JPH08104635A - フィチン酸亜鉛を有効成分とする外用製剤 - Google Patents

フィチン酸亜鉛を有効成分とする外用製剤

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JPH08104635A
JPH08104635A JP27041794A JP27041794A JPH08104635A JP H08104635 A JPH08104635 A JP H08104635A JP 27041794 A JP27041794 A JP 27041794A JP 27041794 A JP27041794 A JP 27041794A JP H08104635 A JPH08104635 A JP H08104635A
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skin
zinc
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phytate
zinc phytate
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JP27041794A
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English (en)
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Norihisa Kawai
徳久 河合
妍 ▲コウ▼
Ken Kou
Yoshihiro Chikamatsu
義博 近松
Hiroshi Ando
弘 安藤
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Ichimaru Pharcos Co Ltd
Original Assignee
Ichimaru Pharcos Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】フィチン酸亜鉛を過酸化脂質生成抑制剤または
過酸化脂質分解(消去)剤、並びに肌荒れ改善剤として
応用すること、更に、皮膚の老化防止や、皮膚炎症、肌
荒れなどの予防及び改善に有効で、長期にわたって品質
の安定な皮膚外用剤及び浴用剤を提供することを目的と
する。 【構成】本発明は、フィチン酸亜鉛を有効成分とする過
酸化脂質生成抑制剤または過酸化脂質分解(消去)剤、
並びに肌荒れ改善剤、更にはフィチン酸亜鉛を含有する
皮膚外用剤及び浴用剤に関するものであり、あらゆる形
態の製剤(外用医薬品類、外用医薬部外品類、皮膚・頭
髪化粧品類、浴用剤など)に応用が可能である。また本
発明の皮膚外用剤または浴用剤は、安全性、安定性が高
く、皮膚に対して優れた効果を発揮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フィチン酸亜鉛を有効
成分とする、過酸化脂質生成抑制剤または過酸化脂質分
解(消去)剤、並びに肌荒れ改善剤、更にはそのフィチ
ン酸亜鉛を含有し、皮膚の老化防止や、皮膚炎症、肌荒
れなどの予防及び改善に有効で、かつ安全性、安定性の
高い皮膚外用剤及び浴用剤に関するものである。
【0002】その利用分野としては、上記の効果を目的
とする外用製剤類全般において可能である。具体的に
は、液状、乳液状、クリーム状、軟膏状、ゲル状、パウ
ダー状、顆粒状、固形状、あるいは気泡性の、1)外用医
薬品類、2)医薬部外品類、3)局所または全身用の皮膚化
粧品類、4)頭皮・頭髪に適用する薬用及び/または化粧
用の製剤類(例えば、シャンプー剤、リンス剤、トリー
トメント剤、パーマネント液、整髪料、ヘアートニック
剤、養毛・育毛料など)、5)浴湯に投じて使用する浴用
剤などがあげられる。
【0003】
【従来の技術】過酸化脂質とは、脂質の構成成分である
不飽和脂肪酸に過酸化物、主として、ヒドロペルオキシ
ドがついたものである。これらの過酸化脂質は、生体内
で細胞膜に障害を与えたり、各種酵素の不活性化や生体
蛋白の変性などを生じ、生体組織に悪影響を与える。そ
の結果、老化を促進させたり、癌性変化などの疾病へつ
ながると考えられている。皮膚においては、皮脂が過酸
化されることにより生じた過酸化脂質が蓄積すると、皮
膚の細胞膜やミトコンドリアの機能に変化をきたし、肝
班、黒皮症、一次刺激性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、あ
るいは皮膚の老化(しわ、老人性色素沈着など)、肌荒
れといった、種々の皮膚疾患の一因となっている。
【0004】また、化粧品や外用剤などの製剤にあって
は、その処方中に油性成分を含むことが多く、常に過酸
化脂質が生成しやすい状態にある。脂質の自動酸化によ
り生じた過酸化脂質によって、製剤の品質の低下(にお
いの発生、着色、粘土上昇など)を招くばかりでなく、
安全性の面でも大きな問題点が生じる。このため、製剤
の酸化防止は重要な課題となっている。
【0005】従来より、脂質の過酸化反応を防ぐため
に、各種の抗酸化剤を使用してきた。例えば、BHA
(ブチルヒドロキシアニソール)及びBHT(ブチルヒ
ドロキシトルエン)などの化学合成品や、ビタミンE、
ビタミンCなどが広く用いられているが、安全性や、効
果の持続性などの面から、より優れた抗酸化作用を有
し、かつ、副作用がなく安全な物質の探索がなされてい
る。また、抗酸化作用の指標としては、過酸化脂質の生
成を抑制する作用ばかりが着目されていて、すでに生成
されてしまった過酸化脂質を分解(消去)する作用につ
いてはあまり重要視されておらず、そのような作用を有
する物質はほとんど知られていない。
【0006】一方、フィチン酸亜鉛の化粧品類を中心と
した皮膚外用剤への利用については、フケ,カユミを止
める頭髪用化粧料(特開昭51-19141)や、歯磨き剤など
の口腔用組成物(特開昭56-39008)などがあるが、フィ
チン酸亜鉛の有するその他の作用、あるいは、皮膚に用
いる化粧料や浴用剤への応用を記載した刊行物は見当た
らない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは上記のよ
うな実情に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、亜鉛をフィチ
ン酸でキレートした化合物であるフィチン酸亜鉛が、過
酸化脂質生成抑制作用、過酸化脂質分解(消去)作用、
更には、肌荒れ改善効果を有することを見いだし、本発
明を完成するに至った。すなわち、本発明の目的は、フ
ィチン酸亜鉛を過酸化脂質生成抑制剤または過酸化脂質
分解(消去)剤、並びに肌荒れ改善剤として応用するこ
と、皮膚の老化防止や、皮膚炎症、肌荒れなどの予防及
び改善に有効で、長期にわたって品質の安定な皮膚外用
剤及び浴用剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、フィチン酸亜
鉛を有効成分として含有する過酸化脂質生成抑制剤また
は過酸化脂質分解(消去)剤、あるいは肌荒れ改善剤、
並びに皮膚外用剤及び浴用剤への応用に関するものであ
る。
【0009】本発明におけるフィチン酸亜鉛とは、フィ
チン酸に、亜鉛化合物を反応させて得られるキレート化
合物であり、水,アルコール類に不溶の無臭の白色粉末
である。フィチン酸とは、イノシトールヘキサリン酸エ
ステルのことであり、植物界に多く存在する有機リン酸
エステルとして古くから知られている物質である。特に
種子、穀類に多く含有されており、工業的には含量の多
い米糠(9.5〜14.5%)などから水あるいは希酸で抽出
・精製して製造されている。また、強い金属イオンキレ
ート作用を有することを特性としている。フィチン酸に
反応させる亜鉛化合物としては、例えば、水酸化亜鉛、
炭酸亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、リン酸亜鉛、塩化亜鉛
など、あらゆる水溶性の亜鉛化合物が使用可能である。
【0010】また、フィチン酸と亜鉛化合物を反応させ
るに当たり、これらの混合割合について検討を加えた結
果、フィチン酸と亜鉛化合物との混合モル比は、1:1
〜1:8の範囲で可能であること、また、フィチン酸1
モルに対し、亜鉛は2〜7モルの割合でキレート化が起
こることが見いだされた。なお、フィチン酸亜鉛が最も
効率よく得られる条件は、フィチン酸:亜鉛化合物の混
合モル比が1:6の場合であり、このとき、得られたフ
ィチン酸亜鉛の分析結果より、フィチン酸1モルに対
し、約5モルの亜鉛がキレート化していることが判明し
た。
【0011】本発明におけるフィチン酸亜鉛の配合量
は、特に規定されるものではないが、以降に記す実施例
の結果から、製剤全量中、0.0002〜10重量%、好ましく
は0.001〜5重量%配合することが適当である。0.0002
重量%以下では充分な効果が認められず、また10重量%
以上配合しても効果の増強は期待できない。
【0012】本発明の皮膚外用剤及び浴用剤は、フィチ
ン酸亜鉛に加えて、必要に応じて、通常、医薬品類、医
薬部外品類、化粧品類などの各種製剤に使用される基剤
や添加剤を併用して製造され得る。例えば、油性成分と
しては、動植物油、鉱物油をはじめ、エステル油,ワッ
クス油,高級アルコール,脂肪酸類,シリコン油,リン
脂質などがあげられる。また、界面活性剤としては、ア
ニオン界面活性剤,カチオン界面活性剤,両性界面活性
剤,非イオン界面活性剤などが用いられる。その他、p
-アミノ安息香酸,アントラニル誘導体,サリチル酸誘
導体,クマリン誘導体,アミノ酸系化合物,ベンゾトリ
アゾール誘導体,テトラゾール誘導体,イミダゾリン誘
導体,ピリミジン誘導体,ジオキサン誘導体,カンファ
ー誘導体,フラン誘導体,ピロン誘導体,核酸誘導体,
アラントイン誘導体,ニコチン酸誘導体,シコニン,ビ
タミンB6誘導体などの紫外線吸収剤、ヒドロキシエチ
ルセルロース,メチルセルロース,エチルセルロース,
カルボキシメチルセルロース,カルボキシエチルセルロ
ース,アラビアガム,ポリビニルアルコール,ポリビニ
ルピロリドン,ポリビニルメタアクリレート,ポリアク
リル酸塩,カルボキシビニルポリマー,カラギーナン,
ペクチン,アルギン酸及びその塩,カゼイン,ゼラチン
などの増粘剤、グリセリン,プロピレングリコール,1,
3-ブチレングリコール,ヒアルロン酸及びその塩,ポリ
エチレングリコール,コンドロイチン硫酸及びその塩,
水溶性キチンあるいはキトサン誘導体,乳酸ナトリウム
などの保湿剤,低級アルコール,多価アルコール,水溶
性高分子,pH調整剤,キレート剤,防腐・防バイ剤,
香料,着色料,清涼剤,安定化剤,動・植物を起源とし
た抽出物,動・植物性蛋白質及びその分解物,動・植物
性多糖類及びその分解物,動・植物性糖蛋白質及びその
分解物,血流促進剤,消炎・抗炎症剤,細胞賦活剤,ビ
タミン類,アミノ酸及びその塩,角質溶解剤,収斂剤,
創傷治癒剤,増泡剤,消臭・脱臭剤など必要に応じて併
用し、前述のような各種製品とすることができる。
【0013】また本発明の皮膚外用剤及び浴用剤には、
既に抗酸化剤として使用されている化学品、例えば、ア
スコルビン酸及びその塩,ステアリン酸エステル,トコ
フェロール及びそのエステル誘導体(ビタミンE),ノ
ルジヒドログアセレテン酸,ジブチルヒドロキシトルエ
ン(BHT),ブチルヒドロキシアニソール(BH
A),パラヒドロキシアニソール,没食子酸プロピル,
タンニン酸などや、抗酸化作用を有することが知られて
いる植物抽出物を併用して使用することも可能である。
例えば、米糠油,ヤシ油,ココナッツ油,胡麻,コーヒ
ー豆,カカオ豆,ゲンノショウコ,茶葉,阿仙薬,ニン
ジン,カンゾウ,センキュウ,オウレン,トウキ,シャ
クヤク,オウゴン,クジン,エンジュ,五倍子,営実,
ユキノシタ,チョウジ,サイコ,ジオウ,ボタンピ,ヨ
クイニン,リンドウ,ソバ,ピメンタ,ローズマリー,
セージ,オールスパイス,パプリカ,シナモン,バジ
ル,ガーリック,ペッパー,フェンネル,タイム,パセ
リ,オニオン,サフラン,ユーカリ葉などの植物抽出物
があげられる。また本発明のフィチン酸亜鉛とこれらの
抗酸化剤及び植物抽出物との併用によって、抗酸化作用
(過酸化脂質生成抑制作用)が相加、相乗的に増大する
可能性は十分予測され得る。
【0014】本発明の皮膚外用剤及び浴用剤の剤型は、
完全な透明状のものを除いて、乳化系あるいは粉体系の
ものであれば任意であり、液状、乳液状、クリーム状、
軟膏状、ゲル状、パウダー状、顆粒状、固形状、気泡状
などの外用医薬品類、外用医薬部外品類、皮膚・頭髪用
化粧品類、及び浴用剤に配合して用いることができる。
具体的には、カラミンローションのようなタイプの粉体
入りの化粧水、乳液、クリーム、軟膏、パックなどの基
礎化粧料、洗顔料やクレンジング、皮膚洗浄料、シャン
プー、リンス、ヘアートリートメント、整髪料、パーマ
剤、ヘアートニック、育毛・養毛料などの頭髪用化粧
料、ファンデーション、口紅、頬紅、アイシャドウ、ア
イライナー、マスカラなどのメークアップ化粧料、液体
・粉末・固形状の浴用剤などがあげられる。
【0015】また本発明のフィチン酸亜鉛の皮膚外用剤
や浴用剤への添加方法については、予め加えておいて
も、製造途中で添加してもよく、作業性を考えて適宜選
択すれば良い。
【0016】
【実施例】次に、製造例、試験例、処方例をあげて本発
明を更に具体的に説明するが、本発明がこれらに制約さ
れるものではないということはいうまでもない。
【0017】(製造例1)フィチン酸(C618
246:分子量660.04;含量50%)26.4gを精製水に溶
解し、1N水酸化ナトリウム溶液にてpHを約4に調整
後、精製水にて200mLにメスアップし、0.1Mフィチン酸
塩溶液とした。酢酸亜鉛(二水和物)26.34gを精製水
に溶解後、全量を200mLとし、0.6M酢酸亜鉛溶液とし
た。上記の二溶液を混合して30分間攪拌後、5,000rpmで
10分間遠心分離を行った。得られた沈渣に精製水を適量
添加して攪拌後、再度遠心分離をした。この精製水によ
る洗浄操作を3度繰り返すことにより、未反応のフィチ
ン酸及び酢酸亜鉛を完全に除去した。3度目の遠心分離
後の沈渣を乾燥して粉末化し、フィチン酸亜鉛19.69g
を得た。このとき得られたフィチン酸亜鉛を分析したと
ころ、フィチン酸と亜鉛はおおよそ1:5のモル比で反
応していることが確認された。
【0018】(製造例2)製造例1と同様に、0.1Mのフ
ィチン酸塩溶液500mLに、0.4Mの塩化亜鉛溶液500mLを混
合して、粉末状のフィチン酸亜鉛46.1gを得た。得られ
たフィチン酸亜鉛の分析により、フィチン酸と亜鉛は平
均して1:3.2のモル比で反応していることが判明し
た。
【0019】(試験1)過酸化脂質生成抑制作用の測定 製造例1により得られたフィチン酸亜鉛が、活性酸素
(鉄−アスコルビン酸系)、あるいは紫外線により引き
起こされるリノレン酸の過酸化をどの程度抑制するか
を、TBA法を用いて検討した。
【0020】A.Fe−ASA系活性酸素によるリノレ
ン酸の過酸化抑制 0.8%ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)溶液に、0.1%と
なるようにリノレン酸を加えて溶解し、この溶液3.7mL
に適当な濃度に調整した試料溶液0.1mL、8μM硫酸鉄(I
I)アンモニウム溶液0.1mL、38μMアスコルビン酸溶液0.
1mLを加えた後、37℃で1.25時間反応させた。次にこの
溶液を1mLとり、0.67%チオバルビツール酸(TBA)・1
5%酢酸水溶液(pH3.5)1mL、4.5%ジブチルヒドロキ
シトルエン(BHT)20μLを加え、95℃で1時間加熱し、
冷後、精製水1mL及び20%メタノール含有n-ブタノール
4mLを加えてよく振った後、遠心分離(2,000rpm,10mi
n)を行って、n-ブタノール層の532nmにおける吸光度を
測定した。なお、試料を添加した場合の反応前の吸光度
をa、試料を添加した場合の反応前の吸光度をb、ま
た、試料を添加しない場合の反応後の吸光度をa’、試
料を添加しない場合の反応前の吸光度をb’として、数
1により過酸化脂質生成抑制率を算出した。
【数1】
【0021】B.紫外線によるリノレン酸の過酸化抑制 0.8%SDS溶液に、0.1%となるようにリノレン酸を加
えて溶解し、この溶液3.9mLに適当な濃度に調製した試
料溶液0.1mLを加えた後、その溶液に対して、紫外線
(ランプ:東芝製 FL-20SEランプ,FL-20SBLランプをそ
れぞれ3灯並列、照射距離:15cm)を1時間照射した。
この溶液を1mLとり、Aと同様の操作を施した後、吸光
度を測定した。尚、試料を添加して紫外線を照射した場
合の吸光度をa、試料を添加して紫外線を照射しない場
合の吸光度をb、また、試料を添加しないで紫外線を照
射した場合の吸光度をa’、試料を添加せず紫外線を照
射しない場合の吸光度をb’とし、数1により過酸化脂
質生成抑制率を算出した。
【0022】(試験結果)フィチン酸は、油脂の過酸化
を賦活する金属イオンをキレート化することにより抗酸
化作用を現わすことが知られているが、すでにフィチン
酸とキレート化をしている本発明のフィチン酸亜鉛に
も、表1のごとく、フィチン酸を上回る、ビタミンEと
同程度の優れた過酸化脂質生成抑制作用があることが確
認された。また、金属イオンが関与していない試験系
(B)においても抑制作用を有することから、フィチン酸
亜鉛のその作用は金属イオンのキレート化によるもので
はないことが示唆された。
【表1】
【0023】(試験2)過酸化脂質分解(消去)作用の
測定 製造例1により得られたフィチン酸亜鉛が、既に生成し
てしまった過酸化脂質をどの程度分解(消去)するか
を、TBA法を用いて過酸化脂質量の目安となる吸光度
を測定することにより検討した。 (試験方法)0.8%SDS溶液に、0.1%となるようにリ
ノレン酸を加えて溶解し、紫外線を2時間照射し、リノ
レン酸の過酸化物を生成させた。この溶液7.8mLに0.1%
試料溶液を0.2mL添加し、すぐにこの1.0mLをとり、上記
の試験1と同様の操作を行った後、吸光度を測定した。
残りの溶液は40℃で放置し、30分,1,2,4,24時間
後に吸光度を測定した。これらの吸光度を比較して、吸
光度が減少していれば、過酸化脂質分解(消去)作用が
あるものと判断した。
【0024】(試験結果)表2のごとく、抗酸化剤とし
て多用されているビタミンEには、過酸化脂質分解(消
去)作用は全く見られなかったのに対し、本発明のフィ
チン酸亜鉛には、その作用が確認された。
【表2】
【0025】(試験3)肌荒れ改善効果の測定 ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)によって誘発された
肌荒れに対する、フィチン酸亜鉛の肌荒れ改善効果を検
討した。 1.被験動物 ハートレイ系雌性モルモット(体重300g前後)を1群
3匹として2群6匹使用した。 2.被験薬物 (1)乳液基剤 ワセリン 7.5 重量% ステアリン酸 10.0 メチルパラベン 0.2 エデト酸ナトリウム 0.1 プロピレングリコール 3.0 トリエタノールアミン 1.0 精製水 78.2 (2)本発明のフィチン酸亜鉛を配合して処方した乳液(乳液Z) 製造例1で得られたフィチン酸亜鉛 3.0 重量% (1)の乳液基剤 97.0 (Zn終濃度 1%) 3.試験方法 モルモット背部を剪毛し、2ヶ所の試験区を定め、10%
のSDSを含む白色ワセリン0.2gを3日間連続して塗
布し、強度の肌荒れを作成した。SDS−ワセリン塗布
3日目より、1ヶ所の試験区には0.5mLの被験薬物を1
回塗布し、もう1ヶ所の試験区には同量の被験薬物を毎
日塗布して、肌荒れの改善状態を観察した。肌荒れ改善
の指標として、下記の点を比較した。 A.損傷皮膚の剥離状態 被験薬物投与3日目に、残存する損傷皮膚の面積の割合
を肉眼判定した。 B.肌の状態 被験薬物投与5日目と9日目に、肌の状態を肉眼判定に
より以下の評点で比較した。 大潰瘍 評点 1 小潰瘍 2 鱗片を伴う皮膚 3 紅斑を伴う皮膚 4 正常皮膚 5 毛の再生を伴う正常皮膚 6 C.毛の再生率 被験薬物投与15日目に、毛が再生した皮膚の面積の割合
を肉眼判定した。
【0026】4.試験結果 A.損傷皮膚の剥離状態 図1のごとく、乳液Z処理区は乳液処理区に比べ、損傷
皮膚の残存が少なく、本発明のフィチン酸亜鉛には損傷
皮膚の剥離を促進する作用があることが確認された。 B.肌の状態 図2のごとく、乳液Zは乳液基剤に比べて、荒れた肌の
正常化を促進することが確認された。 C.毛の再生率 図3のごとく、乳液Zは乳液基剤と比較して、毛の再生
を促進することが確認された。A〜Cの結果から、乳液
Zは乳液基剤に比べて明らかに肌荒れを改善した。すな
わち、フィチン酸亜鉛は肌荒れの改善に有効であると判
断された。
【0027】(試験4)安全性試験 (1)皮膚一次刺激性試験 製造例1で得られたフィチン酸亜鉛を約20重量%の濃度
になるように調製し、これを背部を除毛した兎(1群3
匹,体重3,800g前後)の皮膚に貼布した。判定は、貼
付後24,48,72時間に一次刺激性の評点法により紅斑及
び浮腫を指標として行った。その結果、すべての動物に
おいて、何等、紅斑及び浮腫を認めず陰性と判定され
た。 (2)皮膚累積刺激性試験 製造例1で得られたフィチン酸亜鉛を約20重量%の濃度
になるように調製し、これを側腹部を除毛(2×4cm2
したハートレイ系モルモット(雌性,1群5匹,体重32
0g前後)の皮膚に1日1回,週5回,0.5ml/動物当り
を塗布した。塗布は4週にわたって、また除毛は各週の
最終塗布日に行った。判定は、各週の最終日の翌日に1
次刺激の評点法により紅斑及び浮腫を指標として行っ
た。その結果、すべての動物において、塗布後1〜4週
にわたって、何等、紅斑及び浮腫を認めず陰性と判定さ
れた。
【0028】 (処方例1)カラミンローション 1.エタノール 14.0重量% 2.グリセリン 5.0 3.酸化鉄(ベンガラ) 0.15 4.製造例1によるフィチン酸亜鉛 1.0 5.香料,防腐剤 適量 6.精製水 残量
【0029】 (処方例2)クリーム 1.ステアリン酸 2.0 2.ステアリルアルコール 7.0 3.還元ラノリン 2.0 4.スクワラン 5.0 5.オクチルドデカノール 6.0 6.ポリオキシエチレンセチルエーテル(25E.O.) 3.0 7.製造例1によるフィチン酸亜鉛 2.0 8.香料,防腐剤 適量 9.精製水 残量
【0030】 (処方例3)洗顔クリーム 1.ステアリン酸 10.0重量% 2.パルミチン酸 10.0 3.ミリスチン酸 12.0 4.ラウリン酸 4.0 5.オレイルアルコール 1.5 6.ラノリン誘導体(E.O.付加物) 1.0 7.グリセリン 18.0 8.水酸化カリウム 6.0 9.製造例1によるフィチン酸亜鉛 1.0 10.香料,防腐剤 適量 11.精製水 残量
【0031】 (処方例4)シャンプー 1.ラウリル硫酸トリエタノールアミン 5.0重量% 2.ポリオキシエチレンラウリルエーテル 硫酸ナトリウム 12.0 3.1,3-ブチレングリコール 4.0 4.ラウリン酸ジエタノールアミド 2.0 5.エデト酸二ナトリウム 0.1 6.製造例2によるフィチン酸亜鉛 1.5 7.防腐剤,香料 適量 8.精製水 残量
【0032】 (処方例5)パウダーファンデーション 1.ベンガラ 2.5重量% 2.黄酸化鉄 2.5 3.ナイロンパウダー 10.0 4.酸化チタン 10.0 5.マイカ 20.0 6.タルク 42.0 7.製造例1によるフィチン酸亜鉛 3.0 8.流動パラフィン 7.0 9.ミリスチン酸オクチルドデシル 3.0 10.防腐剤,香
【0033】 (処方例6)白濁タイプの粉末浴用剤 1.無水硫酸ナトリウム 65.0 2.炭酸水素ナトリウム 27.0 3.フィチン酸亜鉛 5.0 4.ラウリル硫酸ナトリウム 1.0 5.香料,色素 適量
【0034】(試験5)使用効果試験 本発明の皮膚外用剤及び浴用剤を実際に使用した場合の
美肌(肌荒れ,カサつきなどの改善)効果、老化防止効
果について検討を行った。試験は15〜40歳の15名の男女
をパネラーとし、毎日、朝と夜の2回、洗顔後に処方例
2のクリームの適量を顔面に1ヶ月にわたって塗布する
ことにより行った。また、処方例6の浴用剤について
も、別のパネラー15名を対象に、1ヶ月間、浴用剤を溶
解させた浴湯に入浴してもらい、使用試験を試みた。対
照には、処方中のフィチン酸亜鉛の代わりに、クリーム
は精製水で、浴用剤は無水硫酸ナトリウムで補正し、同
様の方法にて製造したものを用いた。
【0035】試験結果を表3に示す。使用期間中に皮膚
の異常を訴えた者はなかった。尚、評価は次の基準で行
った。 ・美肌(肌荒れ、カサつき改善)効果 有 効:肌の潤い、くすみ、肌荒れが改善された やや有効:肌の潤い、くすみ、肌荒れがやや改善された 無 効:使用前と変化なし ・皮膚老化防止効果 有 効:肌のはり、つや、しわ、たるみが改善された やや有効:肌のはり、つや、しわ、たるみがやや改善さ
れた 無 効:使用前と変化なし 表3の結果より明らかなように、本発明の皮膚外用剤ま
たは浴用剤の使用により、肌荒れ、カサつきの改善とい
った美肌効果、並びに皮膚の老化防止効果が確認され
た。
【表3】
【0036】
【発明の効果】本発明のフィチン酸亜鉛は皮膚に対する
刺激がなく、過酸化脂質生成抑制作用、過酸化脂質分解
(消去)作用、並びに肌荒れ改善効果を有し、かつ安全
性が高いため、あらゆる形態の製剤(医薬品類、医薬部
外品類、化粧品類)への応用が可能である。また本発明
による皮膚外用剤及び浴用剤は、肌荒れ、カサつきなど
の予防及び改善を目的として使用することができ、ま
た、皮膚のたるみやくすみを防ぎ、ツヤを与え、キメを
整えるなどといった皮膚老化防止にも効果的である。更
に、本発明のフィチン酸亜鉛は、油性成分の酸化を抑制
する効果、及びすでに生成された過酸化脂質を消去する
作用があるため、これを含有する皮膚外用剤及び浴用剤
は、その製剤の品質劣化を防止することができ、安定
性、安全性を高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】肌荒れ改善試験における被験薬物投与3日目の
残存損傷皮膚の面積の割合を示した図である。
【図2】肌荒れ改善試験における被験薬物投与5日目及
び9日目の肌の状態の肉眼判定の結果を示した図であ
る。
【図3】肌荒れ改善試験における被験薬物投与15日目の
毛の再生率を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 7/48 7/50

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フィチン酸亜鉛を有効成分として含有する
    過酸化脂質生成抑制剤または過酸化脂質分解(消去)
    剤。
  2. 【請求項2】フィチン酸亜鉛を有効成分として含有する
    肌荒れ改善剤。
  3. 【請求項3】フィチン酸亜鉛を含有することを特徴とす
    る皮膚外用剤及び浴用剤。
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