JP3661909B2 - チップ抵抗器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チップ抵抗器に関するものであり、特に、絶縁基板上面において、電極部を形成する層と、抵抗体層又は抵抗体層と同時に形成される調整層とが積層されているチップ抵抗器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のチップ抵抗器Bは、図13に示すように、絶縁基板10上面の左右両端部に一対の上面電極層22が形成され、さらに、抵抗体層30が該一対の上面電極層22の一部にオーバーラップされて形成されている。
また、上記一対の上面電極層22の一部及び該抵抗体層30上に、さらに重ねて、2層のガラス層42、44からなる保護層40が施され、側面視した場合に、該保護層40の頂面は、従来のチップ抵抗器Bの上面側における該絶縁基板10上面の左右両端部に設けられた上面電極層22の一部、側面電極層24、ニッケルメッキ層26、ハンダメッキ層28の順の重合により形成された電極部20の頂面が至っている頂線H3よりも高くなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記構成の従来のチップ抵抗器Bでは、通常、その上面側において、上記保護層40の頂面が該頂線H3よりも高く設定されているため、従来のチップ抵抗器Bを配線基板へ実装するに際し、キャリアテープによるワンバイワン方式においては、図14に示すように、従来のチップ抵抗器Bが吸着ノズルNの中心からズレやすく、すなわち、上記保護層40と上記電極部20より生じている段差に伴う吸着姿勢の乱れから、従来のチップ抵抗器Bが落下したり、いわゆる立ち吸着を惹起させるおそれがある。
【0004】
また、バルクケースによるマルチマウント方式又はワンバイワン方式においては、従来のチップ抵抗器Bの上面側が下向きで配線基板に実装される場合がある。この場合には、図15に示すように、上記保護層40がソルダーレジスト54に接触して、片側の電極部20とランド電極52との間に大きな隙間が生じたり、また、図16に示すように、ツームストーン現象と呼ばれるいわゆるチップ立ちを生じたり、さらには、図17〜図19に示すように、セルフアライメント性が低下して、従来のチップ抵抗器Bが該配線基板50に対して、図17に示されるような横ズレや、図18に示されるような斜めズレ、さらには、図19に示されるような縦ズレをして、実装されてしまう可能性が大きくなる。
ここで、「セルフアライメント」とは、配線基板への実装時に位置ズレを起こしたチップ抵抗器が、クリームハンダが溶解することに伴い、その表面張力により、正常な位置へ戻ろうとする作用をいう。
【0005】
従って、上記の課題を解決する手段としては、まず、従来のチップ抵抗器Bの上面側における上記電極部20の頂面を上記保護層40の頂面よりも同等若しくは高く設定することが考えられる。すなわち、上記一対の上面電極層22の膜厚を通常よりも厚くすることにより実現することができる。
しかし、この場合には、上記一対の上面電極層22の膜厚が通常よりも厚いので、上記抵抗体層30と上記一対の上面電極層22のエッジ部分とがオーバーラップしている部分の上記抵抗体層30に特にクラックが発生しやすくなって製造の歩留まりが悪くなったり、また、段差が比較的大きいので、上記抵抗体層30の抵抗値にバラツキが大きくなる等の不具合を生じやすい。従って、上記一対の上面電極層22の膜厚の範囲には制限を課さざるを得ない。
【0006】
また、逆に、上記保護層40の頂面を従来のチップ抵抗器Bの上面側における上記電極部20の頂面よりも同等若しくは低く設定することも考えられる。すなわち、上記保護層40の膜厚を通常よりも薄くすることにより実現することができる。
しかし、この場合には、上記保護層40の膜厚の薄さに伴って、これにピンホールが発生したり、さらには、耐酸性の劣化等が生じる等の不具合を生じやすい。従って、上記保護層40の膜厚の範囲にも制限を課さざるを得ない。
よって従来のチップ抵抗器Bでは、上記電極部20や上記保護層40の膜厚を大きく変更することは上記のような不具合が生ずるためなかなか困難であった。そこで、本発明は、チップ抵抗器の上面側における電極部の頂面を保護層の頂面よりも同等若しくは高く調整することが、容易に可能とすることができるチップ抵抗器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記問題点を解決するために創作されたものであって、第一には、チップ抵抗器であって、絶縁基板と、該絶縁基板の上面に接触して形成され、厚膜により形成された抵抗体層と、該抵抗体層の両側に接続され、厚膜により形成された電極部で、該抵抗体層との接続領域において、該抵抗体層の上面に接触して形成された電極部と、該抵抗体層を保護するための保護層と、を有し、少なくとも、平面視における該保護層が形成されていない領域において、該電極部が該抵抗体層の上面に接触して積層していることを特徴とするものである。本構成のチップ抵抗器では、従来のチップ抵抗器に比し、電極部を構成する各層の厚さを全く変更することなく、上記電極部の頂面を比較的容易に高くすることができる。また、該抵抗体層を含めて各層の膜厚のわずかな変更により上記電極部の頂面を容易に制御することができる。よって、チップ抵抗器の製造も容易とすることができる。また、特に、製造上、絶縁基板上面において、最下層として抵抗体層が形成されるので、その後に上面電極層を形成するに際し、従来のチップ抵抗器のように、抵抗体層の配設を考慮する必要がなく、かつ、該上面電極層の膜厚を自由に設定することが可能となって、しかも、抵抗体層の膜厚も含めつつ、電極部の頂面を容易に制御することができる。よって、チップ抵抗器の製造も容易とすることができる。また、抵抗体層が、従来のチップ抵抗器のように、側面視すると、上面電極層の一部とオーバーラップして曲折部分を生ずることなく、絶縁基板上面に設けられるので、抵抗値のバラツキの要因が減少し、該抵抗値の分布が良好となる。さらに、とりわけ、従来のチップ抵抗器のように抵抗体層が上面電極層上に重合してしかも抵抗値が高い場合は、平面視したとき、保護層及び側面電極層の上面側の回り込み部よりも露出する抵抗体層には電流が流れ難く電気メッキができない場合があるが、絶縁基板上面において、最下層として抵抗体層が形成されるので、電気メッキを施す面には抵抗体層は露出せず、問題なく電気メッキをすることができる。
【0008】
また、第二には、第一の構成のチップ抵抗器において、上記抵抗体層が、一対の電極部間の方向において、絶縁基板の一方の端位置から他方の端位置まで形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、第三には、第一の構成のチップ抵抗器において、上記抵抗体層が、一対の電極部間の方向において、絶縁基板の長さよりも短く形成され、該方向の両側において、上記抵抗体層の端部と絶縁基板の端部間には、間隔が形成されていることを特徴とするものである。よって、絶縁基板原板(各個片のチップ抵抗器に分割する前の、すなわち、複数のチップ抵抗器が上下・左右方向に連結されているもの)に有する一次分割用スリットに上記抵抗体層が侵入することがないので、製造工程において、該絶縁基板原板を短冊状に分割するに際し、全く支障がなくなり、従って、チップ抵抗器の製造を容易とすることができる。
【0010】
また、第四には、チップ抵抗器であって、絶縁基板と、該絶縁基板の上面に接触して形成され、厚膜により形成された抵抗体層と、該抵抗体層の両側に接続され、厚膜により形成された電極部で、該抵抗体層との接続領域において、該抵抗体層の上面に接触して形成された電極部と、該抵抗体層を保護するための保護層と、該絶縁基板の上面と該電極部の下面に接触して設けられ、厚膜により形成された調整層で、少なくとも、平面視における該保護層が形成されていない領域に形成されている調整層と、を有することを特徴とするものである。本構成のチップ抵抗器では、調整層が平面視における該保護層が形成されていない領域に形成されているので、従来のチップ抵抗器に比し、電極部を構成する各層の厚さを全く変更することなく、上記電極部の頂面を比較的容易に高くすることができる。また、調整層を含めて各層の膜厚のわずかな変更により上記電極部の頂面を容易に制御することができる。よって、チップ抵抗器の製造も容易とすることができる。また、特に、製造上、絶縁基板上面において、最下層として抵抗体層が形成されるので、その後に上面電極層を形成するに際し、従来のチップ抵抗器のように、抵抗体層の配設を考慮する必要がなく、かつ、該上面電極層の膜厚を自由に設定することが可能となって、しかも、抵抗体層の膜厚も含めつつ、電極部の頂面を容易に制御することができる。よって、チップ抵抗器の製造も容易とすることができる。また、抵抗体層が、従来のチップ抵抗器のように、側面視すると、上面電極層の一部とオーバーラップして曲折部分を生ずることなく、絶縁基板上面に設けられるので、抵抗値のバラツキの要因が減少し、該抵抗値の分布が良好となる。さらに、とりわけ、従来のチップ抵抗器のように抵抗体層が上面電極層上に重合してしかも抵抗値が高い場合は、平面視したとき、保護層及び側面電極層の上面側の回り込み部よりも露出する抵抗体層には電流が流れ難く電気メッキができない場合があるが、絶縁基板上面において、最下層として抵抗体層や調整層が形成されるので、電気メッキを施す面には抵抗体層や調整層は露出せず、問題なく電気メッキをすることができる。
【0011】
また、第五には、上記第一から第四までのいずれかの構成において、平面視において電極部が形成され保護層が形成されていない領域の頂面は、保護層の頂面と略同等の高さであることを特徴とするものである。よって、キャリアテープによるワンバイワン方式においては、チップ抵抗器の配線基板への実装時の吸着ノズルにおける吸着姿勢が安定し、落下やいわゆる立ち吸着が減少して、従って、チップ抵抗器の配線基板への実装率を格段に向上させることができる。
【0012】
また、第六には、上記第一から第四までのいずれかの構成において、平面視において電極部が形成され保護層が形成されていない領域の頂面は、保護層の頂面よりも高いことを特徴とするものである。よって、バルクケースによるマルチマウント方式又はワンバイワン方式においては、チップ抵抗器の上面側が下向きで配線基板に実装される場合には、保護層が配線基板と接触して、片側の電極部とランド電極との間に大きな隙間を生ずることもなく、また、ツームストーン現象と呼ばれるいわゆるチップ立ちが減少するとともに、良好なセルフアライメント効果を得ることができて、従って、チップ抵抗器の配線基板への実装率を格段に向上させることができる。
【0013】
また、第七には、上記第一から第六までのいずれかの構成において、上記抵抗体層における一対の電極部間の方向の端部領域に、切欠部が形成されていることを特徴とするものである。本構成のチップ抵抗器では、特に、製造上、抵抗体層が切欠部を有しているので、絶縁基板原板(各個片のチップ抵抗器に分割する前の、すなわち、複数のチップ抵抗器が上下・左右方向に連結されているもの)に有する一次分割用スリットに該抵抗体層が侵入することが少なくなるので、製造工程において、該絶縁基板原板を短冊状に分割するに際し、その分割性が向上し、従って、チップ抵抗器の製造を容易とすることができる。さらに、製造上、該切欠部を有する分だけ抵抗ペーストの使用量を少なくすることができ、従って、製造コストを引き下げることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態として一具体例を図面を利用して説明する。
まず、第一具体例を図1及び図7(a)を利用して説明する。
本第一具体例のチップ抵抗器A1は、図1(a)に示すように、絶縁基板10と、電極部20aと、抵抗体層30aと、保護層40aとを有している。
ここで、該絶縁基板10は、主にアルミナで構成された略直方体形状であって、平面視すると、図1(b)に示すように、略長方形状を呈している。
該抵抗体層30aは、酸化ルテニウム系等の抵抗ペーストを、上記絶縁基板10の端部L、R間を連結するべく、図7(a)に示すように、上記絶縁基板10の上面上を形成幅Fで略均一に、かつ、図1(a)に示すように、略平滑状に、略均一の膜厚で、スクリーン印刷し、焼成して設けたものである。
【0017】
該電極部20aは、一対であり、銀等の導電ペーストを、上記絶縁基板10等にスクリーン印刷又は塗布し、焼成したものであって、上面電極層22aの一部と、側面電極層24と、各電極上に2層で形成されるニッケルメッキ層26及びハンダメッキ層28とから構成されている。
該上面電極層22aは、上記絶縁基板10の端部L、Rからそれぞれ内部に向かって所定長だけ、平面視すると略長方形状で、上記抵抗体層30a上に設けられ、しかも、上記抵抗体層30aの形成幅Fと略同一幅で、かつ、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する上面電極層22の膜厚の略2倍の均一の膜厚で形成されている。なお、上記上面電極層22aの幅を、上記抵抗体層30aの形成幅Fと略同一幅としたが、必ずしも略同一幅としなくてもよい。
【0018】
該側面電極層24は、図1(a)に示すように、上記上面電極層22aの一部、上記絶縁基板10の端部L、R、下面の一部及び上記抵抗体層30aの一部を、略均一の膜厚で覆っている。
以上のように、設けられている各電極上に、さらに、ニッケルメッキ層26、ハンダメッキ層28の順に略均一の膜厚で、電気メッキが施されている。
そして、2層のメッキがされた後の電極部20aの膜厚は、チップ抵抗器A1の上面側において、図1(a)に示すように、頂線H1まで至っている。
【0019】
該保護層40aは、第1ガラス層42aと、第2ガラス層44aとから構成されている。
該第1ガラス層42aは、ホウ硅酸鉛ガラス系等のガラスペーストを、上記絶縁基板10の上面側であって、図1(a)に示すように、上記一対の上面電極層22aの一部と、上記抵抗体層30aの一部とに重合するようにスクリーン印刷し、焼成して形成されている。
該第2ガラス層44aは、ホウ硅酸鉛ガラス系等のガラスペーストを、上記絶縁基板10の上面側であって、図1(a)に示すように、上記一対の上面電極層22aの一部と、上記第1ガラス層42aとに重合するようにスクリーン印刷し、焼成して形成されている。そして、上記保護層40aの頂面は、図1(a)に示すように、頂線H1まで至っている。
従って、チップ抵抗器A1の上面側において、上記電極部20aの頂面と上記保護層40aの頂面とはほぼ同等の高さを有している。
【0020】
次に、本第一具体例のチップ抵抗器A1の製造方法について説明する。
上記構成の本第一具体例のチップ抵抗器A1は、原則としてA〜Iまでの9工程により製造する。
まず、A工程は、一次及び二次分割用スリットを有し、主にアルミナで構成された図示しない平板状の絶縁基板原板の上面側に、抵抗体層30aを設ける工程である。
すなわち、一次分割用スリット間を、図7(a)に示すように、形成幅Fで略均一に、かつ、図1(a)に示すように、略均一の膜厚で、酸化ルテニウム系等の抵抗ペーストを、スクリーン印刷し、焼成する。
【0021】
次に、B工程は、上面電極層22aを設ける工程である。
すなわち、銀等の導電ペーストを、上面電極層22aとして、上記A工程において設けられた抵抗体層30a上に重合するように、該抵抗体層30aの形成幅Fと略同一幅で、かつ、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する上面電極層22の膜厚の略2倍の膜厚で、スクリーン印刷し、焼成する。
なお、上記A、B工程については、酸化ルテニウム系等の抵抗ペーストをスクリーン印刷した後、銀等の導電ペースト(電極)をスクリーン印刷し、そして、同時に焼成してもよい。
また、必要に応じて、図示しない平板状の絶縁基板原板の下面に、一対の下面電極層を設けてもよい。該一対の下面電極層を配設した場合は、後記するG工程において、側面電極層24をその下面電極層の一部に重合し、かつ、該上面電極層22aと接続し、後記するI工程において、ニッケルメッキ層26及びハンダメッキ層28が、重合する下面電極層及び側面電極層24を覆う形態となる。
【0022】
次に、C工程は、上記した保護層40aのうち、第1ガラス層42aを形成する工程である。なお、本工程を省略してもよい。すなわち、第1ガラス層42aを形成せずに、後記するE工程で形成するところの第2ガラス層44aのみで保護層40aを構成してもよい。
すなわち、ホウ硅酸鉛ガラス系等のガラスペーストを、上記B工程で設けた一対の上面電極層22aの一部と、上記A工程で設けた抵抗体層30aであって、一対の上面電極層22aが重合している範囲を除く部分とを覆うように、平面視すると略長方形状に、スクリーン印刷し、焼成する。
ここで、「一対の上面電極層」とは、後記するF工程において、一次分割用スリットに沿って絶縁基板原板を短冊状に分割したときに、その分割した端部からそれぞれ内部に向かって設ける2個の上面電極層を指称する。以下同様である。
【0023】
次に、D工程は、上記A工程で設けた抵抗体層30aの抵抗値を修正する工程である。
すなわち、抵抗体層30a及び該抵抗体層30aを覆っている上記C工程で形成した第1ガラス層42aの部分に、レーザートリミング技法等を使用してトリミング溝を形成し、抵抗値を修正する。従って、形成するトリミング溝の長さや条数により適切な抵抗値を得ることが可能となる。
次に、E工程は、上記した保護層40aのうち、第2ガラス層44aを形成する工程である。
すなわち、ホウ硅酸鉛ガラス系等のガラスペーストを、上記B工程で設けた一対の上面電極層22aの一部と、上記C工程で形成した第1ガラス層42aとを覆うように、図1(b)に示すように、平面視すると略長方形状に、スクリーン印刷し、焼成する。
なお、該ホウ硅酸鉛ガラス系等のガラスペーストの代わりに、エポキシ、シリコン、ポリイミド系の樹脂ペーストを使用して印刷し、硬化させてもよい。
【0024】
次に、F工程は、以上の工程を経た図示しない絶縁基板原板を、一次分割用スリットに沿って、分割する工程である。
次に、G工程は、側面電極層24aを形成する工程である。
すなわち、銀等の導電ペーストを、上面電極層22の一部と、上記F工程において、一次分割用スリットに沿って分割した短冊状の絶縁基板原板の端部(絶縁基板10の端部と同じ)及び下面の一部と、抵抗体層30aの一部とを覆うように、塗布し、焼成あるいは硬化させる。
【0025】
次に、H工程は、上記F工程において、一次分割用スリットに沿って分割した短冊状の絶縁基板原板を、二次分割用スリットに沿ってさらに分割し、1個片ごとにする工程である。
次に、I工程は、上記H工程において、各個片に分割した絶縁基板10に設けた電極、つまり、上面電極層22aの一部及び側面電極層24aに、ニッケルメッキ層26及びハンダメッキ層28を積層して施す最終工程である。
すなわち、各個片ごとに、ニッケルメッキ層26、ハンダメッキ層28の順で2層のメッキを施す。
以上、A〜Iの9工程を経て、チップ抵抗器A1を製造する。
【0026】
次に、本第一具体例のチップ抵抗器A1の使用状態について、図1(c)を利用して説明する。
チップ抵抗器A1は、バルクケースによるマルチマウント方式又はワンバイワン方式においては、その上面側を、つまり、一対の上面電極層22aが設けられている側を、配線基板50上に配設して使用される場合がある。
すなわち、該配線基板50に有するランド電極52と一対の電極部20a(絶縁基板10の上面側及び側面側)とにハンダ60を付けて接続し、該チップ抵抗器A1が上記配線基板50上に固定される。
また、配線基板50上に配設する場合に当たって、その上面側は、一対の電極部20aの頂面と保護層40aの頂面とはほぼ同等の高さ(頂線H1)を有しているので、バルク実装に適している。従って、該一対の電極部20a(上面電極層22aが設けられている側)のうち、片側の電極部20aとランド電極52との間で大きな隙間が生じたり(図15参照)、セルフアライメント性を低下させたり(図17〜図19参照)、ツームストーン現象と呼ばれるいわゆるチップ立ち(図16参照)を発生させるおそれはない。
【0027】
上記構成のチップ抵抗器A1によれば、キャリアテープによるワンバイワン方式においては、チップ抵抗器A1を配線基板50上に実装する場合に当たって、その上面側においては、一対の電極部20aの頂面と保護層40aの頂面とはほぼ同等の高さ(頂線H1)を有しているので、チップ抵抗器A1の上面側全体がほぼ平滑状となり、該配線基板50への実装時の吸着ノズルにおける吸着姿勢が安定して、落下やいわゆる立ち吸着が減少し、よって、チップ抵抗器A1の上記配線基板50への実装率を格段に向上させることができる。
また、上面電極層22aが抵抗体層30a上に重合して形成されるので、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する上面電極層22と抵抗体層30との配設形態では、段差が比較的大きいことによるクラックの発生や特性劣化のおそれがあるため、該上面電極層22の膜厚の範囲を制限せざるを得なかったが、この場合は、該上面電極層22aの膜厚の範囲の制限はなく、自由に厚くすることができて、よって、電極部20aの頂面を容易に頂線H1にまですることができる。
【0028】
さらに、絶縁基板10上面上に、略平滑状に、略均一の膜厚で、該抵抗体層30aが設けられているため、抵抗値の分布が、従来(どうしても抵抗体層と上面電極層とがオーバーラップする部分があって、その段差により、抵抗値にバラツキが発生しやすかった)よりも良好となる。
また、とりわけ、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bのように抵抗体層30が上面電極層22上に重合してしかも抵抗値が高い場合は、平面視したとき、保護層40及び側面電極層24の上面側の回り込み部よりも露出する抵抗体層30には電流が流れ難く電気メッキができない場合があるが、絶縁基板10上面上に抵抗体層30aが形成されるので、電気メッキを施す面には抵抗体層30aは露出せず、問題なく電気メッキをすることができる。
【0029】
次に、第二具体例を図2及び図7(b)を利用して説明する。
本第二具体例のチップ抵抗器A2は、図2(a)に示すように、絶縁基板10と、電極部20bと、抵抗体層30bと、保護層40aとを有している。
ここで、該絶縁基板10は、上記第一具体例と同様に、主にアルミナで構成された略直方体形状であって、平面視すると、略長方形状を呈している。
該抵抗体層30bは、上記絶縁基板10の端部L、R間において、図7(b)に示すように、上記絶縁基板10上面上に設けられたその形成幅が、上記絶縁基板10の端部L、R際の形成部分を除いて、上記第一具体例と同様の形成幅Fと略同一幅であるが、該端部L、R際の形成幅はGと短く、上記端部L、Rへ向かってそれぞれ形成幅Fから段々にしぼった平面形状を呈している。そして、酸化ルテニウム系等の抵抗ペーストを、上記絶縁基板10上面上で、図2(a)に示すように、略平滑状に、略均一の膜厚で、スクリーン印刷し、焼成されている。
【0030】
該電極部20bは、上記第一具体例と同様に、一対であり、銀等の導電ペーストを、上記絶縁基板10等にスクリーン印刷又は塗布し、焼成したものであって、上面電極層22bの一部と、側面電極層24bと、各電極上に2層で形成されるニッケルメッキ層26及びハンダメッキ層28とから構成されている。
該上面電極層22bは、上記絶縁基板10の端部L、Rからそれぞれ内部に向かって所定長だけ、平面視すると略長方形状で、上記抵抗体層30b上に設けられ、しかも、上記抵抗体層30bの形成幅Fと略同一幅で、かつ、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する上面電極層22の膜厚の略3倍の均一の膜厚で形成されている。なお、上記上面電極層22bの幅を、上記抵抗体層30bの形成幅Fと略同一幅としたが、必ずしも略同一幅としなくてもよい。
【0031】
該側面電極層24bは、図2(a)に示すように、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する側面電極層24の膜厚の略2倍の均一の膜厚で形成され、上記上面電極層22bの一部、上記絶縁基板10の端部L、R、下面の一部及び上記抵抗体層30bの一部を覆っている。
以上のように、設けられている各電極上に、上記第一具体例と同様、さらに、ニッケルメッキ層26、ハンダメッキ層28の順に略均一の膜厚で、メッキが施されている。
そして、2層のメッキがされた後の電極部20bの膜厚は、チップ抵抗器A2の上面側において、図2(a)に示すように、頂線H2まで至っている。
【0032】
該保護層40aは、上記第一具体例と同様に、第1ガラス層42aと、第2ガラス層44aとから構成されている。
該第1ガラス層42aは、ホウ硅酸鉛ガラス系等のガラスペーストを、上記絶縁基板10の上面側であって、図2(a)に示すように、上記一対の上面電極層22bの一部と、上記抵抗体層30bの一部とに重合するようにスクリーン印刷し、焼成して形成されている。
該第2ガラス層44aは、ホウ硅酸鉛ガラス系等のガラスペーストを、上記絶縁基板10の上面側であって、図2(a)に示すように、上記一対の上面電極層22bの一部と、上記第1ガラス層42aとに重合するようにスクリーン印刷し、焼成して形成されている。そして、上記保護層40aの頂面は、図1(a)に示したものと同様、頂線H1にすぎない。
従って、チップ抵抗器A2の上面側において、上記電極部20bの頂面は、上記保護層40aの頂面よりも高くなっている。
【0033】
なお、上記構成の本第二具体例のチップ抵抗器A2の製造方法については、上記第一具体例の製造方法と変わりがなく、すなわち、上記AからIの9工程を経て製造するが、ただ、B工程においては、上面電極層22bの膜厚を、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する上面電極層22の膜厚の略3倍にし、G工程においては、側面電極層24bの膜厚を、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する側面電極層24の膜厚の略2倍にする必要がある。
【0034】
次に、本第二具体例のチップ抵抗器A2の使用状態について、図2(b)を利用して説明する。
チップ抵抗器A2は、上記チップ抵抗器A1と同様に、バルクケースによるマルチマウント方式又はワンバイワン方式においては、その上面側を、つまり、一対の上面電極層22bが設けられている側を、配線基板50上に配設して使用される場合がある。
すなわち、該配線基板50に有するランド電極52と一対の電極部20b(絶縁基板10の上面側及び側面側)とにハンダ60を付けて接続し、該チップ抵抗器A2が上記配線基板50上に固定される。
【0035】
上記構成のチップ抵抗器A2によれば、上面電極層22bが抵抗体層30b上に重合して形成されるので、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する上面電極層22と抵抗体層30との配設形態では、段差が比較的大きいことによるクラックの発生や特性劣化のおそれがあるため、該上面電極層22の膜厚の範囲を制限せざるを得なかったが、この場合は、該上面電極層22bの膜厚の範囲の制限はなく、自由に厚くすることができるとともに、側面電極層24bの膜厚も厚くすることによって、電極部20bの頂面を容易に頂線H2にまですることができる。
また、配線基板50上に配設する場合に当たって、その上面側は、一対の電極部20bの頂面が保護層40aの頂面よりも高いので、バルク実装に適し、特に、配線パターン56が設けられている場合でも該配線パターン56には接触せず、確実に実装することができる。従って、該一対の電極部20b(上面電極層22bが設けられている側)のうち、片側の電極部20bとランド電極52との間で大きな隙間が生じたり(図15参照)、セルフアライメント性を低下させたり(図17〜図19参照)、ツームストーン現象と呼ばれるいわゆるチップ立ち(図16参照)を発生させるおそれはない。
【0036】
さらに、上記チップ抵抗器A1と同様、絶縁基板10上面上に、略平滑状に、略均一の膜厚で、該抵抗体層30bが設けられているため、抵抗値の分布が、従来(どうしても抵抗体層と上面電極層とがオーバーラップする部分があって、その段差により、抵抗値にバラツキが発生しやすかった)よりも良好となる。
また、とりわけ、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bのように抵抗体層30が上面電極層22上に重合してしかも抵抗値が高い場合は、平面視したとき、保護層40及び側面電極層24の上面側の回り込み部よりも露出する抵抗体層30には電流が流れ難く電気メッキができない場合があるが、絶縁基板10上面上に抵抗体層30bが形成されるので、電気メッキを施す面には抵抗体層30bは露出せず、問題なく電気メッキをすることができる。
また、抵抗体層30bの形成に当たって、図7(a)に示す抵抗ペースト量に比し、図7(b)に示すように、少ない抵抗ペースト量で済み、経済的である。
【0037】
次に、第三具体例を図7(c)を利用して説明する。なお、側断面は図1(a)と、使用状態は図1(c)と同じとなるため、図示しない。
本第三具体例のチップ抵抗器A3は、上記第一具体例と同様に、絶縁基板10と、電極部20aと、抵抗体層30cと、保護層40aとを有している(図1参照)。
すなわち、チップ抵抗器A3は、略直方体形状の絶縁基板10上面上に、略均一の膜厚で設けた抵抗体層30cと、一対の電極部20a、つまり、上面電極層22aと、該抵抗体層30c上に設けた該上面電極層22aの一部、該絶縁基板10の端部L、R、下面の一部及び上記抵抗体層30cの一部を覆うように設けた側面電極層24と、該側面電極層24等をさらに外側から覆う2層のニッケルメッキ層26及びハンダメッキ層28とを有し、上記上面電極層22aの一部及び上記抵抗体層30cの一部を覆う第1ガラス層42aと、上記上面電極層22aの一部及び該第1ガラス層42aを覆う第2ガラス層44aからなる保護層40aを備えている点で、上記第一具体例と同様である。
【0038】
しかし、上記抵抗体層30cは、図7(c)に示すように、その平面形状は、上記絶縁基板10上面上に設けられたその形成幅が、上記第一具体例の形成幅Fと略同一幅であるが、上記絶縁基板10の端部L、R際のその形成部分は、略細長の長方形状を呈する切欠部32をそれぞれ有しコ字状、逆コ字状を呈して形成されている点で相違している。
なお、上記構成の本第三具体例のチップ抵抗器A3の製造方法については、上記第一具体例の製造方法と変わりがなく、すなわち、上記AからIの9工程を経て製造するが、ただ、A工程において、抵抗体層30cを一次分割用スリット際では、略細長の長方形状を呈する切欠部32を設けてそれぞれコ字状、逆コ字状の形にする必要がある。
【0039】
次に、本第三具体例のチップ抵抗器A3の使用状態について、上記図1(c)に準じて説明する。
チップ抵抗器A3は、上記チップ抵抗器A1と同様に、バルクケースによるマルチマウント方式又はワンバイワン方式においては、その上面側を、つまり、一対の上面電極層22aが設けられている側を、配線基板50上に配設して使用される場合がある。
すなわち、該配線基板50に有するランド電極52と一対の電極部20a(絶縁基板10の上面側及び側面側)とにハンダ60を付けて接続し、チップ抵抗器A3が上記配線基板50上に固定される。この配線基板50上に配設する場合に当たって、その上面側は、一対の電極部20aの頂面と保護層40aの頂面とはほぼ同等の高さ(頂線H1)を有しているので、バルク実装に適している。
【0040】
上記構成のチップ抵抗器A3によれば、上記チップ抵抗器A1と同様に、キャリアテープによるワンバイワン方式においては、チップ抵抗器A3を配線基板50上に実装する場合に当たって、その上面側においては、一対の電極部20aの頂面と保護層40aの頂面とはほぼ同等の高さ(頂線H1)を有しているので、チップ抵抗器A3の上面側全体がほぼ平滑状となり、該配線基板50への実装時の吸着ノズルにおける吸着姿勢が安定して、落下やいわゆる立ち吸着が減少し、よって、チップ抵抗器A3の上記配線基板50への実装率を格段に向上させることができる。
また、上面電極層22aが抵抗体層30c上に重合して形成されるので、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する上面電極層22と抵抗体層30との配設形態では、段差が比較的大きいことによるクラックの発生や特性劣化のおそれがあるため、該上面電極層22の膜厚の範囲を制限せざるを得なかったが、この場合は、該上面電極層22aの膜厚の範囲の制限はなく、自由に厚くすることができて、よって、電極部20aの頂面を容易に頂線H1にまですることができる。
【0041】
また、絶縁基板10上面上に、略平滑状に、略均一の膜厚で、該抵抗体層30cが設けられているため、抵抗値の分布が、従来(どうしても抵抗体層と上面電極層とがオーバーラップする部分があって、その段差により、抵抗値にバラツキが発生しやすかった)よりも良好となる。
また、とりわけ、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bのように抵抗体層30が上面電極層22上に重合してしかも抵抗値が高い場合は、平面視したとき、保護層40及び側面電極層24の上面側の回り込み部よりも露出する抵抗体層30には電流が流れ難く電気メッキができない場合があるが、絶縁基板10上面上に抵抗体層30cが形成されるので、電気メッキを施す面には抵抗体層30cは露出せず、問題なく電気メッキをすることができる。
さらに、製造上において、絶縁基板原板上面上に、上記抵抗体層30cを上記のような平面形状とすることにより、上記A工程において、酸化ルテニウム系等の抵抗ペーストの一次分割用スリットへの侵入を少なくすることができて、F工程での分割に際し、分割性を高めることができる。
また、抵抗体層30cの形成に当たって、図7(a)に示す抵抗ペースト量に比し、図7(c)に示すように、少ない抵抗ペースト量で済み、経済的である。
【0042】
次に、第四具体例を図3及び図8(a)を利用して説明する。
本第四具体例のチップ抵抗器A4は、図3に示すように、絶縁基板10と、電極部20cと、抵抗体層30dと、保護層40aとを有している。
ここで、該絶縁基板10は、上記第一具体例と同様に、主にアルミナで構成された略直方体形状であって、平面視すると、略長方形状を呈している。
該抵抗体層30dは、上記絶縁基板10の端部L、R間において、図8(a)に示すように平面視すると、上記絶縁基板10上面上に設けられたその形成幅が、上記第一具体例の形成幅Fと略同一幅で、かつ、上記絶縁基板10の端部L、R間の距離よりも形成長を短くして距離D1とした略長方形状を呈している。そして、酸化ルテニウム系等の抵抗ペーストを、上記絶縁基板10上面上で、図3に示すように、略平滑状に略均一の膜厚でスクリーン印刷し、焼成されている。
【0043】
該電極部20cは、上記第一具体例と同様に、一対であり、銀等の導電ペーストを、上記絶縁基板10等にスクリーン印刷又は塗布し、焼成したものであって、上面電極層22bの一部と、側面電極層24bと、各電極上に2層で形成されるニッケルメッキ層26及びハンダメッキ層28とから構成されている。
該上面電極層22bは、上記絶縁基板10の端部L、Rからそれぞれ内部に向かって所定長だけ、平面視すると略長方形状で、上記抵抗体層30dと一部重合しつつ上記絶縁基板10上面上に設けられ、しかも、上記抵抗体層30dの形成幅Fと略同一幅で、かつ、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する上面電極層22の膜厚の略3倍の均一の膜厚で形成されている。なお、上記上面電極層22bの幅を、上記抵抗体層30dの形成幅Fと略同一幅としたが、必ずしも略同一幅としなくてもよい。
【0044】
該側面電極層24bは、図3に示すように、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する側面電極層24の膜厚の略2倍の均一の膜厚で形成され、上記上面電極層22bの一部、上記絶縁基板10の端部L、R及び下面の一部を覆っている。
以上のように、設けられている各電極上に、上記第一具体例と同様、さらに、ニッケルメッキ層26、ハンダメッキ層28の順に略均一の膜厚で、メッキが施されている。そして、2層のメッキがされた後の電極部20cの頂面の一部は、チップ抵抗器A4の上面側において、図3に示すように、頂線H2まで至っている。
【0045】
該保護層40aは、上記第一具体例と同様に、第1ガラス層42aと、第2ガラス層44aとから構成されている。
該第1ガラス層42aは、ホウ硅酸鉛ガラス系等のガラスペーストを、上記絶縁基板10の上面側であって、図3に示すように、上記一対の上面電極層22bの一部と、上記抵抗体層30dの一部とに重合するようにスクリーン印刷し、焼成して形成されている。
該第2ガラス層44aは、ホウ硅酸鉛ガラス系等のガラスペーストを、上記絶縁基板10の上面側であって、図3に示すように、上記一対の上面電極層22bの一部と、上記第1ガラス層42aとに重合するようにスクリーン印刷し、焼成して形成されている。そして、上記保護層40aの頂面は、図1(a)に示したものと同様、頂線H1にすぎない。
従って、チップ抵抗器A4の上面側において、上記電極部20cの頂面は、上記保護層40aの頂面よりも高くなっている。
【0046】
なお、上記構成の本第四具体例のチップ抵抗器A4の製造方法については、上記第一具体例の製造方法と変わりがなく、すなわち、上記AからIの9工程を経て製造するが、ただ、A工程においては、抵抗体層30dの形成長を一次分割用スリット間の距離よりも短くして距離D1として、B工程においては、上面電極層22bの膜厚を、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する上面電極層22の膜厚の略3倍にし、G工程においては、側面電極層24bの膜厚を、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する側面電極層24の膜厚の略2倍にする必要がある。
【0047】
次に、本第四具体例のチップ抵抗器A4の使用状態について、上記図2(b)に準じて説明する。
チップ抵抗器A4は、上記チップ抵抗器A2と同様に、バルクケースによるマルチマウント方式又はワンバイワン方式においては、その上面側を、つまり、一対の上面電極層22bが設けられている側を、配線基板50上に配設して使用される場合がある。
すなわち、該配線基板50に有するランド電極52と一対の電極部20c(絶縁基板10の上面側及び側面側)とにハンダ60を付けて接続し、該チップ抵抗器A4が上記配線基板50上に固定される。
【0048】
上記構成のチップ抵抗器A4によれば、上記チップ抵抗器A2と同様、上面電極層22bが抵抗体層30d上に重合して形成されるので、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する上面電極層22と抵抗体層30との配設形態では、段差が比較的大きいことによるクラックの発生や特性劣化のおそれがあるため、該上面電極層22の膜厚の範囲を制限せざるを得なかったが、この場合は、該上面電極層22bの膜厚の範囲の制限はなく、自由に厚くすることができるとともに、側面電極層24bの膜厚も厚くすることによって、電極部20cの頂面の一部を容易に頂線H2にまですることができる。
また、配線基板50上に配設する場合に当たって、その上面側は、一対の電極部20cの頂面が保護層40aの頂面よりも高いので、バルク実装に適し、特に、配線パターン56が設けられている場合でも該配線パターン56には接触せず、確実に実装することができる。従って、該一対の電極部20c(上面電極層22bが設けられている側)のうち、片側の電極部20cとランド電極52との間で大きな隙間が生じたり(図15参照)、セルフアライメント性を低下させたり(図17〜図19参照)、ツームストーン現象と呼ばれるいわゆるチップ立ち(図16参照)を発生させるおそれはない。
【0049】
また、上記チップ抵抗器A1と同様、絶縁基板10上面上に、略平滑状に略均一の膜厚で、該抵抗体層30dが設けられているため、抵抗値の分布が、従来(どうしても抵抗体層と上面電極層とがオーバーラップする部分があって、その段差により、抵抗値にバラツキが発生しやすかった)よりも良好となる。
また、とりわけ、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bのように抵抗体層30が上面電極層22上に重合してしかも抵抗値が高い場合は、平面視したとき、保護層40及び側面電極層24の上面側の回り込み部よりも露出する抵抗体層30には電流が流れ難く電気メッキができない場合があるが、絶縁基板10上面上に抵抗体層30dが形成されるので、電気メッキを施す面には抵抗体層30dは露出せず、問題なく電気メッキをすることができる。
さらに、製造上において、絶縁基板原板上面上に、上記抵抗体層30dを上記のような平面形状とすることにより、上記A工程において、酸化ルテニウム系等の抵抗ペーストの一次分割用スリットへの侵入を全くなくすることができて、F工程での分割に際し、その分割作業に支障がなくなる。
【0050】
次に、第五具体例を図8(b)を利用して説明する。なお、側断面は図3と同じとなるため、図示しない。
本第五具体例のチップ抵抗器A5は、上記第四具体例と同様に、絶縁基板10と、電極部20cと、抵抗体層30eと、保護層40aとを有している(図3参照)。
すなわち、チップ抵抗器A5は、略直方体形状の絶縁基板10上面上に、略均一の膜厚で設けた抵抗体層30eと、一対の電極部20c、つまり、上面電極層22bと、該抵抗体層30e上に設けた該上面電極層22bの一部、該絶縁基板10の端部L、R及び下面の一部を覆うように設けた側面電極層24bと、該側面電極層24b等をさらに外側から覆う2層のニッケルメッキ層26及びハンダメッキ層28とを有し、上記上面電極層22bの一部及び上記抵抗体層30eの一部を覆う第1ガラス層42aと、上記上面電極層22bの一部及び該第1ガラス層42aを覆う第2ガラス層44aからなる保護層40aを備えている点で、上記第四具体例と同様である。
【0051】
しかし、上記抵抗体層30eは、図8(b)に示すように、その平面形状は、上記絶縁基板10上面上に設けられたその形成幅が、上記第一具体例の形成幅Fと略同一幅であるが、上記第四具体例と同様、上記絶縁基板10の端部L、R間の距離よりも形成長を短くして距離D1とした略長方形状を呈し、さらに加えて、上記絶縁基板10の端部L、R近傍のその形成部分は、略長方形状を呈する切欠部34をそれぞれ有しコ字状、逆コ字状を呈して形成されている点で相違している。
なお、上記構成の本第五具体例のチップ抵抗器A5の製造方法については、上記第一具体例の製造方法と変わりがなく、すなわち、上記AからIの9工程を経て製造するが、ただ、A工程において、抵抗体層30eを一次分割用スリット近傍では、略長方形状を呈する切欠部34を設けてそれぞれコ字状、逆コ字状の形にする必要がある。
【0052】
次に、本第五具体例のチップ抵抗器A5の使用状態について、上記図2(b)を準じて説明する。
チップ抵抗器A5は、上記チップ抵抗器A2と同様に、バルクケースによるマルチマウント方式又はワンバイワン方式においては、その上面側を、つまり、一対の上面電極層22bが設けられている側を、配線基板50上に配設して使用される場合がある。
すなわち、該配線基板50に有するランド電極52と一対の電極部20c(絶縁基板10の上面側及び側面側)とにハンダ60を付けて接続し、チップ抵抗器A5が上記配線基板50上に固定される。
【0053】
上記構成のチップ抵抗器A5によれば、上記チップ抵抗器A2と同様、上面電極層22bが抵抗体層30e上に重合して形成されるので、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する上面電極層22と抵抗体層30との配設形態では、段差が比較的大きいことによるクラックの発生や特性劣化のおそれがあるため、該上面電極層22の膜厚の範囲を制限せざるを得なかったが、この場合は、該上面電極層22bの膜厚の範囲の制限はなく、自由に厚くすることができるとともに、側面電極層24bの膜厚も厚くすることによって、電極部20cの頂面の一部を容易に頂線H2にまですることができる。
また、配線基板50上に配設する場合に当たって、その上面側は、一対の電極部20cの頂面が保護層40aの頂面よりも高いので、バルク実装に適し、特に、配線パターン56が設けられている場合でも該配線パターン56には接触せず、確実に実装することができる。従って、該一対の電極部20c(上面電極層22bが設けられている側)のうち、片側の電極部20cとランド電極52との間で大きな隙間が生じたり(図15参照)、セルフアライメント性を低下させたり(図17〜図19参照)、ツームストーン現象と呼ばれるいわゆるチップ立ち(図16参照)を発生させるおそれはない。
【0054】
また、上記チップ抵抗器A1と同様、絶縁基板10上面上に、略平滑状に、略均一の膜厚で、該抵抗体層30eが設けられているため、抵抗値の分布が、従来(どうしても抵抗体層と上面電極層とがオーバーラップする部分があって、その段差により、抵抗値にバラツキが発生しやすかった)よりも良好となる。
また、とりわけ、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bのように抵抗体層30が上面電極層22上に重合してしかも抵抗値が高い場合は、平面視したとき、保護層40及び側面電極層24の上面側の回り込み部よりも露出する抵抗体層30には電流が流れ難く電気メッキができない場合があるが、絶縁基板10上面上に抵抗体層30eが形成されるので、電気メッキを施す面には抵抗体層30eは露出せず、問題なく電気メッキをすることができる。
さらに、製造上において、絶縁基板原板上面上に、上記抵抗体層30eを上記のような平面形状とすることにより、上記A工程において、酸化ルテニウム系等の抵抗ペーストの一次分割用スリットへの侵入を全くなくすることができて、F工程での分割に際し、その分割作業に支障がなくなる。
また、抵抗体層30eの形成に当たって、図8(a)に示す抵抗ペースト量に比し、図8(b)に示すように、少ない抵抗ペースト量で済み、経済的である。
【0055】
次に、第六具体例を図4及び図9(a)を利用して説明する。
本第六具体例のチップ抵抗器A6は、図4に示すように、絶縁基板10と、電極部20dと、抵抗体層30fと、保護層40aとを有している。
ここで、該絶縁基板10は、上記第一具体例と同様に、主にアルミナで構成された略直方体形状であって、平面視すると、略長方形状を呈している。
該抵抗体層30fは、上記絶縁基板10の端部L、R間において、図9(a)に示すように平面視すると、上記絶縁基板10上面上に設けられたその形成幅が、上記第一具体例の形成幅Fと略同一幅で、かつ、上記第四具体例と同様の上記絶縁基板10の端部L、R間の距離よりも形成長を短くして距離D1を有した略長方形状のものを中心部分層p、左部分層q、右部分層rに三分割して形成されている。
中心部分層pは、形成長を距離D2とした略長方形状を呈して略中央に配置され、その両側に、ともに略同一サイズで略細長の長方形状を呈する左部分層q及び右部分層rが配されている。そして、酸化ルテニウム系等の抵抗ペーストをこのような配置で、上記絶縁基板10上面上に、図4に示すように、略平滑状に、略均一の膜厚で、スクリーン印刷し、焼成されている。
【0056】
該電極部20dは、上記第一具体例と同様に、一対であり、銀等の導電ペーストを、上記絶縁基板10等にスクリーン印刷し、焼成したものであって、上面電極層22bの一部と、側面電極層24bと、各電極上に2層で形成されるニッケルメッキ層26及びハンダメッキ層28とから構成されている。
該上面電極層22bは、上記絶縁基板10の端部L、Rからそれぞれ内部に向かって所定長だけ、平面視すると略長方形状で、上記抵抗体層30fにおける中心部分層pの範囲の一部と重合し、左部分層q及び右部分層rの範囲を完全に覆いつつ上記絶縁基板10上面上に設けられ、しかも、上記抵抗体層30fの形成幅Fと略同一幅で、かつ、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する上面電極層22の膜厚の略3倍の均一の膜厚で形成されている。なお、上記上面電極層22bの幅を、上記抵抗体層30fの形成幅Fと略同一幅としたが、必ずしも略同一幅としなくてもよい。
【0057】
該側面電極層24bは、図4に示すように、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する側面電極層24の膜厚の略2倍の均一の膜厚で形成され、上記上面電極層22bの一部、上記絶縁基板10の端部L、R及び下面の一部を覆っている。
以上のように、設けられている各電極上に、上記第一具体例と同様、さらに、ニッケルメッキ層26、ハンダメッキ層28の順に略均一の膜厚で、メッキが施されている。そして、2層のメッキがされた後の電極部20dの頂面の一部は、チップ抵抗器A6の上面側において、図4に示すように、頂線H2まで至っている。
【0058】
該保護層40aは、上記第一具体例と同様に、第1ガラス層42aと、第2ガラス層44aとから構成されている。
該第1ガラス層42aは、ホウ硅酸鉛ガラス系等のガラスペーストを、上記絶縁基板10の上面側であって、図4に示すように、上記一対の上面電極層22bの一部と、上記抵抗体層30fの一部とに重合するようにスクリーン印刷し、焼成して形成されている。
該第2ガラス層44aは、ホウ硅酸鉛ガラス系等のガラスペーストを、上記絶縁基板10の上面側であって、図4に示すように、上記一対の上面電極層22bの一部と、上記第1ガラス層42aとに重合するようにスクリーン印刷し、焼成して形成されている。そして、上記保護層40aの頂面は、図1(a)に示したものと同様、頂線H1にすぎない。
従って、チップ抵抗器A6の上面側において、上記電極部20dの頂面は、上記保護層40aの頂面よりも高くなっている。
【0059】
なお、上記構成の本第六具体例のチップ抵抗器A6の製造方法については、上記第一具体例の製造方法と変わりがなく、すなわち、上記AからIの9工程を経て製造するが、ただ、A工程においては、抵抗体層30f全体の形成長を一次分割用スリット間の距離よりも短くして距離D1としつつ、上記中心部分層p、上記左部分層q、上記右部分層rのそれぞれに三分割して、B工程においては、上面電極層22bの膜厚を、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する上面電極層22の膜厚の略3倍にし、G工程においては、側面電極層24bの膜厚を、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する側面電極層24の膜厚の略2倍にする必要がある。
【0060】
次に、本第六具体例のチップ抵抗器A6の使用状態について、上記図2(b)に準じて説明する。
チップ抵抗器A6は、上記チップ抵抗器A2と同様に、バルクケースによるマルチマウント方式又はワンバイワン方式においては、その上面側を、つまり、一対の上面電極層22bが設けられている側を、配線基板50上に配設して使用される場合がある。
すなわち、該配線基板50に有するランド電極52と一対の電極部20d(絶縁基板10の上面側及び側面側)とにハンダ60を付けて接続し、チップ抵抗器A6が上記配線基板50上に固定される。
【0061】
上記構成のチップ抵抗器A6によれば、上記チップ抵抗器A2と同様、上面電極層22bが抵抗体層30f上に重合して形成されるので、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する上面電極層22と抵抗体層30との配設形態では、段差が比較的大きいことによるクラックの発生や特性劣化のおそれがあるため、該上面電極層22の膜厚の範囲を制限せざるを得なかったが、この場合は、該上面電極層22bの膜厚の範囲の制限はなく、自由に厚くすることができるとともに、側面電極層24bの膜厚も厚くすることによって、電極部20dの頂面の一部を容易に頂線H2にまですることができる。
また、配線基板50上に配設する場合に当たって、その上面側は、一対の電極部20dの頂面が保護層40aの頂面よりも高いので、バルク実装に適し、特に、配線パターン56が設けられている場合でも該配線パターン56には接触せず、確実に実装することができる。従って、該一対の電極部20d(上面電極層22bが設けられている側)のうち、片側の電極部20dとランド電極52との間で大きな隙間が生じたり(図15参照)、セルフアライメント性を低下させたり(図17〜図19参照)、ツームストーン現象と呼ばれるいわゆるチップ立ち(図16参照)を発生させるおそれはない。
【0062】
また、上記チップ抵抗器A1と同様、絶縁基板10上面上に、略平滑状に、略均一の膜厚で、該抵抗体層30fが設けられているため、抵抗値の分布が、従来(どうしても抵抗体層と上面電極層とがオーバーラップする部分があって、その段差により、抵抗値にバラツキが発生しやすかった)よりも良好となる。
また、とりわけ、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bのように抵抗体層30が上面電極層22上に重合してしかも抵抗値が高い場合は、平面視したとき、保護層40及び側面電極層24の上面側の回り込み部よりも露出する抵抗体層30には電流が流れ難く電気メッキができない場合があるが、絶縁基板10上面上に抵抗体層30fが形成されるので、電気メッキを施す面には抵抗体層30fは露出せず、問題なく電気メッキをすることができる。
さらに、製造上において、絶縁基板原板上面上に、上記抵抗体層30fを上記のような平面形状とすることにより、上記A工程において、酸化ルテニウム系等の抵抗ペーストの一次分割用スリットへの侵入を全くなくすることができて、F工程での分割に際し、その分割作業に支障がなくなる。
【0063】
次に、第七具体例を図9(b)を利用して説明する。なお、側断面は図4と同じとなるため、図示しない。
本第七具体例のチップ抵抗器A7は、上記第六具体例と同様に、絶縁基板10と、電極部20dと、抵抗体層30gと、保護層40aとを有している(図4参照)。
すなわち、チップ抵抗器A7は、略直方体形状の絶縁基板10上面上に、略均一の膜厚で設けた抵抗体層30gと、一対の電極部20d、つまり、上面電極層22bと、該抵抗体層30g上に設けた該上面電極層22bの一部、該絶縁基板10の端部L、R及び下面の一部を覆うように設けた側面電極層24bと、該側面電極層24b等をさらに外側から覆う2層のニッケルメッキ層26及びハンダメッキ層28とを有し、上記上面電極層22bの一部及び上記抵抗体層30gの一部を覆う第1ガラス層42aと、上記上面電極層22bの一部及び該第1ガラス層42aを覆う第2ガラス層44aからなる保護層40aを備えている点で、上記第六具体例と同様である。
【0064】
しかし、上記抵抗体層30gは、図9(b)に示すように、その平面形状は、上記絶縁基板10上面上に設けられたその形成幅が、上記第一具体例の形成幅Fと略同一幅で、かつ、上記絶縁基板10の端部L、R間の距離よりも形成長を短くして距離D2とした略長方形状を呈する中心部分層pと、これは上記第六具体例と同様であるが、その両側に、ともに略同一サイズの円形状を呈する左上部分層s、左下部分層t、右上部分層u及び右下部分層vとが配置されて形成されている点で相違している。
なお、上記構成の本第七具体例のチップ抵抗器A7の製造方法については、上記第一具体例の製造方法と変わりがなく、すなわち、上記AからIの9工程を経て製造するが、ただ、A工程においては、抵抗体層30gを上記中心部分層p、上記左上部分層s、上記左下部分層t、上記右上部分層u、上記右下部分層vのそれぞれに配設して、B工程においては、上面電極層22bの膜厚を、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する上面電極層22の膜厚の略3倍にし、G工程においては、側面電極層24bの膜厚を、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する側面電極層24の膜厚の略2倍にする必要がある。
【0065】
次に、本第七具体例のチップ抵抗器A7の使用状態について、上記図2(b)を準じて説明する。
チップ抵抗器A7は、上記チップ抵抗器A2と同様に、バルクケースによるマルチマウント方式又はワンバイワン方式においては、その上面側を、つまり、一対の上面電極層22bが設けられている側を、配線基板50上に配設して使用される場合がある。
すなわち、該配線基板50に有するランド電極52と一対の電極部20d(絶縁基板10の上面側及び側面側)とにハンダ60を付けて接続し、チップ抵抗器A7が上記配線基板50上に固定される。
【0066】
上記構成のチップ抵抗器A7によれば、上記チップ抵抗器A2と同様、上面電極層22bが抵抗体層30g上に重合して形成されるので、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する上面電極層22と抵抗体層30との配設形態では、段差が比較的大きいことによるクラックの発生や特性劣化のおそれがあるため、該上面電極層22の膜厚の範囲を制限せざるを得なかったが、この場合は、該上面電極層22bの膜厚の範囲の制限はなく、自由に厚くすることができるとともに、側面電極層24bの膜厚も厚くすることによって、電極部20dの頂面の一部を容易に頂線H2にまですることができる。
また、配線基板50上に配設する場合に当たって、その上面側は、一対の電極部20dの頂面が保護層40aの頂面よりも高いので、バルク実装に適し、特に、配線パターン56が設けられている場合でも該配線パターン56には接触せず、確実に実装することができる。従って、該一対の電極部20d(上面電極層22bが設けられている側)のうち、片側の電極部20dとランド電極52との間で大きな隙間が生じたり(図15参照)、セルフアライメント性を低下させたり(図17〜図19参照)、ツームストーン現象と呼ばれるいわゆるチップ立ち(図16参照)を発生させるおそれはない。
【0067】
また、上記チップ抵抗器A1と同様、絶縁基板10上面上に、略平滑状に、略均一の膜厚で、該抵抗体層30gが設けられているため、抵抗値の分布が、従来(どうしても抵抗体層と上面電極層とがオーバーラップする部分があって、その段差により、抵抗値にバラツキが発生しやすかった)よりも良好となる。
また、とりわけ、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bのように抵抗体層30が上面電極層22上に重合してしかも抵抗値が高い場合は、平面視したとき、保護層40及び側面電極層24の上面側の回り込み部よりも露出する抵抗体層30には電流が流れ難く電気メッキができない場合があるが、絶縁基板10上面上に抵抗体層30gが形成されるので、電気メッキを施す面には抵抗体層30gは露出せず、問題なく電気メッキをすることができる。
さらに、製造上において、絶縁基板原板上面上に、上記抵抗体層30gを上記のような平面形状とすることにより、上記A工程において、酸化ルテニウム系等の抵抗ペーストの一次分割用スリットへの侵入を全くなくすることができて、F工程での分割に際し、その分割作業に支障がなくなる。
また、抵抗体層30gの形成に当たって、図9(a)に示す抵抗ペースト量に比し、図9(b)に示すように、少ない抵抗ペースト量で済み、経済的である。
【0068】
次に、第八具体例を図5及び図7(a)を利用して説明する。
本第八具体例のチップ抵抗器A8は、図5に示すように、絶縁基板10と、電極部20eと、抵抗体層30hと、保護層40aとを有している。但し、上記第一具体例等とは異なり、抵抗体層と上面電極層の配設状態は、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bのように、上面電極層上にオーバーラップして抵抗体層が重合して形成されている。
すなわち、チップ抵抗器A8は、上記第一具体例と同様の略直方体形状の絶縁基板10上面上に、一対の電極部20eのうちの図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bのものと同一に形成された一対の上面電極層22と、図7(a)に示す上記抵抗体層30aの平面形状と同様に該上面電極層22上に該絶縁基板10の端部L、R間を連結するべく、酸化ルテニウム系等の抵抗ペーストを略均一の膜厚でスクリーン印刷し焼成して設けた抵抗体層30hと、上記絶縁基板10上に設けた上記上面電極層22の一部、上記絶縁基板10の端部L、R、下面の一部及び該抵抗体層30hの一部を覆うように、銀等の導電ペーストをスクリーン印刷し焼成して設けた側面電極層24と、該側面電極層24等をさらに外側から覆う略均一の膜厚の2層のニッケルメッキ層26及びハンダメッキ層28とを有し、上記抵抗体層30hの一部を覆う第1ガラス層42aと、上記抵抗体層30hの一部及び該第1ガラス層42aを覆う第2ガラス層44aからなる上記第一具体例と同様の保護層40aを備えている。
そして、該電極部20eの頂面と該保護層40aの頂面は、チップ抵抗器A8の上面側において、図5に示すように、ともに頂線H1まで至っている。つまり、略同等の高さを有している。
【0069】
なお、上記構成の本第八具体例のチップ抵抗器A8の製造方法については、基本的に上記第一具体例の製造方法と同じ上記AからIの9工程を経て製造するものであるが、A工程とB工程とが次のように変更したものとなる。
すなわち、A工程は、一次及び二次分割用スリットを有し、主にアルミナで構成された図示しない平板状の絶縁基板原板の上面側に、上面電極層22を設ける工程となる。銀等の導電ペーストを、形成幅Fで略均一に、かつ、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bに有する上面電極層22の膜厚で、スクリーン印刷し、焼成する。
B工程は、抵抗体層30hを設ける工程となる。一次分割用スリット間を連結するべく、上記A工程において設けられた上面電極層22上に、図7(a)に示すように該上面電極層22の形成幅Fと略同一幅で、かつ、図5に示すように、略均一の膜厚で重合させるべく、酸化ルテニウム系等の抵抗ペーストを、スクリーン印刷し、焼成する。
【0070】
次に、本第八具体例のチップ抵抗器A8の使用状態について、上記図1(c)に準じて説明する。
チップ抵抗器A8は、上記チップ抵抗器A1と同様に、バルクケースによるマルチマウント方式又はワンバイワン方式においては、その上面側を、つまり、一対の上面電極層22が設けられている側を、配線基板50上に配設して使用される場合がある。
すなわち、該配線基板50に有するランド電極52と一対の電極部20e(絶縁基板10の上面側及び側面側)とにハンダ60を付けて接続し、チップ抵抗器A8が上記配線基板50上に固定される。この配線基板50上に配設する場合に当たって、その上面側は、一対の電極部20eの頂面と保護層40aの頂面とはほぼ同等の高さ(頂線H1)を有しているので、バルク実装に適している。
【0071】
上記構成のチップ抵抗器A8によれば、上記チップ抵抗器A1と同様に、キャリアテープによるワンバイワン方式においては、チップ抵抗器A8を配線基板50上に実装する場合に当たって、その上面側においては、一対の電極部20eの頂面と保護層40aの頂面とはほぼ同等の高さ(頂線H1)を有しているので、チップ抵抗器A8の上面側全体がほぼ平滑状となり、該配線基板50への実装時の吸着ノズルにおける吸着姿勢が安定して、落下やいわゆる立ち吸着が減少し、よって、チップ抵抗器A8の上記配線基板50への実装率を格段に向上させることができる。
また、上面電極層22と抵抗体層30hとの配設形態は、上記従来のチップ抵抗器Bと略同様であるが、段差が比較的小さいので、クラックの発生や特性劣化のおそれは低く、また、該抵抗体層30hが絶縁基板10の端部L、R間を連結するべく配設されているので、各端部においては、抵抗値のバラツキは小さくなり、さらに、上記抵抗体層30hを電極部20eに積層することにより、容易に電極部20eの頂面を容易に頂線H1にまですることができる。
【0072】
次に、第九具体例を図6及び図9(a)を利用して説明する。
本第九具体例のチップ抵抗器A9は、図6に示すように、絶縁基板10と、電極部20fと、抵抗体層30iと、調整層37と、保護層40とを有している。なお、上記第八具体例と同様、抵抗体層と上面電極層の配設状態は、図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bのように、上面電極層上に一部がオーバーラップして抵抗体層が形成されている。
すなわち、チップ抵抗器A9は、上記第一具体例と同様の略直方体形状の絶縁基板10上面上に、一対の電極部20fのうちの図13に示す上記従来のチップ抵抗器Bのものと同一に形成された一対の上面電極層22と、図9(a)に示す上記抵抗体層30eの中心部分層pの平面形状と同様に、形成幅Fで、かつ、該絶縁基板10の端部L、R間の距離よりも形成長を短くして距離D2とした略長方形状を呈し、酸化ルテニウム系等の抵抗ペーストを略均一の膜厚でスクリーン印刷し焼成して設け、その左右両端近傍が該上面電極層22上にオーバーラップして形成された抵抗体層30iと、図9(a)に示す上記抵抗体層30eの左部分層q及び右部分層rの平面形状と同様に、該抵抗体層30iの両側で、所定の間隔を開けて、形成幅Fで、上記抵抗体層30iと同じ材料で、上記上面電極層22上に上記抵抗体層30iと同時に形成された調整層37と、上記絶縁基板10上に設けた上記上面電極層22の一部、該調整層37、上記絶縁基板10の端部L、R、下面の一部を覆うように、銀等の導電ペーストをスクリーン印刷し焼成して設けた側面電極層24と、該側面電極層24等をさらに外側から覆う略均一の膜厚の2層のニッケルメッキ層26及びハンダメッキ層28とを有し、上記抵抗体層30i全体を覆う第1ガラス層42と、上記上面電極層22の一部及び該第1ガラス層42を覆う第2ガラス層44からなる上記従来のチップ抵抗器Bと同様の保護層40を備えている。
【0073】
そして、該電極部20fの一部の頂面と該保護層40の頂面は、チップ抵抗器A9の上面側において、図6に示すように、ともに頂線H1まで至っている。つまり、略同等の高さを有している。
なお、上記調整層37とは、実質的には抵抗体層に相当するものであるが、その配設位置により、抵抗体としての機能を果たさないものである。
また、上記構成の本第九具体例のチップ抵抗器A9の製造方法については、上記第八具体例の製造方法と同様である。ただ、B工程においては、抵抗体層30i及び調整層37全体の形成長を一次分割用スリット間の距離よりも短くして距離D1としつつ、距離D2の形成長を有する該抵抗体層30i、該調整層37のそれぞれに三分割する必要がある。
【0074】
次に、本第九具体例のチップ抵抗器A9の使用状態について、上記図1(c)に準じて説明する。
チップ抵抗器A9は、上記チップ抵抗器A1と同様に、バルクケースによるマルチマウント方式又はワンバイワン方式においては、その上面側を、つまり、一対の上面電極層22が設けられている側を、配線基板50上に配設して使用される場合がある。
すなわち、該配線基板50に有するランド電極52と一対の電極部20f(絶縁基板10の上面側及び側面側)とにハンダ60を付けて接続し、チップ抵抗器A9が上記配線基板50上に固定される。この配線基板50上に配設する場合に当たって、その上面側は、一対の電極部20fの頂面と保護層40の頂面とはほぼ同等の高さ(頂線H1)を有しているので、バルク実装に適している。
【0075】
上記構成のチップ抵抗器A9によれば、上記チップ抵抗器A1と同様に、キャリアテープによるワンバイワン方式においては、チップ抵抗器A9を配線基板50上に実装する場合に当たって、その上面側においては、一対の電極部20fの頂面と保護層40の頂面とはほぼ同等の高さ(頂線H1)を有しているので、チップ抵抗器A9の上面側全体がほぼ平滑状となり、該配線基板50への実装時の吸着ノズルにおける吸着姿勢が安定して、落下やいわゆる立ち吸着が減少し、よって、チップ抵抗器A9の上記配線基板50への実装率を格段に向上させることができる。
また、上面電極層22と抵抗体層30iの配設形態は、上記従来のチップ抵抗器Bと略同様であるが、段差が比較的小さいので、クラックの発生や特性劣化のおそれは低く、また、調整層37を電極部20fに積層することにより、容易に電極部20fの頂面を容易に頂線H1にまですることができる。さらに、製造上において、絶縁基板原板上面上に、抵抗体層30i及び調整層37を上記のような平面形状とすることにより、上記B工程において、酸化ルテニウム系等の抵抗ペーストの一次分割用スリットへの侵入を全くなくすることができて、F工程での分割に際し、その分割作業に支障がなくなる。
また、抵抗体層30i及び調整層37の形成に当たって、図8(a)に示す抵抗ペースト量に比し、図9(a)に示すように、少ない抵抗ペースト量で済み、経済的である。
【0076】
次に、第十〜第十六具体例を順に図10〜図12を利用して説明するが、これらの具体例はすべて、上記第一〜第七具体例において説明した各抵抗体層の平面形状に、さらに、別個の複数の切欠部を設けた平面形状である点が相違するものであり、よって、抵抗ペースト量が比較的少なくて済み、一層経済的である。従って、この点を除けば、目的、発明特定事項、効果はそれぞれ上記第一〜第七具体例の各チップ抵抗器A1〜A7と同様である。よって、抵抗体層の平面形状以外の説明については、以下省略する。
【0077】
まず、第十具体例を図10(a)を利用して説明する。
本第八具体例のチップ抵抗器A10は、上記第一具体例のチップ抵抗器A1に準じたものである。
抵抗体層30jの平面形状は、図10(a)に示すように、上記第一具体例のチップ抵抗器A1に形成された抵抗体層30aの平面形状に、略長方形状を呈する切欠部36を2個設けたものである。
次に、第十一具体例を図10(b)を利用して説明する。
本第十一具体例のチップ抵抗器A11は、上記第二具体例のチップ抵抗器A2に準じたものである。
抵抗体層30kの平面形状は、図10(b)に示すように、上記第二具体例のチップ抵抗器A2に形成された抵抗体層30bの平面形状に、略長方形状を呈する切欠部36を2個設けたものである。
【0078】
次に、第十二具体例を図10(c)を利用して説明する。
本第十二具体例のチップ抵抗器A12は、上記第三具体例のチップ抵抗器A3に準じたものである。
抵抗体層30lの平面形状は、図10(c)に示すように、上記第三具体例のチップ抵抗器A3に形成された抵抗体層30cの平面形状に、略長方形状を呈する切欠部36を2個設けたものである。
次に、第十三具体例を図11(a)を利用して説明する。
本第十三具体例のチップ抵抗器A13は、上記第四具体例のチップ抵抗器A4に準じたものである。
抵抗体層30mの平面形状は、図11(a)に示すように、上記第四具体例のチップ抵抗器A4に形成された抵抗体層30dの平面形状に、略長方形状を呈する切欠部36を2個設けたものである。
【0079】
次に、第十四具体例を図11(b)を利用して説明する。
本第十四具体例のチップ抵抗器A14は、上記第五具体例のチップ抵抗器A5に準じたものである。
抵抗体層30nの平面形状は、図11(b)に示すように、上記第五具体例のチップ抵抗器A5に形成された抵抗体層30eの平面形状に、略長方形状を呈する切欠部38を2個設けたものであって、結果的に、逆T字状を呈するwと、略四角形状を呈するx、yとに分割された形状に形成されている。
次に、第十五具体例を図12(a)を利用して説明する。
本第十五具体例のチップ抵抗器A15は、上記第六具体例のチップ抵抗器A6に準じたものである。
抵抗体層30zの平面形状は、図12(a)に示すように、上記第六具体例のチップ抵抗器A6に形成された抵抗体層30fの平面形状のうち中心部分層pに相当する部分に、略長方形状を呈する切欠部39を2個設けたものであって、結果的に、中心部分層pに相当した部分は逆T字状を呈している。
【0080】
次に、第十六具体例を図12(b)を利用して説明する。
本第十六具体例のチップ抵抗器A16は、上記第七具体例のチップ抵抗器A7に準じたものである。
抵抗体層30αの平面形状は、図12(b)に示すように、上記第七具体例のチップ抵抗器A7に形成された抵抗体層30gの平面形状のうち中心部分層pに相当する部分に、略長方形状を呈する切欠部39を2個設けたものであって、結果的に、中心部分層pに相当した部分は逆T字状を呈している。
【0081】
なお、本具体例では、抵抗体層の形成形状を略均一の形成幅F、略均一の膜厚、形成幅G、形成長D1、D2と、電極部の頂面を頂線H1、H2と表示して説明しているが、ともに絶縁基板10の形状、大きさ等により、その具体的な数値は変動する。従って、その態様が本具体例と同様であれば、同一のものと解することができる。
また、本第二、第四から第九、第十一、第十三から第十六具体例では、チップ抵抗器の上面側における電極部の頂面を保護層の頂面よりも高くしているが、第一具体例等のように、チップ抵抗器の上面側における電極部の頂面と保護層の頂面とを略同等としてもよい。
【0082】
また、本具体例は、チップ抵抗器の実装方式として、キャリアテープによるワンバイワン方式、バルクケースによるマルチマウント方式又はワンバイワン方式のいずれにも対応させることができる。
さらに、本具体例では、抵抗体層の平面形状について各種説明しているが、本具体例に限定するものではなく、特に、絶縁基板の両端部近傍の平面形状は、一次分割用スリットに沿って短冊状等に絶縁基板原板を分割する際に、抵抗ペーストの該一次分割用スリットへの侵入を極力防止できて、分割しやすくできればよいのであって、任意の形状を呈していてもよい。
【0083】
【発明の効果】
本発明に基づく請求項1に記載のチップ抵抗器によれば、従来のチップ抵抗器に比し、電極部を構成する各層の厚さを全く変更することなく、上記電極部の頂面を比較的容易に高くすることができる。また、該抵抗体層を含めて各層の膜厚のわずかな変更により上記電極部の頂面を容易に制御することができる。よって、チップ抵抗器の製造も容易とすることができる。また、特に、製造上、絶縁基板上面において、最下層として抵抗体層が形成されるので、その後に上面電極層を形成するに際し、従来のチップ抵抗器のように、抵抗体層の配設を考慮する必要がなく、かつ、該上面電極層の膜厚を自由に設定することが可能となって、しかも、抵抗体層の膜厚も含めつつ、電極部の頂面を容易に制御することができる。よって、チップ抵抗器の製造も容易とすることができる。また、抵抗体層が、従来のチップ抵抗器のように、側面視すると、上面電極層の一部とオーバーラップして曲折部分を生ずることなく、絶縁基板上面に設けられるので、抵抗値のバラツキの要因が減少し、該抵抗値の分布が良好となる。さらに、とりわけ、従来のチップ抵抗器のように抵抗体層が上面電極層上に重合してしかも抵抗値が高い場合は、平面視したとき、保護層及び側面電極層の上面側の回り込み部よりも露出する抵抗体層には電流が流れ難く電気メッキができない場合があるが、絶縁基板上面において、最下層として抵抗体層が形成されるので、電気メッキを施す面には抵抗体層は露出せず、問題なく電気メッキをすることができる。
【0084】
また、特に、請求項3に記載のチップ抵抗器によれば、絶縁基板原板(各個片のチップ抵抗器に分割する前の、すなわち、複数のチップ抵抗器が上下・左右方向に連結されているもの)に有する一次分割用スリットに上記抵抗体層が侵入することがないので、製造工程において、該絶縁基板原板を短冊状に分割するに際し、全く支障がなくなり、従って、チップ抵抗器の製造を容易とすることができる。
【0085】
また、特に、請求項4に記載のチップ抵抗器によれば、調整層が平面視における該保護層が形成されていない領域に形成されているので、従来のチップ抵抗器に比し、電極部を構成する各層の厚さを全く変更することなく、上記電極部の頂面を比較的容易に高くすることができる。また、調整層を含めて各層の膜厚のわずかな変更により上記電極部の頂面を容易に制御することができる。よって、チップ抵抗器の製造も容易とすることができる。また、特に、製造上、絶縁基板上面において、最下層として抵抗体層が形成されるので、その後に上面電極層を形成するに際し、従来のチップ抵抗器のように、抵抗体層の配設を考慮する必要がなく、かつ、該上面電極層の膜厚を自由に設定することが可能となって、しかも、抵抗体層の膜厚も含めつつ、電極部の頂面を容易に制御することができる。よって、チップ抵抗器の製造も容易とすることができる。また、抵抗体層が、従来のチップ抵抗器のように、側面視すると、上面電極層の一部とオーバーラップして曲折部分を生ずることなく、絶縁基板上面に設けられるので、抵抗値のバラツキの要因が減少し、該抵抗値の分布が良好となる。さらに、とりわけ、従来のチップ抵抗器のように抵抗体層が上面電極層上に重合してしかも抵抗値が高い場合は、平面視したとき、保護層及び側面電極層の上面側の回り込み部よりも露出する抵抗体層には電流が流れ難く電気メッキができない場合があるが、絶縁基板上面において、最下層として抵抗体層や調整層が形成されるので、電気メッキを施す面には抵抗体層や調整層は露出せず、問題なく電気メッキをすることができる。
【0086】
また、特に、請求項5に記載のチップ抵抗器によれば、キャリアテープによるワンバイワン方式においては、チップ抵抗器の配線基板への実装時の吸着ノズルにおける吸着姿勢が安定し、落下やいわゆる立ち吸着が減少して、従って、チップ抵抗器の配線基板への実装率を格段に向上させることができる。
【0087】
また、特に、請求項6に記載のチップ抵抗器によれば、バルクケースによるマルチマウント方式又はワンバイワン方式においては、チップ抵抗器の上面側が下向きで配線基板に実装される場合には、保護層が配線基板と接触して、片側の電極部とランド電極との間に大きな隙間を生ずることもなく、また、ツームストーン現象と呼ばれるいわゆるチップ立ちが減少するとともに、良好なセルフアライメント効果を得ることができて、従って、チップ抵抗器の配線基板への実装率を格段に向上させることができる。また、特に、請求項7に記載のチップ抵抗器によれば、製造上、抵抗体層が切欠部を有しているので、絶縁基板原板(各個片のチップ抵抗器に分割する前の、すなわち、複数のチップ抵抗器が上下・左右方向に連結されているもの)に有する一次分割用スリットに該抵抗体層が侵入することが少なくなるので、製造工程において、該絶縁基板原板を短冊状に分割するに際し、その分割性が向上し、従って、チップ抵抗器の製造を容易とすることができる。さらに、製造上、該切欠部を有する分だけ抵抗ペーストの使用量を少なくすることができ、従って、製造コストを引き下げることができる。
【0088】
また、特に、請求項8に記載のチップ抵抗器によれば、製造上、抵抗体層の平面形状を絶縁基板の左右両端部間の距離よりも短くなして、該抵抗体層が配設されているので、絶縁基板原板(各個片のチップ抵抗器に分割する前の、すなわち、複数のチップ抵抗器が上下・左右方向に連結されているもの)に有する一次分割用スリットに上記抵抗体層が侵入することがないので、製造工程において、該絶縁基板原板を短冊状に分割するに際し、全く支障がなくなり、従って、チップ抵抗器の製造を容易とすることができる。
さらに、特に、請求項9に記載のチップ抵抗器によれば、抵抗体層が、一対の上面電極層が配設される範囲内の少なくとも一箇所で、分割されて形成されるため、製造上の抵抗ペーストの使用量を少なくすることができ、従って、製造コストを引き下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく第一具体例のチップ抵抗器を示し、(a)は側断面図、(b)は平面図、(c)は使用状態を示す説明図である。
【図2】本発明に基づく第二具体例のチップ抵抗器を示し、(a)は側断面図、(b)は使用状態を示す説明図である。
【図3】本発明に基づく第四具体例のチップ抵抗器を示す側断面図である。
【図4】本発明に基づく第六具体例のチップ抵抗器を示す側断面図である。
【図5】本発明に基づく第八具体例のチップ抵抗器を示す側断面図である。
【図6】本発明に基づく第九具体例のチップ抵抗器を示す側断面図である。
【図7】本発明に基づく第一から第三具体例のチップ抵抗器における抵抗体層の形成形状を示し、(a)は第一具体例に関する平面図、(b)は第二具体例に関する平面図、(c)は第三具体例に関する平面図である。
【図8】本発明に基づく第四又は第五具体例のチップ抵抗器における抵抗体層の形成形状を示し、(a)は第四具体例に関する平面図、(b)は第五具体例に関する平面図である。
【図9】本発明に基づく第六又は第七具体例のチップ抵抗器における抵抗体層の形成形状を示し、(a)は第六具体例に関する平面図、(b)は第七具体例に関する平面図である。
【図10】本発明に基づく第八から第十具体例のチップ抵抗器における抵抗体層の形成形状を示し、(a)は第八具体例に関する平面図、(b)は第九具体例に関する平面図、(c)は第十具体例に関する平面図である。
【図11】本発明に基づく第十一又は第十二具体例のチップ抵抗器における抵抗体層の形成形状を示し、(a)は第十一具体例に関する平面図、(b)は第十二具体例に関する平面図である。
【図12】本発明に基づく第十三又は第十四具体例のチップ抵抗器における抵抗体層の形成形状を示し、(a)は第十三具体例に関する平面図、(b)は第十四具体例に関する平面図である。
【図13】従来のチップ抵抗器を示す側断面図である。
【図14】キャリアテープによるワンバイワン方式において、従来のチップ抵抗器を吸着ノズルにて吸着している状態を側面視して示す説明図である。
【図15】バルクケースによるマルチマウント方式又はワンバイワン方式において、従来のチップ抵抗器の使用状態を側面視して示す説明図である。
【図16】バルクケースによるマルチマウント方式又はワンバイワン方式において、従来のチップ抵抗器の使用状態を側面視して示す説明図である。
【図17】バルクケースによるマルチマウント方式又はワンバイワン方式において、従来のチップ抵抗器の使用状態を平面視して示す説明図である。
【図18】バルクケースによるマルチマウント方式又はワンバイワン方式において、従来のチップ抵抗器の使用状態を平面視して示す説明図である。
【図19】バルクケースによるマルチマウント方式又はワンバイワン方式において、従来のチップ抵抗器の使用状態を平面視して示す説明図である。
【符号の説明】
10 絶縁基板
20a、20b、20c、20d、20e、20f 電極部
22、22a、22b 上面電極層
24、24a、24b 側面電極層
26 ニッケルメッキ層
28 ハンダメッキ層
30a、30b、30c、30d、30e、30f、30g、30h、30i、30j、30k、30l、30m、30n、30z、30α 抵抗体層
32、34、36、38、39 切欠部
37 調整層
40、40a 保護層
A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、A15、A16 チップ抵抗器
D1、D2 抵抗体層の形成長の距離
H1、H2 頂線
L 端部
R 端部
Claims (7)
- チップ抵抗器であって、
絶縁基板と、
該絶縁基板の上面に接触して形成され、厚膜により形成された抵抗体層と、
該抵抗体層の両側に接続され、厚膜により形成された電極部で、該抵抗体層との接続領域において、該抵抗体層の上面に接触して形成された電極部と、
該抵抗体層を保護するための保護層と、
を有し、
少なくとも、平面視における該保護層が形成されていない領域において、該電極部が該抵抗体層の上面に接触して積層していることを特徴とするチップ抵抗器。 - 上記抵抗体層が、一対の電極部間の方向において、絶縁基板の一方の端位置から他方の端位置まで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のチップ抵抗器。
- 上記抵抗体層が、一対の電極部間の方向において、絶縁基板の長さよりも短く形成され、該方向の両側において、上記抵抗体層の端部と絶縁基板の端部間には、間隔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のチップ抵抗器。
- チップ抵抗器であって、
絶縁基板と、
該絶縁基板の上面に接触して形成され、厚膜により形成された抵抗体層と、
該抵抗体層の両側に接続され、厚膜により形成された電極部で、該抵抗体層との接続領域において、該抵抗体層の上面に接触して形成された電極部と、
該抵抗体層を保護するための保護層と、
該絶縁基板の上面と該電極部の下面に接触して設けられ、厚膜により形成された調整層で、少なくとも、平面視における該保護層が形成されていない領域に形成されている調整層と、
を有することを特徴とするチップ抵抗器。 - 平面視において電極部が形成され保護層が形成されていない領域の頂面は、保護層の頂面と略同等の高さであることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4に記載のチップ抵抗器。
- 平面視において電極部が形成され保護層が形成されていない領域の頂面は、保護層の頂面よりも高いことを特徴とする請求項1又は2又は3又は4に記載のチップ抵抗器。
- 上記抵抗体層における一対の電極部間の方向の端部領域に、切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5又は6に記載のチップ抵抗器。
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