JP3663241B2 - 水性印刷インキ組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水性印刷インキ組成物に関し、詳しくは各種プラスチックフィルムに対する密着性、耐ブロッキング性およびラミネート強度に優れた水性印刷インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、グラビア印刷やフレキソ印刷のインキとしては、夫々の要求に応じて各種有機溶剤型インキが使用されており、中でもプラスチックフィルムに対してはウレタン樹脂等をバインダーとして含有するものが広く使われている。しかし、近年、環境問題、火災の危険性、労働安全衛生上の問題から、水性タイプの印刷インキの要望が高まってきている。
【0003】
また、近年の包装材料の高性能化に伴い、ラミネート加工に対する適性を有する印刷インキの要望も高まってきている。ここで、ラミネート加工とは、印刷後にドライラミネート加工やエクストルージョン加工を施すことであり、前者は接着剤を介してフィルムを貼り合わせる加工法であり、後者はアンカーコート剤を介して溶融状態のポリマーをラミネートする加工法のことである。
【0004】
かかる要望から、既に種々のタイプの水性印刷インキが提案されており、例えば、水性ポリウレタン樹脂を使用した水性印刷インキ組成物(特開平5−171091号公報)、水溶性ポリウレタン樹脂と水分散性エチレン−アクリル酸系共重合体を併用したラミネート用水性印刷インキ組成物(特開平5−271599号公報)、変性ウレタン樹脂を使用した水性印刷インキ組成物(特開平6−80930号、特開平7−82456号各公報)等が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、今日知られている水性印刷インキ組成物のバインダーは、必ずしも各種プラスチックフィルム、特に処理ポリプロピレン(OPP)フィルムや、ガス遮蔽性が要求される包装材によく使われる塩化ビニリデンコート(Kコート)フィルム、ナイロンに対する密着性、またこれらフィルムに対する耐ブロッキング性が十分ではなく、有効なラミネート強度も得られなかった。すなわち、水性ポリウレタン樹脂単独では、OPP、ポリエチレンテレフタレート(PET)に対する接着性は良好ではあるものの、塩化ビニリデンコート(Kコート)フィルムに対する接着性は不十分であった。また、これは耐プロッキングに性劣り、コスト的にも好ましいものではなかった。
【0006】
また、水溶性ポリウレタン樹脂と水分散性エチレン−アクリル酸系共重合体との併用系では、耐ブロッキング性は向上するものの、PET、ナイロンへの密着が不十分であり、またラミネート強度も不十分であった。
【0007】
さらに、変性ウレタン樹脂は、各種プラスチックフィルムに対してバランスの良い密着性を示すが、全体的に十分とはいえず、またラミネート強度も不十分であった。
【0008】
そこで本発明の目的は、OPP、PETに加えナイロン、Kコートを含む各種フィルムに対する密着性、これらフィルムに対する耐ブロッキング性およびラミネート強度に優れた水性印刷インキ組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ブロッキング性の良好な変性ウレタン樹脂(A)に、ラミネート強度の良好な水分散性ポリウレタン樹脂(B)を所定の割合で配合することにより、PET、OPP、ナイロン、Kコートフィルム等の汎用フィルム全てに対して密着性が良好で、かつ十分なラミネート強度が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の水性印刷インキ組成物は、水性ポリウレタンを幹ポリマー成分とし重合性不飽和単量体から成る重合体をグラフト鎖成分とする水性ポリウレタングラフト共重合体(A)と、水分散性ポリウレタン樹脂(B)とを重量比80:20〜20:80でバインダーとして含有することを特徴とするものである。
【0011】
好ましくは、上記重量比は、60:40〜40:60である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する水性ポリウレタングラフト共重合体(A)は、特開平7−82456号公報にて報告されており、多官能性ヒドラジド化合物、水と混和性を有する有機溶媒および水からなる常温硬化型水性樹脂組成物の形態で使用される。グラフト共重合体における幹ポリマ−成分は、(a)α,β−エチレン性2重結合を有するヒドロキシル基含有単量体、(b)少なくとも1個のカルボキシル基と2個以上のヒドロキシル基を含有するポリヒドロキシ化合物、(c)2個以上のヒドロキシル基を有するポリヒドロキシ化合物、(d)2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物なる(a)〜(d)を必須成分として構成されるポリオール−イソシアネート重付加反応生成物およびモノアミンとジアミンの混合アミンで構成される水性ポリウレタンであり、グラフト共重合体におけるグラフト鎖成分が、ケトン基またはアルデヒド基を含有する重合性不飽和単量体を必須成分とする重合性不飽和単量体群から構成される。
【0013】
グラフト共重合体(A)は、例えば次のような方法で製造される。すなわち、まずジイソシアネート化合物、ジオール化合物、カルボキシル基を含むジオール化合物および重合性不飽和基を含むヒドロキシル化合物を有機溶媒中でウレタン化反応させ、プレポリマーを調製する。このときに使用されるジイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族または脂環族の各種公知のジイソシアネート類を使用することができる。
【0014】
ウレタン化に使用される有機溶媒としては、イソシアネート基に対して不活性で水と混和し得るアセトン、メチルエチルケトン等が好ましい。また、中和剤としては、アンモニア、トリメチルアミン等のアミン類が挙げられ、鎖伸長剤としては各種公知の、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン等のジアミン類が挙げられる。
【0015】
本発明の水性ポリウレタンの分子量としては、ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算値でMw(重量平均分子量)が3,000〜100,000、より好ましくは5,000〜50,000である。
【0016】
本発明の水性ポリウレタン樹脂の酸価は、10mg−KOH/gから200mg−KOH/gの範囲にあるのが好ましく、より好ましくは15〜100mg−KOH/gの範囲である。
【0017】
重合性不飽和結合を側鎖に有するポリウレタン水性乳濁液の存在下で重合させる重合性不飽和単量体の代表的なものはビニル系単量体であり、好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルへキシルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸グリシジルなどのメタクリル酸エステル類、スチレンなどを主成分とする単量体混合物を選択する。
【0018】
また、ケトン基を有するビニル単量体の例として、好ましくはジアセトアクリルアミド、アクロレインおよびビニルメチルケトンが挙げられる。これらのケトン基を有する単量体は、グラフト鎖中に2種以上含まれていてもよい。ケトン基含有ビニル単量体の使用量は、グラフト重合体の乾燥総重量に対して0.5〜30重量%、好ましくは1〜20重量%である。ビニル系単量体の重合方法としては、ラジカル重合によるのが好ましい。
【0019】
さらに、架橋剤として使用される多官能ヒドラジド化合物の例としては、1分子中に2〜30個の炭素原子を含有する多価カルボン酸ポリヒドラジドが挙げられ、好ましくは、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドと1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(VDH)である。グラフト共重合体に含まれるカルボニル基の1当量当り0.02〜1当量、好ましくは0.4〜0.6当量のヒドラジド基が使用される。
【0020】
さらにまた、水と混和性を有する有機溶媒は、インキからの塗膜形成の際のプラスチックなどの基材への濡れ性と溶媒の揮散性を向上させる上で有効なものである。好ましいものは、イソプロピルアルコール、エチルアルコールである。
【0021】
次に、本発明において使用する水分散性ポリウレタン樹脂(B)について説明する。
水分散性ポリウレタン樹脂(B)は、有機ジイソシアネート化合物、ポリオール類および鎖伸長剤を反応させて得られ、かつ分子内に水性化のためのカルボキシル基を有するアルカリ可溶または自己乳化型の水性ポリウレタン樹脂である。かかる水性ポリウレタン樹脂は、例えば次のような方法で製造される。
【0022】
カルボキシル基および末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのアンモニアまたは3級アミンの中和物と鎖伸長剤から成る水性ポリウレタン組成物において、このウレタンプレポリマーをカルボキシル基を有するポリオールおよびジイソシアネートと反応させる。
【0023】
あるいは、上記ウレタンプレポリマーをカルボキシル基を有するポリオールおよびその他のポリオールの混合物およびジイソシアネートと反応させる。
【0024】
なお、ウレタンプレポリマー中にカルボキシル基を有しない場合には、遊離のカルボキシル基を有する鎖伸長剤を使用して水性ポリウレタン組成物を得ることもできる。
【0025】
上記有機ジイソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族または脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
【0026】
また、ポリオール類としては、通常ウレタン樹脂の製造に使用される公知のものを使用することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクタムポリオール、ポリブタジエンジオール、ポリチオエーテルポリオールおよびポリアセタールポリオール等のジオール、並びにトリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシプロピレントリオール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ポリオキシエチレンテトラオール等の1種または2種以上の混合が挙げられる。
【0027】
かかるポリオールの好ましい数平均分子量は500〜3000である。この平均分子量が500未満であると、得られるポリウレタンの強さが不足し、一方、3000を超えると、ポリウレタンの安定性に劣る。
【0028】
上述の有機ジイソシアネート化合物とポリオール類との反応は無溶剤下、または有機溶剤中で行うことができるが、有機溶剤中で行うことが好ましく、用いられる有機溶剤としてはN−メチル−2ピロリドン、アセトン、メチルエチルケトンなどの水溶性有機溶剤が好ましい。
【0029】
ウレタンプレポリマーの溶液にアンモニアまたは3級アミン、例えばトリエチルアミン、トリエタノールアミン等を添加することにより、このプレポリマー中のカルボキシル基を中和することができる。かかる添加は、直接または水溶液として行うことができる。
【0030】
上述の有機ジイソシアネート化合物とポリオール化合物からなるウレタンプレポリマー中に、水性化のために必要な遊離のカルボキシル基が既に含有されている場合は、従来より使用される以下のような鎖伸長剤を使用することができる。すなわち、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、グリセリン、1,2,3−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール類、1,3,5−シクロヘキサントリオール等の脂環族ポリオール類、ヒドラジン、エチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン類、あるいはイソホロンジアミン等の脂環族アミン類等である。
【0031】
一方、ウレタンプレポリマー中に遊離のカルボキシル基を有しない場合は、少なくとも遊離のカルボキシル基を含有する鎖伸長剤を使用する必要がある。遊離のカルボキシル基を含有する鎖伸長剤とは、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸あるいはフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸とその無水物のような芳香族カルボン酸と低級ポリオールとを反応させて得られる芳香族カルボン酸含有ポリオール類等が具体的に挙げられる。
【0032】
ウレタンプレポリマーへの鎖伸長剤の添加方法としは、ウレタンプレポリマーの中和物の有機溶剤液に鎖伸長剤の水溶液を加える方法が好ましいが、鎖伸長剤を単独でウレタンプレポリマーの中和物の有機溶剤液に加え、分子量の高いポリウレタンを合成した後、水を添加してもよいし、またウレタンプレポリマーの中和物の有機溶剤液に水を加え、ウレタンプレポリマーを水中に分散させた後、鎖伸長剤を加えてもよい。添加する水の量は、最終生成物の水性ポリウレタン組成物、すなわち水性ポリウレタン乳液の固形分濃度が30〜50重量%程度になる量が好ましい。
【0033】
以上の化合物を反応させて得られるポリウレタン樹脂において、水性化に必要な遊離のカルボキシル基の含有量は、当該ポリウレタン樹脂の酸価を20〜100とするために必要な量であることが好ましく、とりわけ当該ポリウレタン樹脂の酸価が30〜60となる量であることが好ましい。酸価が20より低い場合には、得られる水性ポリウレタン樹脂が水系で安定な溶解または分散状態を維持するのが困難となり、一方、酸価が100を超えると、得られる樹脂皮膜は耐水性が低く、また硬いものとなり、良好な皮膜物性が得られなくなる。
【0034】
本発明の水性印刷インキ組成物においては、水性ポリウレタングラフト共重合体(A)と水分散性ポリウレタン樹脂(B)とを重量比80:20〜20:80でバインダーとして含有する。かかる重量比よりもグラフト共重合体(A)が少ないと、OPPおよびKコートフィルムへの密着が弱くなり、全フィルムへの耐ブロッキング性が低下する。一方、樹脂(B)が少ないと、十分なラミネート強度が得られない。上記重量比は、好ましくは60:40〜40:60であり、最も好ましくは50:50である。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明する。
下記の合成例1および2において、水分散性ポリウレタン樹脂(B)を夫々調製した。
[水分散性ポリウレタン樹脂(B)の調製]
合成例1:
温度計、攪拌装置、および冷却管を備えた反応器に、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量2000)250g、ジメチロールプロピオン酸17g、イソホロンジイソシアネート65gおよびメチルエチルケトン50gを仕込み、窒素ガスを導入しながら70〜75℃で8時間反応を行った。上記反応で得られたウレタンプレポリマー溶液中にトリエチルアミン16gを加え、中和した後、攪拌下、エチレンジアミン4gを溶解させた蒸留水800gを添加し、その後メチルエチルケトンを減圧下で除去し、水性ポリウレタン樹脂溶液((B)−1)を得た。
得られた水性ポリウレタン樹脂溶液は不揮発分30%、粘度320cpsであった。
【0036】
合成例2:
上記合成例1と同様の反応器に、ポリプロピレングリコール(数平均分子量2000)250g、1,4−ブタンジオール5g、ジメチロールプロピオン酸18g、イソホロンジイソシアネート73g、メチルエチルケトン60gを仕込み、窒素ガスを導入しながら70〜75℃で5時間反応を行った。上記反応で得られたウレタンプレポリマー溶液中にトリエチルアミン18gを加え、中和した後、攪拌下、エチレンジアミン4gを溶解させた蒸留水797gを添加し、その後メチルエチルケトンを減圧下で除去し、水性ポリウレタン樹脂溶液((B)−2)を得た。
得られた水性ポリウレタン樹脂溶液は不揮発分30%、粘度200cpsであった。
【0037】
なお、水性ポリウレタングラフト共重合体(A)については、大成化工(株)より入手し得る商品名WEM 141M((A)−1)、およびWEM 141B((A)−2)を使用した。
【0038】
[インキの作製方法]
上記水性ポリウレタングラフト共重合体(A)−1、(A)−2および水分散性ポリウレタン樹脂(B)−1、(B)−2を使用し、下記の表1に示す配合処方例(実1〜6、比1〜3)に従い、容量225mlのガラスビンにガラスビーズ100g、グラフト共重合体(A)、樹脂(B)、酸化チタンR−780(石原産業(株))、工業用エタノール、イオン交換水を所定量入れ、レッドデビル型分散機で30分間分散処理を行い、各ラミネート用水性インキ組成物を調製した。
【0039】
【表1】
【0040】
得られたインキ組成物の評価試験は以下のようにして行った。
(イ)密着性
PET(東洋紡績(株)、商品名:E−5100、12μ)、延伸OPP(東洋紡績(株)、商品名:P−2161、20μ)、ナイロン(ユニチカ(株)、商品名:エンブレム、12μ)およびKコートフィルム(東セロ(株)、商品名:OLE、20μ)にグラビア輪転機にて供試インキ塗布し、1日後にニチバン製24mm幅のセロハンテープを印刷画面に貼り、瞬時に剥離してインキ取られの有無を以下の5段階にて評価した。
5 印刷皮膜が全く剥離せず
4 印刷皮膜が80%以上残存
3 印刷皮膜が50〜80%残存
2 印刷皮膜が30〜50%残存
1 印刷皮膜が30%未満残存
【0041】
(ロ)耐ブロッキング性
供試インキを用いてグラビア輪転機にて印刷物を作成し、直後に印刷皮膜と印刷原反の非印刷面を重ね合せ、ブロッキングテスター(50℃、湿度80%の条件下にて5kg/cm2の荷重をかけ24時間放置)にて試験後、両者を引き剥し、インキの取られを以下の5段階にて評価した。
5 印刷皮膜が全く剥離せず
4 印刷皮膜が80%以上残存
3 印刷皮膜が50〜80%残存
2 印刷皮膜が30〜50%残存
1 印刷皮膜が30%未満残存
【0042】
(ハ)ラミネート強度
供試インキを用いてグラビア輪転機にて印刷物を作成し、その上にポリエチレンイミン系のアンカーコート剤を塗布し、押し出しラミネート機により溶融ポリエチレンを積層した。2日間経過した後、ラミネート物を15mm幅に切断し、剥離強度を測定し、以下の基準にて評価した。
○ 平均剥離強度が実用上問題ない。
△ 実用上やや劣る。
× 実用上劣る。
得られた結果を下記の表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】
以上説明してきたように本発明の水性印刷インキ組成物においては、水性ポリウレタングラフト共重合体(A)と水分散性ポリウレタン樹脂(B)とを所定の割合で配合したことにより、OPP、PET、ナイロン、Kコートの全てのフィルムに対する密着性に優れ、しかもこれらフィルムに対する耐ブロッキング性およびラミネート強度にも優れた効果を奏する。
【発明の属する技術分野】
本発明は水性印刷インキ組成物に関し、詳しくは各種プラスチックフィルムに対する密着性、耐ブロッキング性およびラミネート強度に優れた水性印刷インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、グラビア印刷やフレキソ印刷のインキとしては、夫々の要求に応じて各種有機溶剤型インキが使用されており、中でもプラスチックフィルムに対してはウレタン樹脂等をバインダーとして含有するものが広く使われている。しかし、近年、環境問題、火災の危険性、労働安全衛生上の問題から、水性タイプの印刷インキの要望が高まってきている。
【0003】
また、近年の包装材料の高性能化に伴い、ラミネート加工に対する適性を有する印刷インキの要望も高まってきている。ここで、ラミネート加工とは、印刷後にドライラミネート加工やエクストルージョン加工を施すことであり、前者は接着剤を介してフィルムを貼り合わせる加工法であり、後者はアンカーコート剤を介して溶融状態のポリマーをラミネートする加工法のことである。
【0004】
かかる要望から、既に種々のタイプの水性印刷インキが提案されており、例えば、水性ポリウレタン樹脂を使用した水性印刷インキ組成物(特開平5−171091号公報)、水溶性ポリウレタン樹脂と水分散性エチレン−アクリル酸系共重合体を併用したラミネート用水性印刷インキ組成物(特開平5−271599号公報)、変性ウレタン樹脂を使用した水性印刷インキ組成物(特開平6−80930号、特開平7−82456号各公報)等が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、今日知られている水性印刷インキ組成物のバインダーは、必ずしも各種プラスチックフィルム、特に処理ポリプロピレン(OPP)フィルムや、ガス遮蔽性が要求される包装材によく使われる塩化ビニリデンコート(Kコート)フィルム、ナイロンに対する密着性、またこれらフィルムに対する耐ブロッキング性が十分ではなく、有効なラミネート強度も得られなかった。すなわち、水性ポリウレタン樹脂単独では、OPP、ポリエチレンテレフタレート(PET)に対する接着性は良好ではあるものの、塩化ビニリデンコート(Kコート)フィルムに対する接着性は不十分であった。また、これは耐プロッキングに性劣り、コスト的にも好ましいものではなかった。
【0006】
また、水溶性ポリウレタン樹脂と水分散性エチレン−アクリル酸系共重合体との併用系では、耐ブロッキング性は向上するものの、PET、ナイロンへの密着が不十分であり、またラミネート強度も不十分であった。
【0007】
さらに、変性ウレタン樹脂は、各種プラスチックフィルムに対してバランスの良い密着性を示すが、全体的に十分とはいえず、またラミネート強度も不十分であった。
【0008】
そこで本発明の目的は、OPP、PETに加えナイロン、Kコートを含む各種フィルムに対する密着性、これらフィルムに対する耐ブロッキング性およびラミネート強度に優れた水性印刷インキ組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ブロッキング性の良好な変性ウレタン樹脂(A)に、ラミネート強度の良好な水分散性ポリウレタン樹脂(B)を所定の割合で配合することにより、PET、OPP、ナイロン、Kコートフィルム等の汎用フィルム全てに対して密着性が良好で、かつ十分なラミネート強度が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の水性印刷インキ組成物は、水性ポリウレタンを幹ポリマー成分とし重合性不飽和単量体から成る重合体をグラフト鎖成分とする水性ポリウレタングラフト共重合体(A)と、水分散性ポリウレタン樹脂(B)とを重量比80:20〜20:80でバインダーとして含有することを特徴とするものである。
【0011】
好ましくは、上記重量比は、60:40〜40:60である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する水性ポリウレタングラフト共重合体(A)は、特開平7−82456号公報にて報告されており、多官能性ヒドラジド化合物、水と混和性を有する有機溶媒および水からなる常温硬化型水性樹脂組成物の形態で使用される。グラフト共重合体における幹ポリマ−成分は、(a)α,β−エチレン性2重結合を有するヒドロキシル基含有単量体、(b)少なくとも1個のカルボキシル基と2個以上のヒドロキシル基を含有するポリヒドロキシ化合物、(c)2個以上のヒドロキシル基を有するポリヒドロキシ化合物、(d)2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物なる(a)〜(d)を必須成分として構成されるポリオール−イソシアネート重付加反応生成物およびモノアミンとジアミンの混合アミンで構成される水性ポリウレタンであり、グラフト共重合体におけるグラフト鎖成分が、ケトン基またはアルデヒド基を含有する重合性不飽和単量体を必須成分とする重合性不飽和単量体群から構成される。
【0013】
グラフト共重合体(A)は、例えば次のような方法で製造される。すなわち、まずジイソシアネート化合物、ジオール化合物、カルボキシル基を含むジオール化合物および重合性不飽和基を含むヒドロキシル化合物を有機溶媒中でウレタン化反応させ、プレポリマーを調製する。このときに使用されるジイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族または脂環族の各種公知のジイソシアネート類を使用することができる。
【0014】
ウレタン化に使用される有機溶媒としては、イソシアネート基に対して不活性で水と混和し得るアセトン、メチルエチルケトン等が好ましい。また、中和剤としては、アンモニア、トリメチルアミン等のアミン類が挙げられ、鎖伸長剤としては各種公知の、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン等のジアミン類が挙げられる。
【0015】
本発明の水性ポリウレタンの分子量としては、ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算値でMw(重量平均分子量)が3,000〜100,000、より好ましくは5,000〜50,000である。
【0016】
本発明の水性ポリウレタン樹脂の酸価は、10mg−KOH/gから200mg−KOH/gの範囲にあるのが好ましく、より好ましくは15〜100mg−KOH/gの範囲である。
【0017】
重合性不飽和結合を側鎖に有するポリウレタン水性乳濁液の存在下で重合させる重合性不飽和単量体の代表的なものはビニル系単量体であり、好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルへキシルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸グリシジルなどのメタクリル酸エステル類、スチレンなどを主成分とする単量体混合物を選択する。
【0018】
また、ケトン基を有するビニル単量体の例として、好ましくはジアセトアクリルアミド、アクロレインおよびビニルメチルケトンが挙げられる。これらのケトン基を有する単量体は、グラフト鎖中に2種以上含まれていてもよい。ケトン基含有ビニル単量体の使用量は、グラフト重合体の乾燥総重量に対して0.5〜30重量%、好ましくは1〜20重量%である。ビニル系単量体の重合方法としては、ラジカル重合によるのが好ましい。
【0019】
さらに、架橋剤として使用される多官能ヒドラジド化合物の例としては、1分子中に2〜30個の炭素原子を含有する多価カルボン酸ポリヒドラジドが挙げられ、好ましくは、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドと1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(VDH)である。グラフト共重合体に含まれるカルボニル基の1当量当り0.02〜1当量、好ましくは0.4〜0.6当量のヒドラジド基が使用される。
【0020】
さらにまた、水と混和性を有する有機溶媒は、インキからの塗膜形成の際のプラスチックなどの基材への濡れ性と溶媒の揮散性を向上させる上で有効なものである。好ましいものは、イソプロピルアルコール、エチルアルコールである。
【0021】
次に、本発明において使用する水分散性ポリウレタン樹脂(B)について説明する。
水分散性ポリウレタン樹脂(B)は、有機ジイソシアネート化合物、ポリオール類および鎖伸長剤を反応させて得られ、かつ分子内に水性化のためのカルボキシル基を有するアルカリ可溶または自己乳化型の水性ポリウレタン樹脂である。かかる水性ポリウレタン樹脂は、例えば次のような方法で製造される。
【0022】
カルボキシル基および末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのアンモニアまたは3級アミンの中和物と鎖伸長剤から成る水性ポリウレタン組成物において、このウレタンプレポリマーをカルボキシル基を有するポリオールおよびジイソシアネートと反応させる。
【0023】
あるいは、上記ウレタンプレポリマーをカルボキシル基を有するポリオールおよびその他のポリオールの混合物およびジイソシアネートと反応させる。
【0024】
なお、ウレタンプレポリマー中にカルボキシル基を有しない場合には、遊離のカルボキシル基を有する鎖伸長剤を使用して水性ポリウレタン組成物を得ることもできる。
【0025】
上記有機ジイソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族または脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
【0026】
また、ポリオール類としては、通常ウレタン樹脂の製造に使用される公知のものを使用することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクタムポリオール、ポリブタジエンジオール、ポリチオエーテルポリオールおよびポリアセタールポリオール等のジオール、並びにトリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシプロピレントリオール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ポリオキシエチレンテトラオール等の1種または2種以上の混合が挙げられる。
【0027】
かかるポリオールの好ましい数平均分子量は500〜3000である。この平均分子量が500未満であると、得られるポリウレタンの強さが不足し、一方、3000を超えると、ポリウレタンの安定性に劣る。
【0028】
上述の有機ジイソシアネート化合物とポリオール類との反応は無溶剤下、または有機溶剤中で行うことができるが、有機溶剤中で行うことが好ましく、用いられる有機溶剤としてはN−メチル−2ピロリドン、アセトン、メチルエチルケトンなどの水溶性有機溶剤が好ましい。
【0029】
ウレタンプレポリマーの溶液にアンモニアまたは3級アミン、例えばトリエチルアミン、トリエタノールアミン等を添加することにより、このプレポリマー中のカルボキシル基を中和することができる。かかる添加は、直接または水溶液として行うことができる。
【0030】
上述の有機ジイソシアネート化合物とポリオール化合物からなるウレタンプレポリマー中に、水性化のために必要な遊離のカルボキシル基が既に含有されている場合は、従来より使用される以下のような鎖伸長剤を使用することができる。すなわち、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、グリセリン、1,2,3−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール類、1,3,5−シクロヘキサントリオール等の脂環族ポリオール類、ヒドラジン、エチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン類、あるいはイソホロンジアミン等の脂環族アミン類等である。
【0031】
一方、ウレタンプレポリマー中に遊離のカルボキシル基を有しない場合は、少なくとも遊離のカルボキシル基を含有する鎖伸長剤を使用する必要がある。遊離のカルボキシル基を含有する鎖伸長剤とは、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸あるいはフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸とその無水物のような芳香族カルボン酸と低級ポリオールとを反応させて得られる芳香族カルボン酸含有ポリオール類等が具体的に挙げられる。
【0032】
ウレタンプレポリマーへの鎖伸長剤の添加方法としは、ウレタンプレポリマーの中和物の有機溶剤液に鎖伸長剤の水溶液を加える方法が好ましいが、鎖伸長剤を単独でウレタンプレポリマーの中和物の有機溶剤液に加え、分子量の高いポリウレタンを合成した後、水を添加してもよいし、またウレタンプレポリマーの中和物の有機溶剤液に水を加え、ウレタンプレポリマーを水中に分散させた後、鎖伸長剤を加えてもよい。添加する水の量は、最終生成物の水性ポリウレタン組成物、すなわち水性ポリウレタン乳液の固形分濃度が30〜50重量%程度になる量が好ましい。
【0033】
以上の化合物を反応させて得られるポリウレタン樹脂において、水性化に必要な遊離のカルボキシル基の含有量は、当該ポリウレタン樹脂の酸価を20〜100とするために必要な量であることが好ましく、とりわけ当該ポリウレタン樹脂の酸価が30〜60となる量であることが好ましい。酸価が20より低い場合には、得られる水性ポリウレタン樹脂が水系で安定な溶解または分散状態を維持するのが困難となり、一方、酸価が100を超えると、得られる樹脂皮膜は耐水性が低く、また硬いものとなり、良好な皮膜物性が得られなくなる。
【0034】
本発明の水性印刷インキ組成物においては、水性ポリウレタングラフト共重合体(A)と水分散性ポリウレタン樹脂(B)とを重量比80:20〜20:80でバインダーとして含有する。かかる重量比よりもグラフト共重合体(A)が少ないと、OPPおよびKコートフィルムへの密着が弱くなり、全フィルムへの耐ブロッキング性が低下する。一方、樹脂(B)が少ないと、十分なラミネート強度が得られない。上記重量比は、好ましくは60:40〜40:60であり、最も好ましくは50:50である。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明する。
下記の合成例1および2において、水分散性ポリウレタン樹脂(B)を夫々調製した。
[水分散性ポリウレタン樹脂(B)の調製]
合成例1:
温度計、攪拌装置、および冷却管を備えた反応器に、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量2000)250g、ジメチロールプロピオン酸17g、イソホロンジイソシアネート65gおよびメチルエチルケトン50gを仕込み、窒素ガスを導入しながら70〜75℃で8時間反応を行った。上記反応で得られたウレタンプレポリマー溶液中にトリエチルアミン16gを加え、中和した後、攪拌下、エチレンジアミン4gを溶解させた蒸留水800gを添加し、その後メチルエチルケトンを減圧下で除去し、水性ポリウレタン樹脂溶液((B)−1)を得た。
得られた水性ポリウレタン樹脂溶液は不揮発分30%、粘度320cpsであった。
【0036】
合成例2:
上記合成例1と同様の反応器に、ポリプロピレングリコール(数平均分子量2000)250g、1,4−ブタンジオール5g、ジメチロールプロピオン酸18g、イソホロンジイソシアネート73g、メチルエチルケトン60gを仕込み、窒素ガスを導入しながら70〜75℃で5時間反応を行った。上記反応で得られたウレタンプレポリマー溶液中にトリエチルアミン18gを加え、中和した後、攪拌下、エチレンジアミン4gを溶解させた蒸留水797gを添加し、その後メチルエチルケトンを減圧下で除去し、水性ポリウレタン樹脂溶液((B)−2)を得た。
得られた水性ポリウレタン樹脂溶液は不揮発分30%、粘度200cpsであった。
【0037】
なお、水性ポリウレタングラフト共重合体(A)については、大成化工(株)より入手し得る商品名WEM 141M((A)−1)、およびWEM 141B((A)−2)を使用した。
【0038】
[インキの作製方法]
上記水性ポリウレタングラフト共重合体(A)−1、(A)−2および水分散性ポリウレタン樹脂(B)−1、(B)−2を使用し、下記の表1に示す配合処方例(実1〜6、比1〜3)に従い、容量225mlのガラスビンにガラスビーズ100g、グラフト共重合体(A)、樹脂(B)、酸化チタンR−780(石原産業(株))、工業用エタノール、イオン交換水を所定量入れ、レッドデビル型分散機で30分間分散処理を行い、各ラミネート用水性インキ組成物を調製した。
【0039】
【表1】
【0040】
得られたインキ組成物の評価試験は以下のようにして行った。
(イ)密着性
PET(東洋紡績(株)、商品名:E−5100、12μ)、延伸OPP(東洋紡績(株)、商品名:P−2161、20μ)、ナイロン(ユニチカ(株)、商品名:エンブレム、12μ)およびKコートフィルム(東セロ(株)、商品名:OLE、20μ)にグラビア輪転機にて供試インキ塗布し、1日後にニチバン製24mm幅のセロハンテープを印刷画面に貼り、瞬時に剥離してインキ取られの有無を以下の5段階にて評価した。
5 印刷皮膜が全く剥離せず
4 印刷皮膜が80%以上残存
3 印刷皮膜が50〜80%残存
2 印刷皮膜が30〜50%残存
1 印刷皮膜が30%未満残存
【0041】
(ロ)耐ブロッキング性
供試インキを用いてグラビア輪転機にて印刷物を作成し、直後に印刷皮膜と印刷原反の非印刷面を重ね合せ、ブロッキングテスター(50℃、湿度80%の条件下にて5kg/cm2の荷重をかけ24時間放置)にて試験後、両者を引き剥し、インキの取られを以下の5段階にて評価した。
5 印刷皮膜が全く剥離せず
4 印刷皮膜が80%以上残存
3 印刷皮膜が50〜80%残存
2 印刷皮膜が30〜50%残存
1 印刷皮膜が30%未満残存
【0042】
(ハ)ラミネート強度
供試インキを用いてグラビア輪転機にて印刷物を作成し、その上にポリエチレンイミン系のアンカーコート剤を塗布し、押し出しラミネート機により溶融ポリエチレンを積層した。2日間経過した後、ラミネート物を15mm幅に切断し、剥離強度を測定し、以下の基準にて評価した。
○ 平均剥離強度が実用上問題ない。
△ 実用上やや劣る。
× 実用上劣る。
得られた結果を下記の表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】
以上説明してきたように本発明の水性印刷インキ組成物においては、水性ポリウレタングラフト共重合体(A)と水分散性ポリウレタン樹脂(B)とを所定の割合で配合したことにより、OPP、PET、ナイロン、Kコートの全てのフィルムに対する密着性に優れ、しかもこれらフィルムに対する耐ブロッキング性およびラミネート強度にも優れた効果を奏する。
Claims (2)
- 水性ポリウレタンを幹ポリマー成分とし重合性不飽和単量体から成る重合体をグラフト鎖成分とする水性ポリウレタングラフト共重合体(A)と、水分散性ポリウレタン樹脂(B)とを重量比80:20〜20:80でバインダーとして含有することを特徴とする水性印刷インキ組成物。
- 上記重量比が60:40〜40:60である請求項1記載の水性印刷インキ組成物。
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