JP3662077B2 - 熱開閉器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気回路に侵入する高電圧サージから電気機器を保護するサージ防護素子等の電気部品を内蔵し、その電気部品が過電流によって異常過熱したときには、該電気部品をその電気回路から切り離すための熱開閉器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、このような熱開閉器に関する技術としては、例えば次のような文献に記載されるものがある。
文献1:実開昭63−7937号公報
文献2:実開平3−130186号公報
図2は、前記文献1に記載された従来のサージ防護素子を内蔵した熱開閉器の概略の回路図である。
この熱開閉器は、電気回路を構成する電線路1,2に接続された電気機器である被保護機器3を、サージ防護素子10によって高電圧サージ等から保護するとともに、該サージ防護素子が異常過熱したときには、それを電気回路から切り離す機能を有している。サージ防護素子10の構成は、3極のガス入り放電管(以下、ガスアレスタという)11を中心にして両側にバリスタ12,13が直列に接続され、これら全体に絶縁被覆が施されている。ガスアレスタ11からアース端子11aが引き出され、更にバリスタ12,13から電極部12a,13aが突設されている。このサージ防護素子10に過電流が流れ続けると、該サージ防護素子が発熱して熱破壊に至る。この熱破壊を防止するため、電極部12a,13aと電線路1,2との間に、開閉回路20,30がそれぞれ接続されている。
図3(a),(b)は、図2の要部であるサージ防護素子10及び開閉回路20,30の構造図であり、同図(a)は縦断面図、及び同図(b)は分解斜視図である。
【0003】
絶縁被覆されたサージ防護素子10は、内部のガスアレスタ11から板状のアース端子11aが引き出され、更に内部のバリスタ12,13から丸棒状の電極部12a,13aが突設されている。このサージ防護素子10を電線路1,2から切り離すための開閉回路20,30は、ばね性を有する板状の導電金属片21,31で構成されている。導電金属片21,31は、ケース等に取付けられて電線路1,2に接続される端子部21a,31aと、該端子部21a,31aから延設され上方向に付勢する作動ばね部21b,31bと、該作動ばね部21b,31bの先端に形成された円弧状の先端部21c,31cとで、構成されている。
導電金属片21,31の先端部21c,31cは、下の電極部12a,13aの方向へ押圧された状態で、半田32を用いたマニアル的な半田付け作業によって該電極部12a,13aに接合されている。導電金属片21,31の先端部21c,31c上には、該先端部21c,31cの上方向のばね力によって上方向に移動する絶縁性の表示片23,33が設けられている。この表示片23,33は、導電金属片21,31の先端部21c,31cと電極部12a,13aとの接合状態が解除されたことを外部に表示するためのものである。
【0004】
次に、図2及び図3の動作を説明する。
開閉回路20,30を構成する導電金属片21,31の先端部21c,31cは、常時、半田32によってサージ防護素子10の電極部12a,13aに接合されている。そのため、サージ防護素子10は、電極部12a,13a及び開閉回路20,30を介して電線路1,2に接続されている。この状態で、例えば、雷等の高電圧サージが比較的短時間だけ電線路1,2に侵入した時には、開閉回路20,30を介してサージ防護素子10が動作し、侵入した高電圧サージによる過電流がアース端子11aを通して大地に逃がされる。これにより、電線路1,2に接続された被保護機器3が高電圧サージから保護される。
このように高電圧サージが比較的短時間だけ侵入する場合には、サージ防護素子10が動作して被保護機器3が保護される。しかも、短時間の雷サージ等の侵入の場合、サージ防護素子10が過熱されず、安全に高電圧サージを処理することができる。しかし、比較的長時間、高電圧サージが侵入し続けると、サージ防護素子10が電流容量的に過負荷状態となり、さらに進行すると、サージ防護素子10の熱破壊を生じる。そこで、これを防止するため、開閉回路20,30がサージ防護素子10と電線路1,2とを遮断することになる。即ち、高電圧サージの侵入が比較的長時間にわたる場合、この高電圧サージの過電流によってサージ防護素子10が発熱する。この熱は、サージ防護素子10から突出する電極部12a,13aへ導かれ、半田32が溶融する。半田32が溶融すると、導電金属片21,31の先端部21c,31cが、図3(a)の破線で示すように、ばね力で電極部12a,13aから上方向に開放されてスイッチの20,30がオフ状態となり、サージ防護素子10が電線路1,2から切り離される。これにより、サージ防護素子10の異常過熱や焼損等を防止することができる。電極部12a,13aが上方向に開放されると、表示片23,33が導電金属片21,31の先端部21c,31cによって上方向に押上げられ、開閉回路20,30がオフ状態に遷移したことが、目視可能に外部に表示される。
【0005】
ところが、このサージ保護装置では、電極部12a,13aと導電金属片21,31の先端部21c,31cとを、マニアル的な半田付け作業によって接合しているので、半田付け作業に手数を要する等の不具合がある。そこで、前記文献2のような技術が提案されている。
図4(a),(b)は、前記文献2に記載された従来の他の熱開閉器における要部の構造図であり、同図(a)は縦断面図、及び同図(b)は分解斜視図であり、図2及び図3中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。なお、図4(a)中の破線部分は、動作状態を示している。
図3の熱開閉器では、導電金属片21,31の先端部21c,31cと電極部12a,13aとを、半田32によってマニアル的に接合している。これに対し、この図4の熱開閉器では、板状の導電金属片21,31の先端部に取付け孔21d,31dを形成し、この取付け孔21d,31dに、予め所定の形状に形成した半田成形部材24,34を挿着するようになっている。即ち、半田形成部材24,34には、嵌合孔24a,34aが形成され、この嵌合孔24a,34aに丸棒状の電極部12a,13aを嵌入することにより、導電金属片21,31の先端部と電極部12a,13aとを接合するようになっている。 このように、半田成形部材24,34を用いて導電金属片21,31の先端部と電極部12a,13aとを接合する構造にすれば、図3のようなマニアル的な半田付け作業を省略でき、該導電金属片21,31の先端部と電極部12a,13aとの接合作業が簡単になるという効果がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の熱開閉器では、次の(1)〜(5)のような問題があり、これを解決することが困難であった。
(1) 図3の熱開閉器では、開閉回路20,30として重要な導電金属片21,31の先端部21c,31cと電極部12a,13aとの開閉部分が、半田32を用いたマニアル的な半田付けのため、この半田32の付け具合や量にばらつきが生じ、品質的に信頼性に欠け、開放動作におけるスムーズな開放や安定性に不都合が生じる。
(2) 図4の熱開閉器では、図3のマニアル的な半田付け処理に代えて、半田成形部材24,34を用いて成形部品化しているので、図3のような半田付け作業に伴う半田量のばらつきや作業の質のばらつきがなくなる。しかし、半田成形部材24,34の嵌合孔24a,34aに電極部12a,13aを嵌入し、該半田成形部材24,34を導電金属片21,31の先端部で上方向に付勢しているので、該半田成形部材24,34の嵌合孔24a,34a付近にばね圧が集中する。そのため、熱ストレスが繰り返し加わると、嵌合孔24a,34a付近が伸び、最後には、その箇所が切断して電極部12a,13aから開放してしまうという欠点がある。
【0007】
(3) 図3及び図4の熱開閉器では、導電金属片21,31の作動ばね部21b,31bの有するばね力を利用して、サージ防護素子10と電線路1,2の間を遮断する構成である。そのため、作動ばね部21b,31bを有する導電金属片21,31に所定のばね力を持たせようとすると、この導電金属片21,31を長くしなければならず、これによって熱開閉器全体が大型化するという欠点もある。
(4) 図3及び図4における導電金属片21,31は、サージ防護素子10に電流を流すと共に、サージの作動ばね部21b,31bの有するばね力を利用して、サージ防護素子10と電線路1,2との間を遮断する構成である。即ち、導電金属片21,31は、電流路としての機能とばねとしての機能の両方の機能を満足する必要がある。そのため、導電金属片21,31の材料の選定や構造決定に一定の制約が加わり、これが低コスト化の妨げになる場合もあった。
【0008】
(5) 図3及び図4の熱開閉器は、各導電金属片21,31の先端部21c,31cで表示片23,33を上方向に押上げて、サージ防護素子10と電線路1,2が遮断された状態を表示する。ところが、各先端部21c,31cの動きは円弧を描くので、厳密には表示片23,33の移動方向と該導電金属片21,31の先端部21c,31cの移動方向が異なる。表示片23,33のスムーズな移動動作とその必要移動距離を確保するためには、該各表示片23,33の所望移動距離に対して導電金属片21,31の長さを十分とる必要がある。これも、熱開閉器の小型化を阻害する要因になっていた。
本発明は、前記従来技術が持っていた課題を解決し、開放動作が確実に行え、信頼性が高く、かつ小型化と低コスト化の容易な熱開閉器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明のうちの請求項1の発明は、熱開閉器において、絶縁基台と、前記絶縁基台に設けられ、側壁に軸受け部を有する絶縁性のケースと、前記絶縁基台に取付けられ、電気回路に接続されて該電気回路から電流を流入する入力端子と、前記ケース内に収容され、前記入力端子を介して前記電気回路からの電流を入力する電気部品と、前記入力端子に導電部材で移動自在に接続された嵌合孔を有し、前記ケースの上方向に移動自在に該ケースに支持された導電性の可動部材と、一端と他端を有し、前記可動部材の移動方向に対してほぼ直交する横方向に沿って移動自在に前記軸受け部に支持されかつ該一端が挿脱自在に前記嵌合孔に嵌入された導電性の作動軸と、第1の弾性体と、第2の弾性体と、前記ケースに収容されて前記作動軸の一端が前記嵌合孔から離脱する際に必要な距離に応じた前記横方向の所定の厚みを有した低溶融体と、前記可動部材に連結された表示手段とを、備えている。
【0010】
前記第1の弾性体は、前記嵌合孔が前記作動軸の一端から遠ざかるように、前記可動部材を前記ケースの上方向に付勢するものである。前記第2の弾性体は、前記作動軸が前記嵌合孔から離脱するように、該作動軸を前記ケースの内側横方向に付勢するものである。前記低溶融体は、前記電気部品と前記作動軸の他端との間に介在し、該作動軸の他端で押圧されて該電気部品に面接触し、該電気部品からの伝導熱を吸収して該電気部品の許容過熱温度に応じた温度で溶融するものである。表示手段は、前記可動部材と共に移動して前記嵌合孔からの前記作動軸の離脱状態を表示するものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明の熱開閉器に、表示用孔を有し、かつ少なくとも前記ケースの上方を覆うカバーを設けている。そして、前記表示手段は、前記表示用孔から突出可能な表示用突起を有する構成にしている。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1の発明の熱開閉器に、警報手段に接続された配線パターンが内側に形成され、かつ少なくとも前記ケースの上方を覆うカバーを設けている。そして、前記表示手段は、前記可動部材と共に移動して前記配線パターンに接触し、前記離脱状態を外部に電気的に伝える短絡片を有する構成にしている。
請求項4の発明は、請求項1〜3の発明における前記ケースの外側面に、前記可動部材を前記移動方向に導く案内部を設けている。
請求項5の発明は、請求項1〜請求項4の発明における前記ケースを、前記作動軸、前記第2の弾性体及び前記低溶融体を収容するケース本体と、該ケース本体と相俟って該作動軸、該第2の弾性体及び該低溶融体を閉止する上蓋とで構成し、前記第1の弾性体は、前記ケースの上蓋と前記可動部材との間に設けられた圧縮ばねで構成している。そして、この請求項5の発明は、前記第2の弾性体を、前記ケースの内側面と前記低溶融体との間に設けられ、前記第1の弾性体のばね圧力以上のばね圧力を有する圧縮ばねで構成している。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1〜5の発明における前記可動部材の嵌合孔と前記作動軸の一端との接触部分には、接触抵抗値を小さくする導電層を形成している。
請求項7の発明は、請求項1〜6の発明における前記低溶融体を、低溶融金属、形状記憶金属又は導電性の形状記憶樹脂のいずれか1つで構成している。
請求項8の発明は、請求項1〜7の発明における前記電気部品を、サージ防護素子で構成している。
本発明によれば、以上のように熱開閉器を構成したので、例えば、雷等の高電圧サージが比較的長時間にわたり印加され、該高電圧サージの過大電流でサージ防護素子等の電気部品が電流容量を越えると、その電気部品が過熱する。電気部品が過熱すると、この電気部品に面接触している低溶融体へ熱が効率よく吸収されて該低溶融体が溶融する。低溶融体が溶融すると、第2の弾性体で押圧された作動軸が内側横方向の電気部品側へ移動する。作動軸が電気部品側へ移動すると、該作動軸の一端が可動部材の嵌合孔から引き抜かれる。すると、第1の弾性体によって可動部材が上方向に沿って作動軸の一端から離れる方向に移動する。このように、作動軸が可動部材の嵌合孔から離脱することにより、この作動軸の他端で押圧された電気部品が電気回路から切り離され、該電気部品におけるさらなる過熱が防止される。作動軸が可動部材の嵌合孔から離脱することによって、可動部材と連結された表示手段がやはり上方向に移動する。これによって、作動軸が可動部材の嵌合孔から離脱して電気回路と電気部品の間が遮断されたことが、表示される。
【0013】
【発明の実施の形態】
図5は、本発明の実施形態を示す熱開閉器の概略の回路図である。
熱開閉器は、電気回路である例えば平行型の電線路L1,L2に接続されて用いられる。電線路L1,L2は、被保護機器40に制御信号等を与えるものである。熱開閉器は内臓する電気部品(例えばサージ防護素子)41,42を動作させ、該電線路L1,L2上を伝搬して被保護機器40に侵入する高電圧サージを吸収すると共に、該サージ防護素子41,42が異常発熱した場合には、それらサージ防護素子41,42を電気回路から切り離すと共に、外部に表示する機能を有している。この機能を実現するため、熱開閉器には、各サージ防護素子41,42が過電流を受けて許容過熱温度以上に過熱されたときに、これらサージ防護素子41,42を電線路L1,L2からそれぞれ切り離す開閉回路43,44と、該各サージ防護素子41,42が電線路L1,L2から切り離されたことを図示しない警報装置にそれぞれ伝える表示手段45,46とが、設けられている。電線路L1とアース端子Eの間に、サージ防護素子41と開閉回路43とが直列に接続され、電線路L2とアース端子Eの間に、サージ防護素子42と開閉回路44とが直列に接続されている。
【0014】
開閉回路43は、電線路L1に接続されたスイッチ43aと、該スイッチ43aの出力側に接続された該低溶融体43bとを備えている。サージ防護素子41は、アース端子Eに一方の電極が接続された2極型ガスアレスタ41aと、該ガスアレスタ41aの他方の電極と開閉回路43中の低溶融体43bの間に接続されたバリスタ41bとを有している。開閉回路44は、電線路L2に接続されたスイッチ44aと、該スイッチ44aの出力側に接続された該低溶融体44bとを備えている。サージ防護素子42は、アース端子Eに一方の電極が接続された2極型ガスアレスタ42aと、該ガスアレスタ42aの他方の電極と開閉回路44中の低溶融体44bの間に接続されたバリスタ42bとを有している。
各低溶融体43b,44bは、予め設定された許容過熱温度に応じた温度で溶融する半田等の材料で形成され、該低溶融体43b,44bが溶融するとスイッチ43a,44aが、回路の遮断動作を行う構成になっている。各表示手段(手例えば、表示器)45,46は、開閉回路43,44中のスイッチ43b,44bと連動し、該スイッチ43a,44aが回路を遮断したときに、出力端子OUT1,OUT2の間をそれぞれ短絡する機能を有している。
【0015】
このような熱開閉器では、例えば、雷等による高電圧サージが、電線路L1,L2に侵入すると、ガスアレスタ41a,42a及びバリスタ41b,42bで構成されるサージ防護素子41,42が動作し、高電圧サージによる過電流が吸収されてアース端子Eを通して大地に逃がされる。これにより、侵入した高電圧サージから被保護機器40が保護される。
一方、高電圧サージが比較的長時間にわたるときには、各サージ防護素子41,42が、通過する過電流によってそれぞれ過熱される。この過熱が予め設定された許容過熱温度以上になると、開閉回路43,44中の低溶融体43b,44bが溶融し、この溶融によってスイッチ43a,44aが開放する。即ち、各サージ防護素子41,42が、電線路L1,L2からそれぞれ切り離され、サージ防護素子41,42のさらなる過熱が防止される。このとき、各表示器45,46は、出力端子OUT1,OUT2の間を短絡し、サージ防護素子41,42が電線路L1,L2から切り離されたことを、外部の警報装置に知らせる。
以下、図1〜図9を参照しつつ、熱開閉器の構造を説明する。
図1は、本発明の実施形態を示す熱開閉器の平面図である。
【0016】
熱開閉器は、これを搭載するために、高い絶縁性のプラスチックで射出成形された絶縁基台50を有している。絶縁基台50の外周面には、熱開閉器のカバーをとめるための4個の爪51,52,53,54が形成され、該絶縁基台50の外周面の内側には、外周面に平行に配置されてカバーを内側から拘持する内壁55が形成されている。絶縁基台50のカバーで覆われない部分には、この絶縁基台50を制御盤等に取付けるための取付け孔56が開孔されると共に、4つの絶縁遮蔽板57,58,59,60が立設されている。絶縁遮蔽板57〜60も、絶縁基台50と同一の材質で、かつそれと一体に成形されている。
2つの絶縁遮蔽板57,58の間には、金属の入力端子61が配置されて絶縁基台50に端子ねじ62で係止されている。入力端子61は、図5の電線路L1に接続されるものである。2つの絶縁遮蔽板59,60の間には、金属の入力端子63が配置されて絶縁基台50に端子ねじ64及び65で係止されている。入力端子63は、電線路L2に接続されるものである。2つの絶縁遮蔽板58,59の間には、金属のアース端子66が配置されて絶縁基台50に端子ねじ67で係止されている。アース端子66は大地に接続されるものであり、図5のアース端子Eに相当する。
【0017】
絶縁基台50上には、サージ防護素子等を収容するケース80が取付けられている。ケース80は、耐熱性と絶縁性に優れたプラスチック或いはセラミックス等で形成されている。ケース80の上側には、2つの可動部材90,100が配置され、該ケース80の外周面には、その可動部材90,100の移動のガイドとなる4個の溝状の案内部81a,81b,82a,82bが設けられている。各可動部材90,100は、案内部81a,81b,82a,82bに支持され、熱開閉器の上方向(図1では手前の方向)に移動可能になっている。
各可動部材90,100は、導電性の例えば金属をプレス加工することで作成され、その側面には嵌合孔90a,100aがそれぞれ形成されている。可動部材90,100の両端のうち、入力端子61,63に近い方の先端が、端子部90b,100bになっている。端子部90bには、導電部材である電線W1の一端が半田で接続され、該電線W1の他端にラグ端子W1aが接続されている。ラグ端子W1aが、端子ねじ62によって入力端子61に接続されている。端子部100bには電線W2の一端が接続され、該電線W2の他端にラグ端子W2aが接続されている。ラグ端子W2aは、端子ねじ64で入力端子63に接続されている。各電線W1,W2は、可動部材90,100の移動を阻害しないように、それぞれ撓んだ状態で配線されている。
【0018】
各可動部材90,100には、表示を行うために該可動部材90,100と共に移動する表示用移動片91,101が、それぞれ連結されている。表示用移動片91,101には、さらに、導電性の短絡片110,120が取付けられている。これら表示用移動片91,101及び短絡片110,120により、表示手段45,46が構成されている。
図6は、図1の熱開閉器のカバーをした状態の構造を示すA−A断面図であり、図1のA−A断面を示し、図1中の要素と共通する要素には共通する符号が付されている。なお、この図6では、熱開閉器の断面形状の理解を容易にするために、電線W2のラグ端子W2aに対する接続位置を、図1とはずらして表している。 絶縁基台50の底部には、取付け孔56と相俟って制御盤等に熱開閉器を固定す突起56bが形成されている。つまり、図示しない制御盤の位置決め用の穴に突起56bが挿入されて取付け孔56がねじで固定されることで、熱開閉器の取り付け位置が決められるようになっている。絶縁基台50上のケース80、電線W1,W2、入力端子61,63とアース端子66の一部が、カバー130で保護されている。
【0019】
図6では、入力端子61,63及びアース端子66の外部接続部分がカバー130から露出しているが、これらも被蓋するようにカバー130の大きさを大きくしてもよい。入力端子61,63の反対側つまりケース80側は、該ケース80の直前まで横設されている。一方、アース端子66における外部接続部分の反対側は、90度捻られてケース80の内部まで延長されている。
ケース80はケース本体83と上蓋84とで構成され、該上蓋84がケース本体83にねじ85,86で固定されている。案内部81a,81b、82a,82bは、例えば上蓋84の側面に形成されている。各可動部材90,100の両サイドが、ケース80の案内部81a,81b,82a,82bに沿うように折曲げられている。
カバー130の内側におけるケース80の上の部分には、突起130a,130bが設けられ、該突起130a,130bには、配線パターン130c,130dが固定具130eで固定されている。配線パターン130c,130dの先端は、カバー130の外側に突出している。この配線パターン130c,130dの先端は、図5の出力端子OUT1,OUT2に相当する。
【0020】
図7(a),(b)は、図1及び図6中の要部のケース80の内部、可動部材90,100、及び表示用移動片91,101を示す構造図であり、同図(a)は縦断面図、及び同図(b)は側面図である。なお、図7(a)中の左側の可動部材90及び表示部材91は動作状態を示し、図7(b)中の上側の破線部分は動作状態を示している。図8は、図7の組み立て斜視図である。
開閉回路43,44のスイッチ43a,44aは、横方向に沿って移動可能な作動軸141,142と、該作動軸141,142をその横方向に付勢する圧縮ばねからなる第2の弾性体143,144と、ケース80の上方向に摺動可能な可動部材90,100とで構成されている。スイッチ43a,44aが開放状態になったことを外部に表示する表示手段45,46は、表示用移動片91,101と短絡片110,120と、可動部材90,100及び表示用移動片91,101を上方向に付勢する圧縮ばねからなる第1の弾性体151,152とで、構成されている。
【0021】
作動軸141,142、弾性体143,144、低溶融体43b,44b、ガスアレスタ41a,42a、及びバリスタ41b,42bは、ケース80のケース本体83内に収容されている。ケース本体83の上端開口部には、上蓋84が着脱自在に取付けられている。可動部材90,100、表示用移動片91,101及び弾性体151,152は、上蓋84上に取付けられている。
ここで、作動軸141,142、弾性体143,144、低溶融体43b,44b、ガスアレスタ41a,42a、及びバリスタ41b,42bを収容するケース80の構造を、図8を参照しつつ詳細に説明する。
ケース本体83の内側のほぼ中央には、各ガスアレスタ41a,42aをそれぞれ収容するための2組の凸状の収容部83a,83bが形成され、この2組の収容部83a,83bの間に、アース端子66を固定して外部に引き出すための切欠き83cが形成されている。凸状の収容部83a,83bとケース本体83内の両側面との間には、バリスタ41b,42b、低溶融体43b,44b、及び作動軸141,142を収容するための凹状の収容部83d,83eが形成されている。ケース本体83の両側壁には、作動軸141,142の一端を支持する溝状の軸受け部83f,83gが形成され、更に該軸受け部83f,83gの内側に、弾性体143,144の一端を係止するための段差83h,83iが形成されている。ケース本体83の上端開口部の四隅のうち、一方の対角線上に螺子穴83j,83kが、他方の対角線上に取付け穴83l,83mが、それぞれ形成されている。
【0022】
ケース本体83の上端開口部を閉止する上蓋84の四隅には、ケース本体83側の螺子穴83j,83kに対応する螺子穴84a,84bが形成され、さらにケース本体83側の取付け穴83l,83mに嵌入するための突起84c,84dが下方向に突設されている。上蓋84の両側面には、ケース本体83側の軸受け部83f,83gの上部を閉止するための閉止部84e,84fが、下方向に突設されている。上蓋84の前面の両端付近と後面の両端付近とに、可動部材90,100を摺動させるための凹状の案内部81a,81b,82a,82bが形成されている。上蓋84の上面には、弾性体151,152の一端を係止するための凹部84g,84hが形成されている。
次に、このケース80に収容される各部材の構造を詳細に説明する。
2つのガスアレスタ41a,42aは円柱状をなし、板状のアース端子66を挟んで接触するように配置されている。このアース端子66がケース本体83の切欠き83cから外部に引出されている。ガスアレスタ41a,42aの両側に位置するバリスタ41b,42bは、円盤状をなし、ガスアレスタ41a,42aと接触している。バリスタ41b,42bの両側に位置する低溶融体43b,44bは、円盤状をなし、ケース本体83の収容部83d,83eに収容され、バリスタ41b,42bからの熱吸収を大きくするために該バリスタ41b,42bと面接触している。
【0023】
作動軸141,142は、一端141a,144a側が丸棒状をなし、該作動軸141,142の他端側には、フランジ部141b,142bが設けられている。各作動軸141,142は、導電部材で形成されている。導電部材としては、銅等の電気抵抗値の小さな材料を用いることが好ましい。あるいは、作動軸141,142の表面に、銀、金、これらの合金等の導電膜を形成することにより、電気抵抗値を小さくするようにしてもよい。また、作動軸141,142の一端141a,142aは、可動部材90,100と電気的に接触するので、接触抵抗値を小さくするための表面処理を施すことが望ましい。表面処理には、例えば、溶融点の低い錫、あるいは錫が60%以上含まれた半田等の金属を用いためっき処理、半田付け処理、あるいは金属板の貼り合せ等が考えらる。めっき処理や半田付け処理の厚さは、使用する材質に応じて適宜選定すればよい(例えば、処理するサージ電流によっても異なるが、5μm以上が望ましい)。また、作動軸141,142を例えば黄銅部材で形成した場合、該作動軸141,142の一端141a,142aの表面処理には、錫めっき処理、あるいは錫の含有率の高い半田付け処理等が考えられる。
【0024】
このような作動軸141,142は、ケース本体83の収容部83d,83eに収容され、該作動軸141,142の一端141a,142aが該ケース本体83の軸受け部83f,83gに支持されると共に、作動軸141,142の他端側のフランジ部141b,142bが低溶融体43b,44bに電気的に接触する。作動軸141,142の外周におけるフランジ部43b,44bとケース本体83の段差83h,83iとの間に、弾性体143,144が装着されている。弾性体143,144は、ばね圧力によって作動軸141,142のフランジ部141b,142bを中央のアース端子66側へ押圧することにより、該フランジ部141b,142b、低溶融体43b,44b、バリスタ41b,42b、ガスアレスタ41a,42a、及びアース端子66を、相互に圧接する機能を有している。この弾性体143,144のばね圧力は、可動部材90,100側の弾性体151,152のばね圧力と同等か、あるいはそれよりも大きい方がよい。
【0025】
ケース本体83に固定された上蓋84上には、嵌合孔90a,100a及び端子部90b,100bを備えた可動部材90,100が、上方向に摺動可能に取付けられている。可動部材90,100は、板状の水平部90c,100cと、該水平部90c,100cのほぼ中央に形成された取付け孔90d,100dと、該水平部90c,100cの側辺から下方向に延設された垂下部90e,100eとを有している。垂下部90e,100eの下端に嵌合孔90a,100aが形成されている。水平部90c,100cの両端が下方向に延設されて延設部90f,90g及び100f,100gが形成されている。延設部90f,100fの先端が端子部90b,100bになっている。可動部材90,100の材料は、作動軸141,142と同様に、銅等の電気抵抗値の小さい材料が採用されか、あるいは銀、金、これらの合金等で表面処理することにより、電気抵抗値を小さくすることが好ましい。特に、可動部材90,100の嵌合孔90a,100aの内面は、作動軸141,142の一端141a,142aと電気的に接触するため、該作動軸141,142の一端141a,142aと同様に、錫等のめっき処理や、半田付け処理、あるいは接触抵抗値を小さくする金属板を貼り合せる等の表面処理を施すことが好ましい。
【0026】
セットされた初期状態では、可動部材90の延設部90f,90gが、上蓋84側の凹状の案内部81a,81bに摺動可能に挿入されている。この可動部材90の垂下部90eに形成された嵌合孔90aは、作動軸141の一端141aと嵌合している。可動部材100においても、延設部100f,100gが上蓋84側の凹状の案内部82a,82bに摺動可能に挿入され、垂下部100eに形成された嵌合孔100aが作動軸142の一端142aに嵌合している。可動部材90,100の取付け孔90d,100dには、下方向から絶縁性の表示用移動片91,101が挿着されている。
表示用移動片91,101は、丸棒状の表示用突起91a,101aと、この下側に形成されたフランジ部91b,101bとを有している。表示用移動片91,101の突起91a,101aは、可動部材90,100の取付け孔90d,100dに挿入され、フランジ91b,101bが可動部材90,100の水平部90c,100cに係合している。表示用移動片91,101のフランジ91b,101bの底面には、凹部91c,101cが形成され、該表示用移動片91,101の凹部91c,101cと上蓋84側の凹部84g,84hとの間に、弾性体151,152が圧縮状態で装着されている。弾性体151,152は、表示用移動片91,101を介して可動部材90,100を上方向に付勢する機能を有している。表示用移動片91,101の丸棒状の突起91a,101aに、短絡片110,120が挿着されて表示手段45,46が構成されている。
【0027】
図9(a),(b)は、図6中のカバー130の構造を示す図であり、同図(a)は平面図、及び同図(b)は側面図である。
カバー130は、耐熱性に優れた例えば透明のプラスチックで形成されている。配線パターン130c,130dが内側に配置されたカバー130の上面には、表示用移動片91,101の突起91a,101aが通る表示用孔130f,130gが、形成されている。一方、カバー130の側面には、絶縁基台50の爪51〜54が係合する係止孔130hが、爪51〜54に対応する位置に形成されている。配線パターン130c,130dのうち、配線パタン130cは、2つの表示用孔130f,130gの近傍に配置されると共に、一部はカバー130の外側に導き出され、図5の出力端子OUT2が構成されている。配線パターン130dは、パターン130cとは絶縁された状態で、2つの表示用孔130f,130gの近傍に配置されると共に、一部がカバー130の外側に導き出されて図5の出力端子OUT1が構成されている。
【0028】
以上のような構造の熱開閉器の組立て方法の例を説明する。
絶縁基台50を用意し、該絶縁基台50上にケース本体83を固定する。ケース本体83の切欠き83cに、アース端子66の根元を挿入すると共に、該ケース80の外部で絶縁基台50に端子ねじ67で係止する。続いて、バリスタ41b,42bと作動軸141,142のフランジ部141b,142bとの間に低溶融体43b,44bをそれぞれ挟み、該作動軸141,142の平行部分に弾性体143,144をそれぞれ着装する。バリスタ41bと作動軸141と低溶融体43bと弾性体143の組みを収容部83dに収容する。同様に、バリスタ42bと作動軸142と低溶融体44bと弾性体144の組みを収容部83eに収容する。このとき、適当なジグを用いることにより、容易に弾性体143,144の端部を段差83h,83iに係止できると共に、作動軸141,142の一端141a,142aの先端を軸受け部83f,83gから突出させること可能になる。バリスタ41b,42b、作動軸141,142、低溶融体43b,44b、及び弾性体143,144を収容したのち、ケース本体83内のアース端子66と各バリスタ41b,42bの間に、ガスアレスタ41a,42aを挿入して配置する。
【0029】
ケース本体83内部の収容が終了した後、上蓋84を載せ、螺子孔84aを通って螺子穴83jに達するねじ85と螺子孔84bを通って螺子穴83kに達するねじ86とで、その上蓋84をケース本体83に取付ける。
一方、各可動部材90、100の取付け孔90d,100dには、表示用移動片91,101をそれぞれ挿着し、さらに、それら該表示用移動片91,101の表示用突起91a,101aの胴体に、短絡片110,120をそれぞれ挿着しておく。そして、上蓋84の取付けられたケース80上に、短絡片110,120の挿着された可動部材90,100をセットする。即ち、表示用移動片91,101のフランジ部91b,101bの凹部91c,101cと上蓋84の凹部84g,84hとの間に弾性体151,152を挟み、この弾性体151,152を押圧した状態で、可動部材90,100の嵌合孔90a,100aをケース80から突出ている作動軸141,142の一端141a,142aにそれぞれ係止する。
【0030】
ケース80にセットされた可動部材90,100の端子部90b,100bに電線W1,W2の一端を半田付けし、これら電線W1,W2の他端にラグ端子W1a,W2aを半田付けする。ラグ端子W1a,W2aを入力端子61,63と共に絶縁基台50に取付ける。つまり、ラグ端子W1aと入力端子61は、端子ねじ62で絶縁基台50に取付けられる。ラグ端子W2aと入力端子63は、端子ねじ65で絶縁基台50に取付けられる。最後に、配線パターン130d,130fが形成されたカバー130を被せることで、熱開閉器が完成する。
次に、この熱開閉器の動作を説明する。
例えば、雷等によって高電圧サージが図5の電線路L1,L2に侵入すると、この高電圧サージが入力端子61,63とアース端子66の間に印加される。すると、バリスタ41b,42bとガスアレスタ41a,42aが動作し、電線W1,W2、可動部材90,100の端子部90b,100b、嵌合孔90a,100a、作動軸141,142、低溶融体43b,44b、バリスタ41b,42b、ガスアレスタ41a,42a、及びアース端子66を通って、電流が大地へ流れる。即ち、過電流がアース端子66を通して大地に逃がされる。これにより、図5の被保護機器43が高電圧サージから保護される。
【0031】
一方、高電圧サージの侵入が比較的長時間にわたるときには、過電流によってバリスタ41b,42b及びガスアレスタ41a,42aの電流容量がオーバし、過熱していく。バリスタ41b,42b及びガスアレスタ41a,42aが予め設定された許容過熱温度以上に過熱すると、該バリスタ41b,42bに面接触している低溶融体43b,44bが溶融する。低溶融体43b,44bが溶融すると、弾性体143,144のばね力により、作動軸141,142が横方向にに沿ってバリスタ41b,42bの方向へ押圧され、該作動軸141,142の一端141a,142aがバリスタ41b,42bの方向へ移動する。
これにより、作動軸141,142の一端141a,142aが、可動部材90,100の嵌合孔90a,100bから引き抜かれる。嵌合孔90a,100bから作動軸141,142の一端141a,142aが引き抜かれると、弾性体151,152のばね力により、表示用移動片91,101と共に可動部材90,100が、上蓋83の案内部81a,81b,82a,82bに沿って上方向に移動する。よって、作動軸141,142の一端141a,142aと可動部材90,100の嵌合孔90a,100aとが離脱し、バリスタ41b,42bが可動部材90,100の端子部90c,100c側から切り離され、該バリスタ41b,42b及びガスアレスタ41a,42aのさらなる過熱が防止される。
【0032】
表示用移動片91,101が上方向に移動すると、表示用移動片91,101突起91a,101の先端が、カバー130の表示孔130f,130gから突出すると共に、短絡片110,120がカバー130に形成された配線パターン130c,130dを短絡する。突起91a,101の先端が突出ることにより、電線路L1,L2とサージ防護素子41,42が切り離されたことが、目視可能に表示される。短絡片110,120が配線パターン130c,130dを短絡することにより、外部の警報手段に、電線路L1,L2とサージ防護素子41,42が切り離されたことが通報される。
以上のように、この実施形態の熱開閉器では、次の(a)〜(j)のような従来にない効果がある。
【0033】
(a) 従来の熱開閉器では、過電流によるサージ防護素子10の発熱を、電極部12a,13aを介して半田32あるいは半田成形部材24,34へ伝え、この半田32あるいは半田成形部材24,34を溶融している。これに対し、本実施形態では、バリスタ41b,42bに直接、低溶融体43b,44bを面接触させている。そのため、低溶融体43b,44bの熱吸収性がよく、該低溶融体低溶融体43b,44bの溶融を確実に行える。
(b) 従来の熱開閉器では、熱検出と切り離しが一体のため、溶解金属である半田32あるいは半田成形部材24,34にかかるばねテンションが大きく、そのため、溶融金属の接合部に大きなばね力がかかり、好ましい状態でなかった。これに対し、本実施形態では、熱検出と切り離しを別機構としたので、低溶融体43b,44bへのばねテンションを最小に抑えられる。そのため、低溶融体43b,44bへ余分なばね力を加えることがなくなったので、従来のような不都合を解消できる。
【0034】
(c) 開閉回路43,44を構成する低溶融体43b,44bと、作動軸141,142及び可動部材90,100の開放部分とを、分離して別個に設ける構成にしたので、それぞれの動作が単独の動作となり、確実な遮断動作が行えるとともに、遮断が行われたことを確実に表示できる。
(d) 従来の熱開閉器では、導電金属片21,31にばねとしての機能と電流路として機能の両方を持たせていたので、設計上の制約があった。ところが、本実施形態では、開閉回路43,44を構成する低溶融体43b,44bと、作動軸141,142及び可動部材90,100の開放部分とを、分離して別個に設ける構成にしたので、弾性体141,142,151,152に電流を流す必要がなくなっている。そのため、弾性体141,142,151,152の設計上の制約がなくなり、低コスト化が可能になっている。
(e) 作動軸141,142側の弾性体143,144のばね圧力を、可動部材90,100側の弾性体151,152のばね圧力と同等か、あるいはそれよりも大きくした場合、作動軸141,142の移動動作が制限されて可動部材90,100の嵌合孔90a,100aから抜けなくなるという不都合を、的確に防止できる。
【0035】
(f) 従来では、半田32あるいは半田成形部材24,34を溶融した後に電極部12a,13aから導電金属片21,31を開放させる構成にしている。これに対し、本実施形態では、低溶融体43b,44bとスイッチ43a,44aとを別個に構成しているので、大きなばね力を得るための導電金属片21,31の長さが不要になり、これにより、従来のように熱開閉器が大型化するということがなくなり、熱開閉器全体をより小型化できる。
(g) 作動軸141,142と可動部材90,100とを、銅等の電気抵抗値の小さい部材で形成するか、あるいは接触抵抗値を小さくする表面処理をしているので、これらを高電圧サージによる溶着から的確に防止できる。特に、作動軸141,142の一端141a,142aと可動部材90,100の嵌合孔90a,100aとの接触部分において、その両方あるいは一方に、接触抵抗値を小さくする金属のめっきや半田付け等の表面処理、あるいは金属板等の貼り合せ処理を行った場合、高電圧かつ大電流のサージ等が短時間流れても、それら両者間の溶着をより的確に防止できる。
【0036】
(h) サージ防護素子41の過加熱で溶融する低溶融体43b,44bをケース本体83に収容し、上蓋84で閉止しているので、溶融した低溶融体43b,44bの飛散が防止される構成である。そのため、低溶融体43b,44bが飛散して入力端子61,63とアース端子66間を短絡する等の事故が未然に防げ、遮断動作を確実にできる。
(i) 可動部材90,100、表示用移動片91,101を押上げる弾性体151,152は圧縮ばねで構成し、従来のように板ばねに相当する導電金属片21,31を用いないので、熱開閉器の形成面積を小さくすることが可能である。
(j) 弾性体151,152の付勢する方向と可動部材90,100及び表示用移動片91,101の移動方向が一致しているので、大型化せずとも表示用移動片91,101の必要移動距離を十分にとることができると共に、その動きもスムーズである。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。この変形例としては、例えば次の(I)〜(V)のようなものがある。
【0037】
(I) サージ防護素子41,42内のガスアレスタ41a,42aとして、2極タイプについて説明したが、この2極タイプに限定することなく、例えば、3極タイプを1個用いて熱開閉器を構成することもできる。バリスタ41b,42bは、抵抗体で構成してもよい。また、上記実施形態では、電気部品としてサージ防護素子41,42を例にとった熱開閉器を説明したが、他の電気部品の切り離しをする熱開閉器にも適用可能である。
(II) 絶縁基台50の形状、入力端子61,63の形状、アース端子66の形状、及びカバー130等の形状は、図1或いは図6〜図9の形状に限らず、用途に応じた形状にすることが可能である。また、ケース本体83は、低溶融体43b,44b、弾性体143,144、サージ防護素子41,42等を収容すればよく、例えば絶縁基台50と一体に成形したものでもよい。
【0038】
(III) 各可動部材90,100を上方に押圧する弾性体151,152は、各可動部材90,100の水平部分90c,100cの中央に1個設けているが、各水平部分の中央から少しずらして2個それぞれ設ければ、各可動部材90,100を水平状態を維持しつつよりスムーズに押上げることが可能となる。
(IV) 熱開閉器の組み立て手順は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、ラグ端子W1a,W2aと電線W1,W2とを先に入力端子61,63に接続しておき、可動部材90,100をセットした後に、該電線W1,W2と端子部90b,100bに接続してもよい。
(V) 低溶融体43,44の材料は、半田以外の低溶融金属でもよい。また、形状記憶金属又は導電性の形状記憶樹脂で構成することも可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、第1〜第3の発明によれば、次の(i)から(iii)のような効果を奏する熱開閉器を実現できる。
(i) 過電流によって発熱する電気部品に低溶融体を直接面接触させたので、該低溶融体を速くかつ確実に溶融させることができ、電気部品を電気回路から速くかつ確実に切り離すことができる。しかも、可動部材の嵌合孔と作動軸の一端とを嵌合することによって電気的に接触させ、低溶融体の溶融によってこれら両者間を切り離す構成にしたので、従来のように低溶融体にテンションがかからず、該低溶融体の使用時における劣化等を防止できる。
(ii) 低溶融体の溶融箇所と可動部材及び作動軸の切り離し箇所とを分離し、可動部材を第1の弾性体で付勢し、作動軸を第2の弾性体で付勢するようにしたので、これらの各動作が単独の動作となり、確実な遮断動作が可能となる。
(iii) 可動部材を第1の弾性体で付勢し、作動軸を第2の弾性体で付勢するようにしたので、従来のように弾性体に電流を流す必要がなくなる。よって、設計上の制約がなくなるので、第1及び第2の弾性体のばね特性にのみ着目して設計すればよく、熱開閉器の小型化と低コスト化が可能になる。
【0040】
第2及び第3の発明によれば、第1の発明における可動部材と連動する移動片の移動で表示が行われるので、電気部品の過熱を確実に表示できる。
第4の発明によれば、案内部を設けているので、可動部材の移動方向を矯正することができる。
第5の発明によれば、第1の弾性体と第2の弾性体は、それぞれ圧縮ばねで構成され、これらが直線的に動くので、熱開閉器の遮断動作と表示動作を、全体の大型化せずとも確実に行なうことができる。その上、ケースは上蓋で閉止されて、低溶融体の飛散を防ぐので、入力端子の短絡事故や第1の弾性体の動作不良を防止できる。さらに、第2の弾性体のばね圧力を第1の弾性体のばね圧力以上にしたので、遮断時において作動軸の一端が可動部材の嵌合孔から抜けなくなることを防止できる。
【0041】
第6の発明によれば、可動部材の嵌合孔と作動軸の一端との接触部分に、接触抵抗値を小さくする導電層を形成したので、高電圧かつ大電流のサージ等が短時間にながれても、該接触部分における溶着を防止できる。
第7の発明によれば、低溶融体は、低溶融金属、形状記憶金属又は導電性の形状記憶樹脂のいずれか1つで構成するので、それらの選択により、使用環境に応じて確実な動作を行なう熱開閉器が得られる。
第8の発明よれば、電気部品をサージ防護素子で構成したので、過電流によってサージ防護素子が過熱しても、確実に電気回路から切り離すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す熱開閉器の平面図である。
【図2】従来の熱開閉器の概略の回路図である。
【図3】図2の要部であるサージ防護素子10及びスイッチ20,30の構造図である。
【図4】従来の他の熱開閉器の要部の構造図である。
【図5】本発明の実施形態を示す熱開閉器の概略の回路図である。
【図6】図1の熱開閉器のカバーをした状態の構造を示すA−A断面図である。
【図7】図1及び図6中の要部のケース80の内部、可動部材90,100、及び表示用移動片91,101を示す構造図である。
【図8】図7の組み立て斜視図である。
【図9】図6中のカバー130の構造を示す図である。
【符号の説明】
L1,L2 電線路(電気回路)
41,42 サージ防護素子
41a,42a ガスアレスタ
41b,42b バリスタ
43,44 開閉回路
43b,44b 低溶融体
50 絶縁基台
61,63 入力端子
66 アース端子
80 ケース
81a,81b,82a,82b 案内部
83 ケース本体
84 上蓋
90,100 可動部材
90a,100a 嵌合孔
91,101 表示用移動片
110,120 短絡片
130 カバー
130c,130d 配線パターン
141,142 作動軸
143,144 第2の弾性体
151,152 第1の弾性体
W1,W2 電線

Claims (8)

  1. 絶縁基台と、
    前記絶縁基台に設けられ、側壁に軸受け部を有する絶縁性のケースと、
    前記絶縁基台に取付けられ、電気回路に接続されて該電気回路から電流を流入する入力端子と、
    前記ケース内に収容され、前記入力端子を介して前記電気回路からの電流を入力する電気部品と、
    前記入力端子に導電部材で移動自在に接続された嵌合孔を有し、前記ケースの上方向に移動自在に該ケースに支持された導電性の可動部材と、
    一端と他端を有し、前記可動部材の移動方向に対してほぼ直交する横方向に沿って移動自在に前記軸受け部に支持されかつ該一端が挿脱自在に前記嵌合孔に嵌入された導電性の作動軸と、
    前記嵌合孔が前記作動軸の一端から遠ざかるように、前記可動部材を前記ケースの上方向に付勢する第1の弾性体と、
    前記作動軸が前記嵌合孔から離脱するように、該作動軸を前記ケースの内側横方向に付勢する第2の弾性体と、
    前記ケースに収容されて前記作動軸の一端が前記嵌合孔から離脱する際に必要な距離に応じた前記横方向の所定の厚みを有し、前記電気部品と前記作動軸の他端との間に介在し、該作動軸の他端で押圧されて該電気部品に面接触し、該電気部品からの伝導熱を吸収して該電気部品の許容過熱温度に応じた温度で溶融する導電性の低溶融体と、
    前記可動部材に連結され、前記可動部材と共に移動して前記嵌合孔からの前記作動軸の離脱状態を表示する表示手段とを、
    備えたことを特徴とする熱開閉器。
  2. 請求項1記載の熱開閉器に、表示用孔を有し、かつ少なくとも前記ケースの上方を覆うカバーを設け、
    前記表示手段は、前記表示用孔から突出可能な表示用突起を有することを特徴とする熱開閉器。
  3. 請求項1の熱開閉器に、警報手段に接続された配線パターンが内側に形成され、かつ少なくとも前記ケースの上方を覆うカバーを設け、
    前記表示手段は、前記可動部材と共に移動して前記配線パターンに接触し、前記離脱状態を外部に電気的に伝える短絡片を有することを特徴とする熱開閉器。
  4. 前記ケースの外側面には、前記可動部材を前記移動方向に導く案内部を設けたことを特徴とする請求項1、2または3記載の熱開閉器。
  5. 前記ケースは、前記作動軸、前記第2の弾性体及び前記低溶融体を収容するケース本体と、該ケース本体と相俟って該作動軸、該第2の弾性体及び該低溶融体を閉止する上蓋とで構成し、
    前記第1の弾性体は、前記ケースの上蓋と前記可動部材との間に設けられた圧縮ばねで構成し、
    前記第2の弾性体は、前記ケースの内側面と前記低溶融体との間に設けられ、前記第1の弾性体のばね圧力以上のばね圧力を有する圧縮ばねで構成したことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の熱開閉器。
  6. 前記可動部材の嵌合孔と前記作動軸の一端との接触部分には、接触抵抗値を小さくする導電層を形成したことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の熱開閉器。
  7. 前記低溶融体は、低溶融金属、形状記憶金属又は導電性の形状記憶樹脂のいずれか1つで構成したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の熱開閉器。
  8. 前記電気部品は、サージ防護素子で構成したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の熱開閉器。
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