JP2001116847A - X線検出装置、元素分析装置および半導体製造装置 - Google Patents

X線検出装置、元素分析装置および半導体製造装置

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JP2001116847A
JP2001116847A JP29794699A JP29794699A JP2001116847A JP 2001116847 A JP2001116847 A JP 2001116847A JP 29794699 A JP29794699 A JP 29794699A JP 29794699 A JP29794699 A JP 29794699A JP 2001116847 A JP2001116847 A JP 2001116847A
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ray
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particle beam
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Isao Ochiai
勲 落合
Kimio Kanda
公生 神田
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電子顕微鏡内の試料に近接させても非点収差等
による2次電子像の歪みを起こさない高感度なX線検出
器を提供することである。 【解決手段】試料照射によりX線とともに発生する荷電
粒子がX線検出素子へ入射するのを阻止するために設け
られた磁界発生手段からの、試料台上への漏洩磁界を相
殺するための磁界発生手段を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、荷電粒子線を試料
に照射して発生する特性X線を検出し、試料の元素組成
の分析等をするX線分析技術分野に関する。
【0002】
【従来の技術】荷電粒子線を試料に照射して試料から発
生する特性X線を検出して、試料の元素分析を行う手法
がある。電子顕微鏡において電子線を試料に照射し、試
料から発生するX線を検出して試料の組成を計測するエ
ネルギー分散型X線分光と呼ばれる手法がその一例であ
る。この手法では、特性X線が、試料を構成する元素に
特有なエネルギーを持つことを利用している。これらX
線の単位時間あたりの発生個数を、X線のエネルギーご
とに計数して試料の元素組成等の情報が得られる。X線
を検出する手段としては、シリコンやゲルマニウム等の
半導体結晶を用いた半導体検出素子を用いるのが一般的
である。
【0003】近年、フィジックス トデイ1998年6
月号のページ19からページ21(Physics Today, Jul
y(1999) pp. 19-21)に報告されているように、100
ミリケルビン以下の極低温で動作させるマイクロカロリ
メーターとよばれる検出素子が開発され、上記の半導体
検出素子と比較して高いエネルギー分解能でX線を検出
できるようになっている。
【0004】また、上記のエネルギー分散型X線分光に
よる手法以外に、X線分光器と比例計数管を組み合わせ
た波長分散型X線分光という手法が知られている。
【0005】上記半導体検出素子を用いた放射線検出装
置の代表的な構成図を図7に示す。検出素子101と前
置増幅回路20の入力段の電界効果トランジスター2
は、雑音を低減するために、液体窒素またはペルチェ素
子等による冷却装置7と冷却棒12により低温に冷却さ
れるようになっている。電子線5が試料9に照射される
と、試料からX線1が放射される。X線1はX線透過窓
8を透過して検出素子101に入射すると、X線のエネ
ルギーに比例した個数の電子正孔対に変換される。
【0006】以下、検出素子101で得られた信号の処
理方法について説明する。検出素子101の電極に達し
た電子は電荷積分型の前置増幅回路20によりその個数
に比例した高さを有する電圧パルス220に変換され、
さらに、電圧パルス220は整形増幅器51により、信
号雑音比が高くなるように瀘波され、電圧パルス310
に整形される。波高分析装置53により電圧パルス31
0は波高分析されて、X線スペクトル400に変換され
る。
【0007】X線スペクトル400はX線検出素子10
1に入射したX線1のエネルギー分布、すなわち、ある
値のエネルギーのX線が何個検出されたかを表わしてお
り、スペクトルピークのエネルギー値から試料に含まれ
ている元素種が、またスペクトルピークの面積から該元
素種の含有量が求められる。
【0008】以上、試料9から放射されるX線1に着目
してきたが、電子線5を試料9に照射すると、弾性散乱
あるいは非弾性散乱により試料9からは入射電子線5の
エネルギー以下の様々なエネルギーをもつ電子4が試料
9から放射される。該電子4は反射電子と呼ばれる。該
反射電子4が、検出素子101に入射すると、X線と同
様に電気信号に変換され、背景雑音の原因となる。ま
た、検出素子内に欠陥を生成し、検出素子の検出特性を
著しく劣化させる。
【0009】このため、図7に示したように、検出素子
101と試料9の間に、荷電粒子分離器300を設置し
て、反射電子4が検出素子101に入射しないようにし
ている。さらに、反射電子4は試料9以外の場所に衝突
して、X線を発生し、背景雑音の原因となる。このた
め、検出素子101を格納する容器6の一部は該X線が
十分減衰する厚さの金属材料で構成されており、試料以
外で発生したX線は検出素子101に入射しないように
なっている。X線検出をしないときには、反射電子によ
る検出素子の劣化を確実に防ぐために、X線検出器10
1を試料から離しておく機構をもつものが知られてい
る。
【0010】従来のX線検出器としては、マイクロスコ
ピー アンド マイクロアナリシス第4巻1999年のペ
ージ605からページ615(Microscopy and Microan
alysis, Vol.4(1999) pp. 605-615)に報告されている
ように1個の検出素子を用いたものが一般的で、一対の
永久磁石からなる反射電子除去器を備えたものが知られ
ている。
【0011】従来の反射電子除去器の構造の一例を図
8、図9、図10に示す。これは、特開昭56−103
379号公報に記載されている反射電子除去器と同様な
構造である。図8は、電子線5の光軸とX線検出軸を含
む面での断面、図9は、図8における線IX-IXを通る断
面図で、図10は図9における線X-Xを通る断面図であ
る。
【0012】荷電粒子分離器300は、X線1を透過さ
せるための貫通孔11を挟むように配置した2個の永久
磁石210、220と筒状の軟鉄製の磁路13、溝14
をもつ支持体15及びカバー16から構成されている。
貫通孔11内には磁場17が形成され、貫通孔11に入
射した反射電子4をローレンツ力により、反射電子4の
進行方向と磁場17の向き双方に垂直な方向に曲げ、溝
14内の壁に衝突させて、電子線がX線検出素子101
(図7参照)に入射しないようにしている。
【0013】溝14を設けているのは、図10に示した
ように反射電子4が壁に衝突したときに出るX線18が
X線検出素子に入射しないようにするためである。磁場
の磁束密度は0.数テスラである。磁束密度0.2テスラの
磁場に垂直に入射した20keVのエネルギーの電子は曲率
半径約2ミリメートルで曲げられる。
【0014】以上、1個の検出素子を用いた従来の技術
例を示したが、図11、図12は特開平8−27637
1号公報に記載されている複数個の検出素子を用いたX
線検出器の実施例を示す。
【0015】図11は電子顕微鏡に設置した構成を示す
図であり、電子線5を試料9に照射した際、試料9から
発生する特性X線を検出する4個のX線検出素子101が
左右対称に配列されている。符号107は、迷光X線の
影響を低減するためのコリメータである。図12は、図
11のコリメータ107に設けられた反射電子除去器の内
の、最内側の2個のX線検出素子101に対応する二個
の反射電子除去器を説明するための拡大斜視図である。
コリメータ107は、タンタルからなり、中央に照射電
子線5を通過させるための照射電子線通過孔700、こ
の照射電子線通過孔700を挟んで断面形状がほぼ長方
形状の一対のX線透過孔74が設けられた円錐台状に形
成されている。一対のX線透過孔74の各々には、一対
の永久磁石270,270とベリリウム板72が嵌め込
まれている。
【0016】電子線5を試料9に照射した時、試料9か
ら発生した特性X線79は一対のX線検出素子101の内
の対応するものに入射し信号を形成するが、試料9から
は特性X線79の他に反射電子4も発生し、これがX線検
出素子101に入ると雑音の原因となるのでこれを除去
する必要が有る。図12の構成においては、各X線検出素
子101に入射する特性X線79の通路毎に、この通路
を挟んで一対の永久磁石270,270が設けられてい
るので、これらの永久磁石270,270が作る磁場1
7により、上記反射電子4は内側に曲げられベリリウム
板72に衝突しベリリウム板72に吸収される。
【0017】一方、元素分析等で分析感度を高くするた
めには、被測定試料からのX線を効率良く、すなはち、
大きい検出立体角で検出することが有効である。検出立
体角は試料から検出素子までの距離と検出素子の有感面
積で決まり、距離が短いほど、また、有感面積が大きい
ほど大きくなる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】図15は、従来の荷電
粒子分離器300を備えたX線検出装置と漏洩磁場との
関係を説明するための断面図である。符号210は永久
磁石、11はX線貫通孔、25は漏洩磁場、9は試料、
10は電子線照射点、8はX線透過窓、16はカバー、
101はX線検出素子である。従来の反射電子除去器に
おいては、図15に示すように、反射電子除去器300
の軸方向に漏洩磁場25が存在する為、元々円形断面に
調整してあった試料9上での照射電子線の照射点10の
形状が、この漏洩磁場25と照射電子線の相互作用によ
り、非円形になってしまい非点収差とよばれる収差を生
じ、2次電子像を歪まし像分解能を劣化させる原因とな
っていた。
【0019】このように、X線検出装置を試料9に近接
させると2次電子像の歪みが生じるため、補正作業が必
要となり、さらに近接させようとすると補正が出来なく
なるという問題があった。このため、感度を上げるため
にX線検出素子101を試料9に近接できる距離には制
限があり、検出立体角を大きくすることが困難であっ
た。
【0020】電子顕微鏡の第一の機能である試料の像観
測は、試料から放出される二次電子を検出して行われ
る。図13に熱電子放射型(タングステン ヘアピンフ
ィラメント、ランタンヘキサボライド(LaB6)ポイント
カソード)と電界放出(FE)型の電子銃を用いたと
きの電子ビーム電流とビーム径の関係を示した。
【0021】この図は、外村彰編「電子顕微鏡技術」丸
善(株)(平成1年)ページ122に記載されている。これ
によると、電子ビーム電流が低いほどビーム径が小さ
い。二次電子像観察では、通常10-11アンペアの照射電
流があれば可能である。しかしながら、従来の1個の検
出素子を用いたX線検出器には上記したように、近接で
きる距離に限界があるため、X線検出感度が低く、X線
分析時には2×10-10アンペアと二次電子像観察のときに
比べて、大きな電子ビーム電流を照射するのが一般的で
あった。
【0022】大きなビーム電流を用いると、図13から
わかるようにビーム径が大きくなり、二次電子像の分解
能が低下する。このため、X線検出と高分解能二次電子
像観察を同時に行うことができず、別々に実施するのが
普通であった。また、各測定毎に電子顕微鏡の運転条件
を変える必要があり煩雑で時間がかかるという問題があ
った。
【0023】一方、従来の技術の項で述べた複数個の検
出素子を用いた例(図11、12)では、検出素子の数
だけ検出感度を上げることができるという利点があり、
高分解能二次電子像の観察と両立できる可能性がある
が、反射電子除去器に関しては、中心を照射電子線が通
過する構造となっているため、一般に普及している1個
の検出素子からなるX線検出装置への適用に関しては問
題があった。また、非磁性体であるタンタル金属からな
るホルダーと永久磁石により構成しているため、漏れ磁
場が大きくなるという問題があった。
【0024】本発明の目的は、X線検出装置を試料に近
接させても2次電子像歪みが少なく、また、従来の1個
の検出素子からなるX線検出装置にも適用が容易な荷電
粒子分離器を有するX線検出装置を提供することであ
る。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明のX線検出装置、
元素分析装置および半導体製造装置は、以下の構成によ
り上記目的を達成する。
【0026】即ち、本発明の請求項1に記載の第1の発
明は、試料を載置する試料台と、前記試料台上の試料に
第1の荷電粒子線を照射する第1の荷電粒子線照射装置
と、前記第1の荷電粒子線照射装置により、前記試料に
前記第1の荷電粒子線を照射した際発生するX線を検出す
るX線検出素子と、前記X線とともに前記試料から発生す
る第2の荷電粒子が前記X線検出素子に入射するのを阻
止するために、前記第2の荷電粒子の軌道を変える磁界
を発生させる第1の磁界発生手段と、前記X線とともに前
記試料から発生する第3の荷電粒子を検出して、該第3
の荷電粒子による像観察を行う像観察装置と、前記第1
の磁界発生手段により前記試料台上に形成される漏洩磁
界を相殺する方向の磁界を発生する第2の磁界発生手段
とを備えたX線検出装置である。
【0027】また、本発明の請求項2に記載の第2の発
明は、試料を載置する試料台と、前記試料台上の試料に
第1の荷電粒子線を照射する第1の荷電粒子線照射装置
と、前記第1の荷電粒子線照射装置により、前記試料に
前記第1の荷電粒子線を照射した際発生するX線を検出す
るX線検出素子と、前記X線とともに前記試料から発生す
る第2の荷電粒子が前記X線検出素子に入射するのを阻
止するために、前記第1の荷電粒子線によって照射され
る前記試料上の照射点と前記X線検出素子とを結ぶ軸を
挟んで配置された偶数個の永久磁石からなる第1の磁界
発生手段と、前記X線とともに前記試料から発生する第
3の荷電粒子を検出して、該第3の荷電粒子による像観
察を行う像観察装置と、前記第1の磁界発生手段により
前記照射点に形成される漏洩磁界を相殺する方向の磁界
を発生する偶数個の永久磁石からなる第2の磁界発生手
段とを備えたX線検出装置である。
【0028】また、本発明の請求項3に記載の第3の発
明は、試料を載置する試料台と、前記試料台上の試料に
第1の荷電粒子線を照射する第1の荷電粒子線照射装置
と、前記第1の荷電粒子線照射装置により、前記試料に
前記第1の荷電粒子線を照射した際発生するX線を検出す
るX線検出素子と、前記X線とともに前記試料から発生す
る第2の荷電粒子を検出して、該第2の荷電粒子による
像観察を行う像観察装置と、互いに対向する面が異なる
極性となる様、前記第1の荷電粒子線によって照射され
る前記試料上の照射点と前記X線検出素子とを結ぶ直線
を挟んで配置された第1の一対の永久磁石と、前記第1の
一対の永久磁石とは異なる極性の配列順序で、該第1の
一対の永久磁石に隣接して配列される第2の一対の永久
磁石とを備え、前記第1の一対の永久磁石及び前記第2
の一対の永久磁石とを実質的に同一の磁場を発生する4
個の永久磁石で構成し、前記第1の一対の永久磁石と前
記第2の一対の永久磁石との間隙の中心を通り、かつ該
間隙に平行な平面が、前記照射点と前記X線検出素子と
を結ぶ直線と実質的に前記照射点で交叉するよう構成さ
れたX線検出装置である。
【0029】また、本発明の請求項4に記載の第4の発
明は、請求項1−3の何れかに記載のX線検出装置にお
いて、前記第1の荷電粒子線が電子ビームであることを
特徴とするものである。 また、本発明の請求項5に記
載の第5の発明は、請求項1−3の何れかに記載のX線
検出装置において、前記第1の荷電粒子線がイオンビー
ムであることを特徴とするものである。
【0030】また、本発明の請求項6に記載の第6の発
明は、請求項1−2の何れかに記載のX線検出装置にお
いて、前記第2の荷電粒子が少なくとも電子及びイオン
の何れかであることを特徴とするものである。
【0031】また、本発明の請求項7に記載の第7の発
明は、請求項1−2の何れかに記載のX線検出装置にお
いて、前記第3の荷電粒子が電子であることを特徴とす
るものである。
【0032】また、本発明の請求項8に記載の第8の発
明は、請求項3に記載のX線検出装置において、前記第
2の荷電粒子が、少なくとも電子及びイオンの何れかで
あることを特徴とするものである。
【0033】また、本発明の請求項9に記載の第9の発
明は、請求項1−8の何れかに記載のX線検出装置を備
えたことを特徴とする元素分析装置である。
【0034】また、本発明の請求項10に記載の第10
の発明は、請求項1−8の何れかに記載のX線検出装置
を含んだことを特徴とする半導体製造装置である。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を用いて説明する。
【0036】(第1の実施の形態)先ず、本発明による
第1の実施の形態を説明する。
【0037】図5は本発明による荷電粒子分離器を備え
たX線検出装置を電子顕微鏡に搭載した状態を示す概略
図であり、図1は本発明による荷電粒子分離器を含むX
線検出装置の先端部の構造および試料との位置関係を示
す、図5における円筒状の容器6の軸を含む紙面に垂直
な平面で切ったときの拡大断面図である。図2はX線検
出装置の先端部の構造および試料との位置関係を示す、
図1をさらに拡大した断面図である。図3は本発明によ
る荷電粒子分離器の構造を示す垂直断面図、図4は本発
明の荷電粒子分離器の構造を示す分解斜視図である。
【0038】本実施の形態におけるX線検出装置は、図
1に示すようにその先端部に荷電粒子分離器3を備えて
いる。該荷電粒子分離器3は、図3、図4に示したよう
に4個の直方体形状の永久磁石21、22、23、24
により形成される磁界を利用している。図3でX線は紙
面表から裏に向かって孔11を通過するものとする。各
磁石の磁極の向きは磁石21と磁石23の相対する面が
それぞれS極,N極、磁石22と磁石24の相対する面
がそれぞれN極,S極になるように配置されている。磁
石21、22と磁石23、24はそれぞれ磁路27、2
7’に接着されている。
【0039】本実施の形態では、磁石21のN極と磁石
22のS極とが、また磁石23のS極と磁石24のN極
とが相隣り合っているので、蒲鉾形状の磁路27、2
7’で十分磁場が外側に漏れないようにできる。磁石2
1と23の相対する面の挟む空間の中心が、X線貫通孔
11の軸を通るように配置した。
【0040】図4に示したように磁石21−24及び磁
路27、27’は、アルミニウム製の支持具15に設け
た溝32、33に収納した。溝14は磁場により曲げら
れた反射電子を除去するためのものである。
【0041】さらに、軸方向に漏れる磁場を低減するた
めに、孔29を有する軟鉄板28を、磁石21−24及
び磁路27、27’の前面に配置した。孔29は4個の
永久磁石の対称中心軸に対して対称で、かつ、X線を透
過させるのに十分な大きさを有し、形状は長円形であ
る。さらに、孔11を有するカバー16’により覆いを
してある。溝32、33の溝方向と溝14の溝方向は異
なっている。これは、図2に示すように、磁石21と2
3の相対する面の挟む空間の中心が、ほぼX線貫通孔1
1の中心すなわち検出素子101の中心軸35を通るよ
うに配置し、4個の永久磁石の対称中心軸34が試料面
の電子線照射点10で交差するようにするためである。
これが本発明の特徴である。
【0042】上記の荷電粒子分離器3を備えたX線検出
装置を電子顕微鏡に搭載した一例を図5に示す。図5
で、201は電子銃、5は電子線、203は収束レン
ズ、204は対物レンズ、206は走査コイル、211
は2次電子検出器、235は試料台、250は電子顕微
鏡制御盤、251は電子顕微鏡入出力装置、254は真
空排気装置である。
【0043】X線検出装置は上記の荷電粒子分離器3、
X線検出素子を内蔵した円筒状の容器6、容器231、
フランジ36、移動機構37、液体窒素槽208、前置
増幅回路部20、X線検出器制御装置240、X線検出器
入出力装置242で構成されている。容器6、容器23
1の内部は真空に封じ切られている。移動機構37は先
端部を出し入れするためのもので、これにより測定時に
先端部を試料9に近づけ、非測定時には試料から離して
おく。
【0044】走査コイル206により電子線5を試料9
上を走査して、試料9から放出される2次電子を2次電
子検出器211で検出する。検出した信号を入出力装置
251のディスプレイに表示することにより、試料9の
形状を観察する。X線検出器は斜め上方に放射されるX線
を検出し、X線のエネルギーを解析することにより試料
9の元素分析を行う。電子線の走査信号と併せて、試料
9の2次元元素分布の分析が可能となっている。
【0045】図1は図5で円筒状の容器6の軸を含む紙
面に垂直な平面で切ったときの拡大断面図である。円筒
状容器6の先端部に本発明の特徴である荷電粒子分離器
3が取り付けられている。冷却棒12、X線検出素子1
01、フランジ36は円筒状容器6の軸に対して対称の
位置に配置してある。永久磁石23、24は本来この図
では見えないが、参考のために位置を明示した。磁力線
の向きが紙面に垂直になるように永久磁石を配置した。
既述の図2は図1の試料9およびX線検出器の先端部分
をさらに拡大した図である。
【0046】磁石21−24として厚さ1ミリメートル
横3ミリメートル縦5ミリメートルの直方体形状の希土
類強磁性材料を用いて、X線貫通孔11内中心の磁束密
度は約0.25テスラであった。このときの永久磁石間の距
離は約3.5ミリメートルである。これを加速電圧25キ
ロボルトの電子顕微鏡に適用し、有効面積10平方ミリ
メートルのX線検出素子で測定した結果、反射電子の影
響は測定限界以下であった。
【0047】本実施の形態における荷電粒子分離器3か
らの漏れ磁場分布を図14の黒丸付き実線で示した。横
軸は荷電粒子分離器の中心38から永久磁石の対称中心
軸34に沿った距離で、縦軸はホール素子と呼ばれるガ
ウスメータにより測定した磁束密度である。比較のた
め、図14には、従来の技術の項で述べた図9の構成を
持つ荷電粒子分離器における漏れ磁場を白丸付き実線で
示した。黒丸および白丸は測定点を示す。
【0048】本実施の形態におけるX線検出装置では、
電子線から見た場合、4個の磁石21−24が対称に配
置されており、かつ、相対応する永久磁石の磁極の向き
が逆になっているので、貫通孔11から漏れる漏れ磁場
は各永久磁石の寄与がそれぞれ打ち消し合うようになっ
て、磁束密度が非常に小さい磁場空間26が形成され
る。このため、電子線の位置では永久磁石による漏洩磁
場が従来と比較して非常に小さく、また荷電粒子分離器
の入口付近までほぼゼロになっている。
【0049】この効果により、従来の技術の項でのべ
た、X線検出器を試料に近接させた場合に起こる非点収
差による2次電子像の歪み、焦点ずれを著しく低減する
ことが可能となった。本発明による荷電粒子分離器を用
いることにより従来非点収差による歪みのために約25ミ
リメ−トル以上に制限されていた荷電粒子分離器の先端
から試料までの距離を5ミリメ−トルに短縮することが
できた。
【0050】X線検出素子の受光面は、この距離で試料
の電子線照射点と検出素子の中心を結ぶ直線に対して垂
直になるように設置した。この結果、試料から検出素子
間の距離を従来の約40ミリメ−トルから16ミリメ−トル
にすることが可能になり検出立体角を6倍にすることが
可能となった。これにより従来と同じ測定時間で検出感
度を2.5倍、または従来と同じ検出感度で計測時間を1/
6以下に短縮することが可能となった。
【0051】また、従来と同じ計測時間では、従来と同
じ検出感度を得るのに必要な電子線のビーム電流は1/6
以下となる。従来X線計測時に採用していた約2×10-10
アンペアのビーム電流を4×10-11アンペア以下にする
ことが可能となった。これにより、図13に示した電子
線のビーム電流とビーム径の関係から明らかなように、
X線計測時でも高分解能の二次電子像観察が可能とな
る。
【0052】さらに、図1、図2に示したように、永久
磁石の中心軸とX線検出軸が異なり、従来装置と同じくX
線検出軸をX線検出器先端部の容器の軸と同じにでき、
また、電子顕微鏡の鏡体の中心軸と取り付けポートの中
心を含む平面内にできるので、設計および製作コストを
低減することが可能となった。また、従来装置の改良も
荷電粒子分離器の部分のみを交換するだけでよい。
【0053】なお、上記説明では、永久磁石を二対使用
した例を示したが本発明はこれに限定されるものではな
く、偶数個の永久磁石或いは偶数対の永久磁石を使用し
ても同様目的を達成できることは言う迄もない。
【0054】(第2の実施の形態)次に本発明による第
2の実施の形態を図6を用いて説明する。
【0055】図6は本発明による荷電粒子分離器の構造
を示す断面図である。本実施の形態は第1の実施の形態
で述べたX線検出装置よりも大きな面積の検出素子を用
いて大きな立体角でX線を検出する場合に最適な荷電粒
子分離器を提供するものである。
【0056】本実施の形態でも、反射電子を除去するた
めの磁場は左右対称の位置に配置した4個の永久磁石2
1−24で形成される。大きな立体角に対応するために
は、X線を透過させるための穴11の大きさを大きくす
る、すなわち、相対する永久磁石同志21、22と2
3、24の間隔を大きくとる必要がある。第1の実施の
形態で述べた永久磁石の配置のまま間隔を大きくする
と、隣り合っている永久磁石21と22の間、および、
23と24の間にできる磁場が強くなり、反射電子を除
去するために必要な磁場の強さが弱くなるとともに、そ
の領域も狭くなる。このため、本実施の形態では永久磁
石21と22の間、および、23と24の間にフロン樹
脂製のスペーサー19、19’を設置してある。
【0057】磁石21−24として第1の実施の形態で
述べたものと同じ永久磁石を用い、幅1ミリメートルの
フロン樹脂スペーサー19、19’を配置して永久磁石
21と22の間、及び永久磁石21と22の間に1ミリ
メートルのギャップGを設け、永久磁石間の距離Dは約5.
5ミリメートルとした。X線貫通孔11内中心の磁束密
度は約0.12テスラであった。このときのこれを加速電
圧25キロボルトの電子顕微鏡に適用し、有効面積30平
方ミリメートルのX線検出素子で測定した結果、反射電
子の影響は測定限界以下であった。
【0058】本実施の形態においても電子線から見た場
合、4個の磁石21−24が対称に配置されており、か
つ、相対応する永久磁石の磁極の向きが逆になっている
ので、貫通孔11から漏れる漏れ磁場は各永久磁石の寄
与がそれぞれ打ち消し合うようになっている。このた
め、電子線の位置では永久磁石による漏れ磁場がほぼゼ
ロになっている。この効果により、X線検出器を試料に
近接させた場合におこる非点収差による2次電子像の歪
み、焦点ずれを著しく低減することが可能となった。
【0059】本発明の第1,2の実施の形態で記載した
数値や、荷電粒子分離器の外形形状については、これら
に限定されるものではなく、電子線から見た永久磁石の
配置が対称であれば、本発明が適用されることは自明で
ある。
【0060】(第3の実施の形態)本発明による第3の
実施の形態を図16を用いて説明する。図16は本発明
の特徴である荷電粒子分離器を有するX線検出装置を備
えた電子顕微鏡を含んだ半導体検査システムと半導体加
工装置の一部を示した図である。半導体ウエハーには、
搬走路260で連結された半導体加工装置261,26
2,263,264により、順次種々の加工処理が施さ
れ、其の途次、半導体ウエハーは、随時パーテイクル・パ
ターン検査装置265、電子顕微鏡266、高分解能電
子顕微鏡267で検査され、さらに、それらの情報はコ
ンピュータ268で管理されるシステムが形成されてい
る。
【0061】ダイナミック ランダム アクセス記憶素子
等の大規模集積回路の生産において、製作個数に対する
良品の個数の割合は歩留まりとよばれているが、歩留ま
りを低下させる要因として、回路素子上に付着した異物
による不良がある。この異物は、エッチング,イオン打
ち込み,成膜などの回路形成に必要な加工処理を施す半
導体加工装置261,262,263,264の内壁に
付着した物質であったり、回路が形成される半導体ウエ
ハーを搬送する搬送路260で付着した物質であった
り、また、加工処理をしている過程で、半導体ウエハー
表面に形成したパターンが剥がれるなどして、発生した
ものであったりする。
【0062】異物の発生源を特定して、発生源の品質を
管理することは歩留まりの短期向上のために非常に重要
なことである。本実施の形態では、図16に示すよう
に、半導体加工装置の261,262,263,264
による各加工工程の終了ごとに、半導体ウエハを抜き出
し、まず、半導体ウエハを加工しないで観測できる光学
顕微鏡、走査型電子顕微鏡を用いたパーティクル・パタ
ーン検査装置265により異物形状の種類とその座標を
特定する。
【0063】この検査装置265は、異物の簡単な形
状、位置を高速に検査することに主眼が置かれている。
次に、再検査用電子顕微鏡266で異物の三次元的形状
や組成等の詳細な情報を得るようになっている。さらに
ウエハからその一部を切り出し加工する試料作製装置を
備えた高分解能電子顕微鏡267により断面形状等詳細
な検査が可能になっている。異物形状、座標の情報はコ
ンピュータ268により集中管理され、パーティクル・
パターン検査装置265で求めた座標を用いることによ
り、再検査用電子顕微鏡266では即座に指定した異物
を観測できるようになっている。
【0064】すでに記述したように、高集積回路半導体
素子の歩留まりを改善するためには半導体ウェハ上の異
物の同定が重要となっている。通常、ウェハ上の異物の
数は数百から数千個にのぼるケースも少なくない。異物
の組成は電子顕微鏡に搭載されたX線検出装置により分
析される。本実施の形態の再検査用電子顕微鏡266お
よび高分解能電子顕微鏡267は、本発明の特徴である
荷電粒子分離器を有するX線検出装置を搭載している。
このX線検出装置を用いれば、X線検出器を試料へ近づ
けることができ、試料から検出器を見込む立体角が大き
くとれるので、試料からの特性X線の検出率が改善さ
れ、X線分析時間を大幅に短縮することができる。
【0065】従来、この数百から数千個の異物のX線分
析には数時間を要し、測定できるウェハの数が限られて
いた。本発明によるX線検出装置を用いれば、試料から
検出器までの距離を40mmから16mmへ近づけることが
できる。すなわち、試料から検出器を見込む立体角を4
倍大きくとることができ、従来より1/6短い、数十分で
分析を終了することができる。このように、分析のスル
ープットを向上できた結果、半導体素子製造の歩留まり
改善が大幅にスピードアップされる。さらに、半導体の
加工寸法の微細化に伴い、検出すべき異物の寸法も微細
になってきている。本発明を用いると、上記したよう
に、従来より数倍高い検出感度が得られるので、検出で
きる異物の寸法を小さくすることができた。
【0066】(第4の実施の形態)本発明による第4の
実施の形態を図17、図18を用いて説明する。図17
は本発明によるX線検出器を粒子励起X線放射分光装置
に組み込んだ構成図である。図17はX線検出器の検出
部と試料の関係を示す断面図である。
【0067】粒子励起X線放射分光はイオンビーム88
の照射によって試料9から発生するX線を計測し試料の
元素分析を行うものである。イオンビームはイオン加速
器81により生成した加速イオンのうち、弁別装置82
により特定のエネルギーを持つイオンを取り出し、収束
レンズ83により細く絞ることにより形成する。
【0068】イオンエネルギーおよびイオン種として
は、1から3MeVの陽子やアルファ粒子が用いられ
る。イオンビーム電流はファラディカップ85により測
定され、較正データとして用いられる。試料9から発生
するX線は、液体窒素により冷却される半導体検出器8
6により計測される。
【0069】以下、図18を用いて説明する。試料9と
X線検出器の間には液体窒素で冷却された金属板72が
設置されており、試料から発生する中性粒子を吸着し、
X線検出器の先端部および、X線透過窓8が汚染される
のを低減するようになっている。X線検出器の先端部に
は永久磁石23、24(紙面の上側にさらに2個で合計
4個)で構成される荷電粒子分離器が第1の実施の形態
と同様に配置されている。試料から発生する二次電子お
よび、二次イオンは該荷電粒子分離器により除去される
ようになっている。
【0070】本実施の形態においてもイオンビームから
見た場合、4個の磁石21−24が対称に配置されてお
り、かつ、相対応する永久磁石の磁極の向きが逆になっ
ているので、貫通孔11から漏れる漏れ磁場は各永久磁
石の寄与がそれぞれ打ち消し合うようになっている。こ
のため、電子線の位置では永久磁石による漏れ磁場がほ
ぼゼロになっている。この効果により、X線検出器を試
料に近接させた場合におこるイオンビームへの悪影響を
低減することが可能となった。
【0071】この結果、X線検出器を従来と比較して大
幅に試料に近接させることが可能になり検出感度を上げ
ることが可能になった。このため、必要なイオンビーム
電流を低くすることができ、装置の小型化が可能となっ
た。 (第5の実施の形態)本発明による第5の実施の形態を
図19を用いて説明する。図19は本発明の特徴である
荷電粒子分離器を有するX線検出装置を備えた電子顕微
鏡を含んだ検査装置を示した図である。本実施の形態は
波長分散型X線分光と呼ばれる方式に本発明を実施した
例である。 符号1はX線、3は荷電粒子分離器、5は
電子線、9は試料、20は前置増幅回路部、201は電
子銃、211は二次電子検出器、241はX線検出器処
理装置、500は比例計数管、501は回折格子、50
2はコリメータである。
【0072】試料9に一次電子線5を照射して試料9か
ら発生するX線1を回折格子501により分光し、分光
したX線を比例計数管500で検出するようになってい
る。回折格子501としては湾曲した単結晶や人工積層
膜が用いられる。
【0073】回折格子501と比例計数管500は連動
して移動することにより波長走査するようになってい
る。回折格子501と試料9の間には本発明の特徴であ
る荷電粒子分離器3とコリメータ502が配置してあ
る。荷電粒子分離器3の内部構造は、第1の実施の形態
で述べたものと同じである。コリメーター502は試料
からのX線を集光し、回折格子501にX線を導入する
ものであり、放物面の内面を持つガラスの筒の内面に金
属を蒸着して鏡を形成したものである。これにより試料
からのX線を効率よく集めることが可能となる。 荷電
粒子除去器により試料からの後方散乱電子がコリーメー
タ502、回折格子501に入射することが防止され
る。これにより、コリメータ502、回折格子501に
電子が衝突して有害なX線を出すことがない。このた
め、雑音の少ないX線検出が可能になっている。さら
に、本発明の特徴で漏洩磁場の少ない荷電粒子除去器を
用いているので、電子線5に対する影響が小さい。特に
試料への損傷を少なくするために1次電子線の加速電圧
を数キロボルト以下に低減した場合にも有効で、二次電
子像の分解能を維持したままX線の検出が可能となる。
【0074】このX線検出装置をもちいれば、1次電子
線への悪影響を及ぼすことがなくX線検出器を試料へ近
づけることができ、試料から検出器を見込む立体角が大
きくとれるので、試料からの特性X線の検出率が改善さ
れ、X線分析時間を大幅に短縮することができる。
【0075】(第6の実施の形態)本発明による第6の
実施の形態を図20を用いて説明する。図20は本発明
の特徴である荷電粒子分離器と極低温X線検出器を設置
した電子顕微鏡を示した図である。符号1はX線、3は
荷電粒子分離器、5は電子線、9は試料、20は前置増
幅回路部、106は冷却板、201は電子銃、208は
液体窒素層、211は二次電子検出器、235は試料
台、241はX線検出器処理装置、500は比例計数
管、501は回折格子、502はコリメータ、600は
検出素子、601は集光レンズ、602は液体窒素、6
03は液体ヘリウム、604は冷却遮蔽板である。
【0076】極低温X線検出器は液体窒素602と液体
ヘリウム603により100ミリケルビン以下の極低温
に冷却したボロメーターと呼ばれる素子600を利用し
たもので、X線1がこの素子600に入射すると素子の
温度が変化することを利用したもので、この温度変化量
を検出して入射したX線のエネルギーを計測するもので
ある。これにより、半導体検出器の50分の1以下のエ
ネルギー分解能でX線を検出することができる。
【0077】本検出素子の有感面積は半導体検出器と比
較して小さいのが普通で、このため、検出素子600と
試料9の間に挿入したX線レンズ601により、試料9
から発生するX線を検出素子600に集光して検出立体
角を改善することができる。
【0078】さらに、本発明の特徴である荷電粒子分離
器3を設置し、試料からの後方散乱電子が、検出素子6
00および、集光レンズ601に入射することがないよ
うになっており、雑音を低減している。荷電粒子分離器
3の構成は第1の実施の形態で用いいたものと同じであ
る。
【0079】このX線検出装置を用いれば、X線検出器
を試料に近づけることができ、試料から検出器を見込む
立体角が大きくとれるので、試料からの特性X線の検出
率が改善され、X線分析時間を大幅に短縮することがで
きる。
【0080】試料損傷の低減のために1次電子線の加速
電圧を数キロボルト程度にした場合には、発生するX線
のエネルギーも制約されて、通常のX線分析に用いられ
るK線と呼ばれるX線が発生しないような元素の場合に
はL線、M線という低いエネルギーのX線を用いて分析
することになる。第5および第6の実施の形態で用いた
X線検出器では、非常に高いエネルギー分解能でX線を
検出することができるので、半導体検出器ではX線ピー
クの重なりが生じて、解析が困難になる場合にも有効で
ある。本発明によれば、低い加速電圧の一次電子線を用
いた場合においても、一次電子線のビーム形状や軌道が
変化することがないので、良好な試料観察が可能とな
る。
【0081】
【発明の効果】本発明によれば、X線検出器を試料に近
接させても、X線検出器の先端にある荷電粒子分離器か
ら漏洩する磁場が、照射電子線の近傍で小さく出来るの
で、非点収差や焦点ずれが大きくならず良好な2次電子
像が得られ、また、X線検出感度を大きくすることが可
能となる。X線検出軸がX線検出器先端部の容器の軸と同
じにでき、また、電子顕微鏡の鏡体の中心軸と取り付け
ポートの中心を含む平面内にできるので、設計および製
作コストを低減することが可能となる。また、従来装置
の改良も荷電粒子分離器の部分のみを交換するだけでよ
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における電子顕微鏡
とX線検出装置の位置関係を示す上面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態における電子顕微鏡
内の試料との位置関係を示す上面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す荷電粒子分離
器の断面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態を示す荷電粒子分離
器の分解斜視図。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるX線検出装
置を搭載した電子顕微鏡を示す概略図。
【図6】本発明の第2の実施の形態における荷電粒子分
離器を示す断面図。
【図7】従来のX線検出装置の原理と構成を示す構成
図。
【図8】従来の荷電粒子分離器を示す垂直断面図。
【図9】従来の荷電粒子分離器を示す垂直断面図。
【図10】従来の荷電粒子分離器を示す水平断面図。
【図11】従来の別の荷電粒子分離器を搭載した電子顕
微鏡を示す断面図。
【図12】図11に搭載された従来の別の荷電粒子分離器
を示す説明図。
【図13】電子顕微鏡における電子線のビーム電流とビ
ーム径の関係を示す図。
【図14】本発明による荷電粒子分離器と従来荷電粒子
分離器のの漏洩電流分布を示す図。
【図15】従来の別の荷電粒子分離器を備えたX線検出
装置と漏洩磁場を示す断面図。
【図16】本発明の第3の実施の形態を示す流れ図。
【図17】本発明の第4の実施の形態を示す全体図。
【図18】本発明の第4の実施の形態におけるX線検出
装置のX線検出部と試料を含む垂直断面図。
【図19】本発明の第5の実施の形態の検査装置を示す
斜視図。
【図20】本発明の第6の実施の形態の検査装置を示す
斜視図。
【符号の説明】
1...X線、2...電界効果トランジスタ、3...荷電粒
子分離器、4...反射電子、5...電子線、6...容器、
7...冷却装置、8...X線透過窓、9...試料、10...
電子線照射点、11、11’...X線貫通孔、12...冷
却棒、13...磁路、14、14’...溝、15...支持
体、16、16’...カバー、17...磁力線、18...
X線、19、19’...スペーサー、20...前置増幅回
路部、21、22、23、24...永久磁石、25...漏
洩磁場、26...無磁場空間、27、27’...磁路、2
8...軟鉄板、29...孔、30...X線検出装置、3
1...境界面、32、33...永久磁石設置孔、34...
永久磁石の対称中心軸、35...X線検出素子の中心軸、
36...フランジ、37...Oリング、38...荷電粒子分
離器の中心、51...整形増幅回路、53...波高分析装
置、61...鏡体、62...試料室、72...ベリリウム
板、74...X線通過孔、75、76、77...タンタル
製ホルダー、78...ベリリウム箔、79...特性X線、
80...冷却板、106...冷却板、106’...冷却
棒、107...コリーメータ、108...容器、10
9...X線遮蔽カバー、201...電子銃、202...電
子線、203...収束レンズ、204...対物レンズ、2
06...走査コイル、208...液体窒素槽、211...
2次電子検出器、220...前置増幅回路出力信号、2
31...真空容器、235...試料台、241...X線検出
器処理装置、242...X線検出器入出力装置、25
0...電子顕微鏡制御盤、251...電子顕微鏡入出力装
置、254...真空排気装置、300...荷電粒子分離
器、310...整形回路出力信号、400...X線スペク
トル、401...ボルト、402...押さえフランジ、4
03...押さえネジ、404...Oリング、500...比例
計数管、501...回折格子、502...コリメータ、6
00...検出素子、601...集光レンズ、602...液
体窒素、603...液体ヘリウム、604...冷却遮蔽
板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/66 H01L 21/66 L Fターム(参考) 2G001 AA03 AA05 AA09 BA05 BA07 CA01 CA03 CA05 DA01 DA03 EA01 EA04 FA12 GA01 GA06 GA10 GA11 HA09 HA13 JA02 JA04 JA11 JA14 KA01 LA11 MA05 RA03 SA01 SA02 SA04 2G088 EE30 FF03 GG21 JJ08 JJ09 JJ11 JJ29 KK09 LL11 LL24 4M106 AA01 BA02 CA41 CA70 DB18 DB30 DH25 DH33

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料を載置する試料台と、 前記試料台上の試料に第1の荷電粒子線を照射する第1の
    荷電粒子線照射装置と、 前記第1の荷電粒子線照射装置により、前記試料に前記
    第1の荷電粒子線を照射した際発生するX線を検出するX
    線検出素子と、 前記X線とともに前記試料から発生する第2の荷電粒子
    が前記X線検出素子に入射するのを阻止するために、前
    記第2の荷電粒子の軌道を変える磁界を発生させる第1
    の磁界発生手段と、 前記X線とともに前記試料から発生する第3の荷電粒子
    を検出して、該第3の荷電粒子による像観察を行う像観
    察装置と、 前記第1の磁界発生手段により前記試料台上に形成され
    る漏洩磁界を相殺する方向の磁界を発生する第2の磁界
    発生手段とを備えたX線検出装置。
  2. 【請求項2】試料を載置する試料台と、 前記試料台上の試料に第1の荷電粒子線を照射する第1の
    荷電粒子線照射装置と、 前記第1の荷電粒子線照射装置により、前記試料に前記
    第1の荷電粒子線を照射した際発生するX線を検出するX
    線検出素子と、 前記X線とともに前記試料から発生する第2の荷電粒子
    が前記X線検出素子に入射するのを阻止するために、前
    記第1の荷電粒子線によって照射される前記試料上の照
    射点と前記X線検出素子とを結ぶ軸を挟んで配置された
    偶数個の永久磁石からなる第1の磁界発生手段と、 前記X線とともに前記試料から発生する第3の荷電粒子
    を検出して、該第3の荷電粒子による像観察を行う像観
    察装置と、 前記第1の磁界発生手段により前記照射点に形成される
    漏洩磁界を相殺する方向の磁界を発生する偶数個の永久
    磁石からなる第2の磁界発生手段とを備えたX線検出装
    置。
  3. 【請求項3】試料を載置する試料台と、 前記試料台上の試料に第1の荷電粒子線を照射する第1の
    荷電粒子線照射装置と、 前記第1の荷電粒子線照射装置により、前記試料に前記
    第1の荷電粒子線を照射した際発生するX線を検出するX
    線検出素子と、 前記X線とともに前記試料から発生する第2の荷電粒子
    を検出して、該第2の荷電粒子による像観察を行う像観
    察装置と、 互いに対向する面が異なる極性となる様、前記第1の荷
    電粒子線によって照射される前記試料上の照射点と前記
    X線検出素子とを結ぶ直線を挟んで配置された第1の一対
    の永久磁石と、 前記第1の一対の永久磁石とは異なる極性の配列順序
    で、該第1の一対の永久磁石に隣接して配列される第2
    の一対の永久磁石とを備え、 前記第1の一対の永久磁石及び前記第2の一対の永久磁
    石とを実質的に同一の磁場を発生する4個の永久磁石で
    構成し、 前記第1の一対の永久磁石と前記第2の一対の永久磁石
    との間隙の中心を通り、かつ該間隙に平行な平面が、前
    記照射点と前記X線検出素子とを結ぶ直線と実質的に前
    記照射点で交叉するよう構成されたX線検出装置。
  4. 【請求項4】前記第1の荷電粒子線が電子ビームである
    ことを特徴とする請求項1−3の何れかに記載のX線検
    出装置。
  5. 【請求項5】前記第1の荷電粒子線が、イオンビームで
    あることを特徴とする請求項1−3の何れかに記載のX
    線検出装置。
  6. 【請求項6】前記第2の荷電粒子が、少なくとも電子及
    びイオンの何れかであることを特徴とする請求項1−2
    の何れかに記載のX線検出装置。
  7. 【請求項7】前記第3の荷電粒子が電子であることを特
    徴とする請求項1−2の何れかに記載のX線検出装置。
  8. 【請求項8】前記第2の荷電粒子が、少なくとも電子及
    びイオンの何れかであることを特徴とする請求項3に記
    載のX線検出装置。
  9. 【請求項9】請求項1−8の何れかに記載のX線検出装
    置を備えたことを特徴とする元素分析装置。
  10. 【請求項10】請求項1−8の何れかに記載のX線検出
    装置を含んだことを特徴とする半導体製造装置。
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