JP3662775B2 - 筒内噴射式エンジン、それに用いるアトマイザ、及び燃料噴射弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒内噴射式エンジン、及びそれに用いるアトマイザ、燃料噴射弁、これらの要素を備えた自動車に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車用のガソリンエンジンにおいて、燃焼効率を向上させるため、燃料を燃焼室内に直接噴射させる筒内噴射式エンジンが普及しつつある。
【0003】
筒内噴射式エンジンにおいては、燃焼効率を高めるために、シリンダ内に噴射される燃料を短時間で気化させて空気と混合させる必要がある。このため燃料噴霧の微粒化が要求される。現行の筒内噴射式エンジンにおいて、燃料は5〜12MPaに加圧され、燃料噴射弁に供給される。
【0004】
燃料噴射弁には、燃料に渦状の旋回流を与えて、燃料を円錐状に噴射する方式がある(以下、これを燃料旋回方式と呼ぶことがある)。燃料旋回方式により噴射された燃料は、遠心力によって薄い液膜を形成し、これが分裂して微粒化する。この微粒化燃料の粒径は、燃料圧力7MPaの条件で約20〜40μmの範囲でばらつきがある。燃焼効率のさらなる向上を図るためには、噴射燃料の噴霧粒径のばらつき範囲を小さくして平均粒径の微粒化の促進が要求されている。
【0005】
燃料を微粒化する手段としては、上記の燃料旋回方式の他に、燃料噴射弁のノズル部の噴孔(ノズル孔)の下流にスリット状の孔(流路)を十字に交差するよう一部重ねて配置し、この重ねた部分で最終的な燃料噴出孔を形成するいわゆるクロススリット方式が提案されている(例えば、特開平6−299932号公報、特開平7−77136号公報、特開平7−246352号公報、特開平7−289953号公報)。これらは、燃料噴射弁のノズル孔から噴出する燃料を、まずクロススリット(交差するスリット)のうちの上流側のスリットにて、スリットの両端側から中央に向けて流れる燃料流を生じさせて、この対向する燃料の流れを衝突させて、その後下流側のスリットに導くことで、薄い扇状の液膜を形成し、これが分裂して燃料を微粒化する。これにより、噴霧は扇状となる。
【0006】
また、例えば実開昭60−82575号において、噴射弁に加熱した燃料を供給し、燃料の減圧沸騰を利用して微粒化する方法が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来のクロススリット方式の燃料噴射は、燃料微粒化と燃料噴霧の適度の噴霧角度を図り得るものとして期待できるが、クロススリットにより形成される噴出孔を燃料噴射弁のノズル孔の直下に配置させているため、噴射燃料(燃料噴霧)のペネトレーション(貫通力)が、燃料旋回方式に比べて増大する。
【0008】
ペネトレーションの増大は、噴射燃料がシリンダの内壁に付着し、未燃分の発生につながるので、燃焼効率や排ガス浄化の観点からも抑制することが望まれる。
【0009】
また、燃料噴射弁に加熱した燃料を供給し、燃料の減圧沸騰を利用して微粒化する従来方式は、吸気ポート噴射式エンジン用の燃料供給装置に適用しようとするものである。吸気ポート噴射式エンジン用において、燃料の圧力は約0.05MPa以下で燃料噴射弁に供給される。この条件で、ガソリンを100℃まで加熱すると、ガソリンに含まれている20%以上の低沸点成分が配管内にて気化してしまい、それにより配管内に気泡が発生して燃料供給不足が生じることも考えられるので、吸気ポート噴射式エンジンの燃焼室内で減圧沸騰の噴霧を実現させることは困難であった。
【0010】
本発明は、以上の点に鑑みてなされ、その目的は、一つは、筒内噴射式エンジンに適用されるクロススリット方式のアトマイザ、燃料噴射弁及びガソリンエンジンにおいて、今まで以上に燃料微粒化を図ることで、燃焼効率の向上,排ガス浄化に貢献できる技術を提供することにある。
【0011】
さらに、別の目的は、噴射される燃料噴霧(ガソリン)の燃焼室内での減圧沸騰を実現させることで燃料噴霧の微粒化促進を図り得るエンジン及び燃料供給系を備えた自動車を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、基本的には次のような発明を提案する。
【0013】
(1)一つは、エンジンのシリンダに燃料を直接噴射する筒内噴射式エンジン用の燃料噴射弁において、
上流から下流側に向けて、弁座、オリフィス、前記オリフィスの径より流路面積を拡大して該オリフィスから噴出する燃料の流速を低減させる流路拡大部、前記流路拡大部より流路面積を小さくした上段,下段のスリットを設け、この上段,下段のスリットが一部重なるよう交差して燃料の噴出孔を構成していることを特徴とする。
【0014】
上記構成において、流路拡大部やクロススリットを構成する上段,下段のスリットは、予め前記燃料噴射弁と別にアトマイザとして製作したり、或いはその一部については元々燃料噴射弁の本体側に形成し、残りをアトマイザに委ねたりしてもよい(例えば、流路拡大部については燃料噴射弁のノズル部のオリフィス下流に形成し、上段,下段のスリットはアトマイザ側に形成する等が考えられる)。
【0015】
本発明によれば、開弁時に燃料噴射弁のオリフィス(ノズル孔)から噴出される燃料は、その直下の流路拡大部に流入する。流路拡大部の流路面積は前記オリフィス(ノズル孔)の径の面積よりも大きいので、流路拡大部で燃料の流速は低減し、燃料噴射弁の前記オリフィスにて与えられた燃料の鉛直下方の運動エネルギーは低減させられる。また、流路拡大部に充満した燃料は、その後、上段スリットへ流れ、上段スリットの全ての辺から万遍なく流入する。上段スリット内の燃料は、上下段のスリットの交差部(最終的な噴出孔)に向かって流れ、前記スリットの交差部にて対向流として衝突してスリット交差部から噴射する。その噴射の方向性を下段スリットの壁面により規制され、前記衝突エネルギーを受けて、偏平なファンスプレー形状(扇形に近い噴霧形状)となって噴射される。これにより、噴霧は微粒化され、ペネトレーションは抑制される。
【0016】
さらに、上記第1の発明をベースにして、次のような発明も提案する。
【0017】
(2)前記した上段,下段のスリットの交差部(噴出孔)は、該流路拡大部の直下から外れるようにして配置する。
【0018】
このようにすれば、燃料の鉛直下方の運動エネルギーの更なる低減を図り、燃料噴霧のペネトレーションをさらに減衰させることが可能になる。それによって、燃料噴霧のシリンダ内壁等の付着防止を有効に図れ、また、燃料噴霧の到達距離を短くすることで、点火プラグ付近に速やかに集中させることに貢献する。
【0019】
(3)第1の発明で述べた弁座、オリフィス、流路拡大部、上段,下段のスリットと燃料に渦状の旋回流を与える燃料旋回子(スワラー)とを組み合わせ、この燃料旋回子を上記弁座の上流に設ければ、燃料噴射弁のオリフィスから噴出する燃料を該オリフィスの下流にある流路拡大部(孔)に多方向からすみやかに充満させることが可能になる。その結果、燃料は、上記流路拡大部から上段スリットにすみやかに流入,充満し、該スリット両端から噴出孔(上段,下段スリットの交差部)に勢いを増して向い、上記噴出孔の対向燃料の衝突エネルギーをより一層高め、燃料微粒化に貢献する。
【0020】
(4)前記した上段スリット,下段スリットを複数組(例えば2組)備えて、各組の上段,下段のスリットは一部重なるよう交差し該交差部が燃料の噴出孔となって前記流路拡大部の下流に位置し、これらの噴出孔が前記ノズル部のノズル孔の直下から外れて該ノズル孔の中心軸線を基準にして左右対称に配置されていることを特徴とする。
【0021】
このようにすれば、ペネトレーションの緩和をはかったファンスプレー状の微粒化燃料噴霧を複数の噴出孔を介して噴射することが可能になり、また左右対称配置の噴出孔であるため、各噴出孔の燃料噴霧量の均等化を図り得る。
【0022】
(5)前記流路拡大部は、流路拡大部の面積が大きすぎると燃料の充満に時間がかかり、燃料噴射の応答遅れにつながり、また燃料流を減速し過ぎると、次のクロススリットの交差部での燃料衝突の勢いを低下させてしまうので、以上の点を配慮して形状,大きさを設定する必要がある。ここでは、流路拡大部の最適形状例として、前記流路拡大部は、流路幅が前記燃料噴射弁のノズル孔のオリフィス径よりも幾分幅広で長さが中心軸線を基準にして左右に展開する横長形状の孔で、この流路拡大部を構成する横長の孔の直下に前記上段スリットがスリットの長手方向の向きを流路拡大部の長さ方向に一致させて配置されているものを提案する。
【0023】
このように流路拡大部の形状を設定することで、流路拡大部にはすばやく燃料が充満し、その下流の上段スリットには該スリット両端方向からスリット中心に向けて流入する燃料の流れに勢いをつけて上段,下段のスリット交差部で燃料を衝突させることができ、したがって、燃料の衝突エネルギーを高めて燃料微粒化の向上を図れる。
【0024】
(6)前記上段,下段のスリットの交差部よりなる噴出孔の流路面積を、筒内噴射式エンジンの燃料供給系の通路の中で最小とすれば、この噴出孔によってアトマイザ側から燃料流量を規制することが可能になる。
【0025】
(7)前記下段のスリットの幅を上段のスリットの幅よりも狭くすると、液膜を薄くでき、燃料噴霧を微粒化できる。
【0026】
(8)前記上段のスリットの幅を下段のスリットの幅よりも狭くすると、上段スリット内の流速を高め、扇状噴霧の広がり角が大きくなり、燃料噴霧の粒径のばらつきも小さくでき、噴霧の到達距離も短くできる。
【0027】
(9)前記クロススリット(上段,下段スリット)のうち、下段スリットが前記シリンダの中心軸線の向きを縦方向とみた場合にこの中心軸線と立体的に交差する横方向に向くように配置されている筒内噴射式エンジン。このように構成すれば、燃料噴霧角は横広がりとなるが、その広がり角は30°〜70°位に抑えられることが判明し、燃料噴霧のシリンダ内壁への付着を防止できる。また、本発明によれば、下段スリットを縦向きにして燃料噴霧させた場合よりも、燃焼圧力の変動を小さく抑えることができることを試験結果で確認でき、特に運転条件を種々変えた場合であっても、燃焼圧力の安定領域(圧力変動が±5%の範囲)を広い運転領域にわたって確保できる結果が得られた。
【0028】
(9)エンジンのシリンダに燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備えた筒内噴射式エンジンと、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力を5MPa以上にする高圧燃料ポンプと、前記燃料噴射弁に供給する高圧燃料を加熱する加熱手段とを備えてなることを特徴とする自動車。
【0029】
上記筒内噴射式エンジンにおいては、高圧燃料ポンプを用いて供給燃料を昇圧させるので(例えば5MPa〜7MPa)、燃料を約200℃程度に加熱しても配管内では沸騰せず、気泡はほとんど生じない。そして、この高温,高圧燃料を燃焼室(燃焼室圧力は0.1〜0.6MPa)に直接噴射することで、燃焼室(シリンダ)内の減圧沸騰の実現を可能にする。以下、これらの発明の詳細及びこの項で触れなかったその他の技術事項については、次の実施の形態の項で説明する。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0031】
図1の(a)は本発明の一実施例に係るアトマイザ6を筒内噴射エンジン用の燃料噴射弁36に装着した要部断面図及びそのアトマイザ6のA−B線横断面図、C−D線横断面図、E−F線横断面図、(b)は上記(a)と同様の図面に開弁時の燃料の流れ状態を示した説明図、図2は本発明に係るアトマイザが装着される筒内噴射式エンジン用燃料噴射弁の縦断面図、図3は図1のX−Y断面図、図4は上記アトマイザの上面図である。
【0032】
まず、図2に示す筒内噴射式エンジン用の燃料噴射弁について説明すると、燃料噴射弁36は、本体内部に、燃料通路51aを有する固定コア52と、固定コア52の周囲に配置される電磁コイル53と、一端に可動コア55及び他端にボール弁(弁体)3を有するロッド56と、ボール弁3を閉じ方向に付勢するスプリング54とを内装する。51bはロッド56に設けた燃料通路、51cはノズル部(ノズルボディ)5内の燃料通路である。
【0033】
噴射弁本体の先端には、ノズル孔(オリフィス)4及び弁座34を有するノズル部5が取り付けられ、ノズル部5の内部に燃料を旋回させるためのスワラー(燃料旋回子)2が固定されている。スワラー2の中央には、ボール弁3を案内する中央孔37(図1参照)が設けられている。
【0034】
図3に示すようにスワラー2の外周から底部にかけて燃料通路1,1´が形成され、その下流側の通路開口が中央孔37の内周壁面に臨んでいる。
【0035】
電磁コイル53を通電させて励磁すると、可動コア55と共にボール弁3が固定コア52側に吸引され、ボール弁3が弁座34から離れて開き、スワラー2で燃料が旋回されてノズル孔(オリフィス)4から噴出し、さらに、本実施例では、ノズル部5に装着したアトマイザ6を介して燃料がシリンダに噴射される。
【0036】
ここで、図1及び図3によりノズル部5とアトマイザ6について説明する。
【0037】
スワラー2は、ノズル孔4及び弁座34の上流に配置され、図3に示すように燃料通路1のうちスワラー底部にかかる通路部1′がスワラー2の中心を外して中央孔37の内周に臨むように配設されており(上記通路部1′は中央孔37のほゞ接線方向に向く)、本実施例では上記通路部1′を4本としているが、同じ形状の燃料通路部1′が等間隔に配置されれば何本でも構わない。
【0038】
スワラー2は、ノズル部5のボディ内周に圧入されて固定されている。ボール弁3は図面の上下方向に可動である。ボール弁3の挙動は電気信号により制御される。
【0039】
アトマイザ6は、円盤形で、内部に形成される孔の形状が各段で異なる4段重ねの孔構造を呈しており、その最上段の孔部11は、ノズル部5のボディ下端に設けた円形凸部5aにインロー嵌合で嵌まり込むために円形を呈している。円形凸部5aに嵌め込まれたアトマイザ6は、外周縁をノズル部5のボディ底部外周に全周溶接(符号7で示す)することで、ノズル部5のボディ下端の固着されている。全周溶接によりアトマイザのシール性と耐圧性を保証する。
【0040】
アトマイザ6の外径とノズル部5の外径は寸法が等しく、燃料噴射弁36の中心軸線38を互いの中心軸線としており、アトマイザ6は、ノズル部5との接合部7において、レーザによる全周溶接がなされる。
【0041】
アトマイザ6の上から2段目の孔8は、ノズル孔4のオリフィス径より流路面積を拡大して、該ノズル孔4から噴出する燃料の流速を低減させる流路拡大部を構成する。孔8は、例えば、横長の孔でその流路幅Wが燃料噴射弁のノズル孔4のオリフィス径の直径Dよりも大きくしている。孔8はノズル孔4に接している。
【0042】
孔(流路拡大部)8の直下には、上段スリット(第1のスリット)9が形成されている。上段スリット9は単数,複数いずれも可能であるが、本実施例では2個の上段スリット9をアトマイザ6の径方向に横一列にして配置している。アトマイザ6を上流側からみた場合、上段スリット9は、その上流にある流路拡大部8の内側に収まっており、その全流路面積は孔8の流路面積よりも小さい。また、2個の上段スリット9は、図1のC―D断面において、中心線CD上でアトマイザ6及び燃料噴射弁36の中心軸線38に対して、左右対称となる位置に設けられている。図1において、上段スリット9の数は2個であるが、上記の規定を満たせば、その数は制約されるものではない。
【0043】
上段スリット9の下流には、下段スリット10(第2のスリット)が配設され、ここでは2個の下段スリット10がアトマイザ6の中心軸線38に対して、左右対称となる位置に平行に配置されている。
【0044】
一組の上段スリット9,下段スリット10と、もう一組の上段スリット9,下段スリット10は、中央部が重なるように交差して、交差部35が燃料噴出孔となって流路拡大部8の下流に位置し、これらの噴出孔35がノズル孔4の直下すなわち真下から外れて該ノズル孔の中心軸線38を基準にして左右対称に配置されている(図4参照)。
【0045】
アトマイザ6の噴出孔35の全流路面積がアトマイザ6の出口流路面積となり、この出口流路面積は、ここには図示しないが筒内噴射式エンジンの燃料供給系の通路の中で最小としてある。これにより噴出孔35が燃料流量を規制している。
【0046】
アトマイザ6をノズル部5に孔11及び凸部5aを介してインロー嵌合させたのは、孔11の形成に必要な肉厚部11aを、アトマイザを補強する意味で確保し、これにより、アトマイザ6をノズル部5に溶接した場合の熱応力によるアトマイザ内の燃料流路の変形を防止し、また耐圧10MPaを確保するためである。肉厚部11aを確保しても、アトマイザ6のインロー嵌合方式を採用することで、これが流路長の増加につながらず、ボール弁下流の流路短縮を図り得、また、アトマイザの位置決めが簡単となる。
【0047】
このような熱応力及び耐圧性の問題を、アトマイザ6の孔8,9,10を形成する肉厚部8a,9a,10aの合計だけで対処し得る場合には、わざわざノズル側に円形凸部5aを形成したり、これに嵌合するアトマイザ側の孔11を形成しなくともよい。この場合には、ノズル部5の先端(下端面)は水平面として加工され、また、アトマイザ6の孔8を形成する肉厚部8aの上面が、ノズル部5との接合部7となる。
【0048】
燃料噴射弁36の弁が開くと、図3(b)に示すように、燃料は4方向あるスワラー2内の燃料流路1,1′より均等に中央孔37に送られ、中央孔37にて渦状の旋回流が生じ、旋回流となった燃料は、図1(b)に示すように、弁座34に沿ってノズル孔(オリフィス)4に流入し、旋回流を保ったままでアトマイザ6の流路拡大部8に流入する。
【0049】
流路拡大部8は、次に述べる噴出孔35から噴出される燃料噴霧のペネトレーションを低減(緩和)させるために、ノズル孔4から流入する燃料の流速を低減させるために設けられたものである。ただし、流路拡大部8の面積が大きすぎると燃料の充満に時間がかかり、燃料噴射の応答遅れにつながり、また燃料流を減速し過ぎると、次のクロススリット9,10の交差部35での燃料衝突の勢いを低下させてしまうので、以上の点を配慮して形状,大きさを設定する必要がある。
【0050】
以上の見地から、流路拡大部8は、図4に示すように、流路幅Wがノズル孔4の径より幾分幅広(例えばWはノズル孔4の径の1.2〜2倍程度)とし、長さLがノズル孔4の径の3〜5倍程度の横長の孔形状とし、この横長の孔8がノズル孔4の直下中心位置を基準にしてそこから左右に展開するように設定しており、その長手方向と上段スリット9の長手方向の向きを一致させている。
【0051】
上段スリット9と下段スリット10の交差部である噴出孔35は、噴出孔35から噴射される燃料噴霧のペネトレーション緩和のために、上記した流路拡大部8の左右の展開位置に対応した位置にノズル孔4の直下から外れるようにして配置されている。
【0052】
流路拡大部8の流路面積を大きくしたこと、及び噴出孔35の位置をノズル孔4直下から外したことで、燃料の鉛直下方の運動エネルギーを低減し、噴射燃料のペネトレーションを有効に低減させることが可能になる。
【0053】
流路拡大部8には、渦状に旋回した燃料が流入するために、燃料が図1(b)の矢印に示す流れ、すなわち中央から左右に拡散する流れとなってすみやかに充満する。その結果、上段スリット9に流入する燃料は、スリット9の左右両端から中心(交差部35)に向けて、勢いがあり且つバランスのとれた対向した流れを伴って充満し、交差部35にて対向する燃料流の衝突エネルギーを高める。
【0054】
図5にクロススリット式アトマイザの微粒化原理を示す。上記したように、上段スリット9において、燃料は各スリット9の左右両端から中央部(アトマイザの噴出孔35のある位置)に向かって流れる。これにより、アトマイザの噴出孔35にて、対向して流れる燃料が衝突する。衝突した燃料は、縮流して下段スリット10に薄い液膜として供給される。下段スリット10の液膜は、厚さを下段スリットの流路幅W2により規定され、下段スリット流路長さL2の方向に広がる。これにより、燃料は扇状(ファンスプレー状)に拡大して偏平な噴霧として噴射される。
【0055】
上段スリット9と下段スリット10の関係は、その幅関係を任意に設定することが可能であるが、例えば図1に示すように、上段スリット9の流路幅W1の方を下段スリット10の流路幅W2よりも小さくすることで、燃料の衝突するスピードを上げ、扇状噴霧の広がり角が大きくなり、噴霧粒径のばらつきを小さくした状態で微粒化した噴霧を形成できる。
【0056】
燃料流量は、噴出孔35の面積に比例し、好ましい一例をあげれば、2個の噴出孔35の合計は、0.2〜0.3mm2は確保したく、上段スリット9の流路幅W1は0.2mm以下、長さL1は2.0mm,下段スリット10の流路幅W2は0.5〜0.8mm、長さL2は5.0mm以上、上段スリット9同士の間隔は0.2mmである。流路拡大部8,上段スリット9,下段スリット10の全体の流路深さは0.7〜1.5mmの範囲であり、各要素8,9,10ごとにみれば上記深さが3等分される。
【0057】
本実施例によれば、燃料噴霧の更なる微粒化促進を図り(従来の燃料旋回方式では、燃料噴霧の粒径は20〜40μmであったものを、本実施例では15〜25μmとすることが可能になり、微粒化と粒径ばらつき範囲を小さくすることが可能になる)、しかも、噴射燃料のペネトレーションの抑制を図ることで、シリンダ内壁への燃料付着を少なくして、燃焼効率の向上及び排気浄化の向上を実現することが可能になる。
【0058】
また、左右対称の噴出孔35により、各噴出孔35からの燃料噴霧量の均等化を図り得る。
【0059】
図6は本発明のアトマイザ6に係る他の実施例であり、図1と同様に図式化したものである。図1と異なる点は、下段スリット10についてはその長手方向の壁面に互いの下段スリット10同士が外側(反中心軸38側)に向かうように斜面をつけたものである。本方式は、複数の下段スリット10から噴射される燃料噴霧の干渉を避けたい場合に好適である。下段スリット10の斜面角度は、中心軸38を基準にして15〜30°位が好ましい。
【0060】
図7は上記した図1又は図6のアトマイザ6付き燃料噴射弁36を筒内噴射式エンジンに装着した実施例である。
【0061】
図7(a)は筒内噴射式エンジンのシリンダの見取り図、(b)はシリンダの上面図、(c)はシリンダの中心と燃料噴射弁の中心を含む方向の断面図を示す。
【0062】
吸気バルブ22は一例として2つの吸気ポート18a,18bを備え、その一つに、運転条件(例えば理論空燃比より高くした希薄燃焼空燃比の運転条件)に合わせてシリンダ12の燃焼室14内に空気旋回流が生じるようにコントロールするスワールコントロールバルブ22が設けてある。19は吸気バルブ、20は排気ポート、21は排気バルブである。
【0063】
吸気ポート18aと18bから流入した空気と、燃料噴射弁36から噴射された燃料が混合し、点火プラグ15により着火して燃焼する。スワールコントロールバルブ22により、吸気ポート18a,18bの2方向から燃焼室14内に流入する空気の流量バランスを変化させることで(吸気ポート18aから流入する空気流量比率を吸気ポート18bに比べて大きくすることで)、燃焼室14内の空気は、図7(b)に示すように反時計回りの旋回流24aとなる。
【0064】
燃料噴射弁36は、吸気ポート18aと18bの間に取り付けられている。
【0065】
本実施例では、アトマイザ6に形成された上段,下段のスリット9,10のうち下流側に位置する下段スリット10がシリンダ12の中心軸線を縦方向とみた場合にこれと立体的に交差する横方向に向けて配置されている(下段スリット10と10の間の中心線17がシリンダ中心軸線に対して立体的に直交する方向に向いている)。
【0066】
このように下段スリット10を横向きになるようにして燃料噴射弁36をエンジンに実装すると、噴霧角は30〜70度位になり、シリンダ内壁への燃料付着が少なくなる試験結果が得られた。
【0067】
燃焼室14内の噴霧燃料は、シリンダ内の旋回空気流動の流れに乗りやすい。特に、図7(c)に示すように、燃料が圧縮工程中に噴射される場合、噴霧燃料は空気の流動に乗って、点火プラグ付近に集められ、燃焼する。このしくみがリーンバーン(希薄空燃比燃焼)運転を実現した。
【0068】
図7(b)に示すように、燃料噴射弁36の中心線38は、シリンダ12の径方向の中心線25と一致することが、シリンダ内壁への燃料付着を防ぐためにも望ましい。
【0069】
本例の燃料噴霧23の形状は、下段スリット10を横向きにすることから、横広がり扇形となり、燃料噴霧の一つ一つは噴霧の厚みが扁平であるが、噴出孔35及び下段スリット10が上下に並列に配置されているため、これらの扁平な燃料噴霧が集まることで上下方向(縦方向)に噴霧層が形成される〔図7(c)〕。そのため、上側の下段スリット10により形成された燃料噴霧23の上端は、噴射時に与えられた自身の運動エネルギーにより直接点火プラグ15付近に到達する。また、下側の下段スリット10により形成された燃料噴霧23の下端は、ピストン13の上面(フラット面)に衝突して空気流動24に乗る。噴霧23の下端の燃料は、上端の燃料より少し遅れて点火プラグ15に搬送される。これにより、燃料が過度に点火プラグ15に集中することによるくすぶりをなくすことができる。換言すれば、点火プラグ15付近に良好な混合気を形成して、いわゆる成層燃焼が可能になる。
【0070】
本実施例によれば、燃焼圧力の変動を小さく抑えることができることを試験結果で確認でき、特に運転条件を種々変えた場合であっても、燃焼圧力の安定領域(圧力変動が±5%の範囲)を広い運転領域にわたって確保できる結果が得られた。
【0071】
図8は筒内噴射式エンジンに装着した本実施例に係わる燃料噴射弁の別の取り付け例を示すものであり、(a)は筒内噴射式エンジンのシリンダの見取り図、(b)はシリンダの上面図、(c)はシリンダの中心と燃料噴射弁の中心を含む方向の断面図を示す。
【0072】
本例も図7の実施例同様に吸気ポート18bにスワールコントロールバルブ22を備えているものであり、図7の実施例との相違点は、アトマイザ6の下段スリット10の向きにある。
【0073】
すなわち、本実施例では、下段スリット10の向きを図7よりも90°変えていわゆる斜め縦向きの状態にしたものである(下段スリット10と10の間の中心線17をシリンダ中心軸線と一致させている)。
【0074】
本実施例においても、圧縮工程において、吸気ポート18aと18bから燃焼室14に流入した空気は、反時計回りの旋回流24aとして、ピストン13に衝突した後、点火プラグ15近傍に集まる。
【0075】
本実施例では、燃料噴霧23は上下方向に広がる扇形噴霧であり〔図8(c)〕、燃料噴霧の横方向(径方向)の拡散の度合いを小さくしているため、シリンダ内壁への燃料付着を少なくすることができる。燃料噴霧角は、80°〜140°位になり、そのため、図7の実施例に較べて点火プラグ近傍側或るいはピストン側への燃料付着が増えることが予想されるが、エンジンが大きくなれば(排気量が大きくなれば)、その燃料付着度合いを抑えることが可能になる。
【0076】
図9,図10に、上記した実施例に係わるアトマイザ付き燃料噴射弁36を噴霧上端角を規定する見地から取付けた実施例を示す。
【0077】
図9において、取り付け角θは、シリンダ中心軸線に対する燃料噴射弁36の中心線38の交わる角度であり、噴霧角Pは噴射後0.9msの燃料噴霧の広がり角を示しており、噴霧上端角αは噴射後0.9msの燃料噴霧において水平線を基準して示した角度である。
【0078】
噴霧上端角αを大きくすると、点火プラグ15に燃料が付着し、上端角αを小さくすると、燃料が点火プラグ15に届かず、ピストン13への燃料の付着度合いが高くなる。点火プラグ及びピストンへの燃料付着を少なくして点火プラグ付近に良好な混合気を形成する目安として、噴霧上端角αが±3°以内になるように、燃料噴射弁36の取り付け角θを設定している。
【0079】
なお、図7,図8の燃料噴射弁取り付け例によれば、図11(b)に示すように下段スリット10と燃料噴霧23との間に角度的なずれβが生じる場合がある。図11(a)では、燃料噴霧のずれβは±5°以内になるように下段スリット10の向きを調整してある。換言すれば、β=0の場合は、下段スリットのずれが±5°以内にすることと等価になる。
【0080】
図12は、本発明に係わるアトマイザ付き燃料噴射弁を採用した筒内噴射式エンジンと、加熱した燃料を供給できる燃料供給装置とを搭載した自動車の実施例を示す説明図である。
【0081】
燃料タンク32内の燃料は、フィルタ31にて不要物を除去され、低圧ポンプ30にて加圧されて、高圧燃料ポンプ29に供給される。高圧燃料ポンプ29において、燃料はエンジンの運転条件において5〜12MPaに加圧される。次に、燃料はエンジン26に隣接するギャラリー28に供給されて、ギャラリー28から分岐して各気筒に取り付けられたアトマイザ付き燃料噴射弁36より燃焼室内に噴射される。
【0082】
燃料はギャラリー28に設けられた保温用燃料加熱器27により約60〜100℃に加熱される。燃料加熱器27の熱源は、エンジンの冷却水(約80℃)やEGR等の廃熱の利用が最適であるが、電気ヒータ等を利用しても良い。次に、ギャラリー28と燃料噴射弁36の間に設けられた昇温用燃料加熱器44により、燃料を約200℃に加熱する。昇温用燃料加熱器44の熱源はEGRか電気ヒータとして、温度調整機能も付帯させる。昇温用燃料加熱器44のみをギャラリー28に設けてもよい。
【0083】
図13は自動車用ガソリンの液体温度と累積留出割合の関係を示す。これによると、筒内噴射式エンジンの5MPa以上の燃料圧力の条件ならば、燃料は約200℃に加熱しても配管内で沸騰しない。従って、筒内噴射式エンジンによれば、図12の燃料加熱機構付きの燃料供給装置を用いて減圧沸騰噴霧方式を実現できるとの知見が得られた。したがって、加熱燃料をエンジンの燃焼室内で減圧沸騰させることが可能になる。なお、この減圧沸騰の実現は、燃料加熱機構と筒内噴射式エンジンによれば可能となり、上記のクロススリット方式以外の筒内噴射式エンジンとの組み合わせでも可能である。
【0084】
従来の吸気ポート噴射式エンジンにおいては、燃料の圧力は最大約0.5MPa程度である。液体の圧力を5気圧とすると、125℃のガソリンの約25%が気化する。これは吸気ポート噴射式エンジンにおいて、燃料は最大で数十℃までしか加熱できないことを意味する。従って吸気ポート噴射式エンジンにおいて、減圧沸騰噴霧の実現は非常に困難である。
【0085】
図14に液体燃料(ガソリン)の加熱が平均粒径に及ぼす影響を示し、横軸に燃料温度を示し、縦軸に本実施例に係るアトマイザ付き燃料噴射弁を用いた燃料噴霧の平均粒径を示し、燃料圧力を3MPaと7MPaとした場合を例示している。平均粒径は、Malvernのレーザ回折法により測定したものである(図15も同様である)。図14から明らかなように、燃料温度の上昇が平均粒径を低減させる。従って、保温用燃料加熱器27のみ稼動しても、噴霧の微粒化は促進される。また、燃料温度が約180℃以上になると、減圧沸騰により粒径がさらに低減する。燃料圧力3MPaの場合には、燃料の加熱による粒径は約25μm前後の平均粒径であり、減圧沸騰による場合は平均粒径が約20〜25μmにすることができた。燃料圧力7MPaの場合には、燃料の加熱による平均粒径は約15〜20μmであり、減圧沸騰による場合は平均粒径が約10〜15μmにすることができた。
【0086】
図15は、図1及び図6のアトマイザ付き燃料噴射弁を筒内噴射用エンジンに適用し、且つ、燃料を減圧沸騰する燃料温度(189℃)と常温(20℃)で噴射した場合の燃料噴霧の平均粒径を比較したものである。いずれも燃料圧力を3MPa〜7MPaの範囲で変化させて、その燃料噴霧の平均粒径を測定したものであり、常温でも平均粒径を約15〜25μmとし、平均粒径の微粒化を図ることができるが、燃料温度189℃の噴霧の平均粒径は、常温の場合よりも約20%低減する。さらに、微粒化性能を保ったまま、燃料圧力が低減できる。これにより、高圧ポンプ29の駆動損失が低減され、燃費が向上する。
【0087】
次に上記したクロススリット方式のアトマイザ6の製造方法を図16〜図19により説明する。
【0088】
図16は、アトマイザ6の製作方法の第1例を示す断面図であり、本実施例は、一枚の材料(SUS板など)から、放電加工やエッチング或いは切削によって作る場合を示す。
【0089】
図16の例では、まず(a)に示すように、アトマイザ母材6´に最上段の嵌合孔(円形凹部)11を形成する。この円形凹部11は、嵌め込みの相手方となる燃料噴射弁36の先端凸部5aと同一の形状で、凹部11の周りに所望の肉厚部11aを確保にするものである。
【0090】
図16(b)に流路拡大部8の製作工程を示す。製作は上流側より行う。この流路拡大部8は、既述したように、▲1▼オリフィス4よりも大きな流路面積を有することによる鉛直下方の燃料の運動エネルギーの低減(これにより、噴霧のペネトレーションが低減される)と、▲2▼その直下の上段スリット9にあらゆる方向から万遍なく燃料を供給することにあり、一例として、図1において小判型に近い形状のものを例示したが、上記2点の役割及び応答性を保証する面積であれば、流路拡大部8はどんな形状でもよい。
【0091】
上記の流路拡大部8の形成後に、図16(c)に示すように上段スリット9を製作し、次いで図16(d)に示すように下段スリット10を形成する。下段スリット10の製作は、下流側より行われる。
【0092】
図17の(a)は本発明に係るアトマイザ6の別の製作方法であり、アトマイザの要素の複数の板材と有底円筒部材を用いて製作した例である。
【0093】
アトマイザ6の加工はプレスにより1方向のみから打ち抜く工程と、穿孔する工程と、プレートをインサートする工程で製作できる。穿孔加工は、削り出し、旋盤、放電加工やエッチング等を利用する。
【0094】
本例では、下段スリット10を有する有底円筒部材61と、上段スリット9を有する部材(板材)63と、流路拡大部8を有する部材(板材)62とをそれぞれ別部材とし、これらの板材(プレート)62,63をそれぞれのスリット及び流路拡大部を形成した後に、有底円筒部材61に嵌め込むことで、図17(b)に示すようなアトマイザ6の完成品が製作される。
【0095】
有底円筒部材61は、中心軸線38を中心として下段スリット10aの厚みを残して母材を削孔したものである。削孔する孔の形状は円形でも良いが、板材62,63の位置決めを容易にするため、正方形等の他の形状でも良い。また下段スリット10の上流側の面は、板材62,63をインサートして密着させるため、表面荒さを6.4μm以下とするが望ましい。
【0096】
下段スリット10は、中心軸38に対称に2箇所製作される。有底円筒部材61は、治具に固定され、NC加工機に所望の下段スリット10の位置や寸法を入力して加工される。
【0097】
流路拡大部8と上段スリット9は、それぞれの板材62,63を治具に固定し、プレス加工機により打ち抜いて製作される。
【0098】
板材62,63を有底円筒部材61にインサートする際の方向性は、治具に固定して決定してもよく、板材の形状を工夫して決定してもよい。また、インサートした板材は、スポット溶接や溶着等により固定されることが望ましい。
【0099】
図中の70,71は逃げ溝で、アトマイザ6とノズル部5に設ける。アトマイザ6はノズル部5に加圧力を加えて塑性流動結合させた後にレーザ溶接するものであり、その塑性流動の逃げを溝70,71で行うものである。これにより塑性流動時の応力集中を低減することが可能になる。
【0100】
本例に製作方法でアトマイザ6を大量生産した場合、図16の例よりも低コストであると考えられる。
【0101】
図18は、図17の製作方法で成形されたアトマイザ6を燃料噴射弁36のノズル部5に装着した状態を示すものである。
【0102】
図19,図20は、本発明に係るアトマイザの他の実施例に係る要部断面図であり、図中、既述した実施例と同一要素には同一の符号が示してある。いずれも、流路拡大部8については燃料噴射弁36のノズル部5のオリフィス4下流に形成したものであり、上段,下段のスリット9,10についてはアトマイザ6側に形成している。図19の場合には、一つのアトマイザ母材6´に上段スリット9及び下段スリット10を形成したものであり、図20の場合には、下段スリット10を有する有底円筒部材61に上段スリット9を有する板材63をインサートしたものである。流路拡大部8,上段スリット9,下段スリット10の形状,仕様は図1及び図6の実施例同様である。図19,20の実施例においても本発明の所期する効果を奏することができる。
【0103】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、クロススリット方式の燃料噴射弁を備えた筒内噴射式エンジンにおいて、その燃料噴霧のペネトレーションの緩和やスリットの向き等に工夫をこらし、またスリット流路へすみやかでバランスのとれた燃料充満を図る等して、今まで以上に燃料微粒化を図り、燃焼効率の向上,排ガス浄化の向上を図ることができる。
【0104】
さらに、もう一つの発明では、噴射される燃料噴霧(ガソリン)の燃焼室内での減圧沸騰を実現させることで燃料噴霧の微粒化促進を図り得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施例に係るアトマイザを筒内噴射エンジン用の燃料噴射弁に装着した要部断面図及びそのアトマイザのA−B線横断面図、C−D線横断面図、E−F線横断面図、(b)は上記(a)と同様の図面に開弁時の燃料の流れ状態を示した説明図。
【図2】本発明に係るアトマイザが装着される筒内噴射式エンジン用燃料噴射弁の縦断面図。
【図3】(a)は図1のX−Y断面図、(b)はそれに燃料の流れの状態を加えたX−Y断面図。
【図4】本発明の一実施例に係るアトマイザの上面図。
【図5】クロススリット式アトマイザの微粒化原理を示す説明図。
【図6】(a)は本発明の他の実施例に係るアトマイザを筒内噴射エンジン用の燃料噴射弁に装着した要部断面図及びそのアトマイザのA−B線横断面図、C−D線横断面図、E−F線横断面図、(b)は上記(a)と同様の図面に開弁時の燃料の流れ状態を示した説明図。
【図7】(a)は本発明の実施例に係る筒内噴射式エンジンのシリンダの見取り図、(b)はそのシリンダの上面図、(c)はシリンダの中心と燃料噴射弁の中心を含む方向の断面図。
【図8】(a)は本発明の他の実施例に係る筒内噴射式エンジンのシリンダの見取り図、(b)はそのシリンダの上面図、(c)はシリンダの中心と燃料噴射弁の中心を含む方向の断面図。
【図9】上記した実施例に係わるアトマイザ付き燃料噴射弁の噴霧上端角を規定する説明図。
【図10】上記した実施例に係わるアトマイザ付き燃料噴射弁を噴霧上端角を規定する見地から取付けた実施例。
【図11】(a)は本発明に係る燃料噴射弁の取付状態を示す斜視図、(b)は下段スリットに対する燃料噴霧のずれを示す説明図。
【図12】本発明に係わるアトマイザ付き燃料噴射弁を採用した筒内噴射式エンジンと、加熱した燃料を供給できる燃料供給装置とを搭載した自動車の実施例を示す説明図。
【図13】自動車用ガソリンの液体温度と累積留出割合の関係を示すグラフ。
【図14】燃料噴射弁に加熱した燃料を供給した場合、加熱による燃料噴霧の平均粒径と減圧沸騰による粒径の低減を示すグラフ。
【図15】燃料の減圧沸騰による噴霧の平均粒径の低減を常温による燃料噴霧の平均粒径と比較して示すグラフ。
【図16】本発明のアトマイザに係る製造方法の第1例を示す説明図。
【図17】本発明のアトマイザに係る製造方法の第2例を示す説明図。
【図18】上記第2例で製造したアトマイザを燃料噴射弁に装着した状態を示す要部断面図。
【図19】本発明の他の実施例に係るアトマイザを燃料噴射弁のノズル部の装着して例を示す要部断面図。
【図20】本発明の他の実施例に係るアトマイザを燃料噴射弁のノズル部の装着して例を示す要部断面図。
【符号の説明】
2…燃料旋回子(スワラー)、ボール弁、4…ノズル孔(オリフィス)、5…ノズル部、6…アトマイザ、7…溶接部、8…流路拡大部、9…上段スリット、10…下段スリット、11…嵌め込み用凹部、12…シリンダ、13…ピストン、14…燃焼室、15…点火プラグ、22…スワールコントロールバルブ、26…エンジン、27…保温用燃料加熱器、28…ギャラリー、29…高圧燃料ポンプ、36…燃料噴射弁、44…昇温用燃料加熱器。
Claims (14)
- 筒内噴射式エンジン用の燃料噴射弁のノズル部に装着されるアトマイザで、前記ノズル部のノズル孔のオリフィス径より流路面積を拡大して該ノズル孔から噴出する燃料の流速を低減させる流路拡大部と、前記流路拡大部より流路面積を小さくした組をなす上段,下段のスリットとを有し、前記上段,下段のスリットは複数組形成され、各組の上段,下段のスリットは一部重なるよう交差しこれらの交差部が燃料の噴出孔となって前記流路拡大部の下流に位置し、且つこれらの噴出孔が前記ノズル部のノズル孔のオリフィスの直下から外れて配置されていることを特徴とする筒内噴射式エンジン用のアトマイザ。
- 前記噴出孔は、前記ノズル部のノズル孔のオリフィスの直下から外れて該流路拡大部の中心軸線を基準にして左右対称に配置されている請求項1記載の筒内噴射式エンジン用のアトマイザ。
- 前記流路拡大部は、流路幅が前記燃料噴射弁のノズル孔のオリフィス径よりも幅広で長さが中心軸線を基準にして左右に展開する横長形状の孔で、この流路拡大部を構成する横長の孔の直下に前記上段スリットがスリットの長手方向の向きを流路拡大部の長さ方向に一致させて配置されている請求項1又は2記載の筒内噴射式エンジン用のアトマイザ。
- 前記上段,下段のスリットの交差部よりなる噴出孔の流路面積が、筒内噴射式エンジンの燃料供給系の通路の中で最小としてある請求項1ないし3のいずれか1項記載の筒内噴射式エンジン用のアトマイザ。
- 前記下段のスリットの壁面に燃料噴霧を方向づける傾斜面が形成されている請求項1ないし4のいずれか1項記載の筒内噴射式エンジン用のアトマイザ。
- 前記下段のスリットの幅を上段のスリットの幅よりも狭くしている請求項1ないし5のいずれか1項記載の筒内噴射式エンジン用のアトマイザ。
- 前記上段のスリットの幅を下段のスリットの幅よりも狭くしている請求項1ないし5のいずれか1項記載の筒内噴射式エンジン用のアトマイザ。
- 前記流路拡大部及び上段,下段のスリットは一つの母材に形成されている請求項1ないし7のいずれか1項記載の筒内噴射式エンジン用のアトマイザ。
- 前記下段スリットが有底円筒部材の底部に設けられ、前記上段スリット及び前記流路拡大部が前記有底円筒部材と別部材の板材に設けられ、この板材が前記有底円筒部材に嵌め込まれている請求項1ないし7のいずれか1項記載の筒内噴射式エンジン用のアトマイザ。
- アトマイザ本体が、前記燃料噴射弁の先端に設けた凸部にインロー嵌合され、この嵌合部が全周溶接されている請求項1ないし9のいずれか1項記載の筒内噴射式エンジン用のアトマイザ。
- エンジンのシリンダに燃料を直接噴射する筒内噴射式エンジン用の燃料噴射弁において、
上流から下流側に向けて、弁座と、ノズル孔となるオリフィスを有するノズル部と、前記ノズル部に装着されるアトマイザとを備え、前記アトマイザには、前記オリフィスの径より流路面積を拡大して該オリフィスから噴出する燃料の流速を低減させる流路拡大部と、前記流路拡大部より流路面積を小さくした組をなす上段,下段のスリットとを設け、前記上段,下段のスリットは、複数組形成され、各組の上段,下段のスリットは一部重なるよう交差しこれらの交差部が燃料の噴出孔となって前記流路拡大部の下流に位置し、これらの噴出孔が前記ノズル部のノズル孔のオリフィスの直下から外れて配置されることを特徴とする筒内噴射式エンジン用の燃料噴射弁。 - エンジンのシリンダに燃料を直接噴射する筒内噴射式エンジン用の燃料噴射弁において、
上流から下流側に向けて、燃料に渦状の旋回流を与える燃料旋回子と、弁座と、ノズル孔となるオリフィスを有するノズル部と、前記ノズル部に装着されるアトマイザとを備え、前記アトマイザには、前記オリフィスの径より流路面積を拡大して該オリフィスから噴出する燃料の流速を低減させる流路拡大部と、前記流路拡大部より流路面積を小さくした組をなす上段,下段のスリットとを設け、前記上段,下段のスリットは、複数組形成され、各組の上段,下段のスリットは一部重なるよう交差しこれらの交差部が燃料の噴出孔となって前記流路拡大部の下流に位置し、且つこれらの噴出孔が前記ノズル部のノズル孔のオリフィスの直下から外れて配置されることを特徴とする筒内噴射式エンジン用の燃料噴射弁。 - エンジンのシリンダに燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備えた筒内噴射式エンジンにおいて、
前記燃料噴射弁は、請求項1ないし10のいずれか1項記載のアトマイザが装着され、該アトマイザに形成された前記下段スリットが前記シリンダの中心軸線の向きを縦方向とみた場合にこの中心軸線と立体的に交差する横方向に向くように配置されていることを特徴とする筒内噴射式エンジン。 - エンジンのシリンダに燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備えた筒内噴射式エンジンにおいて、
前記燃料噴射弁は、請求項11又は12に記載の燃料噴射弁で、前記下段スリットが前記シリンダの中心軸線の向きを縦方向とみた場合にこの中心軸線と立体的に交差する横方向に向くように配置されていることを特徴とする筒内噴射式エンジン。
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