JP2002302526A - 水系ポリウレタン樹脂組成物及びそれを用いたプラスチックフィルム用プライマー組成物 - Google Patents

水系ポリウレタン樹脂組成物及びそれを用いたプラスチックフィルム用プライマー組成物

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JP2002302526A
JP2002302526A JP2001104674A JP2001104674A JP2002302526A JP 2002302526 A JP2002302526 A JP 2002302526A JP 2001104674 A JP2001104674 A JP 2001104674A JP 2001104674 A JP2001104674 A JP 2001104674A JP 2002302526 A JP2002302526 A JP 2002302526A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 幅広い種類のプラスチックフィルムに優れた
密着性を示し、トップコートとの接着性にも優れ、塗膜
は透明で柔軟性があり、ドライラミネート性を有し、環
境及び毒性の問題のない水系ポリウレタン樹脂組成物を
提供することにある。 【解決手段】 脂環族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボ
ン酸と分岐グリコールとを構成成分とするポリエステル
グリコール(A)を70〜95重量%と、有機ジイソシ
アネート(B)と、遊離のカルボキシル基を有する鎖伸
長剤(C)又は三級アミノ基を有する鎖伸長剤(C′)
とを構成成分とする線状ウレタンプレポリマーを中和剤
(D)の存在下、水で架橋させた数平均分子量1000
0〜60000の水系ポリウレタン樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水系ポリウレタン
樹脂組成物に関し、更に詳しくは幅広い種類のプラスチ
ックフィルムに対し優れた密着性を有し、その形成被膜
はプライマー用途に適した柔軟性、透明性、ドライラミ
ネート性を有し、塩素等を含まない環境対応型水系ポリ
ウレタン樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、被包装物の多様化、包装技術の高
度化に伴い各種プラスチックフィルムの装飾又は表面保
護のためにコーティングが施されている。ここで使用さ
れているコーティング剤は、種々のプラスチックフィル
ムに対して十分な接着性、強い耐性、及び後加工適性等
が要求されている。これらのコーティング剤の性能は、
コーティング剤を構成する樹脂の性能に依存することか
ら、従来よりプラスチックフィルムに対する接着性等か
らポリウレタン樹脂を主成分とする溶剤系コーティング
剤が、よく使用されている。特に、ポリオレフィン系フ
ィルムでは、塩素化ポリオレフィンを主成分とする溶剤
系プライマー組成物が使用されることが多い。
【0003】一方、最近では、環境問題、省資源、労働
安全性及び食品衛生等の見地から、水系或いは非塩素系
のコーティング剤に対する要望が強くなっている。しか
し、水系コーティング剤は、一般にプラスチックフィル
ムに対する接着性或いはラミネート強度が十分でなく、
更にボイル等に対する耐性が低いという問題がある。
【0004】この問題を解決するための水性ポリウレタ
ン樹脂が、特開昭61−36314号公報に開示されて
いる。この公報には、芳香族ジカルボン酸を70重量%
以上含む酸成分とグリコール成分より構成されたポリエ
ステルポリオールと、ポリイソシアネート化合物と、必
要に応じて鎖伸長剤とから得られる高分子量体であっ
て、該高分子量体中にペンダントカルボキシル基を含有
し、該カルボキシル基がアンモニアもしくは有機アミン
で中和されている水性ポリエステルポリウレタン樹脂が
開示されている。上記水性ポリエステルポリウレタン樹
脂を使用すると、ポリエステルフィルムに対する接着性
に優れ、かつ優れた耐水性ならびに耐ブロッキング性を
有するコーティング剤が得られる。しかしながら、ポリ
オレフィン系フィルムに対する接着性は十分でないとい
う問題を抱えている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、幅広い種類のプラスチックフィルムに優れた接着性
を示し、トップコートとの接着性にも優れ、塗膜は透明
で柔軟性があり、ドライラミネート性を有し、環境及び
毒性の問題のない水系ポリウレタン樹脂組成物を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題
を達成するため鋭意検討の結果、脂環族と脂肪族との混
合ジカルボン酸と分岐グリコールとを構成成分としたポ
リエステルグリコールと、遊離のカルボキシル基又は三
級アミノ基を有する鎖伸長剤とを構成成分とした線状ウ
レタンプレポリマーを、完全に中和することなくカルボ
キシル基又は三級アミノ基を残すことにより、幅広い種
類のフィルムに対する接着性が改善されることを見いだ
し本発明を完成した。
【0007】即ち、本発明の組成物は、脂環族ジカルボ
ン酸及び脂肪族ジカルボン酸と分岐グリコールとを構成
成分とするポリエステルグリコール(A)を70〜95
重量%と、有機ジイソシアネート(B)と、遊離のカル
ボキシル基を有する鎖伸長剤(C)とを構成成分とする
線状ウレタンプレポリマーを中和剤(D)の存在下、水
で架橋させた数平均分子量10000〜60000の水
系ポリウレタン樹脂組成物であり、そして、脂環族ジカ
ルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸と分岐グリコールとを
構成成分とするポリエステルグリコール(A)を70〜
95重量%と、有機ジイソシアネート(B)と、三級ア
ミノ基を有する鎖伸長剤(C′)とを構成成分とする線
状ウレタンプレポリマーを中和剤(D)の存在下、水で
架橋させた数平均分子量10000〜60000の水系
ポリウレタン樹脂組成物である。前記水系ポリウレタン
樹脂末端のアミン価は、0.2〜10(KOHmg/
g)であってもよい。前記水系ポリウレタン樹脂の酸価
又はアミン価は、6〜31(KOHmg/g)であって
もよく、中和剤(D)量が、遊離のカルボキシル基を有
する鎖伸長剤(C)又は三級アミノ基を有する鎖伸長剤
(C′)に対して0.4〜0.8モルであってもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明においては、酸成分として
脂環族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を、ポリオ
ール成分として少なくとも分岐グリコールを使用し、酸
成分とポリオール成分とを反応させて得られるポリエス
テルグリコール(A)を、有機ジイソシアネート(B)
と、少なくとも遊離のカルボキシル基を有する鎖伸長剤
(C)又は三級アミノ基を有する鎖伸長剤(C′)とを
反応させて得られる線状ウレタンプレポリマーを、前記
遊離のカルボキシル基を有する鎖伸長剤(C)又は三級
アミノ基を有する鎖伸長剤(C′)の中和量より少ない
0.4〜0.8モル量の中和剤(D)の存在下、水で架
橋させた、酸価6〜31(KOHmg/g)又はアミン
価6〜31(KOHmg/g)で、数平均分子量100
00〜60000の水系ポリウレタン樹脂組成物であっ
て、この水系ポリウレタン樹脂組成物を使用することに
より、幅広い種類のプラスチックフィルムに対する密着
性に優れ、そして、トップコートとの接着性にも優れ、
塗膜は透明で柔軟性があり、ドライラミネート性を有
し、環境及び毒性の問題がない。
【0009】本発明で用いられるポリエステルグリコー
ル(A)を構成する酸成分としての脂環族ジカルボン酸
は、例えば、シクロプロパンジカルボン酸、シクロブタ
ンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸など、或いは
これらの酸無水物、アルキルエステル、酸ハライド等の
反応性誘導体などを挙げることができる。これらの脂環
族ジカルボン酸は単独または2種以上併用して用いられ
る。
【0010】脂肪族ジカルボン酸は、例えば、マロン
酸、琥珀酸、酒石酸、蓚酸、グルタル酸、アジピン酸、
ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、
アルキルコハク酸、リノレイン酸、マレイン酸、フマー
ル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタ
コン酸等、或いはこれらの酸無水物、アルキルエステ
ル、酸ハライド等の反応性誘導体などを挙げることがで
きる。これらの脂肪族ジカルボン酸は単独または2種以
上併用して用いられる。
【0011】前記酸成分中の脂環族ジカルボン酸と脂肪
族ジカルボン酸の比率は、重量比で、脂環族ジカルボン
酸:脂肪族ジカルボン酸が9.5:0.5〜5:5、好
ましくは9:1〜6:4、より好ましくは9:1〜7:
3である。脂環族ジカルボン酸が上記範囲を越えると各
種フィルムへの密着性が低下し、上記範囲未満でも各種
フィルムへの密着性が低下する。
【0012】本発明で用いられるポリエステルグリコー
ル(A)を構成するグリコール成分としての分岐グリコ
ールとしては、例えば、1,2−プロピレングリコー
ル、1−メチル−1,3−ブチレングリコール、2−メ
チル−1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリ
コール、1−メチル−1,4−ペンチレングリコール、
2−メチル−1,4−ペンチレングリコール、1,2−
ジメチル−ネオペンチルグリコール、2,3−ジメチル
−ネオペンチルグリコール、1−メチル−1,5−ペン
チレングリコール、2−メチル−1,5−ペンチレング
リコール、3−メチル−1,5−ペンチレングリコー
ル、1,2−ジメチルブチレングリコール、1,3−ジ
メチルブチレングリコール、2,3−ジメチルブチレン
グリコール、1,4−ジメチルブチレングリコール、等
を挙げることができる。これらの分岐グリコールは単独
でまたは2種以上併用して用いられる。
【0013】本発明においては、ポリエステルグリコー
ル(A)を構成するグリコール成分として、前記分岐グ
リコールに加えて、直鎖グリコールを必要に応じて目的
とする性能を低下させない範囲で追加成分として使用し
てもよく、かかる直鎖グリコールとしては、例えば、エ
チレングリコール、1,3−プロピレングリコール、
1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンチレングリ
コール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ジエチレ
ングリコール等を挙げることができる。これらの直鎖グ
リコールは単独でまたは2種以上併用して用いられる。
【0014】また、このポリエステルグリコール(A)
は、最終的に得られる水系ポリウレタン樹脂に対してポ
リエステルセグメントとして70〜95重量%含有する
のが好ましい。70重量%未満では、各種フィルムへの
接着性が低下し好ましくない。95重量%を越えると得
られるポリウレタン樹脂が柔らかくなりすぎたり、乾燥
性が悪くなり、耐ブロッキング性も低下する。
【0015】前記ポリエステルグリコール(A)の数平
均分子量は通常500〜8000、好ましくは1000
〜5000、より好ましくは1200〜3000であ
る。数平均分子量が500未満では、得られるポリウレ
タン樹脂が硬くて脆くなり、接着性も低下する。また数
平均分子量が8000を越えると得られるポリウレタン
樹脂が柔らかくなりすぎ、耐ブロッキング性も低下す
る。
【0016】本発明におけるポリエステルグリコール
(A)は、酸成分とグリコール成分とを脱水縮合せしめ
る公知のポリエステル製造方法と同様の方法で得られ
る。
【0017】本発明で用いられる有機ジイソシアネート
(B)としては、脂肪族ジイソシアネート(例えば、テ
トラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソ
シアネート、1,4−ブタンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘ
キサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチ
ルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシア
ネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネー
ト、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートな
どが例示できる)、脂環族ジイソシアネート(例えば、
イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシ
アネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシ
アネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、
メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビ
ス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどが例示
できる)、芳香族ジイソシアネート(例えば、トリレン
ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソ
シアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、
4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネー
ト、4,4′−ジベンジルジイソシアネート、1,5−
ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネ
ート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−
フェニレンジイソシアネートなどが例示できる)、芳香
脂肪族ジイソシアネート(例えば、ジアルキルジフェニ
ルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニル
メタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチ
ルキシリレンジイソシアネートなどが例示できる)等を
挙げることができる。これらの有機ジイソシアネートは
単独でも用いることができるし、2種以上の混合物にし
て用いることもできる。
【0018】本発明で用いられる遊離のカルボキシル基
を有する鎖伸長剤(C)としては、ジヒドロキシカルボ
ン酸、例えば、ジアルキロールアルカン酸、特にジメチ
ロールアルカン酸(例えば、ジメチロール酢酸、ジメチ
ロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール
ブタン酸、ジメチロールペンタン酸などが例示でき
る)、ジヒドロキシスクシン酸などを挙げることができ
る。これらの遊離のカルボキシル基を有する鎖伸長剤
(C)は単独でまたは2種以上併用して用いられる。
【0019】本発明で用いられる三級アミノ基を有する
鎖伸長剤(C′)としては、N−アルキルジアルカノー
ルアミン(例えば、N−メチルジエタノールアミン、N
−エチルジエタノールアミンなどが例示できる)、N−
アルキルジアミノアルキルアミン(例えば、N−メチル
ジアミノエチルアミン、N−エチルジアミノエチルアミ
ンなどが例示できる)等を挙げることができる。これら
の三級アミノ基を有する鎖伸長剤(C′)は単独でまた
は2種以上併用して用いられる。
【0020】更に、他の使用可能な鎖伸長剤としては、
グリコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロ
パンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール
などが例示できる)、脂肪族ジアミン(例えば、エチレ
ンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジア
ミン、1,4−ブタンジアミン、アミノエチルエタノー
ルアミンなどが例示できる)、脂環族ジアミン(例え
ば、イソホロンジアミン、4,4′−ジシクロヘキシル
メタンジアミンなどが例示できる)、芳香族ジアミン
(例えば、キシリレンジアミン、トリレンジアミンなど
が例示できる。)等を挙げることができる。これらの他
の使用可能な鎖伸長剤は単独でまたは2種以上併用して
用いられる。
【0021】これらの鎖伸長剤(C)又は(C′)はポ
リウレタン樹脂の水性化に必要であり、鎖伸長剤(C)
又は(C′)は、最終的に得られる水系ポリウレタン樹
脂の酸価又はアミン価が6〜31(KOHmg/g)、
好ましくは10〜20(KOHmg/g)になるように
添加するのが好ましい。酸価又はアミン価が6未満で
は、水性化能が低すぎるため水系で自己乳化状態を維持
するのが困難となり好ましくない、一方、酸価又はアミ
ン価が31を越えると水性化能は十分であるが、被膜が
硬くなりすぎたり、また、耐水性が低くなり好ましくな
い。
【0022】本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物は、
従来公知のいかなる方法によっても製造が可能であり、
(1)各成分を一度に反応させるワンショット法また
は、(2)段階的に反応させる多段法、例えば、有機ポ
リイソシアネートと活性水素化合物の一部とを反応させ
てイソシアネート基末端プレポリマーを形成した後、活
性水素化合物の残部を加えて、更に反応させて製造する
方法などのいずれの方法で製造してもよいが、ポリウレ
タン分子鎖中へのカルボキシル基又は三級アミノ基の導
入が容易である点で多段法が好ましい。また、ポリウレ
タン樹脂をイソシアネートに対して不活性で、水と相溶
する有機溶剤中で反応後、水を添加し、その後、有機溶
剤を取り除く方法も好ましく使用できる。
【0023】本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物の製
造においては、イソシアネートに対して不活性で、水と
相溶する有機溶剤中で有機ジイソシアネート(B)とポ
リエステルグリコール(A)とを反応させてイソシアネ
ート基末端プレポリマーを形成した後、遊離のカルボキ
シル基を有する鎖伸長剤(C)又は三級アミノ基を有す
る鎖伸長剤(C′)とを反応させて得られる線状ウレタ
ンプレポリマーを、中和剤(D)の存在下水中で、水で
鎖伸長させると同時に水性化させることによって得られ
る。ここで言う水性化とは、樹脂を水中に安定に分散も
しくは乳化させることを指す。
【0024】プレポリマー合成時のイソシアネート基/
活性水素基のモル比は、0.9〜1.95であり、好ま
しくは0.95〜1.85である。0.9未満の場合
は、後述する末端イソシアネート基のプレポリマーの調
製が困難となり、その結果、末端をアミノ基とすること
ができず、各種フィルムへの接着性が低下する。一方
1.95を越えると、イオン基(親水性基)の導入が不
均一となり、乳化が困難となる。ここで調製されるプレ
ポリマーの末端NCOの含有量は、0.1〜3.0重量
%であることが好ましく、0.3〜1.5重量%である
ことがより好ましい。
【0025】前記中和剤(D)としては、例えば、アン
モニア、N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジ
メチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、
トリエタノールアミン、モルホリン、トリプロピルアミ
ン、エタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールなどが挙げ
られる。また、三級アミノ基を四級アンモニウム塩とし
て中和する中和剤としては、ハロゲン化アルキル(例え
ば、ベンジルクロライド、メチルクロライドなど)、硫
酸エステル(例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチルな
ど)等が挙げられる。これらの中和剤(D)は単独でま
たは2種以上併用して用いられる。
【0026】中和剤(D)の使用量は、前記遊離のカル
ボキシル基を有する鎖伸長剤(C)又は前記三級アミノ
基を有する鎖伸長剤(C′)に対して0.4〜0.8モ
ル、好ましくは0.5〜0.7モルであり、遊離のカル
ボキシル基又は三級アミノ基を完全に中和することなく
一部遊離のカルボキシル基又は三級アミノ基として残す
ことにより幅広い種類のプラスチックフィルムに対して
接着性を向上させることができる。
【0027】前記ポリウレタン樹脂の製造は通常20〜
140℃、好ましくは40〜120℃の温度で行われ
る。前記反応に際しては、反応を促進させるため、必要
により通常ウレタン反応において使用される触媒を使用
してもよい。ウレタン反応触媒としては、アミン触媒
(例えば、トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、
トリエチレンジアミンなど)、錫系触媒(例えば、ジブ
チル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、オク
チル酸錫など)、チタン系触媒(例えば、テトラブチル
チタネートなど)等を挙げるこができる。触媒の使用量
はポリウレタン樹脂に対して通常0.1重量%以下であ
る。
【0028】本発明で使用してもよい、前記イソシアネ
ートに対して不活性で水と相溶する有機溶剤としては、
エステル系溶剤(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、エ
チルセロソルブアセテートなど)、ケトン系溶剤(例え
ば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトンなど)、エーテル系溶剤(例えば、ジオキサン、
テトラハイドロフラン、プロピレングリコールモノメチ
ルエーテルなど)、アミド系溶剤(例えば、ジメチルホ
ルムアミド、N−メチルピロリドンなど)等を挙げるこ
とができる。これらの溶剤は単独でまたは2種以上併用
して用いられ、好ましいものは、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメ
チルエーテルである。
【0029】このようにして得られる本発明のポリウレ
タン樹脂の数平均分子量は10000〜60000、好
ましくは20000〜40000である。数平均分子量
が10000未満であると、これを用いたプライマー組
成物の塗膜の乾燥性、接着性が不良になる、また、ラミ
ネート適性が不十分になる傾向がある。一方数平均分子
量が60000を越えると、各種プラスチックフィルム
への密着性が不良となるので好ましくない。
【0030】また、このようにして得られる本発明のポ
リウレタン樹脂の樹脂末端のアミン価は0.2〜10
(KOHmg/g)、好ましくは0.3〜6(KOHm
g/g)である。樹脂末端のアミン価が0.2未満であ
ると、各種プラスチックフィルムへの接着性が不良とな
る。一方樹脂末端のアミン価が10を越えても各種プラ
スチックフィルムへの接着性が不良になり好ましくな
い。
【0031】本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物はそ
のままでも、プラスチックフィルム用プライマー組成物
又は水性ラミネート用接着剤として使用されるが、必要
に応じて顔料や染料、固形分や粘度調整のための水、ブ
ロッキング防止剤、分散安定剤、揺変剤、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、分散剤、界面活性剤、
触媒、フィラー、滑剤、帯電防止剤等を添加し、これら
をボールミル、サンドグラインドミル等を用いて混合し
て得られる組成物をプラスチックフィルム用プライマー
組成物又は水性ラミネート用接着剤として使用してもよ
い。
【0032】更にアミノプラスト化合物、エポキシ化合
物、カルボジイミド化合物などの架橋剤を添加して使用
することが好ましい。これらの架橋剤を添加したプラス
チックフィルム用プライマー組成物又は水性ラミネート
用接着剤は、各種プラスチックフィルムに適用した場
合、より低い熱処理条件で優れた密着性を示し、耐水
性、耐溶剤性が向上する。
【0033】本発明のプラスチックフィルム用プライマ
ー組成物又は水性ラミネート用接着剤を適用する対象フ
ィルムは、例えば、ポリエステルフィルム(延伸ポリエ
チレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルム
と記す)など)、ナイロンフィルム(延伸ナイロンフィ
ルム、未延伸ナイロンフィルムなど)、ポリオレフィン
フィルム(ポリエチレンフィルム(以下、PEフィルム
と記す)、延伸ポリプロピレンフィルム(以下、OPP
フィルムと記す)、未延伸ポリプロピレンフィルム(以
下、CPPフィルムと記す)など)等の各種フィルムが
挙げられる。コロナ放電処理などの表面処理を施したフ
ィルムも好ましく使用できる。コロナ放電処理などの表
面処理を施すことにより、密着性をより向上させること
ができる。
【0034】本発明において、ラミネート加工する方法
としては、上記各種フィルムに本発明の水性ラミネート
用接着剤を塗布し、溶融樹脂を積層する押出ラミネート
法、上記各種フィルムに本発明の水性ラミネート用接着
剤を塗布し、プラスチックフィルムを積層するドライラ
ミネート法のいずれもが利用できるが、本発明の水性ラ
ミネート用接着剤は特にドライラミネート法に適してい
る。
【0035】
【実施例】以下に、実施例及び比較例に基づき、本発明
を更に詳細に説明する。実施例及び比較例中、部及び%
は、重量部及び重量%をそれぞれ表す。
【0036】実施例、比較例に使用したポリエステルグ
リコールの組成及び組成比を表1に示した。
【0037】
【表1】
【0038】(実施例1)表1に示すポリエステル−A
を826部、メチルエチルケトンを667部加え、十分
に撹拌溶解し、次いで、イソホロンジイソシアネート1
41部を加えて75℃で1時間反応させた。反応終了
後、60℃まで冷却し、ジメチロールプロピオン酸を3
3部と、トリエチルアミン15部とを加え、75℃で反
応させて、NCOが0.5%の末端イソシアネート基を
有するプレポリマー溶液を得た。次いで、このプレポリ
マーを40℃まで冷却し、水1500部を加え、ホモミ
キサーで高速撹拌することにより乳化を行った。この乳
化液から加熱減圧下によりメチルエチルケトンを留去
し、固形分40%の実施例1の水性ポリウレタン樹脂溶
液を得た。
【0039】
【表2】
【0040】(実施例2〜5)表2に示す配合に基づい
て実施例1と同様の手順により、実施例2〜5の水系ポ
リウレタン樹脂組成物を調製した。
【0041】(比較例1〜7)表2に示す配合に基づい
て実施例1と同様の手順により、比較例1〜7の水系ポ
リウレタン樹脂組成物を調製した。
【0042】(分析)水系ポリウレタン樹脂組成物は下
記に示す方法で分析及び評価を行った。 (1)数平均分子量 ポリスチレン検量線による、ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー(GPC)法により測定した。 (2)酸価 固形分1g中に含まれる遊離カルボキシル基を中和する
に要するKOHのmg数を示し、合成に用いた遊離のカ
ルボキシル基を有する鎖伸長剤(D)の仕込量より算出
した。 (3)アミン価 固形分1g中に含まれるアミンを中和するに要する酸と
当量のKOHのmg数を示し、合成に用いた三級アミノ
基を有する鎖伸長剤(D′)の仕込量より算出した。 (4)末端アミン価 全アミン価から第3アミン価(遊離のカルボシル基の中
和剤由来)を差し引いたアミン価を示し、滴定して求め
た。
【0043】(密着性)実施例1〜5及び比較例1〜7
の水系ポリウレタン樹脂組成物を下記のフィルムに乾燥
膜厚10μmになるように塗布し、室温(25℃)乾燥
した後、80℃で5分熱処理を行った。塗膜の密着性
は、JIS K5400の碁盤目テープ法に基づいて評
価した。即ち、塗布面に2mmマスを碁盤目状に100
マス作り、セロハン粘着テープを貼り付け、これを急速
に剥がしたときの皮膜がフィルムから剥離する度合いか
ら密着性を評価した。その結果を表2に合わせて示し
た。
【0044】OPP:厚さ100μm、コロナ放電処理
延伸ポリプロピレンフィルム PET:厚さ100μm、コロナ放電処理延伸ポリエチ
レンテレフタレートフィルム PE:厚さ60μm、コロナ放電処理延伸ポリエチレン
フィルム。
【0045】表2では評価結果を下記のように表示し
た。
【0046】◎:全く剥がれなかったもの ○:80%以上フィルムに残ったもの ×:20%以下にとどまったもの (実施例8〜11)実施例1で得られた水系ポリウレタ
ン樹脂組成物をそのままラミネート用水性接着剤として
用い、厚み100μmのOPPフィルムのコロナ放電処
理面にバーコーターで乾燥膜厚40μmになるように塗
布し、室温(25℃)で予備乾燥後、ドライラミネート
機により、(1)厚み100μm片面コロナ放電処理し
たOPPフィルム(実施例8)、(2)厚み100μm
片面コロナ放電処理したPETフィルム(実施例9)、
(3)厚み60μm片面コロナ放電処理したPEフィル
ム(実施例10)、(4)厚み200μmの半硬質塩化
ビニル(PVC)フィルム(実施例11)、を各々積層
した。
【0047】積層条件は、温度60℃、80℃、100
℃、圧力0.2N/mm2、加圧時間90秒であった。
但し、積層にはコロナ放電処理したものは処理面を使用
した。
【0048】ドライラミネートしたフィルムはテンシロ
ン万能試験機((株)オリエンテック製)を使用して、
T型剥離試験を行った。剥離強度を表3に示した。
【0049】
【表3】
【0050】本発明のラミネート用水性接着剤は優れた
ドライラミネート性を有しており、OPPフィルム同士
はもちろんOPP-PET、OPP-PE、OPP-塩化
ビニルフィルムの異種フィルム間接着も可能である。
【0051】(実施例12、比較例8)実施例1で得ら
れた水系ポリウレタン樹脂組成物をそのままプラスチッ
クフィルム用プライマー組成物として用い、厚み100
μmのOPPフィルムのコロナ放電処理面にバーコータ
ーで乾燥膜厚5μmになるようにプライマー塗装した。
これを80℃で20分間乾燥した後、表4に示した水系
ポリウレタン樹脂塗料を前記乾燥プライマー塗膜の上に
バーコーターで乾燥膜厚5μmになるようにトップ塗装
して、乾燥(80℃で20分)した(実施例12)。比
較のために、プライマー塗装をせずにトップ塗装したフ
ィルムを作製した(比較例8)。塗装したフィルムは碁
盤目(2mmマス×100)セロハンテープ剥離試験で
密着性を評価した。評価結果は碁盤目の残存率(%)で
表示し、表4に示した。
【0052】
【表4】
【0053】本発明のプラスチック用プライマー組成物
を用いることにより、単独ではOPPフィルムに密着し
ない水系ポリウレタン樹脂塗料の密着性が向上した。
【0054】(実施例13〜15)実施例1で得られた
水系ポリウレタン樹脂組成物に、表5に示す各種架橋剤
を同表に示す割合で添加混合して、プラスチックフィル
ム用プライマー組成物及びラミネート用水性接着剤を得
た。これらのOPPフィルムへの密着性及び皮膜の耐水
・耐溶剤性を測定した。結果を表5に示した。
【0055】コーティング剤は下記に示す方法で評価し
た。
【0056】(1)OPPフィルムへの密着性の測定 各コーティング剤を厚み100μmのコロナ放電処理O
PPフィルムへ乾燥膜厚10μmになるように塗布し、
室温(25℃)乾燥した後、80℃で5分熱処理を行っ
た。塗膜の密着性は、JIS K5400の碁盤目テー
プ法に基づいて評価した。
【0057】塗布面に2mmマスを碁盤目状に100マ
ス作り、セロハン粘着テープを貼り付け、これを急速に
剥がしたときの皮膜がフィルムから剥離する度合いから
密着性を評価した。評価結果は下記のように表示した。
【0058】 ◎:全く剥がれなかったもの ○:80%以上フィルムに残ったもの ×:20%以下にとどまったもの。
【0059】(2)耐水・耐溶剤性の評価 各コーティング剤を乾燥厚み約200〜300μmにな
るように塗布し室温乾燥(25℃)を24時間行い、そ
の後50℃で3時間、そして120℃で20分乾燥して
皮膜を作成した。
【0060】この皮膜から2×4cmの試験片を切り取
りこの試験片を(1)40℃の温水、(2)70℃の温
水、(3)酢酸エチル/トルエン=1/1(重量比)、
(4)エタノール、(5)イソプロピルアルコールに2
4時間浸漬し、浸漬前の重量と浸漬後の重量を測定し、
重量の増加率(%)で表示した。
【0061】
【表5】
【0062】本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物は、
幅広い種類のプラスチックフィルムに優れた密着性を有
していることが確認された。そして、架橋剤(カルボジ
イミド化合物、エポキシ化合物)を添加した皮膜は耐水
・耐溶剤性が向上していることが確認された。
【0063】
【発明の効果】本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物に
より、幅広い種類のプラスチックフィルムに対し優れた
密着性を示し、その形成塗膜はプライマー用途に適した
柔軟性、透明性、ドライラミネート性及びトップコート
との接着性に優れたプライマー組成物又はラミネート用
接着剤が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 175/06 C09D 175/06 C09J 175/06 C09J 175/06 Fターム(参考) 4F006 AA12 AA35 AA38 AB37 BA01 EA03 4J034 BA08 CA04 CA17 CA22 CB03 CB04 CB07 CB08 CC01 CC03 CC05 CD01 DA01 DB04 DB07 DC50 DF01 DF14 DF16 DF20 HA01 HA07 HC01 HC03 HC11 HC12 HC22 HC46 HC52 HC61 HC63 HC73 JA02 JA14 JA30 JA42 KA01 KB02 KC16 KC17 KD02 KD12 KE02 LA08 LA33 QA05 RA08 4J038 DB002 DG111 DG261 GA09 KA03 KA06 MA08 MA10 MA14 NA12 PB03 PB04 PC08 4J040 EC002 EF111 EF281 HC01 JA03 JB02 KA16 KA17 KA23 LA01 LA06 MA10 MB03 NA06 NA08

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂環族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボ
    ン酸と分岐グリコールとを構成成分とするポリエステル
    グリコール(A)を70〜95重量%と、有機ジイソシ
    アネート(B)と、遊離のカルボキシル基を有する鎖伸
    長剤(C)とを構成成分とする線状ウレタンプレポリマ
    ーを中和剤(D)の存在下、水で架橋させた数平均分子
    量10000〜60000の水系ポリウレタン樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 脂環族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボ
    ン酸と分岐グリコールとを構成成分とするポリエステル
    グリコール(A)を70〜95重量%と、有機ジイソシ
    アネート(B)と、三級アミノ基を有する鎖伸長剤
    (C′)とを構成成分とする線状ウレタンプレポリマー
    を中和剤(D)の存在下、水で架橋させた数平均分子量
    10000〜60000の水系ポリウレタン樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 水系ポリウレタン樹脂末端のアミン価
    が、0.2〜10(KOHmg/g)である請求項1又
    は2記載の水系ポリウレタン樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 水系ポリウレタン樹脂の酸価が、6〜3
    1(KOHmg/g)である請求項1又は3記載の水系
    ポリウレタン樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 水系ポリウレタン樹脂のアミン価が、6
    〜31(KOHmg/g)である請求項2又は3記載の
    水系ポリウレタン樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 中和剤(D)量が、遊離のカルボキシル
    基を有する鎖伸長剤(C)又は三級アミノ基を有する鎖
    伸長剤(C′)に対して0.4〜0.8モルである請求
    項1乃至5の何れかに記載の水系ポリウレタン樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6の何れかに記載の水系ポ
    リウレタン樹脂組成物を含むプラスチックフィルム用プ
    ライマー組成物。
  8. 【請求項8】 更にカルボジイミド化合物又はエポキシ
    化合物を含む請求項7記載のプラスチックフィルム用プ
    ライマー組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至6の何れかに記載の水系ポ
    リウレタン樹脂組成物を含むラミネート用水性接着剤。
  10. 【請求項10】 更にカルボジイミド化合物又はエポキ
    シ化合物を含む請求項9記載のラミネート用水性接着
    剤。
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