JP3660747B2 - アクリル板用表面保護フィルム - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、アクリル板(メチルメタクリレート樹脂板等のアクリル系樹脂板)の表面を傷や汚れから保護するためのアクリル板用表面保護フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
基材フィルムの片面に粘着層を形成した表面保護フィルムは広く知られており、アクリル板等の合成樹脂板やステンレス板等の金属板の表面保護に使用されている。
【0003】
この種の表面保護フィルムとして、ポリエチレン等の基材フィルムの一面に、エチレン−酢酸ビニル共重合体又は直鎖状低密度ポリエチレンをベース樹脂とし、これに粘着付与剤を含有させてなる粘着層を形成したものが知られている(例えば、特開昭53−112983号公報及び特開平3−47886号公報参照)。
【0004】
しかし、このような従来の表面保護フィルムを樹脂板や金属板に貼付けた場合、良好な初期粘着性が得られるものの、貼付け後の経時粘着力が昂進し、あとで表面保護フィルムを樹脂板や金属板から容易に剥離できず、剥離作業に手間を要し、また急いで剥離すると、糊残りしたり、基材フィルムが破断することがある。
【0005】
特に、アクリル板などの樹脂板は、表面保護フィルムを貼付けた状態で加熱加圧して加工されることが多く、このような高温下では上記の現象が顕著となる。これを抑えるために初期粘着力を低く設定しておくと、表面保護フィルムの貼付け時や流通過程で自然に剥がれて、表面保護フィルムの機能を全うできなくなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明者は、基材フィルムの一面に形成される粘着層として、エチレン−酢酸ビニル共重合体をベース樹脂とし、これに粘着付与剤として特定の芳香族変性テルペン樹脂を含有させてなる樹脂組成物を用いると、良好な初期粘着性が得られ、しかも樹脂板に貼付けた後の経時粘着力が高温下でも昂進しないことを見出した。
【0007】
しかし、上記表面保護フィルムをアクリル板の表面保護に用いた場合、次のような問題のあることが判った。すなわち、アクリル板には、機能向上のために、表面保護フィルムを剥離した後で帯電防止剤や耐候性改良剤、硬化性塗料、印刷インクなどが表面コーティングされることがあり、この場合、表面保護フィルムを剥離した後のアクリル板の表面には目では見えない薄い膜が形成されており、このようなアクリル板の表面に表面コーティングを行うと、表面コーティング剤が均一に塗れなくなるという問題のあることが判った。
【0008】
この発明は、上記の問題を解決するもので、その目的とするところは、初期粘着性に優れ、高温下でも粘着力の昂進がなく、表面保護フィルムを剥離した後のアクリル板の表面に糊残りや曇りなどの汚染がなく、しかもアクリル板の表面に各種表面コーティング剤を均一にむらなく塗布することができるアクリル板用表面保護フィルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明のアクリル板用表面保護フィルムは、基材フィルムの一面に粘着層が形成されてなり、この粘着層は、酢酸ビニル含有量5〜15重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体、密度0.918〜0.924g/cm3 の低密度ポリエチレン、密度0.910〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレンの群から選ばれた少なくとも一種のベース樹脂96.0〜99.7重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂4.0〜0.3重量%とからなることを特徴とし、それにより、上記の目的を達成することができる(請求項1の発明)。
【0010】
特に、上記粘着層は、酢酸ビニル含有量5〜15重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体、密度0.918〜0.924g/cm3 の低密度ポリエチレン、密度0.910〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレンの群から選ばれた少なくとも一種のベース樹脂96.0〜99.7重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂4.0〜0.3重量%とからなるとからなる樹脂組成物100重量部に対して、さらに液状ポリブテン0.5〜2.0重量部が含有されてなるものが好ましい(請求項2の発明)。
【0011】
この発明に用いる基材フィルムとしては、粘着層との共押出しで得られるものが好ましく、主にポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂からなるフィルムが用いられる。この基材フィルムは一層のみであってもよいし二層以上のものであってもよい。また、この基材フィルムは、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、着色剤等が含有されていてもよい。
【0012】
この発明(請求項1の発明)に用いる粘着層は、特定のベース樹脂と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂とからなる。上記特定のベース樹脂としては、酢酸ビニル含有量5〜15重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体、密度0.918〜0.924g/cm3 の低密度ポリエチレン、密度0.910〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレンの群から選ばれた少なくとも一種の樹脂が用いられる。
【0013】
エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量が5重量%よりも少ないと、初期粘着性が低下し実用に供し得なくなり、逆に酢酸ビニル含有量が15重量%よりも多くなると、高温下で経時的に粘着力が昂進して、アクリル板からの剥離時に糊残りや曇りが生じる。
【0014】
低密度ポリエチレンの密度が0.918g/cm3 よりも低くなると、高温下で経時的に粘着力が昂進して、アクリル板からの剥離時に糊残りや曇りが生じ、逆に密度が0.924g/cm3 よりも高くなると、粘着層の表面が粗くなって初期粘着性が低下する。
【0015】
また、直鎖状低密度ポリエチレンの密度が0.910g/cm3 よりも低くなると、高温下で経時的に粘着性が昂進してアクリル板からの剥離時に糊残りや曇りが生じ、逆に密度が0.920g/cm3 よりも高くなると、粘着層の表面が粗くなって初期粘着性が低下する。
【0016】
完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂は、粘着付与剤として用いられ、上記ベース樹脂との相溶性がよく、表面保護フィルムを貼付けたままでアクリル板を加工する際に加工追従性がよい。このような樹脂としては、例えば日本粘着テープ工業会発行の「粘着ハンドブック」第101頁に記載の如く水添ロジンの主成分の一つであるテトラヒドロアビエチン酸のペンタエリスリトールエステルが好適に用いられ、市販品としては、理化ハーキュレス社製の商品名「フォーラル105」等がある。
【0017】
上記特定のベース樹脂と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂との含有率は、特定のベース樹脂が96.0〜99.7重量%、完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂が4.0〜0.3重量%とされる。完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂の含有率が0.3重量%よりも少ないと、初期粘着力及び加熱下での粘着力が低下し、逆に4.0重量%より多くなると、加工時等の高温下での粘着力が高くなり、いずれも実用に供し得なくなる。
【0018】
粘着層として、請求項1の発明のように、上記特定のベース樹脂96.0〜99.7重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂4.0〜0.3重量%とからなる樹脂組成物を用いると、この発明の前記目的を達成することができるが、この場合、表面保護フィルムをアクリル板に貼付ける際に、アクリル板の板温度が約10℃以下の低温であると初期粘着力が低くなり、表面保護フィルムがアクリル板から浮くことがある。
【0019】
このような場合、請求項2の発明のように、上記特定のベース樹脂96.0〜99.7重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂4.0〜0.3重量%とからなる上記樹脂組成物100重量部に対して、さらに液状ポリブテン0.5〜2.0重量部を含有させると、表面保護フィルムをアクリル板に貼付ける際に、アクリル板の板温度が約10℃以下の低温であっても初期粘着力の低下が小さくなる。
【0020】
液状ポリブテンは、低温での粘着付与剤として用いられ、一般に平均分子量700〜2700のもの、或いはその水素添加物が好適に用いられ、市販品としては、日本油脂社製の商品名「ポリビス200SH」等がある。
【0021】
上記樹脂組成物100重量部に対して、上記液状ポリブテンの含有量が0.5重量部よりも少ないと、低温(約10℃以下)でアクリル板に対する初期粘着力が低く、逆に2.0重量部よりも多くなると、表面保護フィルムを剥離した後のアクリル板に曇りが生じる。
【0022】
表面保護フィルムが貼付け時や流通過程でアクリル板から自然に剥離しないようにするには、初期粘着力は10g/25mm幅以上(引張速度300mm/分、180度剥離)が好ましい。また、表面保護フィルムをあとでアクリル板から糊残りや基材破断がないように作業性よく剥離できるようにするには、経時粘着力は80g/25mm幅以下(引張速度300mm/分、180度剥離)が好ましい。このような好ましい粘着力の範囲は、上記ベース樹脂や完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂の種類や液状ポリブテンの平均分子量及びこれ等の含有率を適当に選ぶことにより設定することができる。
【0023】
この発明の表面保護フィルムの厚さは、アクリル板の表面を傷や汚れなどから保護し得る厚さであれば特に限定されるものではないが、通常、粘着層の厚さは10〜30μm 、基材フィルムの厚さは30〜70μm 、全厚さで40〜100μm 程度のものが好ましい。
【0024】
この発明(請求項1及び2の発明)の表面保護フィルムを製造するには、上記基材フィルムを構成する樹脂と粘着層を構成する樹脂組成物とを用い、共押出成形法によって所定の厚さの二層フィルムに成形する方法が好適に採用される。その他、上記基材フィルムと粘着層とを個別に溶融押出して所定の厚さにフィルム状に成形しておき、この基材フィルムとフィルム状粘着層とを熱接着して一体化する方法などが採用される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例及び比較例を示す。
請求項1の発明に係る実施例及び比較例
実施例1
酢酸ビニル含有量10重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(三菱ポリエチLV350:三菱化学社製)99.7重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂(フォーラル105:理化ハーキュレス社製)0.3重量%とを混合して粘着層形成用の樹脂組成物を用意した。また、基材フィルム形成用の樹脂として、密度0.960g/cm3 の高密度ポリエチレン(サンテックS−360:旭化成社製)を用意した。
【0026】
上記粘着層形成用の樹脂組成物と基材フィルム形成用の樹脂とを用い、共押出成形法によって、厚さ40μm の基材フィルムの一面に、厚さ20μm の粘着層が形成されてなるアクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0027】
実施例2
酢酸ビニル含有量10重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(三菱ポリエチLV350:三菱化学社製)96.0重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂(フォーラル105:理化ハーキュレス社製)4.0重量%とを混合した粘着層形成用の樹脂組成物を用意した。
【0028】
粘着層形成用の樹脂組成物として、上記の粘着層形成用の樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0029】
実施例3
密度0.918g/cm3 の低密度ポリエチレン(スミカセンL705:住友化学社製)99.7重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂(フォーラル105:理化ハーキュレス社製)0.3重量%とを混合した粘着層形成用の樹脂組成物を用意した。
【0030】
粘着層形成用の樹脂組成物として、上記の粘着層形成用の樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0031】
実施例4
密度0.910g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン(ウルトゼックス1020L:三井石油化学社製)99.7重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂(フォーラル105:理化ハーキュレス社製)0.3重量%とを混合した粘着層形成用の樹脂組成物を用意した。
【0032】
粘着層形成用の樹脂組成物として、上記の粘着層形成用の樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0033】
比較例1
酢酸ビニル含有量10重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(三菱ポリエチLV350:三菱化学社製)99.7重量%と芳香族変性テルペン樹脂(TR−105:ヤスハラケミカル社製)0.3重量%とを混合して粘着層形成用の樹脂組成物を用意した。
【0034】
粘着層形成用の樹脂組成物として、上記の粘着層形成用の樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0035】
比較例2
酢酸ビニル含有量10重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(三菱ポリエチLV350:三菱化学社製)99.8重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂(フォーラル105:理化ハーキュレス社製)0.2重量%とを混合して粘着層形成用の樹脂組成物を用意した。
【0036】
粘着層形成用の樹脂組成物として、上記の粘着層形成用の樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0037】
比較例3
酢酸ビニル含有量10重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(三菱ポリエチLV350:三菱化学社製)95.0重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂(フォーラル105:理化ハーキュレス社製)5.0重量%とを混合して粘着層形成用の樹脂組成物を用意した。
【0038】
粘着層形成用の樹脂組成物として、上記の粘着層形成用の樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0039】
請求項2の発明に係る実施例及び比較例
実施例5
酢酸ビニル含有量10重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(三菱ポリエチLV350:三菱化学社製)98.0重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂(フォーラル105:理化ハーキュレス社製)2.0重量%とからなる樹脂組成物100重量部に、液状ポリブテン(ポリビス200SH:日本油脂社製)0.5重量部を混合して、粘着層形成用の樹脂組成物を用意した。
【0040】
粘着層形成用の樹脂組成物として、上記の粘着層形成用の樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0041】
実施例6
酢酸ビニル含有量10重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(三菱ポリエチLV350:三菱化学社製)98.0重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂(フォーラル105:理化ハーキュレス社製)2.0重量%とからなる樹脂組成物100重量部に、液状ポリブテン(ポリビス200SH:日本油脂社製)2.0重量部を混合して、粘着層形成用の樹脂組成物を用意した。
【0042】
粘着層形成用の樹脂組成物として、上記の粘着層形成用の樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0043】
実施例7
密度0.910g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン(ウルトゼックス1020L:三井石油化学社製)98.0重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂(フォーラル105:理化ハーキュレス社製)2.0重量%とからなる樹脂組成物100重量部に、液状ポリブテン(ポリビス200SH:日本油脂社製)2.0重量部を混合して粘着層形成用の樹脂組成物を用意した。
【0044】
粘着層形成用の樹脂組成物として、上記の粘着層形成用の樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0045】
実施例8
密度0.918g/cm3 の低密度ポリエチレン(スミカセンL705:住友化学社製)98.0重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂(フォーラル105:理化ハーキュレス社製)2.0重量%とからなる樹脂組成物100重量部に、液状ポリブテン(ポリビス200SH:日本油脂社製)2.0重量部を混合して、粘着層形成用の樹脂組成物を用意した。
【0046】
粘着層形成用の樹脂組成物として、上記の粘着層形成用の樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0047】
比較例4
液状ポリブテン(ポリビス200SH:日本油脂社製)を全く配合しなかったこと以外は、実施例5と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0048】
比較例5
液状ポリブテン(ポリビス200SH:日本油脂社製)の配合量を0.25重量部に変更したこと以外は、実施例5と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0049】
比較例6
液状ポリブテン(ポリビス200SH:日本油脂社製)の配合量を2.5重量部に変更したこと以外は、実施例5と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0050】
表面保護フィルムの性能試験
上記各実施例及び各比較例によって得られたアクリル板用表面保護フィルムについて、下記の方法で、初期粘着性、粘着昂進性、耐汚染性、表面ぬれ性及び表面コーティング性の評価を行った。その結果を表1(請求項1の発明に係る実施例及び比較例)及び表2(請求項2の発明に係る実施例及び比較例)に示す。
【0051】
(1)初期粘着性
表面保護フィルムを厚さ2mmのアクリル板にラミネーターで貼付け、これを温度5℃又は23℃、湿度65%RHの環境下に30分間放置した後、剥離幅25mm、剥離速度300mm/分で180度剥離により初期粘着力(g/25mm幅)を測定した。
【0052】
(2)粘着昂進性
表面保護フィルムを厚さ2mmのアクリル板にラミネーターで貼付け、これを熱風循環式オーブン中で、120℃×60分間、150℃×30分間、180℃×10分間の3条件で加熱した後常温になるまで放冷し、これを温度23℃、湿度65%RHの環境下に30分間放置した後、剥離幅25mm、剥離速度300mm/分で180度剥離により昂進粘着力(g/25mm幅)を測定した。
【0053】
(3)耐汚染性
前項の昂進粘着力を測定した後のアクリル板について、表面の糊残り及び曇りの有無をUVライト下で目視により観察した。
【0054】
(4)表面ぬれ性
表面保護フィルムを貼付ける前に、アクリル板を温度23℃、湿度50%RHの環境下に24時間放置した後、JIS K6768に準じてアクリル板表面のぬれ指数(dyn/cm)を測定した。また、表面保護フィルムを厚さ2mmのアクリル板にラミネーターで貼り付け、これを常温で1箇月間放置した後表面保護フィルムを剥がし、このアクリル板を温度23℃、湿度50%RHの環境下に24時間放置した後、アクリル板表面のぬれ指数(dyn/cm)を測定した。このぬれ指数が高いほど表面コーティング性が良い。
【0055】
(5)表面コーティング性
表面保護フィルムを厚さ2mmのアクリル板にラミネーターで貼付け、これを常温で1箇月間放置した後表面保護フィルムを剥がし、このアクリル板を温度23℃、湿度50%RHの環境下に24時間放置した後、その表面に帯電防止剤溶液を塗布し塗布むらの有無を観察した。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【発明の効果】
上述の通り、請求項1の発明のアクリル板用表面保護フィルムは、基材フィルムの一面に粘着層が形成されてなり、この粘着層は、酢酸ビニル含有量5〜15重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体、密度0.918〜0.924g/cm3 の低密度ポリエチレン、密度0.910〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレンの群から選ばれた少なくとも一種のベース樹脂96.0〜99.7重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂4.0〜0.3重量%とからなるもので、それにより、アクリル板に対する初期粘着性に優れ、常温下で経時的に粘着力の昂進がないことは勿論のこと、高温下でも粘着力の昂進がなく、表面保護フィルムを剥離した後のアクリル板の表面に糊残りや曇りなどの汚染がなく、しかもアクリル板の表面に帯電防止剤や耐候性改良剤、硬化性塗料、印刷インクなどのが各種表面コーティング剤を均一にむらなく塗布することができるという優れた効果を奏する。
【0059】
また、請求項2の発明のアクリル板用表面保護フィルムは、粘着層として、上記特定のベース樹脂96.0〜99.7重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂4.0〜0.3重量%とからなる樹脂組成物100重量部に対して、さらに液状ポリブテン0.5〜2.0重量部が含有されており、それにより、上記の優れた効果に加えて、特に、表面保護フィルムをアクリル板に貼付ける際に、アクリル板の板温度が約10℃以下の低温であっても初期粘着力の低下が小さくなり、表面保護フィルムがアクリル板から浮くことを確実に防止することができるというさらに優れた効果を奏する。
【発明の属する技術分野】
この発明は、アクリル板(メチルメタクリレート樹脂板等のアクリル系樹脂板)の表面を傷や汚れから保護するためのアクリル板用表面保護フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
基材フィルムの片面に粘着層を形成した表面保護フィルムは広く知られており、アクリル板等の合成樹脂板やステンレス板等の金属板の表面保護に使用されている。
【0003】
この種の表面保護フィルムとして、ポリエチレン等の基材フィルムの一面に、エチレン−酢酸ビニル共重合体又は直鎖状低密度ポリエチレンをベース樹脂とし、これに粘着付与剤を含有させてなる粘着層を形成したものが知られている(例えば、特開昭53−112983号公報及び特開平3−47886号公報参照)。
【0004】
しかし、このような従来の表面保護フィルムを樹脂板や金属板に貼付けた場合、良好な初期粘着性が得られるものの、貼付け後の経時粘着力が昂進し、あとで表面保護フィルムを樹脂板や金属板から容易に剥離できず、剥離作業に手間を要し、また急いで剥離すると、糊残りしたり、基材フィルムが破断することがある。
【0005】
特に、アクリル板などの樹脂板は、表面保護フィルムを貼付けた状態で加熱加圧して加工されることが多く、このような高温下では上記の現象が顕著となる。これを抑えるために初期粘着力を低く設定しておくと、表面保護フィルムの貼付け時や流通過程で自然に剥がれて、表面保護フィルムの機能を全うできなくなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明者は、基材フィルムの一面に形成される粘着層として、エチレン−酢酸ビニル共重合体をベース樹脂とし、これに粘着付与剤として特定の芳香族変性テルペン樹脂を含有させてなる樹脂組成物を用いると、良好な初期粘着性が得られ、しかも樹脂板に貼付けた後の経時粘着力が高温下でも昂進しないことを見出した。
【0007】
しかし、上記表面保護フィルムをアクリル板の表面保護に用いた場合、次のような問題のあることが判った。すなわち、アクリル板には、機能向上のために、表面保護フィルムを剥離した後で帯電防止剤や耐候性改良剤、硬化性塗料、印刷インクなどが表面コーティングされることがあり、この場合、表面保護フィルムを剥離した後のアクリル板の表面には目では見えない薄い膜が形成されており、このようなアクリル板の表面に表面コーティングを行うと、表面コーティング剤が均一に塗れなくなるという問題のあることが判った。
【0008】
この発明は、上記の問題を解決するもので、その目的とするところは、初期粘着性に優れ、高温下でも粘着力の昂進がなく、表面保護フィルムを剥離した後のアクリル板の表面に糊残りや曇りなどの汚染がなく、しかもアクリル板の表面に各種表面コーティング剤を均一にむらなく塗布することができるアクリル板用表面保護フィルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明のアクリル板用表面保護フィルムは、基材フィルムの一面に粘着層が形成されてなり、この粘着層は、酢酸ビニル含有量5〜15重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体、密度0.918〜0.924g/cm3 の低密度ポリエチレン、密度0.910〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレンの群から選ばれた少なくとも一種のベース樹脂96.0〜99.7重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂4.0〜0.3重量%とからなることを特徴とし、それにより、上記の目的を達成することができる(請求項1の発明)。
【0010】
特に、上記粘着層は、酢酸ビニル含有量5〜15重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体、密度0.918〜0.924g/cm3 の低密度ポリエチレン、密度0.910〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレンの群から選ばれた少なくとも一種のベース樹脂96.0〜99.7重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂4.0〜0.3重量%とからなるとからなる樹脂組成物100重量部に対して、さらに液状ポリブテン0.5〜2.0重量部が含有されてなるものが好ましい(請求項2の発明)。
【0011】
この発明に用いる基材フィルムとしては、粘着層との共押出しで得られるものが好ましく、主にポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂からなるフィルムが用いられる。この基材フィルムは一層のみであってもよいし二層以上のものであってもよい。また、この基材フィルムは、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、着色剤等が含有されていてもよい。
【0012】
この発明(請求項1の発明)に用いる粘着層は、特定のベース樹脂と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂とからなる。上記特定のベース樹脂としては、酢酸ビニル含有量5〜15重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体、密度0.918〜0.924g/cm3 の低密度ポリエチレン、密度0.910〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレンの群から選ばれた少なくとも一種の樹脂が用いられる。
【0013】
エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量が5重量%よりも少ないと、初期粘着性が低下し実用に供し得なくなり、逆に酢酸ビニル含有量が15重量%よりも多くなると、高温下で経時的に粘着力が昂進して、アクリル板からの剥離時に糊残りや曇りが生じる。
【0014】
低密度ポリエチレンの密度が0.918g/cm3 よりも低くなると、高温下で経時的に粘着力が昂進して、アクリル板からの剥離時に糊残りや曇りが生じ、逆に密度が0.924g/cm3 よりも高くなると、粘着層の表面が粗くなって初期粘着性が低下する。
【0015】
また、直鎖状低密度ポリエチレンの密度が0.910g/cm3 よりも低くなると、高温下で経時的に粘着性が昂進してアクリル板からの剥離時に糊残りや曇りが生じ、逆に密度が0.920g/cm3 よりも高くなると、粘着層の表面が粗くなって初期粘着性が低下する。
【0016】
完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂は、粘着付与剤として用いられ、上記ベース樹脂との相溶性がよく、表面保護フィルムを貼付けたままでアクリル板を加工する際に加工追従性がよい。このような樹脂としては、例えば日本粘着テープ工業会発行の「粘着ハンドブック」第101頁に記載の如く水添ロジンの主成分の一つであるテトラヒドロアビエチン酸のペンタエリスリトールエステルが好適に用いられ、市販品としては、理化ハーキュレス社製の商品名「フォーラル105」等がある。
【0017】
上記特定のベース樹脂と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂との含有率は、特定のベース樹脂が96.0〜99.7重量%、完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂が4.0〜0.3重量%とされる。完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂の含有率が0.3重量%よりも少ないと、初期粘着力及び加熱下での粘着力が低下し、逆に4.0重量%より多くなると、加工時等の高温下での粘着力が高くなり、いずれも実用に供し得なくなる。
【0018】
粘着層として、請求項1の発明のように、上記特定のベース樹脂96.0〜99.7重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂4.0〜0.3重量%とからなる樹脂組成物を用いると、この発明の前記目的を達成することができるが、この場合、表面保護フィルムをアクリル板に貼付ける際に、アクリル板の板温度が約10℃以下の低温であると初期粘着力が低くなり、表面保護フィルムがアクリル板から浮くことがある。
【0019】
このような場合、請求項2の発明のように、上記特定のベース樹脂96.0〜99.7重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂4.0〜0.3重量%とからなる上記樹脂組成物100重量部に対して、さらに液状ポリブテン0.5〜2.0重量部を含有させると、表面保護フィルムをアクリル板に貼付ける際に、アクリル板の板温度が約10℃以下の低温であっても初期粘着力の低下が小さくなる。
【0020】
液状ポリブテンは、低温での粘着付与剤として用いられ、一般に平均分子量700〜2700のもの、或いはその水素添加物が好適に用いられ、市販品としては、日本油脂社製の商品名「ポリビス200SH」等がある。
【0021】
上記樹脂組成物100重量部に対して、上記液状ポリブテンの含有量が0.5重量部よりも少ないと、低温(約10℃以下)でアクリル板に対する初期粘着力が低く、逆に2.0重量部よりも多くなると、表面保護フィルムを剥離した後のアクリル板に曇りが生じる。
【0022】
表面保護フィルムが貼付け時や流通過程でアクリル板から自然に剥離しないようにするには、初期粘着力は10g/25mm幅以上(引張速度300mm/分、180度剥離)が好ましい。また、表面保護フィルムをあとでアクリル板から糊残りや基材破断がないように作業性よく剥離できるようにするには、経時粘着力は80g/25mm幅以下(引張速度300mm/分、180度剥離)が好ましい。このような好ましい粘着力の範囲は、上記ベース樹脂や完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂の種類や液状ポリブテンの平均分子量及びこれ等の含有率を適当に選ぶことにより設定することができる。
【0023】
この発明の表面保護フィルムの厚さは、アクリル板の表面を傷や汚れなどから保護し得る厚さであれば特に限定されるものではないが、通常、粘着層の厚さは10〜30μm 、基材フィルムの厚さは30〜70μm 、全厚さで40〜100μm 程度のものが好ましい。
【0024】
この発明(請求項1及び2の発明)の表面保護フィルムを製造するには、上記基材フィルムを構成する樹脂と粘着層を構成する樹脂組成物とを用い、共押出成形法によって所定の厚さの二層フィルムに成形する方法が好適に採用される。その他、上記基材フィルムと粘着層とを個別に溶融押出して所定の厚さにフィルム状に成形しておき、この基材フィルムとフィルム状粘着層とを熱接着して一体化する方法などが採用される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例及び比較例を示す。
請求項1の発明に係る実施例及び比較例
実施例1
酢酸ビニル含有量10重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(三菱ポリエチLV350:三菱化学社製)99.7重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂(フォーラル105:理化ハーキュレス社製)0.3重量%とを混合して粘着層形成用の樹脂組成物を用意した。また、基材フィルム形成用の樹脂として、密度0.960g/cm3 の高密度ポリエチレン(サンテックS−360:旭化成社製)を用意した。
【0026】
上記粘着層形成用の樹脂組成物と基材フィルム形成用の樹脂とを用い、共押出成形法によって、厚さ40μm の基材フィルムの一面に、厚さ20μm の粘着層が形成されてなるアクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0027】
実施例2
酢酸ビニル含有量10重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(三菱ポリエチLV350:三菱化学社製)96.0重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂(フォーラル105:理化ハーキュレス社製)4.0重量%とを混合した粘着層形成用の樹脂組成物を用意した。
【0028】
粘着層形成用の樹脂組成物として、上記の粘着層形成用の樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0029】
実施例3
密度0.918g/cm3 の低密度ポリエチレン(スミカセンL705:住友化学社製)99.7重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂(フォーラル105:理化ハーキュレス社製)0.3重量%とを混合した粘着層形成用の樹脂組成物を用意した。
【0030】
粘着層形成用の樹脂組成物として、上記の粘着層形成用の樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0031】
実施例4
密度0.910g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン(ウルトゼックス1020L:三井石油化学社製)99.7重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂(フォーラル105:理化ハーキュレス社製)0.3重量%とを混合した粘着層形成用の樹脂組成物を用意した。
【0032】
粘着層形成用の樹脂組成物として、上記の粘着層形成用の樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0033】
比較例1
酢酸ビニル含有量10重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(三菱ポリエチLV350:三菱化学社製)99.7重量%と芳香族変性テルペン樹脂(TR−105:ヤスハラケミカル社製)0.3重量%とを混合して粘着層形成用の樹脂組成物を用意した。
【0034】
粘着層形成用の樹脂組成物として、上記の粘着層形成用の樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0035】
比較例2
酢酸ビニル含有量10重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(三菱ポリエチLV350:三菱化学社製)99.8重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂(フォーラル105:理化ハーキュレス社製)0.2重量%とを混合して粘着層形成用の樹脂組成物を用意した。
【0036】
粘着層形成用の樹脂組成物として、上記の粘着層形成用の樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0037】
比較例3
酢酸ビニル含有量10重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(三菱ポリエチLV350:三菱化学社製)95.0重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂(フォーラル105:理化ハーキュレス社製)5.0重量%とを混合して粘着層形成用の樹脂組成物を用意した。
【0038】
粘着層形成用の樹脂組成物として、上記の粘着層形成用の樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0039】
請求項2の発明に係る実施例及び比較例
実施例5
酢酸ビニル含有量10重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(三菱ポリエチLV350:三菱化学社製)98.0重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂(フォーラル105:理化ハーキュレス社製)2.0重量%とからなる樹脂組成物100重量部に、液状ポリブテン(ポリビス200SH:日本油脂社製)0.5重量部を混合して、粘着層形成用の樹脂組成物を用意した。
【0040】
粘着層形成用の樹脂組成物として、上記の粘着層形成用の樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0041】
実施例6
酢酸ビニル含有量10重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(三菱ポリエチLV350:三菱化学社製)98.0重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂(フォーラル105:理化ハーキュレス社製)2.0重量%とからなる樹脂組成物100重量部に、液状ポリブテン(ポリビス200SH:日本油脂社製)2.0重量部を混合して、粘着層形成用の樹脂組成物を用意した。
【0042】
粘着層形成用の樹脂組成物として、上記の粘着層形成用の樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0043】
実施例7
密度0.910g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレン(ウルトゼックス1020L:三井石油化学社製)98.0重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂(フォーラル105:理化ハーキュレス社製)2.0重量%とからなる樹脂組成物100重量部に、液状ポリブテン(ポリビス200SH:日本油脂社製)2.0重量部を混合して粘着層形成用の樹脂組成物を用意した。
【0044】
粘着層形成用の樹脂組成物として、上記の粘着層形成用の樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0045】
実施例8
密度0.918g/cm3 の低密度ポリエチレン(スミカセンL705:住友化学社製)98.0重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂(フォーラル105:理化ハーキュレス社製)2.0重量%とからなる樹脂組成物100重量部に、液状ポリブテン(ポリビス200SH:日本油脂社製)2.0重量部を混合して、粘着層形成用の樹脂組成物を用意した。
【0046】
粘着層形成用の樹脂組成物として、上記の粘着層形成用の樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0047】
比較例4
液状ポリブテン(ポリビス200SH:日本油脂社製)を全く配合しなかったこと以外は、実施例5と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0048】
比較例5
液状ポリブテン(ポリビス200SH:日本油脂社製)の配合量を0.25重量部に変更したこと以外は、実施例5と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0049】
比較例6
液状ポリブテン(ポリビス200SH:日本油脂社製)の配合量を2.5重量部に変更したこと以外は、実施例5と同様に行って、アクリル板用表面保護フィルムを製造した。
【0050】
表面保護フィルムの性能試験
上記各実施例及び各比較例によって得られたアクリル板用表面保護フィルムについて、下記の方法で、初期粘着性、粘着昂進性、耐汚染性、表面ぬれ性及び表面コーティング性の評価を行った。その結果を表1(請求項1の発明に係る実施例及び比較例)及び表2(請求項2の発明に係る実施例及び比較例)に示す。
【0051】
(1)初期粘着性
表面保護フィルムを厚さ2mmのアクリル板にラミネーターで貼付け、これを温度5℃又は23℃、湿度65%RHの環境下に30分間放置した後、剥離幅25mm、剥離速度300mm/分で180度剥離により初期粘着力(g/25mm幅)を測定した。
【0052】
(2)粘着昂進性
表面保護フィルムを厚さ2mmのアクリル板にラミネーターで貼付け、これを熱風循環式オーブン中で、120℃×60分間、150℃×30分間、180℃×10分間の3条件で加熱した後常温になるまで放冷し、これを温度23℃、湿度65%RHの環境下に30分間放置した後、剥離幅25mm、剥離速度300mm/分で180度剥離により昂進粘着力(g/25mm幅)を測定した。
【0053】
(3)耐汚染性
前項の昂進粘着力を測定した後のアクリル板について、表面の糊残り及び曇りの有無をUVライト下で目視により観察した。
【0054】
(4)表面ぬれ性
表面保護フィルムを貼付ける前に、アクリル板を温度23℃、湿度50%RHの環境下に24時間放置した後、JIS K6768に準じてアクリル板表面のぬれ指数(dyn/cm)を測定した。また、表面保護フィルムを厚さ2mmのアクリル板にラミネーターで貼り付け、これを常温で1箇月間放置した後表面保護フィルムを剥がし、このアクリル板を温度23℃、湿度50%RHの環境下に24時間放置した後、アクリル板表面のぬれ指数(dyn/cm)を測定した。このぬれ指数が高いほど表面コーティング性が良い。
【0055】
(5)表面コーティング性
表面保護フィルムを厚さ2mmのアクリル板にラミネーターで貼付け、これを常温で1箇月間放置した後表面保護フィルムを剥がし、このアクリル板を温度23℃、湿度50%RHの環境下に24時間放置した後、その表面に帯電防止剤溶液を塗布し塗布むらの有無を観察した。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【発明の効果】
上述の通り、請求項1の発明のアクリル板用表面保護フィルムは、基材フィルムの一面に粘着層が形成されてなり、この粘着層は、酢酸ビニル含有量5〜15重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体、密度0.918〜0.924g/cm3 の低密度ポリエチレン、密度0.910〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレンの群から選ばれた少なくとも一種のベース樹脂96.0〜99.7重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂4.0〜0.3重量%とからなるもので、それにより、アクリル板に対する初期粘着性に優れ、常温下で経時的に粘着力の昂進がないことは勿論のこと、高温下でも粘着力の昂進がなく、表面保護フィルムを剥離した後のアクリル板の表面に糊残りや曇りなどの汚染がなく、しかもアクリル板の表面に帯電防止剤や耐候性改良剤、硬化性塗料、印刷インクなどのが各種表面コーティング剤を均一にむらなく塗布することができるという優れた効果を奏する。
【0059】
また、請求項2の発明のアクリル板用表面保護フィルムは、粘着層として、上記特定のベース樹脂96.0〜99.7重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂4.0〜0.3重量%とからなる樹脂組成物100重量部に対して、さらに液状ポリブテン0.5〜2.0重量部が含有されており、それにより、上記の優れた効果に加えて、特に、表面保護フィルムをアクリル板に貼付ける際に、アクリル板の板温度が約10℃以下の低温であっても初期粘着力の低下が小さくなり、表面保護フィルムがアクリル板から浮くことを確実に防止することができるというさらに優れた効果を奏する。
Claims (2)
- 基材フィルムの一面に粘着層が形成されてなり、この粘着層は、酢酸ビニル含有量5〜15重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体、密度0.918〜0.924g/cm3 の低密度ポリエチレン、密度0.910〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレンの群から選ばれた少なくとも一種のべース樹脂96.0〜99.7重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂4.0〜0.3重量%とからなることを特徴とするアクリル板用表面保護フィルム。
- 基材フィルムの一面に粘着層が形成されてなり、この粘着層は、酢酸ビニル含有量5〜15重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体、密度0.918〜0.924g/cm3 の低密度ポリエチレン、密度0.910〜0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレンの群から選ばれた少なくとも一種のべース樹脂96.0〜99.7重量%と完全水添ロジンのペンタエリスリトールエステル樹脂4.0〜0.3重量%とからなる樹脂組成物100重量部に対し、液状ポリブテン0.5〜2.0重量部が含有されてなることを特徴とするアクリル板用表面保護フィルム。
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