JPH08222172A - 電子顕微鏡 - Google Patents

電子顕微鏡

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JPH08222172A
JPH08222172A JP7027878A JP2787895A JPH08222172A JP H08222172 A JPH08222172 A JP H08222172A JP 7027878 A JP7027878 A JP 7027878A JP 2787895 A JP2787895 A JP 2787895A JP H08222172 A JPH08222172 A JP H08222172A
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JP
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ray
sample
electron microscope
rays
detecting
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JP7027878A
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English (en)
Inventor
Isao Ochiai
勲 落合
Masanari Takaguchi
雅成 高口
Juichi Shimada
寿一 嶋田
Katsuhiro Kuroda
勝広 黒田
Kimio Kanda
公生 神田
Teiji Katsuta
禎治 勝田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】表面に凹凸がある場合でも、元素の濃度分布を
正確に計測でき、かつ、表面の凹凸に関する情報が得ら
れ、かつ、検出感度の高い電子顕微鏡を提供する。 【構成】複数個のX線検出素子103を用い、異なる複
数個の検出取り出し角で試料2からの特性X線を検出
し、さらに、各X線検出素子からの信号量を、独立によ
びだし、加算,微分等の演算を行う手段を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子線を試料に照射し
て、試料から発生するX線を分析する装置を備えた電子
顕微鏡に係り、特に、高感度で、元素分析と形状分析を
同時に達成するのに好適な電子顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】試料表面に電子線を照射すると、電子と
物質の相互作用により、試料表面から、二次電子,反射
電子,X線が発生する。試料表面を電子線で走査し、二
次電子を検出することにより、電子像を得ることができ
る。さらに、試料から発生するX線には、試料を構成す
る原子の原子核の周りにある束縛電子が照射電子線によ
りはじき飛ばされて生じた励起状態に、外殻の電子が落
ち込むことにより発生する特性X線とよばれるものと、
照射電子が原子核のそばを通るときに、原子核からのク
ーロン力により曲げられて発生する制動X線とよばれる
ものがある。このうち、特性X線は、原子に特有なエネ
ルギ値を持っているので、試料からのX線を測定し、特
性X線のエネルギと強度を検出することにより、試料の
元素分析を行うことができる。X線の検出には、試料か
らのX線を結晶などにより分光して検出する波長分散型
検出法と、直接、半導体X線検出素子にX線を導入し波
高分析をして検出するエネルギ分散型検出法がある。
【0003】エネルギ分散型検出法の装置としては、図
9に示すように、試料室からの汚染,反射電子による衝
撃,可視光の影響を除去するためX線透過窓104と、
迷光X線の影響を低減するためのコリメータ107を備
えた容器108に格納された面積10から50mm2 の円
形の検出領域を持った半導体X線検出素子103を試料
2の上方の横側から設置して、試料2からの特性X線7
を検出するものがある。偏向コイル202により試料2
の表面を走査することにより、試料表面の二次元元素マ
ッピングが得られるものが知られている。
【0004】半導体X線検出素子103はエネルギ分解
能を上げるために、液体窒素槽101に入れた液体窒素1
02により冷却されている。検出感度を上げるには検出
立体角を大きくとる必要があり、検出器を試料になるべ
く近接して配置する方法が知られているが、電子線1を
試料2に細く絞って照射し走査するための、集束レンズ
(図示せず),偏向コイル202,対物レンズ201の
ために、試料室は狭く、上記の大きさの検出素子を試料
に近接できる距離に制約があり、検出立体角は0.05
から0.1ステラジアン程度が限界であった。
【0005】検出取り出し角11は60度程度、検出取
り出し角の広がり12は10から20度程度のものが知
られている。このため、特開昭55−3129号明細書に述べ
られているように、環状のX線検出素子を用い、その検
出素子の内側を電子線が通過するように試料の近傍に配
置する方法もある。この方法では、検出取り出し角が大
きいため、試料を水平に保った状態でX線を検出するこ
とが可能で、また、X線検出立体角も大きくできる。こ
こで取り出し角とは電子線に垂直な試料面となす角度で
ある。また、通常の装置では、検出素子は1台であるの
が普通であるが、特開平3−246862 号公報に記載のX線
検出装置では、X線の検出立体角を大きく取るために、
2個設置したものが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のいずれの方法で
も、検出取り出し角の広がりが大きく、特に、試料の表
面に凹凸がある場合や、試料の元素濃度分布が大きく変
化している場合には、後述するように、元素の濃度分布
を正確に計測できないという問題があった。
【0007】本発明の目的は、上記のような場合でも、
元素の濃度分布をより正確に計測でき、かつ、表面の凹
凸に関する情報が得られ、かつ、検出感度の高い電子顕
微鏡を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、複数個のX線検出素子を用い、異なる
検出取り出し角でかつ、狭い検出取り出し角広がりで試
料からの特性X線を検出し、さらに、各X線検出素子か
らの信号量を、独立によびだすことは勿論、加算,微分
等の演算が可能な信号収集装置を備える。これにより、
表面に凹凸がある場合や、試料の元素濃度分布が大きく
変化している場合でも、元素の濃度分布を従来より正確
に計測でき、かつ、表面の凹凸に関する情報が得られ、
さらに、検出感度を高くすることが可能となる。
【0009】
【作用】本発明の作用を図2,図3,図4で説明する。
図2は凹凸のある試料での従来装置におけるX線検出を
示す基本構成図、図3は凹凸のある試料での本発明の作
用を説明する基本構成図、図4は検出される特性X線強
度の電子線走査による変化を示した図である。
【0010】まず、従来装置におけるX線検出の問題点
を図2により説明する。図2に示したように幅1μm,
深さ1μmの凹み5をもち、一様な濃度分布でリンが微
量に含まれたシリコン試料2を用い、電子線1は数nm
以下に絞られて凹みの底に照射されているものとする。
試料2に電子線1を照射して発生するX線をX線検出素
子20で検出するものとする。検出取り出し角11は6
0度、検出取り出し角の広がり12は20度とする。
【0011】試料に電子線1を照射すると一般的に、試
料内で多重散乱を受け、図2に示すように水滴状の領域
301に広がる。エネルギ10keVの電子線の場合、
領域の大きさは試料に依存するがシリコン試料で約1μ
mである。説明を簡単にするために、放射されるX線は
水滴状の領域の中心から出るものとする。試料2に電子
線1を照射して発生するX線としてシリコンおよびリン
の特性X線であるエネルギ1.74keVのシリコンK
アルファ線とエネルギ2.013keVのリンKアルフ
ァ線を考える。試料2からのX線は最初は等方的に放射
されるが、検出素子に到達する経路に吸収するものがあ
れば、それにより分布が変化する。吸収体のある経路の
長さをL(μm),吸収体のX線吸収係数をM(/μm)と
すると、X線強度の変化I(L)/I(0)は数1で表され
る。
【0012】
【数1】 I(L)/I(0)=exp(−ML) …(数1) ここで、I(0)はL=0のときのX線強度である。
【0013】シリコンのシリコンKアルファ線,リンK
アルファ線に対するX線吸収係数M(Si),M(P)
はそれぞれ、0.08/μm,0,7/μmである。従っ
て、観測されるリンKアルファ線I(L,P)とシリコン
Kアルファ線I(L,Si)の強度比Rは数2で表され
る。
【0014】
【数2】 R=I(L,P)/I(L,Si) =I(0,P)/I(0,Si)*exp(−(M(P)−M(Si))*L) …(数2) 試料2の電子線照射点からX線検出素子20に入るX線
のうち、光路51と52を通るX線における強度比Rを
比較すると、吸収体のある経路の長さが異なるため、約
50%も強度比Rが異なっている。従来の方法では、こ
の様に本来の強度比とは大きく異なった強度比からなる
X線を一つの検出素子20に取り込んでいるため、得ら
れる元素濃度比は正確ではなかった。
【0015】次に、図3,図4を用いて本発明の作用を
説明する。本発明では図3に例示するように、X線取り
出し角の異なる複数個のX線検出素子21,22,2
3,24,25,26が配置されている。X線検出素子
21−26は、電子線の走査方向と平行に並び、それぞ
れの検出面は、試料の電子線照射点とX線検出素子の中
心を結ぶ直線に対してほぼ垂直となっており、これによ
り、X線検出素子の検出立体角が最大となっている。さ
らに、各X線検出素子からの信号を独立に処理ができる
信号処理装置(図示せず)を配置してある。
【0016】この様に複数個のX線取り出し角の異なる
X線検出素子を配置することにより、各検出素子のX線
取り出し角広がりを小さくして、吸収体のある経路の長
さの差を小さくしている。各X線検出素子で得られる特
性X線の強度比をそれぞれ求め、各検出素子ごとに吸収
体の経路長補正を行ってから、各検出素子からの信号の
和をとることにより、元素分析を行う。これにより、従
来問題であった検出取り出し角広がりによる誤差を小さ
くでき、元素濃度が従来より正確に求められ、また、全
体としての検出立体角を増やすことができるので、検出
感度を上げることが可能となる。
【0017】電子線1を試料2の表面で走査した場合
に、各X線検出素子で得られる試料2の主成分元素であ
るシリコン元素のKアルファ特性X線の強度変化を図4
(b),(c),(d),(e)に示した。図3の試料2は凹
凸形状と取り出し角の関係を判り易くするために検出素
子の大きさや試料とX線検出素子の距離に比べて大きく
拡大して示してあり、実際に走査している範囲は小さ
く、X線検出素子と電子線照射点の位置関係のずれは無
視できるほど小さい。図4に示した横軸は電子線の照射
位置である。図4(b)がX線検出素子21,(c)が
X線検出素子23,(d)がX線検出素子24,(e)
がX線検出素子26に対応する。
【0018】前述のように、試料に照射された電子線は
多重散乱を受けて、試料内で約1μmの大きさに拡散す
るが、電子線1のもともとのビーム径は約1nmと試料
表面の形状の変化する寸法と比較して十分小さく、ま
た、試料表面の形状が変化している個所の前後では吸収
体のある経路の長さが急に変化するため、特性X線強度
も試料表面の形状変化を反映して、どの検出素子につい
ても同じ位置で急な変化を示す。さらに、X線検出素子
によって特性X線強度の変化する位置が異なる部分があ
るのは、X線取り出し角が異なるので、X線を取り出す
軸が孔の表面側の縁、底側の縁と交わる時の照射位置が
異なるためである。
【0019】このように、二次電子像などにより試料の
表面形状があらかじめわかっていることが必要である
が、検出取り出し角の異なる複数のX線検出素子で得ら
れる特性X線信号から電子線を走査している位置を正確
に同定できる。
【0020】また、本発明の効果は、表面の凹凸による
透過距離の差を用いているので、X線検出素子は、すべ
て、試料に対し、電子線の照射する側に配置するのが効
果的である。
【0021】また、従来用いられていた円形の検出素子
では、検出立体角が小さくなってしまうので、図3にお
いて、紙面に平行方向に短く、垂直な方向に長い、長方
形の検出面を持ったX線検出素子を用いるとよい。さら
に、電子線の走査方向と垂直な平面内で複数のX線取り
出し角でX線を検出すれば、電子線の走査方向と垂直な
方向の表面形状に関する情報が得られる。
【0022】試料内に組成比の変化がある場合、特定元
素の特性X線強度は変化するが、試料が平坦な場合に
は、特性X線強度の変化の仕方はX線取り出し角に依存
しない。すなわち、従来の方式では、一つの取り出し角
のみでしか計測していないために、特性X線強度の変化
が、元素濃度の変化によるものか、表面形状の変化によ
るものか判別できなかったが、異なる複数のX線の取り
出し角度での特性X線強度の変化を比較することによ
り、区別が可能となる。
【0023】次に、試料表面の元素濃度分布が大きく変
化している場合の一例を図5に示す。図5は、図3と同
じ断面形状(図5(a))を持ち、シリコンが主成分で
ある部分601と、アルミニウムが主成分である部分6
02を持つ試料で得られた各X線検出素子の特性X線強
度変化を示したものである。X線検出素子21,23,
24,26で得られるシリコンKアルファ線の強度変化
をそれぞれ図5(b),(c),(d),(e)に示した。ま
た、X線検出素子21,22,23,24で得られるア
ルミニウムKアルファ線の強度変化をそれぞれ図5
(b)′,(c)′,(d)′,(e)′に示した。
【0024】試料が1元素の組成のときには、左右対称
の位置にある検出素子で得られるシリコンKアルファ特
性X線強度の変化は、図4(b)と(e),図4(c)
と(d)に示したように、互いに対称になっているが、
図5(a)の試料では、図5(b)と図5(e),図5
(c)と図5(d)からわかるように、凹み5の底での
変化が、互いに対称になっていない。これは、左側から
見ている検出素子21,23は、シリコン中を透過して
くる特性X線を見ているのに対して、右側から見ている
検出素子24,26は、一部アルミニウム中を透過して
くる特性X線を見ているという違いがあるためである。
この場合には、シリコンKアルファ特性X線のエネルギ
がアルミニウムの吸収端のエネルギより大きいところに
あるので、アルミニウムによる吸収の影響が大きく観測
される。本特許では、このように試料表面の元素濃度分
布が大きく変化している場合についても、各X線検出素
子からの信号を補正して和を取るので従来と比較して正
確な濃度分布を得ることが可能となる。
【0025】試料表面に凹凸がない場合についても、X
線取り出し角の違いによる吸収体の長さ補正をして各検
出素子からの信号を加算するのでより正確な元素濃度比
が求められる。
【0026】以上、複数個のX線検出素子の感度はすべ
て同じであるとして述べてきたが、実際には、コリメー
タの形状誤差や、X線検出素子の形状誤差,電気信号と
して取り出すための前置増幅器や主増幅器の増幅率のば
らつきにより、感度は同じではない。このため、本発明
では、各検出素子ごとに、記憶格納装置を用意し、信号
情報を独立に蓄えている。この信号情報を演算装置で処
理して、見かけ上感度が同じになるようにしている。こ
れにより、感度調整にかかる時間を短縮でき、また、感
度のそろったX線検出素子を選ぶ必要もなく、安価に装
置を組むことが可能となる。
【0027】さらに、元素分析の感度については、複数
個のX線検出素子からの信号をすべて加算して求めるこ
とにより、1個のX線検出素子の場合と比較してX線検
出素子の数の平方根倍良い感度が得られる。
【0028】本実施例によれば、表面に凹凸がある場合
や元素濃度分布が大きく変化している場合でも、元素の
濃度分布を正確に計測でき、かつ、表面の凹凸に関する
情報が得られ、かつ、検出感度を高くすることが可能と
なる。
【0029】
【実施例】以下、本発明による一実施例を図1と図6と
図7を用いて説明する。図1は本発明を実現する電子顕
微鏡で、集束レンズ201と対物レンズポールピース20
5により電子線1は、約1nmの大きさに絞られて、試
料2に照射されるようになっている。集束レンズ201
の上方に設置してある偏向コイル(図示せず)により、
紙面と平行方向に試料2の表面を電子線1で走査するこ
とができる。また、図1にはX線検出装置30の先端部
を示した。すなわち、対物レンズポールピース205と
集束レンズ201の間には、本発明の特徴である複数個
のX線検出素子103をもつX線検出装置30が配置さ
れている。
【0030】X線検出素子と試料の間には電子線の裾の
電子と集束レンズの付近にあるレンズ絞りで散乱した電
子により試料の周りで発生するX線、及び、試料からの
後方散乱電子により、対物レンズのポールピース205
からのX線から構成される迷光X線を減らすためにコリ
メータ107が配置されている。コリメータ107,X
線透過窓104を通ってきた試料2からのX線をX線検
出素子103で検出している。
【0031】本実施例では、4個のX線検出素子103
を用いている。これらは電子線1に対して、左右対称に
配置してあり、X線取り出し角は、55度,67度であ
る。1個のX線検出素子103の検出面の大きさは縦4
mm横9mmの長方形で、試料2からの距離を遠くしない
で、複数のX線取り出し角で検出可能になるように、短
い方の辺を紙面の方向になるように配置している。試料
2から検出面までの距離は、X線取り出し角が55度の
ものが25mm,X線取り出し角が67度のものが21.
5mm で、検出立体角は、それぞれ、約0.05,0,0
7ステラジアンである。
【0032】X線透過窓104は、押えフランジ40
2,押えねじ403,ボルト401,Oリング404に
より、格納容器108に固定されており、交換可能とな
っている。X線検出素子103は電界効果トランジスタ
105とともに液体窒素溜め(図示せず)につながった
冷却棒106′に連結した冷却板106に固定され、冷
却される。電界効果トランジスタ105は、X線検出素
子103からの電気信号を低雑音で、増幅するためのも
のである。冷却板106はX線検出素子103の検出面
が試料2上の電子線照射点と検出面の中心を結ぶ線に対
して垂直になり、かつ、X線検出素子103を実装した
ときの厚みが薄くなり、かつ、試料からX線検出素子1
03までの距離が短くなるように、段差形状となってい
る。実装したときの厚さを薄くしているのは、対物レン
ズポールピース205と集束レンズ201の間の利用で
きる空間が限られているためである。
【0033】また試料2の交換などで電子顕微鏡の中が
大気になっても、冷却されたX線検出素子103に氷が
付着しないように、X線検出素子103はステンレス製
の真空容器108に格納されて常時高真空に保たれてい
る。真空容器108は、X線遮蔽カバー109で覆われ
ている。X線遮蔽カバー109は集束レンズ絞り(図示
せず)に、電子線が衝突して出るX線や集束レンズ絞り
で散乱した電子線が、試料の周りの物体に当たって出る
X線がX線検出素子103に入らないようにするための
もので、材質はX線吸収の大きい重金属、例えばタンタ
ルで構成される。
【0034】図6は本実施例におけるコリメータ107
の詳細を示した図で、図6(a)はコリメータ107の
組図、(b)はコリメータ107の横断面図、(c)は
コリメータ107の一部鳥瞰図である。本実施例のよう
に長方形形状の検出面のX線検出素子103を用いた場
合、コリメータ107のX線を通過させるための孔74
の断面形状は長方形であることが望ましいが、製作が困
難である。本実施例では、図6(a)に示したように、
台錐状に形成したタンタルに溝と孔を形成したもの7
5,76と孔だけを形成したもの77を組み合わせて、
図6(b)に示したような、横断面を持ったコリメータ
107を用いている。X線を透過させるための孔74の
断面形状はほぼ長方形形状のものが得られる。
【0035】台錐状のものに形成した溝には、永久磁石
71と軽元素材料であるベリリウム板72がはめこまれ
ている。これは、図6(c)に示したように、電子線1
を試料2に照射したとき試料2から出てくる後方散乱電
子6を除去するためのものである。後方散乱電子6がX
線検出素子に入ると雑音の原因となるだけではなく、X
線検出素子の劣化の原因になる。永久磁石71のつくる
磁界73により、後方散乱電子6は内側に曲げられ、ベ
リリウム板72に衝突する。ベリリウムは軽元素材料で
あるので制動輻射の効率が小さく、雑音となる高エネル
ギのX線の発生量が小さく、後方散乱電子6の吸収材と
して働く。
【0036】永久磁石71の配置の仕方は、図6(c)
のように、磁力線が1周まわるように配置してやれば、
中心にもれる磁界が小さくなり、試料に照射する電子線
1に影響することはほとんどなかった。試料からのX線
は、磁界の影響を受けないで通過する。さらに、電子線
1が通過する孔の部分に散乱電子が衝突して出るX線の
影響をなくすために、この孔の周囲にもベリリウム箔7
8をつけてある。
【0037】図7は、本実施例における信号処理系を示
した図である。X線検出素子103から出た信号は、電
界効果トランジスタを含む電荷型前置増幅器701によ
り電圧信号に変換され、周波数フィルタをもつ主増幅器
702で波形整形される。波形整形された信号はアナロ
グデジタル変換器によりデジタル化されて、記憶装置7
04に記録されるようになっている。ここまでの信号処
理系は、X線検出素子103の個数、すなわち、本実施
例では4系統接続されている。
【0038】記憶装置704に記録された情報はコンピ
ュータ705により各々処理されて、各X線検出素子1
03ごとにX線スペクトルが得られる。さらに、各X線
検出素子103ごとに信号利得の調整を数値的に行い、
X線取り出し角の違いや表面形状による吸収体長の補正
を行い、得られたX線スペクトルを加算減算積分するこ
とが可能となっている。また、コンピュータ705には
電子線制御装置707から電子線の照射位置に関する情
報が取り込まれ、電子線の走査位置に対するX線信号の
変化を求めることもできる。
【0039】コンピュータ705により得られた結果
は、出力装置706により、フロッピーディスクなどの
形で保存したり、紙に印刷することが可能となってい
る。本実施例では、作用の項で説明したように、試料の
凹凸に関する情報を得ることができるほか、X線分析装
置の本来の目的である、試料の元素分析に関しては、4
個の検出素子を用いているため、従来と比較して約2倍
高い検出感度が得られた。また、従来の検出感度で良い
場合には、約4倍早い処理時間で、元素分布の二次元マ
ッピングを得ることができた。
【0040】以上、透過型の電子顕微鏡に対して1種類
の実施例を示したが、走査型電子顕微鏡でも同様に行
え、すなわち、電子顕微鏡一般に行えるものである。ま
た、本実施例において示した数値は一例であり、これら
の数値に限ることなく用いられる。図1に示したレンズ
の数に対してもこれに限るものではない。更に、試料は
レンズの中に位置したが、レンズの外にあっても本発明
を実施できる。X線検出素子に関しては4個で構成した
が、2個以上の複数個で構成しても、なんら本発明の本
質にかかわるものではない。また、本実施例では4個の
X線検出素子を一方向から導入し配置しているが、二方
向より導入した実施例を示した図8のように、複数個の
方向からX線検出素子を導入しても良い。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、表面に凹凸がある場合
でも、元素の濃度分布を正確に計測でき、かつ、表面の
凹凸に関する情報が得られ、かつ、検出感度を高くする
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す電子顕微鏡の要部縦断
面図。
【図2】従来装置の説明図。
【図3】本発明の作用の説明図。
【図4】試料表面形状において検出される特性X線強度
の電子線走査による変化を示した説明図。
【図5】別の試料表面元素分布において検出される特性
X線強度の電子線走査による変化を示した説明図。
【図6】本発明の一実施例におけるコリメータを示す説
明図。
【図7】本発明の一実施例における信号処理系を示すブ
ロック図。
【図8】本発明の別の実施例を示す電子顕微鏡の要部縦
断面図。
【図9】従来装置の要部縦断面図。
【符号の説明】
2…試料、30…X線検出装置、103…X線検出素
子、104…X線透過窓、105…電界効果トランジス
タ、106…冷却板、106′…冷却棒、107…コリ
ータ、108…容器、109…X線遮蔽カバー、201
…集束コイル、205…対物レンズポールピース、40
1…ボルト、402…押えフランジ、403…押えね
じ、404…Oリング。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒田 勝広 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 神田 公生 茨城県ひたちなか市市毛882番地 株式会 社日立製作所計測器事業部内 (72)発明者 勝田 禎治 茨城県ひたちなか市市毛882番地 株式会 社日立製作所計測器事業部内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料に電子線を照射し、該試料から発生す
    るX線を検出する装置を備えた電子顕微鏡において、前
    記X線を検出する装置が複数個の検出素子を備え、試料
    からのX線を複数の異なる角度で検出し、元素分析、及
    び、表面形状分析を行うことを特徴とする電子顕微鏡。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のX線を検出する装置の複
    数個のX線検出素子は、試料に対し電子線が照射される
    側に配置してある電子顕微鏡。
  3. 【請求項3】請求項1に記載のX線を検出する装置の複
    数個のX線検出素子は、一方向、もしくは二方向以上よ
    り導入し配置してある電子顕微鏡。
  4. 【請求項4】請求項1に記載のX線を検出する装置の複
    数個のX線検出素子のそれぞれの検出面が試料の電子線
    照射点とX線検出素子の中心を結ぶ直線に対して垂直で
    ある電子顕微鏡。
  5. 【請求項5】請求項1に記載の複数個のX線検出素子の
    すべてまたは一部の個数のX線検出素子の有感部の中心
    が、電子線の走査方向に対して、平行または、垂直また
    は、両方の面内にある電子顕微鏡。
  6. 【請求項6】請求項1に記載のX線を検出する装置の複
    数個のX線検出素子の有感領域の形状が矩形である電子
    顕微鏡。
  7. 【請求項7】請求項1に記載の複数個のX線検出素子か
    らの信号は、同数個の信号情報格納装置内に蓄えられ、
    演算装置により、加算,減算,掛け算,除算,微分等が
    実行される電子顕微鏡。
  8. 【請求項8】請求項7に記載の演算装置により、請求項
    1に記載の複数個のX線検出素子の信号利得を個別に調
    整できる電子顕微鏡。
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