JP3663194B2 - サンバイザ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はサンバイザに関し、特にサンバイザ本体の上縁の切欠部において露出したワイヤを挟持するカラーの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
サンバイザは、サンバイザ本体と樹脂製のカラーを備えている。サンバイザ本体の上縁の一端部はステーを介して車両の天井に回動可能に支持されている。上記サンバイザ本体の上縁には上記ステーから離れて切欠部が形成されている。この切欠部には、サンバイザ本体の周縁に沿って内蔵されたワイヤの一部が露出されている。このワイヤの露出部は上記カラーを介して天井に設けられたフックに回動可能に支持されている。このようにサンバイザは、ステーとフックの2箇所において回動可能に支持されている。
【0003】
従来のカラーは、半円筒形状の一対の半割体からなり、これら半割体を上記ワイヤを挟むようにして接合し、超音波溶着することにより構成されていた。カラーの外周面は円筒面となるが、上記方法では半割体の接合面から材料が溶け出し、カラーの外周面に小さな突起として残ってしまい、この突起が上記フックに対するカラーの円滑な回動を妨げることになる。そのため、この突起を削る工程が必要となり、製造コストを上昇させる一因となっていた。
【0004】
そこで、本出願人は、特開2002―127745号公報に開示されているカラーを開発した。このカラーは2つの環状の半割体を備え、く字形状に口開きした形状をなしている。各半割体は半円筒形状のワイヤ挟持部とワイヤ挟持部の両端に連なる周縁挟持部とを備えている。これら半割体のワイヤ挟持部同士がその縁部で連なっており、この縁部がヒンジ部となっている。一方の半割体の周縁挟持部には弾性係止爪が設けられ、他方の半割体の周縁挟持部にはこの弾性係止爪を受ける受部が形成されている。上記一対の周縁挟持部の弾性係止爪と受部を嵌めるようにして一対の半割体を接合することにより、ワイヤ挟持部がワイヤを挟持し、周縁挟持部がサンバイザ本体の切欠部の内周縁を挟むようになっている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−127745号公報(図3)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に記載のカラーでは半割体を超音波溶着せずに済むので、この溶着に伴う材料溶け出しにより形成される突起を削り取る工程が不要になる。しかし上記カラーでは、一対の半割体のワイヤ挟持部同士を強固に連結するのが困難であった。ワイヤを挟むためにカラーはく字形状に口開きさせてあるため、これら半割体を接合する際には、ヒンジ部に大きな応力が加えられ破損する可能性があるからである。この破損を防ぐためには樹脂の硬度を低めなければならず、カラーの材質が制限される。また、ヒンジ部は一対の半割体のワイヤ挟持部が互いに対峙し接合する面域内に形成しなければならず、所望寸法に形成するのが困難であった。しかも、口開き形状のカラーを成形するのも困難であった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記過大を解決するため、本発明は、サンバイザ本体と樹脂製のカラーとを備え、このサンバイザ本体の上縁に切欠部を形成することにより、サンバイザ本体の上縁に沿って内蔵されたワイヤを露出させ、このワイヤの露出部を、上記カラーを介して車両に設けられたフックに嵌めることにより、サンバイザ本体を車両に回動可能に支持するようにしたサンバイザにおいて、
上記カラーは互いに別体をなす第1,第2の環状の半割体からなり、各半割体は、直線状に延びる半円筒形状のワイヤ挟持部と、このワイヤ挟持部の両端に連なる周縁挟持部とを有し、上記第1,第2の半割体を接合することにより、第1,第2の半割体のワイヤ挟持部が上記ワイヤを挟み、その外周面が上記フックに摺接する円筒面となるとともに、第1,第2の半割体の周縁挟持部が上記切欠部の内周縁を挟み、
上記第1,第2の半割体のワイヤ挟持部は互いに面接触する接合面を有し、一方の半割体のワイヤ挟持部は、その外周面と上記ワイヤとの間に位置して上記接合面から突出する弾性変形可能な弾性係止爪を有し、他方の半割体のワイヤ挟持部は、上記接合面より奥に位置して上記弾性係止爪を受ける受部を有し、
上記第1,第2半割体の周縁挟持部の内周部は、互いに面接触するとともに上記ワイヤ挟持部の接合面と面一をなす接合面を有し、外周部はこの接合面より後退した位置にある挟持面を有し、これら外周部の挟持面間で上記切欠部の内周縁を挟んでおり、
一方の半割体の周縁挟持部の内周部は上記接合面から突出する弾性変形可能な弾性係止爪を有し、他方の半割体の周縁挟持部の内周部は上記接合面より奥に位置してこの弾性係止爪を受ける受部を有する。
【0008】
上記構成によれば、ワイヤ挟持部の外周面には超音波溶着法のような材料溶け出しによる突起は形成されず、サンバイザ本体はフックに対して円滑に回動することができる。また、カラーの周縁挟持部によりサンバイザ本体の切欠部の内周縁を挟むので、カラーの回りを阻止でき、サンバイザ本体の表皮のよじれを防止することができる。しかも、半割体は完全に分離されているので成形が容易であり、ヒンジ部が不要となるのでこのヒンジ部の破損に伴うワイヤ挟持部同士の連結強度の低下を回避できる。また、半割体同士の接合は、周縁挟持部のみならずワイヤ挟持部でも弾性係止片と受部の嵌め合いにより行うので、接合作業が容易であり、半割体の連結強度を向上させることができる。
【0009】
好ましくは、上記第 1 ,第2の半割体のワイヤ挟持部において、上記弾性係止爪と上記受部が上記ワイヤの両側に配置されている。
上記構成によれば、ワイヤの両側の弾性係止片により、ワイヤ挟持部同士の連結強度をさらに高めることができる。
【0010】
好ましくは、上記第1,第2の半割体の一方の接合面に複数の位置決め突起を形成し、他方の半割体の接合面にこの位置決め突起を収容する複数の位置決め凹部を形成する。この構成によれば、半割体同士を高精度に位置決めできるので、これら半割体のワイヤ挟持部の外周面は協働して高精度の円筒面となり、サンバイザ本体の円滑な回動を確保することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図6を参照しながら説明する。図1に示すように、車両用サンバイザはサンバイザ本体10を有している。サンバイザ本体10は、互いに平行をなす上縁10aと下縁10bを有しており、細長い板形状をなしている。サンバイザ本体10は、上縁10aの左端近傍に配置された軸受部材11と、この軸受部材11に両端が連結されて閉曲線を描くワイヤ12と、このワイヤ12の内側に配置された板状の芯材(図示しない)と、これら芯材とワイヤ12を挟む2枚のクッション材(図示しない)と、これら部材を包む表皮13とを有している。ワイヤ12は、上記軸受部材11の配置領域を除いてサンバイザ本体10の周縁に沿って延びており、上縁10a,下縁10bでは直線状をなしている。
【0012】
上記サンバイザ本体10は、シャフト状をなすステー20を介して車両の天井に回動可能に支持されている。このステー20は、一端部が折り曲げられていて取付金具21により車両に回動可能に取り付けられており、他端部がサンバイザ本体10の上縁10aと平行をなして軸受部材11に挿入されている。これにより、サンバイザ本体10は、このステー20の軸芯を中心として回動可能に支持されている。
【0013】
図1,図2に示すように、上記サンバイザ本体10の上縁10aの右端近傍(軸受部材から離れた位置)には、コ字形の内周縁を有する切欠部15が形成されている。上記ワイヤ12はこの切欠部15においてサンバイザ本体10から露出している。このワイヤ12の露出部は、このステー20の軸芯と一致する。
【0014】
上記サンバイザ本体10の切欠部15には略D字形をなすカラー30が取り付けられている。このカラー30は、樹脂の射出成形品からなる略U字形の雄型半割体310(第1半割体)と雌型半割体320(第2半割体)を接合することにより構成され、それぞれ直線状のワイヤ挟持部311,321とU字形の周縁挟持部312,322とを有している。
【0015】
図3〜図5に示すように、半割体310,320のワイヤ挟持部311,321は半円筒形状をなし、外周面は全長にわたって半円筒面をなしている。ワイヤ挟持部311,321は、互いに対峙し面接触する平坦な接合面311a,321aを有している。
【0016】
ワイヤ挟持部311,321の中央と両端には、内周面が上記ワイヤ12と略同径の半円筒面をなすワイヤ収容凹部313,323が形成されている。さらに雄型半割体310のワイヤ挟持部311には、その長手方向に延びる細長い一対のワイヤ収容凹部314が形成されている。このワイヤ収容凹部314の内周面も、上記ワイヤ12と略同径の半円筒面からなる。このワイヤ収容凹部314に対応して、雌型半割体320のワイヤ挟持部321には、平坦な一対のワイヤ受部324が形成されている。なお、ワイヤ挟持部311,321の内側の残りの領域にはワイヤ収容凹部314より径の大きな半円筒面からなる空所315,325が形成されている。
【0017】
図3〜図6に示すように、半割体310,320の周縁挟持部312,322は、断面J字形をなし、内周部が高くなっている。周縁挟持部312,322の内周部は、互いに対峙して面接触する平坦な接合面312a,322aを有している。これら接合面312a,322aは、上記ワイヤ挟持部311,321の接合面311a,321aと面一をなしている。周縁挟持部312,322の外周部は低くなっており、互いに平行をなして対峙する平坦面が後述の作用をなす挟持面312b,322bとなっている。
【0018】
次に、半割体310,320を連結するための構造について説明する。雄型半割体310のワイヤ挟持部311において、一対のワイヤ収容部314の一方側(例えば周縁挟持部312から遠い方の側)には弾性変形可能な弾性係止片316が形成されており、他方側(周縁挟持部312に近い方の側)には、突起317が形成されている。これら弾性係止片316と突起317は、上記接合面311aから突出しており、ワイヤ挟持面311の外周面と後述するようにして挟持されるワイヤ12との間に位置している。これら弾性係止爪316と突起317の互いに対峙する面はワイヤ収容部314の半円筒面に連なっていてテーパをなしている。弾性係止爪316の先端部には、横方向(ワイヤ12の反対方向)に突出する爪部316aが形成されている。この爪部316aの先端面は湾曲した傾斜面をなしており、反対側の面は平坦面をなしている。
【0019】
上記雄型半割体310の周縁挟持部312の内周部において、ワイヤ挟持部311の両端近傍に弾性係止爪318が形成され、ワイヤ挟持部311と平行をなす部位にも弾性係止爪319が形成されている。これら弾性係止爪318,319は、接合面312aから突出し、その先端には上記弾性係止爪316と同様の形状をなす爪部318a,319aが形成されている。
【0020】
上記雌型半割体320のワイヤ挟持部321には、上記雄型半割体310の弾性係止爪316に対応して、溝326(受部)が形成されている。この溝326は接合面321aより奥に位置している。さらに雌型半割体320の周縁挟持部322の内周部には、上記弾性係止爪318,319に対応して溝328,329(受部)が形成されている。
【0021】
上記構成の半割体310,320は、図4に示すようにしてサンバイザ本体10の切欠部15に装着される。詳述すると、図4(A)に示すように、半割体310,320をサンバイザ本体10の両側から互いに近づける。そして図4(B)に示すように、ワイヤ挟持部311,321がワイヤ12を挟み、周縁挟持部312,322がサンバイザ本体10の切欠部15の周縁を挟むようにして、半割体310,320を接合する。これにより、雄型半割体310の接合面311a,312aと、雌型半割体320の接合面321a,322aが面接触する。また、この接合の過程で、雄型半割体310のワイヤ挟持部311の弾性係止爪316と突起317が、雌型半割体320のワイヤ挟持部321のワイヤ受部314の内側に入り込み、弾性係止片318,319が雌型半割体320の内周部の外側に沿って進む。これにより、弾性係止爪316,318,319は、雌型半割体320の内周部の傾斜面に当たって弾性変形した後、爪部316a,318a,319aが溝326,328,329に嵌り込むことにより、元の形状に弾性復帰する。
【0022】
上記半割体310,320が接合した状態で、ワイヤ12は、雄型半割体310のワイヤ収容部313,314と雌型半割体320のワイヤ収容部323,324とで挟まれる。また、切欠部15の周縁は、半割体310,320の周縁挟持部312,322における外周部の挟持面312b,322bに挟まれる。
【0023】
なお、図3に示すように、上記雄型半割体310のワイヤ挟持部311の両端には、接合面311aから突出する位置決め突起311xが形成されており、上記雌型半割体320のワイヤ挟持部321の両端には、接合面321aから凹んだ位置決め凹部321xが形成されている。上記接合に際しては、突起311xと凹部321xの嵌め込みにより両者の相対的位置決めがなされ、これにより、ワイヤ挟持部311,321の外周面は円滑に連なって高精度な円筒面を形成することができ、周縁挟持部312,322の外周面も円滑に連なることができる。
【0024】
上記半割体310,320を装着したサンバイザ本体10は、車両に対して2箇所で回動可能に支持される。1箇所は前述したようにステー20であり、他の箇所は、ステー20から離れて車両に設けられたC字形の樹脂製のフック40(図5(A)のみに示す)である。上記フック40には上記半割体310,320のワイヤ挟持部311,321が着脱可能に嵌められる。
【0025】
ワイヤ挟持部311,321は、外周面が円筒面をなし溶着した場合に生じる突起がないので、フック40に対して円滑に回動でき、その結果、サンバイザ本体10の回動操作を円滑に行うことができる。
【0026】
半割体310,320の周縁挟持部312,322がサンバイザ本体10の切欠部15の周縁を挟んで隠しているので、外観を向上させることができる。また、半割体310,320のサンバイザ本体10に対する回動が禁じられるので、ワイヤ挟持部311,321の両端が切欠部15の周縁に位置する表皮等をねじるのを禁じることができる。
【0027】
図7には本発明の第2実施形態を示す。この実施形態では、雄型半割体310のワイヤ挟持部311には、ワイヤ12の両側に弾性係止爪316が形成されており、これに対応して雌型半割体320のワイヤ挟持部321には、ワイヤ12の両側に溝326(受部)が形成されている。他の構成は第1実施形態と同様である。この実施形態では、第1実施形態に比べて構造が複雑になるが、回動摺接されるワイヤ挟持部311,321の連結強度を向上させることができる。
【0028】
なお、位置決め突起と位置決め凹部は、半割体の周縁挟持部の接合面に形成してもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、半割体の成形が簡単で、ワイヤ挟持部の連結強度を高めることができるとともに、サンバイザ本体の円滑な回動操作を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態をなすサンバイザの全体を示す斜視図である。
【図2】同サンバイザの要部拡大正面図である。
【図3】(A)はカラーの雄型半割体の拡大正面図、(B)はカラーの雌型半割体の拡大正面図である。
【図4】図2においてIV方向から見たサンバイザの要部拡大側面図であり、(A)はカラーを装着する前の状態、(B)はカラーを装着した後の状態をそれぞれ示す。
【図5】(A)は図2においてVa−Va線に沿う縦断面図であり、(B)は図2においてVb−Vb線に沿う縦断面図である。
【図6】図2においてVI−VI線に沿う横断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態をなすカラーの断面図である。
【符号の説明】
10 サンバイザ本体
11 軸受部材(軸受部)
12 ワイヤ
15 切欠部
20 ステー
30 カラー
310 雄型半割体(第1半割体)
311 ワイヤ挟持部
311a 接合面
311x 位置決め突起
312 周縁挟持部
316,318,318 弾性係止爪
320 雌型半割体(第2半割体)
321 ワイヤ挟持部
321a 接合面
321x 位置決め凹部
322 周縁挟持部
322a 接合面
322b 挟持面
326,328,329 溝(受部)
40 フック
Claims (3)
- サンバイザ本体と樹脂製のカラーとを備え、このサンバイザ本体の上縁に切欠部を形成することにより、サンバイザ本体の上縁に沿って内蔵されたワイヤを露出させ、このワイヤの露出部を、上記カラーを介して車両に設けられたフックに嵌めることにより、サンバイザ本体を車両に回動可能に支持するようにしたサンバイザにおいて、
上記カラーは互いに別体をなす第1,第2の環状の半割体からなり、各半割体は、直線状に延びる半円筒形状のワイヤ挟持部と、このワイヤ挟持部の両端に連なる周縁挟持部とを有し、上記第1,第2の半割体を接合することにより、第1,第2の半割体のワイヤ挟持部が上記ワイヤを挟み、その外周面が上記フックに摺接する円筒面となるとともに、第1,第2の半割体の周縁挟持部が上記切欠部の内周縁を挟み、
上記第1,第2の半割体のワイヤ挟持部は互いに面接触する接合面を有し、一方の半割体のワイヤ挟持部は、その外周面と上記ワイヤとの間に位置して上記接合面から突出する弾性変形可能な弾性係止爪を有し、他方の半割体のワイヤ挟持部は、上記接合面より奥に位置して上記弾性係止爪を受ける受部を有し、
上記第1,第2半割体の周縁挟持部の内周部は、互いに面接触するとともに上記ワイヤ挟持部の接合面と面一をなす接合面を有し、外周部はこの接合面より後退した位置にある挟持面を有し、これら外周部の挟持面間で上記切欠部の内周縁を挟んでおり、
一方の半割体の周縁挟持部の内周部は上記接合面から突出する弾性変形可能な弾性係止爪を有し、他方の半割体の周縁挟持部の内周部は上記接合面より奥に位置してこの弾性係止爪を受ける受部を有することを特徴とするサンバイザ。 - 上記第1,第2の半割体のワイヤ挟持部において、上記弾性係止爪と上記受部が上記ワイヤの両側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のサンバイザ。
- 上記第1,第2の半割体の一方の接合面に複数の位置決め突起を形成し、他方の半割体の接合面にこの位置決め突起を収容する複数の位置決め凹部を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のサンバイザ。
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