JPH11111209A - 偏極分析器及び解析装置 - Google Patents

偏極分析器及び解析装置

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JPH11111209A
JPH11111209A JP27602397A JP27602397A JPH11111209A JP H11111209 A JPH11111209 A JP H11111209A JP 27602397 A JP27602397 A JP 27602397A JP 27602397 A JP27602397 A JP 27602397A JP H11111209 A JPH11111209 A JP H11111209A
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electron
target
polarization
electron beam
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Hiroshi Iwasaki
洋 岩崎
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Original Assignee
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 散乱電子の電子検出器への単位時間当たり総
取り込み個数の上限値を高め、短時間で高精度の偏極測
定を達成する。 【解決手段】 被分析電子線を加速して衝突させる金属
のターゲット10と、当該ターゲット10によって散乱
された電子線を計数する電子検出器1〜6とを有してな
り、散乱電子線の角度分布を測定することに基づき被分
析電子線の偏極を測定する形式のものであって、1個の
ターゲット10を有し且つ電子検出器1〜6の個数が、
n>2×m (但し、nは電子検出器の個数であり、m
は測定する偏極成分の数である。)の関係を満たす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空中の自由電子
の偏極を測定する装置である偏極分析器及びそれを利用
した解析装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】真空中の自由電子の偏極(スピンの偏
り)を測定する装置として偏極分析器が知られている。
この偏極分析器の用途としては、走査電子顕微鏡(SE
M)と組合わせて磁区観察を実現するスピンSEM(特
開昭60−177539号公報)又は偏極SEMと呼ば
れる解析装置への応用が知られている。
【0003】近年、磁気記録の高密度化が進み、磁気ヘ
ッドのサイズも記録パターンも微細化が加速されている
ので、そこにあらわれる微細な磁区構造を高分解能で観
察できる解析技術の需要が急激に高まっている。偏極S
EMは、電子顕微鏡の優れた分解能で磁区像を得ること
ができ、しかも磁化ベクトルの方向も直接測定できるな
ど、磁気力顕微鏡(MFM:Magnetic For
ce Microscope)などにはない分析能力を
もっており、強力な磁区解析装置である。従来は特殊な
研究用装置と位置付けられていたが、今日では高密度磁
気記録研究用の実用的な道具へと認識が変化しており、
偏極SEMの商品化を目標にした開発の動きも報じられ
ている。
【0004】以下に、偏極分析の原理について説明す
る。
【0005】偏極分析器は、設計によって、Mott型
(G.D.Fletcher,t.j.Gay,and
M.S.Lubell,Phys.Rev.A34,
911(1986))、LEED型(J.Kirschn
er and R.Feder,Phys.Rev.L
ett.42,1008(1979))、散漫散乱型
(J.Unguris,D.T.Pierce,and
R.J.Celotta,Rev.Sci.Inst
rum.57,1314(1986))などの方式があ
る。これらの方式のいずれも、被測定電子線を金属標的
(ターゲット)に衝突させ、標的のまわりに配置された
複数個の電子検出器の計数を比較して、散乱された電子
の角度分布の非対称を測定する機能で成り立っている。
ここではモット検出器或いはモット型分析器(Mott
Detector)と呼ばれる形式のスピン分析器を
例にとって構成と機能を説明する。
【0006】モット型偏極分析器は、図11に示すよう
に、スピン分析をしたい電子束を20kV乃至120k
V程度に加速して重い金属(Au,Uなど)ターゲット
101に当て、後方散乱される電子の左右非対称を電子
検出器としての電子増倍管(いわゆるチャネルトロン)
100にて測定するものである。
【0007】散乱ポテンシャルが入射電子とターゲット
原子核との間に働く静電気力だけならば、散乱後の角分
布は入射軸のまわりに対称になる。しかし電子はスピン
磁気モーメントを持っているので、静電気力のほかに
「スピン−軸道相互作用」を余計に生じる。この相互作
用のため、スピンが散乱面に関して上向きか下向きかに
依存して後方120°付近への電子の散乱角が若干浅く
または深くなり、結果として下向きスピンの電子は左
側、上向きスピンの電子は右側に多く散乱される。この
散乱電子数の左右非対称がスピン分析の原理を与える。
【0008】ある偏極(電子のスピンの揃い具合)をも
つ被分析電子線がターゲットに入射しているとき、右
(R),左(L)の電子検出器(電子増倍管100)に
測定時間の間に受かる散乱電子数NRとNLを用いて左右
の電子数の非対称Aを次式(1)のように定義する。
【0009】 A=(NR−NL)/(NR+NL) ・・・(1) この非対称の値Aに基づいて、被分析電子線の偏極成分
の値Pは次式(2)のようにあたえられる。
【0010】 P=(1/Seff)× A ・・・(2) ここに、式中のSeffは、電子エネルギ、散乱角、ター
ゲット材料その他に依存する係数で、実効シャーマン関
数(Effective Sherman Funct
ion)と呼ばれている。
【0011】偏極ベクトルは3次元空間の任意方向を向
き得るので、被分析電子線の偏極も3つの成分をもつ
が、図11のモット型偏極分析器ではその1成分のみを
測定できる。
【0012】ここで図11の電子検出器(電子増倍管)
を第1の組とし、さらにこの第1の組に対して入射電子
線を軸に90度回転させた位置に第2の組の電子検出器
を設けて(1)式と同様な非対称をとると、第1の組の
電子検出器が測定したのとは90度異なる方向の偏極成
分をこの第2の組の電子検出器にて測定することができ
る。すなわち、二つの成分を同時に測定するために、図
12のように4個の電子検出器112,113,11
4,115をyz−,xz−面内に対称に配置して偏極
のx,y成分を求める設計がよく用いられている。
【0013】このような2成分の偏極分析器を使って構
成された偏極SEMでは、例えば磁性薄膜試料(xy−
面内)からの二次電子の偏極ベクトルのx,y両成分を
定め、膜面内にある磁化ベクトルを一意的に決めること
ができる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述の図1
2のように電子検出器4個でx−,y−成分を測定する
設計の偏極分析器には次の問題点がある。すなわち、4
個の電子検出器で数えられる二次電子の計数率(時間当
たりの計数)の最大値が限られているため、統計誤差を
抑えた高い精度の測定に限界があることである。以下、
具体的に数値を示して説明する。
【0015】ある偏極成分の測定における統計誤差は、
その成分の測定に用いられる計数の総数に反比例する。
すなわち、偏極のy−成分を決定するためにxz−面内
の二つの電子検出器でNx+とNx-の計数を得たとする
と、偏極のy−成分の値Pyは、 Py=(1/Seff)・Ay=(1/Seff)・(Nx+−Nx-)/(Nx++Nx-) ・・・(3) 偏極のy−成分の統計誤差δPyは、 δPy=(1/Seff)・δAy=(1/Seff)・(Nx++Nx-)-1/2 ・・・(4) のように求められ、統計誤差は全計数の平方根に反比例
する(J.Kessler”Polarized El
ectrons”2nd ed.,Chapter
8,Springer,1985)。したがって、短い
積算時間τの測定で十分な精度を得るためには、短時間
で大きな計数が得られること、すなわち測定し得る計数
率の上限が高いことが要求される。
【0016】しかるに、電子検出器が線型に応答する計
数率には上限が存在し、その値は100kcps(10
5counts/s)である。単位時間当たりそれ以上
の個数の入射電子に対しては数え落としが生じる。これ
は計数エレクトロニクスの問題ではなく、電子検出器の
中で二次電子のなだれ電流がある程度以上大きくなると
バイアス電圧が保たれず増倍率が下がることで制限され
ている。したがって、現在得られるチャネル増倍型電子
検出器(いわゆるチャネルトロン,セラトロンなど)に
根本的な改善があるか、新原理の電子検出器が開発され
ない限り、この100kcpsの限界は避けられない。
これに対応して、積算時間τ(s)の測定から非対称Ay
決定する時の統計誤差δAyの下限は次式(5)のよう
に見積もられる。
【0017】 δAy=(Nx++Nx-)-1/2>(105×τ+105×τ)-1/2=(2τ×105)-1/2 ・・・(5) なお、積算時間をτ=5(ms)=5×10-3(s)とした場
合には、δAy=(1000)-1/2=1/31=0.0
32となる。y−方向に磁化された純鉄表面からの二次
電子について非対称Ayを測定すると、普通0.06程
度が得られるから、δPy/Py=δAy/Ay=0.5程
度となって、相対誤差50%の測定ということになる。
また純鉄よりも磁化の小さいパーマロイ(磁気ヘッドに
使われるNiFe合金)ではAy=0.03程度と予想
されるので、統計誤差が目的の非対称の値を隠してしま
う。
【0018】また、積算時間を長くして計数の総和を稼
げばAyの統計誤差を小さくすることができる。例え
ば、τ=500(ms)=0.5(s)にすれば、パーマロイ
試料に対してもδPy/Py=δAy/Ay=0.1と実用
的な精度が得られるが、今度は偏極SEMとして利用し
た場合には次のような不都合が生じる。すなわち例えば
磁区像の一画面が縦横100×100画素で構成される
とすると、この一画面のための積算時間は0.5(s)×
100×100=5000(s)=83(min)と長時間にな
る。二次電子の全数のみのマップで像を構成するSEM
ではテレビジョン並の速さで試料の変化の実時間観察が
できることと比較すると、偏極SEMは非常に時間のか
かる測定法である。
【0019】偏極分析器の総計数率を上げる目的で、第
一のターゲットでは散乱されることなくこれを透過した
被分析電子線をさらに第二のターゲットに衝突させて後
方散乱の測定を繰り返す方法が既に提案されている(特
開平1−217288号公報)。しかし、複数の薄膜タ
ーゲットを被分析電子線の経路に沿って並べるこの方法
によれば、装置が複雑になり、排気の際のコンダクタン
スも低くなって真空の達成にも困難があった。
【0020】そこで、本発明はこのような状況に鑑みて
なされたものであり、散乱電子の電子検出器への単位時
間当たり総取り込み個数の上限値を高め、短時間で高精
度の偏極測定を達成する実用的な偏極分析器と、またそ
の型式の偏極分析器を利用した解析装置として高い機能
の磁区観察顕微鏡などの解析分析装置、電子光学装置等
を提供することを目的とする。なお、本発明は、モット
型、散漫散乱型など、電子散乱の空間的非対称を測定原
理とする偏極分析器に適用されるもので、1偏極成分当
たり、且つまた1ターゲット当たり2個1組よりも多数
個の電子検出器を用いるものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の偏極分析器は、
被分析電子線を加速して衝突させる金属のターゲット
と、当該ターゲットによって散乱された電子線を計数す
る電子検出器とを有してなり、散乱電子線の角度分布を
測定することに基づき被分析電子線の偏極を測定する形
式のものであって、1個のターゲットにつき電子検出器
の個数が、n>2×m (但し、nは電子検出器の個数
であり、mは測定する偏極成分の数である。)の関係を
満たすことにより、単位時間の計数を高め、短時間で高
精度の偏極測定を達成することを可能にしている。
【0022】すなわち、本発明は、散乱線の左右非対称
を用いた電子の偏極分析器において、1個のターゲット
当たり、また1偏極成分当たり2個よりも多数個の電子
検出器を用い、これら多数個の電子検出器の利用によ
り、散乱電子の電子検出器への単位時間当たりの総取り
込み個数の上限値を高め、短時間で高精度の偏極測定を
達成するものである。
【0023】ここで、本発明の偏極分析器は、多段式偏
極分析器に使用でき、また、本発明の偏極分析器を利用
した解析装置として、電子エネルギ分析器やウィーンフ
ィルタ又はその発展型スピン回転器或いは静電型90度
偏向器の何れか若しくはそれらの組み合わせからなる電
子光学装置や、解析分析装置などに使用でき、さらに、
磁区観察用走査電子顕微鏡、被分析試料を電子銃からの
ビームでたたいて得られるAuger電子のエネルギを
分析する解析装置、励起用の電磁波によって被分析試料
から真空中へ励起された光電子のエネルギ分析機能を有
する光電子分光装置、被分析試料によって散乱された電
子のエネルギ損失を測定する機能を有する電子エネルギ
損失分光装置などと組み合わせることもできる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】本発明は、被分析電子線を加速して衝突さ
せる金属のターゲットと、当該ターゲットによって散乱
された電子線を計数する電子検出器とを有してなり、散
乱電子線の角度分布を測定することに基づき被分析電子
線の偏極を測定する形式のもので、1個のターゲットに
つき電子検出器の個数が、n>2×m (但し、nは電
子検出器の個数、mは測定する偏極成分の数)の関係を
満たす偏極分析器であって、図1には、本発明の第1の
実施の形態として、1成分の偏極分析器であり1成分当
たり2個1組よりも多数個の電子検出器を持つ構成を示
している。この図1の例では、上記多数個の電子検出器
として6個の電子検出器1〜6を持つものを挙げ、これ
ら6個の電子検出器1〜6を3個づつに分けて被分析電
子の左右に配置した例を示している。なお、この図1の
例では、紙面に平行なターゲット10に対して被分析電
子線が垂直に照射されている状態を示している。
【0026】また図2には、本発明の第2の実施の形態
として、2成分の偏極分析器で4個よりも多数個の電子
検出器を持つもの、すなわち1成分当たりでは2個1組
よりも多数個の電子検出器を持つ構成を示している。こ
の図2の例では、上記多数個の電子検出器として8個の
電子検出器11〜18を持つものを挙げている。なお、
この図2の例では、紙面に平行なターゲット12に対し
て被分析電子線が垂直に照射され、上記8個の電子検出
器11〜18は、ターゲット20上への被分析電子線の
照射位置を中心として、それぞれ等角度に配置(45度
づつずらして配置)した例を示している。
【0027】さらに図3には、本発明の第3の実施の形
態として、2成分の偏極分析器で且つ1成分当たりでは
2個1組よりも多数個の電子検出器を持つものであっ
て、さらに異なる散乱角の電子を受けるように電子検出
器が設置された構成を示している。この第3の実施の形
態では、複数の電子検出器を、図3の(A)のように電
子検出器211〜214の組と電子検出器221〜224
組とに分け、図3の(B)のように電子検出器21(2
1〜214)の組と電子検出器22(221〜224)の
組とでそれぞれ異なる散乱角の電子を受けるような配置
にしている。すなわち、これら8個の電子検出器211
〜214と221〜224は、ターゲット30上へ垂直に
入射する被分析電子線を軸としてその周りに等角度に配
置(45度づつずらして配置)され、さらに、電子検出
器211〜214の各検出面とターゲット中心を結ぶ直線
とターゲット30の表面との角度が、電子検出器221
〜224の各検出面とターゲット中心を結ぶ直線とター
ゲット30の表面との角度と異なるように配置されてい
る。なお、図3の(A)では、紙面に平行なターゲット
30に対して被分析電子線が垂直に照射されている状態
を示し、図3の(B)では紙面に垂直なターゲット30
に対して被分析電子線が垂直に照射されている状態を示
している。
【0028】図4には、本発明の第4の実施の形態とし
て、2成分の偏極分析器で且つ1成分当たりでは2個1
組よりも多数個の電子検出器を持つものであって、特に
被分析電子線の経路近くに現れる散乱線を検出するため
のマイクロチャンネルプレート(MCP)51を設けた
構成を示している。この第4の実施の形態では、複数の
電子検出器として、図4の(A)のように6個の電子検
出器411〜416を設け、これら6個の電子検出器41
1〜416を、ターゲット50上への被分析電子線の照射
位置を中心としてそれぞれ等角度に配置(60度づつず
らして配置)している。さらに、図4の(A)及び
(B)に示すように、この第4の実施の形態では、被分
析電子線が通る円形穴を有するマイクロチャンネルプレ
ート51を、被分析電子線の経路上で且つ電子検出器4
1〜416での散乱線検出の妨げにならない位置に配置
している。これにより、当該第4の実施の形態では、被
分析電子線の経路近くに現れる散乱線を検出することが
可能になっている。なお、図4の(A)では、紙面に平
行なターゲット50に対して被分析電子線が垂直に照射
されている状態を示し、図4の(B)では紙面に垂直な
ターゲット50に対して被分析電子線が垂直に照射され
ている状態を示している。図4の(A)及び(B)は、
同じ配置を90度異なる方向から示したものである。
【0029】なお、上述した第1〜第4の実施の形態で
は、各電子検出器をターゲットの表面側だけに配置する
と共に、堅牢かつ保持・取扱いの容易な厚膜(例えば厚
さ10μm以上)又は板状のターゲットを用いた例を挙
げているが、次に述べる第5の実施の形態では、被分析
電子線が透過する薄膜ターゲットを用い、当該薄膜ター
ゲットの表裏両側に電子検出器を配置して前方散乱電子
と後方散乱電子の両方を測定に利用するようにしてい
る。
【0030】図5には、第5の実施の形態として、1成
分又は2成分の偏極分析器で、被分析電子線が透過する
薄膜ターゲット70を用い、当該薄膜ターゲット70の
表側に電子検出器61を、裏側に電子検出器62を配置
して、上記電子検出器61にて後方散乱電子を検出し、
上記電子検出器62にて前方散乱電子を検出すること
で、前方散乱電子と後方散乱電子の両方を測定に利用す
る構成を示している。なお、この図5の例では、上記電
子検出器61及び62として、それぞれ図2の例のよう
に8個づつの合計16個を設けることにする。勿論、電
子検出器61及び62を、それぞれ図3のように異なる
散乱角の電子を受けるように配置することも可能であ
る。
【0031】上述の第1から第5の実施の形態では、タ
ーゲットを1個としているが、第6の実施の形態とし
て、2個以上のターゲットを有する偏極分析器を構成す
ることも可能である。すなわち、偏極分析器を多段式に
することも可能である。例えば、前段として例えば第5
の実施の形態のような薄膜ターゲットを用いた偏極分析
器を用い、後段として前記第1又は第2又は第3又は第
4の実施の形態のような偏極分析器を用いたような多段
式偏極分析器も考えられる。勿論、前段の偏極分析器と
しては例えば第5の実施の形態のような薄膜ターゲット
を用いた偏極分析器を更に多段に配置することも可能で
ある。
【0032】なお、上記第1〜第6の実施の形態におい
て、被分析電子線のターゲットへの入射エネルギとして
は50kV乃至200kVが考えられる。
【0033】また、被分析電子線のターゲットへの入射
エネルギとしては10kV以上50kV以下のものを用
いることもできる。これは、特に減速電場型中間エネル
ギのモット分析器(L.G.Gray,M.W.Har
t,F.B.Dunning,and G.K.Wal
ters,Rev.Sci.Instrum.55,8
8(1984))を含むものである。被分析電子線のター
ゲットへの入射エネルギが10kV以下のものとして
は、散漫散乱型偏極分析器(J.Unguris,D.
T.Pierce,andR.J.Celotta,R
ev.Sci.Instrum.57,1314(19
86))を含む。
【0034】さらに、上記第1〜第6の実施の形態にお
いて、偏極分析器に入射される被分析電子線としては、
電子エネルギ分析器、ウィーンフィルタまたはその発展
型スピン回転器(特開昭58−193500号公報)、
静電型90度偏向器などを通過した後のものとすること
もでき、これらを通過したものを偏極分析器に入射する
ように組み合わされた電子光学系を構成することもでき
る。
【0035】上述した第1〜第6の実施の形態の偏極分
析器は、それを利用する解析装置として、解析分析装
置、例えば磁区観察に共されるスピン偏極SEMなどに
適用することができる。このスピン偏極SEMは、特に
上記ウィーンフィルタまたはその発展型スピン回転器
(特開昭58−193500号公報)、静電型90度偏
向器などの手段と組合わされて、被分析電子線の偏極ベ
クトルの3成分すべてを測定できる装置とすること、或
いは、特に被分析試料からのAuger電子のエネルギ
分析の機能を有するスピン偏極AES(Auger電子
分光装置)とすることが可能である。このスピン偏極A
ES(Auger電子分光装置)としては、特に上記ウ
ィーンフィルタまたはその発展型スピン回転器、静電型
90度偏向器などの手段と組合わされて、被分析電子線
の偏極ベクトルの3成分すべてを測定できる装置があ
る。さらに、上記解析分析装置としては、特に電磁波に
よって被分析試料から真空中へ励起された光電子のエネ
ルギ分析機能を有するスピン偏極光電子分光装置(可視
光、紫外光、X線励起の光電子分光装置)とすることも
でき、このスピン偏極光電子分光装置(可視光、紫外
光、X線励起の光電子分光装置)は、特に、上記ウィー
ンフィルタまたはその発展型スピン回転器、静電型90
度偏向器などの手段と組合わされて、被分析電子線の偏
極ベクトルの3成分すべてを測定できる装置とすること
ができる。また、上記解析分析装置としては、特に被分
析試料によって散乱される電子のエネルギ損失を測定す
る機能を有するスピン偏極EELS(電子エネルギー損
失分光装置)とすることもでき、このスピン偏極EEL
S(電子エネルギー損失分光装置)では、特に上記ウィ
ーンフィルタまたはその発展型スピン回転器、静電型9
0度偏向器などの手段と組合わされて、被分析電子線の
偏極ベクトルの3成分すべてを測定できる装置とするこ
とができる。
【0036】その他、上記第1〜第6の実施の形態にお
いて、ターゲットの材質としては、Ir,Au,Pt,
Th,Uのいずれかを用いるものを挙げることができ
る。
【0037】上述したように、本発明の鍵は多数個の電
子検出器を活用するところにある。
【0038】以下に、本発明の各実施の形態のように、
多数個の電子検出器がどのようにして偏極分析の高速化
・高精度化に寄与するのか、原理を説明する。この原理
説明として、「多数個の電子検出器の計数値から偏極成
分を求める手続」、「最大総計数率の増大」、「測定精
度の向上」、「積算時間の短縮」、「精密測定での利
点」、「エネルギ分析付き偏極分析での利点」、「単純
な装置構成」の順に説明する。その後、本発明のさらに
具体的な例について説明する。
【0039】「多数個の電子検出器の計数値から偏極成
分を求める手続き」図6に示すように試料Sからの被分
析電子線の経路をz軸にとり、z−軸に垂直なxy−面
内にターゲットを置く。z−軸のまわりに計った方位角
φに散乱角θの電子を検出するように電子検出器Dを置
いて偏極分析器を構成する。ここで、この電子検出器D
が見る散乱電子束Ιは、散乱面(試料Sの中心位置とタ
ーゲットの中心位置Oと電子検出器Dの検出面の中心位
置とを含む面、以下散乱面SODとする)に垂直な方向
の偏極成分を反映する。以下、被分析電子線の偏極ベク
トルはxy−面内にあるものとする。散乱角がつくる円
錐面上に電子検出器を並べ、散乱電子束の角度依存Ι
(φ)を測定すると図7のように、平均強度I0のまわ
りに振幅I1で変動する分布が得られる。なお、偏極ベ
クトルの方位角はφpとして示している。
【0040】 I(φ)=I0+I1・sin(φ−φp) ・・・(6) 方向φの偏極成分はφとは垂直の方向、φ+π/2およ
びφ−π/2の方向で測った散乱線束の非対称と次のよ
うに結ばれる。
【0041】 P(φ)=(1/Seff)・{(I(φ+π/2)−I(φ-π/2))/(I(φ+π/2)+I(φ-π/2))} =(1/Seff)・(I1/I0)・cos(φ-φp) =P0・cos(φ-φp) ・・・(7) 方向φ=φpでは偏極ベクトルの絶対値P0が得られる。
【0042】 P0=(1/Seff)・(I1/I0) ・・・(8) また、P(φ)は図8のように変化し、偏極ベクトルの
方向からのずれの角の余弦に比例する式(7)の自然な
角度依存が式(6)から導かれていることがわかる。
【0043】以上のように、偏極ベクトルの決定は散乱
線束の方位分布の極値の位置と振幅(式(6)のパラメ
ータI0とI1及びφp)を定めることにほかならない。
したがって、式(6)で記述される図8の分布をうまく
決められさえすれば、なにも普通の設計のように+x,
−x方向に2個、+y,−y方向に2個対称に電子検出
器を配置する必要はないことは明らかである。より多く
の方位φi(i=1,2,3,・・・)で散乱電子束を
測定し、図7の曲線がそれらの結果に最もよく合うよう
に式(6)のパラメータを最適化をする数値処理手順を
いくつか考えることができる。それぞれの電子検出器の
統計誤差が同程度ならば、電子検出器の個数が多く多数
点の測定値があるほど、曲線合わせ込みの信頼性すなわ
ち偏極分析の精度が高まることはいうまでもない。
【0044】また、電子検出器がすべて軸対称に配置さ
れている必要はなく、異なる散乱角やターゲットから異
なる距離にある電子検出器にもそれぞれ適切なSeff
eff’,Seff'',・・・を用いて組合わせることもで
きる。この自由度は、偏極分析器の限られた空間にいく
つもの電子検出器を様々な姿勢で組込む設計を可能にす
る。
【0045】「最大総計数率の増大」測定の統計誤差は
全計数値の平方根に反比例するから、全計数値を大きく
とることが誤差の小さな高精度の測定のために必要であ
る。4個の電子検出器を持つモット型偏極分析器が偏極
SEMで使われる場合には、普通は電子検出器一個当た
り数十kcpsという、飽和の限界100kcpsから
遠くない計数率で稼働している。したがって、一次電子
ビーム強度を上げて二次電子数を稼いでも、電子検出器
の飽和に近付くばかりで大きな改善は見込めない。
【0046】電子検出器の個数を増やすことは、個々の
電子検出器を飽和の心配のない領域で使いながら、かつ
端的に総計数率の増大を実現するものである。電子検出
器を8個利用すると、総計数率が在来の4個の場合に2
倍になるので有意の改善となる。
【0047】「測定精度の向上」総計数率の増大の直接
の結果として、一定の積算時間で得られる計数の総数が
高まる。偏極分析結果の統計誤差は総計数の平方根に反
比例して小さくなるので、同じ積算時間の測定であって
も従来の偏極分析器を用いた場合に比べて統計誤差が小
さく精度の高い測定結果が得られる。
【0048】「積算時間の短縮」偏極測定の精度が十分
になるように積算時間は定められる。精度は総計数値に
よって決まるから、計数率が2倍なら同じ精度を得るた
めの積算時間は半分でよくなる。
【0049】「精度測定での利点」精密測定では統計誤
差を小さくするため全計数値を大きくとる必要がある。
従来の4個の電子検出器配置で計数を大きくするために
開口を大きくとると、個々の電子検出器はそれだけ広い
範囲の平均的な散乱電子線強度を得るので、曲線の真の
形状よりもなまった形を見ることになる。
【0050】本発明によれば、個々の検出器の開口は小
さくして、角度の関数として散乱線強度分布を忠実に測
定できる。同時にまた、個別の検出器の測定を無駄のな
い方法で組合わせて、多数個の検出器で得られる高い全
計数値を利用できるので、より高精度の測定が可能にな
る。
【0051】「エネルギ分析付き偏極分析での利点」試
料から偏極分析器に向かう電子の経路の途中にエネルギ
分析器を挿入して、特定のエネルギの電子のみを選択し
て偏極分析を行う場合がある。特にオージェ電子や光電
子を選択して、試料中の特定元素の偏極情報を得る方法
として活用されている。このような場合にはエネルギ分
析器を通過する電子束は小さくなるので、試料側での励
起率を高めるとともに偏極分析器側の検出効率も高める
ことが重要である。本発明は検出効率向上に最適の手段
である。
【0052】「単純な装置構成」すでに触れたように、
偏極分析器の総計数率を上げる目的で薄膜ターゲットを
用い、ターゲットで散乱されることなくこれを透過した
被測定電子線をさらに第二のターゲットに衝突させて後
方散乱の測定を繰り返す方法が提案されている。(特開
平1−217288号公報)。この提案と本発明を比較
すると、ターゲットの個数が少なくできるという構造の
単純さが利点である。
【0053】この単純さは、装置の排気効率を高め、測
定に必要な高真空を達成維持する上で非常な便宜とな
る。
【0054】また、ターゲットの個数を1枚に限り、透
過した電子の測定を採用しなければ、薄膜ターゲットよ
りも堅牢な板金ターゲットを用いることもできることは
実用上有用である。
【0055】上述した原理に基づき、本発明実施の形態
をより具体的な例に挙げて以下に説明する。
【0056】例えば前記第2の実施の形態のように、タ
ーゲットの片面側でそれぞれ同じ散乱角の電子を受ける
8個の電子検出器を有する第1の具体例の偏極分析器の
実際の装置構成は、図9のようになる。
【0057】この図9に示す偏極分析器は、直径25m
mの円盤状の純金板を散乱用ターゲット90とし、当該
ターゲット90の面に平行で且つ30mm離れた面内に
8個の電子検出器(チャンネル型電子倍増管)81〜8
8を設け、各電子検出器81〜88は、ターゲット90
の中心からの散乱角120度の電子を見込むように配置
されている。ターゲット90はxy−面内に置かれ、被
分析電子線はz−軸に沿って入射される。
【0058】ここで、図10に示すように、x−軸、y
−軸方向(正確には、x−軸、y−軸を含む散乱面内)
に置いた4個の電子検出器(第1組の電子検出器)をD
x,D-x,Dy,D-yとし、x−軸、y−軸から45度回
転した方向の4個の電子検出器(第2組の電子検出器)
をDx+45,D-x+45,Dy+45,D-y+45とする。同じ散乱
面内の電子検出器で得た電子数Nの非対称から、散乱面
に垂直な偏極成分が得られる。たとえば、第1組の電子
検出器のうちD+xとD-xの組からは偏極のy−成分が得
られ、電子検出器D+yとD-yの組からは偏極のx−成分
が得られる。
【0059】 Px=(1/Seff)・(N-y−N+y)/(N-y+N+y) Py=(1/Seff)・(N+x−N-x)/(N+x+N-x) 同様に第2組から、x,y−軸から45度回転した軸方
向の成分も、 Px+45=(1/Seff)・(N-y+45−N+y+45)/(N-y+45
+N+y+45) Py+45=(1/Seff)・(N+x+45−N-x+45)/(N+x+45
+N-x+45) のように得られる。
【0060】第2組の測定結果、Px+45、Py+45を次の
ように偏極のx,y−成分の変換することができる。
【0061】 Px’=2-1/2(Px+45−Py+45) Py’=2-1/2(Px+45+Py+45) これらは第1組の測定結果Px,Pyと同じ物理量を別の
測定に基づいて求めたものである。両方の組の測定結果
を組合わせてより測定値の信頼性を高める一法として、
双方の結果の平均値をとることにする。
【0062】それらを、Px *及びPy *とすると、 Px *=(1/2)・(Px+Px’)=(1/2)・{Px+2-1/2(P
x+45−Py+45)} Py *=(1/2)・(Py+Py’)=(1/2)・{Py+2-1/2(P
x+45+Py+45)} ここで、略々同等の統計誤差をもつ量、PxとPy及びP
x’とPy’の平均操作がなされるので、最終結果Px *
y *の統計誤差は第1又は第2の何れか一方の組のみの
測定結果に比べて、2-1/2倍に改善される。
【0063】図9に戻って、被分析電子線は、電子銃(E
lectron Gun)92で磁性金属試料93を照射し、そこ
からの二次電子を加速して用いるようにしている。一次
電子ビームの加速電圧は15kV、ビーム電流は1nA
とする。試料93からの二次電子は、750Vのコレク
タ電極で集めて複数の電極からなる加速管(電子レンズ
91)に導入し、最終的に30kVに加速して金ターゲ
ット90に衝突させる。電子検出器81〜88の電子取
り込み口は、750Vにバイアス電圧を印加している。
観測対象には、MgO(001)基板上に堆積された厚
さ200nmの純鉄薄膜試料を用いている。実効シャー
マン関数は0.26と見積もった。
【0064】積算時間1(s)の測定を100回繰り返し
た結果から見積もった測定値のばらつきは、第1組だけ
を用いた場合にはδP1=0.011であったが、すべ
ての電子検出器を利用した場合にはδP=0.0076
になった。同じ統計精度を得るためには、従来のように
4個の電子検出器を使った場合にくらべて半分の時間で
済み、実用的な改善であることがわかる。
【0065】次に、前記第3の実施の形態のように、タ
ーゲットの片面で異なる散乱角の電子を受ける8個の電
子検出器を有する第2の具体例の偏極分析器の場合は、
以下のようになる。なお、ここでは前記図3を用いて説
明する。
【0066】この第2の具体例の偏極分析器では、直径
25mmで厚さ0.5mmの円盤状の純金板を散乱用タ
ーゲット30とし、前記図3に示すように、当該ターゲ
ット30の面に平行で且つ25mm離れた面内に4個の
電子検出器(第1組の電子検出器211、212、2
3、214)を散乱角115度の電子を見るように配置
し、また、ターゲット30から35mm離れた面内に散
乱角140度の電子を見込むように4個の電子検出器
(第2組の電子検出器221、222、223、224)を
配置している。
【0067】被分析電子線は、前記図9の場合と同様で
あり、図示は省略するが、電子銃で磁性金属試料を照射
し、そこからの二次電子を加速して用いるようにしてい
る。一次電子ビームの加速電圧は15kV、ビーム電流
は1nAとする。試料からの二次電子は、750Vのコ
レクタ電極で集めて複数の電極(この例では7段の電極
とした)からなる加速管に導入し、最終的に30kVに
加速して金ターゲット30に衝突させる。電子検出器の
電子取り込み口は、750Vにバイアス電圧を印加して
いる。観測対象には、MgO(001)基板上に堆積さ
れた厚さ200nmの純鉄薄膜試料を用いている。
【0068】ここで、電子検出器1個当たりの計数率
は、第1組では60kcps、第2組では56kcps
程度であった。また、第1組のみ、または第2組のみを
個別に用いて偏極測定を行った場合、第1組の実効シャ
ーマン関数Seff-1は0.25、第2組の実効シャーマ
ン関数Seff-2は0.22と評価された。
【0069】偏極測定の統計誤差は次のように、実効シ
ャーマン関数と、用いられた総計数値Ntotの両方に依
存する。
【0070】 δPi=(1/Seff)・δAi=(1/Seff)・Ntot -1/2 したがって、実効シャーマン関数の値が大きく、計数の
値も大きな第1組の電子検出器からの測定値の方が統計
誤差が小さく信頼度の高い数値を与えることがわかる。
この違いを考慮して、第1組と第2組の測定結果を組合
わせてより信頼できる数値をもとめる手続きとして、そ
れぞれの組の与える偏極の値の加重平均をとる。すなわ
ち、第1組が与えた偏極成分の値Px-1と第2組からの
値Px-2の平均値としてつぎの値を採用する。
【0071】 Px=w1・Px-1+w2・Px-2y=w1・Py-1+w2・Py-2 ただし、重み係数w1,w2は、 w1=δP2/(δP1+δP2) w2=δP1/(δP1+δP2) によって定めた。
【0072】積算時間1(s)の測定を100回繰り返し
た結果から見積もった測定値のばらつきは、第1組だけ
を用いた場合にはδP1=0.012であったが、すべ
ての電子検出器を利用した場合にはδP=0.009に
なった。電子検出器の個数が2倍になっても2-1/2倍の
改善がないのは、第2組の統計誤差が第1組に較べて大
きいためである。両方の組の8個の検出器を利用する
と、第1組の4個だけを用いた場合に比べ、約60%の
積算時間で統計誤差を同等の大きさに抑えられることが
わかった。
【0073】この第2の具体例では、前記第1の具体例
に較べると、電子検出器の個数を増した効果が小さい
が、電子検出器の配置を同一円周上に8個でなく互い違
いにして重なりを避けたため、装置の小型化が達成され
ている。第1の具体例では偏極分析器の真空容器とし
て、内径144mmのステンレス・パイプ(外径204
mmフランジ)を要したのに対して、第2の具体例で
は、ひとまわり小さい内径94mmのパイプ(外径15
2mmフランジ)に組込むことができた。
【0074】次に、第3の具体例として、前記第5の実
施の形態のように、ターゲット両面で後方散乱電子と前
方散乱電子を受ける合計16個の電子検出器を有する偏
極分析器の場合は、以下のようになる。なお、ここでは
前記図5を用いて説明する。
【0075】この第3の具体例の偏極分析器は、前記図
5のように、電子が透過する薄膜ターゲット70を用い
て、ターゲット70の前面に散乱角120度の電子を受
ける8個の電子検出器61(第1組の電子検出器)と、
ターゲット70の背面に散乱角60度の電子を受ける8
個の電子検出器62(第2組の電子検出器)を配置した
ものである。ターゲット70には、内径10mmのステ
ンレス環で支持された厚さ0.02mmのマイラー箔に
真空蒸着で堆積した膜厚100nmの金薄膜を使用し
た。
【0076】被分析電子線は、前記図9の場合と同様
に、電子銃で磁性金属試料を照射し、そこからの二次電
子を加速して用いる。一次電子ビームの加速電圧は15
kVで運転し、試料からの二次電子は750Vのコレク
タ電極で集めて7段の電極からなる加速管に導入し、最
終的に30kVに加速して金ターゲットに衝突させる。
電子検出器の電子取り込み口は750Vにバイアス電圧
を印加している。観測対象にはMgO(001)基板上
に堆積された厚さ200nmの純鉄薄膜試料を用いた。
【0077】この第3の具体例は、一次ビーム電流を第
1の具体例及び第2の具体例の1nAに較べて小さい
0.2nAとし、披分析電子線が弱い場合(電子エネル
ギ分析器を併用した場合などに相当する)の偏極分析の
実験とした。この条件下で、第1組の電子検出器1個当
たりの計数率は、入射した電子線が薄膜ターグットを透
過する効果のためもあって、10kcpsであった。一
方、第2組では、前方散乱が強いことに助けられて85
kcps程度であった。また、第1組のみ、または第2
組のみを個別に用いて偏極測定を行った場合、第1組の
実効シャーマン関数Seff-1は0.31、第2組の実効
シャーマン関数Seff-2は0.10と評価された。
【0078】積算時間1(s)の測定を100回繰り返し
た結果から見積もった測定値のばらつきは、従来型の偏
極分析器と同じように4個の電子検出器(第1組8個の
うち1/2)だけを用いた場合には、δP1/2=0.0
23であった。第1の具体例にならって第1組の8個の
電子検出器全部を用いた測定を行うと、δP1=0.0
16、また第2組の8個の電子検出器全部を用いた測定
を行うと、δP2=0.017であった。16個すべて
の電子検出器を利用した測定の場合には、第1組の8個
の電子検出器による測定結果と第2組の8個の電子検出
器の測定結果を第2の具体例にならって加重平均した。
16個の電子検出器を利用の場合のばらつきはδP=
0.012になった。従来型に相当する4個の電子検出
器を利用した測定の場合のδP1/2=0.023に較べ
ると、同じ積算時間でのばらつきが略々半分に減り、ま
た同等の統計誤差を得るために必要な積算時間は約1/
4と著しく短縮されることがわかった。また本発明の場
合、電子検出器の数は多いものの、ターゲットが1枚な
ので、複数のターゲットを用いる多段式偏極分析器に較
べて偏極分析器の長さが短く、真空容器(試料室など)
への取り付け時に他の装置構成要素と干渉がなく、複合
分析装置に用いる際に取付け姿勢の自由度が高い。
【0079】次に、第4の具体例として、第1の具体例
として説明した8個の電子検出器を有する偏極分析器を
利用した磁区観察用偏極SEMについて説明する。
【0080】第1の具体例で述べた偏極分析器を用い
て、前記図9のような磁区観察用走査型電子顕微鏡を作
製した。この第4の具体例では、一次電子ビームの加速
電圧は15kV、ビーム電流は1nAであり、試料から
の二次電子は750Vのコレクタ電極で集めて7段の電
極からなる加速管に導入し、最終的に30kVに加速し
て金ターゲットに衝突させた。
【0081】第1の観測対象には、ガラス基板上に堆積
された厚さ200nmの純鉄薄膜試料を用いた。このと
き電子検出器1個(1チャンネル)当たりの計数率は略
々60kcpsであった。1測定点当たりの積算時間を
25msとして2成分の偏極測定を行い、1.0mm×
1.0mmの領域を走査し、100×100画素の磁区
像に表した。全積算時間は約10分で、従来の4個の電
子検出器を持つ偏極分析器で20分を要した画質の磁区
像を得ることができた。
【0082】第2の観測対象には、MgO(111)基
板上に堆積された厚さ20nmのパーマロイ薄膜試料を
用いた。このとき電子検出器1個(1チャンネル)当た
りの計数率はほぼ60kcpsであった。1測定点当た
りの積算時間を200msとして2成分の偏極測定を行
い、1.5mm×1.5mmの領域を走査し100×1
00画素の磁区像に表した。全積算時間は約1時間で、
必ずしも短い時間ではないが、飽和磁束密度が鉄の半分
の値をもつパーマロイの磁区を明瞭に観察することがで
きた。同等の画質を従来の4個の電子検出器を持つ偏極
分析器で得るためには全積算時間は2時間程度が必要で
あったので、大きな改善である。
【0083】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
偏極分析器においては、被分析電子線を加速して衝突さ
せる金属のターゲットと、当該ターゲットによって散乱
された電子線を計数する電子検出器とを有してなり、散
乱電子線の角度分布を測定することに基づき被分析電子
線の偏極を測定する形式のものであって、1個のターゲ
ットにつき電子検出器の個数が、n>2×m (但し、
nは電子検出器の個数であり、mは測定する偏極成分の
数である。)の関係を満たすことにより、散乱電子の電
子検出器への単位時間当たり総取り込み個数の上限値を
高め、短時間で高精度の偏極測定を達成することが可能
である。
【0084】また、本発明の偏極分析器は、多段式偏極
分析器とすることもでき、これら偏極分析器を利用する
解析装置としては、電子エネルギ分析器やウィーンフィ
ルタ又はその発展型スピン回転器或いは静電型90度偏
向器の何れか若しくはそれらの組み合わせからなる電子
光学装置や解析分析装置など、さらに、磁区観察用走査
電子顕微鏡、被分析試料を電子銃からのビームでたたい
て得られるAuger電子のエネルギを分析する解析装
置、励起用の電磁波によって被分析試料から真空中へ励
起された光電子のエネルギ分析機能を有する光電子分光
装置、被分析試料によって散乱された電子のエネルギ損
失を測定する機能を有する電子エネルギ損失分光装置な
どと組み合わせることもでき、これら各種装置において
も高精度且つ短時間の測定が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の偏極分析器の概略
構成を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の偏極分析器の概略
構成を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態の偏極分析器の概略
構成を示す図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態の偏極分析器の概略
構成を示す図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態の偏極分析器の概略
構成を示す図である。
【図6】多数個の電子検出器の計数値から偏極成分を求
める手続きの説明に用いる図である。
【図7】散乱電子束の方位依存の説明に用いる図であ
る。
【図8】偏極成分の方位依存の説明に用いる図である。
【図9】第1の具体例の偏極分析器の構成を示す図であ
る。
【図10】第1の具体例の8検出器式偏極分析器の構成
説明に用いる図である。
【図11】従来の1成分偏極分析器の構成を示す図であ
る。
【図12】従来の2成分偏極分析器の構成を示す図であ
る。
【符号の説明】
1〜6,11〜18,21,22,41,61,62,
81〜88 電子検出器、 10,20,30,50,
70,90 ターゲット、 51 マイクロチャンネル
プレート、 91 電子レンズ、 92 電子銃、 9
3 試料

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被分析電子線を加速して衝突させる金属
    のターゲットと、当該ターゲットによって散乱された電
    子線を計数する電子検出器とを有してなり、上記散乱電
    子線の角度分布を測定することに基づき上記被分析電子
    線の偏極を測定する形式の偏極分析器において、 1個のターゲットにつき、電子検出器の個数が下記式の
    関係を満たすことを特徴とする偏極分析器。 n>2×m 但し、nは電子検出器の個数であり、mは測定する偏極
    成分の数である。
  2. 【請求項2】 異なる散乱角の電子を受けるように電子
    検出器が配置されてなることを特徴とする請求項1記載
    の偏極分析器。
  3. 【請求項3】 被分析電子線の経路近くに現れる散乱線
    を検出するための検出器としてマイクロチャンネルプレ
    ートを設けることを特徴とする請求項2記載の偏極分析
    器。
  4. 【請求項4】 上記電子検出器をターゲットの表側だけ
    に配置すると共に、堅牢且つ保持、取り扱いの容易な厚
    膜又は板状のターゲットを用いることを特徴とする請求
    項1記載の偏極分析器。
  5. 【請求項5】 上記被分析電子線が透過する薄膜ターゲ
    ットを用い、ターゲットの表裏両側に電子検出器を配置
    して前方散乱電子と後方散乱電子の両方を測定に利用す
    ることを特徴とする請求項1記載の偏極分析器。
  6. 【請求項6】 被分析電子線を加速して衝突させる金属
    のターゲットを2個以上備えると共に、上記ターゲット
    によって散乱された電子線を計数する電子検出器を1タ
    ーゲットについて2個よりも多数個又は4個よりも多数
    個備えてなる偏極分析器を多段に構成し、特に前段の偏
    極分析器に備えた薄膜ターゲットを透過した被分析電子
    線成分を後段の偏極分析器に入射させ、二つ以上のター
    ゲットを用いて偏極測定を行う多段式偏極分析装置であ
    って、 要素となる個々の偏極分析器は、1個のターゲットにつ
    き電子検出器の個数が下記式の関係を満たすことを特徴
    とする多段式偏極分析装置。 n>2×m 但し、nは電子検出器の個数であり、mは測定する偏極
    成分の数である。
  7. 【請求項7】 被分析電子線を、電子エネルギ分析器、
    ウィーンフィルタ又はその発展型スピン回転器、静電型
    90度偏向器の何れか若しくはそれらの組み合わせを通
    過させた後に、 被分析電子線を加速して衝突させる金属のターゲット
    と、当該ターゲットによって散乱された電子線を計数す
    る電子検出器とを有してなり、上記散乱電子線の角度分
    布を測定することに基づき上記被分析電子線の偏極を測
    定する形式であり且つ、1個のターゲットにつき電子検
    出器の個数が下記式の関係を満たす偏極分析器に入射す
    るように組み合わせてなることを特徴とする電子光学装
    置。 n>2×m 但し、nは電子検出器の個数であり、mは測定する偏極
    成分の数である。
  8. 【請求項8】 被分析電子線を加速して衝突させる金属
    のターゲットと、当該ターゲットによって散乱された電
    子線を計数する電子検出器とを有してなり、上記散乱電
    子線の角度分布を測定することに基づき上記被分析電子
    線の偏極を測定する形式であり且つ、1個のターゲット
    につき電子検出器の個数が下記式の関係を満たす偏極分
    析器を利用することを特徴とする解析分析装置。 n>2×m 但し、nは電子検出器の個数であり、mは測定する偏極
    成分の数である。
  9. 【請求項9】 被分析試料を照射する電子銃を備え、上
    記被分析試料から放出される二次電子の偏極分析に、 被分析電子線を加速して衝突させる金属のターゲット
    と、当該ターゲットによって散乱された電子線を計数す
    る電子検出器とを有してなり、上記散乱電子線の角度分
    布を測定することに基づき上記被分析電子線の偏極を測
    定する形式であり且つ、1個のターゲットにつき電子検
    出器の個数が下記式の関係を満たす偏極分析器を利用す
    ることを特徴とする磁区観察用走査電子顕微鏡。 n>2×m 但し、nは電子検出器の個数であり、mは測定する偏極
    成分の数である。
  10. 【請求項10】 被分析試料を電子銃からのビームでた
    たいて得られるAuger電子のエネルギを分析する機
    能を有する解析装置であって、被分析電子線を加速して
    衝突させる金属のターゲットと、当該ターゲットによっ
    て散乱された電子線を計数する電子検出器とを有してな
    り、上記散乱電子線の角度分布を測定することに基づき
    上記被分析電子線の偏極を測定する形式であり且つ、1
    個のターゲットにつき電子検出器の個数が下記式の関係
    を満たす偏極分析器を利用して、Auger電子のスピ
    ンも測定することを特徴とする解析装置。 n>2×m 但し、nは電子検出器の個数であり、mは測定する偏極
    成分の数である。
  11. 【請求項11】 励起用の電磁波源を備え、その電磁波
    によって被分析試料から真空中へ励起された光電子のエ
    ネルギ分析機能を有する光電子分光装置であって、被分
    析電子線を加速して衝突させる金属のターゲットと、当
    該ターゲットによって散乱された電子線を計数する電子
    検出器とを有してなり、上記散乱電子線の角度分布を測
    定することに基づき上記被分析電子線の偏極を測定する
    形式であり且つ、1個のターゲットにつき電子検出器の
    個数が下記式の関係を満たす偏極分析器を利用して、光
    電子のスピンも測定することを特徴とする光電子分光装
    置。 n>2×m 但し、nは電子検出器の個数であり、mは測定する偏極
    成分の数である。
  12. 【請求項12】 試料を照射する電子源を備え被分析試
    料によって散乱された電子のエネルギ損失を測定する機
    能を有する電子エネルギ損失分光装置であって、 被分析電子線を加速して衝突させる金属のターゲット
    と、当該ターゲットによって散乱された電子線を計数す
    る電子検出器とを有してなり、上記散乱電子線の角度分
    布を測定することに基づき上記被分析電子線の偏極を測
    定する形式であり且つ、1個のターゲットにつき電子検
    出器の個数が下記式の関係を満たす偏極分析器を利用し
    て、散乱された電子のスピンも測定することを特徴とす
    る電子エネルギ損失分光装置。 n>2×m 但し、nは電子検出器の個数であり、mは測定する偏極
    成分の数である。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2018504641A (ja) * 2015-02-03 2018-02-15 ケーエルエー−テンカー コーポレイション ペリクルを通したフォトマスクの描画方法およびシステム

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