JP4712584B2 - 電子顕微鏡装置と共に用いる分析装置、及び、第1の分析装置と共に用いる第2の分析装置 - Google Patents

電子顕微鏡装置と共に用いる分析装置、及び、第1の分析装置と共に用いる第2の分析装置 Download PDF

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Description

本発明は、第1の分析装置がエネルギー線を照射した際に分析対象体から放射され且つ前記第1の分析装置での分析に用いるエネルギー線とは別のエネルギー線に関するデータを利用して、該分析対象体の他の分析を行うように構成した第1の分析装置と共に用いる分析装置に関するものであり、特に、電子顕微鏡装置が電子線を照射した際に分析対象体から放射され且つ前記電子顕微鏡装置での解析に用いるエネルギー線とは別のエネルギー線に関するデータを利用して、該分析対象体の分析を行うように構成した電子顕微鏡装置と共に用いる分析装置に関するものである。
従来から、分析対象試料の電子顕微鏡画像を出力する電子顕微鏡と、X線分析部と、これらを制御するコンピュータとを具備して成り、電子顕微鏡によって得られる顕微鏡画像とX線分析部によって得られるX線スペクトルとをコンピュータに取り込み可能に構成したX線分析装置が知られている。
具体的に、この種のX線分析装置は、顕微鏡画像を表わす画像データと、この顕微鏡画像上の指定された分析位置から発生するX線のスペクトルデータとを、コンピュータで読み書き可能な一つの記録媒体に一回の操作で一括して保存可能とすることで、操作者の操作性を向上させ、且つ、データの管理を容易性を向上させることが可能になっている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−292383
しかしながら、従来のものでは、顕微鏡画像データとX線のスペクトルデータとを、一回の操作で一つの記録媒体に一括して保存できるだけであり、X線のスペクトルデータの分析する前段階で顕微鏡画像データを収集することを要するにもかかわらず、電子線照射時に、X線のスペクトルデータを収集しているものでは無い。
したがって、顕微鏡画像データを得るための時間とは別に、X線のスペクトルデータを得るための時間を要し、かかるX線のスペクトルデータの分析に、トータルで大幅な時間を要してしまうといった問題点を有している。
また、分析対象試料に電子線を照射すると、その表面にコンタミネーション(汚れ等)が生じる場合があり、このコンタミネーションを少なくするためにできるだけ電子線の照射時間を少なくするという要望を満たしていないといった問題点を有している。
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、分析時間の短縮を図れるとともに分析対象体表面のコンタミネーションの発生を抑制して分析精度の向上を図れるといった、優れた分析装置を提供することにある。
すなわち本発明に係る電子顕微鏡装置と共に用いる分析装置は、電子顕微鏡装置が電子線を照射した際に分析対象体から放射され且つ前記電子顕微鏡装置での解析に用いるエネルギー線とは別のエネルギー線に関するデータを一時的に記憶するデータ記憶部と、電子線照射条件に変化が生じたか否かを監視する電子線照射条件変化監視部と、前記分析対象体の分析を前記別のエネルギー線を利用して行う際に、前記電子線照射条件変化監視部を参照し前記電子線照射条件に変化が生じていないとの監視結果を得た場合には、前記データ記憶部に一時的に記憶している前記別のエネルギー線に関するデータを読み出して、前記分析対象体の分析に用いるエネルギー線分析部と、を具備して成ることを特徴とする。
ここで、電子顕微鏡装置は、走査型であるか透過型であるかを問わない。
電子顕微鏡装置での解析に用いられるエネルギー線とは、2次電子、反射電子、透過電子などの中で、画像解析に用いられて、顕微鏡像が得られるものをいう。
また、「別のエネルギー線に関するデータ」とは、分析処理に用いるエネルギー線のスペクトルデータに加え、エネルギー分析部での分析結果などをも含む広い概念である。
電子線照射条件の変化は、電子線が照射される分析位置の変化と、電子線の量の変化を含む。分析位置には、点だけでなく、平面、3次元的な空間といった領域も含まれる。また、電子線の量の変化の具体的態様としては、照射電流の変化が挙げられる。
また、前記電子線照射条件変化監視部の監視対象である分析位置の変化の具体的態様としては、前記電子線を照射する電子線照射部および前記分析対象体を載置するステージ間の移動による変化、または、電子線を照射する位置の変化、または、電子線の加速電圧の変化、または、前記電子顕微鏡のレンズ系の倍率の変化が挙げられる。すなわち、分析位置の変化が、水平方向の変化であるか垂直方向の変化であるかを問わない。
このようなものであれば、顕微鏡画像データを取りながら、顕微鏡画像データ以外のデータ、例えば特性X線のスペクトルデータを同時に取っておくことができ、該特性X線のスペクトルデータを改めて最初から取るといったことをしなくて済む。したがって、かかる特性X線のスペクトルデータの分析に、大幅な時間を要さず短時間で行うことが可能となる。そして、このように電子線の照射時間を短くできるため、その表面にコンタミネーションが生じ難くなり、分析精度の向上に資する。
すなわち、分析時間の短縮を図れるとともに分析対象体表面のコンタミネーションの発生を抑制して分析精度の向上を図れるといった、優れた電子顕微鏡装置と共に用いる分析装置を提供することができる。
照射電流の変化に応じた好適な処理を行うには、前記電子線照射条件変化監視部を参照し前記照射電流に変化が生じていないとの監視結果を得た際に、前記データ記憶部に一時的に記憶している前記エネルギー線に関するデータを、データ分析に用いるか否かに関する命令を受け付けるデータ使用選択命令受付部を具備していることが望ましい。
なお、本発明のエネルギー線分析部の望ましい態様としては、このエネルギー線分析部が、前記分析対象体から放射される特性X線を利用して、該分析対象体の構成元素を分析するエネルギー分散型X線分析部であるものが挙げられる。
本発明の望ましい態様としては、前記データ記憶部が、前記エネルギー線分析部での分析結果を、前記データとして一時的に記憶するものであり、前記分析対象体の分析を前記別のエネルギー線を利用して行う際に、前記電子線照射条件変化監視部を参照し前記変化が生じたとの監視結果を得た場合には、前記データ記憶部に一時的に記憶している分析結果を削除する一方、前記変化が生じていないとの監視結果を得た場合には、前記データ記憶部に一時的に記憶している分析結果を用い得るように構成しているものが挙げられる。
この場合、前記分析結果を削除した後、電子線照射条件変化監視部が前記変化が無くなった旨の監視結果を出力した場合には、削除した分析結果を、復活利用し得るように構成しているのであれば、測定のやり直しを防ぐことができるなど、分析時間の短縮などに資する。
また、本発明の第1の分析装置と共に用いる第2の分析装置の望ましい態様としては、この第1の分析装置と共に用いる第2の分析装置が、第1の分析装置がエネルギー線を照射した際に分析対象体から放射され且つ前記第1の分析装置での解析に用いるエネルギー線とは別のエネルギー線に関するデータを一時的に記憶するデータ記憶部と、前記エネルギー線の照射条件に変化が生じたか否かを監視するエネルギー線照射条件変化監視部と、前記分析対象体の他の分析を前記別のエネルギー線を利用して行う際に、前記エネルギー線照射条件変化監視部を参照し前記エネルギー線照射条件に変化が生じていないとの監視結果を得た場合には、前記データ記憶部に一時的に記憶している前記データのうち別のエネルギー線に関するデータを読み出して、前記分析対象体の他の分析に用いるエネルギー線分析部と、を具備して成るものが挙げられる。
ここで、このような第2の分析装置の具体的な態様としては例えば収束イオンビーム装置(FIB)が挙げられる。この場合、第1の分析装置が照射するエネルギー線としては、イオンビームであり、第1の分析装置での解析に用いるエネルギー線は2次電子、2次イオンなどで、画像解析に用いられて、顕微鏡像が得られるものを言う。別のエネルギー線は、電磁波(光)やX線などが挙げられる。
以上説明したように本発明の電子顕微鏡装置と共に用いる分析装置によれば、顕微鏡画像データを取りながら、例えば特性X線のスペクトルデータを同時に取っておくことができ、該特性X線のスペクトルデータを改めて最初から取るといったことをしなくて済む。したがって、かかる特性X線のスペクトルデータの分析に、大幅な時間を要さず短時間で行うことが可能となる。そして、このように電子線の照射時間を短くできるため、その表面にコンタミネーションが生じ難くなり、分析精度の向上に資する。
すなわち、分析時間の短縮を図れるとともに分析対象体表面のコンタミネーションの発生を抑制して分析精度の向上を図れるといった、優れた電子顕微鏡装置と共に用いる分析装置を提供することができる。
また、本発明の第1の分析装置と共に用いる第2の分析装置によれば、第1の分析装置で、当該第1の分析装置での解析に必要なエネルギー線を放射しながら、かかる分析とは別の分析のための、別のエネルギー線に関するデータを取っておくことができ、該、別のエネルギー線に関するデータを改めて最初から取るといったことをしなくて済む。したがって、かかる別のエネルギー線の解析に大幅な時間を要さず短時間で行うことが可能となる。そして、このようにエネルギー線の照射時間を短くできるため、試料の破壊や表面にコンタミネーションが生じ難くなり、分析精度の向上に資する。
すなわち、分析時間の短縮を図れるとともに分析対象体表面のコンタミネーションの発生を抑制して分析精度の向上を図れるといった、優れた第1の分析装置と共に用いる第2の分析装置を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
本実施形態にかかるエネルギー分散型X線分析装置Q(本発明の「電子顕微鏡装置と共に用いる分析装置(第2の分析装置)」に相当)は、図1に示すように、電子走査顕微鏡装置P(本発明の「第1の分析装置」に相当)と共に用いられるものであって、この電子走査顕微鏡装置Pとともに分析システムAを構成している。以下、各装置について具体的に説明する。
電子走査顕微鏡装置Pは、図1に示すように、測定対象体である試料Sを載置するステージP1と、このステージP1に載置した試料Sに対して電子ビームを照射する電子線照射部P2と、試料Sに電子線を照射した際に該試料Sによって反射される反射電子E1または二次電子E2を測定する電子顕微鏡部(検出部)P3と、この電子顕微鏡部P3で得た各電子E1、E2を利用して試料S表面等についての画像処理を行う画像処理部P4とを具備して成る。
ステージP1は、1または複数の試料Sを載置可能な試料載置面P11を有するものである。そして、本実施形態では、演算制御部によって制御されたステッピングモータ等のアクチュエータ(図示せず)によって、試料載置面P11が電子線照射部P2に対して移動し得るように構成している。
電子線照射部P2は、陰極より放出した電子線を陽極で加速させた後に集束レンズおよび対物レンズで試料Sにフォーカスされるようにし、且つ、試料Sの走査画像(SEM像)を得るために、この電子線を偏向器で試料S上を2次元的に走査されるように構成してある。
電子顕微鏡部P3は、試料Sから発生した二次電子E2を含む反射電子E1を検出し、電気信号(像信号)に変換するものである。
画像処理部(演算制御部)P4は、前記電子顕微鏡部P3から得た電気信号(像信号)よりSEM画像を生成するものである。
エネルギー分散型X線分析装置Qは、図1に示すように、前記電子顕微鏡部P3の近傍に設けた特性X線検出器Q1と、この特性X線検出器Q1で検出した特性X線Exに基づいて試料Sの構成元素の分析を行う分析装置本体Q2とを具備して成るものである。
特性X線検出器Q1は、試料S表面から放出される特性X線Exを検出するものであって、本実施形態では、エネルギー分散型のX線分光器を用いている。なお、この特性X線検出器Q1の種類は、これに限られるものではなく、例えば、波長分散型(WDX:Wavelength Dispersive X-ray Spectrometry)のものを用いるなど、実施態様に応じて適宜変更可能である。また、カソードルミネセンス(CL:Cathodeluminescence)、電子線エネルギー損失分光器(EELS:Electron Energy-Loss Spectroscopy)、後方散乱電子回折検出器(EBSD:Electron Backscatter Diffraction)などを用いることを妨げない。
分析装置本体Q2は、一般的な情報処理機能に加え試料Sの分析機能を備えたものであって、図2に示すように、CPU101、内部メモリ102、HDD等の外部記憶装置103、マウスやキーボードなどの入力インタフェース104、液晶ディスプレイなどの表示装置105、電子走査顕微鏡装置Pと通信するための通信インタフェース106等を具備して成る。
そして、この分析装置本体Q2は、その内部メモリ102に記憶されたプログラムにしたがって、前記CPU101や周辺機器を作動し、図3に示すように、前記特性X線検出器Q1で検出した特性X線Exのスペクトルデータを記憶するデータ記憶部1と、電子線照射条件に変化が生じたか否かを監視する電子線照射条件変化監視部2と、試料Sの分析を特性X線Exを利用して行うエネルギー線分析部3と、データ使用選択命令受付部4としての機能を発揮する。以下、各部を詳述する。
データ記憶部1は、電子走査顕微鏡装置Pの電子線照射部P2が電子線を照射した際に試料Sから放射される特性X線Exのスペクトルデータを一時的に記憶するものであって、前記内部メモリ102または外部記憶装置103の所定領域に形成して成る。なお、本実施形態では、このデータ記憶部1が、電子線の照射位置情報と特性X線Exのスペクトルデータとを関連付けて記憶するように構成している。また、このデータ記憶部1に記憶するデータは、特性X線Exのスペクトルデータに限られるものではなく、別のエネルギー線のスペクトルデータを記憶することができるし、その他のデータ(例えば、電子線の照射開始時間や終了時間など)を記憶することができる。
電子線照射条件変化監視部2は、前記電子線照射部P2および前記ステージP1間に分析位置の変化である移動が生じたか否かを監視する分析位置変化監視部2aと、照射電流の変化を監視する照射電流変化監視部2bとしての機能を有するものである。
分析位置変化監視部2aは、電子線照射部P2およびステージP1間に移動が生じたか否かを、すなわち、分析位置に変化が生じたか否かを、前記アクチュエータの制御量から得られるステージP1の移動量により監視するものである。そして、その監視結果をエネルギー線分析部3に対して出力する。具体的には、例えば、制御量が0であれば、電子線照射部P2およびステージP1間に移動が生じていないとの監視結果を、エネルギー線分析部3に対して出力する。
照射電流変化監視部2bは、電子線照射部P2が電子線を照射する際の照射電流に変化が生じたか否かを監視するものである。
エネルギー線分析部3は、試料Sから放射される特性X線Exを利用して、該試料Sの構成元素を分析しその構成元素のマッピングを行うものであるものである。なお、本実施形態では、このエネルギー線分析部3が、分析を行う際において、前記分析位置変化監視部2aを参照し前記移動が生じていないとの監視結果を得た場合には、前記データ記憶部1に一時的に記憶しているエネルギー線のスペクトルデータを読み出して、前記試料Sの分析および構成元素のマッピングに用いるように構成している。
また、このエネルギー線分析部3を、後述するデータ使用選択命令受付部4において、データ分析に用いる旨の命令を受け付けた場合には、データ記憶部1に記憶しているデータを読み出して、前記試料Sの分析などを行い得るようにしている。
データ使用選択命令受付部4は、照射電流変化監視部2bを参照し照射電流に変化が生じていないとの監視結果を得た際に、前記データ記憶部1に一時的に記憶している前記エネルギー線に関するデータを、データ分析に用いるか否かに関する命令を受信するものであって、前記入力インタフェース104などを利用して構成している。
次に、このように構成した電子走査顕微鏡装置Pおよび分析装置本体Q2の動作について説明する。
(1)電子走査顕微鏡装置PによるSEM画像の生成フローについて
図4に示すように、まず、電子走査顕微鏡装置Pの電子線照射部P2が、試料Sに対して電子線を照射する(ステップ101)。
すると、この電子線によって試料Sから発生した二次電子E2を含む反射電子E1を、電子顕微鏡部P3が検出し(ステップ102)、電気信号(像信号)に変換する(ステップ103)。
そして、画像処理部P4が電子顕微鏡部P3から得た電気信号(像信号)からSEM画像を生成する(ステップ104)。
(2)分析装置本体Q2による試料S分析フローについて
このように、電子線照射部P2が電子線を照射している際において、試料Sからは、例えば特性X線Exなど、反射電子E1または二次電子E2とは別のエネルギー線が発生している。
図5に示すように、本実施形態では、電子線照射部P2が電子線を照射している場合(ステップ201)、特性X線Exのスペクトルデータと電子線の照射位置情報とを、データ記憶部1に記憶する。(ステップ202)。
そして、エネルギー線分析部3が、前記試料Sの構成元素の分析を行う際に際し、前記電子線照射条件変化監視部2の分析位置変化監視部2aを参照し、分析位置に変化(例えば、電子線照射部P2およびステージP1間に移動)が生じていないとの監視結果を得た場合には(ステップS203)、前記データ記憶部1に一時的に記憶しているエネルギー線のスペクトルデータを読み出して(ステップS204)、前記試料Sの構成元素の分析およびマッピングを行い、検出元素の分布を示す元素マップを生成する(ステップS205)。一方、監視結果が、分析位置に変化が生じた旨を示すものであれば(ステップS203)、電子線照射部P2から電子線を試料Sに対して新たに照射してエネルギー線のスペクトルデータを計測した上で(ステップS206)、試料Sの構成元素の分析およびマッピングを行い元素マップを生成する(ステップS205)。
なお、ステップS203からS205かけて、さらに、照射電流値の変化を考慮した動作をさせることもできる。照射電流値が変化しても、強度が変わるだけのため、データ記憶部1に一時的に記憶している別のエネルギー線に関するデータを、データ分析に使うことができるからである。
具体的には、図6に示すように、分析位置に変化が生じていないとの監視結果を得た場合(ステップS203)において、照射電流変化監視部2bを参照し照射電流に変化が生じたとの監視結果を得た際に(ステップS203a)、データ使用選択命令受付部4で受け付ける命令が、データ記憶部1に一時的に記憶している前記エネルギー線に関するデータを、データ分析に用いる旨の命令であれば(ステップS203b)、前記データ記憶部1に一時的に記憶しているエネルギー線のスペクトルデータを読み出して(ステップS204)、前記試料Sの構成元素の分析およびマッピングを行い、検出元素の分布を示す元素マップを生成する(ステップS205)。一方、変化が生じていないとの監視結果を得た場合には(ステップS203a)、前記データ記憶部1に一時的に記憶しているエネルギー線のスペクトルデータを読み出して(ステップS204)、前記試料Sの構成元素の分析およびマッピングを行い、検出元素の分布を示す元素マップを生成する(ステップS205)。
したがって、以上のように構成した本実施形態に係るエネルギー分散型X線分析装置Qによれば、SEM画像を取りながら、特性X線Exのスペクトルデータを同時に取っておくことができ、該特性X線Exのスペクトルデータを改めて最初から取るといったことをしなくて済む。したがって、かかる特性X線Exのスペクトルデータの分析に、大幅な時間を要さず短時間で行うことが可能となる。そして、このように電子線の照射時間を短くできるため、その表面にコンタミネーションが生じ難くなり、分析精度の向上に資する。
すなわち、分析時間の短縮を図れるとともに試料S表面のコンタミネーションの発生を抑制して分析精度の向上を図れるといった、優れたエネルギー分散型X線分析装置Qを提供することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、エネルギー線分析部3を、試料Sから放射される特性X線Exを利用して、図7に示すように、該試料Sの構成元素を分析し元素マップを得られるようにしているが、図8に示すように、分析領域全体を平均化したスペクトルを得ることもできる。また、分析領域全体を平均化したスペクトルを得た後、元素マップを得ることもできる。さらに、相分析結果の組成分布を示す組成マップを得ることもできるし、また、試料Sの定性・定量分析に用いることもできる。
また、データ記憶部1が、特性X線Exのスペクトルデータを一時的に記憶するようにしているが、恒久的に記憶するようにしていもよい。
また、電子線照射条件変化監視部2が、電子線照射部P2およびステージP1間に移動が生じたか否かを監視する方法は、本実施形態のものに限られず実施態様に応じて適宜変更可能である。
また、分析位置変化監視部2aが、分析位置に変化が生じたか否かの監視を、電子線照射部P2およびステージP1間の移動による変化の監視により行っているが、これに限らず、例えば、電子線を照射する位置の変化、または、電子線の加速電圧の変化、または、前記電子顕微鏡のレンズ系の倍率の変化の監視により行うことができる。
また、ステップS203と、ステップS203aおよびS203bとの順番は、本実施形態に限られるものではない。
また、電子走査顕微鏡装置Pに代えて、透過型の電子顕微鏡装置を用いることもできる。
また、データ記憶部1に、エネルギー線分析部3での分析結果を、一時的に記憶させることもできる。そして、試料Sの分析を、特性X線Exを利用して行う際に、電子線照射条件変化監視部2を参照し上述した変化が生じたとの監視結果を得た場合には、データ記憶部1に一時的に記憶している分析結果を削除する一方、前記変化が生じていないとの監視結果を得た場合には、データ記憶部1に一時的に記憶している分析結果を用い得るように動作させることもできる。加えて、前記分析結果を削除した後、電子線照射条件変化監視部2が前記変化が無くなった旨の監視結果を出力した場合には、削除した分析結果を、復活利用し得るように動作させることもできる。これにより、測定のやり直しを防ぐことができるなど、分析時間の短縮を行うことが可能となる。なお、復活利用する方法は、一般的なコンピュータなどで実現されている方法を採用すればよく、ハード的に復活させるかソフト的に復活させるかを問わない。
また、電子走査顕微鏡装置Pにかえて、例えば、イオンビームを放射する分析装置(FIB)を採用することもできる。この場合には、イオンビームが放射された際に、顕微鏡画像を得るために測定されるエネルギー線とは別のエネルギー線をデータ記憶部1に記憶しておき、この記憶しているデータを、イオンビームを放射する分析装置とは別のデータ解析に用いるようにすればよい。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明の一実施形態であるエネルギー分散型X線分析装置を有する分析システムの構成を概略的に示す全体概略図。 同実施形態に係るエネルギー分散型X線分析装置の機器構成図。 同実施形態に係るエネルギー分散型X線分析装置の機能構成図。 同実施形態に係る電子走査顕微鏡装置の動作を説明するためのフロー図。 同実施形態に係るエネルギー分散型X線分析装置の動作を説明するためのフロー図。 同実施形態に係るエネルギー分散型X線分析装置の動作を説明するためのフロー図。 同実施形態に係る分析結果の一例を示す図。 同実施形態に係る分析結果の一例を示す図。
符号の説明
E1・・・反射電子
E2・・・二次電子
Ex・・・別のエネルギー線(特性X線)
P・・・・電子走査顕微鏡装置(電子顕微鏡装置(第1の分析装置))
P1・・・ステージ
P2・・・電子線照射部
Q・・・・電子走査顕微鏡装置(電子顕微鏡装置)と共に用いる分析装置(第2の分析装置)
(エネルギー分散型X線分析装置)
S・・・・分析対象体(試料)
1・・・・データ記憶部
2・・・・電子線照射条件変化監視部
2a・・・分析位置変化監視部
2b・・・照射電流変化監視部
3・・・・エネルギー線分析部

Claims (9)

  1. 電子顕微鏡装置が電子線を照射した際に分析対象体から放射され且つ前記電子顕微鏡装置での解析に用いるエネルギー線とは別のエネルギー線に関するデータを一時的に記憶するデータ記憶部と、
    電子線照射条件に変化が生じたか否かを監視する電子線照射条件変化監視部と、
    前記分析対象体の分析を前記別のエネルギー線を利用して行う際に、前記電子線照射条件変化監視部を参照し前記電子線照射条件に変化が生じていないとの監視結果を得た場合には、前記データ記憶部に一時的に記憶している前記別のエネルギー線に関するデータを読み出して、前記分析対象体の分析に用いるエネルギー線分析部と、を具備して成ることを特徴とする電子顕微鏡装置と共に用いる分析装置。
  2. 前記電子線照射条件の変化が、分析位置の変化であることを特徴とする請求項1記載の電子顕微鏡装置と共に用いる分析装置。
  3. 前記分析位置の変化が、前記電子線を照射する電子線照射部および前記分析対象体を載置するステージ間の移動による変化、または、電子線を照射する位置の変化、または、電子線の加速電圧の変化、または、前記電子顕微鏡のレンズ系の倍率の変化であることを特徴とする請求項2記載の電子顕微鏡装置と共に用いる分析装置。
  4. 前記電子線照射条件の変化が、照射電流の変化であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の電子顕微鏡装置と共に用いる分析装置。
  5. 前記電子線照射条件変化監視部を参照し前記照射電流に変化が生じていないとの監視結果を得た際に、前記データ記憶部に一時的に記憶している前記エネルギー線に関するデータを、データ分析に用いるか否かに関する命令を受け付けるデータ使用選択命令受付部を具備していることを特徴とする請求項4記載の電子顕微鏡装置と共に用いる分析装置。
  6. 前記エネルギー線分析部が、前記分析対象体から放射される特性X線を利用して、該分析対象体の構成元素を分析するエネルギー分散型X線分析部であることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の電子顕微鏡装置と共に用いる分析装置。
  7. 前記データ記憶部が、前記エネルギー線分析部での分析結果を、前記データとして一時的に記憶するものであり、
    前記分析対象体の分析を前記別のエネルギー線を利用して行う際に、前記電子線照射条件変化監視部を参照し前記変化が生じたとの監視結果を得た場合には、前記データ記憶部に一時的に記憶している分析結果を削除する一方、前記変化が生じていないとの監視結果を得た場合には、前記データ記憶部に一時的に記憶している分析結果を用い得るように構成していることを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の電子顕微鏡装置と共に用いる分析装置。
  8. 前記分析結果を削除した後、電子線照射条件変化監視部が前記変化が無くなった旨の監視結果を出力した場合には、削除した分析結果を、復活利用し得るように構成していることを特徴とする請求項7記載の電子顕微鏡装置と共に用いる分析装置。
  9. 第1の分析装置がエネルギー線を照射した際に分析対象体から放射され且つ前記第1の分析装置での解析に用いるエネルギー線とは別のエネルギー線に関するデータを一時的に記憶するデータ記憶部と、
    前記エネルギー線の照射条件に変化が生じたか否かを監視するエネルギー線照射条件変化監視部と、
    前記分析対象体の他の分析を前記別のエネルギー線を利用して行う際に、前記エネルギー線照射条件変化監視部を参照し前記エネルギー線照射条件に変化が生じていないとの監視結果を得た場合には、前記データ記憶部に一時的に記憶している前記別のエネルギー線に関するデータを読み出して、前記分析対象体の他の分析に用いるエネルギー線分析部と、を具備して成ることを特徴とする第1の分析装置と共に用いる第2の分析装置。
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