JP3654551B2 - エネルギー分散型x線マイクロアナライザ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、エネルギー分散型X線マイクロアナライザに関する。
【0002】
【従来の技術】
エネルギー分散型X線マイクロアナライザの一つに、走査型電子顕微鏡(以下、SEMという)と、このSEMに取り付けられた半導体X線検出器からの信号を処理するエネルギー分散型のX線分析装置(以下、EDXという)とを一体的に組み合わせたものがある。このようなエネルギー分散型X線マイクロアナライザは、数μmという微小領域の元素分析を行う装置で、SEMによる像観察と同時に、X線分析装置によって観察している部分の「定性分析」、「定量分析」、「X線像による元素分布の分析」などを行うことができるところから、従来より金属、セラミックス、半導体などの材料の研究に利用されているが、近年では、製品のトラブル解析など品質管理の分野などにおいても利用されるようになってきている。
【0003】
ところで、従来のエネルギー分散型X線マイクロアナライザにおいては、前記分析を行う場合、分析箇所を設定し、この設定された箇所に対してSEMによって電子線を照射させ、そのとき得られる特性X線を半導体X線検出器で検出するが、従来のマイクロアナライザにおいては、分析位置の指定と分析開始の操作を次のようにして行っていた。
【0004】
すなわち、図4および図5は従来の操作手順を説明するための図で、まず、図4に示すエネルギー分散型X線マイクロアナライザにおいては、SEM41およびEDX42のそれぞれにコンピュータ43,44を設け、これらのコンピュータ43,44に、SEM41およびEDX42をそれぞれ操作するための操作部45,46を接続し、さらに、微小部分の顕微拡大画像などSEM41によって得られる画像(以下、SEM画像という)を表示するための表示装置47およびX線スペクトルやマッピング像などEDX42によって得られる画像(以下、EDX画像という)を表示するための表示装置48をコンピュータ43,44にそれぞれ接続し、SEM用操作部45によって分析箇所を設定し、EDX用操作部46によってX線スペクトルの測定の開始などEDX42を操作していた。
【0005】
また、図5に示すエネルギー分散型X線マイクロアナライザにおいては、図4に示した構成において、コンピュータ43,44の間を信号ケーブルで接続し、SEM41側のコンピュータ43からSEM画像のデータをEDX42側のコンピュータ44に転送して、このコンピュータ44に接続されている表示装置48にSEM画像を表示していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記図4に示した手法においては、SEM用操作部45とEDX用操作部46とが物理的に離れて設けられるとともに、操作手順も統一されてないので、操作性が悪いといった不都合がある。また、図5に示した手法においては、SEM側のコンピュータ43からEDX側のコンピュータ44にSEM画像のデータを転送するための操作や時間がかかるといった不都合がある。
【0007】
なお、従来において、上記図4や図5に示した手法のほか、SEMおよびEDXに共通に操作部を設けるようにしたものもないではないが、SEM画像の表示モードとEDX画像の表示モードが別々であり、それぞれを操作する必要があり、この場合においても操作が面倒で操作に時間がかかるといった不都合がある。
【0008】
なお、このような問題は、SEMとEDXとを組み合わせたエネルギー分散型X線マイクロアナライザのみならず、電子顕微鏡として透過型電子顕微鏡(以下、TEMという)とEDXとを組み合わせたエネルギー分散型X線マイクロアナライザにおいても同様に生じているところである。
【0009】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、X線分析の操作が短時間にしかも簡単に行うことができるエネルギー分散型X線マイクロアナライザを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明では、走査型電子顕微鏡とエネルギー分散型X線分析装置とこれらを制御するコンピュータとからなり、電子顕微鏡によって得られる電子顕微鏡画像とX線分析装置によって得られるX線スペクトルとをコンピュータに接続された表示装置の画面上に表示するように構成されたエネルギー分散型X線マイクロアナライザにおいて、前記電子顕微鏡によって得られ前記画面上に表示された電子顕微鏡画像における分析位置をポインティングデバイスで指定することにより、電子線の走査を停止して指定された分析対象位置に電子線を照射し、この照射と同時に、前記コンピュータが前記エネルギー分散型X線分析装置に対してX線スペクトルの取り込みを開始するように指令し、この指令に基づいて前記エネルギー分散型X線分析装置がX線スペクトルの取り込みを開始するように構成したことを特徴としている。
【0011】
前記ポインティングデバイスとしては、例えばマウスがある。
【0012】
エネルギー分散型X線マイクロアナライザが例えばSEMとEDXとを一体的に組み合わせたものである場合、SEMの表示装置に表示されている試料のSEM画像を見ながら、分析すべき位置をマウスによって指定する。これによってSEMは電子線の走査を停止し、指定された分析対象位置に電子線を照射する。そして、この照射と同時に、コンピュータがEDXに対してX線スペクトルの取込みを開始するように指令し、これに基づいてEDXはX線スペクトルの取り込みを開始する。
【0013】
なお、TEMとEDXとを組み合わせたエネルギー分散型X線マイクロアナライザにおいても、上記と同様に行なえることはいうまでもない。
【0014】
この発明のエネルギー分散型X線マイクロアナライザによれば、一つの表示画面を目視で確認しながら分析位置の指定および分析開始の指令などの操作を行うことができ、X線分析を簡単に操作することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、この発明の一実施例を示す。まず、図1は、エネルギー分散型X線マイクロアナライザの一例を概略的に示すもので、この図1において、1はSEMで、次のように構成されている。すなわち、2は鉄製の試料室(図示してない)の内部上方に設けられる電子銃、3はこの電子銃2から試料室の内部下方に配置された試料4に向けて発せられる電子線5を二次元方向(互いに直交するx方向とy方向)に走査する電子線走査コイル、6はこの電子線走査コイル3を制御する電子線走査電源、7はディジタル・アナログ変換器(DAC)である。なお、試料4は、例えば試料ステージ(図示してない)に載置され、x,y方向に移動できるように構成されている。
【0016】
8は対物レンズである。9は電子線5を試料4に照射したときに試料4から発生する二次電子および試料4において反射される電子10を検出する二次電子および反射電子検出器、11は増幅器、12はアナログ・ディジタル変換器(ADC)である。
【0017】
13はEDXで、例えば次のように構成されている。すなわち、14は電子線5が試料4に照射されたとき試料4から放出される特性X線15を検出するX線検出器で、例えばSi検出器からなる。16はパルスプロセッサ、17はマルチチャネル波高分析器(MCA)、18はスペクトルメモリである。
【0018】
19はSEM1およびEDX13を制御したり、これらから送られてくる信号を処理するコンピュータで、CPU20、オペレーションシステム21、SEM1を制御するプログラムを内蔵したメモリ22、EDX13を制御するプログラムを内蔵したメモリ23、画像メモリ24およびデータバス25からなる。
【0019】
26はSEM画像やEDX画像を表示する表示装置としてのCRT、27は入力装置としてのキーボードやマウスである。
【0020】
そして、上記エネルギー分散型X線マイクロアナライザにおいては、CRT26の画面上に表示されたSEM画像における分析位置を、例えばマウスで指定することにより、この指定された分析対象位置に電子線5を照射するとともに、EDX13がX線スペクトルの取り込みを開始するようにプログラムされている。これを、図2を参照しながら説明する。
【0021】
上記エネルギー分散型X線マイクロアナライザにおいては、SEM1によって取り込むことにより、二次電子や反射電子の像を得ることができ、これによって、図2(A)に示すように、試料4のSEM像28をCRT26の画面26A上に表示することができる。そして、この表示を見ながら、オペレータは分析すべき位置、例えば図2(A)において符号28Aで示す点を、マウス27Aによって指定する。これによってSEM1は電子線5の走査を停止し、指定された分析対象位置に電子線5を照射する。そして、この照射と同時に、コンピュータ19がEDX13に対してX線スペクトルの取込みを開始するように指令する。この指令に基づいてEDX13はX線スペクトルの取り込みを開始し、CPU20が取り込んだデータを演算処理などすることにより、CRT26の画面26A上には、図2(B)で示すようなスペクトル像29が表示される。
【0022】
上述の説明から理解されるように、上記エネルギー分散型X線マイクロアナライザにおいては、SEM1による画像28を表示している画面26A上において、マウス27Aなどポインティングデバイスで照射位置を指定することにより、EDX13側にデータ取り込み指令が発せられるため、試料のX線分析を簡単に操作することができる。
【0023】
そして、上述実施例においては、表示装置26をSEM1とEDX13とに共用しているので、それだけ、表示におけるスペースコストを低減できるが、表示装置26をSEM1およびEDX13のそれぞれに対応して設けるようにしてもよい。
【0024】
また、実施例においては、SEM1側からEDX13に対して制御信号を送るようにしているが、EDX13側からSEM1側に制御信号を送るようにしてもよい。
【0025】
また、SEM1およびEDX13を別のコンピュータで制御するようにしてもよく、その場合の構成を図3に示す。この図において、30はSEM制御用のコンピュータ、31はEDX制御用のコンピュータで、両コンピュータ30,31は有線または無線で接続されている。
【0026】
なお、この発明は、上記各実施例に限られるものではなく、TEMとEDXとを組み合わせたエネルギー分散型X線マイクロアナライザにも同様に適用できることはいうまでもない。
【0027】
また、表示装置としてはCRT以外の例えば液晶を用いたものなども使用してよいことはいうまでもない。
【0028】
【発明の効果】
この発明のエネルギー分散型X線マイクロアナライザにおいては、画面上に表示された電子顕微鏡画像における分析位置をポインティングデバイスで指定することにより、電子線の走査を停止して指定された分析対象位置に電子線を照射し、この照射と同時に、前記コンピュータが前記エネルギー分散型X線分析装置に対してX線スペクトルの取り込みを開始するように指令し、この指令に基づいて前記エネルギー分散型X線分析装置がX線スペクトルの取り込みを開始するようにしているので、X線分析の操作が短時間にしかも簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明のエネルギー分散型X線マイクロアナライザの一例を概略的に示す図である。
【図2】 前記エネルギー分散型X線マイクロアナライザの動作説明図である。
【図3】 この発明の他の実施例を示す概略構成図である。
【図4】 従来技術を説明するための図である。
【図5】 他の従来技術を説明するための図である。
【符号の説明】
1…電子顕微鏡、13…X線分析装置、19…コンピュータ、26…表示装置、27A…ポインティングデバイス、28…電子顕微鏡画像、28A…分析対象位置、29…X線画像。
Claims (1)
- 走査型電子顕微鏡とエネルギー分散型X線分析装置とこれらを制御するコンピュータとからなり、電子顕微鏡によって得られる電子顕微鏡画像とX線分析装置によって得られるX線スペクトルとをコンピュータに接続された表示装置の画面上に表示するように構成されたエネルギー分散型X線マイクロアナライザにおいて、前記電子顕微鏡によって得られ前記画面上に表示された電子顕微鏡画像における分析位置をポインティングデバイスで指定することにより、電子線の走査を停止して指定された分析対象位置に電子線を照射し、この照射と同時に、前記コンピュータが前記エネルギー分散型X線分析装置に対してX線スペクトルの取り込みを開始するように指令し、この指令に基づいて前記エネルギー分散型X線分析装置がX線スペクトルの取り込みを開始するように構成したことを特徴とするエネルギー分散型X線マイクロアナライザ。
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