JP3662109B2 - ロータリダンパ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、回動運動を利用して外部振動を減衰する油圧式のロータリダンパに関し、さらに詳しくは、自動車やオートバイまたは産業車両や特殊車両等の車体振動、或いは、その他の機器または装置の外部振動を減衰するシールレスタイプのロータリダンパの特性改善手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のシールレスタイプのロータリダンパにあっては、例えば、先に特許出願人が提案した特開平8−100829号公報に示されるように、所定方向への回動時にのみ収縮側の作動油室からベーンに設けた錐穴を通してチェックバルブを開きつつ拡張側の作動油室へとオイルを逃がすことで、回動方向に応じた減衰トルク差の設定を行うようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そのために、このものによれば、錐穴を通して流れるオイルの流動抵抗が二乗特性になるとは言え、オイルの発生圧力の低い低速度域でのロータリダンパの動作時には、錐穴を通して容易にオイルが流動を起こすために回動方向に応じた比較的大きな減衰トルク差が得られる。
【0004】
しかし、その反面、ロータリダンパの中・高速度域での動作に際しては、錐穴を通るオイルの流動抵抗が二次曲線的に急上昇して当該錐穴へと分流するオイルの流れが殆ど無くなることから、回動方向に応じた減衰トルク差が充分に得られなくなるという問題点を有していた。
【0005】
しかも、上記したように、低速度域でのロータリダンパの動作時において回動方向に応じた比較的大きな減衰トルク差が得られるとは言え、その反面、錐穴を流れるオイルの流動抵抗が二乗特性であるがために減衰トルクが不足気味となってフワフワ感を生じ、車両としての操縦安定性が損なわれることになる。
【0006】
また、回動方向に応じて減衰トルク差を充分にとるためにはベーンに対して加工長さの長い小径の錐穴を穿ってやらなければならならず、小径ドリルによる深い穴加工が必要となって錐穴加工と精度管理に困難を来すという問題点をも有していた。
【0007】
したがって、この発明の目的は、低速度域から高速度域の全速度域に亙る動作に際し回動方向に応じて所定の減衰トルク差を確保すると共に、車両としての操縦安定性は勿論のこと加工性および加工精度に優れた減衰トルク差設定手段を備えたロータリダンパを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した目的は、この発明において、相対回動運動を行うベーンによってセパレートブロックを有するケーシングの内部を交互に拡張および収縮を繰り返す作動油室に区画し、かつ、ベーンに対して交互に拡張および収縮を繰り返す両作動油室を相互に連通する連通孔を穿つと共に、当該連通孔に小径部を偏心して設けたピン部材を挿通して上記連通孔の側壁と上記小径部の外側面との間に絞り油路を形成し、当該絞り油路を一方では抵抗油路を通して常にロータシャフトの内部に設けた貯油室に連通し、また他方では上記連通孔に絞り油路と直列に設けたチェックバルブを介して上記作動油室に連通させ、当該絞り油路を減衰トルク差設定用の絞り油路として構成したことにより達成される。
【0009】
何となれば、上記のように構成することで、連通孔とピン部材で形作った絞り油路は、従来例における錐穴として構成した絞り油路のように二乗特性のオイル流れではなく、単なる連通路として働く一次特性のチョーク作用を行いつつオイルを流す。
【0010】
その結果、低速度域から高速度域に亙る全速度域でのロータリダンパの回動方向に応じた減衰トルク差を所定の値に大きく保ち、車両用ダンパとしての減衰性能を充分に引き出すことが可能になる。
【0011】
また、上記と併せて低速度域でのロータリダンパの動作時における減衰トルクを高めることができることから、低速度域における減衰トルクが不足気味となってフワフワ感を生じ、車両としての操縦安定性が損なわれることもなくなる。
【0012】
さらに、ベーンに対する絞り油路の構成も簡単になることから、当該絞り油路の加工および精度管理も著しく容易となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付した図面に基き、この発明の実施の形態であるシールレスタイプのロータリダンパ1について説明することにする。
【0014】
ロータリダンパ1は、図1と図2にみられるように、外郭部分を形作るハウジング2と、当該ハウジング2の軸線に沿って回動自在に支架したロータ3の二つの主要部分とで構成されている。
【0015】
ハウジング2は、鋳物や鉄系燒結合金等の摺動性に優れた耐圧強度をもつ金属材料を用いて円筒状に形成したケーシング4を有し、当該ケーシング4の内周面に180度の位相差をもって二つのセパレートブロック5,6(勿論、一つ或いは三つ以上であってもよい)を形成している。
【0016】
ケーシング4の両端面には、同じく鋳物や鉄系燒結合金等の摺動性に優れた耐圧強度をもつ材料で作った肉厚のベアリング7,8を宛てがい、これらベアリング7,8でケーシング4を左右から挟み込みつつロータシャフト9を摺接支持すると共に、それらの上を薄肉プレス材等で成形したパッキンケース10とエンドキャップ11で覆って構成してある。
【0017】
また、ケーシング4とベアリング7,8との間には、予めスペースの大きいセパレートブロック5,6の部分を利用して各二本づつの位置決めピン12,13を挿通し、これら位置決めピン12,13でケーシング4とベアリング7,8の同芯を確保しつつ回転方向へのずれをも規制している。
【0018】
ベアリング8の背面外周にはシール14を介装して他方のベアリング7との間にケーシング4を挟み、これらをエンドキャップ11と共にパッキンケース10の開口端から内部に納め、かつ、パッキンケース10の開口端を加締めることによりシール14でベアリング8とパッキンケース10およびエンドキャップ11との間を油密状態に保つようにしている。
【0019】
なお、この場合において、パッキンケース10とケーシング4およびベアリング7,8との間は接着剤で固定し、かつ、エンドキャップ11を宛てがった状態でパッキンケース10の開口端を加締め止めすることにより、回り止めと併せて内部作動圧力により加締部を押し開こうとする推力をも負担している。
【0020】
ただし、パッキンケース10とケーシング4は、必要とする減衰トルクが低い場合には上記した接着剤による固着手段だけでもよいが、必要とする減衰トルクが高い場合には、レーザー溶接やプラグ溶接等の溶着手段により固着してハウジング2を一体化してやればよい。
【0021】
さらに、パッキンケース10の外側壁には、ナット体等で構成した外部連結用の取付部材15をプロジェクション溶接等の手段によって固着し、これら取付部材15を利用してハウジング2側を外部振動体の一方即ち車両であれば車体側に対して直接或いはリンク等を介して結合するようにしてある。
【0022】
一方、ロータ3は、ハウジング2側のベアリング7,8によって回動自在に両持ち支持したロータシャフト9と、これらベアリング7,8の内壁面に摺接してロータシャフト9にキー形結合の一種であるセレーション16を用いて一体的に結合したベーン体17とからなっている。
【0023】
ロータシャフト9は、強度的に優位の鉄系材料を用いて冷間鍛造等の塑性加工により所定の形状に成形し、かつ、セレーション16を介してベーン体17を回転方向に規制して結合してある。
【0024】
ベーン体17は、鉄系材料のケーシング4およびベアリング7,8に比べて線膨張係数の大きいアルミ材で作ってあり、これらケーシング4およびベアリング7,8と互に共働してロータリダンパ1内における作動オイルの温度の高低に関係なく両者の間の摺接隙間をできるだけ一定に保つようにしている。
【0025】
上記ロータシャフト9の一端は、パッキンケース10の側壁を貫通して外部へと延び、この外部へと突出した部分を取付部18として外部振動体の他方即ち車両であれば車輪側に対し直接或いはリンク等を介して結合すると共に、当該ロータシャフト9の突出部分をパッキンケース10に設けたオイルシール19で油密状態に保っている。
【0026】
また、ロータシャフト9の他端は、エンドキャップ11の内部と対向する部分で終わっており、かつ、ロータシャフト9の内部には、エンドキャップ11の内部に連通して軸線方向に沿う有底の中空穴20を設けてある。
【0027】
この中空穴20の内部には、外周面にシール21を有するフリーピストン22を移動可能に収装し、このフリーピストン22によって中空穴20の内部をエンドキャップ11の内部に連通する貯油室23と、当該貯油室23内のオイル圧力に応じて圧縮および膨張するガス室24とに区画している。
【0028】
このようにして、ロータシャフト9における中空穴20の内部をフリーピストン22で貯油室23とガス室24とに区画することにより、当該ロータシャフト9の内部をアキュムレータとして構成している。
【0029】
それに対して、セレーション16によりロータシャフト9へと結合したベーン体17は、ハウジング2側におけるケーシング4のセパレートブロック5,6と同数で同位相のベーン25,26を外周面に設けて構成してある。
【0030】
ベーン体17の外周面は、ケーシング4側におけるセパレートブロック5,6の先端面と摺接すると共に、ベーン25,26の先端面はケーシング4の内壁面と摺接し、これらセパレートブロック5,6とベーン25,26とによってロータリダンパ1の内部をハウジング2とロータ3との相対回動運動に伴って交互に収縮と拡張を繰り返す作動油室27,28と作動油室29,30とに区画している。
【0031】
しかも、これと併せて、ベアリング7,8の内壁面には僅かな段差を設け、ハウジング2とロータ3間のスラスト力でベーン25,26がベアリング7,8へと強く押し付けられることがないように、当該段差でベーン25,26との間に極微小(図1では誇張してある)のクリアランス31,32を設けてある。
【0032】
また、ベーン25,26には、作動油室27,28と作動油室29,30を相互に連通する連通孔33,34を穿ち、これら連通孔33,34に図3の部分拡大図にられるような小径部35,36を備えるピン部材37,38を挿通して連通孔33,34との間に作動油室27と28および作動油室29と30を互に連通する減衰トルク差設定用の絞り油路39,40をそれぞれ形成している。
【0033】
なお、この実施の形態にあっては、小径部35,36をピン部材37,38に対し最大に偏心して形成し、これら小径部35,36によって当該小径部35,36の外側面と連通孔33,34の一方の側壁との間に間隙を残して、回動方向に応じた減衰トルク差設定用の絞り油路39,40を形成してある。
【0034】
そして、上記減衰トルク差設定用の絞り油路39,40をピン部材37,38に穿った油孔41,42から、ピン部材37,38とそれぞれ直列に並べてベーン25,26の連通孔33,34に嵌着したチェックバルブ43,44を通して各作動油室27,29へと連通したのである。
【0035】
また、これと併せて、油孔41,42をベーン25,26の内部に設けた油路45,46、および、セレーション16の噛合部に設けた油路47,48、並びに、ロータシャフト9とベアリング8の軸受面との間に設けた抵抗油路49を通し、さらに、ここからエンドキャップ11の内部を通してロータシャフト9の内部に配設した貯油室23へと連通している。
【0036】
この場合においてロータシャフト9とベアリング7の軸受面間に対しても同様の油路50を設けてあるが、この油路50は、収縮する高圧の作動油室から洩れるオイルでベアリング7とオイルシール19との間に籠った圧力オイルを拡張する低圧側の作動油室に逃がすためのものである。
【0037】
かくして、外部振動体に発生した振動は、直接およびリンク等の連結機構を通してロータリダンパ1のハウジング2側における取付部材15とロータ3側におけるロータシャフト9の取付部18との間に伝えられる。
【0038】
そのために、ロータリダンパ1のハウジング2とロータ3は、外部振動体の振動に伴って軸心周りに相対回動運動を起こし、セパレートブロック5,6とベーン25,26との間の作動油室27,29と作動油室28,30を交互に収縮および拡張させる。
【0039】
このとき、収縮する側の作動油室27,29或いは作動油室28,30内の高圧オイルがベーン25,26の先端とケーシング4の内壁面の間の隙間、およびベーン25,26の側面とベアリング7,8の内側面の間の隙間、さらにはベーン体17の外周面とセパレートブロック5,6の先端面の間の隙間を通して拡張する側の作動油室28,30或いは作動油室27,29に押し出され、これら微少の隙間を流れるオイルの流動抵抗で所定の減衰トルクを発生する。
【0040】
一方、収縮する側の作動油室27,29或いは作動油室28,30内の高圧オイルは、ベーン体17の側面とベアリング8の内側面の間の隙間からロータシャフト9とベアリング7の内周面の間の抵抗油路49を通してロータシャフト9内の貯油室23に流出しようとする。
【0041】
しかし、このような作動油室27,29或いは作動油室28,30内の動圧に対しては、ロータシャフト9とベアリング8の間の隙間および抵抗油路49が絞り効果を発揮して高圧をカットしつつ貯油室23へと流入し、それによって、貯油室23が高圧とならないことからエンドキャップ11を薄肉プレス材で構成することが可能になる。
【0042】
さらに、貯油室23に流入したオイルは、ガス室24の圧力によってフリーピストン22が常に貯油室23側へと付勢されているので、抵抗油路49から油路47,48および油路45,46並びに油孔41,42を通り、かつ、絞り油路39,40からまたはチェックバルブ43,44を押し開いて拡張する作動油室28,30或いは作動油室27,29へと供給され、これら作動油室28,30或いは作動油室27,29内にキャビテーションが発生するのを防止する。
【0043】
また、ここにおいて、シールレスタイプのロータリダンパ1における減衰トルクの発生は、ベーン25,26の周囲の各隙間および絞り油路39,40をオイルが流れるときの発生差圧Δpによるものであって、したがって、減衰トルクの計算に当っては、ロータリダンパ1を構成する各部品の寸法に基づくそれぞれの隙間と絞り油路39,40によって生じる発生差圧を求めてやればよく、図4にはそれらの油圧回路図を、また、図5と図6に計算モデルをそれぞれ示す。
【0044】
図4にみられるように、前記したロータリダンパ1の各部における隙間での絞りおよび絞り油路39,40による絞りは互に並列に配置されており、この中の絞り油路39,40による絞りが同一回動方向へと向けて開き動作するチェックバルブ43,44と共同してロータリダンパ1の所定の回動方向への発生減衰トルクに差を与える絞りとなる。
【0045】
ここで、差圧Δpのときにベーン25,26の周囲の各部隙間であるそれぞれの絞りを通して流れるオイル流量Q1,Q21,Q22,Q3,Q4は平行隙間流れの式を用いて計算でき、また、一方向への回動に際して収縮する作動油室28,30からそれぞれの絞り油路39,40を通してチェックバルブ43,44を押し開きつつ流れるオイル流量Q5は環状隙間流れの式を適用して計算可能である。
【0046】
すなわち、これらのオイル流量Q1,Q21,Q22,Q3,Q4,Q5は以下に示す
【0047】
【数1】
Figure 0003662109
の▲1▼式から▲6▼式の各式で各部のオイル流量が与えられる。
【0048】
ただし、上記のオイル流量Q5を求める式は、ピン部材37,38に対して小径部35,36を同芯状に形成した場合の式であって、これら小径部35,36をピン部材37,38に対し偏芯して形成した場合のオイル流量Q5を求める式は、上式を変更して
【0049】
【数2】
Figure 0003662109
で与えられる。
【0050】
しかも、この実施の形態のように小径部35,36を最大に偏芯して設けた場合には、「ε=1」となってオイル流量Q5を求める式は、
【0051】
【数3】
Figure 0003662109
となり、同芯状にした場合の二倍半のオイル流量Q5を得ることができる。
【0052】
ここにおいて、オイル流量Q1,Q21,Q22,Q3,Q4およびQ5の関係は、ベーンの枚数をnとすると、下記▲7▼式の
【0053】
【数4】
Figure 0003662109
で表わされ、特に、チェックバルブ43,44が閉じる方向に向ってハウジング2とロータ3が相対的に回動する場合の減衰トルク発生時には「Q5=0」となる。
【0054】
一方、上記▲7▼式での合計オイル流量Qは、ハウジング2とロータ3の相対回動運動に伴うオイルの排除体積よっても求めることができ、ワンストローク当りである「θrad」当りの排除体積Dは、
【0055】
【数5】
Figure 0003662109
の式で表わされる。
【0056】
したがって、合計のオイル流量Qとワンストローク当りの排除堆積Dとの関係は、
【0057】
【数6】
Figure 0003662109
の▲8▼式となり、「dθ/dt=ω」からオイル流量Qは、ロータリダンパ1の形状諸元と入力角速度によって求めることができる。
【0058】
それに対して、発生減衰トルクTは
【0059】
【数7】
Figure 0003662109
で表わされることから、ここで、上記▲7▼式と▲8▼式が等しいときの差圧Δpを求めて上記した発生減衰トルクTの式に代入することにより減衰トルクを求めることができる。
【0060】
しかも、先に述べた差圧Δpのときのベーン25,26の周囲の各部隙間であるそれぞれの絞りを通して流れるオイル流量と絞り油路39,40による絞りを通して流れるオイル流量を求める▲1▼式から▲6▼式によって分かるように、計算された差圧Δpは入力角速度ωに対して図7の減衰トルク特性図のように線形となるために、減衰トルクTも入力角速度ωに対して線形のリニアな特性となる。
【0061】
それに対して、錐穴によるオリフィスを用いた従来のロータリダンパにあっては、オリフィス径をd,オイル密度をρ,流量係数をcとすると、当該オリフィスを通して流れるオイル流量Q51は
【0062】
【数8】
Figure 0003662109
となり、当該オリフィスを通して流れるオイルによって発生する差圧Δpはオイル流量Q5の二乗に比例する特性となる。
【0063】
よって、発生減衰トルクが入力角速度ωの二乗に比例する特性となり、入力角速度ωが大きくなるのに連れてベーンの周囲の各部隙間であるそれぞれの絞りへと分流するオイル流量Q1,Q21,Q22,Q3,Q4が増加していき、結果として、オリフィスを通るオイル流量が少なくなることから入力角速度に対する減衰トルク特性が図8に示すようになり、高速度域での回動方向に応じた減衰トルクに差が得られないことになる。
【0064】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明によれば、ベーンに対して交互に拡張および収縮を繰り返す両作動油室を相互に連通する連通孔を穿ち、当該連通孔に小径部を備えるピン部材を挿通して連通孔の側壁と小径部の外側面との間に減衰トルク差設定用の絞り油路を形成し、この絞り油路を一方ではチェックバルブを通して拡張側の作動油室に、また他方では、抵抗油路を通してロータシャフトの内部に設けた貯油室へと連通したことにより、絞り油路によって発生する減衰トルクは、オリフィスによる二乗特性ではなく発生差圧に対して一次的に比例するリニアな特性となり、したがって、ロータリダンパの低速度域から高速度域に亙る回動方向に応じて一定した大きな減衰トルク差が得られることになって、外部振動に対し一層優れた減衰特性を発揮しつつ振動吸収を行うことが可能になる。
【0065】
しかも、これに加えて、低速度域から確りとした一次比例の減衰トルクを発生させることができることになるので、減衰トルクの不足によるフワフワ感を除去しつつ車両としての操縦安定性を良好に保つことが可能になる。
【0066】
また、構造上からも、減衰トルク差を充分にとるためにベーンに対して加工長さの長い小径の錐穴を穿つ必要もなく、ベーンに対して連通孔を穿つと共に当該連通孔に対し小径部をもつピン部材を挿通してやればよいことことから、回動方向に応じて減衰トルク差を与えるための絞り油路作成時の精度管理の低減および加工時間の短縮を図ることも可能になるのである。
【0067】
同じく請求項1の発明によれば、ベーンに穿った連通孔へと挿通したピン部材の小径部を当該ピン部材に対して偏心して設けているから、ピン部材に対して同心状態を保って小径部を設けた場合よりも発生差圧に対するオイル流量を二倍半とすることができ、小さなスペースの下でより大きな減衰トルク差を与え得ることから、これら減衰トルク差の設定の自由度を容易に広げることが可能になるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるシールレスタイプのロータリダンパの一実施の形態を示すもので、図2のA−A線に沿って切断した展開縦断正面図である。
【図2】同上、ハウジングとロータの関係を示す縦断側面図である。
【図3】ロータにおける一方のベーンの部分を拡大して示す縦断側面図である。
【図4】シールレスタイプのロータリダンパを構成する各部品の寸法による隙間を流れるオイル流量を示す油圧回路図である。
【図5】同上の各隙間を流れるオイル流量を求めるための計算モデルを示す正面図である。
【図6】同じく、各隙間を流れるオイル流量を求めるための計算モデルを示す側面図である。
【図7】この発明によるロータリダンパの入力角速度に対する発生減衰トルクの関係を示す減衰トルク特性図である。
【図8】従来におけるロータリダンパの入力角速度に対する発生減衰トルクの関係を示す減衰トルク特性図である。
【符号の説明】
1 ロータリダンパ
2 ハウジング
3 ロータ
4 ケーシング
5,6 セパレートブロック
7,8 ベアリング
9 ロータシャフト
22 フリーピストン
23 貯油室
24 ガス室
25,26 ベーン
27,28,29,30 作動油室
33,34 連通孔
35,36 小径部
37,38 ピン部材
39,40 絞り油路
43,44 チェックバルブ
49 抵抗油路

Claims (1)

  1. 相対回動運動を行うベーンによってセパレートブロックを有するケーシングの内部を交互に拡張および収縮を繰り返す作動油室に区画し、かつ、ベーンに対して交互に拡張および収縮を繰り返す両作動油室を相互に連通する連通孔を穿つと共に、当該連通孔に小径部を偏心して設けたピン部材を挿通して上記連通孔の側壁と上記小径部の外側面との間に絞り油路を形成し、当該絞り油路を一方では抵抗油路を通して常にロータシャフトの内部に設けた貯油室に連通し、また他方では上記連通孔に絞り油路と直列に設けたチェックバルブを介して上記作動油室に連通させ、当該絞り油路を減衰トルク差設定用の絞り油路として構成したことを特徴とするロータリダンパ。
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