JP2014015422A - 化粧料組成物 - Google Patents

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健司 村島
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Abstract

【課題】
防腐剤を配合することなく、腐敗、微生物汚染を防止する化粧料組成物を提供すること。
【解決手段】
下記(A)〜(D):
(A)クローブ(フトモモ科、チョウジノキの花蕾)を低級アルコール及び/または水で抽出した抽出物から精油成分を除去した抽出物、あるいは予め精油成分を除去したクローブを低級アルコール及び/または水で抽出した抽出物 (B)インチンコウ(キク科、カワラヨモギの頭花)を低級アルコール及び/または水で抽出した抽出物 (C)炭素数8〜12の脂肪酸のモノグリセライド (D)ポリオールを含有することで化粧料組成物に対して優れた抗菌抗黴性を与えることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、防腐剤を配合することなく、腐敗、微生物汚染を防止する化粧料組成物を提供するものである。
化粧料は水、油剤、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、植物エキス等から構成され、微生物が生育しやすい環境であることが多い。したがって、化粧料の品質を確保するうえで防腐剤の添加は重要である。防腐剤としてはパラオキシ安息香酸エステル類(パラベン類)、安息香酸及びその塩類、サリチル酸及びその塩類、ソルビン酸及びその塩類、デヒドロ酢酸及びその塩類、レゾルシン、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素201号、フェノキシエタノール、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル等が用いられている。しかし、これらの防腐剤は一部の敏感な使用者に対して使用時における刺激感やアレルギー反応を伴う場合があり、防腐剤を配合しない化粧料が求められている。
上記のような問題に対し、非特許文献1に記されているように、化粧料に1,3−ブチレングリコールやプロピレングリコールなどのポリオールを配合することにより抗菌性を付与する技術が知られている。しかしながら、これらのポリオールを抗菌性が十分に発揮できるように化粧料に添加するには多くの量が必要であり、官能面の悪化や皮膚への刺激が問題であった。
FRAGRANCE JOURNAL 2006−4, p.34−38
本発明の目的は防腐剤を配合することなく、腐敗、微生物汚染を防止する化粧料組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、精油成分を除去したクローブ抽出物、インチンコウ抽出物、炭素数8〜12の脂肪酸のモノグリセライド及びポリオールを併用することにより、幅広い菌種に対して相乗的に抗菌作用が向上し、化粧料に対して、腐敗、微生物汚染防止の効果が増強されることを見いだし、発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は化粧料に対して(A)クローブ(フトモモ科、チョウジノキの花蕾)を低級アルコール及び/または水で抽出した抽出物から精油成分を除去した抽出物、あるいは予め精油成分を除去したクローブを低級アルコール及び/または水で抽出した抽出物 (B)インチンコウ(キク科、カワラヨモギの頭花)を低級アルコール及び/または水で抽出した抽出物 (C)炭素数8〜12の脂肪酸のモノグリセライド (D)ポリオールの(A)〜(D)を含有させた化粧料組成物である。
本発明により、化粧料の腐敗を防止することができ、幅広い分野で応用できる抗菌抗黴性のすぐれた組成物を得ることができる。
以下、本発明を実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明に用いるクローブは、別名をチョウジと言い、フトモモ科のチョウジノキ(学名:Eugenia caryophyllata)の花蕾であり、香辛料や健胃生薬として使用されており、容易に入手することができる。本発明で使用するクローブ抽出物を得るためには、花蕾以外にも葉や茎を含んだものであっても良いが、花蕾のみを使用することが望ましい。
クローブ抽出物を得るための抽出溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール及び水から選ばれた1種または2種以上を使用することができるが、エチルアルコール濃度50重量%以上のエチルアルコール水溶液及び/またはメチルアルコール濃度50重量%以上のメチルアルコール水溶液が好ましく、エチルアルコール濃度70〜90重量%のエチルアルコール水溶液が特に好ましい。アルコール濃度50重量%未満のエチルアルコール水溶液またはメチルアルコール水溶液を使用すると抗菌成分も抽出されるが、抗菌性にほとんど関与しない色素成分等も多く抽出されるため、抽出物自体の色が濃くなり、添加する化粧料の外観を損なう場合があり好ましくない。特にエチルアルコール濃度70〜90重量%のエチルアルコール水溶液を使用すると、色素成分の抽出が少なく特に好ましい。
上記の抽出溶媒の量は特に制限はないが、クローブに対して重量比で当量から20倍量、好ましくは当量から5倍量である。抽出は、常温もしくは低温で行なうことが色素成分の抽出を抑えることができるので好ましいが、抽出効率の向上や抽出時間の短縮のために加熱して行なっても良い。
本発明で使用するクローブ抽出物は、オイゲノール等の精油成分を除去することが必要である。オイゲノール等の精油成分は抗菌作用を有するが、揮発性で特有の強い臭気を有するため、精油成分を含んだままでは添加する化粧料の香りを損なうために好ましくない。オイゲノール等の精油成分を除去する方法としては、クローブの抽出の前に水蒸気蒸留により除去する方法や、抽出後に水を加えてあるいは水蒸気を吹き込み、水と共沸させて除去する方法等を挙げることができ、いずれの方法を用いても良い。
このようにして得られた精油成分を除去したクローブ抽出液は、そのまま用いても、濃縮して用いても、完全にあるいは適度に濃縮した後に溶媒に溶解して使用しても良い。濃縮後に溶解する溶媒としては、特に限定されるものではないが、化粧料に通常使用されるものであることが望ましく、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等を例示することができる。
これらの精油成分を除去したクローブ抽出液、これを濃縮した濃縮物あるいは濃縮後に溶媒に溶解したエキスは、そのまま化粧料組成物に添加しても良いが、化粧水等の水系の化粧料では水不溶性成分が析出したり分離したりするため、水に不溶な成分を除去して用いることが好ましい。水不溶性成分の除去は、抽出液あるいは濃縮物に水を加えて水可溶性成分を溶解した後、濾過等により行なうことができる。尚、水不溶性成分の除去の工程は、精油成分を除去する工程の前でも後でも良い。精油成分を除去後に水不溶性成分を除去した場合は、そのまま、これを濃縮して濃縮物とした後、あるいは濃縮後に上述の溶媒に溶解してエキスとした後、化粧料組成物に使用することができる。水不溶性成分を除去後に精油成分を除去する場合は、精油成分を除去後、同様にそのまま、これを濃縮して濃縮物とした後、あるいは濃縮後に上述の溶媒に溶解してエキスとした後、化粧料組成物に使用することができる。
このようにして得られたクローブ抽出物は、化粧料組成物に対して固形分換算で0.0001〜0.6重量%、好ましくは0.0002〜0.1重量%配合する。
本発明のインチンコウ抽出物は、生薬インチンコウとして使用されているキク科のカワラヨモギ(学名:Artemisia capillaries Thumb.)の地上部から抽出することができる。本発明で使用するインチンコウ抽出物を得るためには、葉や茎を含んだものであっても良いが、頭花のみを使用することが望ましい。
インチンコウ抽出物は、カワラヨモギを溶媒に浸漬した後、溶媒を分別することで得られ、必要に応じて溶媒を留去することによって得られる。また、カワラヨモギあるいはその抽出エキスを水蒸気に暴露し、この水蒸気より精油成分を回収することによって得ることができる。抽出溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類、メチルエーテル等のエーテル類等の有機溶媒、またこれらのうち水と混和する溶剤では水との混合溶剤を使用することができる。使用される用途で支障のない抽出溶媒を用いた抽出液であればそのまま使用しても良いが、溶剤を完全に留去してあるいは適度に濃縮して使用することが望ましい。その際、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等を添加して濃縮してもよい。また、カワラヨモギから水蒸気蒸留により得た精油成分をそのまま使用しても良い。更に、溶媒抽出物や水蒸気蒸留で得た精油成分を、カラムクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィー等により精製して使用しても良い。
このようにして得られたインチンコウ抽出物は、化粧料組成物に対して固形分換算で0.0001〜0.5重量%、好ましくは0.0002〜0.2重量%配合する。
本発明で用いる炭素数8〜12の脂肪酸のモノグリセライドとは、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸等の炭素数8〜12の脂肪酸とグリセリンとのモノエステルであり、これらの1種または2種以上を使用する。通常、これらのモノグリセライドは、上記の脂肪酸とグリセリンをエステル化し、分子蒸留等によりモノグリセライドを分離して製造されるが、ジグリセライドやトリグリセライドを含有するものであっても使用することができる。通常、これらのモノグリセライドは上記の化学合成により製造されるが、天然にも存在する成分であり、人体に対する安全性は前述の化学合成系の抗菌剤よりも優れている。これらのモノグリセライドは、水への溶解性が低く、化粧水等の水系の化粧料では析出または分離したりするため、化粧料組成物に界面活性剤を添加してこれらのモノグリセライドを可溶化する必要があるが、モノグリセライドを構成する脂肪酸の炭素鎖長が長いほど多量の界面活性剤を必要とする等、可溶化が難しくなるため、カプリル酸モノグリセライドを用いることが特に好ましい。
炭素数8〜12の脂肪酸のモノグリセライドは、化粧料組成物に対して0.001〜2重量%、好ましくは0.005〜1重量%配合する。
本発明で用いるポリオールとは2個以上のアルコール性ヒドロキシ基をもった脂肪族化合物をいい、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン等の多価アルコール、グルコースやトレハロース等の糖、キシリトールやソルビトール等の糖アルコールが例示され、これらより1種又は2種以上を選択して用いるが、本発明の目的である抗菌性をより強く発揮させるためにはグリセリン及び/またはジグリセリンを用いることが好ましい。
ポリオールは、化粧料組成物に対して0.1〜30重量%配合することが好ましい。
本発明における化粧料組成物とは、クリーム、乳液、化粧水、美容液等の基礎化粧品、石鹸、洗顔料、シャンプー、リンス等の清浄用化粧品、ヘアトニック、整髪料等の頭髪用化粧品、ファンデーション、アイライナー、マスカラ、口紅等のメイクアップ化粧品、歯磨き等の口腔化粧品、浴用化粧品等が挙げられる。
本発明の化粧料組成物の剤型としては、化粧水、二層状、油中水型エマルション、水中油型エマルション、ジェル状、ムース状、油性、固形状、シート状等の従来公知の剤型を使用することができる。
本発明の化粧料組成物には、その製品形態に応じて、上記の各成分以外に、通常化粧料に用いられる油剤、粉体(顔料、色素、樹脂)、フッ素化合物、樹脂、界面活性剤、粘剤、香料、紫外線吸収剤(有機系、無機系)、保湿剤、生理活性成分、塩類、溶媒、酸化防止剤、中和剤、pH調整剤、酵素等の成分を本発明の目的を達成できる範囲内で適宜使用することができる。
また本発明の化粧料組成物は、安息香酸及びその塩、サリチル酸及びその塩、デヒドロ酢酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩等の酸類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム類、塩酸アルキルアミノエチルグリシン、塩化ステアリルヒドロキシエチルベタインナトリウム等の両性界面活性剤、感光素等の防腐剤を含有しないことにより、防腐剤無添加の化粧料とすることができる。
以下に実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、その要旨を超えない限り、本発明はこれらに限定されるものではない。
(製造例1[クローブ抽出物の作製])
乾燥したクローブ(チョウジノキの花蕾)100gに、エチルアルコール濃度80重量%のエチルアルコール水溶液200gを加えて常温にて16時間浸漬して抽出し、減圧濾過を行なって抽出液を得た。これに精製水400gを加えて、析出物を減圧ロ過して得た濾液を濃縮する操作を2回行い、水不溶性成分を除去すると共に、精油成分を水と共に共沸させて完全に除去した。この濃縮物に1,3−ブチレングリコールを加えて溶解して全量を100gとし、精油成分を除去したクローブ抽出物を得た。なお、このクローブ抽出物の固形分量は6.2%であった。
(製造例2[インチンコウ抽出物の作製])
乾燥したインチンコウ(カワラウヨモギ花穂)100gにエチルアルコール濃度70重量%のエチルアルコール水溶液500gを加えて常温にて16時間浸漬して抽出し、減圧濾過を行なって抽出液を得た。これに、1,3−ブチレングリコール160gを加えた後、全量が200gになるまで減圧濃縮して、インチンコウ抽出物を得た。このインチンコウ抽出物の固形分は3.8%であった。
(実施例1〜3、比較例1〜5)
表2記載の実施例1〜3及び比較例1〜4のローションを調製した。なお、この表における配合量は全て重量%で示す。
(防腐力試験)
表2に記載の実施例1〜3及び比較例1〜5のスキンローションについて、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa ATCC 9027)及びクロコウジカビ(Aspergillus niger ATCC 16404)に対する防腐力試験を実施した。試験は調製した試験液1gあたり、緑膿菌は10の6乗個、クロコウジカビは10の5乗個を植菌し、25℃で保管、接種直後と14日目の生菌数を測定し、表1の基準により評価した。防腐力試験の結果を表2に示す。
Figure 2014015422
Figure 2014015422
表2の結果から明らかなように、比較例1〜4に示したスキンローションでは微生物に対する抗菌性が不十分であるのに対し、クローブ抽出物、インチンコウ抽出物、脂肪酸モノグリセライド、ポリオールを配合した実施例1〜3のスキンローションにおいては微生物に対して高い抗菌性を示すことが分かる。また、比較例5のスキンローションの抗菌性評価結果より、実施例1〜3のスキンローションはポリオールを併用することにより抗菌性が強く発揮されており、特にグリセリンやジグリセリンを配合することにより非常に高い抗菌性を示すことが分かる。
本発明によれば、化粧料組成物に対して、防腐剤を配合することなく、腐敗、微生物汚染を防止する化粧料組成物を提供でき、使用時における刺激感やアレルギー反応に対する懸念を低減した化粧料組成物を提供できる。

Claims (2)

  1. 下記(A)〜(D):
    (A)クローブ(フトモモ科、チョウジノキの花蕾)を低級アルコール及び/または水で抽出した抽出物から精油成分を除去した抽出物、あるいは予め精油成分を除去したクローブを低級アルコール及び/または水で抽出した抽出物 (B)インチンコウ(キク科、カワラヨモギの頭花)を低級アルコール及び/または水で抽出した抽出物 (C)炭素数8〜12の脂肪酸のモノグリセライド (D)ポリオールを含有することを特徴とする化粧料組成物。
  2. (D)がグリセリン及び/またはジグリセリンであることを特徴とする請求項1に記載の化粧料組成物。
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