JP4503816B2 - 内視鏡用処置具の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、生検鉗子等の内視鏡用処置具の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は従来の内視鏡用生検鉗子の先端部を示す。図6に示す内視鏡用生検鉗子において、101a、101bは組織片を採取するための一対のカップで、ピン103によって開閉自在に先端カバー102に取りつけられている。
【0003】
先端カバー102のカップ挿入部104は、円柱状の素材を前側より縦方向にスリット状に二分割した形状に形成され、後端部105は筒状に形成されてコイルパイプ106に連結されている。
【0004】
操作ワイヤ108は、リンク機構107を介してカップ101a、101bに連結されており、この操作ワイヤ108の進退動作により一対のカップ101a、101bがピン103を支軸として開閉動作するようになっている。
【0005】
一般的には、先端カバー102は円柱状の素材から切削加工により形成されており、このようなピン103と先端カバー102、コイルパイプ106と先端カバー102との固着方法として特開平6−327682号公報はロー付け又は半田付けの方法を開示している。
【0006】
また、特公平7−28854号公報は、先端カバー102とピン103及び先端カバー102とコイルパイプ106との固着をレーザー溶着に行う方法を開示している。
【0007】
図7、図8に、U.S.Patent 5,133,727号公報に開示された例を示す。図7、図8において、先端カバー202は金属鋳造により形成されており、ピン203は先端カバー202と一体形成されている。
【0008】
この場合のコイルパイプ206の先端カバー202への組み付けは、コイルパイプ206の先端部207を細径に加工して先端カバー202の後端内部に差込みロー付けすることにより行っている。
【0009】
また、操作ワイヤ205が各々連結されるカップ201a、201bは、先端カバー202のピン203を形成した側とは反対の部分208を曲げ開げてカップ201a、201bをピン203に挿入した後、部分208を元に戻して、前記ピン203と先端カバー202の部分208をカシメ等で固着している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示す内視鏡用生検鉗子の場合、先端カバー102のカップ挿入部104内に一対の鉗子カップ101a、101bをピン103で支持する組立作業には熟練を要するとともに、一対の鉗子カップ101a、101bをスムーズに開閉作動をさせるためには、カップ挿入部104のスリット幅と鉗子カップ101a、101bとのクリアランスの設定が重要となり、面倒な組み立て作業が必要となる。
【0011】
また、図7、図8に示す例の場合、コイルパイプ206と先端カバー202との接合でも、コイルパイプ206の追加工やロー付け、半田付けといった手作業による組み付け作業が必要で生産性の点で問題が多い。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、先端カバーの構造を改良し、構成部品の順次組み付けで一連の組立作業を遂行でき、生産性向上、製造コスト低減が可能であり、更には自動化対応も容易な生検鉗子等の内視鏡用処置具の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、一対の鉗子カップを、コイルパイプに変位可能に挿通された一対の操作ワイヤにより開閉操作する内視鏡処置具の製造方法において、前記一対の操作ワイヤの先端部を一対の鉗子カップの後端部に各々連結する工程と、一対構成の先端カバーにおける一方の先端カバーに設けた支軸に前記操作ワイヤが連結された一対の鉗子カップに設けた軸穴を順に挿通し前記支軸により開閉可能に支持する工程と、一対の鉗子カップのカップ部を露出させた状態で、他方の先端カバーに設けた穴を前記支軸の突出端に連結することで前記一対の先端カバーにより一対の鉗子カップ及びコイルパイプの端部を挟み込み、一対の先端カバーの接合部が合致した状態とする工程と、前記一対の先端カバーの接合部を一体的に固着する工程とを含むことを特徴とするものである。
【0014】
この発明によれば、上述した一対構成の先端カバーを採用することにより、従来切削加工や鋳造加工のような面倒な加工方法で形成していた先端カバーをプレス加工や鍛造加工といった板材からの比較的簡略な加工方法で形成すること
が可能となり、構成部品の製造コストを低減できる。
【0015】
また、分かりやすい一方向からの(一方の先端カバー側からの)順次組み付け工程で熟練を要すことなく容易に内視鏡用処置具の一連の組み立てを遂行でき、組立工程の簡略化を図れる。
【0016】
さらに、上述した組み立て工程の採用により、自動化にも容易に対応でき、品質の安定した内視鏡用処置具を製造することが可能となる。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の内視鏡用処置具の製造方法において、前記一方の先端カバーから突出させた支軸は、一対の鉗子カップの軸穴が嵌装される太径部と、他方の先端カバーの穴に連結される細径部とからなる段付形状であることを特徴とするものである。
【0018】
この発明によれば、前記支軸を上述した段付形状とすることで、一対の鉗子カップの開閉操作性を確保しつつ、一対構成の先端カバーの固着を容易に行うことができる。
【0019】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の内視鏡用処置具の製造方法において、前記一対の先端カバーの後端側内周部には、各々前記コイルパイプ装着用のコイル状溝が形成されていることを特徴とするものである。
【0020】
この発明によれば、一対の先端カバーの後端側内周部に各々前記コイル状溝を形成したことにより、前記コイルパイプの一対の先端カバーへの取り付けを容易かつ確実に行うことができる。
【0021】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の内視鏡用処置具の製造方法において、前記先端カバーにおける鉗子カップと対向する側の面にその開閉方向に沿った突起が形成されていることを特徴とするものである。
【0022】
この発明によれば、前記突起を設けたことにより、前記先端カバーと鉗子カップとの間のクリアランスを吸収して、一対の鉗子カップを閉じたときの両鉗子カップのカップの刃の横ズレを抑えることが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内視鏡用処置具の製造方法の実施の形態を、図1乃至図5を参照して説明する。
【0024】
(実施の形態1)
図1は本実施の形態1における内視鏡用処置具の先端部分の組み立て状態の部分断面図である。図2は先端カバーと支軸であるピンとの固着状態の一例を示す部分拡大図である。図3は内視鏡用処置具の先端部分の各構成部品を示す分解斜視図である。
【0025】
図1に示す内視鏡用処置具において、一対の先端カバー2a、2bのうちの一方の先端カバー2aには、一対の鉗子カップ1a、1bの開閉用の支軸となるピン3が一体形成により立設されている。
【0026】
このピン3は、太径部3a、細径部3bからなる段付き形状となっており、太径部3aは鉗子カップ1a、1bに設けた軸穴1c、1dを貫通し、細径部3bは先端カバー2bに設けた後述する穴8に嵌着され連結される径に設定されている。
【0027】
また、ピン3の段付き形状における太径部3aの長さ寸法は、鉗子カップ1a、1bの開閉動作に必要な先端カバー2a、2bに対するクリアランスをもった寸法に設定されている。
【0028】
他方の先端カバー2bには、前記ピン3の位置に対応する位置に穴8が形成されており、その形状はピン3の細径部3bとの固着方法によって種々の態様が採用される。
【0029】
即ち、図1に示すように先端カバー2bにカシメ部10を形成するカシメ方法を採用する場合には、前記穴8を皿形状に、また、図2に示すようなレーザー光照射による溶着方法を採用する場合には、前記穴8をザグリ穴形状にするものである。これらいずれの場合においても、固着終了後に先端カバー2bの外周側へピン3の突出端が突出しない状態にするものである。
【0030】
前記先端カバー2a、2bの各後端部分の内周部には、操作ワイヤ5a、5bを挿通するための切欠凹部4a、4bが設けられ、さらに切欠凹部4a、4bよりも後方部分にはコイルパイプ6の外周と形状が一致するコイル状の内周形状を有するコイル状溝7(先端カバー2b側のコイル状溝7は図示せず)が形成されている。
【0031】
また、前記先端カバー2a、2bの外周は、コイルパイプ6を挟みこむ状態でこれら先端カバー2a、2bを組み付けたときに接合部12が接合状態となって円筒状を呈するように形成されている。
【0032】
このような形状をした一対の先端カバー2a、2bの形成方法としては、例えば鍛造、プレス、鋳造、MIM(メタル・インジェクション・モールド)等の方法を挙げことができる。尚、図1中、11はコイルパイプ6の外周を被覆するチューブである。
【0033】
次に、上述した内視鏡用処置具の製造工程について説明する。予めコイルパイプ6に挿通された操作ワイヤ5a、5bの先端部5c、5dを鉗子カップ1a、1bに設けた連結穴1e、1fに各々連結し、次に、前記鉗子カップ1a、1bの軸穴1c、1dをピン3にカップ部分の刃が互いに向き合う状態で順に挿入する。
【0034】
次に、操作ワイヤ5a、5bを、先端カバー2aの切欠凹部4aに通し、さらに前記コイル状溝7に外周を合わせる状態で前記コイルパイプ6を嵌め付け、コイルパイプ6を先端カバー2aの後端側に確実に取り付ける。
【0035】
次に、前記ピン3の細径部3bを前記穴8に嵌着する状態で先端カバー2bを鉗子カップ1a、1b及びコイルパイプ6上に被せ、先端カバー2aと先端カバー2bとの接合部分、外周部分が合致した状態とする。この場合も前記コイルパイプ6の外周を先端カバー2bの後端側の図示しないコイル状溝に確実に嵌め付ける。
【0036】
次に、先端カバー2aと先端カバー2bとの接合部分、外周部分を一体的に固着する。この場合の固着方法としては、レーザー溶着、カシメ、ロー付け、超音波溶着、接着等の各固着方法を挙げることができる。
【0037】
本実施の形態1によれば、上述した先端カバー2a、2bの形状を採用することにより、従来切削加工や鋳造加工のような面倒な加工方法で形成していた先端カバー2a、2bをプレス加工や鍛造加工といった板材からの比較的簡略な加工方法で形成することが可能となり、これにより、構成部品の製造コストを低減できる。
【0038】
また、分かりやすい一方向からの(一方の先端カバー2a側からの)順次組み付け工程で熟練を要すことなく容易に内視鏡用処置具の一連の組み立てを遂行でき、組立工程の簡略化を図れる。
【0039】
また、前記ピン3を段付き形状としているので、一対の鉗子カップ1a、1bの開閉操作性を確保しつつ、一対構成の先端カバー2a、2bの固着を容易に行うことができる。
【0040】
さらに、組み立て工程の自動化にも対応でき、品質の安定した内視鏡用処置具を製造することが可能となる。
【0041】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2を図4、図5を参照して説明する。
【0042】
本実施の形態2における内視鏡用処置具の基本的構成は上述した実施の形態1の場合と同様であるが、本実施の形態2においては、図4に示すように、先端カバー2aの前記ピン3の根元部外周と、先端カバー2bの前記穴8の外周とに、各々リング状の微小寸法の凸部13を形成したこと、及び、図5に示すように、先端カバー2aにおける前記鉗子カップ1aの腕部15aの外側が摺接する部分に、細幅でテーパー状の突起14を腕部15a、15bの開閉方向に沿って形成したことが特徴である。先端カバー2b側にも図示していないが同様なテーパー状の突起が設けられている。
【0043】
前記リング状の凸部13は、鉗子カップ1a、1bの開閉動作の際の摩擦抵抗を少なくするように機能する。
【0044】
また、前記テーパー状の突起14は、鉗子カップ1a、1bが閉じたときに、先端カバー2aと鉗子カップ1a、先端カバー2bと鉗子カップ1bとの間の各間隔のクリアランスを吸収して、鉗子カップ1a、1bのカップの刃の横ズレを抑える機能を発揮する。
【0045】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、構成部品の製造コストを低減し、熟練を不要とする組立工程の実現が可能であり、さらに組み立て工程の自動化にも対応できる内視鏡用処置具の製造方法を提供できる。
【0046】
請求項2記載の発明によれば、一対の鉗子カップの開閉操作性を確保しつつ、一対構成の先端カバーの固着を容易に行うことができる内視鏡用処置具の製造方法を提供できる。
【0047】
請求項3記載の発明によればコイルパイプの一対の先端カバーへの取り付けを容易かつ確実に行うことができる内視鏡用処置具の製造方法を提供できる。
【0048】
請求項4記載の発明によれば、前記突起を設けたことにより、一対の鉗子カップを閉じたときの両鉗子カップのカップの刃の横ズレを抑えることが可能な内視鏡用処置具を製造することができる製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における内視鏡用処置具の先端部分の組み立て状態を示す概略部分断面図である。
【図2】本実施の形態1の先端カバーとピンとの固着状態を示す部分拡大図である。
【図3】本実施の形態1の内視鏡用処置具の構成部品を分解状態で示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態2における内視鏡用処置具の鉗子カップ、先端カバー、ピンの組み付け状態を示す部分断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2における内視鏡用処置具のテーパー突起を設けた先端カバーの部分斜視図である。
【図6】従来の内視鏡用生検鉗子の組み立て状態を示す概略断面図である。
【図7】従来の内視鏡用生検鉗子の他例の概略断面図である。
【図8】従来の内視鏡用生検鉗子の他例の鉗子カップが開状態の概略断面図である。
【符号の説明】
1a 鉗子カップ
1b 鉗子カップ
2a 先端カバー
2b 先端カバー
3 ピン
4a、4b 切欠凹部
5a、5b 操作ワイヤ
6 コイルパイプ
7a、7b コイル状溝
8 穴
10 カシメ部
11 チューブ
12 接合部
13 凸部
14 突起
15a、15b 腕部
Claims (4)
- 一対の鉗子カップを、コイルパイプに変位可能に挿通された一対の操作ワイヤにより開閉操作する内視鏡処置具の製造方法において、
前記一対の操作ワイヤの先端部を一対の鉗子カップの後端部に各々連結する工程と、
一対構成の先端カバーにおける一方の先端カバーに設けた支軸に前記操作ワイヤが連結された一対の鉗子カップに設けた軸穴を順に挿通し前記支軸により開閉可能に支持する工程と、
一対の鉗子カップのカップ部を露出させた状態で、他方の先端カバーに設けた穴を前記支軸の突出端に連結することで前記一対の先端カバーにより一対の鉗子カップ及びコイルパイプの端部を挟み込み、一対の先端カバーの接合部が合致した状態とする工程と、
前記一対の先端カバーの接合部を一体的に固着する工程と、
を含むことを特徴とする内視鏡用処置具の製造方法。 - 前記一方の先端カバーから突出させた支軸は、一対の鉗子カップの軸穴が嵌装される太径部と、他方の先端カバーの穴に連結される細径部とからなる段付形状であることを特徴とする請求項1記載の内視鏡用処置具の製造方法。
- 前記一対の先端カバーの後端側内周部には、各々前記コイルパイプ装着用のコイル状溝が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の内視鏡用処置具の製造方法。
- 前記先端カバーにおける鉗子カップと対向する側の面にその開閉方向に沿った突起が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内視鏡用処置具の製造方法。
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