JP3659266B2 - メダル落としゲーム機 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、メダルの供給位置及び供給タイミングの選定の仕方を調節することによって、より多くのメダルを獲得することを競うメダル落としゲーム機に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のメダル落としゲーム機として、従来、位置不動の固定テーブルと、その固定テーブル上で往復進退移動する移動テーブルと、固定テーブルの先端近傍に設けたメダル獲得口と、そして固定テーブル又は移動テーブル上にメダルを導くメダル投入用レールとを有する形式のものが知られている。このメダル落としゲーム機では、固定テーブル及び移動テーブル上に複数個のメダルを載せておき、プレイヤがメダル投入用レールからメダルを1個づつ固定テーブル又は移動テーブルの上へ供給する。
【0003】
移動テーブルは固定テーブルに対して相対的に進退移動を繰り返すので、投入されたメダルがその移動テーブルの進退移動に対して特定の位置条件を満たすと、移動テーブルが後退移動するときに1個又は複数個のメダルが固定テーブル上にこぼれ落ち、さらに引き続いて移動テーブルが前進移動するときに固定テーブル上にある複数個のメダルのうちのいくつかが移動テーブルに押されてメダル獲得口へ落下する。メダル獲得口は、通常、プレイヤに面して開口するメダル取出し口に連通し、よって、メダル獲得口に落下したメダルはメダル取出し口からプレイヤへ付与される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のメダル落としゲーム機においては、メダルを溜めておくためのゲームフィールドが固定テーブル又はそれよりも少し広い領域に限られていたので、プレイヤに多量のメダルを見せることができなかった。そのため、プレイヤにプレイを促すことに関して十分な効果が得られなかった。このことを解消するため本発明者は、未だ公知ではないが、電動モータなどの駆動源によって駆動されて周回移動するフィールド容器を固定テーブルの下方位置に配設し、そのフィールド容器の中に、例えば10,000枚程度の多量のメダルを収容するようにしたメダル落としゲーム機を提案した。
【0005】
このゲーム機によれば、フィールド容器内には多量のメダルが溜められ、さらにその溜められた多量のメダルがフィールド容器の周回移動に従って固定テーブル及び移動テーブルの下方位置で流れるように循環移動する。これを見るプレイヤは、多量のメダルを目の前にすることにより、より多くのメダルを獲得しようとしてゲームに熱中できる。すなわち、プレイヤのプレイ意欲を高めるディスプレイ効果を得ることができる。
【0006】
しかしながら、このような周回移動するフィールド容器を用いたメダル落としゲーム機には次のような問題が考えられる。すなわち、プレイヤによってゲームが継続されるとフィールド容器の中に溜められるメダルの量が徐々に増えてゆく。このメダル量が許容限界量を越えると、フィールド容器からメダルが溢れてしまい、その結果、ゲーム機内の各種機器を壊したり、本来は獲得すべきでないメダルがフィールド容器から溢れ出てメダル獲得口に入ってしまう。このような問題を解消するために保守作業者が、常時、本メダル落としゲーム機の稼働状況を監視し、メダルが溢れそうになったとき、ゲーム機の稼働を停止してメダルをフィールド容器からすくい取る等して、メダルを回収する必要があった。
【0007】
本発明は、上記のような問題点を解消するために成されたものであって、周回移動するフィールド容器の中に多量のメダルを収容する形式のメダル落としゲーム機に関して、メダルの溢れを気にすることなく機械を継続して運転できるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係るメダル落としゲーム機は、位置不動の固定テーブルと、その固定テーブル上で往復進退移動する移動テーブルと、前記固定テーブルの先端近傍に設けたメダル獲得口と、前記固定テーブル又は前記移動テーブル上にメダルを導くメダル投入手段とを有するメダル落としゲーム機において、メダルを収容した状態で移動すると共に前記固定テーブル又は前記移動テーブルから落下したメダルを受け取るフィールド容器と、前記フィールド容器内に溜められたメダル量が許容量を越えるときにそのフィールド容器内のメダルをそのフィールド容器の外部へ取り出すメダル溢れ防止手段とを有することを特徴とする。
【0009】
フィールド容器の配設位置は、固定テーブルの下方位置とすることが望ましい。また、フィールド容器の移動形態は、往復揺動運動や周回移動といった種々の移動形態が考えられる。いずれの移動形態でも多量のメダルをプレイヤに目立ち易くできる。
【0010】
メダル溢れ防止手段の具体的な構造は種々考えられる。例えば、フィールド容器内のメダル量を測定する測定装置及びメダルをフィールド容器の外側へ排出するメダル排出機構を設け、測定装置によってメダル量が許容限界量に達したことが検知されたときに、メダル排出機構を作動して適当量のメダルをフィールド容器から回収するといった構成も考えられる。しかしながら、そのような構成は大掛かりであると共に経費がかかる。この問題を回避するため、フィールド容器の側壁部の内周面に密着して側壁部の上端縁から所定高さ位置まで斜めに配置されるメダル回収板を用いてメダル溢れ防止手段を構成することが望ましい。
【0011】
フィールド容器の側壁部の内周面に密着するメダル回収板を用いる場合には、メダル回収板の先端の高さ位置をフィールド容器に対して調節可能にしておくことが望ましい。この位置調節により、メダルの回収が始まる許容限界量を希望する任意の値に設定できる。また、メダル回収板は、メダルを確実に移動させるためにフィールド容器の側壁部内周面に隙間無く密着することが望ましい。そのような密着状態を達成するため、予めメダル回収板をフィールド容器の側壁部内周面に沿った形状に形成し、さらにそのメダル回収板をバネその他の弾性部材によってフィールド容器の側壁部の内周面に押し付けるようにすることが望ましい。
【0012】
【作用】
本発明に係るメダル落としゲーム機では、プレイヤがメダル投入手段を介してメダルを固定テーブル又は移動テーブルの上に供給する。供給されたメダルが固定テーブル又は移動テーブル上の好ましい場所に位置すると、移動テーブルの進退移動に応じて固定テーブル上のメダルのうちのいくつかがメダル獲得口の中へ落ち込み、プレイヤの手元に払い出される。プレイヤによって供給されるメダルが固定テーブル又は移動テーブル上の好ましい位置に落下しないときには、移動テーブルが進退移動しても、固定テーブル上のメダルはメダル獲得口へは落下せず、固定テーブル上に残ったままだったり、フィールド容器内へ落下する。
【0013】
フィールド容器内には多量のメダルが溜められ、さらにその溜められた多量のメダルが、例えば、フィールド容器の周回移動に従って固定テーブル及び移動テーブルの下方位置で流れるように循環移動する。これを見るプレイヤは、多量のメダルを目の前にすることにより、より多くのメダルを獲得しようとしてゲームに熱中できる。つまり、プレイヤをしてプレイをしたいという気持ちが促される。
【0014】
プレイヤによってゲーム機の内部にメダルが供給されると、フィールド容器内のメダルの量が徐々に増えてゆく。この量が所定の許容限界量を越えると、メダル溢れ防止手段の働きによって所定量のメダルがフィールド容器内から取り出される。これにより、フィールド容器内からのメダルの溢れを心配することなしに、メダル落としゲーム機の運転を継続できる。
【0015】
【実施例】
図1は、本発明に係るメダル落としゲーム機の一実施例を示している。このメダル落としゲーム機は、筐体1の周囲に4個のゲームステージ2a,2b,2c,2dを有している。各ゲームステージには、下方位置にメダル取出し口3が1個ずつ設けられ、さらにその上端面に後述するボーナスゲームの際に使用する第1ボタン4及び第2ボタン5の2個のボタンが設けられる。筐体1の中央部分は透明でドーム形状のプラスチックカバー6で覆われ、そのカバー6の中の中央部にタワー7が立てられている。
【0016】
タワー7は、図3において、筐体1の内部に設けた機枠11に位置不動に固定される。図では、機枠11に対するタワー7の具体的な固定方法は図示していないが、任意の固定方法を用いることができる。タワー7の根元部分には、支柱12によって機枠11に固定された固定テーブル8と、その固定テーブル8の上に滑り移動自在に載せられた2枚の移動テーブル9が配置される。固定テーブル8は図4に示すように概ね十字形状に形成され、他方、2個の移動テーブル9は、固定テーブル8の幅W8とほぼ等しい幅の直線状の板によって形成される。固定テーブル8の中央には貫通穴13が開けられ、一方、各移動テーブル9の中央には長穴14が開けられる。
【0017】
図2に示すように、固定テーブル8の先端部8a及び移動テーブル9の先端部9aはタワー7の外側へ突出している。各テーブルの先端部8a及び9aは、ゲームステージ2a〜2dのそれぞれに対応して位置している。また、固定テーブル8の各先端部8aに対応する筐体1の上面部分にはメダル獲得口として作用する開口15が形成される。これらのメダル獲得口15は、図3の左部に示すように、各ゲームステージ2a〜2dのメダル取出し口3に筐体内部において連通している。1個の固定テーブル先端部8a及びその固定テーブル先端部8aに載っている1個の移動テーブル先端部9aは、個々のゲームステージ2a〜2dに対するテーブルユニット10を構成している。本実施例の各テーブルユニット10は、タワー7を中心として円周状に並べられることになる。
【0018】
図3において、機枠11のほぼ中央に電動モータ54が配設される。このモータ54の出力軸54aの先端には、それと直角方向へ突出するアーム16が固着され、そのアーム16の先端にローラ17が回転自在に設けられる。このローラ17は、図4に示すように、固定テーブル8の中央部貫通穴13を通って、各移動テーブル9の中央部長穴14に嵌合する。モータ54が作動して回転軸54aが自らの軸線を中心として回転し、それに従ってローラ17が矢印Aのように回転軸54aを中心として旋回すると、そのローラ17に嵌合する各移動テーブル9は矢印Bで示すように往復直進移動する。なお、各移動テーブル9の両側面にはガイド部材(図示せず)が設けられ、このガイド部材によって各移動テーブル9が直進移動するように案内される。このようなガイド部材はそれ専用の部材を移動テーブル9のまわりに配置することによって形成することもできるし、あるいは、タワー7の根元部分に形成する各テーブル8,9を逃げるための開口をそのようなガイド部材として用いることもできる。
【0019】
図3において、固定テーブル8の下方位置には、フィールド容器18が設置されている。このフィールド容器18は例えばプラスチックの成形加工によって作られていて、図5に示すように、全体形状が概ね円形状に形成され、さらに中央部開口19のまわりにリング状の凹部20が形成されている。ゲームに用いられるメダルはこのリング状凹部の中に収容される。実施例では、10,000枚程度の多量のメダルが収容される。フィールド容器18の底面には鉄その他の剛性材料によって形成されたリング形状の底板21が接着、ネジ止め、その他の固着方法によって固着されている。底板21の中央部には、フィールド容器18の中央部開口19とほぼ同じ径の開口22が形成され、その開口22の周縁全域に突起壁23が形成されている。
【0020】
図3において、機枠11の上面の複数箇所に2軸キャスター26が固定され、それらの2軸キャスター26のローラ28の上にフィールド容器18が載っている。この2軸キャスター26は、図6に示すように、フレーム軸線L1を中心として自由に回転できる支持枠27と、その支持枠27によってローラ軸線L2を中心として自由に回転できるローラ28とによって構成されている。本実施例では、支持枠27が機枠11に固着される。フレーム軸線L1とローラ軸線L2は互いに直交位置にあり、よってローラ28はフレーム軸線L1のまわりで自由に向きを変えながら回転することができる。
【0021】
フィールド容器18の底面に剛性の底板21を設けるのは次の理由による。1つは、フィールド容器18には多量のメダルが収容されて重量が非常に重くなるので、それに十分耐え得るようにするためである。また他の1つは、仮に底板21を木材等の柔らかい材料を用いて形成すると、キャスターローラ28に対する底板21の接触面が大きく撓んで接触面積が大きくなることにより、底板21の動き、従ってフィールド容器18の動きが鈍くなるのに対し、本実施例のように底板21を剛性材料で形成すればキャスターローラ28に対する接触面積を小さく維持できるので、フィールド容器18を滑らかに移動させることができるからである。
【0022】
図2において、移動テーブル9を駆動するためのモータ54の出力軸54aにはギヤ列24が連結され、そのギヤ列の最終段にプーリ25が設けられる。そしてこのプーリ25が、フィールド容器18と一体な底板21の突起壁23の内周面に圧力下で接触している。モータ54が作動してその出力軸54aが回転すると、ギヤ列24によってその回転がプーリ25へ伝えられてプーリ25が回転する。そしてプーリ25の回転が摩擦伝動によってフィールド容器18へ伝えられてそのフィールド容器18が矢印Cのように周回移動する。なお、底板21の突起壁23の内周面には、駆動プーリ25以外に、スプリング31によって押し付けられる補助プーリ29及び他の補助プーリ30が接触している。従って、フィールド容器18は、これら3個のプーリ25,29及び30によって特定される軸線を中心として矢印C方向へ周回移動する。
【0023】
図1に戻って、各ゲームステージ2a〜2dのそれぞれに対応して、タワー7の側面にメダル運搬装置32が配設される。これらのメダル運搬装置32は、図7に示すように、平行リンク35及びそれらの先端に連結された平行移動部材36によって構成されたアーム37と、平行移動部材36の下端すなわちアーム37の先端に回転可能に支持されたバケット33とを有している。アーム37は、アーム用モータ38によって駆動されてバケット33を上方位置Eと下方位置Fとの間で運搬する。上方位置Eは、バケット33が移動テーブル9の上方に位置する位置のことである。また、下方位置Fは、バケット33がフィールド容器18の凹部20の直上位置に入り込む位置のことである。なお、バケット33は、平行移動部材36の下端に搭載されたバケット用モータ34によって駆動されて矢印Dのように往復回転移動する。バケット33が下位置へ回転移動するとメダル43がバケット内へすくい上げられ、一方、バケット33が上位置へ回転移動するとメダル43がバケットから落下する。
【0024】
図1において、各ゲームステージ2a〜2dに1個ずつ、メダル投入用レール39が設けられる。これらのメダル投入用レール39は、図8に示すように、2枚の側板41a及び41bをスペース部材42を挟んで互いに接合することによって形成される。メダル43は、メダル投入口44からレール内へ投入され、スペース部材42によって形成される空間内を滑り又は転がり降り、そしてメダル落下口45から外部へ落下する。落下したメダル43は、移動テーブル9又は固定テーブル8の上へ落下する。メダル落下口45は、移動テーブル9の上に位置させても良いし、固定テーブル8の上に位置させても良い。実施例では、移動テーブル9の上に位置させるものとする。メダル投入口44は、ネジ49によって位置調節可能なチップ50によって形成されている。チップ50を位置調節することによってメダル投入口44の開口幅をメダル43の直径とほぼ等しい幅に設定しておけば、規定の径よりも大きい不良メダルが誤って又は故意にレール内へ投入されることを防止できる。
【0025】
このメダル投入用レール39は、傾斜レール部39a及びそれに連続する直立レール部39bとによって構成される。このメダル投入用レール39は、傾斜レール部39aを支柱46に固定することによりゲーム機筐体1(図1)の上に設置される。支柱46は軸受47によって回転可能に支持されており、よって、レール39の全体は矢印Gで示すように支柱46を中心として左右横方向へ振ることができる。この横方向への移動は、メダル43の落下位置をプレイヤの希望に応じて変化できるようにするためである。
【0026】
メダル投入用レール39の傾斜レール部39aは、図9に示すように左右いずれかの方向、実施例では右方向に傾いている。これに対し、直立レール部39bは図示の通り、傾くことなく垂直上下方向へ向いている。傾斜レール部39aの傾斜側の側板41aには、図8に示すようにメダル選別用の長穴48が開けられている。また、この長穴48の上辺を形成する側辺チップ51は、ネジ52によって高さ位置の調節ができる。長穴48の高さ幅は規定のメダル43の径よりも低く設定され、よって、規定値よりも小さい径の不良メダル43Fが誤って又は故意にメダル投入口44に投入されると、その不良メダル43Fは長穴48のところで外部へ落下して、直立レール部39bへ転がり込むことを阻止される。落下した不良メダル43Fは突出板53に当たってメダル獲得口15へ回収される。こうして、径の小さい不良メダルがゲームに使用されることが防止される。
【0027】
傾斜レール部39aの側板41a及び41bに傾きを持たせたのは、メダル43,43Fが、長穴48が形成されている方の側板41aの内面に接触しながら転がるようにするためのものである。直立レール部39bは、そのように傾斜状態で転がり降りるメダル43の姿勢を直立した起立状態へ矯正するためのものである。メダル43が傾斜状態のままでメダル落下口45から移動テーブル9の上へ落下すると、落下後のメダル43の動きが不安定になってプレイヤの希望する位置へメダル43を正確に落下させることが難しくなる。これに対して、直立レール部39bを設けてメダル43の姿勢を垂直上下方向に矯正すれば、移動テーブル9上へのメダル43の落下位置を正確にコントロールできる。
【0028】
なお、不良メダル選別用の長穴48の前方側の端辺部には、上下2つの傾斜辺55a及び55bが形成されている。レール内を転がり降りるメダル43は、特に長穴48の所を通過するときに左右に振れながら移動する傾向にある。長穴48の前方側の端辺を上下方向へ延びる単なる直線状に形成しておくと、すなわち長穴48を単なる長方形状に形成しておくと、そのように左右に振れながら転がるメダルはその端辺にぶつかって停止し、後から流れてくるメダルが次々とレール内に詰まってしまうという問題が考えられる。これに対し本実施例のように、長穴48の前側端辺を傾斜辺55a,55bとしておけば、左右にふらつきながら転がるメダルもそれらの傾斜片55a,55bによって徐々にレールの内側方向へ案内されてゆき、この結果、長穴48のところでメダルが詰まることを完全に防止できる。
【0029】
メダル投入用レール39の先端、具体的には直立レール部39bの先端には、光センサ、機械式センサ、その他の検知用素子によって形成されたメダルセンサ56が固定されている。このメダルセンサ56は直立レール部39b内を転がり降りるメダル43を検知して検知信号、すなわち電気信号を出力する。また、直立レール部39bの先端には。支柱57によって星型の電飾板58が固着されている。そしてこの電飾板58の表面には、黄色と赤色の2色の間で選択的に発光できる周部LED59が5個設けられ、さらに赤色の1色で発光する中心部LED60が1個設けられる。これらのLEDは、ボーナスゲームの当たり外れを表示するものであるが、詳しくは後述する。
【0030】
図2に戻って、筐体1の上面の1箇所(図では右下部分)に、メダルがフィールド容器18から溢れ出てメダル獲得口15へ入ったり、筐体1の内部へ落下したりするのを防止するためのメダル溢れ防止装置61が配設される。このメダル溢れ防止装置61は、図10に示すように、フィールド容器18の外側の側壁部の内周面18aに接触する細長い爪状のメダル回収板62と、その回収板62をフィールド容器の側壁部内周面18aに押し付ける圧縮バネ63と、メダル回収用ホッパ64とを有している。
【0031】
メダル回収板62は、フィールド容器の側壁部内周面18aの上端から斜め下方の適宜の位置まで延びている。また、メダル回収板62の厚さは、メダル43の厚さ程度に設定される。本実施例では、フィールド容器の側壁部内周面18aは単純な直線断面形状ではなく湾曲形状を有している。メダル回収板62は、予めその湾曲形状に沿った湾曲形状に形成され、さらにバネ63によって引かれることにより、フィールド容器の側壁部内周面18aに押し付けられてその内周面18aに隙間なく密着する。
【0032】
ゲームが続けられると、フィールド容器18の凹部20の中に溜ってゆくメダル43の量が徐々に多くなってゆく。このメダル量が許容限界量に達すると、メダルの一部がメダル回収板62に乗り上げ、さらに上方へ押し上げられ、そして回収用ホッパ64の中に落ちる。ホッパ内に落ちたメダルは、筐体1(図1)の内部の適所に設置したメダルボックス65へ送り込まれ、そしてその中に回収される。このように、過剰量のメダル43はメダル回収板62によってフィールド容器18から回収されるので、ゲームが続けられてフィールド容器18内のメダル量が増えていっても、そのフィールド容器18内のメダルが溢れて誤ってメダル獲得口15や筐体1の内部へ落ち込むことはない。
【0033】
メダル回収板62は、その上端部においてネジ80によって支持部材81に固着されている。回収板の固着部分には長穴82が開けられていて、ネジ80を締め付ける際に回収板62のフィールド容器18に対する高さ位置、特に回収板62の先端高さ位置を調節することができる。この位置調節により、メダル43の回収が始まる限界位置、すなわちメダルの許容限界量を調節できる。
【0034】
図2において、筐体1の上面であってゲームステージ2a及び2cの両脇の部分に左右一対の穴66が形成されている。これらの穴には、図11に示すように、透明カバー6の下端に吊り下げられた支え棒67が収納される。矢印Hのように、カバー6をゲームステージ2a側の1点を支点として持ち上げれば、ゲームステージ2c側のカバー6の端部が上方へ開き、支え棒67が筐体1の上方へ現れる。カバー6を上方へ開ききった状態で支え棒67の下端を筐体1の上面の適所に引っ掛ければ、作業者が手を離しても支え棒67に支えられてカバー6が片開き状態に保持される。この状態で、作業者によってカバー6の内部のフィールド上の各種の保守作業が行われる。以上は、ゲームステージ2c側のカバー6を開く場合の説明であるが、もう一方の側、すなわちゲームステージ2a側のカバー6も同様にして開くことができる。
【0035】
図12は、本実施例に使用される電気制御系の一例の要部を示している。ここに示す制御装置68は、例えばマイクロコンピュータによって構成され、筐体1(図1)の内部の適所に設置される。制御装置68を機能ブロック的に示せば、図示の通り、メダルカウント回路70と、各ゲームステージ2a〜2dに対応して設けられるボーナス発生回路73と、同じく各ゲームステージ2a〜2dに対応して設けられるパターンラッチ回路71と、電飾板58(図8)の周部LED59を点滅させるための一定周期のパルス信号SL を出力するLEDパターン作成回路74と、そしてボーナスゲームを演算するボーナスゲーム演算部72とを有している。
【0036】
メダルカウント回路70は、各ゲームステージ2a〜2dに設けたメダルセンサ56(図8)からのメダル検知信号を受け取ってカウント信号を出力する。ボーナス発生回路73は、一定周期のパルス信号であるボーナスタイミング用基準信号SBを作成してそれをパターンラッチ回路71へ送ると共にメダルカウント部70からのカウント信号とそのボーナスタイミング用基準信号SBとが時間的に一致したときにボーナス発生信号SHをボーナスゲーム演算部72へ向けて出力する。メダルカウント回路70の出力カウント信号はコインカウンタ76にも送られる。このコインカウンタ76は筐体1(図1)の内部の適所に配置されるものであって、カウント信号が入るたびに数値表示を1ずつカウントアップしてゆく形式のカウンタである。保守管理者は、このコインカウンタ76のカウントアップ値を確認することにより、プレイヤによって本ゲーム機の中に何枚のメダルが投入されたかを確認できる。
【0037】
パターンラッチ回路71は、LEDパターン作成回路74からのパルス信号SL及びボーナス発生部73からのパルス信号SBを受け取って、それらの各信号を後段のLEDドライバ75を作動させるのに適合した周期間隔でラッチして出力する。そして、周部LED59及び中心部LED60は、パターンラッチ回路71の出力信号に基づいて点滅発光する。
【0038】
ボーナス発生回路73からのボーナス発生信号SHを受け取るボーナスゲーム演算部72には、各ゲームステージ2a〜2dのそれぞれに設けた第1ボタン4及び第2ボタン5が入力装置として接続され、そして、各ゲームステージ2a〜2dに対応したアーム用モータ38及びバケット用モータ34が出力装置として接続されている。このボーナスゲーム演算部72は、ボーナス発生信号SHを受け取ることによりボーナスゲームの演算を開始し、所定のメモリ内に記憶されている手順に従ってアーム用モータ38及びバケット用モータ34の動作を制御する。
【0039】
以下、上記構成より成るメダル落としゲーム機についてその動作を説明する。図1及び図3において、プレイヤは各ゲームステージ2a〜2dの前に立つ。フィールド容器18の中には10,000程度の多量のメダル43が収容され、その状態でテーブル用モータ54によって駆動されてフィールド容器18がタワー7のまわりを周回移動する。この周回移動により、多量のメダル43は固定テーブル8の下で流れるように循環移動する。これを見るプレイヤは、少量のメダルがゲームフィールドに置かれていた従来のメダル落としゲーム機の場合と比較して、より一層ゲームに熱中できる。また、多量の流れるメダルを観客に見せることにより、より多くの観客をゲームに引き込むことができる。
【0040】
テーブル用モータ54が作動するとき、フィールド容器18が周回移動するのと同時に、図3に矢印M,Nで示すように2個の移動テーブル9が固定テーブル8の上で個々に進退移動する。プレイヤは、予め与えられたメダルをメダル投入用レール39のメダル投入口44に1個ずつ投入し、移動テーブル9の上に1個又は複数個のメダル43を供給する。このとき、図8に示す電飾板58では、5個の周部LED59が個々に黄色で点滅し、そして中心部LED60が所定の周期間隔で赤色に点滅する。この中心部LED60の赤色の発光タイミングは、その赤色発光時にメダル43がレール先端のメダルセンサ56によって検知されるとボーナスゲームが付与されることを表示するものである。
【0041】
(通常のメダル落としゲーム)
今、ボーナスゲームが発生しない通常のゲーム内容について説明すると、次の通りである。すなわち、図1においてメダル投入用レール39を通してプレイヤによって供給されたメダル43が、移動テーブル9の上の適切でない位置に落下したとする。すると、移動テーブル9が進退移動を繰り返しても、固定テーブル8上のメダル43はテーブル上に残ったままか、あるいはフィールド容器18内へ落下するなどして、メダル獲得口15(図2)へは入らない。従って、メダル取出し口3へも払い出されない。
【0042】
一方、メダル投入用レール39を通して供給されたメダル43が移動テーブル9上の適切な位置に落下すると、その移動テーブル9がタワー7方向へ後退移動するとき、そのタワー7の根元部分によって押されて1枚又は数枚のメダル43が固定テーブル8上へ落下する。その後、移動テーブル9の移動方向がプレイヤ側へ向かう前進移動に転ずると、固定テーブル8上のメダル43が移動テーブル9の先端に押され、そのメダルのうちの1個又は数個がメダル獲得口15へ落下する。こうして落下したメダルは、メダル取出し口3へ滑り落ちてプレイヤに払い出される。
【0043】
プレイヤは、図8において、メダル投入用レール39を矢印Gのように左右方向へ希望する角度だけ回転移動することにより、メダル43の落下位置を変化させることができる。
【0044】
(ボーナスゲーム)
図8において、電飾板58の中心部LED60の発光タイミングと、投入されたメダル43がメダルセンサ56によって検知されるタイミングとが一致すると、図12においてボーナス発生回路73においてボーナス発生信号SHが発生し、その信号に基づいてボーナスゲーム演算部72による演算に従ったボーナスゲームが実行される。またこのとき、図8の周部LED59が黄色発光から赤色発光へと色変化し、ボーナスゲームが付与されたことをプレイヤに知らせる。
【0045】
ボーナスゲームが付与されると、ゲームステージ2a〜2d内の第1ボタン4及び第2ボタン5のボタン押圧動作が有効となり、例えば、第1ボタン4を押すとアーム用モータ38(図7)が1回転してアーム37が1回のリフティング動作を行う。つまり、バケット33が上方の待機位置Eから下方のすくい上げ位置Fまで降下し、そこで少しの間停止した後、さらにそのすくい上げ位置Fから待機位置Eへと復動して動作を終了する。また、バケット33がすくい上げ位置Fまで降下したとき、バケット用モータ34が作動してバケット33が下方位置へ回転移動してフィールド容器18内のメダル43をすくい上げる。このときにすくい上げることができるメダル枚数は、メダル43の堆積状態に応じて種々に変化する。
【0046】
バケット33がメダル43をすくい上げた状態で移動テーブル9の上の待機位置Eまで移動してそこに停止すると、プレイヤが第2ボタン5を押すことを条件として、バケット用モータ34が復動回転してバケット33が上方位置へと回転移動し、これにより、バケット33内のメダル43が移動テーブル9の上へ落下する。バケット33内には複数枚のメダル43がすくい上げられる可能性が高いので、移動テーブル9上には複数枚のメダルが供給される可能性が高く、よって、移動テーブル9の進退移動によってかなり多くのメダルがプレイヤの元に払い出される可能性が高い。
【0047】
(メダルの溢れ防止処理)
図1において、各ゲームステージ2a〜2dに立ったプレイヤは、メダル投入用レール39からゲーム機内へと次々にメダルを投入する。すると、図3においてフィールド容器18内のメダル43の量が次第に増えてゆく。何らの措置も講じておかないと、フィールド容器18から溢れ出るメダル43がメダル獲得口15へ入り込んでプレイヤの元に払い出されてしまい、ゲームが成り立たなくなるおそれがある。
【0048】
しかしながら本実施例では、図10に示すように、フィールド容器18の側壁部、特に外側の側壁部にメダル溢れ防止装置61を配設して、フィールド容器18から溢れ出るメダル43をメダル回収板62及びホッパ64を介して筐体内部のメダルボックス65の中へ回収するようにした。従って、プレイヤによってメダルが次々と供給される場合でも、安定してゲームを継続できる。しかも、メダル溢れ防止装置61は、フィールド容器18のまわりに1個設置すれば十分であるので、ゲーム機全体の形状を徒に大型化することもなく、また、無駄な経費もかからない。
【0049】
以上、好ましい実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術的範囲内で種々に改変できる。例えば、ゲームステージの数は4個に限定されず、1個又は4個以外の複数個とすることができる。また、図10に示すメダル溢れ防止装置61は、フィールド容器18の複数箇所に設置しても良い。
【0050】
【発明の効果】
本発明に係るメダル落としゲーム機によれば、フィールド容器内には多量のメダルが溜められ、さらにその溜められた多量のメダルがフィールド容器の移動に従って移動する。これを見るプレイヤは、多量のメダルを目の前にすることにより、より多くのメダルを獲得しようとしてゲームに熱中できる。すなわち、プレイヤのプレイ意欲を高めるディスプレイ効果を得ることができる。
【0051】
また、メダル投入手段を通してプレイヤによってメダルが次々に投入されると、フィールド容器内のメダル量が徐々に増えてゆく。この量が所定の許容限界量を越えると、メダル溢れ防止手段の働きによって所定量のメダルがフィールド容器内から自動的に取り出される。これにより、フィールド容器内からのメダルの溢れを心配することなしに、メダル落としゲーム機の運転を継続できる。
【0052】
本発明に係るメダル落としゲーム機において、メダル回収板をフィールド容器の側壁部の内周面に密着させるようにすれば、非常に簡単な構成によりメダル溢れ防止手段を構成できる。
【0053】
本発明に係るメダル落としゲーム機において、メダル回収板の先端のフィールド容器に対する高さ位置を調節可能とすれば、フィールド容器内に溜めることのできるメダルの許容限界量を調節できる。
【0054】
本発明に係るメダル落としゲーム機において、メダル回収板をフィールド容器の側壁部の内周面に弾性的に押し付ける弾性部材を設ければ、メダル回収板とフィールド容器の内周面との間の密着性を高めることができ、従って、メダルの回収漏れ又はメダルの詰まり等の発生を防止できる。
【0055】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るメダル落としゲーム機の一実施例を示す斜視図である。
【図2】同メダル落としゲーム機の平面図である。
【図3】図2におけるIII−III線に従った側面断面図である。
【図4】図1に示すメダル落としゲーム機の要部、特にテーブルユニットの一実施例を示す分解斜視図である。
【図5】図1に示すメダル落としゲーム機の要部、特にフィールド容器の一実施例を示す斜視図である。
【図6】フィールド容器を支持する2軸キャスタを示す斜視図である。
【図7】図1に示すメダル落としゲーム機の要部、特にメダル運搬装置の一実施例を示す側面図である。
【図8】図1に示すメダル落としゲーム機の要部、特にメダル投入装置の一実施例を示す斜視図である。
【図9】同メダル投入装置の断面図である。
【図10】図1に示すメダル落としゲーム機の要部、特にメダルの溢れを防止するためのメダル溢れ防止装置の一実施例を示す斜視図である。
【図11】図1に示すメダル落としゲーム機のカバー開閉時の様子を模式的に示す図である。
【図12】図1に示すメダル落としゲーム機の電気制御系の一実施例を示す回路ブロック図である。
【符号の説明】
1:筐体、 2a,2b,2c,2d:ゲームステージ、 3:メダル取出し口、
4:第1ボタン、 5:第2ボタン、 6:透明カバー、 7:タワー、
8:固定テーブル、 9:移動テーブル、 10:テーブルユニット、 11:機枠、
15:メダル獲得口、 17:ローラ、 18:フィールド容器、
19:中央部開口、 20:メダル収納用凹部、 21:底板、
22:底板の中央部開口、 23:突起壁、 25:駆動プーリ、
26:2軸キャスタ、 32:メダル運搬装置、 33:バケット、 37:アーム、
39:メダル投入用レール、 43:メダル、 44:メダル投入口、
45:メダル落下口、 48:メダル選別用長穴、 56:メダルセンサ、
58:電飾板、 59:周部LED、 60:中心部LED、
61:メダル溢れ防止装置、 62:メダル回収板、 64:メダル回収用ホッパ、
65:メダルボックス
Claims (6)
- 位置不動の固定テーブルと、その固定テーブル上で往復進退移動する移動テーブルと、前記固定テーブルの先端近傍に設けたメダル獲得口と、前記固定テーブル又は前記移動テーブル上にメダルを導くメダル投入手段とを有するメダル落としゲーム機において、
メダルを収容した状態で移動すると共に前記固定テーブル又は前記移動テーブルから落下したメダルを受け取るフィールド容器と、
前記フィールド容器内に溜められたメダル量が許容量を越えるときに、そのフィールド容器内のメダルをそのフィールド容器の外部へ取り出すメダル溢れ防止手段と、
を有することを特徴とするメダル落としゲーム機。 - 請求項1記載のメダル落としゲーム機において、前記フィールド容器は前記固定テーブルの下方位置に配設されることを特徴とするメダル落としゲーム機。
- 請求項1又は請求項2記載のメダル落としゲーム機において、前記フィールド容器は周回移動することを特徴とするメダル落としゲーム機。
- 請求項1から請求項3のうちのいずれか1つに記載のメダル落としゲーム機において、前記メダル溢れ防止手段は、前記フィールド容器の側壁部の内周面に密着して該側壁部の上端縁から所定高さ位置まで斜めに配置されるメダル回収板を有することを特徴とするメダル落としゲーム機。
- 請求項4記載のメダル落としゲーム機において、前記メダル回収板の先端の前記フィールド容器に対する高さ位置が調節可能であることを特徴とするメダル落としゲーム機。
- 請求項4又は請求項5記載のメダル落としゲーム機において、前記メダル回収板を前記フィールド容器の側壁部の内周面に弾性的に押し付ける弾性部材を設けたことを特徴とするメダル落としゲーム機。
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