JPH10220511A - ロータリダンパ - Google Patents

ロータリダンパ

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JPH10220511A
JPH10220511A JP3980697A JP3980697A JPH10220511A JP H10220511 A JPH10220511 A JP H10220511A JP 3980697 A JP3980697 A JP 3980697A JP 3980697 A JP3980697 A JP 3980697A JP H10220511 A JPH10220511 A JP H10220511A
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JP
Japan
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rotary damper
rotor shaft
vane body
meshing teeth
teeth
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Pending
Application number
JP3980697A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuyo Horiba
千誉 堀場
Mitsuhiro Tabata
充広 田畑
Takayoshi Onodera
孝義 小野寺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
KYB Corp
Original Assignee
Kayaba Industry Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロータリダンパの重量とコストのアップをも
たらすことなく、過大入力での破損時に付近のものに何
等の影響をも与えないようにする。 【解決手段】 ロータシャフト16とベーン体18を結
合するセレーション17の有効噛み合い歯数Zを、Z=
M×k/{τ×b×(p−t)×d}(但し、M:繰返
疲労試験による噛み合い歯の動的破壊強度,k:繰返疲
労試験を考慮した安全率,τ:剪断強さが小さい方の剪
断強度,b:噛み合い長さ,p:噛み合い歯のピッチ,
t:剪断強度が大きい方の噛み合い歯の歯厚,d:噛み
合い歯の基準ピッチ円直径)の式に基いて設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、回動運動を利用
して外部振動を減衰する油圧式のロータリダンパに関
し、さらに詳しくは、自動車やオートバイまたは産業車
両や特殊車両等の車体振動、或いは、その他の機器また
は装置の外部振動を減衰するロータリダンパの安全対策
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ロータリダンパは、内壁面にセ
パレートブロックをもつケーシングとセレーション等の
キー形結合でロータシャフトに結合したベーン体とで交
互に収縮および拡張を繰り返す二組の作動油室を区画
し、これら二組の作動油室間を行き来する作動油に流動
抵抗を与えて減衰力を発生するようにしている。
【0003】しかも、上記作動油に対する流動抵抗付与
手段として、ケーシングとベーン体間の摺接隙間を利用
して流動抵抗を与えつつ減衰力を発生するシールレスタ
イプのもの、或いは、二組の作動油室を相互に連通する
連絡油路中に減衰バルブを配置して減衰力を発生する密
封タイプのものなど各種の形式のものがある。
【0004】しかし、これら何れの形式のロータリダン
パにあっても、直線的な外部振動をケーシングとロータ
シャフト間に回動振動として伝えて減衰作用を行うこと
になるので、少なくとも、これらケーシングとロータシ
ャフトの一方は、リンク等の連結機構を介して外部振動
体即ち車両であれば車輪側または車体側に連結せざるを
得ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そのために、ロータリ
ダンパに対して設計時に設定した値以上の過大な入力が
加わった場合(車両であれば高速で大きな突起を乗り越
えたような場合)に、当該過大入力によってロータリダ
ンパ自体またはリンク等の連結機構部分を破損させる恐
れがある。
【0006】このような不都合を防止するためには、過
大入力に対してロータリダンパや連結機構部分が破損し
ないように強度設定してやればよいが、しかし、過大入
力をどこまで見込むかという設計条件の設定が非常に困
難である。
【0007】そこで、極めて発生頻度が少ないにも拘ら
ず過大入力を大きく見込んでロータリダンパと連結機構
の強度設計をせざるを得ず、その結果、ロータリダンパ
と連結機構の重量が不必要に嵩むと共に、製造コストも
大幅なアップになるという問題点を有していた。
【0008】したがって、この発明の目的は、ロータリ
ダンパの所定部分における破壊強度を必要最小限に設定
して、重量とコストのアップをもたらすことなく、か
つ、過大入力によって何等の影響をも受けることのない
ロータリダンパを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した目的は、この発
明において、ロータシャフトとベーン体をキー形結合に
よって一体的に結合する際に、両者間のキー形結合の有
効噛み合い歯数Zを、 Z=M×k/{τ×b×(p−t)×d} 但し M:噛み合い歯の動的な破壊強度 k:安全率 τ:噛み合い歯の剪断強度 b:噛み合い長さ p:噛み合い歯のピッチ t:噛み合い歯の歯厚 d:噛み合い歯の基準ピッチ円直径 の式に基いて設定することにより達成される。
【0010】何となれば、上記のようにしてロータシャ
フトとベーン体の有効噛み合い歯数を設定してやること
により、当該噛み合い部分の破壊強度がロータリダンパ
におけるその他の部分および連結機構の破壊強度に比べ
て低くなる。
【0011】その結果、過大入力の負荷時において、ロ
ータシャフトとベーン体の結合部分である噛み合い歯が
ロータリダンパにおけるその他の部分および連結機構の
破壊発生に先立って剪断されることになり、ベーン体に
対してロータシャフトが空回りすることになってロータ
リダンパの他の部分および連結機構が破損に至るのを未
然に防止することになるからである。
【0012】しかも、これによって、ロータシャフトと
ベーン体の結合部分の破壊強度を基準にしてロータリダ
ンパにおけるその他の部分および連結機構の強度を設計
すればよいことになるので、ロータリダンパと連結機構
の重量とコストのアップをも低く抑えることが可能にな
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、添付した図面に基いてこの
発明の実施の形態を説明するに当り、ここでは、図1お
よび図2に示すシールレスタイプのロータリダンパ1に
適用した場合について述べる。
【0014】ロータリダンパ1は、外郭部分を形成する
ハウジング2と、当該ハウジング2の軸線に沿って回動
自在に支架したロータ3の二つの主要部分とで構成され
ている。
【0015】ハウジング2は、耐圧強度をもつ円筒状の
ケーシング4を用いてその内周面に180度の位相差を
もつ二つのセパレートブロック5,6(勿論、一つ或い
は三つ以上であってもよい)を形成し、このケーシング
4の両端面に同じく耐圧強度をもつ肉厚のベアリング
7,8を宛てがって左右から挟み込み、これらをパッキ
ンケース9とエンドキャップ10で覆って構成してあ
る。
【0016】この場合において、ケーシング4とベアリ
ング7,8との間には、予めスペースの大きいセパレー
トブロック5,6の部分を利用して各二本づつの位置決
めピン11,12を挿通しておき、これら位置決めピン
11,12でケーシング4とベアリング7,8の同芯を
確保しつつ回転方向へのずれをも規制している。
【0017】そして、ベアリング7の背面外周にシール
13を介装してケーシング4とエンドキャップ10と共
にパッキンケース9の開口端から内部に納め、かつ、開
口端を加締めることによりシール13でベアリング7と
パッキンケース9およびエンドキャップ10との間を油
密状態に保つ。
【0018】また、ケーシング4とパッキンケース9
は、必要とする減衰トルクが低い場合には圧入やロール
加締め等の固定手段により、また、必要減衰トルクが圧
入荷重よりも高い場合にはレーザー溶接やプラグ溶接等
の溶着手段により固着してハウジング2の全体を一体化
してある。
【0019】しかも、パッキンケース9の外側壁には、
ナット体等で構成した外部連結用の取付部材15をプロ
ジェクション溶接等の手段によって固着し、これら取付
部材15を利用してハウジング2側を外部振動体の一方
即ち車両であれば車体側に対して直接或いはリンク等を
介して結合するようにしてある。
【0020】一方、ロータ3は、ハウジング2側のベア
リング7,8によって回動自在に両持ち支持したロータ
シャフト16と、これらベアリング7,8の内壁面に摺
接してロータシャフト16にキー形結合であるセレーシ
ョン17を用いて一体的に結合したベーン体18とで構
成してある。
【0021】これにより、ハウジング2とロータ3は、
ベアリング7,8の軸受機能でロータシャフト16を回
動自在に支持しつつ、かつ、ハウジング2とロータ3と
の間に加わるスラスト力をも当該ベアリング7,8のス
ラスト受機能で抑えて両者間の相対回動運動を確保す
る。
【0022】上記ロータシャフト16の一端は、パッキ
ンケース9の側壁を貫通して外部に延び、この外部へと
突出した部分を取付部19として外部振動体の他方即ち
車両であれば車輪側に対し直接或いはリンク等を介して
結合すると共に、当該突出部をパッキンケース9に設け
たオイルシール20で油密状態に保っている。
【0023】また、ロータシャフト16の他端は、エン
ドキャップ10の内部と対向する部分で終わっており、
かつ、ロータシャフト16の内部には、エンドキャップ
10の内部に連通して軸線方向に沿う有底の中空孔21
を設けてある。
【0024】この中空孔21の内部には、外周面にシー
ル22を有するフリーピストン23を移動可能に収装
し、このフリーピストン23によって中空孔21の内部
をエンドキャップ10の内部に連通する貯油室24と、
当該貯油室24の作動油圧力に応じて圧縮および膨張す
るガス室25とに区画している。
【0025】それに対して、セレーション17でロータ
シャフト16へと結合したベーン体18は、上記ハウジ
ング2側におけるケーシング4のセパレートブロック
5,6と同数で同位相のベーン26,27を外周面に設
けて構成してある。
【0026】ベーン体18の外周面は、ケーシング4側
におけるセパレートブロック5,6の先端面と摺接する
と共に、ベーン26,27の先端面はケーシング4の内
壁面と摺接し、これらセパレートブロック5,6とベー
ン26,27とによってロータリダンパ1の内部をハウ
ジング2とロータ3との相対回動運動に伴って交互に収
縮と拡張を繰り返す作動油室28,29と作動油室3
0,31とに区画している。
【0027】しかも、これと併せて、ベアリング7,8
の内壁面には僅かな段差を設け、前述したハウジング2
とロータ3間のスラスト力でベーン26,27がベアリ
ング7,8へと強く押し付けられることがないように、
当該段差でベーン26,27との間に極微小のクリアラ
ンス32,33を設けてある。
【0028】また、ベーン26,27には、作動油室2
8,29,30,31側へと向って開くカートリッジ形
のチェックバルブ34,35,36,37をそれぞれ圧
入して固定し、かつ、チェックバルブ35,37と並列
に配置してロータリダンパ1の回動方向に応じた発生減
衰力に所定の差を与えるための減衰力比設定用のオリフ
ィス(以下、回動方向による減衰力比設定用のオリフィ
スという)38,39を設けてある。
【0029】そして、チェックバルブ34,35,3
6,37とオリフィス38,39の内方端を、ベーン2
6,27の内部に設けた油路40,41でセレーション
17の噛み合い隙間からベアリング7の軸受面に設けた
油路42を通し、さらに、ここからエンドキャップ10
の内部を通してロータシャフト16内の貯油室24へと
連通したのである。
【0030】なお、ベアリング8の軸受面に対しても同
様の油路43を設けてあるが、この油路43は、収縮す
る高圧の作動油室からの洩れ油でベアリング8とオイル
シール20との間に籠った作動油圧力を拡張する低圧側
の作動油室に逃がすためのものである。
【0031】かくして、外部振動体に発生した振動は、
直接およびリンク等の連結機構を通してロータリダンパ
1のハウジング2側における取付部材15とロータ3側
におけるロータシャフト16の取付部19との間に伝え
られる。
【0032】そのために、ロータリダンパ1のハウジン
グ2とロータ3は、外部振動体の振動に伴って軸心周り
に相対回動運動を起こし、セパレートブロック5,6と
ベーン26,27との間の作動油室28,30と作動油
室29,31を交互に収縮および拡張させる。
【0033】ここで、今、ロータリダンパ1が作動油室
28,30を収縮する方向に回動したとすると、作動油
室28,30が収縮して内部の作動油が高圧となり、反
対側の作動油室29,31は拡張して内部の作動油が低
圧となる。
【0034】その結果、高圧となった作動油室28,3
0内の作動油がベアリング7,8とベーン26,27の
間のクリアランス32,33から、また、これに加え
て、当該ベーン26,27とケーシング4、並びに、セ
パレートブロック5,6とベーン体18およびベアリン
グ7,8との間の各クリアランスから低圧となった拡張
側の作動油室29,30へと向って流れる。
【0035】そして、これらクリアランスの部分を通る
ときの作動油の流動抵抗で減衰力を発生し、この減衰力
がハウジング2の取付部材15とロータシャフト16の
取付部19から直接およびリンク等の連結機構を介して
外部振動体に作用し、当該外部振動体に発生した振動を
減衰する。
【0036】それに対して、ロータリダンパ1が逆に作
動油室29,31を収縮する方向に回動した場合には、
当該作動油室29,31の作動油が高圧となって上記し
た各クリアランスを逆向きに流れつつ拡張する側の作動
油室28,30へと向って流動する。
【0037】しかも、これと併せて、ロータリダンパ1
の回動方向に応じた発生減衰力に所定の差を与えるため
の回動方向による減衰力比設定用のオリフィス38,3
9からもベーン26,27内の油路40,41へと流
れ、チェックバルブ34,36を押し開いて拡張する側
の作動油室28,30へと流す。
【0038】これにより、上記した各クリアランスの部
分を通して流れる作動油流量は、オリフィス38,39
からチェックバルブ34,36を押し開いて流れる作動
油流量分だけ少なくなり、先の場合に比べてこの少なく
なった分だけ低い減衰力を発生して外部振動体の振動を
減衰する。
【0039】また、この場合にロータシャフト16の中
空孔21は、前記したように外周面にシール22を嵌着
したフリーピストン23によって開口端側の貯油室24
と閉塞端側のガス室25とに区画してあり、これら貯油
室24とガス室25とアキュムレータを構成している。
【0040】そして、アキュムレータの貯油室24は、
薄肉であるエンドキャップ18の内部からベアリング7
の軸受面に穿った油路42およびベーン体18とロータ
シャフト16との間の油路44,45を通してベーン2
6,27の内部に設けた油路40,41に連通してい
る。
【0041】しかも、これらベーン26,27内の油路
40,41は、各ベーン26,27に圧入して埋め込ん
だチェックバルブ34,35,36,37を通してそれ
ぞれの作動油室28,29,30,31に連通し、か
つ、チェックバルブ35,37と並列に設けた回動方向
による減衰力比設定用のオリフィス38,39を通して
作動油室29,31にも通じている。
【0042】そのために、ロータリダンパ1内に封入し
た作動油の温度低下や外部漏洩等によって作動油室2
8,29,30,31内の作動油に不足が生じたときに
は、貯油室24内の作動油をエンドキャップ18の内部
から油路42,44,45と油路40,41からなる上
記経路を通してチェックバルブ34,35,36,37
を開きつつ各作動油室28,29,30,31に吸い込
み、当該作動油の不足分をアキュムレータによって補充
する。
【0043】それに対して、逆に、作動油温度の上昇で
作動油室28,29,30,31内の作動油が過剰にな
った場合には、作動油室29,31内の作動油を減衰力
比設定用のオリフィス38,39から上記した経路を反
対向きに通して貯油室24に押し出し、過剰となった分
の作動油をアキュムレータへと排除することによってロ
ータリダンパ1としての減衰作用を補償する。
【0044】一方、外部からロータリダンパ1に対して
設定値以上の過大入力が加わった場合には、当該過大入
力によってロータリダンパ1自体或いはリンク等の連結
機構を破損させる恐れがある。
【0045】このような不都合を防止するためには、過
大入力に対してそれらの部分が破損しないように強度設
定してやればよいが、しかし、過大入力をどこまで見込
むかという設計条件の設定は非常に困難である。
【0046】その結果、極めて発生頻度が少ないにも拘
らず過大入力を大きく見込んでそれらの部分の強度設計
をせざるを得ず、連結機構を含むロータリダンパ1全体
の重量が不必要に嵩むばかりか製造コストも大幅なアッ
プになる。
【0047】そこで、別の面から、作動油室28,2
9,30,31にリリーフバルブを設けて過大入力を吸
収してしまうことも考えられるが、これとても、部品点
数の増加をもたらしてコストアップにつながるばかり
か、リリーフバルブの取付スペースを確保する上でロー
タリダンパ1の大型化をもたらすことになる。
【0048】上記のことから、これまで述べてきた実施
の形態にあっては、たとえ破損したとしても単にロータ
リダンパ1が空回りを起こすだけで、外部に対し何等の
影響をも与えることがないロータシャフト16とベーン
体18間の結合部分であるセレーション17の破壊強度
を必要最小限に設定し、この点を用いて当該発明の重要
なポイントである安全対策機構を構成している。
【0049】すなわち、キー形の結合であるロータシャ
フト16とベーン体18間のセレーション17のうち、
材質的に剪断強さが小さい方の噛み合い歯の破壊強度F
は、 F=τ×b×(p−t)×Z…… 但し τ:剪断強さが小さい方の剪断強度 b:噛み合い長さ p:噛み合い歯のピッチ t:剪断強度が大きい方の噛み合い歯の歯厚 Z:有効噛み合い歯数 の上記式で求めることができる。
【0050】しかし、上記の式で求められる噛み合い
歯の破壊強度Fは静的な破壊強度であって、ロータリダ
ンパ1に対しては、実際問題として動的な繰返荷重とし
ての最大トルクが加わり、この最大トルクによって噛み
合い歯の動的な破壊強度Mが決まる。
【0051】しかも、これら静的な破壊強度Fと動的な
破壊強度Mとの間には、セレーション17の基準ピッチ
円直径をdとし、かつ、繰返疲労を考慮した安全率をk
とすると、「F×d=M×k」の関係から、 F=M×k/d…… の関係式が成り立つ。
【0052】したがって、上記式と式からセレーシ
ョン17の有効噛み合い歯数Zを、 Z=M×k/{τ×b×(p−t)×d}…… の式で求め、かつ、ロータリダンパ1のその他の構成
部分とリンク等の連結機構部分の動的な破壊強度mを
「m>M」にとって最大トルクに耐え得るように設定し
てやる。
【0053】このようにしてやれば、セレーション17
の噛み合い歯の動的な破壊強度Mがロータリダンパ1の
その他の部分および連結機構の動的な破壊強度mに比べ
て低くなり、ロータリダンパ1への過大入力の負荷時に
ロータシャフト16とベーン体18の結合部分であるセ
レーション17の噛み合い歯が真っ先に破壊されてこの
部分で空回りを始める。
【0054】これにより、ロータシャフト16とベーン
体18の空回りが安全機構として作用し、ロータリダン
パ1のその他の部分やリンク等の連結機構が過大入力で
破損に至るのを未然に防止することになる。
【0055】しかも、上記ロータリダンパ1のその他の
部分やリンク等の連結機構は、ロータシャフト16とベ
ーン体18の結合部分であるセレーション17の噛み合
い歯の動的な破壊強度Mを基準にして設計すればよいの
で、ロータリダンパ1とリンク等の連結機構とからなる
全体の重量とコストのアップをも低く抑えることが可能
になる。
【0056】なお、図1および図2に示す実施の形態に
あっては、セレーション17の有効噛み合い歯数を設定
する当り、ベーン26,27の基端部分と対向するベー
ン体18側のセレーション17の歯を所定の幅に亙りロ
ータシャフト16側のセレーション歯の歯先よりも深く
抉って部分的に欠歯し、これら欠歯部分によりセレーシ
ョン17の噛み合い隙間に加えて軸線方向に沿う油路4
4,45を構成すると共に、残りの部分のセレーション
17の歯を有効噛み合い歯としている。
【0057】このように、ベーン体18側のセレーショ
ン17の歯の一部を欠歯して残りの歯で有効噛み合い歯
数を設定したのは、一般にロータリダンパ1にあって
は、温度変化に対応してケーシング4とベーン26,2
7間のクリアランスによる発生減衰力をほぼ一定に自動
調整できるように、鉄系の材料からなるケーシング4に
対してベーン体18を熱膨張係数の大きいアルミ合金で
構成し、両者の熱膨張係数の差を利用して上記クリアラ
ンスを自動調整するようにしている。
【0058】そのために、ベーン体18の方が燒結成形
や押し出しまたは引き抜き成形等により、予め欠歯部分
を金型に設けておくだけで容易にかつ安価につくること
ができるからである。
【0059】しかし、必ずしも上記の欠歯部分は、ベー
ン体18側に対して設けてやる必要はなく、ロータシャ
フト16側におけるセレーション17の歯を欠歯して構
成してもよく、要するに、有効噛み合い歯数Zを満たす
ように結合されていれば足りることである。
【0060】ただし、ロータシャフト16とベーン体1
8の剪断強さに殆ど差がない場合には、ロータシャフト
16とベーン体18のそれぞれのセレーション17の歯
を共に欠歯して、何れの側の歯が剪断されてもロータシ
ャフト16とベーン体18が空回りするようにしてやる
ことが必要である。
【0061】さらに、先に述べた式によって求めた有
効噛み合い歯数Zが欠歯なしの場合のセレーション17
の諸元と一致するときには、上記とは逆にどちらの側を
も欠歯してやる必要がないことは言うまでもない。
【0062】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、ロータシャフトとベーン体をキー形結合で一体的に
結合する際に、当該結合部の破壊強度がその他の部分の
破壊強度よりも低くなるように有効噛み合い歯数を設定
して結合して、当該キー形結合の部分を安全機構として
も利用するようにしたことにより、ロータリダンパへの
過大入力時にロータシャフトとベーン体の結合部分がそ
の他の部分に先立って破壊し、ロータシャフトとベーン
体の結合部を空回りさせてその他の部分が破損に至るの
を防止することで、作動油洩れや外部に対して種々の弊
害をもたらすのを未然に防止することができる。
【0063】しかも、これに加えて、ロータシャフトと
ベーン体の結合部分の破壊強度を基準にしてその他の部
分の強度を設計すればよく、特に、ロータリダンパに対
して安全機構を別に設けてやる必要がないのでロータリ
ダンパの重量とコストのアップをも低く抑えることが可
能になる。
【0064】また、請求項2の発明によれば、キー形結
合の有効噛み合い歯数を設定するに当り、ロータシャフ
トとベーン体の対向する一部の歯を欠歯するという簡単
な手段を用いて上記請求項1と同等の効果をもたせるこ
とができる。
【0065】さらに、請求項3の発明によれば、キー形
結合の有効噛み合い歯数を設定する際に、ロータシャフ
トとベーン体の何れか一方の歯の一部を欠歯するという
より簡単な手段を用いるだけで上記請求項1と同等の効
果を発揮させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるロータリダンパの実施の形態を
示すもので、図2のA−A線に沿って切断した展開縦断
正面図である。
【図2】同上、ハウジングとロータの関係を示す縦断側
面図である。
【符号の説明】
1 ロータリダンパ 2 ハウジング 3 ロータ 4 ケーシング 5,6 セパレートブロック 7,8 ベアリング 15 ケーシング側の外部取付部材 16 ロータシャフト 17 キー形結合であるセレーション 18 ベーン体 19 ロータシャフトの外部取付部 26,27 ベーン 28,29,30,31 作動油室 32,33 クリアランス 34,35,36,37 カートリッジ形のチェックバ
ルブ 38,39 回動方向による減衰力比設定用のオリフィ
ス 40,41,42,43,44,45 油路
フロントページの続き (72)発明者 田畑 充広 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 小野寺 孝義 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロータシャフトとベーン体をキー形結合
    によって一体的に結合する際に、当該キー形結合の有効
    噛み合い歯数Zを、 Z=M×k/{τ×b×(p−t)×d} 但し M:噛み合い歯の動的な破壊強度 k:安全率 τ:噛み合い歯の剪断強度 b:噛み合い長さ p:噛み合い歯のピッチ t:噛み合い歯の歯厚 d:噛み合い歯の基準ピッチ円直径 の式に基いて設定したことを特徴とするロータリダン
    パ。
  2. 【請求項2】 ロータシャフトとベーン体の噛み合い歯
    のうち互に対向する一部の噛み合い歯を欠歯して、残り
    の部分で有効噛み合い歯数Zを設定した請求項1のロー
    タリダンパ。
  3. 【請求項3】 ロータシャフトとベーン体のうち剪断強
    さが小さい方の噛み合い歯の一部を欠歯して、残りの部
    分で有効噛み合い歯数Zを設定した請求項1のロータリ
    ダンパ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022143309A (ja) * 2021-03-17 2022-10-03 株式会社ソミックマネージメントホールディングス ロータリーダンパ及びペダル装置

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