがって、駆動モードの初期に十分な電源を供給することができる。
【0076】
図6は、正の方向に回転している状態でのブレーキモードにおける動作波形を示したもので、(a)〜(c)はホールIC97、98、99の出力電圧、(d)〜(f)は、それぞれAND回路101、102、103の出力、(g)〜(i)は、マイクロコンピュータ104の出力V4〜V6の電圧波形を示している。
【0077】
図6に見られるように、この動作モードにおいては、V4〜V6はすべてローであり、よって低電位側スイッチング素子83、84、85はすべてオフとなる。また、高電位側スイッチング素子80、81、82については、ホールICからの信号との論理構成においては、ちょうど図4に示した逆の方向に駆動する駆動モードと同等の期間に導通期間を設けると共に、PWMを85%となっている。
【0078】
これにより、回転子79の回転によって発生する電機子巻線76、77、78の誘導起電力は、ちょうど高電位側スイッチング素子80、81、82によって構成される1石形の昇圧コンバータと同様に動作し、各電機子巻線76、77、78には、逆の方向へのトルクが発生するように電流が流れる。
【0079】
よって、負荷からの機械パワーならびに回転子79自身の回転の運動エネルギーは、電気エネルギーに変換されて、電機子巻線76、77、78に流れ、この回路が持つ電気抵抗などによって消費されることによる制動動作が行われる。
【0080】
ただし、回転子79の慣性が大きい場合や、機械パワーが大きい場合などには、第1の直流電源70に対して、逆に充電される方向の電流が発生することもあるので、必要とあらば、第1の直流電源70と並列に、抵抗器などの回生電流吸収回路などを設けて、第1の直流電源70に過電圧が印加されるのを防止する構成としてもよい。
【0081】
しかし、抵抗器などを常時第1の直流電源70に並列接続していては、ブレーキモード以外の場合にも、電力の消費がおこることから、例えば第1の直流電源70の電圧を検知し、その電圧値が第1の所定値以上に上昇した場合に、回生電流が発生したものと判断して、抵抗器を接続し、放電により検知電圧が、第1の所定値よりも低い第2の所定値にまで低下した場合に、抵抗器を開放するように制御を行う方法も可能となる。
【0082】
また、ブレーキモードにおいて、低電位側スイッチング素子83、84、85についても、逆の方向の駆動モードと同様のオンオフを行わせてもよく、例えば正の方向に回転している状態において、ブレーキをかけると、図4に示しているような逆回転の指令で駆動しているのと同様の状態となる。
【0083】
この場合には、前述のブレーキモードと比較して、特に低速の回転速度においても、大きな制動トルクが得られるという利点が生ずるが、その代わりに特に低速で高トルクの制動を行おうとした場合には、第1の直流電源70からの電力供給が必要となる場合が存在し、電力の消費が大となるという欠点を有するものとなる。
【0084】
また、本実施例では、電動機73の構成を永久磁石を有し、インバータ74によって駆動する一般に直流ブラシレスモータと呼ばれる組み合わせとすることにより、初期充電モードおよびブレーキモードでブレーキトルクが有効に動作することができるが、電動機の構成をこれに限定したものではなく、本発明のすべて請求項において、他の構成の電動機、例えば誘導電動機、スイッチドリラクタンス電動機、シンクロナスリラクタンス電動機、ヒステリシス電動機などであってもよく、それらの種類の電動機を使用したものにあっても、初期充電モードでブートストラップコンデンサに電圧が充電されるという動作は同様に行われるものである。
【0085】
(実施例2)
図7に示すように、水受け槽123は、ポリプロピレン樹脂で構成し、多数の小穴を有する洗濯兼脱水槽(脱水槽)124を回転自在に設け、サスペンション122により吊り下げている。洗濯兼脱水槽124の内底部にパルセータ125を回転自在に設けている。給水弁120は洗濯兼脱水槽124内に給水し、排水弁121は洗濯兼脱水槽124内の水を排水するものである。
【0086】
メカケース126は、洗濯兼脱水槽124およびパルセータ125に回転の動力を伝達するもので、メカケース126の下部に電動機の制御装置127を備えている。電動機の制御装置127は、図1に示した構成のものを使用しており、電動機73、インバータ74、制御手段75、第1の直流電源70によって構成しており、本実施例では第1の直流電源70は、100V、50または60Hzの商用交流電源128と、整流平滑回路129によって構成しているものを使用している。
【0087】
このように交流電源を平滑して直流として使用することにより、日本国内の様に地域によって電源の周波数が異なるような場合にあっても、同一の構成で両方の電源の周波数において、同等の性能が確保できる電気洗濯機を構成することが可能となるというサイクルフリーという効果もある。
【0088】
本実施例においては、整流平滑回路129は、4本のダイオードをブリッジ状に組み合わせた全波整流回路と、その出力に接続したチョークコイルおよび電解式のコンデンサにより実現した1000μFの静電容量をもつ平滑コンデンサによって構成しているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えば2個の平滑コンデンサを直列に接続し、交流電源128の極性の正と負の期間にその片方ずつを充電する方式の倍電圧(倍圧)整流回路などを使用しても良い。
【0089】
整流平滑回路を倍電圧方式とした場合には、各スイッチング素子に流れる電流値が約1/2となることから、各スイッチング素子での電力損失を低減することが可能となる。一方、倍電圧の整流平滑方式を取る場合、電動機は、各電機子巻線の巻き数をほぼ2倍とする必要があり、銅量をほぼ一定とした場合には、使用するエナメル線の断面積が50%程度となる径のものを使用することになる。
【0090】
インバータ74、高電位側駆動回路86、87、88、低電位側駆動回路89、90、91は、本実施例においては、トランスファーモールドパッケージ(DIP)と呼ばれる1つの部品にまとめられたIPM(インテグレーテッドパワーモジュール)を用いて構成し、これに放熱用のアルミ板で構成したヒートシンクをビス止めしている。
【0091】
このIPMは、過電流保護機能を内蔵しているため、例えば洗濯物などが洗濯中にパルセータ125と洗濯兼脱水槽124の間に挟まったりした場合などにも、過電流を検知して速やかに停止することにより、各スイッチング素子の破壊や、電動機73の焼損などを防止することができる。
【0092】
ただし、特にこのような部品で構成することにこだわるものではなく、例えばIGBTが6個入ったパワーモジュールを使用してもよく、またディスクリートのIGBT素子を6個用いて構成したものとしてもよく、またIGBT以外のパワーデバイス、例えばパワーMOS形FET、NPN形のバイポーラ式トランジスタなどを用いたものであってもよい。
【0093】
本実施例では、IGBTを内蔵したIPMを用いていることから、ゲートの駆動に必要な電力が小であり、よってブートストラップコンデンサの静電容量が小であっても、十分なスイッチング素子駆動が可能となる。
【0094】
また、本実施例においては、図1に示したマイクロコンピュータ104に、8ビット並列処理ができるものを使用し、かつ内部のROM(リードオンリーメモリ)には、全自動の電気洗濯機として動作するのに必要な洗濯、脱水等のシーケンスについても、すべてプログラムされているもので構成している。
【0095】
なお、本実施例においては、インバータ74、制御手段75、整流平滑回路129は、いずれもプリント基板に組み上げられた後、電気洗濯機として使用される多湿の環境に対応できるよう、ポッティング樹脂で防湿構成を取っている構成としている。
【0096】
メカケース126は、内部に遊星ギアを持ち、パルセータ125を回転駆動する際には、太陽歯車を電動機73の軸によって駆動し、遊星ギアの回転をパルセータ125に伝達する構成により、1/6の減速を機構的に行い、脱水時においてはメカケース126が機構的に短絡した状態に切り替わる機構を有していることから、洗濯兼脱水槽124が直接、すなわち機構的な減速なしに電動機73の出力軸に接続されるものとなっている。
【0097】
上記構成において動作を説明すると、洗濯兼脱水槽124内に洗濯したい衣類等と洗剤を使用者が投入した状態で起動すると、給水弁120が開放され、水道水がタンク123に流入され、洗濯兼脱水槽124内の水位が上昇する。本実施例においては、この状態で洗濯兼脱水槽124の駆動が行われる。
【0098】
すると、衣類は洗濯兼脱水槽124の内側に遠心力によって張り付いた状態となり、タンク123内の水は、トルネード(竜巻)状態となって、中心部の水位が低下し、同時にタンク123外側の水位が上昇し、タンク123の上部から再び洗濯兼脱水槽124内に落ちるという循環経路で布と、洗濯兼脱水槽124周囲の穴を通過して流れる水流が発生するという現象が起こるようになる。
【0099】
ここで、布を通過する洗浄液は、特に遠心力により洗濯兼脱水槽124の外側に向いた力が強力に作用することから、通過洗浄の効果が非常に大きく、またその効果は洗濯兼脱水槽124の回転速度が大きいほど大となり、また洗濯兼脱水槽124周囲の穴の数(開口率)が大きいとやはり大となることを、発明者らは実験により確認している。
【0100】
この状態においては、規定の水量に達する前であることから、洗剤量に比して水量が少なく、濃い洗浄液が布を通過する状態が実現され、洗剤の溶解が急速に進むと同時に、既に洗浄動作が開始されるものとなり、よって良好な洗浄が可能となる。
【0101】
本実施例においては、トルネード状態での洗浄を25秒間行った後、メカケース126は、電動機73を1/6に機械的に減速してパルセータ125に伝達する状態となり、静止した洗濯兼脱水槽124の中でパルセータ125の回転による洗濯動作が行われる。
【0102】
洗いが終了すると、排水弁121が開かれ、汚れた洗浄液が排水され、その後洗濯兼脱水槽124がメカケース126を経て電動機の制御装置127の作用で駆動されることから、さらに洗浄液を脱水する。その後、すすぎが行われるが、このときにも上記の洗いの行程と同様の動作により、パルセータ125および洗濯兼脱水槽124がメカケース126をへて電動機73から回転駆動される。
【0103】
本実施例においては、特に遊星ギアという機械的な減速機構を有するメカケース126を使用し、パルセータ125を回転させる場合には、電動機73の出力軸を1/6に減速してパルセータ125を駆動する構成としていることから、パルセータ125により撹拌する際には、電動機73から供給されるトルクの6倍ものトルクが、水と布に作用させることができる。
【0104】
したがって、特にパルセータ125による洗浄が強力に行われ、そのため例えば布量に対して水量が小というような低浴比の洗浄を行っても、布に大きなひねり力が作用し、十分な洗浄性能が得られる。
【0105】
また、本実施例では、電動機73をメカケース126の下部に直接取り付ける構成をとっていることから、例えばベルトを介して動力を伝達する構成のものに比べるとベルトのスリップなどによる機械パワーの損失がなく、またベルトに大きなテンション(張力)がかかることにより、例えばベルト切れなどの故障が発生することもなくすることができることから、信頼性の高い電気洗濯機を実現することが可能となる。
【0106】
ただし、必ずしもこのような構成とすることが必要というものではなく、ベルトを介して動力の伝達を行う構成としてもよく、また機構減速機能を有するメカケース126についても必ず使用しなければならないというものではなく、例えばパルセータを駆動する場合も洗濯兼脱水槽124を駆動する場合にも、機構的な減速なしに、直接電動機の出力軸から動力を伝える方法をとってもよい。
【0107】
最後の脱水の行程では、洗濯兼脱水槽124が回転され、遠心脱水動作が行われる。以上のような動作により、洗濯、脱水が行われるものである。
【0108】
図8は、本実施例の電動機73の構成を示したものである。図8では、固定子130と回転子131によって構成されており、固定子130は珪素鋼板を積層して構成した鉄心132のティース(歯)部分に巻線133a〜lを設けて構成しており、さらにホールIC97、98、99を設けている。
【0109】
本実施例では、ホールIC97、98、99は、いずれも対向する永久磁石の表面がS極である場合にはハイの出力を、N極である場合にはローを出力するように構成している。
【0110】
回転子131は、磁路の一部であるバックヨークとして動作する鉄板をプレスして形成したカップ状の鉄心135と鉄心135の表面に接着したパラレル配向のフェライト磁石を使用した永久磁石134a〜h、出力軸136を有している。
【0111】
本実施例においては、永久磁石134a、134c、134e、134gについては、外側にN極がくるように着磁がなされており、永久磁石134b、134d、134f、134hについては、外側にS極がくるように着磁がなされている。
【0112】
なお、必要であれば、遠心力により永久磁石134a〜hが飛び散ることを防ぐために、例えば熱収縮性のある樹脂チューブなどを回転子79に付加してもよく、また非磁性ステンレスの管を最外部に設け、堅牢な構成を実現したものであってもよい。
【0113】
また、本実施例においては、固定子130を外側に、回転子131を内側に配したインナーロータ構成としているが、特にこのような構成にこだわるものではなく、反対に回転子を固定子の外側に設けたアウターロータ構成としてもよい。
【0114】
また、本実施例においては、固定子130と回転子131とのギャップは均一になるように、各永久磁石の表面と裏面はは同心円筒の一部となる形状としているが、これを磁極の端部でギャップが大となるように各永久磁石の形状を変え、コギングを小とすると、運転中の騒音が低減できるものとなり、電気洗濯機として例えば早朝や深夜などにも洗濯ができるという高品位なものが得られる。
【0115】
図9は、巻線133a〜lの結線を示したものであり、図9に示すように、4つずつの巻線を直列に接続することにより、電機子巻線76、77、78が構成されている。図9において、各巻線の黒丸印は極性を示すものであり、各巻線の黒丸印がついている方から電流を流した場合に、各ティースの内側(回転子側)の面にN極が発生するように巻いて設けられている。
【0116】
以上のようにして、本実施例の電動機73は、8極12スロットの構成としているが、特にこの構成に限定されるものではなく、他の極数、スロット数であってもよい。
【0117】
図10は、本実施例の電気洗濯機でパルセータ125を回転させる状態における動作を時間を横軸として示したものである。このモードにおいては、洗浄性能をあげるために、電動機の制御装置127は、右回転と左回転をそれぞれ2秒間行い、これを交互に繰り返すという動作を行い、かつその間には0.6秒間の休止時間を設けている。
【0118】
本実施例においては、上記休止時間中に、ブレーキモードと初期充電モードを設けていて、それらの時間は、ブレーキモードについては、直前の駆動モードの終了後、100ミリ秒後から300ミリ秒間設けており、この間に布と水が持つ慣性に蓄えられた運動エネルギーを吸収させている。
【0119】
なお、駆動モードからブレーキモードに移る間には、100ミリ秒間のオールオフ期間を設けており、この期間においては、スイッチング素子は6個とも一旦オフの状態としているため、上下のスイッチング素子、すなわち同じ相の高電位側スイッチング素子と低電位側スイッチング素子の同時導通により第1の直流電源70が短絡されて大電流が通ずることを防ぐことができ、これによるスイッチング素子の破壊などの故障を防ぐことによって装置の信頼性を確保することができる。
【0120】
ただし、これらのオールオフ期間は、特に100ミリ秒という値にこだわるものではなく、上下のスイッチング素子の同時導通が起こらない範囲で、例えば10マイクロ秒などという値としてもよい。
【0121】
本実施例においては、このブレーキモードでは、基本的に図6に示したように、高電位側スイッチング素子80、81、82を位置検知手段100からの信号に従ってPWM信号との論理積でオンオフさせる方法を取っているが、特に当ブレーキモード期間300ミリ秒の初期においては、マイクロコンピュータ104内にハードウエアで備えているPWM信号発生の機能を活用することにより、オン期間の比率を10%から徐々に増加させる方法を取ることにより、ブレーキトルクの大きさが急に大きくなるという状態を避けているので、ブレーキモードの開始と同時にメカケース126内の遊星ギアのバックラッシュによる騒音を低減することが可能となる。
【0122】
ただし、特にそのようにすることがどうしても必要というものではなく、オン期間の比率(導通比)を例えば85%というような一定の値としてもよい。
【0123】
ブレーキモードの最初から、一定のデューティ値で、高電位側スイッチング素子80、81、82のオンオフを行ったとしても、過渡的に極端な大電流が流れることによる永久磁石の減磁や、スイッチング素子の破壊などは発生することがないことは発明者らの実験により確認できた。
【0124】
本実施例では、300ミリ秒間のブレーキモードの後、再びオールオフ期間を約80ミリ秒間のオールオフ期間を設け、その後に、図5に示したような初期充電モードを17ミリ秒間設けている。
【0125】
したがって、ブレーキモードから初期充電モードへ移行する際についても、上下のスイッチング素子、すなわち同じ相の高電位側スイッチング素子と低電位側スイッチング素子の同時導通により第1の直流電源70が短絡されて大電流が通ずることを防ぐことができ、これによるスイッチング素子の破壊などの故障を防ぐことによって装置の信頼性を確保することができる。
【0126】
初期充電モードの終了から10ミリ秒間は、図5と同様に、再びオールオフ期間を設け、上下のスイッチング素子、すなわち同じ相の高電位側スイッチング素子と低電位側スイッチング素子の同時導通により第1の直流電源70が短絡されて大電流が通ずることを防いでいるが、この期間の長さについても、特に10ミリ秒という値にこだわるものではなく、上下のスイッチング素子の同時導通が起こらない範囲で、例えば10マイクロ秒などという値としてもよく、また6個のスイッチング素子をすべてオフとする代わりに、次の駆動モードの最初の状態において、オンする必要のあるスイッチング素子を継続してオンさせておく方法もあり、その場合にあっても上下のスイッチング素子が同時にオンされなければ、短絡電流によるトラブルを避けることが可能となる。
【0127】
図10に示すような、左右の回転が繰り返して10分間行われることにより、パルセータ125と布との摩擦、あるいは布同士の摩擦が強力になされて、良好な洗浄が可能となる。なお、最初の駆動モードの前にも初期充電モードを設け、その後10ミリ秒間のオールオフ期間を設け、この期間には6個のスイッチング素子をすべて一旦オフ状態としている。
【0128】
また、脱水時においても、洗浄と同様に起動時には直前に初期充電モードを設け、その後10ミリ秒間のオールオフ期間を設け、この期間には6個のスイッチング素子をすべて一旦オフ状態としている。
【0129】
脱水の起動時においては、特に洗濯兼脱水槽124に水を含んだ布が入っていることから、慣性モーメントが約0.8kg平方メートルという大きな値となっているので、制御手段75のマイクロコンピュータ104は、PWM信号のハイの期間の比率、すなわち高電位側スイッチング素子80、81、82の導通比を徐々に増加させていくことにより、各スイッチング素子への過電流を防止し、また電動機73を構成する永久磁石の減磁を防止しながら速度を上げる。
【0130】
この場合、負荷の慣性モーメント後は、布の量や質などによって変化するので、必要とあらば、電動機73の電機子巻線76、77、78の例えば1つの電流を検知する電流検知手段を設けて、この電流値がほぼ一定となるように、PWM信号のデューティ値をフィードバック制御するようにしてもよい。
【0131】
そのようなフィードバック制御を行った場合には、装置の入力パワーの上限も制限される効果が発生し、よって整流平滑回路129の構成要素の例えばチョークコイル、平滑コンデンサ、整流ダイオードブリッジ回路などの電流定格、および放熱構成についても削減できる方向となり、低コストの装置の実現が可能となり、また商用電源系統への負担も軽減できる。
【0132】
脱水動作の起動時においては、上記のように速度の立ち上がりが緩やかになることから、電気角60度に相当する機械角15度の期間(本実施例では8極としている)、1相の高電位側スイッチング素子と低電位側スイッチング素子が共にオフの状態が継続するが、PWM信号のデューティレシオが約30%以下という値をとっていることから、電機子巻線76、77、78からの回り込みで、当該相のブートストラップコンデンサへの充電電流は十分に供給され、次回の高電位側スイッチング素子のオン動作が確実になされることは、発明者らの実験により確認されている。
【0133】
また、脱水が終了した場合にも、駆動モードの終了から、やはり100ミリ秒のオールオフ期間の後に、ブレーキモードを実施し、布を含む洗濯兼脱水槽124の回転運動エネルギーを吸収することができる。
【0134】
ただし、機械的なブレーキを使用してもよく、例えば排水弁121と連動して排水弁121が閉じている状態において、洗濯兼脱水槽124の回転が抑えられるようなベルト式の機械的ブレーキをメカケース126の内部に設けていてもよい。
【0135】
ブレーキモードにおいて、吸収する機械エネルギーが大きい場合には、第1の直流電源70に電気エネルギーが逆流する現象が発生することがあり、必要に応じて、回生電力を吸収するための抵抗器などを、第1の直流電源70に並列接続することもできるが、これは実施例1で述べた通りである。
【0136】
なお、ブートストラップコンデンサの充電は、低電位側スイッチング素子のオン期間には行われるが、PWM信号のデューティを100%とする場合には、低速の場合には、電圧の確保が困難となる。
【0137】
しかしながら、本実施例では、ブートストラップコンデンサ92、93、94の静電容量を22μF、充電抵抗110、111、112の抵抗値を100Ωとしていることから、190rpm以上であれば、PWM信号のデューティ値100%でも問題なく電圧確保がなされる。
【0138】
なお、本実施例においては、位置検知手段100からの信号によって検知できる回転の速度が、190rpm以下の場合においては、PWM信号のデューティ値が最大でも85%に制限されるようにしている。
【0139】
これにより、低速域においては、高電位側スイッチング素子のオフ期間中に、低電位側スイッチング素子内のダイオード部分が導通状態となり、図2に示したような充電回路が形成されることにより、十分なブートストラップコンデンサの電圧確保が可能となる。
【0140】
なお、低速の状態では、電機子巻線76、77、78に発生する誘導起電力の値が小さくなっていることから、PWM信号のデューティ値を大きくした場合には、各スイッチング素子ならびに電機子巻線の電流が過大となり、スイッチング素子の破壊故障や回転子79を構成する永久磁石の減磁という不良が発生することになることから、これらが起こらない範囲で、上記デューティ値の最大値の制限条件よりもさらにデューティ値を低く制限する必要がある場合には、自動的にブートストラップコンデンサの電圧の確保は実現されるものとなる。
【0141】
本実施例では、回転子79に永久磁石を持つ電動機73を使用し、これをインバータ74から駆動する方式としていることから、コンデンサランの誘導電動機を使用する場合に比べて、起動トルクが大きくとることができ、パルセータ125による強力な洗濯動作が可能となる他、約60kgcmという高トルクが必要となるトルネードによる洗浄も実現することができる。
【0142】
なお、本実施例では、メカケース126の下部に同軸で電動機73が接続されていることから、ベルトを用いて動力を伝達する方式と比較して、プーリとベルトのスリップによる機械パワーの損失がなく、また電動機73の重量が、水受け槽123の中心に来ることから、水受け槽123をサスペンション122で吊設する場合の重量バランスが良好となり、またボールベアリングなどの構成要素についても、メカケース126内の軸受け機構により共用することが可能となり、よって装置を軽量に実現することができる。
【0143】
また、本実施例では電動機の制御装置127の無負荷速度を1350rpmとしている。
【0144】
図11は、本実施例のブレーキモードにおけるブレーキトルクを速度との関係で示したグラフであり、特にデューティレシオ、すなわち高電位側スイッチング素子の導通比が50%よりも小である範囲においては、ブレーキとして働く負のトルク(ブレーキトルク)の値は、極めて小さい値となってしまい、ブレーキとしての効果がほとんどないことがわかる。
【0145】
したがって、本実施例の電動機の制御装置およびそれを使用した電気洗濯機では、上記導通比率を85%とすることにより、十分なブレーキトルクが得られる。
【0146】
また、ブレーキモードにおいて、高電位側スイッチング素子80、81、82の導通比を100%としてしまうと、回転子79の速度が低い条件においては、ブートストラップコンデンサ92、93、94の充電がなされる期間が少なくとも電気角120度の間、完全になくなることから、高電位側スイッチング素子80、81、82のオンができないことも起こり得るが、本実施例の様に導通比を85%とした場合には、残りの期間に相当する約15%の期間(PWMの周波数15.5kHzでは、一回当たり約9.6マイクロ秒間)の充電期間が発生することから、ブートストラップコンデンサ92、93、94に充電がなされ、高電位側スイッチング素子80、81、82を確実にオンオフさせることが可能となる。
【0147】
本実施例では、マイクロコンピュータ104内にハードウエアで、自動的にPWM信号が発生する構成を用いていることから、このような高電位側スイッチング素子80、81、82の導通比を細かく変化させることも可能となり、よってブレーキトルクの調整や、ブートストラップコンデンサ92、93、94の電圧確保が実現できるものとなっている。
【0148】
図10において、駆動モードの後、オールオフ期間後に、ブレーキモードが300ミリ秒間続くが、それでもパルセータ125およびその負荷である水や布により慣性が大きい条件においては、回転がある程度残った状態となるが、後述の初期充電モードにおけるブレーキ効果により、再度ブレーキがかかるものとなる。
【0149】
図12は、初期充電モードにおけるブレーキトルクを示したものであり、実線は、本実施例の初期充電モードで使用している1ミリ秒間オン、1ミリ秒間オフの動作を繰り返した場合におけるブレーキトルクを示したものである。
【0150】
初期充電モードにおいても、低電位側スイッチング素子83、84、85のオンオフを間欠的に行うことにより、ブレーキモードで残った運動エネルギーをさらに吸収するという効果もあり、それによって、次の駆動モードで反対の回転方向で、回転が開始させる際の機構的なショックを軽減し、同時に電流値を抑えるという効果も得ているものとなっている。
【0151】
参考として、図12の破線は、3相短絡した状態におけるブレーキトルクを示したものであり、これは例えば低電位側スイッチング素子83、84、85を共にオンした場合におけるブレーキトルクを速度との関係で示したものであって、その場合低速域のブレーキトルクは大きくなるが、約200rpmでピークとなり、350rpm以上では、本実施例と比較してブレーキトルクが小となる傾向が見られ、一般に初期充電モードにおける低電位側スイッチング素子の導通比が大きくなる条件ほど、破線の特性に近くなるものとなる。
【0152】
本実施例では、初期充電モードにおいて、低電位側スイッチング素子83、84、85の導通比を50%としたことにより、15ボルトの直流電圧を持つ第2の直流電源96からブートストラップコンデンサ92、93、94を充電する際に、特に初期電荷零の条件で過渡的に大電流が流れて、第2の直流電源96の負担が大きくなるのを防ぐことが可能となり、第2の直流電源96の出力電流の定格を低減して、低コストで十分な信頼性を持った装置の実現を可能としている。
【0153】
ただし、初期充電モードにおける低電位側スイッチング素子83、84、85の導通比については、50%に限定するものではなく、間欠的にオンオフするものであれば、他の導通比としてもよい。
【0154】
その場合、50%よりも大とすると、ブレーキトルクが特に低速域において大となり、しっかりと停止させることが可能となるが、一方、第2の直流電源96からの充電電流は大となり、第2の直流電源96の負担は大きくなり、初期充電モードの期間は短縮することができる。
【0155】
また、50%よりも小とした場合は、ブレーキトルクのピークは高速域に移り、特に低速でのブレーキトルクは小となるものとなり、第2の直流電源96からの充電電流については小となり、第2の直流電源96の負担は小となり、初期充電モードの期間は長く必要となる。したがって、低電位側スイッチング素子の導通比については、必要なブレーキトルク、第2の直流電源からの電流定格、および初期充電モードの時間などの要素から決定するものとなる。
【0156】
本実施例では、初期充電モードにおける導通比は、50%の一定値としているが、可能で有ればこれを変化させ、例えば最初は20%程度とし、最終は100%などとしても良く、その場合には、初期充電モードの最初においては、低いブートストラップコンデンサの電圧条件に対しても、充電電流がさらに抑えられ、第2の直流電源96の負担を非常に軽くすることができ、かつブレーキトルクも小ではあるが作用するため、ギア等のバックラッシュによる騒音なども低減することができ、その後導通比を増加させることにより、ブレーキ効果を上げると共に、ブートストラップコンデンサの充電を進めることができるものとなり、トータルの初期充電モードの期間内での十分な充電が可能となる。
【0157】
このように、本実施例では、充電抵抗110、111、112とブートストラップコンデンサ92、93、94の時定数を2.2ミリ秒という値とし、初期充電モードにおける低電位側スイッチング素子の導通比を50%としており、時定数を導通比で除した値が4.4ミリ秒となる条件であり、初期充電モードの期間を、時定数を導通比で除した値と等しくした場合には、ブートストラップコンデンサの初期電荷が零という条件において、充電後の電圧は第2の直流電源96の出力電圧の約63%となるので、少なくともその時間以上が必要となる。
【0158】
本実施例においては、この値の3.8倍に相当する17ミリ秒の期間を初期充電モードの期間としていることから、ブートストラップコンデンサの初期電荷が零の場合にあっても、第2の直流電源96の電圧に対して約98%まで電圧が確保できるように十分な充電がなされる。
【0159】
ただし、パルセータの反転時限によっては、2回目以降の駆動モードの開始時点において、ブートストラップコンデンサの初期電荷がある程度保証できる場合もあり、その場合には、2回目以降の初期充電モードについては、例えば6ミリ秒程度とするなどの構成としてもよい。
【0160】
本実施例で使用した17ミリ秒という初期充電モードの時間は、パルセータの反転時限の休止時間に対して十分小さい時間であるため、速やかに充電が完了し、またこの時の導通比によって第2の直流電源の負担も軽減し、かつ駆動モードとブレーキモードにおいては、高電位側スイッチング素子をPWM制御し、高電位側スイッチング素子のオフ期間および低電位側スイッチング素子のオン期間に速やかにブートストラップコンデンサの充電ができることから、かなりの低速度でもPWMのデューティの上限の制限が、必要トルクの確保に対して問題とならない値以上を実現することができるという優れた効果を上げることができる。
【0161】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に記載の発明によれば、第1の直流電源と、3相の電機子巻線と回転子を有する電動機と、前記第1の直流電源の出力に接続され3相の電機子巻線に対応した3個の高電位側スイッチング素子と3個の低電位側スイッチング素子を有するインバータと、前記インバータの動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記高電位側スイッチング素子のそれぞれの制御端子に接続した高電位側駆動回路と、前記低電位側スイッチング素子のそれぞれの制御端子に接続した低電位側駆動回路と、前記高電位側駆動回路の電源入力端子間にそれぞれ接続されたブートストラップコンデンサと、ダイオードと、充電抵抗と、第2の直流電源とで構成し、前記回転子の位置に同期して、前記高電位側駆動回路と前記低電位側駆動回路を動作させることにより前記6個のスイッチング素子をオンオフし、前記電機子巻線に3相の交流を供給する駆動モードと、前記高電位側スイッチング素子をオフ状態に保ったまま前記3個の低電位側スイッチング素子を間欠的にオンオフし、前記各ブートストラップコンデンサを前記第2の直流電源から前記ダイオードと充電抵抗を通して充電する初期充電モードを有し、前記初期充電モードの期間は、前記ブートストラップコンデンサの静電容量と前記充電抵抗の積で定まる充電時定数を、前記初期充電モードでの前記低電位側スイッチング素子の導通比で除した時間以上とし、起動時には前記駆動モードに入る前に前記初期充電モードを行うようにしたから、簡単な構成で、高電位側駆動回路に電源を供給することが可能となり、さらに高電位側駆動回路に必要な電圧を確保し、高電位側スイッチング素子を確実にオンオフさせることができ、信頼性の高い低コストの電動機の制御装置を実現することができる。
【0162】
また、請求項2に記載の発明によれば、制御手段は、初期充電モードと駆動モードへの移行の際に、3個の高電位側スイッチング素子と3個の低電位側スイッチング素子を一旦すべてオフさせるようにしたから、初期充電モードから駆動モードに移行する際に、高電位側スイッチング素子と低電位側スイッチング素子を通じて第1の直流電源が短絡されて大電流が流れて破壊するのを防ぐことができ、信頼性の高い電動機の制御装置を実現することができる
【0163】
また、請求項に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の電動機の制御装置と、電動機によって回転するパルセータを備え、洗浄の際には、正の回転方向の駆動モードの後、休止期間を設けて逆の回転方向の駆動モードに移り、かつ前記休止期間中に初期充電モードを設けたから、初期充電モードの期間に、ブートストラップコンデンサに十分な充電が行われると共に、前回の駆動モードによる回転方向での残留回転エネルギーに対してブレーキとしても作用することから、簡単かつ低コストの回路構成で信頼性の高い電気洗濯機を実現することが可能となる。
【0164】
また、請求項に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の電動機の制御装置と、電動機によって回転する脱水槽を有し、起動の際に初期充電モードを設けたから、初期充電モードの期間に前記ブートストラップコンデンサに十分な充電が行われ、簡単かつ低コストの回路構成で信頼性の高い電気洗濯機を実現することが可能となる。
【0165】
また、請求項に記載の発明によれば、初期充電モードでの低電位側スイッチング素子の間欠オン期間は、ブートストラップコンデンサの静電容量と充電抵抗の積で定まる充電時定数以下としたから、比較的簡単かつ低コストの回路構成で、ブートストラップコンデンサに対して高電位側駆動回路を動作させるのに必要な電圧を充電することができ、かつ第2の直流電源に必要な電流定格値を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例の電動機の制御装置の回路図
【図2】 同電動機の制御装置のブートストラップコンデンサの充電時の等価回路図
【図3】 同電動機の制御装置の正の回転駆動における要部電圧波形図
【図4】 同電動機の制御装置の負の回転駆動における要部電圧波形図
【図5】 同電動機の制御装置の充電モードにおける要部電圧波形図
【図6】 同電動機の制御装置のブレーキモードにおける要部電圧波形図
【図7】 本発明の第2の実施例の電気洗濯機のシステム構成図
【図8】 同電気洗濯機の電動機の一部切欠した上面図
【図9】 同電気洗濯機の電動機の電機子巻線の結線図
【図10】 同電気洗濯機のパルセータ駆動時の動作モード説明図
【図11】 同電気洗濯機のブレーキモードにおけるブレーキトルクの特性図
【図12】 同電気洗濯機の初期充電モードにおけるブレーキトルクの特性図
【図13】 従来の電動機の制御装置の回路図
【図14】 同電動機の制御装置の要部詳細回路図
【符号の説明】
70 第1の直流電源
73 電動機
74 インバータ
75 制御手段
76、77、78 電機子巻線
79 回転子
80、81、82 高電位側スイッチング素子
83、84、85 低電位側スイッチング素子
86、87、88 高電位側駆動回路
89、90、91 低電位側駆動回路
92、93、94 ブートストラップコンデンサ
95、96、97 ダイオード
96 第2の直流電源

Claims (5)

  1. 第1の直流電源と、3相の電機子巻線と回転子を有する電動機と、前記第1の直流電源の出力に接続され3相の電機子巻線に対応した3個の高電位側スイッチング素子と3個の低電位側スイッチング素子を有するインバータと、前記インバータの動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記高電位側スイッチング素子のそれぞれの制御端子に接続した高電位側駆動回路と、前記低電位側スイッチング素子のそれぞれの制御端子に接続した低電位側駆動回路と、前記高電位側駆動回路の電源入力端子間にそれぞれ接続されたブートストラップコンデンサと、ダイオードと、充電抵抗と、第2の直流電源とで構成し、前記回転子の位置に同期して、前記高電位側駆動回路と前記低電位側駆動回路を動作させることにより前記6個のスイッチング素子をオンオフし、前記電機子巻線に3相の交流を供給する駆動モードと、前記高電位側スイッチング素子をオフ状態に保ったまま前記3個の低電位側スイッチング素子を間欠的にオンオフし、前記各ブートストラップコンデンサを前記第2の直流電源から前記ダイオードと充電抵抗を通して充電する初期充電モードを有し、前記初期充電モードの期間は、前記ブートストラップコンデンサの静電容量と前記充電抵抗の積で定まる充電時定数を、前記初期充電モードでの前記低電位側スイッチング素子の導通比で除した時間以上とし、起動時には前記駆動モードに入る前に前記初期充電モードを行うようにした電動機の制御装置。
  2. 制御手段は、初期充電モードと駆動モードへの移行の際に、3個の高電位側スイッチング素子と3個の低電位側スイッチング素子を一旦すべてオフさせるようにした請求項1記載の電動機の制御装置
  3. 請求項1または2に記載の電動機の制御装置と、電動機によって回転するパルセータを備え、洗浄の際には、正の回転方向の駆動モードの後、休止期間を設けて逆の回転方向の駆動モードに移り、かつ前記休止期間中に初期充電モードを設けた電気洗濯機。
  4. 請求項1または2に記載の電動機の制御装置と、電動機によって回転する脱水槽を有し、起動の際に初期充電モードを設けた電気洗濯機。
  5. 初期充電モードでの低電位側スイッチング素子の間欠オン期間は、ブートストラップコンデンサの静電容量と充電抵抗の積で定まる充電時定数以下とした請求項3または4に記載の電気洗濯機。
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