JP3659662B2 - プローブコンタクト - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、プリント基板の回路の導通を接触により取るプローブコンタクトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種のプローブコンタクトとして、U.S.P5032787号公報に開示されているものがある。これによると、先端部を有するプランジャと、プランジャに回転力と押圧力を作用させる螺旋形状のガイド部材およびコイルスプリングを備えたプローブコンタクトを提供している。そして、プランジャの先端部の先端を図のような鋭利部を有する凹形状としている。
【0003】
このような構成のプローブコンタクトの先端部を被接触部(例えば、プリント基板に設けられる素子の凸形状足部等)に直接接触させながら押し当てることにより、回転力および押圧力をプランジャに作用させている。
このように、プランジャの接触部における回転力および押圧力により、通常、被接触部表面に形成されるフラックスや酸化被膜を突き破って被接触部との良好な接触を得てプリント基板の回路の導通を取ろうとしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この構成のプローブコンタクトでは、回転力および押圧力により被接触部の凸部とプランジャの回転接触部の凹部が必然的にかみ合ってしまう。このかみ合いは接触部の回転を妨げる方向に作用するので、プリント基板に大きな荷重が加わり基板の反りが増大することになり、素子が破壊される要因になる。
【0005】
さらに、回転を伴うプローブコンタクトには回転機構を構成するための部材が必要となり、その分がコストアップにもなる。
ところで最近、オゾン層保護の観点から脱フロン化が必須課題となってきている。したがって、通常、プリント基板の洗浄に使用されるフロンやトリクロロエタン等の溶剤が使用できなくなり、今後、特に無洗浄化が進むことになる。この場合、被接触部には多くのフラックス残渣が残ることは避けられず、このフラックス残渣を確実に突き破って被接触部との良好な接触を得ることが必要不可欠となる。
【0006】
そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、フラックス残渣があったとしても、被接触部に対して接触部が回転することなく、フラックス残渣を突き破って被接触部との接触が取れるプローブコンタクトを得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1においては、回路基板に設けられた被接触部材に接触して電気的導通を取るよう構成された先端部を有するコンタクトプローブにおいて、
前記先端部に、隣接するスリットと逆円錐状部とにより形成される三角錐形状部とを備え、前記先端部の中心軸方向にある前記三角錐形状部の頂点には、被接触部材に接触するよう構成されたエッジ部が備えられていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2においては、前記先端部を一端に有する接触部材と、
この接触部材を摺動自在に保持する保持部材と、
この保持部材に設けられ、前記被接触部材に接触して前記接触部材に押し当て力を作用させた際に、この押し当て力に応じた押圧力を自己の弾性力に基づいて前記被接触部材に対して作用させる弾性部材と
を備え、
前記押圧力をもとに前記エッジを介して前記被接触部材との電気的導通を取るよう構成されてなることを特徴とする。
また、請求項3においては、前記先端部を少なくとも一端に有する接触部材と、該接触部材の他端を摺動自在に保持する保持部材と、さらに該保持部材に設けられ前記接触部材の前記他端をー方に押しつける弾性部材とからなるプローブコンタクトであって
記接触部材が前記被接触部に押し当てられると、前記エッジ部が該被接触部に接触し、さらに前記接触部材の押し当て力が作用してなる前記弾性部材の弾性力により所望の押圧力を得ることを特徴とする。
また、請求項4においては、請求項2又は3において、前記接触部材は導電性の材料からなり、少なくとも前記保持部材および前記弾性部材のいずれかー方若しくは両方が導電性の材料からなることを特徴とする。
また、請求項5においては、請求項1乃至4の何れかにおいて、全ての前記スリットの幅及び深さが略等しいことを特徴とする。
また、請求項6においては、請求項1乃至4の何れかにおいて、前記スリットの幅及び深さが互いに異なることを特徴とする。
また、請求項7においては、請求項1乃至6の何れかにおいて、少なくとも1つの前記スリットの底面は、前記先端部の中心軸に対して遠ざかる方向に放射状に広がるにつれて下方に傾斜することを特徴とする。
さらに、請求項8においては、請求項1乃至7の何れかにおいて、エッジは、エッジの角度θをθ=120°〜150°としたことを特徴とする。
【0009】
【作用】
本発明によれば、接触部材の押し当て力が被接触部に作用すると、先端部の上面に設けられたスリットにより形成されたエッジ部が被接触部に接触する。折しも、押し当て力により保持部材に設けられた弾性部材は収縮する。そして、収縮した弾性部材は自己の弾性力により接触部材の他端をー方に押しつけようとするので、この押圧力を利用して、所望の押圧力による被接触部への接触を得る。
【0010】
【実施例】
以下、本発明のー実施例を図に従って説明する。
図1は本発明のプローブコンタクトの使用状態を示す全体概略図である。
図1において、プローブコンタクトは先端部4を有する接触部材としてのプランジャ1と、プランジャ1を内部に摺動自在に保持する円筒形状の保持部材としてのバレル2と、このバレル2内部に設けられプランジャ1をー方に押しつけている弾性部材としてのスプリング3とからなる。また、プランジャ1は導電性の材料からなり、バレル2およびスプリング3のいずれかー方または両方が導電性の材料からなる。そして、後述の図3に示すプリント基板に設けられたコネクタ等の電子部品の被接触部となる素子足部と接触するプランジャ1の接触部には先端部4が設けてある。
【0011】
先端部4は図2に示す拡大斜視図のような構成としており、先端部4の上面には少なくとも素子足部のー部を包み込むような凹形状部9(以下、逆円錐形状部と呼ぶ)を設け、さらにスリット5を先端部4の中心軸から放射状に配設することにより、逆円錐形状部9のバレル2側下端に形成されるエッジ部10を有する三角錐形状部11(図1のプランジャ先端平面上方向から見て扇形)を形成している。また、スリット5のスリット底面部12は先端部4の中心軸方向バレル2側に所定の深さで設けられており、中心軸から外周方向に向けて下側(図1の図示下方向)に傾斜させている。なお、バレル2の断面は円筒形状に固守する必要はない。
【0012】
このような構成のプローブコンタクトの使用状態および作動を以下に説明する。
先ず、プローブコンタクトをプリント基板検査機(図示しない)の取付板6に嵌合または接着により取り付けられているソケット7内に装着する。ソケット7は導電性材料により形成され、かつ端子8を有しており、端子8にははんだ付け等によりリード線(図示せず)が接続されている。そして、プランジャ1の先端部4をプリント基板に設けられた被接触部に接触させながら押し付けてプリント基板の回路の導通を取り、リード線を介してプリント基板検査機によりプリント基板の検査を行うのである。
【0013】
次に、このようにプローブコンタクトを被接触部へ押し当てると、プランジャ1は摺動してバレル2内部にあるスプリング3を収縮させ、この収縮に応じたスプリング3の弾性力により先端部4は被接触部をー定荷重以上で押さえることとなる。このときの接触状態を、例えば被接触部が電子部品の素子足部である場合に、図3に要部断面として示す。素子足部14はコネクタ等の電子部品であり、プリント基板15にはんだ付けにより取り付けられている。このような素子足部14にプローブコンタクトをー定荷重以上で押し当てると、先端部4に形成したエッジ部10は素子足部14の側面部に適度に接触し押圧する。
【0014】
このときの押圧状態で側面からみた場合の原理図を図4(a)に、平面(図4(a)におけるA方向)から見た場合を図4(b)に示し、比較のためにエッジ部10のない図のような先端部の接触状態を前記と同様な方向から見た場合の原理図を、それぞれ図5(a)および図5(b)に示す。先ず図4(a)、(b)において、プローブコンタクトを一定荷重以上で押さえると図示上方向に矢印のような加重が加わり、エッジ部10が素子足部14の側面部に当たることとなる。このとき所謂、三角錐形状効果により単位面積当たりの接触圧が高くなるので、素子足部14の表面に形成されたフラックス残渣および酸化膜(いずれも図示しない)は確実に突き破られ、金属部と良好な接触が可能となる。即ち、この接触により、素子足部14に対してナイフ効果と点接触極圧効果の両方の作用が働いたことになる、これに対して図5(a)、(b)による接触は、エッジ部10が設けられていないため、図示上方向に矢印のような加重が加わったとしても素子足部14に対するナイフ効果のみが作用することになり、フラックスや酸化膜を十分に突き破ることができず金属部との接触が不十分となる。
【0015】
以上のように被接触部に対して接触部の回転しない構成のプローブコンタクトにあっては、従来の回転機構のあるプローブコンタクトに比して、素子足部14の凸部と先端部4の接触部がかみ合うことがない。このため、プリント基板に組付けられている素子に対して、回転時に生じていたかみ合いに起因して起こる素子破壊を無くすことができる。さらには回転機構を必要としないため、それにかかる部材はいらなくなり、よって廉価なプローブコンタクトを提供することができる。
【0016】
また、図のような先端部を有し回転機構のないプローフコンタクトでは、相当に強いスプリングを配置しても被接触部との良好な接触を得ることが困難であるのに対し、本実施例のようなプローブコンタクトではエッジ部10を設けているので、適度なスプリング加重で、換言すれば必要以上のスプリング加重アップなしに被接触部との良好な接触が得られる。
【0017】
また、スリット5のスリット底面部12は先端部4の中心軸から外周方向に向かうに従って下面(図3における下方向)に傾斜しており、フラックス等の屑はスリット5を通じて排出されるため、これらの屑の堆積を防ぐ効果もあり、被接触部との常時安定した接触が可能となる。
なお、スリット底面部12が傾斜していなくても、本発明のフラックス残渣を突き破って被接触部との良好な接触が取れるということを阻害することはない。
【0018】
ところで本発明者は種々検討を試みた結果、エッジ部10の角度θを実用上、下記の値にすることが望ましいことを見出した。即ち、角度θは素子足部14の形状により適宜決められるが、図2に示すような先端部4を使用する場合には、エッジ効果と共に逆円錐形状効果により先端部4と素子足部14との位置ズレを補正させることを加味すればθ=120°〜150°とすることが有効である。
【0019】
本実施例におけるスリット5の数は6個としたが、この数は素子足部14のリード外径寸法およびスリット幅寸法により適宜決められる。勿論、エッジ部10が少なくとも1箇所形成されればよいことを前提とすれば、スリット数は最低2個あれば足りる。なお、ーつの先端部の上面に設けるスリットの幅および深さなどの形状は必ずしも同ーにする必要はない。従って、この場合に形成されるエッジ部の形状はーつの先端部において種々異なることになるが、十分に被接触部との良好な接触は得られる。また、1つのスリット5の幅はスリット5全域において一定となる必要はなく、例えば、先端部4の中心軸から外周方向に向かうに従って広がるようにすれば、フラックス等の屑の排出効果はより大きくなる。
【0020】
また、本実施例では被接触部を素子足部14としたが、電気的導通が取れるものでおおよそ凸形状を有するものであって、これに合わせた先端形状を有するプローブコンタクトを以てすれば、いかなる形状の被接触部でも良好な接触が可能となる。
図3のように被接触部がはんだで形成されている場合には、はんだツララ13が発生することがあるが、この場合であってもはんだツララ13をスリット部5へ逃がせるので、被接触部の素子足部14の側面を常にエッジ部10で接触させることができ良好な接触を確保し得る。
【0023】
なお、本実施例にあってはバレル2の内部にスプリング3を収納したプロープコンタクトを一例に示したが、スプリング3がプランジャ1の他端を一方に押しつけられるようにバレル2に保持されていれば、例えバレル2の外部に設けてあっても全く問題ない。
【0024】
以上詳述した本発明の構成のプローブコンタクトを利用すれば、今後オゾン層保護の観点から脱フロン化に対する無洗浄化が進み、被接触部に多くのフラックス残渣があったとしても、なんら問題なく被接触部との良好な接触を得ることが可能となる。
【0025】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、プリント基板に組付けられている素子に対し、回転時に生じていたかみ合いに起因して起こる素子破壊を無くすことができ、さらには回転機構を必要としないためそれにかかる部材はいらなくなり、よって廉価なプローグコンタクトを提供することができるのみならず、エッジ効果と共に逆円錐効果により先端部と素子足部との位置ズレを補正させることを加味すればエッジの角度θを120°〜150°とすることが有効であり、且つエッジ効果により被接触部のフラックス残渣を突き破って被接触部との良好な接触が取れるという優れた効果を奏する。
【0026】
また、弾性部材は接触部材をー方に押しつけるように作用するので、被接触部に対して接触部が回転することはない。さらにスリット底面部を先端部の中心軸から外周方向に向かうに従って保持部材側に傾斜するように設けたので、フラックス等の屑をスリットを通じて排出しこれらの堆積を防ぐ効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプローブコンタクトの使用状態を示す全体概略図である。
【図2】本発明のプランジャの先端部の拡大斜視図を示す。
【図3】本発明の接触状態を示す要部断面図である。
【図4】(a)は、本発明のエッジ部が素子足部側面に接触する押圧状態原理図である。
(b)は図4(a)におけるA方向から見た押圧状態原理図である。
【図5】(a)は、エッジ部のない先端部の接触状態を示す押圧状態原理図である。
(b)は、図5(a)におけるA方向から見た押圧状態原理図である。
【図6】従来のプランジャの先端部の概略図を示す。
【符号の説明】
1 プランジャ(接触部材)
2 バレル(保持部材)
3 スプリング(弾性部材)
先端部
スリット
9 逆円錐形状
10 エッジ部
14 素子足部

Claims (8)

  1. 回路基板に設けられた被接触部材に接触して電気的導通を取るように構成された先端部を有するコンタクトプローブにおいて、
    前記先端部の上面に前記被接触部材の一部を包み込むような逆円錐状部を設け、且つ前記先端部に、放射状に形成された複数のスリットと、隣接する前記スリットと前記逆円錐形状部とにより形成される三角錐形状部とを備え、
    前記先端部の中心軸方向にある前記三角錐形状部の頂点には、前記被接触部材に接触するよう構成されたエッジ部が備えられていることを特徴とする回路基板の回路検査に用いられるコンタクトプローブ。
  2. 前記先端部を一端に有する接触部材と、
    この接触部材を摺動自在に保持する保持部材と、
    この保持部材に設けられ、前記被接触部に接触して前記接触部材に押し当て力を作用させた際に、この押し当て力に応じて押圧力を自己の弾性力に基づいて前記被接触部材に対して作用させる弾性部材と
    を備え、
    前記押圧力をもとに前記エッジを介して前記被接触部材との電気的導通を取るよう構成されてなることを特徴とする回路基板の回路検査に用いられる請求項1に記載のコンタクトプローブ。
  3. 前記先端部を少なくとも一端に有する接触部材と、該接触部材の他端を摺動自在に保持する保持部材と、さらに該保持部材に設けられ前記接触部材の他端を一方に押しつける弾性部材とを有し、
    前記接触部材が前記被接触部に押し当てられると、前記エッジ部が該被接触部に接触し、さらに前記接触部材の押し当て力が作用してなる前記弾性部材の弾性力により所望の押圧力を得ることを特徴とする回路基板の回路検査に用いられる請求項1に記載のコンタクトプローブ。
  4. 前記接触部材は導電性の材料からなり、少なくとも前記保持部材及び前記弾性部材の何れか一方若しくは両方が導電性の材料からなることを特徴とする請求項2又は3に記載のコンタクトプローブ。
  5. 全ての前記スリット幅及び深さが略等しいことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のコンタクトプローブ。
  6. 前記スリットの幅及び深さが互いに異なることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のコンタクトプローブ。
  7. 少なくとも1つの前記スリットの底面は、前記先端部の中心軸に対して遠ざかる方向に放射状に広がるにつれて下方に傾斜することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のコンタクトプローブ。
  8. 前記エッジは、エッジの角度θをθ=120°〜150°としたことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトプローブ。
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