JP3653925B2 - 眼鏡レンズの検査方法、検査装置 - Google Patents

眼鏡レンズの検査方法、検査装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、累進多焦点眼鏡レンズのような眼鏡レンズの度数、プリズムおよび中心厚の測定を自動的に行うことができる眼鏡レンズの検査方法および検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
工業製品の多くについては、製造された製品が良品か不良品かを判別するために製造過程の最後において検査が行われる。眼鏡レンズにおいては、単焦点眼鏡レンズの場合は頂点屈折力、プリズム屈折力、および中心厚などを測定して良品あるいは不良品の判別が行われる。また、2重焦点眼鏡レンズや累進多焦点眼鏡レンズなどの多焦点眼鏡レンズの場合は、遠用部頂点屈折力、プリズム屈折力および中心厚などを測定して良品あるいは不良品の判別が行われる。なお、本明細書においては、単焦点眼鏡レンズの頂点屈折力と共に遠用部頂点屈折力を度数と示し、遠用部頂点屈折力のみを示すときは遠用度数と示す。また、プリズム屈折力をプリズムと示すこととする。
【0003】
度数およびプリズムを検査する際は、検査作業者が、予め設計時に定められている眼鏡レンズの度数およびプリズムの測定部分を示す測定基準点を確認する。そして、その測定部分の眼鏡レンズの凹面(眼球側の面)が、度数およびプリズムを測定可能なレンズメータの測定端子の上面に水平に接するように、眼鏡レンズの位置および姿勢を決定し、そのままの状態で手や治具で保持してレンズメータに表示される測定値に基づいて良品あるいは不良品の判別を行っている。
【0004】
また、中心厚の検査は、検査作業者が、予め設計時に定められている眼鏡レンズの中心厚の測定基準点を確認する。次に、その測定基準点がダイヤルゲージの測定端子に水平に接するように眼鏡レンズの位置および姿勢を決定し、そのままの状態で手や治具で保持してダイヤルゲージに表示される測定値に基づいて良品あるいは不良品の判別を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、種々の製品市場において価格破壊と称される急激な低価格化が進行している。眼鏡レンズについても、より一層の低価格化の要求が強まってきており、これに対応するために製造コストを大幅に低減することが重要な課題となっている。従来より、各製造工程においては、歩留りを向上するために製品や製造技術の改良、工程の簡略化、自動化による人件費の削減など、種々のコスト低減策がこうじられている。
【0006】
これに対し、検査工程については製品品質を保証するために、検査工程の簡略化や検査項目の一部省略などの対応は不可能である。従って、自動化により人件費を削減することが最も望ましい方法となる。しかしながら、眼鏡レンズの検査においては、上記のような度数、プリズムおよび中心厚の測定が必要であり、これらを測定するためのレンズの位置や姿勢が個々のレンズの仕様などによって異なり熟練を要する分野なので自動化がほとんど困難な状況にある。すなわち、眼鏡レンズの度数、プリズムおよび中心厚を正確に測定するためには、これらの各測定基準点を、度数およびプリズムを測定するレンズメータ、中心厚を測定するダイヤルゲージの各測定端子に対して正確に位置決めし、かつ測定端子に当たる部分が水平になるように正しい姿勢に保持する必要がある。単焦点眼鏡レンズの場合は、一般に、度数、プリズムおよび中心厚の測定基準点は、いずれも眼鏡レンズの幾何学中心に定められている。このため、測定基準点の位置および姿勢を決定することは、多焦点レンズに比べればそれほど困難ではない。しかしながら、製造された眼鏡レンズが真円になっているとは限らないために何らかの手段で幾何学的な中心位置(設計上の中心位置)を決定する必要がある。
【0007】
一方、累進多焦点レンズなどの多焦点レンズの遠用度数の測定基準点(遠用中心)は、通常、幾何学的な中心から5〜20mm程度上方(着用時の上方)に定められており、かつ、その位置は設計の相違に伴って各製品毎に異なっているのが通常である。さらに、この幾何学的な中心位置から外れた場所にある測定部分では、眼鏡レンズの凹面側(眼球側)の面形状、特に、中心位置に対する傾き角度は、製品毎、設計度数毎で異なっている。従って、自動的に測定部分の位置および姿勢を決定することは従来では不可能であり、さらに測定中にその姿勢を安定して保持することも難しく、多焦点レンズの度数の測定を自動化することは実現されていない。さらに、プリズムや中心厚といった幾何学中心で行えば良い測定が自動化されたとしても人件費や検査時間の短縮には繋がらず、製造コストを低減する上で大きなネックになっている。
【0008】
度数の測定はもちろん、プリズムおよび中心厚の測定も、レンズメータやダイアルゲージに対し眼鏡レンズを水平な状態で設定して測定する必要がある。このように、眼鏡レンズの検査を行うための測定は、高度な熟練を要する作業であり、作業者の熟練度の差によって測定結果にばらつきが発生するという問題もある。また、熟練が必要なために、検査作業者の養成に多大な費用や時間が必要となり、一連の製造工程のなかでも非常に人件費の占める割合の高い工程になっている。
【0009】
そこで、本発明においては、眼鏡レンズ、特に累進多焦点レンズなどの多焦点レンズも含めた眼鏡レンズ全体の度数、プリズムおよび中心厚の測定を自動化することができる検査方法および検査装置を提供することを目的としている。また、これらの測定を自動化することによって、検査工程を省力化し、製造コストを低減すると共に、検査結果のばらつきなどを防止し、常に精度の高い検査ができるようにすることを目的としている。そして、高品質の眼鏡レンズを短時間および低コストで安定して供給することができる検査方法および検査装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明においては、眼鏡レンズの製造時に作り込まれる隠しマークを自動認識して中心位置と水平基準線を識別し、これらに基づいて多焦点レンズの測定部分となる遠用中心などを自動的に決定できるようにしている。
【0011】
すなわち、本発明の眼鏡レンズの検査方法においては、眼鏡レンズをチャックして眼鏡レンズの度数、プリズムおよび中心厚の少なくともいずれかの測定を行う検査工程と、この検査工程に先立って、チャッキングした眼鏡レンズの基準となる位置を認識する位置決め工程とを有しており、位置決め工程は、複数の単色光光源の中から、眼鏡レンズのいずれかの面に設けられた少なくとも2つの隠しマークを、それらの隠しマークが付されたそれぞれの面部分をほぼ垂直な方向に透過する単色の検出光のみを用いて検出する工程と、これらの隠しマークによって眼鏡レンズの水平基準線と中心位置を認識する工程とを備えていることを特徴としている。
【0013】
型を用いてモールドされた眼鏡レンズには、幾何学中心(中心位置)を含んだ水平基準線に沿って、中心位置に対し対称な位置に2つの隠しマークが2〜3μm程度の微小な凹凸によって形成されている。従って、隠しマークを自動的に検出することによりチャッキングされた眼鏡レンズの中心位置や水平基準線を認識することができ、この認識された位置に基づいて測定点を決定したり、あるいは、眼鏡レンズの中心位置や水平基準線が所定の位置になるように移動してその後の測定を始めることができる。本発明の検査方法では、複数の単色光光源の中から、隠しマークが付されたそれぞれの面部分をほぼ垂直な方向に透過する単色の検出光のみを用いることによって各々の隠しマークを自動的に検出できるようにしている。このため、本発明の検出装置は、チャッキングした眼鏡レンズの測定するための基準となる位置を認識可能な位置決め装置を設けてあり、この位置決め装置は、水平基準線に沿って配置される複数の単色光光源の中から単色光光源を選択し、眼鏡レンズのいずれかの面に設けられた少なくとも2つの隠しマークの近傍の面部分に対し、ほぼ垂直な方向に透過する単色の検出光を照射可能な照射装置と、眼鏡レンズのそれぞれの面部分を透過した各々の検出光を受光する受光装置と、受光された画像から隠しマークを識別して眼鏡レンズの水平基準線と中心位置を認識可能な画像処理装置とを備えている。隠しマークの付された面部分のプリズムを考慮した角度で単色光の検出光を隠しマークに当てることにより、微小な凹凸である隠しマークをCCDなどの受光装置で捉えることが可能となる。そして、この捉えられた隠しマークが所定の位置になるようにチャッキングされた眼鏡レンズを旋回あるいは移動することによって、どの眼鏡レンズに対しても中心位置および水平基準線が常に検査装置内では同じ位置になるように眼鏡レンズの位置決めを自動的に行うことが可能になる。従って、様々な仕様の眼鏡レンズに対して、検査工程における度数、プリズムあるいは中心厚を測定する測定部分の位置を自動的に特定することが可能になる。
【0015】
このように、本発明の検査方法あるいは検査装置を用いれば、どのような眼鏡レンズに対しても予め設定された所定の測定部分の度数、プリズムあるいは中心厚を自動測定することができる。従って、遠用部および近用部を備えた多焦点眼鏡レンズに対して次のような工程で検査を自動化することができる。
【0016】
1.多焦点レンズをチャックして多焦点眼鏡レンズのいずれかの面に設けられた少なくとも2つの隠しマークを、複数の単色光光源の中から、それらの隠しマークが付されたそれぞれの面部分をほぼ垂直な方向に透過する単色の検出光のみを用いて検出する工程。
【0017】
2.これらの隠しマークによって多焦点眼鏡レンズの水平基準線と中心位置を認識する工程。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照しながら本発明をさらに詳しく説明する。図1に、本発明に係る眼鏡レンズの検査装置の概略構成を示してある。本例の検査装置10は、上流の工程から供給された眼鏡レンズ1を受け取り、概略の位置決めを行ってチャッキング装置70に渡すプリセットステーション20、チャッキングされた眼鏡レンズ1の隠しマークを検出して中心位置および水平基準線を認識して詳細な位置を把握する位置決めステーション30、ダイアルゲージ41を用いて眼鏡レンズの中心厚を測定する第1の測定ステーション40、眼鏡レンズ1の姿勢を制御可能な姿勢制御ステーション50、および、レンズメータ61を用いて遠用中心の度数と中心位置のプリズムを測定可能な第2の測定ステーション60が並んで配置されており、これらの各ステーション20、30、40、50および60の間をチャッキング装置70によって眼鏡レンズ1をチャッキングした状態で移動できるようになっている。また、これらのステーション20、30、40、50および60、さらに、チャッキング装置70は、共通の台盤19に取り付けられており、プリセットステーション20や位置決めステーション30で眼鏡レンズ1の向きや位置が決定されると、その向きや位置に基づき、測定用の各ステーション40および60に所定の測定を行うために適切な位置を適切な姿勢でセットできるようにしている。
【0023】
本例の検査装置10は、これらの各ステーション20、30、40、50および60、およびチャッキング装置70の制御を行うと共に、位置決めステーション30で得られた位置情報や第1および第2の測定ステーション40および60で測定された測定値を記憶し、また、各眼鏡レンズの設計データをサーバやホストコンピュータなどから受信して測定部分の位置を決定するなどの諸機能を備えた検査コンピュータ11を備えている。この検査コンピュータ11は、ディスプレイ14やコンピュータ本体15に加え、フロッピーディスクやCD−ROMなどの移動可能な記録媒体12に対し入出力する機能や、ハードディスクなどの固定された記録媒体13に入出力する機能を備えている。従って、オペレータは検査装置10における各眼鏡レンズ1の状態や測定値を画面上で確認でき、また、測定情報などのデータや固定型の記録媒体13や移動型の記録媒体12に格納したり、ホストコンピュータなどに送信できるようになっている。さらに、この検査装置10を作動させる制御プログラムも固定型の記録媒体13や移動型の記録媒体12に収納して用いたり、あるいは提供することが可能であり、累進多焦点レンズなどの多焦点レンズの検査と、通常の単焦点レンズの検査とでプログラムを入れ替えて検査を行うなどの処理が簡単にできるようになっている。
【0024】
〔プリセットステーション〕
以下に累進多焦点レンズの検査を行うための各ステーションの動作を順番に説明する。まず、プリセットステーション20は、眼鏡レンズ1の幾何学的中心がほぼ決定できるように供給された眼鏡レンズ1を確保し、チャッキング装置70がその状態で保持できるようにする。このため、図2および図3に示すように、本例のプリセットステーション20は、レンズ1の中央部を受ける受け台21と、その周囲に等間隔に配置された3本の棒状のチャック22を備えている。受け台21は、上部に眼鏡レンズ1の凹面側(眼球側)2の中央部を乗せると眼鏡レンズ1がほぼ水平になるように、上方に向かって凸状になった上部分23を備えており、さらに、その上部分23の先端24は水平面となるようにカットされている。
【0025】
棒状のチャック22は、それぞれが受け台21の方向Wに向かって移動できるようになっている。また、3本のチャック22は受け台21の中心に対して当距離となるように連動して移動するように検査コンピュータ11によって制御される。従って、チャック22がレンズ1の外周部1aに均等に接触するように動くと、眼鏡レンズ1はほぼ真円に近い形状に成型されているので受け台21の上に眼鏡レンズ1の幾何学的な中心(中心位置)4がセットされ、眼鏡レンズ1はほぼ水平な状態でチャック22によって保持されることになる。なお、本例では、3本のチャックを備えたプリセットステーションの例を示してあるが、チャックの本数は4本以上であっても良いことはもちろんである。
【0026】
累進多焦点レンズ1は、製造過程で、予めその上下方向を示す印あるいは記号が印刷あるいは刻印されている。例えば、図9に示すように、レンズ1の垂直基準線8に沿った上端に上方を示すマーク9が付されている。従って、このマーク9を台盤19の所定の方向29に合致するようにオペレーターが眼鏡レンズ1の向きを揃えることができる。もちろんオペレーターがプリセットする代わりに、簡易な画像処理装置を備えたプリセットロボットが自動的にプリセットするようにしてもよい。本例のプリセットステーション20は、受け台21を回転できる回転台25が設けられている。従って、図4に示すように、マーク9が方向29とずれて眼鏡レンズ1がプリセットされた場合は、オペレーターが回転台25を動かして眼鏡レンズ1を回転移動し、眼鏡レンズ1の上方を示すマーク9が、所定の位置29に合致するように姿勢を調整することができる。もちろんこの場合にも、簡易な画像処理装置を備えたプリセットロボットが自動的にずれを修正するようにしてもよい。
【0027】
このようにして、眼鏡レンズ1の大まかな位置が決定されると、図5に示すように、ステーション間を移動可能なチャッキング装置70の2本のチャック73でほぼ眼鏡レンズ1の水平基準線に沿った両端を保持し、眼鏡レンズ1を確保する。そして、プリセットステーション20のチャック22から眼鏡レンズ1を開放する。図6に、チャッキング装置70の詳細を示してある。本例のチャッキング装置70は、各ステーション20、30、40、50および60に沿って敷設されたレール71と、このレール71に沿って移動可能な移動ステーション72を備えており、移動ステーション72から各ステーション20〜60が配置された方向に2本のアーム74aおよび74bが延びている。各アーム74aおよび74bの先端には、内側に向かってチャック73がそれぞれ設けられており、2本のチャック73によって眼鏡レンズ1の直径方向に延びた水平基準線7の外周1aを挟み込んで眼鏡レンズ1を安定して保持できるようになっている。また、各チャック73は外周1aに沿って延びた形状となっており、外周1aに沿った広い範囲あるいは複数箇所で眼鏡レンズ1に接触して眼鏡レンズ1と十分なコンタクトが保てるようにしている。また、それぞれのチャック73は、アーム74aおよび74bに対し水平基準線7を軸として旋回できるようになっている。さらに、この方向のチャック73の旋回運動を制御できるように、それぞれのアーム74aおよび74bには、チャック73と共に回転するブレーキ用のディスク75と、これを停止するためのシリンダ76が設けられている。また、アーム74aおよび74bは移動ステーション72に対し、チャッキングした眼鏡レンズ1をθ方向に平面的に旋回でき、また、レール71に平行なX方向および垂直なY方向に微小移動できるようになっている。従って、チャッキング装置70は、眼鏡レンズ1をθ、XおよびYの全ての方向に微小移動することができ、さらに、水平基準軸7を軸として旋回も可能なので、眼鏡レンズ1の姿勢を自由に保持することができる。
【0028】
〔位置決めステーション〕
図7に、本例の検査装置10に採用されている位置決めステーション30の概要を示してある。本例の位置決めステーション30は、緑色の単色光を照射する複数のLED32が眼鏡レンズ1の水平基準軸方向に並んだ照射装置31と、これらのLED32のいずれかから照射された後にレンズ1を透過した光を捉えられる受光装置33を備えている。受光装置33は、水平基準軸方向に所定の距離を置いて並んだ2つのCCD34aおよび34bを備えており、これらのCCD34aおよび34bの捉えた画像は画像処理装置35に入力される。画像処理装置35の解析結果は、検査コンピュータ11に伝達され、検出された隠しマークが所定の基準位置となるようにチャッキング装置70が動かされるようになっている。このような位置決めステーション30の照射装置31と受光装置33の間にチャッキングされた眼鏡レンズ1が設置されると、LED32が順番に点灯され、いずれかのLED32を点灯したときにLED32から出射された検出光が眼鏡レンズ1のプリズムによって適当な角度に屈折して隠しマークの付された面にほぼ垂直な方向に透過し、隠しマークを写し出すことができる。従って、CCD34aおよび34bで水平基準軸に沿って設けられた隠しマークを捉えることができるので、図8に示すように、隠しマーク5の位置が位置決めステーションで予定された水平基準軸の予定位置と異なっている場合はチャッキング装置70をθ方向に旋回したりX、Y方向に移動する。このような処理を繰り返すことによって、眼鏡レンズ1の水平基準軸7の方向および中心位置6を全ての眼鏡レンズに対し所定の位置に精度良くセットすることが可能となる。
【0029】
図9に示すように、型を用いて成型されたプラスチック製などの累進多焦点レンズは、凸面(物体側の面)3が累進面となっており、物体側の面3に水平基準線7の位置を示す隠しマーク5(本例では、Sの字となっている)、加入度表示6aおよびレンズ識別マーク6bなどの情報が高さ2〜3μm程度の凹凸で形成されている。隠しマーク5は水平基準線7を示すと共に、レンズ1の幾何学的な中心(中心位置、フィッティングポイント)4がこれらの隠しマーク5の中点となるように形成されている。従って、隠しマーク5を認識することによって、設計上の中心位置4および水平基準線7を知ることができ、この情報から累進多焦点レンズなどの多焦点レンズの度数を測定する測定部分となる遠用中心81の位置を正確に得ることができる。
【0030】
累進多焦点レンズ1は、図9に示すように、通常は水平基準線7の上方に遠方に焦点を合わせた遠用部82aが構成され、水平基準線7の下方に近傍に焦点を合わせた近用部82bが構成され、これら遠用部82aおよび82bの間が徐々に屈折力が変化する累進部82cとなっている。このため、累進多焦点レンズ1の設計上の度数の代表点は遠用部82aの遠用中心81となっており、この遠用中心81は、レンズ1の幾何学的な中心位置4とは異なり、中心位置4から上方の垂直基準線8に沿った主注視線上に位置する点となることが多い。いずれにしても、位置決めステーション30で隠しマーク5を認識できれば、水平基準線7および中心位置4が識別できるので、中心位置4から所定の方向および所定の距離にある遠用中心81の位置を特定することができる。遠用中心81と中心位置4との方向および距離は、設計情報として、ホストコンピュータあるいはサーバから検査コンピュータ11が取得できるようになっている。
【0031】
本例の位置決め装置30は、照射装置31から照射された検出光36が眼鏡レンズ1の眼球側の面2および物体側の面3で屈折し、これらの面のプリズム効果によって角度が変わった後に、物体側の面3の隠しマーク5の付された面部分をほぼ垂直な方向に透過した光をCCD34aおよび34bで受光できるようにしている。眼鏡レンズの仕様が異なると、眼球側の面2および物体側の面3の曲率が異なるので、隠しマーク5の付された面部分を透過する光の経路も変化する。このため、複数のLED32を水平基準線に沿って並べて、これらのLED32を順番に点灯することによって種々な位置から検出光36を入射させ、微小な凹凸である隠しマーク5が画像処理装置35によって十分に識別できる程度に写し出せる検出光を選択できるようにしている。また、単色光を用いて色収差による画像のぼけをできるだけ防止し、シャープな隠しマーク5の画像が得られるようにしている。従って、照射装置31の光源は、本例のようなLEDアレイにかぎらず、水平基準線に沿って適当な角度で検出光を照射し、隠しマーク5の付された面部分をほぼ垂直に照らしだせる光源であればどのようなものであっても良いことはもちろんである。また、光源の波長は緑色に限らないが、隠しマーク5をよりシャープに映し出すためには直進性の良い波長の短い光源が望ましく、本例のように緑色あるいは青色などの光が望ましいと考えられる。
【0032】
図10に、本例の位置決めステーション30で隠しマーク5を認識する過程の一例を示してある。本例では、プリセットステーション20で、水平基準線および中心位置をほぼ合わせてからチャッキング装置70で眼鏡レンズ1を保持している。プリセットすることにより、初回の隠しマークを検出するプロセスでほぼ両方の隠しマーク5がCCD34aおよび34bの画像に現れる。しかしながら、図10(a)に示すように取り込んだCCD34aおよび34bの画像に隠しマークがないこともあり、このようなケースでは、チャッキング装置70をθ方向に隠しマーク5が認識できる位置まで旋回する。図10(b)に示すように、隠しマーク5がそれぞれのCCD34aおよび34bの画像に入ると、画像処理装置35は、図10(c)に示すように、隠しマーク5を結んだ現状の水平基準線と、画像処理装置における水平基準線の予定位置の差を算出し、旋回角θと、XY方向に移動する距離とを求める。そして、チャッキング装置70を稼働して位置決めを行い、その結果を図10(d)に示すように確認する。この段階で隠しマーク5の位置による水平方向の角度ずれ、中心位置のずれが予定の範囲に入っていることが確認されると、そのチャッキングの位置情報が検査コンピュータ11に記録され、以降の各処理におけるベースデータとなる。水平方向の角度ずれ、中心位置のずれが予定の範囲にはいらない場合は、さらにチャッキング装置70をθ方向およびXY方向に動かして同様の処理を繰り返して行い、所定の範囲に水平方向の角度ずれや中心位置のずれが入るようにする。
【0033】
〔姿勢制御ステーション〕
本例の検査装置10においては、まず、遠用中心81を測定部分として度数の測定を行うようにしている。このため、チャッキング装置70は、位置決めが完了した眼鏡レンズ1を保持した状態で姿勢制御ステーション50に移動する。図11に示すように、本例の姿勢制御ステーション50は、鉛直方向に延びた2本の姿勢検出端子51aおよび51bが隣接した状態で並立している。そして、それぞれの姿勢検出端子51aおよび51bの各先端部分は水平に並んでおり、それぞれに接触センサー52aおよび52bが設けられている。従って、眼鏡レンズ1の眼球側の面2が接触センサー52aおよび52bに触れたか否かが検出できるようになっている。
【0034】
チャッキング装置70は、位置決めステーション30で認識された水平基準線7および中心位置4に基づき、測定部分である遠用中心81が姿勢検出端子51aおよび51bの中点位置となるように眼鏡レンズ1を動かす。そして、眼鏡レンズ1の高さを調整して、眼球側の面2を外周側に位置する姿勢検出端子51aに接触させる。先端の接触センサー52aによって眼球側の面2が検出されると、その結果が検査コンピュータ11に送信される。検査コンピュータ11によってチャッキング装置70が制御され、チャック73のブレーキ板75がフリーになり、チャック73、すなわち、眼鏡レンズ1が水平基準軸7の回りに旋回可能となる。
【0035】
この状態で、図12に示すように、眼球側の面2が内周側に位置する姿勢検出端子51bに接触するまでチャッキング装置70を降下させる。先端の接触センサー52bが眼球側の面2を検出した時点で自動的にチャッキング装置70の降下を停止し、ブレーキ板75をロックしてチャック73、すなわち、眼鏡レンズ1の姿勢を固定する。このような処理によって、測定部分である遠用中心81を中点とした眼球側の面2が姿勢検出端子51aおよび51bの双方の先端に支持されて水平になる。このような操作も上記の位置決めステーションにおける操作と同様に検査コンピュータ11を介して自動的に行えるようになっている。従って、後述するように、このままの姿勢で遠用中心を眼鏡レンズ1をレンズメータにセットすることによって遠用中心の度数を精度良く自動的に測定することができる。
【0036】
このように、本例の姿勢制御ステーション50においては、先端が水平に揃えて配置された複数の姿勢検出端子51を用い、これらの姿勢制御端子の全てに測定部分の眼球側の面2が接触するように眼鏡レンズを旋回することにより、測定部分の眼球側の面2が水平となるように自動的に姿勢制御することが可能となる。上記の例では、チャッキング装置70を降下して眼球側の面2が姿勢検出端子51の先端に接触するようにしているが、逆に、姿勢検出端子51の側を上昇させて眼鏡レンズ1の姿勢を制御してももちろん良い。眼鏡レンズ1の眼球側の面2は、個々のレンズによって度数が異なれば曲率が異なったものとなり、乱視矯正が必要であるとトーリック面となるので曲率が一定でなくなる。さらに、眼球側の面2に累進屈折面を形成するとさらに複雑な曲率となる。測定部分を特定し、その部分の曲率に合わせて眼鏡レンズ1を旋回して測定部分を水平にすることも理論上では可能であるが、上記のように各眼鏡レンズによって曲率が一定にならず、さらに、測定部分が異なれば曲率も異なるので眼球側の面2の曲率を算出して姿勢を制御することは非常に複雑な計算が必要になる。さらに、眼鏡レンズを旋回する角度の制御が必要になるので、チャッキング装置70も大型になり、このような処理は現実的には不可能である。これに対し、本例の姿勢制御ステーション50においては、接触センサーを設けた複数の姿勢制御端子51に測定部分の眼球側の面2が接触するように姿勢を制御するだけで水平を求めることができ、測定部分の特定さえできれば、その部分の面の曲率を求めずとも水平になるように眼鏡レンズの姿勢を設定することができる。従って、本例の姿勢制御ステーション50を採用することにより、非常に簡易な構成で、熟練した検査作業員と同様の水平を確保することが自動的にできるようになる。このため、以降の測定ステーションにおいて、安定した精度の高い測定を自動的に行うことが可能となり、検査全体を自動化して検査能力も向上できる。
【0037】
〔測定ステーション〕
姿勢制御ステーション50において、眼鏡レンズ1の遠用中心81が水平となるよう姿勢が決定されると、その姿勢を保持したままチャッキング装置70によって眼鏡レンズ1は第2の測定ステーション60に移動する。本例の検査装置10の第2の測定ステーション60は、オートレンズメータ61である。従って、図13に示すように、眼鏡レンズ1を姿勢制御したままの状態で、レンズメータ61の受け台(レンズメータの測定端子)62に測定部分である遠用中心81の眼球側の面2が載るように移動する。これにより、受け台62に遠用中心81の眼球側の面2が水平に接触した状態となるので、レンズメータ61によって、S度数、C度数、軸が自動的に精度良く測定され、精度の高い測定値(度数)を得ることができる。このレンズメータ61の測定値は、検査コンピュータ11に送信されて蓄積され、ホストコンピュータあるいはサーバなどから受信した眼鏡レンズの設計データと照合され、良品あるいは不良品の判断が行われる。
【0038】
次に、本例の検査装置10においては、眼鏡レンズの中心位置4のプリズムと中心厚の測定を行う。このため、チャッキング装置70は、眼鏡レンズ1を保持したまま、姿勢制御ステーション50に移動し、中心位置4を測定部分として図11および図12に基づき上記で説明したプロセスを用いて姿勢を制御する。そして、中心位置4の眼球側の面2が水平となるように眼鏡レンズ1の姿勢制御が行われると、その姿勢を保持したままチャッキング装置70は第2の測定ステーション60に移動する。図14に示すように、今回は、眼鏡レンズ1の中心位置4が水平状態となっているので、チャッキング装置70で眼鏡レンズ1を動かしてレンズ1の中心位置4をレンズメータ61の受け台62に載せると、受け台62に中央位置4の眼球側の面2が水平な状態で接触することになる。このため、レンズメータ61によって中央位置4におけるプリズムが精度良く自動的に測定され、その測定値が検査コンピュータ11に送信される。そして、前回測定された度数と同様に、今回の測定で得られた中心位置4のプリズムの測定値が設計値(処方データ)と比較され、所定の公差範囲内か否かで良品あるいは不良品の判断がなされる。
【0039】
中央位置4のプリズムの測定が終了すると、チャッキング装置70は、眼鏡レンズ1をそのままの姿勢で保持され、第1の測定ステーション40に移動する。第1の測定ステーション40は、ダイアルゲージ41であり、眼鏡レンズ1を挟み込むように上下方向から延びた測定端子42および43の間に眼鏡レンズ1の中心位置4がセットされるようにチャッキング装置70が移動する。図15に示すように、ダイアルゲージ41の測定端子42および43の先端には接触センサー44および45が設けられている。このため、眼鏡レンズ1の中心位置4がセットされた後に測定端子42および43が下方向および上方向にそれぞれ移動すると、双方の接触センサー44および45が眼鏡レンズの物体側の面3および眼球側の面2にそれぞれ接触する。その時点でダイアルゲージ41によって測定された厚みが中心厚となり、検査コンピュータ11に送信される。本例の検査装置10においては、ダイアルゲージ41に眼鏡レンズ1がセットされる前に、姿勢制御ステーション50において中心位置4の眼球側の面2が水平になるように姿勢制御されている。このため、測定部分である中心位置4の眼球側の面2および物体側の面3とダイアルゲージ41の測定端子42および43とがほぼ垂直な状態で接触するので、精度の高い中心厚を測定することができる。このように、本例の検査装置10においては、レンズ1の中心厚の測定も自動化することが可能である。そして、姿勢制御も自動的に行うことができるので、常に精度の高い測定値が安定して得られ、熟練した作業員でなくとも極めて精度の高い測定データを得ることができる。検査コンピュータ11に送られた中心厚のデータは、上記の度数およびプリズムの測定データと同様に処方データを比較して良品あるいは不良品の判断が行われる。
【0040】
図16に、以上に説明した本例の検査装置10における処理をフローチャートを用いて示してある。まず、ステップ85において、プリセットステーション20を用いて眼鏡レンズ1の外周1aを棒状のチャックで保持して、眼鏡レンズ1の中心位置4および水平基準線7の大まかな位置を認識する。次に、ステップ86でチャッキング装置70でプリセットされた眼鏡レンズ1を保持して、位置決定ステーション30に移動し、ステップ87で詳細な位置決めを行う。このステップ87においては、まず、ステップ88で、眼鏡レンズ1のいずれかの面に設けられた少なくとも2つの隠しマーク5を、それらの隠しマーク5が付されたそれぞれの面部分をほぼ垂直な方向に透過する単色の検出光を用いて検出する。次に、ステップ89で検出された隠しマーク5によって眼鏡レンズ1の水平基準線7と中心位置4を認識し、予定された位置から一定の範囲に入っていれば位置決めが終了したものとしてステップ91に移行する。一方、検出された隠しマーク5の位置が予定の範囲に入っていない場合は、さらに、ステップ90で、チャッキング装置70を用いて眼鏡レンズ1をθ方向あるいはXY方向に移動して上記のステップ88および89を繰り返す。
【0041】
位置決めが終了すると、次に、ステップ91で測定を行うための姿勢制御を行う。累進多焦点レンズ1で度数測定を行う場合は、中心位置4から離れた遠用中心81が測定部分となる。このため、位置決めが行われた眼鏡レンズをチャッキング装置70で保持したまま姿勢制御ステーション50に移動し、眼鏡レンズ1の測定部分の眼球側の面2が、先端が水平に並列された少なくとも2つの姿勢検出端子51aおよび51bのいずれにも接触するように眼鏡レンズを旋回する。このステップ91の処理によって測定部分の眼球側の面2が水平になるので、ステップ92で眼鏡レンズ1の姿勢を維持したまま第2の測定ステーション60であるオートレンズメータ61に移動し、測定端子である受け台62に測定部分を接触して度数を測定する。
【0042】
度数の測定の次に、中心位置4のプリズムおよび中心厚を測定するので、ステップ93で再び姿勢制御ステーション50で中心位置4の眼球側の面が水平になるように眼鏡レンズ1の姿勢を再セットする。そして、ステップ94で、レンズメータ61で中心位置のプリズムを測定する。さらに、ステップ95で、第1の測定ステーションであるデジタルダイヤルゲージ41にチャッキング装置70が移動して眼鏡レンズ1の中心位置4をダイアルゲージ41の測定端子42および43で挟み込んで中心厚を測定する。これら第1および第2の測定ステーション40および60における測定結果は検査コンピュータ11に送信されているので、ステップ96においては、これらの測定データを、眼鏡レンズの設計データ(処方データ)と比較し、公差範囲に入っているか否かを確認して良品か不良品かの判断を行う。
【0043】
なお、ステップ92の度数測定、ステップ94のプリズム測定、およびステップ95の中心厚測定の順番は上述した通りである必要は特になく、各測定を行う前に、測定対象となっている部分が水平になるように眼鏡レンズ1の姿勢制御が行われていれば良い。例えば、プリセットステーション20でプリセットされた状態で眼鏡レンズ1の中心位置4がほぼ水平状態になっているようであれば、中心位置のプリズム測定および中心厚測定を先行して行うことによって中心位置を測定するために姿勢制御を行うステップを省略することが可能である。また、上述した検査においては、遠用中心の度数、中心位置のプリズムおよび厚みの測定を行うようにしているが、位置決めステーション30において検査対象となる各々の眼鏡レンズ1の個々の詳細な位置決めができるので、上記に加え、他の部分の測定を行うことももちろん可能である。例えば、遠用中心に加えて近用中心の度数などを検査項目に加えることも容易であり、本例の検査装置10においては、遠用中心と同様のプロセスで近用中心の度数も自動測定することができる。このように、本例の検査装置10においては、作業員の手間を増やさずに多項目の測定を行い、さらに精度の高い検査を行うことも可能となる。また、自動測定が可能なので、検査項目を増やしても人件費の増加に直に繋がることはなく、製造コストを下げると共に検査内容の充実を図ることも可能となる。
【0044】
さらに、本例の検査装置10は、検査コンピュータ11によって上述したような各ステーションにおける処理が一括して管理されるようになっており、上記のフローチャートで示したような検査方法はプログラム化してフロッピーディスクやCD−ROMなどの移動可能な記録媒体12に収納したり、ハードディスクなどの固定された記録媒体13に収納しておくことができる。従って、測定項目の追加や削除あるいは測定順序の変更なども極めて容易に行うことができ、検査対象となる眼鏡レンズの種類、例えば、上述したような累進多焦点レンズや、単焦点レンズなどによって検査工程を変更することも容易である。
【0045】
このように、本例の検査装置10は、位置決めステーション30において隠しマークを自動的に認識できるようにしているので、どのような仕様の眼鏡レンズであってもその幾何学的な中心や水平基準線などの測定部分の位置を決定するために必要なデータを精度良く得ることができる。従って、累進多焦点レンズなどのように、検査において、中心位置と異なり、また、各レンズによって位置が変動する部分を測定する必要がある眼鏡レンズに対しても測定位置を精度良くコンピュータなど用いて特定することが可能となる。このため、累進レンズや2焦点レンズなどの多焦点レンズの検査も自動的に行うことができる。さらに、本例の検査装置は、複数の姿勢検出端子を用いて測定部分が水平となるように自動的に姿勢を制御できる姿勢制御ステーションを設けてある。従って、眼鏡レンズのどの位置が測定対象になっても、その測定対象となった部分が水平になるように姿勢を制御できるので、レンズメータあるいはダイヤルゲージを用いて度数、プリズムさらにレンズ厚さを精度良く自動測定できる。このように、本発明に係る検査装置および検査方法を採用することにより、従来、熟練した検査作業員が必要であった累進多焦点レンズの検査を自動化することが可能となり、検査工程を省力化し、製造コストを低減することが可能となる。さらに、自動化することによって安定した測定結果を得ることができるので、作業者の熟練度の差によって測定結果にばらつきが発生するという問題も回避でき、常に精度の高い検査を行うことができる。従って、本発明によって、高品質の眼鏡レンズを短時間および低コストで安定して供給することができる検査方法および検査装置を提供することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の検査方法および検査装置を用いることによって、従来、自動化ができなかった累進多焦点眼鏡レンズの遠用度数の測定の自動化が可能となり、省力化による製造コストの低減、測定結果のばらつきを防止することができる。また、累進多焦点眼鏡レンズを含む眼鏡レンズ全体について、度数、プリズム、および中心厚の測定の自動化が可能となり、省力化による製造コストの大幅な低減、測定結果のばらつきの解消による均質な品質の確保が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る検査装置の概略構成を模式的に示す図である。
【図2】図1に示す検査装置のプリセットステーションの概略構成を示す平面図である。
【図3】プリセットステーションの概略構成を示す側面図である。
【図4】プリセットステーションで眼鏡レンズをセットした様子を示す平面図である。
【図5】プリセットされた眼鏡レンズをチャッキング装置で保持する様子を示す平面図である。
【図6】図1に示す検査装置のチャッキング装置の概略を示す平面図である。
【図7】図1に示す検査装置の位置決めステーションの概略構成を示す図である。
【図8】位置決めステーションで眼鏡レンズの位置決めを行う概要を示す図である。
【図9】眼鏡レンズに付された隠しマークなどの様子を示す図である。
【図10】位置決めステーションで位置決めを行う際の画像処理の様子を示す図である。
【図11】図1に示す検査装置の姿勢制御ステーションの概要を示す側面図である。
【図12】図1に示す検査装置の姿勢制御ステーションで眼鏡レンズの測定部分を水平に姿勢制御する様子を示す図である。
【図13】図1に示す検査装置のレンズメータで遠用部の度数を測定する様子を示す図である。
【図14】図1に示す検査装置のレンズメータで中央位置のプリズムを測定する様子を示す図である。
【図15】図1に示す検査装置のダイアルゲージで中央位置の厚みを測定する様子を示す図である。
【図16】図1に示す検査装置で行う検査工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1・・眼鏡レンズ
2・・眼鏡レンズの眼球側の面
3・・眼鏡レンズの物体側の面
4・・眼鏡レンズの中心位置
5・・隠しマーク
7・・水平基準線
8・・垂直基準線
10・・検査装置
11・・検査コンピュータ
12・・移動型の記録媒体
13・・固定型の記録媒体
19・・台盤
20・・プリセットステーション
21・・受け台
22・・棒状のチャック
30・・位置決めステーション
31・・照射装置
33・・受光装置
35・・画像処理装置
40・・第1の測定ステーション
41・・ダイアルゲージ
50・・姿勢制御ステーション
51・・姿勢検出端子
52・・先端の接触センサー
60・・第2の測定ステーション
61・・レンズメータ
62・・受け台(測定端子)
70・・チャッキング装置
71・・レール
72・・移動ステーション

Claims (3)

  1. 眼鏡レンズをチャックして眼鏡レンズの度数、プリズムおよび中心厚の少なくともいずれかの測定を行う検査工程と、
    この検査工程に先立って、チャッキングした眼鏡レンズの基準となる位置を認識する位置決め工程とを有し、
    前記位置決め工程は、複数の単色光光源の中から、前記眼鏡レンズのいずれかの面に設けられた少なくとも2つの隠しマークが付されたそれぞれの面部分をほぼ垂直な方向に透過する単色の検出光のみを用いて前記隠しマークを検出する工程と、
    これらの隠しマークによって眼鏡レンズの水平基準線と中心位置を認識する工程とを備えていることを特徴とする眼鏡レンズの検査方法。
  2. 請求項1記載の眼鏡レンズの検査方法において、
    前記眼鏡レンズが、遠用部および近用部を備えた多焦点眼鏡レンズであることを特徴とする眼鏡レンズの検査方法。
  3. 眼鏡レンズをチャックして眼鏡レンズの度数、プリズムおよび中心厚の少なくともいずれかを測定可能な測定装置と、
    チャッキングした眼鏡レンズの測定基準位置を設定可能な位置決め装置とを有し、
    前記位置決め装置は、水平基準線に沿って配置される複数の単色光光源の中から単色光光源を選択し、眼鏡レンズのいずれかの面に設けられた少なくとも2つの隠しマークの近傍の面部分に対し、ほぼ垂直な方向に透過する単色の検出光を照射可能な照射装置と、
    眼鏡レンズのそれぞれの面部分を透過した各々の前記検出光を受光する受光装置と、
    前記受光された画像から前記隠しマークを識別して眼鏡レンズの水平基準線と中心位置を認識可能な画像処理装置とを備えていることを特徴とする眼鏡レンズの検査装置。
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