JP3654646B2 - 復調装置及び復調方法 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、直交周波数分割多重信号(以下、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号ともいう。)の復調装置又は復調方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のOFDM信号の復調装置は、以下のようにしてOFDM信号の復調を行っている。
【0003】
すなわち、当該復調装置は、受信したOFDM信号をフーリエ変換回路でフーリエ変換してフーリエ変換信号を得る。また、フーリエ変換信号と同期するパイロット信号をパイロット信号発生回路で発生させる。
【0004】
フーリエ変換信号は、除算器においてパイロット信号で除算され、これによりパイロット信号に対応する伝送路特性を演算される。一方、遅延時間算出回路は、受信したOFDM信号中の遅延波成分における最大遅延時間を演算する。また、ドップラー周波数算出回路は、OFDM信号に基づいて、時間変動に伴う伝送路特性の大きさを演算する。
【0005】
当該復調装置は、遅延時間算出回路の演算結果及びドップラー周波数算出回路の演算結果に基づき除算器の出力である伝送路特性を帯域可変フィルタでフィルタリングし、全サブキャリア成分に対する伝送路特性を算出する。さらにフーリエ変換信号を帯域可変フィルタからの出力で除算することで復調信号を得る。(例えば、特開平10−75226号公報(特許文献1))。
【0006】
上記のようなOFDM信号の復調装置では、伝送路特性の周波数方向へのフィルタリングの際に、遅延波の最大遅延時間のみを考慮し、フーリエ変換を行うタイミング情報については考慮していない。そのため、前記周波数方向へのフィルタリングに使用する帯域可変フィルタの通過帯域が、不必要に広帯域となり、所望の信号以外の雑音を増加させてしまう場合があった。従って、従来のOFDM信号の復調装置では、十分な雑音抑圧効果を得ることができず、OFDM信号を復調した後に得られる誤り率を十分に小さくすることができないという問題点があった。
【発明の開示】
【0007】
本発明は、上述のような課題を解消するためになされたもので、推定した遅延プロファイル(マルチパス環境下における遅延波に対応する情報(遅延時間、電力値等。)をいう。)を利用して、伝送路特性を周波数方向に内挿する際に使用する内挿フィルタの通過帯域と、フーリエ変換を行うタイミングとを制御し、不必要な雑音成分を抑圧して各サブキャリア成分の復調を行うことにより、復調後に得られる誤り率を小さくすることができる復調装置及び復調方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明に係る、OFDM信号の復調装置の態様は、受信したOFDM信号をフーリエ変換して、当該フーリエ変換の結果得られるサブキャリア成分を出力するフーリエ変換部と、前記フーリエ変換部から出力された前記サブキャリア成分に含まれるパイロット信号を抽出するパイロット信号抽出部と、前記パイロット信号に対応する既知信号を出力する既知信号出力部と、前記パイロット信号抽出部において抽出された前記パイロット信号を、前記既知信号出力部から出力された前記既知信号で除算して前記パイロット信号に対応する伝送路特性を算出する第1除算部と、前記第1除算部において算出された前記パイロット信号の前記伝送路特性に基づいて遅延プロファイルを推定し、当該遅延プロファイルにおいて、最も遅延する到来波の到来時間である最大遅延時間に対応する信号及び最も先行する到来波の到来時間である最小遅延時間に対応する信号を出力する遅延プロファイル推定部と、前記第1除算部において算出された前記パイロット信号の伝送路特性に対して、時間方向及び周波数方向への内挿を行い、前記サブキャリア成分に対応する伝送路特性を出力する内挿フィルタ部と、前記遅延プロファイル推定部から出力された前記最小遅延時間に対応する信号に応じて、前記フーリエ変換部におけるフーリエ変換を行なうタイミングを制御するタイミング信号を出力するタイミング同期部と、前記フーリエ変換部から出力された前記サブキャリア成分を、前記内挿フィルタ部から出力された前記サブキャリア成分に対応する伝送路特性で除算して復調信号を出力する第2除算部とを備え、前記フーリエ変換部は、前記タイミング信号に応じて前記フーリエ変換を行い、前記内挿フィルタ部は、前記最大遅延時間に対応する信号に基づいて前記周波数方向への内挿に使用する周波数内挿フィルタの通過帯域を設定する。
【0009】
本発明に係る復調装置の態様によれば、不要な雑音成分が内挿フィルタを通過することによる受信性能の劣化を軽減することができる。さらに、本発明に係る復調装置の態様によれば、フーリエ変換後のパイロット信号を利用して遅延プロファイルを推定するように構成したため、遅延プロファイルを精度良く推定することができる効果がある。
【0010】
この発明の目的、特徴、局面、及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の適用例を実施の形態により説明するが、その前に、OFDM伝送方式について説明する。
【0012】
OFDM伝送方式は、互いに周波数が直交する複数の搬送波(以下、「サブキャリア成分」ともいう。)を用いて送信装置において送信データを変調して伝送し、受信装置において送信データを受信して復調する伝送方式である。
【0013】
OFDM伝送方式を用いたシステムでは、送信装置において送信データを各サブキャリア成分の変調方式に応じた信号点配置に割り振る。次に、前記各サブキャリア成分に対して逆フーリエ変換を行い、さらに、互いに周波数が直交する複数のサブキャリア成分を多重化して信号を生成する。その後、多重化した信号(多重信号)の最後尾の一部をガード区間として多重信号の先頭に付加する。そして、ガード区間を付加した多重信号を所定の周波数帯域に周波数変換して送信する。
【0014】
一方、受信装置は、受信したOFDM信号を所定の周波数帯域に周波数変換し、ガード区間の位置を特定して同期を確立する。次に、OFDM信号におけるシンボル毎にガード区間長分の信号を除去した後、当該シンボルに対してフーリエ変換を行って各サブキャリア成分を算出し、当該各サブキャリア成分を復調して送信データを再生する。
【0015】
サブキャリア成分の復調は、当該サブキャリア成分における振幅及び位相の変化量を演算し、当該演算結果に基づいて送信時の信号点配置を再現することにより行う。一般的には、振幅及び位相の変化量の演算を容易にするため、変化量の演算の基準となる既知の信号(パイロット信号)を特定のサブキャリア成分を使って送信する方式が広く用いられている。例えば、日本における地上デジタルTV放送方式では、周波数方向においてサブキャリア成分12個おきに、また、時間方向においては4シンボルおきにパイロット信号が周期的に挿入されており、受信装置ではパイロット信号に基づいて振幅及び位相の変化量を算出し、サブキャリア成分の復調を行う。なお、日本における地上デジタルTV放送方式では、パイロット信号をスキャッタード・パイロット信号と呼ぶ。また、以下、説明の便宜上、送信装置においてOFDM信号に挿入されるパイロット信号を送信パイロット信号といい、受信装置において受信されたOFDM信号におけるパイロット信号を受信パイロット信号ともいう。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態に係る復調装置の構成を示すブロック図である。図1において、フーリエ変換部1は、受信したOFDM信号を所定の信号帯域に周波数変換した信号(以下、「S1」ともいう)を、後述する第1タイミング同期部2から入力されるタイミング信号に基づいてフーリエ変換して、S1に含まれるサブキャリア成分をパイロット抽出部3及び第1遅延調整部9に出力する。パイロット抽出部3は、サブキャリア成分に含まれる受信パイロット信号を抽出する。
【0017】
復調装置には、送信装置においてOFDM信号中に挿入された送信パイロット信号が既知信号として予め設定されているため、当該復調装置において、前記既知信号である送信パイロット信号と受信パイロット信号とを比較することで、当該受信パイロット信号に対応する伝送路特性を演算することができる。具体的には、既知信号生成部4において、パイロット抽出部3の出力に同期したタイミングで送信パイロット信号を発生して出力し、そして、第1除算部5のおいて、パイロット抽出部3から出力された受信パイロット信号を既知信号生成部4から出力された送信パイロット信号で除算することで、各受信パイロット信号に対応する伝送路特性を演算し、当該伝送路特性を内挿フィルタ部18における時間内挿フィルタ部6及び第1遅延プロファイル推定部7に出力する。
【0018】
前記第1除算部5で演算された伝送路特性は、受信パイロット信号に対してのみ得られるので、全てのサブキャリア成分に対して伝送路特性を得るには、フィルタリングによる内挿処理が必要となる。以下、当該内挿処理の必要性について具体的に説明する。
【0019】
図2は、日本の地上デジタルTV放送方式に使用されるOFDM信号におけるパイロット信号の配置を示したものである。図2において、横方向は周波数方向、縦方向は時間方向を示し、黒丸がパイロット信号、白丸がパイロット信号以外のサブキャリア成分をそれぞれ表している。また、実線で囲まれた部分がk番目のサブキャリアを、破線で囲まれた部分がi番目のシンボルをそれぞれ表し、実線で囲まれた部分と破線で囲まれた部分とが交差する部分がi番目のシンボルにおけるk番目のサブキャリア成分を表している。図2に示すようにパイロット信号は、周波数方向においてサブキャリア成分12個おきに、また、時間方向においては4シンボルおきに挿入されている。従って、このパイロット信号に基づいて演算される伝送路特性から、全てのサブキャリア成分に対する伝送路特性を算出するには、一般に時間方向と周波数方向の内挿処理が必要となる。
【0020】
時間内挿フィルタ部6は、第1の除算部5から出力された、受信パイロット信号に対応する伝送路特性に対して、前記内挿処理のうち、時間方向の内挿処理を行う。当該時間内挿フィルタ部6において、受信パイロット信号に対応する伝送路特性を時間方向に内挿することにより、当該パイロット信号が含まれるサブキャリア周波数成分の各々に対応する伝送路特性が得られる。そして、当該時間内挿フィルタ部6は、時間方向に内挿処理を行った結果を周波数内挿フィルタ部8に出力する。
【0021】
一方、前記内挿処理のうち、周波数方向の内挿処理は、前記周波数内挿フィルタ部8において行われる。ここで、前記周波数内挿フィルタ部8のフィルタ特性としては、到来波成分が通過する通過帯域があれば十分であり、当該通過帯域が不必要に広い場合、不要な雑音成分もフィルタを通過してしまうため復調の性能が劣化してしまう。このような復調の性能の劣化を防止するには、周波数方向の内挿フィルタの通過帯域を必要最小限にする必要があり、そのためには、前記フーリエ変換部2においてフーリエ変換を行うタイミング(以下、同期タイミングという。)の最適化と、前記周波数方向の内挿に使用する周波数内挿フィルタの通過帯域の最適化とを併せて行うことが有効となる。そして、同期タイミングの最適化は、当該受信装置に最も先行して到来した到来波のシンボル位置、及び最も遅延して到来した到来波のシンボル位置と前記同期タイミングとの時間差に基づいて行うことができる。一方、前記内挿フィルタの通過帯域の最適化は、前記同期タイミング及び当該同期タイミングから最も時間差が大きい到来波の遅延時間に基づいて行うことができる。そこで、第1遅延プロファイル推定部7において、前記最適化に必要な信号を生成する。なお、フーリエ変換部1の出力である各サブキャリア成分の振幅及び位相は、伝送路におけるマルチパスや、受信装置における位相雑音、残留周波数誤差だけでなくフーリエ変換を行うタイミングにも依存する。
【0022】
以下、第1遅延プロファイル推定部7において生成する信号の基礎となる、前記同期タイミング及び前記遅延時間について説明する。図3は、前記同期タイミング及び前記遅延時間を説明する説明図である。なお、以下の説明では理解を容易にするため、受信装置までの到来時間(送信装置から送信された信号が受信装置に到来する(受信される)までの時間)が異なる2つの到来波受信したと仮定する。なお、当該受信装置においては、各到来波が加算された信号が受信波となるため、隣接シンボル間の干渉(以下、「シンボル間干渉」ともいう。)が発生しないようなタイミングでフーリエ変換を行う必要がある。そこで、まず、図3(a)により、フーリエ変換を行うタイミングは、すなわち同期タイミングの設定について説明する。
【0023】
図3(a)に、ガード区間とi番目のシンボルからなる到来波1及び到来波2とが異なる到来時間で受信された様子を示す。なお、到来波1及び到来波2が加算された信号として、図3(a)に受信波が図示されているが、前後の網掛け部分は、シンボル間干渉が発生する部分である。そのため、隣接するシンボルと干渉することがないフーリエ変換を行うデータ区間は、例えば、図3(a)に示されているようなデータ区間1、データ区間2及びデータ区間3となる。なお、データ区間1,2,3の各区間長はガード区間を付加する前のシンボル長であり、その区間の始点は同期タイミングにより決定される。
【0024】
例えば、データ区間1の場合には、受信波において、i−1番目のシンボルとi番目のシンボルとの間でシンボル間干渉が発生しない境界を同期タイミングとしている。またデータ区間3の場合は、到来波1におけるガード区間の最後尾を同期タイミングとしている。そして、このデータ区間3の最後尾は、受信波において、i+1番目のシンボルとi番目のシンボルとの間でシンボル間干渉が発生しない境界に位置している。また、データ区間2に対応する同期タイミングは、前記データ区間1に対応する同期タイミングと前記データ区間3に対応する同期タイミングとの間に設けられている。このように、同期タイミングは唯一決定されるものではなく、シンボル間干渉が発生しないという条件のもとで、到来波の到来時間差に依存した時間範囲以内であれば良い。従って、例えば、図3(a)においては、データ区間1の同期タイミングとデータ区間3の同期タイミングとの間であれば同期タイミングをどこに設けても良い。
【0025】
次に、図3(a)で、データ区間1に含まれるデータをフーリエ変換して得られる信号に対応する遅延プロファイルを図3(b)に示す。また、データ区間2に含まれるデータをフーリエ変換して得られる信号に対応する遅延プロファイルを図3(c)に示す。さらに、データ区間3に含まれるデータをフーリエ変換して得られる信号に対応する遅延プロファイルを図3(d)に示す。図3(b),(c),(d)において、横軸はフーリエ変換を行うデータ区間の始点に対する各到来波のガード区間最後尾、すなわちi番目のシンボルの先頭位置に対応する遅延時間を表し、縦軸は各到来波に対応する電力を表している。なお、遅延プロファイルとは、マルチパス環境下における遅延波に対応する情報(遅延時間、電力値等。)をいうが、本実施の形態1においては、送信装置からフーリエ変換部1の出力にいたるまでの伝送路を経た受信信号に対応する遅延時間及び受信電力を当該遅延プロファイルとして扱う。
【0026】
図3(b)では、データ区間1に対応する同期タイミングと到来波1におけるガード区間最後尾との差aが、到来波1の同期タイミングに対する遅延時間となり、到来波1のスペクトルが遅延時間aの位置に現れる。同様に、図3(c)では、データ区間2に対応する同期タイミングと到来波1におけるガード区間最後尾との差bが、同期タイミングに対する到来波1の遅延時間となり、到来波1のスペクトルが遅延時間bの位置に現れる。また、データ区間3の場合、同期タイミングが到来波1におけるガード区間最後尾と一致しているため、到来波1のスペクトルが遅延時間0の位置に、到来波2のスペクトルが到来波の到来時間差に相当する量だけ離れた位置(図中t)に現れる。なお、データ区間1及びデータ区間2の場合も、到来波2のスペクトルは到来波1のスペクトルに対してtだけ離れた位置に現れる。
【0027】
第1遅延プロファイル推定部7は、第1除算部5から出力された伝送路特性に基づいて、送信装置から送信されたデータに対応する信号がフーリエ変換部1の出力に至るまでの伝送路に対応する遅延時間対受信電力を演算し、当該遅延時間対受信電力に基づいて前記最適化に必要な信号を出力する。
【0028】
図4は、本実施の形態に係る第1遅延プロファイル推定部7の構成を示すブロック図である。信号ソート部71は、第1除算部5から出力されたパイロット信号の伝送路特性を周波数の高い順又は低い順に並べる。但しパイロット信号の配置が、図のようにシンボル毎にオフセットしている場合は、受信パイロット信号の周波数が受信シンボルによって変化してしまう。よって、このような場合には、現在の受信シンボルより以前に受信したシンボルのパイロット信号も利用し、信号ソート部71の出力において、受信パイロット信号の周波数が変化しないようにする。例えば、パイロット信号が図2のように配置される場合は、現在の受信シンボルを含めて過去4シンボル分のパイロット信号をソートする。そして、逆フーリエ変換部72は、周波数の高い順又は低い順に並べたパイロット信号に対応する伝送路特性に対して逆フーリエ変換を行い、当該逆フーリエ変換の結果に対応する信号を相対レベル演算部73に出力する。
【0029】
相対レベル演算部73は、逆フーリエ変換部72から出力された信号、すなわちパイロット信号の伝送路特性に対応する信号の振幅又は振幅の2乗値を演算して、当該演算の結果を第1到来波判定部74に出力する。ここで、相対レベル演算部73の出力、すなわち前記振幅又は振幅の2乗値は、前記遅延プロファイルにおける遅延時間対受信電力に相当する。そして、第1到来波判定部74は、予め定める所定のしきい値よりも前記振幅又は振幅の2乗値が大きな成分を到来波に対応する成分と判定し、当該到来波に対応する成分が存在する時間軸上の位置と同期タイミングとの相対的時間差を遅延時間として最大遅延時間演算部75及び同期タイミングオフセット演算部76に出力する。但し、本実施の形態1において、最も先行する到来波(図3(a)では到来波1)におけるガード区間の最後尾を同期タイミングとしてフーリエ変換した場合、当該最も先行する到来波は最も遅延時間の小さい到来波として検出される。本実施の形態1では、遅延時間が負の値として得られた到来波が存在する場合には、i+1番目のシンボルとのシンボル間干渉が発生していることを意味する。
【0030】
最大遅延時間演算部75は、第1到来波判定部74から出力された遅延時間のうち、最も遅延時間の大きな到来波成分を判定し、その遅延時間に対応する信号(以下、「フィルタ帯域制御信号」ともいう)を周波数内挿フィルタ部8に出力する。また、同期タイミングオフセット演算部76は、第1到来波判定部74から出力された遅延時間のうち、最も遅延時間の小さな到来波成分を判定し、その遅延時間に対応する信号(以下、「タイミングオフセット調整信号」ともいう)を第1タイミングどう基部2に出力する。なお、前記遅延時間と前記フィルタ帯域制御信号の大きさ(電力値、電流値、電圧値等。)との関係、又は前記遅延時間との前記タイミングオフセット調整信号の大きさ(電力値、電流値、電圧値等。)との関係は、例えば、比例関係となるように設定することができる。
【0031】
周波数内挿フィルタ部8は、入力された前記フィルタ帯域制御信号に基づいて、時間内挿フィルタ部6において時間方向への内挿が行われた同一周波数の各サブキャリア成分に対応する伝送路特性に対して、最大の遅延時間に対応する到来波が通過するのに必要かつ十分なフィルタのうち最も狭帯域な通過帯域を持つ内挿フィルタを選択する。そして、選択した内挿フィルタに基づいて周波数方向の内挿処理を行う。
【0032】
以上説明した、時間内挿フィルタ部6及び周波数内挿フィルタ部8における内挿処理により、全てのサブキャリア成分に対する伝送路特性を得ることができる。なお、上述した周波数内挿フィルタ部8は、例えば、低域を通過するローパスフィルタにより構成することができる。
【0033】
第1タイミング同期部2は、S1及び同期タイミングオフセット演算部76から出力されたタイミングオフセット調整信号に応じて、フーリエ変換を行うタイミングに対応する情報を生成し、当該情報に対する信号をタイミング信号としてフーリエ変換部1に出力する。
【0034】
図5は、本実施の形態に係る第1タイミング同期部2の構成を示すブロック図である。第1タイミング同期部2では、ガード区間が、受信信号に含まれる有効シンボルの最後尾から所定の区間をコピーしたものであることを利用して、受信信号の自己相関が最も大きくなるタイミングを検出することによって同期タイミングの位置を再生する。
【0035】
前記S1は、当該第1タイミングどう基部2における有効シンボル長遅延部21に入力される。有効シンボル長遅延部21は、フーリエ変換を行うデータ区間長だけ遅延して、複素乗算部22に出力する。複素乗算部22は、S1と有効シンボル長遅延部21の出力の複素共役との複素乗算を行って、当該複素乗算に対応する複素信号を移動平均演算部23に出力する。
【0036】
移動平均演算部23は、入力した複素信号に対し、所定の区間長の移動平均値を演算して、当該演算の結果を相関最大位置検出部24に出力する。ここで、所定の区間長としては、例えばガード区間長を設定することができる。相関最大位置検出部24では、移動平均演算部23の出力において最も信号の振幅が大きくなる位置を検出し、その結果をもとにフーリエ変換を行うタイミング、すなわち同期タイミングに対応する第1のタイミング情報(以下、「第1のタイミング信号」ともいう)を生成して、タイミングオフセット調整部25に出力する。さらに、タイミングオフセット調整部25では、第1遅延プロファイル推定部から出力されたタイミングオフセット調整信号に基づいて第1のタイミング信号に対してオフセットを与えて、タイミング信号を生成してフーリエ変換部1に出力する。また、タイミングオフセット調整部25における第1のタイミング信号の調整は、シンボル間干渉が発生しないという制約条件のもとで、最も先行する到来波成分の遅延時間が最も小さくなるように行われる。従って、タイミングオフセット調整信号は、最も遅延時間の小さな到来波成分の遅延時間と比例関係にある信号とすればよい。
【0037】
なお、当該オフセットとは、上述のように任意に設定することができる第1のタイミング信号が当該設定した位置からずれてしまった場合に、そのずれを相殺する補正量である。また、当該オフセットを第1のタイミング信号に与えるとは、前記ずれを相殺するように前記同期タイミングを時間軸上で移動させることにより当該同期タイミングを設定した位置に戻すように操作することである。なお、同期タイミングのずれは、主としてマルチパスフェージングに起因して発生する。
【0038】
一方、フーリエ変換部1の出力されたサブキャリア成分は、当該サブキャリア成分と、パイロット抽出部3から周波数内挿フィルタ部8までの処理をされた前記サブキャリア成分に対応する信号とが第2除算部10に同じタイミングで入力されるように、第1遅延調整部9において所定時間だけ遅延された後、前記第2除算部10に出力される。
【0039】
第2除算部10は、第1遅延調整部9で遅延された各サブキャリア成分を、周波数内挿フィルタ部8から出力されたサブキャリア成分に対応する伝送路特性で除算し、各サブキャリア成分を復調する。最後に、データ再生部11では、第2除算部10で復調されたサブキャリア成分の信号点配置から送信データを再生し、再生データ(S2)として出力する。
【0040】
なお、図4に示した第1遅延プロファイル推定部7の構成では、第1到来波判定部74において到来波を判定する際に、所定のしきい値と逆フーリエ変換出力の振幅又は振幅の2乗値とを比較するように構成しているが、相対レベル演算部73の出力のうち最もレベルの大きな各伝送路特性の振幅又は振幅の2乗値を基準とし、この基準値から所定のレベルだけ小さい値をしきい値として到来波を判定するように構成しても良い。また、本発明では相対レベル演算部73の出力のうち最もレベルの小さな各伝送路特性の振幅又は振幅の2乗値を基準とし、この基準値から所定のレベルだけ大きい値を閾値として到来波を判定するように構成しても良い。
【0041】
さらに、図4に示した第1遅延プロファイル推定部7の構成では、第1到来波判定部74において到来波を判定する際に、相対レベル演算部73の出力である逆フーリエ変換出力の振幅又は振幅の2乗値をそのまま利用して到来波の判定を行っているが、相対レベル演算部73から出力された振幅又は振幅の2乗値を成分毎に所定のシンボル数分平均化し、その結果をもとに第1到来波判定部74において到来波を判定するように構成しても良い。また、相対レベル演算部73から出力された振幅又は振幅の2乗値を成分毎に所定のシンボル数分平均化し、サブキャリア成分の搬送波対雑音電力比が所定の値より大きい場合には平均化する前の結果をもとに第1到来波判定部74において到来波を判定し、搬送波対雑音電力比が小さい場合には平均化した後の結果をもとに第1到来波判定部74において到来波を判定するように構成しても良い。
【0042】
また、第1タイミング同期部2は、図6のように構成することもできる。すなわち、S1の自己相関を自己相関演算部26において演算し、当該演算の結果に対応する信号を相関最大位置検出部24に出力して、自己相関が最も大きくなる位置を検出し、その結果に基づいて第1のタイミング信号を生成するように構成しても良い。
【0043】
以上のように、本実施の形態1における復調装置によれば、推定した遅延プロファイルをもとにフーリエ変換を行う同期タイミングを調整しながら周波数内挿フィルタの帯域を制御することができるため、伝送路特性の推定時に周波数方向の内挿フィルタの通過帯域を必要最小限に抑えることが可能となる。従って、不要な雑音成分が内挿フィルタを通過することによる受信性能の劣化を軽減することができる。さらに、フーリエ変換後のパイロット信号を利用して遅延プロファイルを推定するように構成したため、遅延プロファイルを精度良く推定することができる。
【0044】
(実施の形態2)
実施の形態1における復調装置では、第1除算部5から出力されたパイロット信号に対応する伝送路特性から遅延プロファイルを推定する構成であったが、本実施の形態では、前記パイロット信号に対応する伝送路特性を時間方向に内挿して得られる伝送路特性をもとに遅延プロファイルを推定する。
【0045】
図7は、本実施の形態に係る復調装置の構成を示すブロック図である。なお、図7において、フーリエ変換部1、第1タイミング同期部2、パイロット抽出部3,既知信号生成部4,第1除算部5、時間内挿フィルタ部6、周波数内挿フィルタ部8、第1遅延調整部9、第2除算部10及びデータ再生部11は、実施の形態1における復調部と同様の構成であるので、これらの構成については実施の形態1の復調装置と同一の符号を付記し、詳細な説明は省略する。
【0046】
本実施の形態2における復調装置には、第2遅延プロファイル推定部12を設け、実施の形態1における第1遅延プロファイル推定部7は設けない。そして、第2遅延プロファイル推定部12は、第1除算部5からの出力ではなく時間内挿フィルタ部6からの出力に基づいて遅延プロファイルを推定する点で第1遅延プロファイル推定部7とは異なる。但し、当該第2遅延プロファイル推定部12の構成は、図4に示した第1遅延プロファイル推定部7の構成と同様である。なお、以下の説明では、図4中のかっこ書きに示した符号によって前記第2遅延プロファイル推定部12の構成について説明する。
【0047】
通常、時間方向への内挿が行われていない伝送路特性に基づいて行われる遅延プロファイルの演算は、図2において時間方向に並んだ、パイロット信号を含む4つのシンボル毎に行われる。そのため、当該4つのシンボル間において伝送路特性が変化している場合には演算された遅延プロファイルに当該変化に基づく誤差が含まれてしまう。しかし、本実施の形態2における復調装置においては、すでに時間方向への内挿を行った伝送路特性に基づいて遅延プロファイルの推定を行うため、時間方向における伝送路特性の変化に追従することが可能となり、演算された遅延プロファイルの精度を高くすることができる。その結果、周波数方向内挿フィルタの通過帯域をより高精度に制御することが可能となる。
【0048】
図7において時間内挿フィルタ部6から出力された伝送路特性は、当該第2遅延プロファイル推定部12における信号ソート部121に入力される。そして、信号ソート部121は、時間内挿フィルタ部6から出力され伝送路特性を周波数の高い順又は低い順に並べて逆フーリエ変換部122に出力する。逆フーリエ変換部122は、信号ソート部121から出力された伝送路特性に対して逆フーリエ変換を行い、当該逆フーリエ変換の結果に対応する信号を相対レベル演算部123に出力する。
【0049】
相対レベル演算部123は、逆フーリエ変換部122から出力された信号に基づいて各サブキャリア成分に対応する信号の振幅又は振幅の2乗値を演算し、当該演算の結果を第1到来波判定部124に出力する。そして、第1到来波判定部124は、相対レベル演算部123から出力された演算結果のうち、予め定める所定のしきい値よりも大きな成分を到来波成分と判定し、その成分の存在する時間軸上の位置と同期タイミングとの相対的時間差を遅延時間として最大遅延時間演算部125及び同期タイミングオフセット演算部126に出力する。
【0050】
そして、最も遅延時間の大きい到来波成分を判定し、フィルタ帯域制御信号を出力する。また、同期タイミングオフセット演算部126では、第1到来波判定部124から出力された遅延時間のうち、最も遅延時間の小さな到来波成分を判定し、タイミングオフセット調整信号を出力する。
【0051】
なお、第2遅延プロファイル推定部12においては、第1到来波判定部124において到来波を判定する際に、所定のしきい値と逆フーリエ変換出力の振幅又は振幅の2乗値とを比較するように構成しているが、相対レベル演算部123の出力のうち最もレベルの大きな各伝送路特性の振幅又は振幅の2乗値を基準とし、この基準値から所定のレベルだけ小さい値をしきい値として到来波を判定するように構成しても良い。また、相対レベル演算部123の出力のうち最もレベルの小さな各伝送路特性の振幅又は振幅の2乗値を基準とし、この基準値から所定のレベルだけ大きい値をしきい値として到来波を判定するように構成しても良い。
【0052】
さらに、第2遅延プロファイル推定部12の構成では、第1到来波判定部124において到来波を判定する際に、相対レベル演算部123の出力である逆フーリエ変換出力の振幅又は振幅の2乗値をそのまま利用して到来波の判定を行っているが、相対レベル演算部123の出力である逆フーリエ変換出力の振幅又は振幅の2乗値を成分毎に所定のシンボル数分平均化し、その結果をもとに第1到来波判定部124において到来波を判定するように構成しても良い。また、相対レベル演算部123の出力である逆フーリエ変換出力の振幅又は振幅の2乗値を成分毎に所定のシンボル数分平均化し、サブキャリア成分の搬送波対雑音電力比が所定の値より大きい場合には平均化する前の結果をもとに第1到来波判定部124において到来波を判定し、搬送波対雑音電力比が小さい場合には平均化した後の結果をもとに第1到来波判定部124において到来波を判定するように構成しても良い。
【0053】
以上のように、本実施の形態における復調装置は、時間方向にへの内挿を行って後の伝送特性に基づいて遅延プロファイルの演算を行うため、伝送路特性の時間的な井変化が激しい場合(例えば、受信機が自動車などの移動体に設置されており、これが高速で移動することによって伝送路特性が時間的に激しく変化する場合)においても精度良く遅延プロファイルを推定することができる。
【0054】
そして、当該復調装置において演算された遅延プロファイルに基づいて周波数内挿フィルタの設定を行うことで、当該周波数内挿フィルタの通過帯域を必要とする必要最小限の範囲にすることができる。
【0055】
(実施の形態3)
前記実施の形態1又は2においては、当該復調装置は、フーリエ変換を行う同期タイミングを調整しながら周波数方向の内挿フィルタを制御するように構成されている。本実施の形態においては、フーリエ変換部1から出力されたサブキャリア成分に対して、サブキャリア成分の周波数に対応する位相回転を与え、併せて周波数方向の内挿フィルタを制御するように当該復調装置を構成する。
【0056】
図8は、本実施の形態に係る復調装置の構成を示すブロック図である。なお、図8においてフーリエ変換部1、パイロット抽出部3,既知信号生成部4,第1除算部5、時間内挿フィルタ部6、第1遅延プロファイル推定部7,周波数内挿フィルタ部8、第2除算部10及びデータ再生部11は、実施の形態1における復調装置と同様の構成であるので、これらの構成については実施の形態1の復調装置と同一の符号を付記し、詳細な説明は省略する。また、本実施の形態3の復調装置における第2タイミング同期部13は、前記実施の形態1又は2における第1タイミング同期部2とは異なり、S1信号のみに基づいて同期タイミング信号を出力する。
【0057】
また、位相回転部14は、位相調整量算出部15の出力に応じて、フーリエ変換部1の出力された各サブキャリア成分の位相を回転させる。このとき、位相の回転の大きさは各サブキャリア成分の周波数に比例する大きさになっている。また、パイロット抽出部3及び第1遅延調整部9に入力される信号に対応する遅延プロファイルにおける到来波の遅延時間は、前記位相の回転の大きさに応じて時間軸上で移動する。ここで、位相調整量算出部15は、第1遅延プロファイル推定部7から出力されるタイミングオフセット調整信号に基づいて、位相回転部14においてサブキャリア成分に与える位相調整量を算出する。さらに第1遅延調整部9では、位相回転部14の出力と周波数内挿フィルタ部8の出力とが同一のタイミングで第2除算部10に入力されるように、当該位相回転部14からの出力を所定時間だけ遅延させる。
【0058】
ここで、フーリエ変換を行う際の同期タイミングと位相回転部14の動作との関係について図9を用いて説明する。図9は、本実施の形態に係る復調装置においてフーリエ変換を行うタイミングと遅延プロファイルとの関係を示した模式図である。つまり、図9は、サブキャリア成分に対し当該サブキャリア成分の周波数に比例した位相回転を与えた場合、遅延プロファイルがどのように変化するかを図示したものである。まず、理解を容易にするため、到来時間が異なる2つの到来波を当該受信装置において受信したと仮定する。上述のように、各到来波が加算された信号が受信波となるため、シンボル間干渉が発生しないようなタイミングでフーリエ変換を行う必要がある。
【0059】
図9(a)では、ガード区間とi番目のシンボルからなる到来波1及び到来波2とが異なる到来時間で受信される様子を示す。また、図9(a)には、前記到来波1及び到来波2を加算した受信波が図示されている。なお、当該受信波の前後の網掛け部分は、シンボル間干渉の部分である。そして、隣接するシンボルと干渉しないという条件のもとでフーリエ変換を行うことができるデータ区間は、例えば、図9(a)に示されているようなデータ区間1となる。なお、データ区間1の位置は、前記実施の形態1で説明したように、同期タイミングにより決定され、また、当該同期タイミングはシンボル間干渉が発生しないことを条件として、到来波の到来時間差に依存した時間範囲内であれば任意に決定することができる。図9(a)のデータ区間1の場合、i−1番目のシンボルとシンボル間干渉が発生しない境界のタイミングに同期タイミングを設けている。
【0060】
次に、図9(a)で、データ区間1をフーリエ変換して得られる信号に対する遅延プロファイルを図9(b)及び図9(c)に示す。図9(b)及び図9(c)において、横軸はフーリエ変換を行うデータ区間の始点に対する各到来波のガード区間最後尾、すなわち、同期タイミングに対するi番目のシンボルの先頭位置の遅延時間を表し、縦軸は各到来波に対応する電力を表している。図9(b)は、位相回転部14において位相回転を与えない場合の遅延プロファイルを示す。そして、到来波1に対応する遅延時間は、図9(a)で示した同期タイミングと到来波1のガード区間の最後尾との時間差cである。
【0061】
これに対し、フーリエ変換部1から出力される各サブキャリア成分に対して、同期タイミングと到来波1のガード区間の最後尾との時間差cを打ち消すような位相回転を与えた場合には、図9(c)に示すように各到来波のスペクトルが位相回転の大きさに応じて時間軸方向で移動するため、到来波1の遅延時間を小さくすることができる。これは、フーリエ変換の持つ性質として、時間ドメイン信号での時間移動が周波数ドメインでは各周波数成分の位相回転に変換される性質があることによる。つまり、周波数ドメインにおいて時間移動に起因する位相変化を打ち消すような位相回転を与えることで、見かけ上時間ドメイン信号の時間移動分を打ち消すことができ、等価的に周波数ドメイン上での遅延プロファイルを操作できる。
【0062】
従って、位相調整量算出部15では、タイミングオフセット調整信号をもとに位相回転量を算出し、位相回転部14においてサブキャリア成分毎に当該サブキャリア成分の周波数に比例した位相回転を与える。位相調整量算出部15における位相回転量の調整は、シンボル間干渉が発生しないという制約条件のもとで、各到来波成分に対応する遅延時間のうち、最大の遅延時間が最も小さくなるように行われる。従って、タイミングオフセット調整信号は、最も遅延時間の大きな到来波成分の遅延時間に比例する信号とすればよい。
【0063】
なお、第1遅延プロファイル推定部7の代わりに、実施の形態2において示した第2遅延プロファイル推定部12を利用し、時間内挿フィルタ部6の出力から遅延プロファイルを推定するような構成にしても良い。
【0064】
以上のように、本実施の形態3における復調装置によれば、フーリエ変換の同期タイミングを変更することなく伝送路特性の推定時に周波数方向の内挿フィルタの通過帯域を必要最小限に抑えることができ、不要な雑音成分が内挿フィルタを通過することによる受信性能の劣化を軽減することができる。
【0065】
(実施の形態4)
前記実施の形態1における復調装置では、フーリエ変換部1の出力に基づいて得られた遅延プロファイルに基づいて同期タイミング及び周波数内挿フィルタの帯域幅を制御して信号を復調していた。本実施の形態における復調装置は、フーリエ変換部1の出力に対して、サブキャリア成分の周波数に応じた所定の位相回転を与え、当該位相回転後の信号に対応する遅延プロファイルに基づいて同期タイミング及び周波数内挿フィルタの帯域幅を制御して信号の復調を行う。
【0066】
図10は、本実施の形態に係る復調装置の構成を示すブロック図である。なお、図10においてフーリエ変換部1、第1タイミング同期部2、パイロット抽出部3,既知信号生成部4,第1除算部5、時間内挿フィルタ部6、周波数内挿フィルタ部8、第2除算部10及びデータ再生部11は、実施の形態1における復調装置と同様であるため、これらの構成については同一の符号を付記し、詳細な説明は省略する。本実施の形態における復調装置は、固定位相回転部16がフーリエ変換部1の後段に設けられており、当該固定位相回転部16は、フーリエ変換部1から出力されたサブキャリア成分に対し、当該サブキャリア成分の周波数に比例した固定値の位相回転量を与える。また、第1遅延調整部9では、固定位相回転部16の出力と周波数内挿フィルタ部8の出力とが同一のタイミングで第2除算部10に入力されるように、前記固定位相回転部16の出力を所定時間だけ遅延させる。
【0067】
フーリエ変換の同期タイミングは、シンボル間干渉が発生しないように決定されるが、実施の形態1における復調装置において周波数内挿フィルタの帯域を最も狭帯域にするには、同期タイミングを最も先行する到来波におけるガード区間の最後尾に設ける必要がある。この場合、同期タイミングはシンボル間干渉が発生する境界と一致しているため、同期タイミングが少しでもずれるとシンボル間干渉が発生し、復調後の誤り率が増大してしまう。
【0068】
例えば、図11に示すような受信波の場合を考える。まず、データ区間Aをフーリエ変換する同期タイミングの場合、同期タイミングが図中左側にずれればシンボル間干渉は生じないが、同期タイミングが図中右側にずれた場合は、データ区間Aの最後尾においてシンボル間干渉が生じることになる。これに対し、例えばデータ区間Aの同期タイミングよりもガード区間の半分だけ前方(図中左方)の位置に同期タイミングがある場合(データ区間Bをフーリエ変換する同期タイミングの場合)には、同期タイミングが図中左方又は図中右方のどちらかに多少ずれても、シンボル間干渉を生じることはない。つまり、同期タイミングのジッタや誤差によるシンボル間干渉の発生頻度を少なくすることができる。
【0069】
すなわち、シンボル間干渉が発生しないようにするためには、同期タイミングをシンボル前方にずらすことで、同期タイミングのジッタや同期タイミングの誤検出に対応すればよい。しかし、同期タイミングをシンボル前方にずらす必要があるということは同時に、周波数内挿フィルタの帯域が十分狭帯域化できないことになる。
【0070】
実施の形態1の復調装置における周波数内挿フィルタを、時間信号を帯域制限するフィルタとして捉えると、当該周波数内挿フィルタは正の周波数成分のみを通過する複素フィルタである場合に最も狭帯域となる。すなわちこの場合は周波数内挿フィルタとしては複素フィルタであることが必要条件となる。一方、周波数内挿フィルタを複素フィルタとしない場合は、回路規模を小さくできる反面、通過帯域が周波数ゼロを中心に対称となるフィルタとなるため、通過帯域は所望の帯域の2倍となり、十分に狭帯域化できな。
【0071】
これに対して、本実施の形態における復調装置では、最も大きい電力に対応する到来波におけるガード区間の最後尾に対してガード区間長の半分だけ前方に第1の同期タイミングを設定するとともに、フーリエ変換部1の出力に対して、ガード区間長とサブキャリア成分の周波数に基づく所定の位相回転を与えるように構成する。
【0072】
すなわち、本実施の形態の復調装置における固定位相回転部16では、同期タイミングの位置を時間的に前方(図10中左方)にずらした分の時間を相殺するように、フーリエ変換から出力されたサブキャリア成分に対して前記固定値の位相回転量を与えている。これにより、同期タイミングのずれやジッタによるシンボル間干渉を防ぐことができる。
【0073】
さらにこの場合、第1除算部5の出力における伝送路特性の遅延プロファイルは、遅延時間が負の値として得られた到来波が存在する場合でも、シンボル間干渉が発生しているとは限らない。図12のような場合がその一例である。図12は、到来波が1つの場合における遅延プロファイルの模式図を表す。
【0074】
図12において、Aの遅延プロファイルは実施の形態1における復調装置の場合に得られる遅延プロファイル、Bの遅延プロファイルは本実施の形態における復調装置の場合に得られる遅延プロファイルを表す。図12では、到来波が図中の斜線部分、すなわち、シンボル間干渉発生領域に存在している場合にはフーリエ変換部1の出力においてシンボル間干渉が発生することを意味する。すなわち、図12Bに示すように、本実施の形態に係る復調装置においては、遅延時間が負の値として得られた到来波が存在しても当該到来波はシンボル間干渉発生領域に存在しない。なお、図12中における横軸は、図3及び図9に示した遅延時間と同様であるが、遅延時間とした場合には正負の値を取りうるため、説明の便宜上、到来時間と表記した。
【0075】
このように、本実施の形態における復調装置においては、到来波の到来時間が到来時間ゼロの位置を中心に左右対称な領域内に存在すればよく、周波数内挿フィルタの通過帯域は、当該領域内にある到来波を通過しうる最も狭帯域なローパスフィルタであれば良い。よって、周波数内挿フィルタを、時間信号を帯域制限するフィルタとして捉えると、当該周波数内挿フィルタは通過帯域が周波数ゼロに対して非対称となるような複素フィルタである場合に最も狭帯域となるが、本実施の形態に係る復調装置のように、遅延プロファイルにおいて到来時間の最も大きい到来波に対応するスペクトルと到来時間の最も小さい到来波に対応するスペクトルとが到来時間ゼロの位置に対して左右対称となるように同期タイミングを設定した場合、周波数内挿フィルタは通過帯域が周波数ゼロに対して対称となるため複素フィルタにする必要がなく、実施の形態1における復調装置と比較して小規模な回路で十分に狭帯域化することができる。
【0076】
従って、第1タイミング同期部2に入力されるタイミングオフセット調整信号は、シンボル間干渉が発生しないという条件のもとで、最も到来時間の大きい到来波の到来時間と、最も到来時間の小さい到来波の到来時間との和の1/2(平均値)に比例する信号として与えられる。また、フィルタ帯域制御信号は、到来時間の絶対値が最も大きい到来波の到来時間の絶対値に比例する信号として与えられる。そして、周波数内挿フィルタ部8では、前記フィルタ帯域制御信号に応じて内挿フィルタが決定される。
【0077】
なお、第1遅延プロファイル推定部7の代わりに、実施の形態2において示した第2遅延プロファイル推定部12を利用し、時間内挿フィルタ部6の出力から遅延プロファイルを推定するような構成にしても良い。また、第1タイミング同期部2が、S1を生成するためのアナログ/デジタル変換の動作クロックを制御することによって同期タイミング信号を制御していても良い。
【0078】
また、本実施の形態4における復調装置では、フーリエ変換の開始点、すなわち第1の同期タイミングをガード区間の中央となるように設定する場合について説明したが、当該第1の同期タイミングは、ガード区間の最後尾からガード区間の先頭の方向(図11中において、ガード区間最後尾から左方向)にずれた位置であればよく、また、位相回転量は当該位置に応じて決定すればよい。
【0079】
また、本実施の形態4における復調装置においては、上述のように第1の同期タイミングをガード区間の中央となるように設定したが、この場合の設定においてはガード区間長と有効シンボル区間長との比をパラメータとして使用することができる。なお、日本における地上デジタルTV方式では、当該比として1/4,1/8,1/16,1/32が設定されている。
【0080】
以上のように、実施の形態4における復調装置によれば、最も電力の大きい到来波におけるガード区間の最後尾に対して当該ガード区間長の半分だけ前方に第1の同期タイミングが位置するように制御するとともに、ガード区間長及びサブキャリアの周波数に応じた所定の位相回転をフーリエ変換出力に対して与えるようにしたので、同期タイミングの位置を前方にずらした時間分を相殺するような固定値の位相回転量をフーリエ変換されたサブキャリア成分に対して与えることができる。また、同期タイミングのジッタや誤検出によるシンボル間干渉を防ぐことができると同時に、周波数内挿フィルタの帯域を小規模な回路で狭帯域化できる。さらにまた、不要な雑音成分が内挿フィルタを通過することによる受信性能の劣化を軽減することができる。
【0081】
なお、前記実施の形態3及び4に係る復調装置においては、第1遅延プロファイル7を含んで当該復調装置を構成したが、前記第1遅延プロファイル推定部7に代えて前記第2遅延プロファイル推定部12としても良い。
【0082】
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施の形態1に係る復調装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るパイロット信号の配置図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る復調装置における、フーリエ変換を行うタイミングと遅延時間を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る第1遅延プロファイル推定部の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る第1タイミング同期部の構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る第1タイミング同期部の構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る復調装置の構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係る復調装置の構成例を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係る復調装置における、フーリエ変換を行うタイミングと遅延時間を説明する図である。
【図10】本発明の実施の形態4に係る復調装置の構成例を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態4に係る復調装置においてフーリエ変換を行うタイミングを示した模式図である。
【図12】本発明の実施の形態1及び4に係る復調装置における遅延プロファイルを示した模式図である。
Claims (13)
- 受信したOFDM信号をフーリエ変換して、当該フーリエ変換の結果得られるサブキャリア成分を出力するフーリエ変換部と、
前記フーリエ変換部から出力された前記サブキャリア成分に含まれるパイロット信号を抽出するパイロット信号抽出部と、
前記パイロット信号に対応する既知信号を出力する既知信号出力部と、
前記パイロット信号抽出部において抽出された前記パイロット信号を、前記既知信号出力部から出力された前記既知信号で除算して前記パイロット信号に対応する伝送路特性を算出する第1除算部と、
前記第1除算部において算出された前記パイロット信号の前記伝送路特性に基づいて遅延プロファイルを推定し、当該遅延プロファイルにおいて、最も遅延する到来波の到来時間である最大遅延時間に対応する信号及び最も先行する到来波の到来時間である最小遅延時間に対応する信号を出力する遅延プロファイル推定部と、
前記第1除算部において算出された前記パイロット信号の伝送路特性に対して、時間方向及び周波数方向への内挿を行い、前記サブキャリア成分に対応する伝送路特性を出力する内挿フィルタ部と、
前記遅延プロファイル推定部から出力された前記最小遅延時間に対応する信号に応じて、前記フーリエ変換部におけるフーリエ変換を行なうタイミングを制御するタイミング信号を出力するタイミング同期部と、
前記フーリエ変換部から出力された前記サブキャリア成分を、前記内挿フィルタ部から出力された前記サブキャリア成分に対応する伝送路特性で除算して復調信号を出力する第2除算部とを備え、
前記フーリエ変換部は、前記タイミング信号に応じて前記フーリエ変換を行い、
前記内挿フィルタ部は、前記最大遅延時間に対応する信号に基づいて前記周波数方向への内挿に使用する周波数内挿フィルタの通過帯域を設定することを特徴とする復調装置。 - 受信したOFDM信号をフーリエ変換して、当該フーリエ変換の結果得られるサブキャリア成分を出力するフーリエ変換部と、
前記フーリエ変換部から出力された前記サブキャリア成分に対応する位相を、前記OFDM信号のガード区間長及び前記サブキャリア成分の周波数に基づいて決定される位相回転量だけ回転させる位相回転部と、
前記位相回転部によって位相を回転された前記サブキャリア成分からパイロット信号を抽出するパイロット信号抽出部と、
前記パイロット信号に対応する既知信号を出力する既知信号出力部と、
前記パイロット信号抽出部において抽出された前記パイロット信号を、前記既知信号出力部から出力された前記既知信号で除算して前記パイロット信号に対応する伝送路特性を算出する第1除算部と、
前記第1除算部において算出された前記パイロット信号の前記伝送路特性に基づいて遅延プロファイルを推定し、当該遅延プロファイルにおいて、最も遅延する到来波の到来時間である最大遅延時間と、最も先行する到来波の到来時間である最小遅延時間との平均値に対応する信号を出力する遅延プロファイル推定部と、
前記第1除算部において算出された前記パイロット信号の伝送路特性に対して、時間方向および周波数方向への内挿を行い、前記サブキャリア成分に対応する伝送路特性を出力する内挿フィルタ部と、
前記遅延プロファイル推定部から出力された前記平均値に対応する信号に基づいて前記フーリエ変換部におけるフーリエ変換を行なうタイミングを制御するタイミング信号を出力するタイミング同期部と、
前記位相回転部において位相を回転された前記サブキャリア成分を、前記内挿フィルタ部から出力された前記サブキャリア成分に対応する伝送路特性で除算して復調信号を出力する第2除算部とを備え、
前記フーリエ変換部は、前記タイミング信号に応じて前記フーリエ変換を行い、
前記内挿フィルタ部は、前記最大遅延時間に基づいて前記周波数方向への内挿に使用する周波数内挿フィルタの通過帯域を設定することを特徴とする復調装置。 - 前記タイミング同期部は、
受信した前記OFDM信号におけるガード区間に基づいて、当該OFDM信号の自己相関を演算して出力する自己相関演算部と、
前記自己相関演算部の出力における最大値を検出し、当該最大値に基づいて、前記フーリエ変換のタイミングを制御する第1のタイミング信号を生成する相関最大位置検出部と、
前記最小遅延時間に対応する信号に応じて前記第1のタイミング信号にオフセットを与えて前記タイミング信号を出力するタイミングオフセット調整部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の復調装置。 - 前記タイミング同期部は、
受信した前記OFDM信号におけるガード区間に基づいて、当該OFDM信号の自己相関を演算して出力する自己相関演算部と、
前記自己相関演算部の出力における最大値を検出し、当該最大値に基づいて、前記フーリエ変換のタイミングを制御する第1のタイミング信号を生成する相関最大位置検出部と、
前記平均値に対応する信号に応じて前記第1のタイミング信号にオフセットを与えて前記タイミング信号を出力するタイミングオフセット調整部とを備えることを特徴とする請求項2に記載の復調装置。 - 前記タイミング同期部は、
受信した前記OFDM信号において前記フーリエ変換が行なわれるデータ区間長分遅延させて遅延OFDM信号を出力する有効シンボル長遅延部と、
前記OFDM信号と前記遅延OFDM信号の複素共役信号との複素乗算を演算して当該演算の結果に対応する複素信号を出力する複素乗算部と、
前記複素乗算部から出力された前記複素信号に対して所定の区間長の移動平均を演算する移動平均演算部と、
前記移動平均演算部から出力された信号に基づいて、前記所定の区間長において前記複素信号の振幅が最大となる位置を検出し、当該位置に基づいて前記フーリエ変換のタイミングを制御する第1のタイミング信号を生成する相関最大位置検出部と、
前記最小遅延時間に対応する信号に応じて前記第1のタイミング信号にオフセットを与えて前記タイミング信号を出力するタイミングオフセット調整部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の復調装置。 - 前記タイミング同期部は、
受信した前記OFDM信号において前記フーリエ変換が行なわれるデータ区間長分遅延させて遅延OFDM信号を出力する有効シンボル長遅延部と、
前記OFDM信号と前記遅延OFDM信号の複素共役信号との複素乗算を演算して当該演算の結果に対応する複素信号を出力する複素乗算部と、
前記複素乗算部から出力された前記複素信号に対して所定の区間長の移動平均を演算する移動平均演算部と、
前記移動平均演算部から出力された信号に基づいて、前記所定の区間長において前記複素信号の振幅が最大となる位置を検出し、当該位置に基づいて前記フーリエ変換のタイミングを制御する第1のタイミング信号を生成する相関最大位置検出部と、
前記平均値に対応する信号に応じて前記第1のタイミング信号にオフセットを与えて前記タイミング信号を出力するタイミングオフセット調整部とを備えることを特徴とする請求項2に記載の復調装置。 - 受信したOFDM信号をフーリエ変換して、当該フーリエ変換の結果得られるサブキャリア成分を出力するフーリエ変換部と、
前記フーリエ変換部から出力された前記サブキャリア成分の位相を回転させて出力する位相回転部と、
前記位相回転部から出力された前記サブキャリア成分に含まれるパイロット信号を抽出するパイロット信号抽出部と、
前記パイロット信号に対応する既知信号を出力する既知信号出力部と、
前記パイロット信号抽出部において抽出された前記パイロット信号を、前記既知信号出力部から出力された前記既知信号で除算して前記パイロット信号に対応する伝送路特性を算出する第1除算部と、
前記第1除算部において算出された前記パイロット信号の前記伝送路特性に基づいて遅延プロファイルを推定し、当該遅延プロファイルにおいて、最も遅延する到来波の到来時間である最大遅延時間に対応する信号及び最も先行する到来波の到来時間である最小遅延時間に対応する信号を出力する遅延プロファイル推定部と、
前記第1除算部において算出された前記伝送路特性を時間方向および周波数方向に内挿して、前記サブキャリア成分に対応する伝送路特性を出力する内挿フィルタ部と、
前記遅延プロファイル推定部から出力された前記最小遅延時間に対応する信号に応じて、前記位相回転部における位相回転量を出力する位相調整量算出部と、
前記位相回転部において位相の回転をした前記サブキャリア成分を、前記内挿フィルタ部から出力された前記サブキャリア成分に対応する伝送路特性で除算して復調信号を出力する第2除算部とを備え、
前記位相回転部は、前記位相調整量算出部から出力された位相回転量だけ前記サブキャリア成分の位相を回転させ、
前記内挿フィルタ部は、前記最大遅延時間に対応する信号に基づいて前記周波数方向への内挿に使用する周波数内挿フィルタの通過帯域を設定することを特徴とする復調装置。 - 前記遅延プロファイル推定部は、前記パイロット信号の前記伝送路特性を時間方向に内挿した後の伝送路特性に基づいて、前記最大遅延時間に対応する信号および前記最小遅延時間に対応する信号を出力することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の復調装置。
- 前記遅延プロファイル推定部は、
入力された前記伝送路特性を周波数の高い順または低い順に並べて出力する信号ソート部と、
前記信号ソート部から出力された前記伝送路特性を逆フーリエ変換して、当該逆フーリエ変換の結果に対応する信号を出力する逆フーリエ変換部と、
前記逆フーリエ変換部から出力された前記信号の振幅に基づいて前記遅延プロファイルにおける電力値を演算して出力する相対レベル演算部と、
前記相対レベル演算部から出力された電力値が所定のしきい値以上である場合に、当該電力値に対応する成分を到来波に対応する成分と判定し、前記フーリエ変換部においてフーリエ変換をするタイミングと前記到来波におけるガード期間の最後尾との時間差を前記到来波の遅延時間として出力する到来波判定部と、
前記到来波判定部から出力された前記遅延時間のうち、最も遅延する到来波の到来時間に対応する信号を前記最大遅延時間に対応する信号として出力する最大遅延時間演算部と、
前記到来波判定部から出力された前記遅延時間のうち、最も先行する到来波の到来時間に対応する信号を前記最小遅延時間に対応する信号として出力する同期タイミングオフセット演算部とを備えることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の復調装置。 - 前記相対レベル演算部は、
前記逆フーリエ変換部から出力された信号の振幅または当該振幅の2乗値に基づいて遅延時間対信号電力値を演算し、当該遅延時間対信号電力値を前記電力値として出力することを特徴とする請求項9に記載の復調装置。 - 受信したOFDM信号をフーリエ変換して、当該フーリエ変換の結果得られるサブキャリア成分を出力するフーリエ変換工程と、
前記フーリエ変換工程において出力された前記サブキャリア成分に含まれるパイロット信号を抽出するパイロット信号抽出工程と、
前記パイロット信号に対応する既知信号を出力する既知信号出力工程と、
前記パイロット信号抽出工程において抽出された前記パイロット信号を、前記既知信号出力工程において出力された前記既知信号で除算して前記パイロット信号に対応する伝送路特性を算出する第1除算工程と、
該第1除算工程において算出された前記パイロット信号の前記伝送路特性に基づいて遅延プロファイルを推定し、当該遅延プロファイルにおいて、最も遅延する到来波の到来時間である最大遅延時間に対応する信号及び最も先行する到来波の到来時間である最小遅延時間に対応する信号を出力する遅延プロファイル推定工程と、
前記第1除算工程において算出された前記パイロット信号の伝送路特性に基づいて、時間方向および周波数方向への内挿を行い、前記サブキャリア成分に対応する伝送路特性を出力する内挿工程と、
前記遅延プロファイル推定工程において出力された前記最小遅延時間に対応する信号に応じて、前記フーリエ変換工程におけるフーリエ変換を行なうタイミングを制御するタイミング信号を出力するタイミング同期工程と、
前記フーリエ変換工程において出力された前記サブキャリア成分を、前記内挿工程において出力された前記サブキャリア成分に対応する伝送路特性で除算して復調信号を出力する第2除算工程とを含み、
前記タイミング信号に応じて前記フーリエ変換工程における前記フーリエ変換を行ない、
前記内挿工程において、前記最大遅延時間に対応する信号に基づいて前記周波数方向への内挿に使用する周波数内挿フィルタの通過帯域を設定することを特徴とする復調方法。 - 受信したOFDM信号をフーリエ変換して、当該フーリエ変換の結果得られるサブキャリア成分を出力するフーリエ変換工程と、
前記フーリエ変換工程において出力された前記サブキャリア成分に対応する位相を、前記OFDMのガード区間長および前記サブキャリア成分の周波数に基づいて決定される位相回転量だけ回転させる位相回転工程と、
前記位相回転工程において位相を回転された前記サブキャリア成分からパイロット信号を抽出するパイロット信号抽出工程と、
前記パイロット信号に対応する既知信号を出力する既知信号出力工程と、
前記パイロット信号抽出工程において抽出された前記パイロット信号を、前記既知信号出力工程において出力された前記既知信号で除算して前記パイロット信号に対応する伝送路特性を算出する第1除算工程と、
前記第1除算工程において算出された前記パイロット信号の前記伝送路特性に基づいて遅延プロファイルを推定し、当該遅延プロファイルにおいて、最も遅延する到来波の到来時間である最大遅延時間と、最も先行する到来波の到来時間である最小遅延時間との平均値に対応する信号を出力する遅延プロファイル推定工程と、
前記第1除算工程において算出された前記パイロット信号の伝送路特性に対して、時間方向および周波数方向への内挿を行い、前記サブキャリア成分に対応する伝送路特性を出力する内挿工程と、
前記遅延プロファイル推定工程において出力された前記平均値に対応する信号に基づいて前記フーリエ変換工程におけるフーリエ変換を行なうタイミングを制御するタイミング信号を出力するタイミング同期工程と、
前記位相回転工程において位相を回転された前記サブキャリア成分を、前記内挿工程において出力された前記サブキャリア成分に対応する伝送路特性で除算して復調信号を出力する第2除算工程とを含み、
前記フーリエ変換工程において、前記タイミング信号に応じて前記フーリエ変換を行い、
前記内挿工程において、前記最大遅延時間に基づいて前記周波数方向への内挿に使用する周波数内挿フィルタの通過帯域を設定することを特徴とする復調方法。 - 受信したOFDM信号をフーリエ変換して、当該フーリエ変換の結果得ら れるサブキャリア成分を出力するフーリエ変換工程と、
前記フーリエ変換工程において出力された前記サブキャリア成分の位相を回転させて出力する位相回転工程と、
前記位相回転工程において出力された前記サブキャリア成分に含まれるパイロット信号を抽出するパイロット信号抽出工程と、
前記パイロット信号に対応する既知信号を出力する既知信号出力工程と、
前記パイロット信号抽出工程において抽出された前記パイロット信号を、前記既知信号出力工程において出力された前記既知信号で除算して前記パイロット信号に対応する伝送路特性を算出する第1除算工程と、
前記第1除算工程において算出された前記パイロット信号の前記伝送路特性に基づいて遅延プロファイルを推定し、当該遅延プロファイルにおいて、最も遅延する到来波の到来時間である最大遅延時間に対応する信号及び最も先行する到来波の到来時間である最小遅延時間に対応する信号を出力する遅延プロファイル推定工程と、
前記第1除算工程において算出された前記伝送路特性を時間方向及び周波数方向に内挿して、前記サブキャリア成分に対応する伝送路特性を出力する内挿工程と、
前記遅延プロファイル推定工程において出力された前記最小遅延時間に対応する信号に応じて、前記位相回転工程における位相回転量を出力する位相調整量算出工程と、
前記位相回転工程において位相の回転をした前記サブキャリア成分を、前記内挿工程において出力された前記サブキャリア成分に対応する伝送路特性で除算して復調信号を出力する第2除算工程とを含み、
前記位相回転工程において、前記位相調整量算出工程において出力された位相回転量だけ前記サブキャリア成分の位相を回転させ、
前記内挿工程において、前記最大遅延時間に対応する信号に基づいて前記周波数方向への内挿に使用する周波数内挿フィルタの通過帯域を設定することを特徴とする復調方法。
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