JP6165967B2 - 荷電粒子線装置用試料ホルダおよび荷電粒子線装置 - Google Patents

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Description

本発明は、荷電粒子線装置用試料ホルダおよび荷電粒子線装置に関し、特に、特性X線を利用した分析の高精度化に寄与する試料ホルダ、及びこれを用いた装置に関する。
電子顕微鏡等の荷電粒子線装置を利用した試料の組成分析のひとつとして、試料への電子線照射によって発生する特性X線をX線検出器により検出し、像観察と同時に観察視野に対応した微小領域の組成分析を行うエネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectrometry:以下、EDXという)がある。
EDX用の検出器として、これまでSi(Li)半導体検出器[Si(Li) Semiconductor Detector ::以下、SSD検出器という]が用いられてきた。また近年では、新たにシリコンドリフト検出器(Silicon Drift Detector:以下、SDD検出器という)が開発され、その優れた特性から期待が高まっている。
SDD検出器は、冷却用の液体窒素が不要なことから、検出素子部の形状や大きさを比較的自由に設計可能で、対物レンズの形状に合わせて干渉しないように試料との間隔を近づけられる。このため、SSD検出器を用いた分析よりも、X線の取り込みを大立体角化し、より高感度、高エネルギー分解能な分析を実現可能にする。
一般的に、分析の際、EDX検出器には、試料上の電子線入射点以外からの散乱X線を遮蔽するように、検出素子の直前にコリメータ(Collimator)と呼ばれる絞りを設置する。
特許文献1には、EDX分析において所望のX線を精度良く検出するため、散乱X線に加えて、電子線とポールピースとの衝突により生じるシステムピークの入射を阻止する機構を有するコリメータを備えたEDX検出器について説明されている。
特開2003−161710号公報
しかしながら、近年、検出器の高機能化、高分解能化のために、様々な特性X線を同時に取り込めるように、検出素子は大面積化してきている。この検出素子の大面積化に伴い、試料の電子線入射点から得られる特性X線に対する散乱X線の割合はますます増加傾向にある。特に、大面積のSDD検出器を用いた場合、この傾向は顕著である。特許文献1に記載された構造においては、配置の構成上、試料とコリメータとの間にはある程度の距離が必要となるため、制限できる散乱X線の角度には限界がある。散乱X線の割合が増加するとEDXスペクトルのP/B比(Peak-to-Background Ratio)が低下し、微量元素の分析が困難となる。
本発明は、EDX分析において発生する散乱X線等を効率的に遮蔽し、高いP/B比を実現できる試料ホルダ、及び当該試料ホルダを備えた荷電粒子線装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための一態様として、本発明は、試料に照射する荷電粒子線を発生させる荷電粒子源と、当該荷電粒子線の照射により前記試料から発生した信号を検出する検出器と、を備えた荷電粒子線装置に挿入される試料ホルダであって、前記試料を保持する本体部と、前記本体部に着脱自在に設けられ、当該本体部に取り付けられることによって、当該本体部に保持された試料を固定する試料押さえ部と、を有し、前記試料押さえ部は、前記荷電粒子源と対向する面に設けられ、前記荷電粒子線を通過させるための第1の孔と、前記検出器と対向する面に設けられ、前記試料から発生する信号のうち、特定の信号のみを前記検出器へ導入する第2の孔と、を有することを特徴とする試料ホルダ、及び当該試料ホルダを適用した装置を提供する。
上記一態様によれば、より試料に近い位置で散乱X線を遮蔽できるので、その制限できる角度を狭め、EDX分析において発生する散乱X線を効率的に遮蔽し、高いP/B比を実現することができる。
実施例1に係る荷電粒子線装置の試料ホルダ、EDX検出器の外観を示す図 実施例1に係る試料押さえの取り付け時の様子を示す図 実施例1に係る試料押さえにより試料から発生した散乱X線等を遮蔽する様子を説明する図 実施例1に係る試料押さえによる遮蔽効果を説明する図 実施例1に係る試料ホルダと検出器との配置関係を示す上面図 本実施の形態に係る試料ホルダを適用した透過電子顕微鏡の構成を示す図 本実施の形態に係る試料ホルダを適用した走査電子顕微鏡の構成を示す図 実施例3に係る試料押さえの構成を示す図 実施例4に係るバルク試料の試料ホールド部材の構成を示す図 実施例5に係る試料ホルダの構成を示す図 本実施の形態に係るEDX分析におけるスペクトル結果を示すグラフ 本実施の形態に係るEDX分析における試料傾斜角度とP/B比の関係を示すグラフ 本実施の形態に係るEDX分析における試料傾斜角度の最適化の手順の例を示すフローチャート 本実施の形態に係るEDX分析における試料ステージの各軸の最適化の手順の例を示すフローチャート 本実施の形態に係るEDX分析における試料観察条件の表示の一例を示す図 本実施の形態に係るEDX分析用の試料作製の一例を示す図 本実施の形態に係るEDX分析用の試料作製条件の表示の一例を示す図 本実施の形態に係る複数の電子顕微鏡装置、試料ホルダを利用してEDX分析を行う場合の動作を示すフローチャート 本実施の形態に係る複数の電子顕微鏡、EDX検出器を利用してEDX分析を行う場合の動作を示すフローチャート 本実施の形態に係る試料ホルダの移動機構を示した斜視図 実施例6に係る試料押さえの構成を示す図
本実施例では、基本的な実施形態について説明する。
[装置構成]
図6は、本実施の形態に係る透過電子顕微鏡の構成図の例である。電子顕微鏡装置600は、主として、電子銃601、収束レンズ603、対物レンズ604、投射レンズ605、透過電子検出器606、レンズ電源607、透過電子検出器制御部608、全体制御部609、コンピュータ610、試料ホルダ本体部611、試料612、試料押さえ613、試料ホルダ制御部614、EDX検出器615、EDX検出器制御部616によって構成される。
収束レンズ603、対物レンズ604、投射レンズ605は、それぞれレンズ電源607に接続され、レンズ電源607は全体制御部609に接続され、通信を行う。
透過電子検出器606は、透過電子検出器制御部608を介して全体制御部609に接続され、通信を行う。
EDX検出器615は、EDX検出器制御部616を介して全体制御部609に接続され、通信を行う。
試料ホルダ611は、試料ホルダ制御部614を介して全体制御部609に接続され、通信を行う。
全体制御部609は、コンピュータ610と接続され、通信を行う。コンピュータ610は、ディスプレイ等の表示手段を有する出力部と、マウスやキーボード等の入力部を備える。
ここで、本実施の形態の透過電子顕微鏡では、全体制御部609から送信される信号に従ってレンズ電源607、透過電子検出器制御部608、試料ホルダ制御部614、EDX検出器制御部616が各部分の制御を行う例について説明したが、これらは一つの制御部に統一されてもよいし、また、このほかにも各部分の動作を制御する制御部が含まれていてもよい。
電子銃601から放出された電子線602は、収束レンズ603を通って試料ホルダ本体部611に搭載された試料612に照射される。試料ホルダ本体部611には、図示しない試料メッシュ上に配置された試料612が搭載され、着脱可能な試料押さえ613を試料612の上から装着する。
ここで、試料押さえ613の構成については、本図においては詳細を省略しているが、図1を用いて後述する。
電子線602が試料612に照射されると、電子線602は試料612を透過する。透過した電子線612は対物レンズ604により結像され、投射レンズ605にて拡大される。
その後、投射レンズ605を通過した電子線602は透過電子検出器606によって検出される。透過電子検出器606は、透過電子検出器制御部608を介して検出された電子を信号として全体制御部609に送る。
全体制御部609は、受信した信号を画像に変換し、必要に応じて画像処理等を行う。その後、画像データはコンピュータ610の表示手段に表示される。
この透過電子像において、収束した電子線を利用してEDX分析時の位置指定を行うこともできる。
試料ホルダ本体部611及び試料ホルダ制御部614は、試料微動機構と傾斜機構を備える。この試料微動と傾斜機構の動作の調整により、試料を最適な分析条件となる位置に配置することができる。
図20は、試料ホルダの移動機構を示した斜視図である。X微動機構2001は、試料ホルダ制御部614の指示に基づいて試料ホルダ100の試料ホルダ本体部601をX方向に移動させる。Y微動機構2002は、試料ホルダ制御部614の指示に基づいて試料ホルダ100の試料ホルダ本体部601をY方向に移動させる。
EDX検出器615は、電子線602が試料612へ照射されることで発生する特性X線を検出し、EDX検出器制御部616に送信する。EDX検出器制御部616には、例えばアナライザ等が用いられ、受信した特性X線のエネルギー選別を行ったのち、信号として全体制御部609に送信する。全体制御部609は、受信した信号に基づいてEDXスペクトルを取得し、必要に応じてエネルギー補正処理、定量計算処理等のデータ処理を行う。その後、EDXスペクトルはコンピュータ610の表示手段に表示される。
図7は、本実施の形態に係る走査電子顕微鏡の構成図の例である。電子顕微鏡装置700は、電子銃701、収束レンズ703、レンズ電源707、全体制御部709、コンピュータ710、試料ホルダ本体部711、試料712、試料押さえ713、試料ホルダ制御部714、EDX検出器715、EDX検出器制御部716、走査電極718、走査電源719、二次電子/反射電子検出器720、二次電子/反射電子検出器制御部721を有する。
収束レンズ703は、レンズ電源707に接続され、レンズ電源707は全体制御部709に接続され、通信を行う。
二次電子/反射電子検出器720は、二次電子/透過電子検出器制御部721を介して全体制御部709に接続され、通信を行う。
EDX検出器715は、EDX検出器制御部616を介して全体制御部709に接続され、通信を行う。
試料ホルダ711は、試料ホルダ制御部714を介して全体制御部709に接続され、通信を行う。
走査電極718は、走査電源719を介して全体制御部709に接続され、通信を行う。
全体制御部709は、コンピュータ710と接続され、通信を行う。コンピュータ710は、ディスプレイ等の表示手段を有する出力部と、マウスやキーボード等の入力部を備える。
ここで、本実施の形態の走査電子顕微鏡では、全体制御部709から送信される信号に従ってレンズ電源707、二次電子/反射電子検出器制御部721、試料ホルダ制御部714、EDX検出器制御部716、走査電源719が各部分の制御を行う例について説明したが、これらは一つの制御部に統一されてもよいし、また、このほかにも各部分の動作を制御する制御部が含まれていてもよい。
電子銃701から放出された電子線702は収束レンズ703を通って試料ホルダ711本体部に搭載された試料712に照射される。走査電極718は、電子線702を試料上で走査する。試料ホルダ本体部711には試料712が搭載され、着脱可能な試料押さえ713を試料712の上から装着する。
ここで、試料押さえ713の構成については、本図においては詳細を省略しているが、図1を用いて後述する。
電子線701が試料712に照射されると、試料712からは二次電子や反射電子が放出される。二次電子や反射電子は、二次電子/反射電子検出器720によって検出されたのち、信号として二次電子/反射電子検出器制御部721に送られる。ここで、二次電子/反射電子検出器制御部721は信号増幅手段を有し、得られた信号を増幅処理したのちに、全体制御部709に送る。
全体制御部709は、受信した信号を画像に変換し、必要に応じて画像処理等を行う。その後、画像データはコンピュータ710の表示手段に表示される。
走査電子顕微鏡では試料面を走査した際に放出される二次電子や反射電子を用いるため、表示される画像は走査画像である。この走査画像を利用して、EDX分析時の位置指定を行うこともできる。また、走査電子顕微鏡に透過電子検出器を備え、走査透過電子顕微鏡画像を取得できるようにしてEDX分析時の位置を指定しても良い。
試料ホルダ本体部711及び試料ホルダ制御部714は、図示しない試料微動機構と傾斜機構を備える。この試料微動と傾斜機構の動作を調整により、試料を最適な分析条件となる位置に配置することができる。
ここで、図20において、X微動機構2001は、試料ホルダ制御部714の指示に基づいて試料ホルダ100の試料ホルダ本体部701をX方向に移動させる。Y微動機構2002は、試料ホルダ制御部714の指示に基づいて試料ホルダ100の試料ホルダ本体部701をY方向に移動させる。
EDX検出器715は、電子線702が試料712へ照射されることで発生する特性X線を検出し、EDX検出器制御部716に送信する。EDX検出器制御部716には、例えばアナライザ等が用いられ、受信した特性X線のエネルギー選別を行ったのち、信号として全体制御部709に送信する。全体制御部709は、受信した信号に基づいてEDXスペクトルを取得し、必要に応じてエネルギー補正処理、定量計算処理等のデータ処理を行う。その後、EDXスペクトルはコンピュータ710の表示手段に表示される。
透過電子顕微鏡では通常、薄膜試料を観察、分析するが、走査電子顕微鏡では薄膜以外にバルク試料も観察、分析する。バルク試料についても、試料を保持する部材にコリメーション機能を備えることでP/B比の向上を図ることが可能である。バルク試料を扱う場合の例については、実施例4において後述する。
[試料ホルダ]
図1は、本実施の形態に係る荷電粒子線装置の試料ホルダ、EDX検出器の外観を示す図である。
試料ホルダ100は、試料を搭載する試料ホルダ本体部101と、搭載後の試料を上部から固定する試料押さえ103と、から構成される。
試料押さえ103は、電子線106を入射させるための第1の孔107を、電子銃105と対向する面に有し、電子線照射によって試料から発生するX線のうち、目的の特性X線のみをEDX検出器へ導入するための第2の孔108を、側面に有している。すなわち、第2の孔108は、試料の内部を通過した特性X線を選択的に検出するための導入孔となる。ここで、第2の孔108は、1つのEDX検出器102に対して、少なくとも1つ以上必要となる。EDX検出器102が試料の上下左右に、複数存在する場合には、試料押さえ103には、それぞれの検出器に対応する第2の孔108を設ける。第1の孔107については、第2の孔108の数にかかわらず、1つあれば良い。第1の孔107は、直径が小さい方がよりP/B比向上が見込めるため、観察可能な視野範囲の大きさを考慮しつつ、可能な限り小さく設定することが望ましい。
なお、本図において説明した試料押さえ103は、図6における試料押さえ613、図7における試料押さえ713として適用することができる。
図5は、本実施の形態に係る試料ホルダと検出器との配置関係を上から見た図である。本図に示すように、検出器102の検出面は、試料ホルダ本体部101に設置された試料押さえ103が備える第2の孔108に対向するように配置される。本図では、EDX検出器102が1つの場合を示したが、複数の検出器を備える場合には、同様に、追加したEDX検出器102の検出面と対向する位置に第2の孔108を設けるように構成する。
図2は、試料押さえの取り付け時の様子を示す図である。試料押さえ103は、試料本体部101に対して着脱可能な構成を備え、使用時には本図に示すように試料本体部101の上方から嵌め込むようにして装着することができる。
図3は、試料から発生した散乱X線等を試料押さえによって遮蔽する様子を説明する図である。本図に示すように、電子銃105から放出された電子線106は、試料押さえ103が有する第1の孔107を通過して試料301に照射される。この照射によって試料301から種々の方向に発生したX線302のうち、試料押さえ103が有する第2の孔108を通過できた特性X線303のみが、EDX検出器102へ導かれ、第2の孔108を通過できなかったそれ以外の散乱X線は試料押さえ103によって遮蔽される。
上記の態様によれば、試料ホルダ100における試料押さえ103が備える構成により、試料により近い位置でコリメーションすることができるので、従来のEDX検出器102が備えるコリメータでは遮蔽できなかった散乱X線や反射電子の検出をもカットすることができる。
このため、P/B比が向上し、試料に含まれる微量元素の検出下限を改善できるようになる。
さらに、EDX検出器102にコリメータを設けている場合には、交換の際、その都度試料室を大気に開放する必要があった。しかし上記の態様によれば、試料ホルダ100を荷電粒子線装置から取り出して容易にコリメータを交換できるので、分析のスループットの向上にも寄与する。また、本実施の形態に係る試料押さえ103の遮蔽機構と、EDX検出器102のコリメータとを組み合わせて利用する場合にも、前者によって試料近くの散乱X線等を遮蔽できるので、結果として後者の交換頻度を低減することができる。
ここで、上記の態様における試料押さえ103の構造によれば、上述の通り試料により近い位置でコリメーションできることから、EDX検出器102が備えるコリメータだけでなく、投射レンズ系の絞りと比較しても、より効果的に散乱X線等をカットすることができる。
図4は、本実施の形態に係る試料押さえによる遮蔽効果を説明する図である。(a)は本発明の実施の形態に係る試料押さえを用いた様子、すなわち、試料押さえ側、EDX検出器側のそれぞれに備えた構造の組み合わせによって遮蔽を行う場合について示し、(b)は従来の試料押さえを用いた様子、すなわち、EDX検出器側に備えた構造によってのみ遮蔽を行う場合について示す。
試料ホルダ本体部101上に、試料301が配置され、上から試料押さえ103によって固定される。電子銃105から放出された電子線106が試料301に照射されると、試料301からは様々な方向にX線が発生する。
X線を検出するEDX検出器403は、EDX検出素子401とコリメータ402を有する。EDX検出素子401とコリメータ402の組み合わせのみによってコリメーションする場合には、(a)、(b)にて示した短破線により形成される角度範囲βが特性X線の検出対象領域となる。
ここで、(b)に示した従来型の試料押さえ405の役割は、単に試料を固定するのみであって、散乱X線等を遮蔽する効果に対しては一切寄与しない。一方、(a)に示した本発明の実施の形態に係る試料押さえ103では、上述したように電子線106が通過する第1の孔107の他に、目的の特性X線のみをEDX検出器403へ導入する第2の孔108を有している。この第2の孔108によって形成される特性X線の導入角度、すなわち、本図において長破線により形成される角度範囲αが特性X線の検出対象領域となるので、上述のEDX検出器403の構成のみによって遮蔽する場合の角度範囲βよりもより検出範囲を狭くすることができる。
このように、本実施の形態に係る試料押さえ103を用いた場合、試料301から発生した目的の特性X線以外の散乱X線や反射電子だけでなく、例えば対物レンズ404等、試料301以外の領域から発生される不要なX線等、これまでは遮蔽できなかった散乱X線の検出を防ぎ、より高いコリメーション効果を得ることができる。
また、本実施の形態に係る試料押さえ103は、EDX検出器403や、荷電粒子線装置内のレンズの交換等の大がかりな変更を伴わずに、単体で比較的簡単に交換することができる。よって、試料押さえ103の第2の孔108の径の大きさや、形状、傾斜角度等の条件を交換により変更することで、EDX分析時の検出立体角が調整可能となる。これにより、荷電粒子線装置本体やEDX検出器、またはその組み合わせを変更した場合にも、比較的簡単に、かつ低コストで分析の目的に合わせた条件設定が可能となる。
さらに、例えばEDX分析の対象となる試料の組成に応じて、試料押さえ103を構成する材質自体も変更可能である。例として、アルミニウム、カーボン、銅、ベリリウム、ジルコニウム等がある。試料押さえ103の材質は、EDXスペクトルにシステムピークとして現れる。そのため、分析条件に応じて、できるだけ試料に含まれている可能性のある材質以外のものを用いて構成された試料押さえ103を選択することができる。また、試料301中の成分のピークによるエネルギーと、試料押さえ103によるシステムピークのエネルギーとが近くならないように、適切な材質を選択することが望ましい。例えば、注目元素がS-Ka : 2.31keVの場合にはMo-La : 2.29keVの試料押さえ103は避けるように、それ以外の材質で構成される試料押さえ103を選択することができる。このほか、試料押さえ103の材質を試料ホルダ本体部101や不図示の試料台と同一のものにすることで、EDXスペクトルのシステムピークを最小限に抑えることもできる。
このように、試料押さえ103のみを簡単に装着、交換することが可能であるため、既存の荷電粒子線装置を用いたEDX分析にも容易に適用することができる。
[EDX分析]
本実施例では、上述の実施例1に係る試料押さえ103を適用した場合のP/B向上効果についてEDX分析結果を用いて説明する。図11は、NiOx薄膜試料から取得されるEDX分析結果のスペクトルの一例を示すグラフである。本グラフにおいて、横軸はエネルギー範囲、縦軸がピークの強度(カウント数)である。
EDXスペクトルのP/B比は,例えばFioriの式(1)〜(3)を用いて算出される。
P/B = 50×P/B500 ・・・式(1)
P = P1−B500 ・・・式(2)
B500 = (B1+B2)/2 ・・・式(3)
・P/B比(Peak to Background Ratio):ピークとバックグラウンドの比
・P1 ,P2 (Peak):Ni- Kαピーク、Ni- Kβピークを中心とした500 eVのエネルギー幅におけるカウント数の積算値
・B1, B2 (Background):図11のB1, B2それぞれのエネルギー幅におけるカウント数の積算値
・B500:B1とB2の平均値
ここで、Ni- Kαピークは、試料に入射した電子がNiのL殻→K殻に移動する際に検出される特性X線を示し、Ni- Kbピークは、試料に入射した電子がNiのM殻→K殻に移動する際に検出される特性X線を示す。
次に、図12は、本実施の形態に係る試料押さえ103を適用したEDX分析における試料傾斜角度とP/B比の関係を示すグラフである。同一の試料に対して、実施例1に係る遮蔽機構を備えた試料押さえ103を用いた場合と、当該機構を備えない(従来の)試料押さえを用いた場合とにおいて、それぞれEDX分析を行ってEDXスペクトルを取得し、上述した手法により求めたP/B比と、試料の傾斜角度の関係を本グラフにプロットした。本グラフにおいて、横軸が試料の傾斜角度、縦軸がP/B比である。
遮蔽機構を備えた試料押さえ103では、試料の傾斜角度を最適化することにより、P/B比が極大となる領域が示された。一方、当該機構を備えない試料押さえ405では、試料傾斜角度の変化によるP/B比への影響は小さいことがわかる。また、遮蔽機構を備えた試料押さえ103では、当該機構を備えない試料押さえ405と比較して、P/B比が極大領域で3割程度改善することがわかった。
この結果から、試料ホルダの構成を変えずに、実施例1に係る試料押さえ103を適用するのみでP/B比の大幅な改善が可能であることが確認された。
図13は、最適なEDX分析条件を設定するための試料傾斜角度の調整手順の例を示すフローチャートである。まず、実施例1に係る試料押さえ103を、試料を搭載した試料ホルダ本体部101に装着し、試料を傾斜しながら、電子線106を試料に照射して連続的にEDXスペクトルを取得する(S1301)。次に、得られたEDXスペクトルから、試料中の目的とする構成元素に対してP/B比を求め、試料傾斜角度との関係を示すグラフを作成する(S1302)。そして、作成したグラフに基づき、極大値が示された試料傾斜角度へ再度移動し(S1303)、点、線、面、定量、相分析といった目的のEDX分析を実施する(S1304)。最適分析条件を決定するにあたり、コンタミネーションや電子線ダメージが顕著な試料においては、分析希望領域の近傍で最適試料傾斜角度を求めたのちに、目的のEDX分析を実施するようにしても良い。試料の傾斜角度の間隔は、試料ステージの精度に依存するものの、試料ステージの最小ステップにて行うことが望ましい。しかし、この場合測定時間が長くなるので、所定の分析時間内において、EDXスペクトルを数秒間隔で取得しながら、試料を連続的に傾斜することで、大まかなP/B比の変化を把握しても良い。その後、P/B比の高い角度範囲において、より細かな傾斜角度の間隔で、かつより長いEDXスペクトル取得時間で再測定することで正確な極大座標を求めることもできる。
上記の説明では、試料の傾斜とP/B比との関係について述べたが、試料形状やステージ座標の水平(X軸)、垂直(Y軸)、高さ(Z軸)、など、種々のパラメータの変化によってP/B比は変化するため、必要に応じて、試料ステージの微動機構等を用いて試料押さえ103の位置を微調整してもよい。
図14は、最適なEDX分析条件を設定するための試料ステージの各軸を調整手順の例を示すフローチャートである。
まず、実施例1に係る試料押さえ103を、試料を搭載した試料ホルダ本体部101に装着し、試料ステージのX、Y、Z軸及び傾斜軸をそれぞれ変化させながら試料を傾斜しながら、電子線106を試料に照射して連続的にEDXスペクトルを取得する(S1401)。次に、得られたEDXスペクトルから、試料中の目的とする構成元素に対してP/B比を求め、試料ステージ座標との関係を示すグラフを作成する(S1402)。そして、作成したグラフに基づき、極大値が示された試料ステージ座標へ再度移動し(S1403)、点、線、面、定量、相分析といった目的のEDX分析を実施する(S1404)。
上述の図13において示した例と同様に、最適分析条件を決定するにあたり、コンタミネーションや電子線ダメージが顕著な試料においては、分析希望領域の近傍で最適な試料ステージ座標を求めたのちに、目的のEDX分析を実施するようにしても良い。また、試料ステージ座標を変化させる間隔は、試料ステージの精度に依存するものの、試料ステージの最小ステップにて行うことが望ましい。しかし、この場合測定時間が長くなるので、所定の分析時間内において、EDXスペクトルを数秒間隔で取得しながら、試料ステージを連続的に移動することで、大まかなP/B比の変化を把握しても良い。その後、P/B比の高い角度範囲において、より細かな試料ステージの座標間隔で、かつより長いEDXスペクトル取得時間で再測定することで正確な極大座標を求めることもできる。
図15は、電子顕微鏡等の荷電粒子線装置を制御する制御ソフトウェアのStage control(試料ステージ座標制御)ウインドウの例である。Stage controlウインドウ1501は、試料の現在位置や、記憶された位置、軌跡などを表示する移動範囲表示部1502と、現在位置の位置情報(Specimen position)を表示する位置情報表示部1503からなる。移動範囲表示部1502には、試料ホルダ本体部101と試料押さえ103の組み合わせによって変化する観察可能範囲1504を表示できるようにする。また、観察可能範囲1504内には、EDX分析に適した座標範囲1505も表示できるようにする。
図16は、良好なEDXスペクトルを取得するためのFIB装置(Focused Ion Beam、以下単にFIBという)を用いた試料作製方法の一例を示す図である。FIBのマイクロサンプリング等により、(1)に示すような試料台1601に試料を固定する方法では、例えば(2)に点線丸で示すように、EDX分析に適した、試料台の中心及びその周辺の座標範囲1602内に収まるように試料1603を固定する。試料1603を固定する際には、(3)に示すように試料台1601に試料1603をマニピュレータ1604で運搬し、固定する。
電子顕微鏡やFIB、イオン顕微鏡等の荷電粒子線装置内にマニピュレータを組み込んで試料作製、試料運搬等する際には、図17に示すように、制御ソフトウェアのStage control(試料ステージ座標制御)ウインドウ1701の移動範囲表示部1702にEDX分析に適した試料固定位置の座標範囲1704を表示する。ウインドウ1701は、現在位置の位置情報を表示する位置情報表示部1703を有する。一方、マニピュレータ等を用いず、バルク状の試料の断面加工や薄膜化を実施する際には、加工位置がEDX分析に適した座標範囲1704に入るようにすればよい。
図18は、複数の電子顕微鏡装置、あるいは複数の試料ホルダを選択、交換してEDX分析を行う場合の操作手順を示すフローチャートである。まず、EDX分析を行う電子顕微鏡装置を選択する(S1801)。次に、選択した電子顕微鏡装置の試料ステージに導入する試料ホルダ100の種類を選択する(S1802)。そして、選択した試料ホルダ100の試料ホルダ本体部101に装着する試料押さえ103の種類を選択する(S1803)。ここで、試料ホルダ100、試料押さえ103の選択は、上述の試料ステージ制御ソフトウェアを通じて制御部に指示することで実行できる。次に、試料ステージの座標領域を、ウィンドウ上に表示させ(S1804)、EDX分析の対象となる領域に移動させる(S1805)。ここで、EDX分析の対象領域のうち、特に分析に適した領域について、予め標準試料等を用いて実験によって求めるか、シミュレーション等を用いて求めておくこともできる。試料ステージを移動後、目的のEDX分析を実施する(S1806)。
図19は、同一の試料、及び同一の試料ホルダを用いて、複数の電子顕微鏡装置あるいはEDX検出器でEDX分析を行う場合の操作手順を示すフローチャートである。まず、EDX分析を行う電子顕微鏡装置を選択する(S1901)。次に、選択した電子顕微鏡装置の試料ステージに導入する試料ホルダ100の種類を選択する(S1902)。そして、選択した試料ホルダ100の試料ホルダ本体部101に装着する試料押さえ103の種類を選択する(S1903)。ここで、試料ホルダ100、試料押さえ103の選択は、上述の試料ステージ制御ソフトウェアを通じて制御部に指示することで実行できる。次に、試料ステージの座標領域を、ウィンドウ上に表示させ(S1904)、EDX分析の対象となる領域に移動させる(S1905)。試料ステージを移動後、目的のEDX分析を実施する(S1906)。その後、別の電子顕微鏡装置でEDX分析を実施するかどうか判断する(S1907)。実施しない場合には終了となり、実施する場合には分析を実施した電子顕微鏡装置から試料ホルダ100を取り外し、分析後の試料押さえ103を、次のEDX分析に使用する電子顕微鏡用のものと交換する(S1908)。その後、次にEDX分析を行う電子顕微鏡装置に試料ホルダ100を挿入し、同様にEDX分析を繰り返し実施する。
この手順において、EDX分析に適したステージ座標領域は、電子顕微鏡装置の対物レンズ形状、EDX検出器の素子等、種々の条件によって異なるため、標準試料などを用いて、予め各組み合わせにおいて実験を行うことによって求めるか、あるいはシミュレーション等を用いて求めても良い。このように、試料押さえ103を、それぞれの電子顕微鏡装置とEDX検出器の組み合わせに合わせて複数種類準備しておくことで、異なる装置で分析する際にも、試料押さえ103の簡単な交換動作のみで、最適なEDX分析を行うことができるようになる。
また、EDX分析に限らず、例えばFIBでの試料作製や電子顕微鏡での観察あるいは分析等の際に、目的に応じて様々な形状、材質の試料押さえ103を準備し、交換できるようにしておくことで、簡単に観察視野径や試料傾斜制限、試料に対する電子/イオンビーム入射方向の制限範囲などそれぞれのプロセスに応じた条件を最適化できる。
本実施例で述べたEDX検出器は、SDD以外にも適用でき、例えばSi(Li)検出器などにも効果がある。EDX検出器の検出立体角に応じて、試料押さえ103の形状を変更することで、最適なEDXスペクトルを取得できる。
また、上述の実施の形態では、X線分析についての適用例を説明したが、例えばカソードルミネッセンス(CL : Cathodoluminescence)などの真空中で試料へ電子線を照射した際に放出される光の分析などへも応用が期待できる。
上述の実施例では、試料押さえが散乱X線等の遮蔽機構を備える構成について説明した。本実施例では、さらに、上述の遮蔽機構に加えて、試料に対する不要な電子線の照射を抑制する機構を備えた試料押さえの構成について説明する。
図8は、実施例3に係る試料押さえの構成を示す図である。実施例1とは、試料押さえ103の有する第1の孔107に傾斜を持たせず、かつ径を小さくするように構成している点で異なる。このように構成することにより、本図に示すように不要な電子線801は試料押さえ103によってブロックされ、試料301に照射されることがなくなる。試料により近い位置で、不要な電子線801の照射を制限できるので、上述の遮蔽効果に加えて、同時に照射レンズ系の絞りとしての効果も得ることができる。
本実施例では、バルク試料を取り扱う場合の変形例について説明する。図9は、実施例4に係る試料ホールド部材の構成を示す図である。本図に示すように、バルク試料901は、上述の実施例における試料押さえ103に代えて、試料ホールド部材902によって固定される。試料ホールド部材902は、バルク試料901全体を覆うように構成され、電子線106を入射させるための第1の孔903を、電子銃105と対向する面に有し、電子線照射によってバルク試料901から発生する散乱X線等を遮蔽するための第2の孔904を、側面に有している。第2の孔904は、バルク試料902から発生した特性X線を選択的に検出するための導入孔となる。
上述の実施例では、主に試料を固定する部材に散乱X線等の遮蔽機構を備える構成について説明した。本実施例では、試料ホルダ本体部に当該機構を備える構成について説明する。図10は、遮蔽機構を備える試料ホルダ本体部101の構成を示す図である。試料ホルダ本体部101は、電子線106を入射させるための第1の孔1001を、電子銃105と対向する面に有し、電子線照射によって試料から発生する散乱X線等を遮蔽するための第2の孔1002を、側面に有している。すなわち、第2の孔1002は、試料の内部を通過した特性X線を選択的にEDX検出器102により検出させるための導入孔となる。
ところで、EDX分析においては、より高いスループットが要求される場合がある。本実施例では、上述の実施例における遮蔽機構を備えた試料押さえ103に代えて、試料301の一部のみを固定する構成を備える試料押さえ2101について説明する。図21は、本実施例に係る試料押さえの構成を示す図である。本図に示す構成によれば、試料301は一部のみ試料押さえ2101により固定されている。すなわち、試料押さえ2101にて試料301から発生するX線2102がカットされないように、EDX検出器102側の部分を削除している。このため、電子銃105から放出された電子線106が試料301に照射されることで発生したX線2102は、試料押さえ2101に遮蔽されることなく、EDX検出器102に向かって進行する。
より高いスループットを実現する試料押さえの構成について説明する。
上記の態様によれば、実施例1において説明した試料押さえ103を用いたEDX分析と比較してP/B比は低くなるが、カウント毎秒(Counts per second : CPS)の向上が見込めるため、分析対象試料の大まかな組成の高速分析が可能となる。また、EDXスペクトルに対する試料傾斜の影響が小さいため、電子線入射軸に傾斜を合わせる必要のある結晶性試料などにも有効である。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆どすべての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
100・・・試料ホルダ
101・・・試料ホルダ本体部
102・・・EDX検出器
103・・・試料押さえ
105・・・電子銃
106・・・電子線
107・・・(試料押さえの)第1の孔
108・・・(試料押さえの)第2の孔
301・・・試料
302・・・試料から発生したX線
303・・・特性X線
401・・・EDX検出器
402・・・コリメータ(EDX検出器側)
403・・・EDX検出器
404・・・対物レンズ
405・・・従来型の試料押さえ
600・・・電子顕微鏡装置
601・・・電子銃
602・・・電子線
603・・・収束レンズ
604・・・対物レンズ
605・・・投射レンズ
606・・・透過電子検出器
607・・・レンズ電源
608・・・透過電子検出器制御器
609・・・全体制御部
610・・・コンピュータ
611・・・試料ホルダ本体部
612・・・試料
613・・・試料押さえ
614・・・試料ホルダ制御部
615・・・EDX検出器
616・・・EDX検出器制御部
700・・・電子顕微鏡装置
701・・・電子銃
702・・・電子線
703・・・収束レンズ
707・・・レンズ電源
709・・・全体制御部
710・・・コンピュータ
711・・・試料ホルダ本体部
712・・・試料
713・・・試料押さえ
714・・・試料ホルダ制御部
715・・・EDX検出器
716・・・EDX検出器制御部
718・・・走査電極
719・・・走査電源
720・・・二次電子/反射電子検出器
721・・・二次電子/反射電子検出器制御部
801・・・不要な電子線
901・・・バルク試料
902・・・試料ホールド試料
903・・・(試料ホールド部材の)第1の孔
904・・・(試料ホールド部材の)第2の孔
1001・・・(試料ホルダの)第1の孔
1002・・・(試料ホルダの)第2の孔
1501・・・Stage controlウィンドウ
1502・・・移動範囲表示部
1503・・・位置情報表示部
1504・・・観察可能範囲
1505・・・EDX分析に適した座標範囲
1601・・・試料台
1602・・・EDX分析に適した座標範囲
1603・・・試料
1604・・・マニピュレータ
1701・・・Stage controlウィンドウ
1702・・・移動範囲表示部
1703・・・位置情報表示部
1704・・・EDX分析に適した座標範囲
2001・・・X微動機構
2002・・・Y微動機構
2101・・・試料押さえ
2102・・・X線

Claims (15)

  1. 試料に照射する荷電粒子線を発生させる荷電粒子源と、
    当該荷電粒子線の照射により前記試料から発生した信号を検出する検出器と、を備えた荷電粒子線装置に挿入される試料ホルダであって、
    前記試料を保持する本体部と、
    前記本体部に着脱自在に設けられ、当該本体部に取り付けられることによって、当該本体部に保持された試料を固定する試料押さえ部と、を有し、
    前記試料押さえ部は、
    前記荷電粒子源と対向する面に設けられ、前記荷電粒子線を通過させるための第1の孔と、
    前記検出器と対向する面に設けられ、前記試料から発生する信号のうち、特定の信号のみを前記検出器へ導入する第2の孔と、を有することを特徴とする試料ホルダ。
  2. 請求項1に記載された試料ホルダであって、
    前記第2の孔は、
    前記試料から発生する信号のうち、特定の範囲の角度に進行する信号のみを前記検出器へ導入するように形成されることを特徴とする試料ホルダ。
  3. 請求項1に記載された試料ホルダであって、
    前記第2の孔は、
    前記検出器と対向する面から、当該本体部に配置された試料に近づくにつれて径が小さくなるように形成されることを特徴とする試料ホルダ。
  4. 請求項1に記載された試料ホルダであって、
    前記第2の孔は、
    前記検出器と対向する面から、当該本体部に配置された試料に近づくにつれて下り勾配を形成するように設けられることを特徴とする試料ホルダ。
  5. 請求項1に記載された試料ホルダであって、
    前記検出器は、当該荷電粒子線の照射により前記試料から発生したX線を検出するエネルギー分散型X線検出器であることを特徴とする試料ホルダ。
  6. 請求項5に記載された試料ホルダであって、
    前記検出器は、シリコンドリフト検出器であることを特徴とする試料ホルダ。
  7. 請求項1に記載された試料ホルダであって、
    前記試料押さえ部は、
    前記第2の孔を複数有することを特徴とする試料ホルダ。
  8. 試料を保持する試料ホルダと、
    前記試料に照射する荷電粒子線を発生させる荷電粒子源と、
    当該荷電粒子線の照射により前記試料から発生した信号を検出する検出器と、を備えた荷電粒子線装置であって、
    前記試料ホルダは、
    前記試料が配置される本体部と、
    前記本体部に着脱自在に設けられ、当該本体部に取り付けられることによって、当該本体部に配置された試料を固定する試料押さえ部と、を有し、
    前記試料押さえ部は、
    前記荷電粒子源と対向する面に設けられ、前記荷電粒子線を通過させるための第1の孔と、
    前記検出器と対向する面に設けられ、前記試料から発生する信号のうち、特定の信号のみを前記検出器へ導入する第2の孔と、を有することを特徴とする荷電粒子線装置。
  9. 請求項8に記載された荷電粒子線装置であって、
    前記第2の孔は、
    前記試料から発生する信号のうち、特定の範囲の角度に進行する信号のみを前記検出器へ導入するように形成されることを特徴とする荷電粒子線装置。
  10. 請求項8に記載された荷電粒子線装置であって、
    前記第2の孔は、
    前記検出器と対向する面から、当該本体部に配置された試料に近づくにつれて径が小さくなるように形成されることを特徴とする荷電粒子線装置。
  11. 請求項8に記載された荷電粒子線装置であって、
    前記第2の孔は、
    前記検出器と対向する面から、当該本体部に配置された試料に近づくにつれて下り勾配を形成するように設けられることを特徴とする荷電粒子線装置。
  12. 請求項11に記載された荷電粒子線装置であって、
    前記検出器は、当該荷電粒子線の照射により前記試料から発生したX線を検出するEDX検出器であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  13. 請求項12に記載された荷電粒子線装置であって、
    前記検出器は、シリコンドリフト検出器であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  14. 請求項8に記載された荷電粒子線装置であって、
    前記試料押さえ部は、
    前記第2の孔を複数有することを特徴とする荷電粒子線装置。
  15. 請求項8に記載された荷電粒子線装置であって、
    前記試料ホルダを傾斜する試料ホルダ傾斜部と、
    前記ホルダ傾斜部を制御する制御部と、をさらに備え、
    前記制御部は、
    当該検出器に検出される信号のピーク/バックグラウンド比が最大となる傾斜角度となるように前記試料ホルダ傾斜部の動作を制御することを特徴とする荷電粒子線装置。
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