JP3741569B2 - 形態維持・改善用の化粧料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧料に関し、更に詳しくは、皮膚の弾力消失、表面の平滑化或いはしわの形成と言った形態変化の抑制や改善に好適な化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
人は年齢を重ねるに従って、環境の影響或いはその生活形態の影響により、様々な容貌の変化を経験する。例えば、皮膚を例に取れば、皮膚の弾力消失、しわの形成、皮膚表面の平坦化、色調に於ける彩度と明度の低下等が挙げられる。これらの変化は、いわば生体が外部環境などから受けてきた傷害の総和とも表現することができる。若いときには、この様な外部環境より受けた障害は、回復不能な部分は速やかに様々な機構によって生体より除去され、脱落した部分は新たに補完され、以て今までの形態を維持している。この様なメカニズムも、この様な傷害が多くなればなるほど、リカバーされずにその影響が蓄積してしまう。これが前日の皮膚の形態変化へと結びつくのである。この様な経年的な皮膚の形態変化に対して現在までに開発された対抗技術は、形態変化に伴い低下する皮膚の保湿作用などの機能を、ヒアルロン酸ナトリウムなどの保湿成分で補完し、見た目のかさつきなどを目立たなくさせたり、皮膚表面のかさつきを、α−ヒドロキシ酸やレチノール、ステロイド等の作用により角層の剥離速度を速めてめだたなくさせる技術等であり、この様な技術により、形態変化は確かに目立たなくなるが、根本的な皮膚の構造の改善はなしえていないのが現状であった。
【0003】
一方、化粧料に於いて、セリ科ツボクサのエッセンスとシソ科ローズマリーのエッセンスを組み合わせて化粧料に含有させることは全く知られておらず,この様な組合せが、上記皮膚の経年形態変化の抑制・改善に優れた効果を発現することも全く知られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、皮膚の経年的な形態変化の予防・改善手段を提供することを課題とする。
【0005】
【課題の解決手段】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、皮膚の経年的な形態変化の予防・改善手段を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、セリ科ツボクサのエッセンスとシソ科ローズマリーのエッセンスを組み合わせて化粧料に含有させることにより、かかる課題を解決できることを見いだし発明を完成させるに至った。以下、本発明について実施の形態を中心に、更に詳細に説明を加える。
【0006】
【発明の実施の形態】
(1)本発明の必須成分であるツボクサのエッセンス
本発明の化粧料は、セリ科の植物である、ツボクサのエッセンスを含有することを特徴とする。ここで、本発明で言うエッセンスとは、植物体の一部乃至は全部、植物体の一部乃至は全部を乾燥、切切、粉砕など加工した加工物、植物体の一部乃至は全部もしくはそれらの加工物を溶剤などで抽出した抽出物、その溶媒除去物、或いはそれらの分画・精製物等の総称を意味する。本発明の化粧料に於いて、最も好ましいエッセンスは溶媒抽出物及び/又はその溶媒除去物である。又、抽出に用いる溶媒としては、極性溶媒が好ましく、具体的には、水、エタノールやブタノール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール等のアルコール類、酢酸エチルや蟻酸メチル等のエステル類、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル類、クロロホルムや塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類等が好適に例示でき、これらの中では水及び/又はアルコールが特に好ましい。植物体の使用部位としては、全草乃至は地上部が好ましい。これら植物体を用いて抽出物を製造する方法としては、植物体乃至はその加工物にそれらの1〜20倍の重量の上記溶媒から選ばれる1種乃至は2種以上を加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬し、必要に応じて濾過などで不溶物を除去或いは濃縮などして操作すればよい。本発明の化粧料に於いて、これらツボクサのエッセンスは、後記ローズマリーのエッセンスとともに相乗的に働き、皮膚の形態変化を抑制する作用を有する。本発明の化粧料に於けるこれらツボクサのエッセンスの好ましい含有量は、化粧料全量に対して、0.001〜10重量%であり、更に好ましくは0.01〜1重量%である。これは、少なすぎると前記作用が発現しない場合があり、多すぎても効果が頭打ちになるからである。
【0007】
(2)本発明の化粧料の必須成分であるローズマリーのエッセンス
本発明の化粧料は、シソ科の植物である、ローズマリーのエッセンスを含有することを特徴とする。ここで、本発明で言うエッセンスとは、上記ツボクサのエッセンスに於けるエッセンスの意味と同様のものを意味する。本発明の化粧料に於いて、最も好ましいエッセンスは、ツボクサの場合と同様、溶媒抽出物及び/又はその溶媒除去物である。又、抽出に用いる溶媒としては、極性溶媒が好ましく、具体的には、水、エタノールやブタノール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール等のアルコール類、酢酸エチルや蟻酸メチル等のエステル類、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル等のニトリル類、クロロホルムや塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類等が好適に例示でき、これらの中では水及び/又はアルコールが特に好ましい。植物体の使用部位としても、全草乃至は地上部が好ましい。これら植物体を用いて抽出物を製造する方法は、上記のツボクサのエッセンスの製造方法に準じればよい。本発明の化粧料に於いて、これらローズマリーのエッセンスは、前記ツボクサのエッセンスとともに相乗的に働き、皮膚の形態変化を抑制する作用を有する。本発明の化粧料に於けるこれらローズマリーのエッセンスの好ましい含有量は、化粧料全量に対して、0.001〜10重量%であり、更に好ましくは0.01〜1重量%である。これは、少なすぎると前記作用が発現しない場合があり、多すぎても効果が頭打ちになるからである。
【0008】
(3)本発明の化粧料
本発明の化粧料は、通常知られている種類のものであれば特段の限定なく適用することができ、この様な化粧料としては、例えば、基礎化粧料、メークアップ化粧料、毛髪化粧料、洗浄用化粧料などに、適用することが出来るが、好ましいのは、上記必須成分の有する皮膚形態の変化の抑制・改善作用を利用した、基礎化粧料である。中でも、老化や光の過剰照射によって生じるシワの改善・予防用の化粧料に特に好ましい。本発明の化粧料に於いては、上記必須成分以外に、通常化粧料で使用される任意成分を本発明の効果を損なわない範囲に於いて使用できる。かかる任意成分としては、例えば、ワセリンやマイクロクリスタリンワックス等のような炭化水素類、ホホバ油やゲイロウ等のエステル類、牛脂、オリーブ油等のトリグリセライド類、セタノール、オレイルアルコール等の高級アルコール類、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸、グリセリンや1,3−ブタンジオール等の多価アルコール類、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、エタノール、カーボポール等の増粘剤、防腐剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、色素、粉体類等が好ましく例示できる。これらの内、特に好ましいものは、皮膚形態に大きな影響を及ぼすストレスの生体への作用を緩和する作用を有するブクリョウなどのサルノコシカケ科の植物のエッセンスである。この様な成分は、生体に作用しストレスの影響を受けにくくさせる作用を有し、これらを共存させることにより、ストレスと皮膚形態の変化要因との相乗作用を防ぐことができる。この様な成分の好ましい含有量は、化粧料全量に対して0.001〜2重量%である。更に本発明の化粧料に於いては、形態変化によって損なわれた皮膚の機能を補完する作用を有する成分を含有することも大変有利である。この様な成分としては、硫酸化トレハロースナトリウム、アシル化トレハロース、トレハロース等のトレハロースとその誘導体及び/又はその塩、コンドロイチンポリ硫酸ナトリウムやヘパリン類似物質などの多硫酸化多糖類及び/又はその塩、メタクリロイルオキシエチルホスファチジルコリンポリマー等の保湿性に優れる物質が例示できる。これらの成分の好ましい含有量は、それぞれ、0.001〜1重量%である。本発明の化粧料は、これらの成分を常法に従って処理することにより製造することが出来る。
【0009】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて更に詳細に本発明について説明を加えるが、本発明がこれら実施例にのみ限定を受けないことは言うまでもない。
【0010】
<実施例1>
以下に示す処方に従って、油中水クリームを作成した。即ち、イ、ロの成分をそれぞれ80℃に加熱し、イにロを徐々に加え、乳化し、ホモジナイザーで粒子を均一化した後、撹拌冷却してクリーム1を得た。ここでローズマリーのエッセンスとしては100gのローズマリーの地上部に1lの1,3−ブタンジオールを加え、抽出を行い、濾過したものを用い、ツボクサのエッセンスとしては100gのツボクサの全草に1lの1,3−ブタンジオールを加え、抽出を行い、濾過したものを用いた。

蔗糖脂肪酸エステル 0.5 重量部
ワセリン 1 重量部
ラノリン 3 重量部
流動パラフィン 8 重量部
低粘度シリコーン 30 重量部
ステアリルアルコール 0.5 重量部
ステアリン酸 0.55重量部
ウンデシレン酸モノグリセリド 2 重量部
有機変性ベントナイト 2 重量部

1,3−ブタンジオール 5 重量部
グリセリン 20 重量部
ローズマリーのエッセンス 1 重量部
ツボクサのエッセンス 0.5 重量部
水酸化カリウム 0.05重量部
水 25.9 重量部
【0011】
<実施例2>
上記クリーム1の皮膚形態変化の改善作用について、老齢ラットを用いて検討した。即ち、ウィスター系雄性ラット(5週齢)を90週予飼育し、老齢ラットを作製した。この老齢ラット1群10匹の背部を剃毛し、サンプルで1日1回12週連続して処置した。サンプルの投与量は0.5ml/1匹で剃毛した背部全面を処置した。サンプルはクリーム1、クリーム1のローズマリーのエッセンスを1,3−ブタンジオールに置換した比較例1、クリーム1のツボクサのエッセンスを1,3−ブタンジオールに置換した比較例2、クリーム1のローズマリーのエッセンスとツボクサのエッセンスとを1,3−ブタンジオールに置換した対照例1、剃毛だけでなにも処置を行わないブランク1の5種であった。最後の処置の終了後16時間に皮膚の表面形態をビデオマイクロスコープで観察した後、皮膚の電子顕微鏡用標本を作製し、電子顕微鏡により真皮の構造を観察した。この観察結果をもとに、ブランクを比較対照に置き、形態変化の改善効果を判定した、判定基準は評点2:ブランクに比べ著しく改善、評点1:ブランクに比べ明らかに改善、評点0.5:ブランクに比べやや改善、評点0:ブランクと同じ、評点−0.5:ブランクよりやや悪化、評点−1:ブランクより明らかに悪化、評点−2:ブランクより著しく悪化を用い、各群毎に平均評点を求めた。これを表1に示す。本発明の化粧料の投与により皮膚形態が著しく改善していることがわかる。又、この様な効果はローズマリーのエッセンスとツボクサのエッセンスの相乗作用であることもわかる。
【0012】
【表1】
Figure 0003741569
【0013】
<実施例3>
以下に示す処方に従って、油中水クリームを作成した。即ち、イ、ロの成分をそれぞれ80℃に加熱し、イにロを徐々に加え、乳化し、ホモジナイザーで粒子を均一化した後、撹拌冷却してクリーム2を得た。ここでローズマリーのエッセンスとしては100gのローズマリーの地上部に1lの1,3−ブタンジオールを加え、抽出を行い、濾過したものを用い、ツボクサのエッセンスとしては100gのツボクサの全草に1lの1,3−ブタンジオールを加え、抽出を行い、濾過したものを用い、ブクリョウのエッセンスはブクリョウの菌糸の部分100gにエタノール1lを加えて抽出し、濾過した後、溶媒を留去したものを用いた。このもののクリーム1を比較対照とした場合の評価値は、皮膚表面形態が0.2で真皮形態が0.1であった。これより、ブクリョウのエッセンスを含有させることにより本発明の効果が高まることがわかる。

蔗糖脂肪酸エステル 0.5 重量部
ワセリン 1 重量部
ラノリン 3 重量部
流動パラフィン 8 重量部
低粘度シリコーン 30 重量部
ステアリルアルコール 0.5 重量部
ステアリン酸 0.55重量部
ウンデシレン酸モノグリセリド 2 重量部
有機変性ベントナイト 2 重量部

1,3−ブタンジオール 5 重量部
グリセリン 20 重量部
ローズマリーのエッセンス 1 重量部
ツボクサのエッセンス 0.5 重量部
ブクリョウのエッセンス 0.1 重量部
水酸化カリウム 0.05重量部
水 25.8 重量部
【0014】
<実施例4>
以下に示す処方に従って、油中水クリームを作成した。即ち、イ、ロの成分をそれぞれ80℃に加熱し、イにロを徐々に加え、乳化し、ホモジナイザーで粒子を均一化した後、撹拌冷却してクリーム3を得た。ここでローズマリーのエッセンスとしては100gのローズマリーの地上部に1lの50%エタノール水溶液を加え、抽出を行い、濾過した後、溶媒を留去したものを用い、ツボクサのエッセンスとしては100gのツボクサの全草に1lの50%エタノール水溶液を加え、抽出を行い、濾過した後、溶媒を留去したものを用い、ブクリョウのエッセンスはブクリョウの菌糸の部分100gにエタノール1lを加えて抽出し、濾過した後、溶媒を留去したものを用いた。このクリームを71歳の女性に1ヶ月使用してもらったところ、肌に張りがでてきて生き生きとしてきたことが自他ともに認められた。これは、本発明の化粧料の皮膚の形態改善作用によるものである。
Figure 0003741569
【0015】
<実施例5>
以下に示す処方に従って、油中水クリームを作成した。即ち、イ、ロの成分をそれぞれ80℃に加熱し、イにロを徐々に加え、乳化し、ホモジナイザーで粒子を均一化した後、撹拌冷却してクリーム4を得た。ここでローズマリーのエッセンスとしては100gのローズマリーの地上部に1lの50%エタノール水溶液を加え、抽出を行い、濾過した後、溶媒を留去したものを用い、ツボクサのエッセンスとしては100gのツボクサの全草に1lの50%エタノール水溶液を加え、抽出を行い、濾過した後、溶媒を留去したものを用い、ブクリョウのエッセンスはブクリョウの菌糸の部分100gにエタノール1lを加えて抽出し、濾過した後、溶媒を留去したものを用いた。このクリームを661歳の女性に1ヶ月使用してもらったところ、肌に張りがでてきて生き生きとしてきたことが自他ともに認められた。これは、本発明の化粧料の皮膚の形態改善作用によるものである。

蔗糖脂肪酸エステル 0.5 重量部
ワセリン 1 重量部
ラノリン 3 重量部
流動パラフィン 8 重量部
低粘度シリコーン 30 重量部
ステアリルアルコール 0.5 重量部
ステアリン酸 0.55重量部
ウンデシレン酸モノグリセリド 2 重量部
有機変性ベントナイト 2 重量部

1,3−ブタンジオール 5 重量部
グリセリン 20 重量部
ローズマリーのエッセンス 0.01重量部
ツボクサのエッセンス 0.01重量部
ブクリョウのエッセンス 0.01重量部
硫酸化トレハロースナトリウム 0.01重量部
水酸化カリウム 0.05重量部
水 27.37重量部
【0016】
<実施例6>
以下に示す処方に従って、油中水クリームを作成した。即ち、イ、ロの成分をそれぞれ80℃に加熱し、イにロを徐々に加え、乳化し、ホモジナイザーで粒子を均一化した後、撹拌冷却してクリーム5を得た。ここでローズマリーのエッセンスとしては100gのローズマリーの地上部に1lの50%エタノール水溶液を加え、抽出を行い、濾過した後、溶媒を留去したものを用い、ツボクサのエッセンスとしては100gのツボクサの全草に1lの50%エタノール水溶液を加え、抽出を行い、濾過した後、溶媒を留去したものを用い、ブクリョウのエッセンスはブクリョウの菌糸の部分100gにエタノール1lを加えて抽出し、濾過した後、溶媒を留去したものを用いた。このクリームを62歳の女性に1ヶ月使用してもらったところ、肌に張りがでてきて生き生きとしてきたことが自他ともに認められた。これは、本発明の化粧料の皮膚の形態改善作用によるものである。

蔗糖脂肪酸エステル 0.5 重量部
ワセリン 1 重量部
ラノリン 3 重量部
流動パラフィン 8 重量部
低粘度シリコーン 30 重量部
ステアリルアルコール 0.5 重量部
ステアリン酸 0.55重量部
ウンデシレン酸モノグリセリド 2 重量部
有機変性ベントナイト 2 重量部

1,3−ブタンジオール 5 重量部
グリセリン 20 重量部
ローズマリーのエッセンス 0.01重量部
ツボクサのエッセンス 0.01重量部
ブクリョウのエッセンス 0.01重量部
ヘパリン類似物質 0.01重量部
水酸化カリウム 0.05重量部
水 27.37重量部
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、皮膚の経年的な形態変化の予防・改善手段を提供することができる。

Claims (1)

  1. リ科ツボクサの全草に対し、1〜20倍の重量の1,3−ブタンジオールを加え、抽出を行い、濾過し、溶媒を留去してエッセンスを得る工程と、
    ソ科ローズマリーの地上部に対し、1〜20倍の重量の1,3−ブタンジオールを加え、抽出を行い、濾過し、溶媒を留去してエッセンスを得る工程と、
    前記ツボクサのエッセンス0.001〜10重量%と前記ローズマリーのエッセンス0.001〜10重量%とを化粧料に含有させる工程を含むことを特徴とする、皮膚の形態の維持及び/又は改善の為の化粧料の製造方法
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