JP3657068B2 - 光老化防止改善剤および皮膚外用剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光老化防止改善剤および皮膚外用剤に関し、詳しくは、安全性が高くかつ光老化の防止、改善効果に優れる光老化防止改善剤、およびこれを含有する皮膚のシワ、シミ等の光老化症状を防止、改善する効果に優れる皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に皮膚老化とは、加齢に伴う生理的老化と、日光暴露(紫外線)による光老化とが互いに影響しあって生じる生理的現象をいうが、現在、特に後者の光老化とシワ、肌荒れ、シミ・ソバカス等の色素沈着との関係が注目されている(Gilchrest著;Photodamage:Blackwell Science,Inc.,1995)。すなわち、長期間太陽(紫外線)に当たり続けると、顔、首筋の深いシワを増加させ、更に皮膚の乾燥及び肌荒れやシミ、ソバカス等の色素沈着を起こすことが知られており、この光老化による肌のトラブルが問題視される様になった。
【0003】
従来より、これら紫外線による皮膚における光老化の加速を防止するために、酸化チタン、酸化亜鉛、パラメトキシ桂皮酸エステル、パラアミノ安息香酸エステルなどの各種の紫外線吸収、散乱、遮蔽物質を配合した化粧料(サンスクリーン、サンプロテクト化粧品)が開発され、使用されている。しかしながら、これらの化粧料を使用しても圧倒的な日光暴露から皮膚を防御することは難しい。また、上記皮膚の光老化症状を改善する方法としては、全トランス型のレチノイン酸の外用塗布が有効であることが広く知られているが(Gilchrest著;Photodamage:Blackwell Science,Inc.,1995などを参照)、皮膚が肌荒れを起す等の香粧品科学上の問題、さらに安全性上の問題から、本邦では医師による使用に限定されており、有効性が高くかつ安全性の高い光老化防止改善剤および皮膚外用剤の開発が切望されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記観点からなされたものであり、安全性が高くかつ光老化の防止、改善効果に優れる光老化防止改善剤、および皮膚のシワ、シミ等の光老化症状を防止、改善する効果に優れる皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、アジア酸やマデカシック酸、およびこれらの誘導体並びにこれらの塩類が、皮膚の光老化を予防、改善する作用を有すると共に、安全性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、アジア酸、マデカシック酸、およびこれらの28位のカルボキシル基が他の原子団で置換された誘導体、並びにこれらの塩類から選ばれる一種または二種以上からなる光老化防止改善剤である。
【0007】
本発明の光老化防止改善剤として用いられる上記アジア酸、マデカシック酸の誘導体として、具体的には、アジア酸またはマデカシック酸の28位のカルボキシル基が下記一般式(1)で表される基で置換されたエステル誘導体を好ましく挙げることができる。
【0008】
【化3】
【0009】
但し、式(1)中Rは、アルキル基または、水素原子の一部が芳香族環を含んでもよい置換基で置換されたアルキル基を表す。
さらに、本発明の光老化防止改善剤に用いられる上記アジア酸、マデカシック酸のエステル誘導体として、具体的には、上記一般式(1)のRが、炭素数1〜20のアルキル基または下記一般式(2)で表される基であるエステル誘導体を挙げることができる。
【0010】
【化4】
−CH2−R1 ・・・・(2)
但し、式(2)中、R1は置換されていてもよいアリール基を表す。
【0011】
本発明はさらに、上記本発明の光老化防止改善剤の一種または二種以上を含有する皮膚外用剤を提供する。本発明の皮膚外用剤における上記光老化防止改善剤の含有量として、具体的には、外用剤全量に対して0.0001〜5重量%程度の含有量を挙げることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。まず、本発明の光老化防止改善剤について説明する。
(1)本発明の光老化防止改善剤
本発明の光老化防止改善剤は、アジア酸、マデカシック酸、およびこれらの28位のカルボキシル基が他の原子団で置換された誘導体、並びにこれらの塩類から選ばれる一種または二種以上からなる。
【0013】
本発明の光老化防止改善剤に用いるアジア酸およびマデカシック酸は、それぞれ化5(アジア酸)および化6(マデカシック酸)に構造が示されるように、何れもトリテルペノイドに属する化合物であって、ツボクサ(centella asiatica)などの植物に含まれることが知られている。
【0014】
【化5】
【0015】
【化6】
【0016】
アジア酸、マデカシック酸は一般的な抽出溶媒、例えばメタノール、エタノールなどのアルコール類を用いて、上記ツボクサ等の植物体から容易に抽出することができる。本発明に適用されるアジア酸およびマデカシック酸は、起源となる植物体に限定されるものではなく、また、植物体から取り出される方法により限定されるものではない。
【0017】
さらに、植物体から取り出す方法以外に化学合成によりアジア酸、マデカシック酸を製造することもでき、これにより得られるアジア酸、マデカシック酸を本発明に用いることもなんら制限されるものではない。従って、本発明においては、アジア酸、マデカシック酸の製造方法は、経済性、安全性等を勘案して、適当な方法を適宜選択することができる。あるいは、アジア酸、マデカシック酸は何れも、例えば、インデナ社やMMP社等より市販されており、本発明の光老化防止改善剤として、この様な市販品を用いることも可能である。
【0018】
また、本発明の光老化防止改善剤に用いるアジア酸、マデカシック酸の28位のカルボキシル基が他の原子団で置換された誘導体としては、上記アジア酸、マデカシック酸の28位のカルボキシル基と各種官能基を有する有機化合物を通常の合成方法で反応させて得られるアジア酸誘導体、マデカシック酸誘導体であれば、特に制限されるものではないが、好ましくは、28位のカルボキシル基をエステル化して得られるエステル誘導体、具体的には、アジア酸、マデカシック酸の構造式において28位のカルボキシル基を上記一般式(1)で表される基で置換した構造のエステル誘導体を挙げることができる。
【0019】
上記一般式(1)は、カルボキシル基の水素原子が置換基Rで置換された構造を示す基を表し、前記一般式(1)においてRは、アルキル基または、水素原子の一部が芳香族環を含んでもよい置換基で置換されたアルキル基を表す。一般式(1)においてRがアルキル基である場合、その鎖長は特に制限されるものではなく、構造は直鎖であっても分岐していてもあるいは環状であってもよく、また、アルキル基が置換基を有する場合においては、その置換基についても特に制限されるものではないが、本発明において一般式(1)のRは、炭素数1〜20程度のアルキル基または、上記一般式(2)で表される基であることが、安定性ならびに取扱のし安さの面から好ましい。ここで、一般式(2)で表される基は、メチル基の水素原子の1個がR1で置換された基であり、R1は置換されていてもよいアリール基を表すが、R1として具体的には、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、ニトロフェニル基、ジフェニル基等を挙げることが可能である。
【0020】
この様な本発明の光老化防止改善剤に好ましく用いられる上記アジア酸、マデカシック酸のエステル誘導体として、より具体的には、アジア酸、マデカシック酸のそれぞれメチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、ステアリルエステル、パルミトイルエステル、イソステアリルエステル、ベンジルエステル等のエステル誘導体を挙げることが可能である。
【0021】
上記アジア酸、マデカシック酸の28位のカルボキシル基をエステル化して得られるエステル誘導体、具体的には、アジア酸、マデカシック酸の28位のカルボキシル基が上記一般式(1)で表される基で置換されたエステル誘導体を得るには、一般的なカルボン酸をエステル化してエステル誘導体を製造する際に通常用いられる方法と同様の製造方法を採ることが可能であり、例えば、アジア酸またはマデカシック酸に、アセトン等の適当な溶媒下で、炭酸カリウム等の塩基存在下、R−BrやR−Cl(Rは上記一般式(1)のRと同様の基を表す)等のエステル誘導したい基を含むハロゲン化物を作用させ、必要に応じて加温、還流操作を施し、エステル反応させる方法等が挙げられる。
【0022】
本発明に用いるアジア酸、マデカシック酸のエステル誘導体の製造方法の具体例を上述したが、上記エステル誘導体の製造方法に関して、反応経路は特に制限されるものではなく、反応の取扱のし安さ等を考慮して、上述した具体例以外の反応経路でエステル製造を行うことも十分に可能である。
【0023】
本発明の光老化防止改善剤としては、上記アジア酸、マデカシック酸およびこれらの28位のカルボキシル基が他の原子団で置換された誘導体が用いられるが、その他に、これら化合物の塩類を用いることも可能である。これらアジア酸、マデカシック酸およびこれらのエステル誘導体の塩類としては、前記化合物と無機、有機の塩基とを反応させて得られるアンモニウム塩、アルカリ金属塩、あるいは有機アミン塩等を挙げることができる。
【0024】
本発明の光老化防止改善剤は、この様にして得られるアジア酸、マデカシック酸、およびこれらの28位のカルボキシル基が他の原子団で置換された誘導体、並びにこれらの塩類から選ばれる一種を単独で構成要素とすることも可能であり、あるいは、これらの二種以上の混合物で構成されることも可能である。
【0025】
なお、本発明の光老化防止改善剤に適用されるアジア酸、マデカシック酸、およびこれらの28位のカルボキシル基が他の原子団で置換された誘導体、並びにこれらの塩類は、極めて安定であり、製剤とした場合も変色、変臭、分解失活などの経時的変化を起こさないので、各種の剤形に対して安定かつ容易に配合することができる。
【0026】
次に、本発明の皮膚外用剤について説明する。
(2)本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、上記アジア酸、マデカシック酸、およびこれらの28位のカルボキシル基が他の原子団で置換された誘導体、並びにこれらの塩類の一種または二種以上からなる光老化防止改善剤の一種または二種以上を含有する。
【0027】
上記本発明の皮膚外用剤における光老化防止改善剤の含有量は、好ましくは外用剤全量に対して0.0001〜5重量%であり、より好ましくは、0.001〜1重量%である。本発明の皮膚外用剤における上記光老化防止改善剤の含有量が0.0001重量%より少ないと、シワ、シミ等の肌の光老化症状を防止、改善する効果が十分に得られないことがあり、また、5重量%を越えた量を用いたとしても、増加分に見合った効果が望めないことがある。
【0028】
本発明の皮膚外用剤の剤形は、特に限定されるものではなく、具体的には、クリーム、乳液、オイル、ローション、軟膏等が挙げられるが、経皮吸収性を考慮すると、クリーム、乳液、オイルなどがより好ましい剤形といえる。これらの皮膚外用剤は上記光老化防止改善剤が剤形に応じて適宜選択され配合される以外は、通常の皮膚外用剤と同様の方法で製造することができる。
【0029】
また、本発明の皮膚外用剤には、上記光老化防止改善剤以外に、通常、皮膚外用剤に適用される成分、例えば、水、炭化水素類、エステル類、油脂類、高級アルコール類、高級脂肪酸類、界面活性剤、多価アルコール類、低級アルコール類、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、増粘剤、保湿剤、粉末成分、抗炎症剤、pH調整剤、金属封鎖剤、糖類、香料、色剤、各種薬効成分等が必要に応じて適宜選択されて配合される。
【0030】
具体的には、炭化水素類として流動パラフィン、ワセリン、スクワラン等を、エステル類としてミリスチン酸イソプロピル(IPM)、合成ゲイロウ、ホホバ油、カルナウバワックス等を、油脂類としてオリーブ油、牛脂等を、高級アルコール類としてセタノール、ステアリルアルコール等を、高級脂肪酸類としてステアリン酸、オレイン酸等を、
【0031】
界面活性剤類として、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸エステルなどのアニオン界面活性剤、4級アルキルアミン塩等のカチオン界面活性剤、ポリオキシエチレンセチルエーテル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのノニオン界面活性剤、アルキルベタインなどの両性界面活性剤等を、
【0032】
多価アルコール類としてグリセリンやプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等を、低級アルコール類としてエタノール、プロパノール等を、防腐剤としてパラベン類やグルコン酸クロルヘキシジン等を、紫外線吸収剤としてパラアミノ安息香酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体等を、酸化防止剤としてビタミンEやブチルヒドロキシトルエン(BHT)等を、増粘剤としてアラビアゴム、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、ポリビニルアルコール等を、保湿剤としてポリエチレングリコール等を、
【0033】
粉体成分として酸化チタン、シリカゲル、タルク、アクリル酸−メタクリル酸共重合体等を、抗炎症剤としてグリチルレチン酸ジカリウム、トラネキサム酸やその誘導体等を、pH調整剤としてクエン酸塩、酢酸塩等を、金属封鎖剤としてエデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等を、糖類としてグルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース、硫酸化トレハロース等を、また、薬効成分として各種目的に応じた薬効成分、例えば、ヒアルロン酸、胎盤抽出物、朝鮮人参エキス、ビタミン類、ステロール配糖体等を挙げることができる。
【0034】
また、本発明の皮膚外用剤は、皮膚光老化の防止および改善のために用いることができ、そのような目的であれば、医薬品、医薬部外品または化粧料等の用途は特に限定されるものではない。
【0035】
【実施例】
以下に本発明の実施例を説明する。まず、本発明の光老化防止改善剤の実施例について説明する。
【0036】
【実施例1】
光老化防止改善剤1(アジア酸ベンジル)
アジア酸1gをアセトン50mlに溶解した溶液に、臭化ベンジル5mlと炭酸カリウム5gを加え、窒素雰囲気下、室温で一昼夜撹拌し、その後、不溶物を濾別した。得られた濾液より溶媒を留去後、残渣をシリカゲルカラムにて精製して、アジア酸ベンジル1.14g(収率97%)を得た。これを、そのまま光老化防止改善剤1とした。
【0037】
【実施例2】
光老化防止改善剤2(マデカシック酸ベンジル)
マデカシック酸1gをアセトン50mlに溶解した溶液に、臭化ベンジル5mlと炭酸カリウム5gを加え、窒素雰囲気下、室温で一昼夜撹拌し、その後、不溶物を濾別した。得られた濾液より溶媒を留去後、残渣をシリカゲルカラムにて精製して、マデカシック酸ベンジル1.14g(収率97%)を得た。これを、そのまま光老化防止改善剤2とした。
【0038】
【実施例3】
光老化防止改善剤3(アジア酸エチル)
アジア酸1gをアセトン50mlに溶解した溶液に、臭化エチル5mlと炭酸カリウム5gを加え、窒素雰囲気下、加温・リフラックス条件下で8時間撹拌した後、これを冷却してから不溶物を濾別した。得られた濾液より溶媒を留去後、残渣をシリカゲルカラムにて精製して、アジア酸エチル0.84g(収率80%)を得た。これを、そのまま光老化防止改善剤3とした。
【0039】
【実施例4】
光老化防止改善剤4(マデカシック酸エチル)
マデカシック酸1gをアセトン50mlに溶解した溶液に、臭化エチル5mlと炭酸カリウム5gを加え、窒素雰囲気下、加温・リフラックス条件下で8時間撹拌した後、これを冷却してから不溶物を濾別した。得られた濾液より溶媒を留去後、残渣をシリカゲルカラムにて精製して、マデカシック酸エチル0.89g(収率85%)を得た。これを、そのまま光老化防止改善剤4とした。
【0040】
【実施例5】
光老化防止改善剤5(アジア酸ステアリル)
アジア酸1gをアセトン50mlに溶解した溶液に、臭化ステアリル5gと炭酸カリウム5gを加え、窒素雰囲気下、加温・リフラックス条件下で8時間撹拌した後、これを冷却してから不溶物を濾別した。得られた濾液より溶媒を留去後、残渣をシリカゲルカラムにて精製して、アジア酸ステアリル1.27g(収率86%)を得た。これを、そのまま光老化防止改善剤5とした。
【0041】
【実施例6】
光老化防止改善剤6(マデカシック酸ステアリル)
マデカシック酸1gをアセトン50mlに溶解した溶液に、臭化ステアリル5gと炭酸カリウム5gを加え、窒素雰囲気下、加温・リフラックス条件下で8時間撹拌した後、これを冷却してから不溶物を濾別した。得られた濾液より溶媒を留去後、残渣をシリカゲルカラムにて精製して、マデカシック酸ステアリル1.24g(収率85%)を得た。これを、そのまま光老化防止改善剤6とした。
【0042】
<本発明の光老化防止改善剤の評価>
本発明の光老化防止改善剤の安全性及び皮膚の光老化の防止、改善効果を評価するために、上記各実施例で得られた光老化防止改善剤およびアジア酸(光老化防止改善剤7とする)、マデカシック酸(光老化防止改善剤8とする)を用いて、下記試験を行った。
【0043】
(1)安全性確認試験
(1)−1.皮膚刺激性試験
上記8種類の光老化防止改善剤について、実験動物としてハートレー系モルモット(300〜500g:雌)を用いて、皮膚刺激性試験を行った。
【0044】
上記各光老化防止改善剤について、光老化防止改善剤を10重量%濃度で含有する白色ワセリン50mgを直径15mmの布製パッチにしみ込ませプラスチック絆創膏に装着したものをそれぞれ6枚ずつ作製した。光老化防止改善剤毎にモルモット6匹ずつを用い、モルモットの背中を除・剃毛した後、その除・剃毛部に上記プラスチック絆創膏に装着したパッチをそれぞれ貼り付け、24時間のクローズドパッチを行った。クローズドパッチが終了した後、プラスチック絆創膏を除去した直後(0時間後)および24時間後の皮膚反応を下記判定基準に従って評価し、試験群毎に6匹の平均評価点を算出した。
【0045】
(評価基準)
0 : 皮膚反応を認めない
1 : 微弱あるいは境界不明瞭な紅斑
2 : 明らかな紅斑
3 : 浮腫を伴う反応
4 : 潰瘍・壊死等の反応
【0046】
また、コントロールとして白色ワセリンのみで上記同様の試験、評価を行った。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
(1)−2.アレルギー性試験
上記8種類の光老化防止改善剤についてのアレルギー性試験を、実験動物としてハートレー系モルモット(300〜500g:雌)を用いて、マキシマイゼーション法(Maximization)にて実施した。
【0049】
上記光老化防止改善剤毎に6匹ずつ3群のモルモットに対して、オリーブ油で5w/v%濃度とした上記各光老化防止改善剤を用いて、マキシマイゼーション法のプロトコールに従って感作誘導を行った。
【0050】
その後、十分な免疫反応を引き起こすために最終感作日から10日間の猶予期間をおいた後、各群のモルモットの背部皮膚に、オリーブ油で5w/v%濃度、0.5w/v%濃度とした上記各光老化防止改善剤、およびオリーブ油のみのそれぞれ100μlずつを直径1.5cmのパッチ板に塗布して貼付し、その24時間後にパッチ板を除去した。パッチ板貼付後48時間(除去後24時間)の皮膚反応を下記判定基準に従って評価し、試験群毎に平均点を算出した。結果を表2に示す。
【0051】
(判定基準)
0 : 皮膚反応を認めない
1 : 微弱あるいは境界不明瞭な紅斑
2 : 明らかな紅斑
3 : 浮腫を伴う反応
4 : 潰瘍・壊死等の反応
【0052】
【表2】
【0053】
これらの結果から明らかなように、上記アジア酸ベンジル、マデカシック酸ベンジル、アジア酸エチル、マデカシック酸エチル、アジア酸ステアリル、マデカシック酸ステアリル、アジア酸、マデカシック酸のそれぞれからなる光老化防止改善剤1〜8についてはいずれも、皮膚刺激性、アレルギー性がともにほとんど認められず、従って本発明の光老化防止改善剤は、安全性に優れるといえる。
【0054】
(2)UVシワモデル改善試験
上記各実施例で得られた光老化防止改善剤およびアジア酸(光老化防止改善剤7)、マデカシック酸(光老化防止改善剤8)についてのUVシワモデル改善試験を、実験動物としてヘアレスマウス(5週齢、雌)を用いて行った。
【0055】
1群10匹ずつのヘアレスマウスの背部皮膚にUVB(60mj/cm2)を、1日1回、1週間に5日の割合で照射し、9週間後、背部皮膚に光老化によるシワ形成を確認した。その後、上記8種の光老化防止改善剤のそれぞれを、表3に示す濃度で含有するエタノール溶液100μlを1日1回、1週間に5日の割合で塗布した。塗布開始から8週間後に皮膚の光老化によるシワの改善程度を下記判定基準に従い、肉眼で評価した。
【0056】
(判定基準)
− : シワ改善効果が認められない
± : ややシワ改善効果が認められる
+ : シワ改善効果が認められる
【0057】
また、コントロールとしてエタノールのみを上記と同様にUVB照射後のヘアレスマウスに塗布したときのシワの改善程度を評価した。結果を表3に示す。
【0058】
【表3】
【0059】
この結果から明らかなように、上記アジア酸ベンジル、マデカシック酸ベンジル、アジア酸エチル、マデカシック酸エチル、アジア酸ステアリル、マデカシック酸ステアリル、アジア酸、マデカシック酸のそれぞれからなる光老化防止改善剤1〜8についてはいずれも、ヘアレスマウスのUVシワモデル改善試験において、光老化による皮膚のシワ改善効果に優れることが確認された。従って、本発明の光老化防止改善剤は、優れた光老化防止改善効果を有するといえる。
【0060】
次に、上記各実施例で得られた光老化防止改善剤を配合した本発明の皮膚外用剤の実施例について説明する。なお、以下に用いる配合量はすべて重量部である。
【0061】
【実施例7】
乳液
表4に示すA成分を加熱混合して80℃とし、これとは別に70℃に加熱混合したB成分に前記A成分を加えて乳化し、冷却しながらC成分を加えて上記実施例5で得られた光老化防止改善剤5(アジア酸ステアリル)を含有する乳液を製造した。また、同様にして本発明の光老化防止改善剤を含有しないベヒクル乳液(比較例1)を作製した。
【0062】
【表4】
【0063】
【実施例8】
クリーム
表5に示すA成分を加熱混合して70℃としたものに、これとは別に70℃に加熱混合したB成分を加えて乳化して35℃まで冷却し、これにさらにC成分を加えて上記実施例2で得られた光老化防止改善剤2(マデカシック酸ベンジル)を含有するクリームを製造した。また、同様にして本発明の光老化防止改善剤を含有しないベヒクルクリーム(比較例2)を作製した。
【0064】
【表5】
【0065】
【実施例9】
クリーム
表6に示すA成分を80℃に加熱したものに、これとは別に80℃に加熱したB成分を加え撹拌乳化した後、35℃まで冷却し、上記実施例3で得られた光老化防止改善剤3(アジア酸エチル)を含有するクリームを製造した。
【0066】
【表6】
【0067】
<本発明の皮膚外用剤の評価>
上記実施例7、8および比較例1、2で得られた皮膚外用剤を用いて実使用テストを行い、本発明の皮膚外用剤についての皮膚光老化症状の防止・改善効果を評価した。
【0068】
目尻に明瞭なシワを有する本邦男性20名をパネラーとして10名ずつ2グループに分かれて実験(半顔テスト)に参加してもらった。実験に先立ってパネラー全員の顔の写真撮影を行った。その後、Aグループのパネラーの顔面の片方の目尻には、実施例1の化粧水を、他方の目尻には比較例1の化粧水を、また、Bグループのパネラーの顔面の片方の目尻には、実施例2の乳液を、他方の目尻には比較例2の乳液を、それぞれ通常の方法で1日2回、6週間にわたり連続して使用してもらった。使用開始から6週間後に、シワの改善状態及び自然増悪の状態について、各グループ内で上記写真を用いて使用開始前の状態と使用6週間後の状態とを比較し以下の評価基準で評価した。結果を表10に示す。
【0069】
目尻に明瞭なシワおよびシミを有する本邦男女20名をパネラーとして10名ずつ2グループに分かれて実験(半顔テスト)に参加してもらった。実験に先立ってパネラー全員の顔の写真撮影を行った。その後、Aグループのパネラーの顔面の片方の目尻には、実施例7の乳液を、他方の目尻には比較例1の乳液を、また、Bグループのパネラーの顔面の片方の目尻には、実施例8のクリームを、他方の目尻には比較例2のクリームを、それぞれ通常の方法で1日2回、12週間にわたり連続して使用してもらった。使用開始から12週間後に、シワ、シミの改善状態および自然増悪の状態について、各グループ内で上記写真を用いて使用開始前の状態と使用12週間後の状態とを比較し以下の評価基準で評価した。結果を表7に示す。
【0070】
(評価基準)
+++ : 著明改善
++ : かなり改善
+ : やや改善
− : 変化なし
−− : 自然増悪
【0071】
【表7】
【0072】
この結果から明らかなように、本発明の光老化防止改善剤を配合した実施例7および実施例8の皮膚外用剤は、本発明の光老化防止改善剤を含有しない比較例の皮膚外用剤に比べて、シワ、シミの改善効果に関して評価内容が良好であった。なお、本発明の皮膚外用剤は使用時におけるベタツキ感などの感触的な弊害がほとんどないことも確認された。また、使用時に肌の発赤や肌荒れ等の皮膚状態の悪化を訴えるパネラーはひとりもいなかった。
【0073】
【発明の効果】
本発明の光老化防止改善剤は、安全性が高くかつ光老化の防止、改善作用に優れる。また、本発明の皮膚外用剤は、皮膚のシワ、シミ等の光老化症状を防止、改善する効果に優れると共に、皮膚に対して弊害なく安全に使用することができる。
Claims (3)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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