JP3810666B2 - レンズメータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、メガネ(眼鏡)の左右の眼鏡レンズの屈折特性を2つの測定光学系で個々に測定できるようにしたレンズメータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のレンズメータは、本体ケースの前面の上部及び下部に上下に間隔を置いて突設された上収納突部及び下収納突部と、この下収納突部の上面に設けられた一つのレンズ受と、左右に延び且つレンズ受に対して前後に移動操作可能に本体ケースに装着されたレンズテーブルと、レンズテーブルに左右動可能且つ上下動可能に装着された鼻当支持部材と、レンズ受に載置されるレンズの屈折特性を測定する測定光学系を有するものが知られている。このレンズメータにおいて測定光学系は、本体ケース及び上収納突部内に設けられた照明光学系と、下収納突部及び本体ケース内に設けられた受光光学系を備えている。
【0003】
そして、このレンズメータにおいては、メガネの鼻当を鼻当支持部材に支持させると共にメガネフレームの左右のレンズ枠をレンズテーブルの前面に当接させて、鼻当支持部材を左右及び上下に移動操作すると共にレンズテーブルを前後に移動操作して、左右の眼鏡レンズの一方をレンズ受に当接させ、測定光学系により一方の眼鏡レンズの屈折特性を測定するようにしている。また、他方の眼鏡レンズを測定する場合には、他方の眼鏡レンズをレンズ受に当接するようにメガネフレームを上述と同様に移動操作していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のレンズメータでは、左右の眼鏡レンズを測定する場合、一つのレンズ受に対して眼鏡レンズを入れ替えて当接支持させる必要があり、面倒であった。
【0005】
これを解消するものとしては、メガネの左右の眼鏡レンズを測定する光学系を一対設けることが考えられる。この場合、各受光光学系の測定光軸上においては、眼鏡レンズの正確な屈折特性を測定するために、眼鏡レンズの下面と受光光学系の受光手段までの距離を一定にする必要がある。
【0006】
そこで、この発明は、この要望に沿うレンズ受を有するレンズメータを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、請求項1の発明のレンズメータは、メガネの左右の眼鏡レンズをそれぞれ載置可能に設けられた左右一対のレンズ受と、前記一対のレンズ受に載置される眼鏡レンズの屈折特性をそれぞれ測定可能な左右一対の測定光学系を備えるレンズメータであって、前記各レンズ受は、前記測定光学系の測定光軸と直交する水平軸を中心に両端部が上下回動する様に設けられたアームと、前記水平軸と直交し且つ前記測定光軸を含む面上に位置して前記アームに設けられた一対のレンズ支持突部を備えると共に、前記一対のレンズ支持突部は前記水平軸からの距離が等しく設けられていることを特徴とする。
【0008】
更に、上述した目的を達成するため、請求項2の発明のレンズメータは、メガネの左右の眼鏡レンズをそれぞれ載置可能に設けられた左右一対のレンズ受と、前記一対のレンズ受に載置される眼鏡レンズの屈折特性をそれぞれ測定可能な左右一対の測定光学系と、前記左右の眼鏡レンズのレンズ枠を保持するレンズ保持部材を備えるレンズメータであって、前記各レンズ受は、駆動装置により前記各測定光路内の前記各眼鏡レンズを支持する位置と前記各測定光路から退避した位置との間で移動駆動可能に設けられていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態1】
以下、この発明の実施の形態1を図面に基づいて説明する。
[構成]
<装置本体>
図1は本発明に係わるレンズメーターの外観図である。その図1において、1は装置本体(本体ケース)である。この装置本体1は、上部筐体部2と下部筐体部3及びこれらを連設している連設筐体部4から側面形状が略コ字状に形成されている。この上部筐体部2と下部筐体部3との間は、メガネ(眼鏡)5のセット空間6とされている。
<メガネ>
このメガネ5は、本実施例では、メガネフレームMF、メガネフレームMFの左右のレンズ枠LF,RFに枠入れされた眼鏡レンズLL,RLと、左右のレンズ枠LF,RFを連設しているブリッジBと、左右のレンズ枠LF,RF等に設けられる鼻当(図示せず)と、左右のレンズ枠LF,RFに設けられたテンプルLT,RTを有する。
【0010】
また、下部筐体部3の上壁7には左右両端部まで延びる開口8が図1,図3に示したように形成されている。この上壁7は、開口8により前側上壁部7aと後側上壁7bに分けられている。この前側上壁部7aと後側上壁7bの対向縁部の下面には、図2の如く左右に延びるレンズ受支持用の支持壁部7a1,7b1が図3に示したようにそれぞれ一体に形成されている。この支持壁部7a1,7b1間の左右の部分には、図2に示したレンズ受9L,9Rが配設されている。
<レンズ受>
このレンズ受9Lは長方形状形成された受枠10を有する。このレンズ受10は、左右に延びる短辺(アーム)10a,10aと、前後に延びて短辺10a,10aの両端に連設された長辺10b,10bを有する。
【0011】
この短辺10a,10aは、左右方向の中心が前後に水平に延びる支持軸(水平軸)11,11を介して支持壁7a1,7b1に回動自在に保持されている。尚、支持壁7a1,7b1の下縁には、受枠9Lが反転しないように所定角度範囲内で回動する様に規制する回動規制突部7a2.7b2が一体に設けられている。また、レンズ受9Lは、長辺10a,10aの長手方向の中心上部に突設された軸状のレンズ受軸(レンズ支持突部)12,12を有する。このレンズ受軸12は、開口8から上方に突出していて、その上端部に球状受部12aが設けられている。各レンズ受9L,9Rは、支持軸11からレンズ受軸12,12間での距離X,Xが等しく設定されている。
【0012】
尚、レンズ受9Rもレンズ受9Lと同一構造であるので、レンズ受9Rにはレンズ受9Lと同じ符号を付してその説明を省略する。また、このレンズ受9L,9Rには、上述したメガネ5の左右の眼鏡レンズLL,RLがそれぞれ支持される様になっている。
<レンズ押さえ機構>
このレンズ受9L,9R上に支持された眼鏡レンズLL,RLは、図1,図2,図5に示したレンズ押さえ機構13により押さえられる様になっている。
【0013】
このレンズ押さえ機構13は、図2に示したように下筐体部3の側壁3a,3aの内壁面に前後に向けて水平に固定されたガイドレール14,14と、ガイドレール14,14上に両端部が前後動自在に保持されたカム部材15を有する。また、レンズ押さえ機構(レンズ保持手段)13は、図5に示したように、一方のカム部材14の後部に一体に設けられたラック16と、ラック16に噛合させられたギヤ17と、ギヤ17と一体に設けられ且つ図1に示したように側壁3aに回転自在に保持された支持軸18と、支持軸18に取り付けられた操作レバー19を有する。
【0014】
更に、レンズ押さえ機構13は、図5に示したように、後上壁7bに取り付けられたブラケット20と、ブラケット20の下端部に保持された軸保持部材21と、軸保持部材21に上下動自在保持され且つ後上壁7bを上下に貫通する支持軸22と、軸保持部材21と後上壁7bとの間に位置して支持軸22に一体に形成されたフランジ22aと、フランジ22aと後上壁7bとの間に介装されて支持軸22を下方にバネ付勢しているコイルスプリング(付勢手段)23を有する。また、レンズ押さえ機構13は、支持軸13の上端部に前後に延びる水平軸線を中心に回転自在に保持された回動支持軸24と、回動支持軸24の前端部に一体に設けられたコ字状の支持部材25と、支持部材25の両側の支持軸部25a,25aに下方に向けて保持されたレンズ押さえ軸26,26を有する。このレンズ押さえ軸26,26は、ゴム・合成樹脂等の眼鏡レンズが傷つかない材料から形成されている。
【0015】
このレンズ押さえ軸26,26の軸線及び軸状のレンズ受軸12,12の軸線は左右上下に延びる第1の平面SA内に位置させられている。
【0016】
また、左側において、レンズ受9Lの支持軸11,11と之に対応する回動支持軸24の軸線は、第1の平面SAと直交する第2の平面SBL内に位置している。しかも、右側において、レンズ受9Rの支持軸11,11と之に対応する回動支持軸24の軸線は、第1の平面SAと直交する第2の平面SBR内に位置している。
【0017】
操作レバー19が図1の如く起立している状態では、カム部材15が図5の位置にあって、レンズ押さえ軸26,26が図3の如く上方に大きく離反させられている。そして、操作レバー9を図1の矢印27の如く手前側に倒すことにより、ギヤ17がラック16を図5中右方に移動変位させ、カム部材15がラック16と一体に右方に変位して、支持軸22,支持部材25及びレンズ押さえ軸26,26がコイルスプリング23のバネ力により下方に変位させられる。
<メガネフレーム保持機構>
また、装置本体1には、レンズ受9L,9Rに眼鏡レンズLL,RLがそれぞれ支持されたメガネ5のメガネフレームMFを保持するフレーム保持機構が設けられている。
【0018】
このフレーム保持機構は、フレーム前後方向位置決機構(レンズ枠前後方向位置決機構)と、フレーム保持部材29の左右方向中間部に取り付けられた鼻当支持機構30(図8参照)を有する。
(フレーム前後方向位置決機構)
このレンズ枠位置決機構は、左右に延び且つ前側上壁部7aと後側上壁7b上に配設された一対のフレーム保持部材(レンズ保持部材、レンズ枠保持部材)28,29を有する。
【0019】
また、前側上壁部7aの左右の部分には、図1に示したように前後方向に延びるスリット31,31が形成されている。このスリット31には図6,図7に示したようにフレーム保持部材28と一体の可動部材32が挿通されている。同様に後側上壁7bにも図6,図7に示したようにスリット33が形成され、スリット33には図6,図7に示したようにフレーム保持部材29と一体の可動部材34が挿通されている。
【0020】
また、下筐体部3内の両側には、前後に延び且つ可動部材32,34を貫通するガイド軸35,35が配設されている。このガイド軸35,35は下筐体部3に図示しない位置で固定されている。しかも、可動部材32,33は、これらの間に介装した引張りコイルスプリング36により、互いに接近する方向にバネ付勢されている。この一方のガイド軸35には、可動部材32,33間に位置して一対のスライド部材37,38が軸線方向に進退移動可能に保持されている。
【0021】
また、側壁3aには、駆動モータ(駆動手段)39が固定され、この駆動モータ39により回転駆動される駆動軸40には軸線方向に間隔をおいて左ネジ部40a及び右ネジ部40bが形成され、左ネジ部40aはスライド部材37を貫通した状態で螺着され、右ネジ部40bはスライド部材38を貫通した状態で螺着されている。
【0022】
この左ネジ部40a及び右ネジ部40bの作用により、駆動軸40が正回転するとスライド部材37,38は互いに同量接近し、駆動軸40が逆回転するとスライド部材37,38は互いに同量離反するようになっている。
(鼻当支持機構30)
鼻当支持機構30は、図9の如くフレーム保持部材29の左右方向中央に取り付けられた支持軸41と、支持軸41に上下回動可能に保持された回動板42と、図9,図10の如く支持軸41に捲回され且つ回動板42を上方に回動付勢しているネジリコイルバネ43と、図11の如く回動板42の先端部に保持された支持軸44と、図11,図12の如く支持軸44に回動自在に保持された鼻当支持部材45と、支持軸44に捲回され且つ鼻当支持部材45を上方に回動付勢しているネジリコイルバネ46を有する。
【0023】
鼻当支持部材45は、図12(b)に示したように左右の側面45a,45aが下方に向かうに従って拡開するようなテーパ状のもの、或いは図12(c)に示したような蒲鉾状のものを用いることができる。この鼻当当接部材45に、メガネ5の左右のレンズ枠LF,RFの鼻当NP,NPが当接支持される。そして、この鼻当支持部材45にメガネ5の鼻当NP,NPを支持させることにより、メガネ5のブリッジBを装置本体1の左右方向の中央に位置させて、このメガネ5の眼鏡レンズLL,LRを装置本体1の左右に位置する右一対の測定光学系SL,SR(図13参照)の光路に正確に臨ませることができる。
<測定光学系>
(左の測定光学系SL)
測定光学系SLは、上部筐体部2内に内蔵された投光光学系(照明光学系)47Lと、下部筐体部3に内蔵された受光光学系48Lを有する。
【0024】
投光光学系47Lは、LED49,50、コリメートレンズ51,52、ダイクロイックミラー53からなっている。LED49は赤外光を発し、LED50は赤色光(波長630nm)を発する。ダイクロイックミラー53は赤外光を反射し、赤色光を透過する。コリメートレンズ51,52はLED49,50から発生した発散光束を測定光束としての平行光束に変換する役割を果たす。
【0025】
また、受光光学系48Lは、ハルトマンのパターン板54、フィールドレンズ55、反射ミラー56,57、光路合成プリズム58、結像レンズ59、CCD60を有する。パターン板54には多数の光透過部(図示せず)がマトリックス状に設けられている。
【0026】
上述した第1の平面SA及び左側の第2の平面SBLは測定光学系SLの光軸OLを通る様に設けられている。また、この光軸OL即ち第1の平面SAからスライド部材37,38までの距離は等しく設けられている。しかも、第1の平面SAとスライド部材37,38の垂直な挟持面(番号省略)は平行に設けられている。この第1の平面SAとスライド部材37,38の挟持面には、ゴム等の滑り止め作用のある材料の被膜又は層を設けておくと良い。
(右の測定光学系SR)
測定光学系SRは、上部筐体部2内に内蔵された投光光学系(照明光学系)47Rと、下部筐体部3に内蔵された受光光学系48Rを有する。
【0027】
投光光学系47Rは、LED61,62、コリメートレンズ63,64、ダイクロイックミラー65からなっている。LED61は赤外光を発し、LED62は赤色光(波長630nm)を発する。ダイクロイックミラー65は赤外光を反射し、赤色光を透過する。コリメートレンズ63,64はLED61,62から発生した発散光束を測定光束としての平行光束に変換する役割を果たす。
【0028】
また、受光光学系48Rは、ハルトマンのパターン板66、フィールドレンズ67、反射ミラー68、光路合成プリズム58、結像レンズ59、CCD60を有する。パターン板66には多数の光透過部(図示せず)がマトリックス状に設けられている。
【0029】
上述した第1の平面SA及び左側の第2の平面SBLは測定光学系SRの光軸ORを通る様に設けられている。この光軸OR即ち第1の平面SAからスライド部材37,38までの距離は等しく設けられている。
<制御回路>
そして、CCD60からの出力は演算制御回路69に入力される。この演算制御回路69からの出力はパソコンPCに入力される。また、側壁3aには操作レバー19が水平に倒されるのを検出するセンサ70が設けられていて、このセンサ70からの出力は演算制御回路69に入力される。そして、演算制御回路69は、センサ70からの検出信号がなくなると、駆動モータ39を所定時間だけ正転させて、駆動軸40を正転させるようになっている。しかも、演算制御回路69は、センサ70からの検出信号が検出されると、駆動モータ39を所定時間だけ逆転させて、駆動軸40を逆転させるようになっている。
[作用]
次に、この様な構成のレンズメータの作用を説明する。
【0030】
この様な構成において、メガネ5をセットするには、操作レバー19を図1の如く垂直にする。この位置では、保持棒22の下端がカム部材15の上端部に乗り上がっていて、レンズ受軸12とレンズ押さえ棒26との間隔が図3の様に大きく開いている。尚、図3では図示の便宜上、レンズ受軸12とレンズ押さえ棒26との間隔が小さくなっているが、実際には図示した状態より充分に大きく取る。また、この状態では、フレーム保持部材28,29の間隔は図6の如く最大に開いている状態となっている。
【0031】
この状態からメガネ5を空間6内に入れて、メガネ5の左眼鏡レンズLLを左のレンズ受軸12,12とレンズ押さえ棒26,26との間に配設し、メガネ5の右の眼鏡レンズLRを右のレンズ受軸12,12とレンズ押さえ棒26,26との間配設する。
【0032】
そして、メガネ5の左右のレンズ枠LF,RFの鼻当NP,NPを鼻当当接部材45に当接支持させる。これにより、メガネ5の左右の左眼鏡レンズLL,LRを装置本体1の左右方向中央から左右に振り分けて左右の測定光学系SL,SRに対して左右に正確に臨ませることができる。
【0033】
この状態で、この鼻当当接部材45ネジリコイルバネ43,46のバネ力に抗して下方に移動変位させることにより、左の眼鏡レンズLLを左のレンズ受軸12,12上に当接させ、右の眼鏡レンズLRを右のレンズ受軸12,12上に当接させる。
【0034】
ここで、メガネ5のメガネフレームMFは湾曲しているので、レンズ枠LF,RFが図15の如く傾斜して、レンズ枠LF,RFの眼鏡レンズLL,LRも傾斜している。従って、左の眼鏡レンズLLをまず左のレンズ受軸12,12の一方に当接させると、レンズ受9Lの受枠10は眼鏡レンズLLの重さで支持軸11,11を中心に回動し、眼鏡レンズLLが左のレンズ受9Lのレンズ受軸12,12の他方に当接する。この際の受枠10の回動量は比較的に小さい。同様にして右の眼鏡レンズLRも右のレンズ受9Rのレンズ受軸12,12上に当接させられる。
【0035】
このレンズ受9Lのレンズ受軸12,12の先端を結ぶ線及び支持軸11の軸線は左側の測定光学系SLの光軸OLと交差し、レンズ受9Rのレンズ受軸12,12の先端を結ぶ線及び支持軸11の軸線は右側の測定光学系SRの光軸ORと交差している。
【0036】
この様な構成作用により、左の眼鏡レンズLLの後側屈折面(下面)の光軸OLを通る部分からCCDまでの距離は、眼鏡レンズLLの傾斜及びレンズ受9Lの回動量に拘わらず、略一定にすることができる。この点は、右側の眼鏡レンズLRについても同じである。
【0037】
この状態で、操作レバー9を手前側に倒すと、倒し始めに演算制御回路69に入力されていたセンサ70からのレバー検出信号がなくなり、演算制御回路69は駆動モータ39を所定時間だけ正転させる。これにより、駆動軸40が正転させられて、スライド部材37,38が駆動軸40の左ネジ部40a及び右ネジ部40bの作用により互いに接近する方向に移動させられる。
【0038】
この際、可動枠32,34がコイルスプリング36のバネ力によりスライド部材37,38にそれぞれ追従し、フレーム保持部材28,29が互いに接近する方向に移動させられる。このフレーム保持部材28,29は、左右の測定光学系SL,SRの光軸OL,ORに対して同量移動して、光軸OL,ORまでの距離が等しくなるようになっている。また、この移動に伴い、フレーム保持部材28,29が、コイルスプリング36バネ力によりメガネ5のメガネフレームMF(レンズ枠LF,RF)に当接して、メガネ5のメガネフレームMFを前後から保持(挟持)する。
【0039】
この様に、フレーム保持部材28,29でメガネフレームMFを前後方向から保持することで、レンズ枠LF,RFの幾何学中心、即ち鏡レンズLL,LRの幾何学中心を結ぶ線の前後方向の位置が、左右の測定光学系SL,SRの測定光軸を結ぶ線の前後方向の位置と一致するようになっている。
【0040】
しかも、スライド部材37,38は、フレーム保持部材28,29がメガネ5のメガネフレームMF(レンズ枠LF,RF)に当接した後も、スライド部材37,38が駆動軸40の左ネジ部40a及び右ネジ部40bの作用により図7の位置まで移動させられる。
【0041】
この位置までの移動は駆動モータ39の正転時間を設定することで得られる。尚、この位置をスイッチ又はセンサ等の検出手段で検出して、駆動モータ39を停止させるようにしても良い。
【0042】
一方、操作レバー9を手前側に倒すと、この操作レバー9の回転がギヤ17に伝達され、ラック16が図5中右方に移動させられ、カム部材15がラック16と一体に右方に移動させられる。これにより、支持軸22がコイルスプリング23のバネ力によりカム部材15の傾斜面15aに沿って降下し、支持軸22,支持部材25及びレンズ押さえ軸26,26がコイルスプリング23のバネ力により下方に変位させられる。この際、フレーム保持部材28,29がメガネ5のメガネフレームMF(レンズ枠LF,RF)に当接して保持するまでは、左右のレンズ押さえ棒26,26及び26,26が眼鏡レンズLL,LRに当接しないように操作レバー19を保持している。
【0043】
そして、フレーム保持部材28,29がメガネ5のメガネフレームMF(レンズ枠LF,RF)に当接した後、操作レバー19を水平位置まで手前側に倒して、左右のレンズ押さえ棒26,26及び26,26を眼鏡レンズLL,LRにそれぞれ上方から当接させて保持する。
【0044】
この様に操作レバー9を図1の矢印27の如く手前側に水平に倒すと、ギヤ17がラック16を図5中右方に移動変位させ、カム部材15がラック16と一体に右方に変位して、支持軸22,支持部材25及びレンズ押さえ軸26,26がコイルスプリング23のバネ力によりカム部材15の上面のカム面に沿って下方に変位させられる。この変位に伴い、左右の各支持部材25に設けたンズ押さえ機構13,13は、レンズ押さえ棒26,26のうち一方が先に眼鏡レンズLL(LR)に当接する。
【0045】
しかし、回動支持軸24,支持部材25及び支持軸22はコイルスプリング23で下方にバネ付勢されていると共に、支持部材25は前後方向に水平な回動支持軸24を中心に回動可能に支持軸22に保持されているので、コイルスプリング23の下方へのバネ付勢力により支持部材25の左右の部分が回動支持軸24を中心に上下に回動して、支持部材25のレンズ押さえ軸26,26の他方も眼鏡レンズLL(LR)に当接して、一対のレンズ押さえ軸26,26により眼鏡レンズLL(LR)の左右の部分をそれぞれ上方から押さえることになる。
【0046】
一方、演算制御回路69は、測定光学系SLのLED49,50を順番に点灯させて、眼鏡レンズLLの測定を行う。この際、LED49からの測定光束は、コリメートレンズ51により平行光束にされて、ダイクロイックミラー53により反射して、眼鏡レンズLLに投光される。
【0047】
これに伴い、眼鏡レンズLLを透過した測定光束は、パターン板54を透過して、フィールドレンズ55、反射ミラー56,57、光路合成プリズム58、結像レンズ59を介してCCD60に案内され、CCD60上にパター板54のパターン像を結像させる。また、LED50からの測定光束は、コリメートレンズ51により平行光束にされて、ダイクロイックミラー53を透過し、眼鏡レンズLLに投光される。これに伴い、眼鏡レンズLLを透過した測定光束は、パターン板54を透過して、フィールドレンズ55、反射ミラー56,57、光路合成プリズム58、結像レンズ59を介してCCD60に案内され、CCD60上にパター板54のパターン像を結像させる。そして、演算制御回路69は、CCD60に結像されたパター像の状態から眼鏡レンズLLの各部の屈折特性を測定して、屈折特性のマッピングデータを求める。
【0048】
この後、演算制御回路69は、測定光学系SRのLED61,62を順番に点灯させて、眼鏡レンズLRの測定を行う。この際、LED61からの測定光束は、コリメートレンズ63により平行光束にされて、ダイクロイックミラー65により反射して、眼鏡レンズLRに投光される。
【0049】
これに伴い、眼鏡レンズLRを透過した測定光束は、パターン板66を透過して、フィールドレンズ67、反射ミラー68、光路合成プリズム58、結像レンズ59を介してCCD60に案内され、CCD60上にパター板66のパターン像を結像させる。また、LED62からの測定光束は、コリメートレンズ64により平行光束にされて、ダイクロイックミラー65を透過し、眼鏡レンズLRに投光される。これに伴い、眼鏡レンズLRを透過した測定光束は、パターン板66を透過して、フィールドレンズ67、反射ミラー68、光路合成プリズム58、結像レンズ59を介してCCD60に案内され、CCD60上にパター板54のパターン像を結像させる。そして、演算制御回路69は、CCD60に結像されたパター像の状態から眼鏡レンズLRの各部の屈折特性を測定して、屈折特性のマッピングデータを求める。
【0050】
この様にして求められた眼鏡レンズLL,LRの屈折特性のマッピングデータはパソコンPCに送られて、パソコンPCの図示しないモニターに画像表示される。
【0051】
【発明の実施の形態2】
次に、この発明の実施の形態2を図17,18に基づいて説明する。
【0052】
この図17,18に示した発明は、発明の実施の形態1におけるレンズ受9L,9Rの機構に代えて用いる他のレンズ受機構80を示したものである。
【0053】
このレンズ受機構80は、左側レンズ受機構80Lと右側レンズ受機構80Rを有する。このレンズ受機構80は、上述の下筐体部3内に収容される。また、左側レンズ受機構80Lと右側レンズ受機構80Rは構成が同一であるので、同じ符号を付して、一方の構成についてのみ説明する。
【0054】
この左側レンズ受機構80Lは、回転出力軸81aが鉛直(上下)に向けられた駆動モータやロータリーソレノイド等の駆動装置(駆動手段)81と、出力軸81aの上端部に設けられた回転台82と、回転台82上に鉛直方向(上下方向)に向けて取り付けられた昇降手段83と、昇降手段83により昇降駆動される支持軸84と、支持軸84の上端部に水平方向に向けて取り付けられたアーム85と、アーム85の先端部に上方に向けて鉛直に取り付けられたレンズ受軸(レンズ受)86を有する。このレンズ受軸86の上端部には球状受部86aが形成されている。
【0055】
尚、昇降手段83としては、油圧シリンダやソレノイド或いは駆動モータとネジを用いた送り機構等を用いることができる。
【0056】
この様な構成において、眼鏡レンズLL,LRを図1の空間6に配置する前は、図17,18に実線で示したようにレンズ受機構80L,80Rのアーム85,85の先端同士を互いに対向させておくと共に、レンズ受機構80L,80Rのレンズ受軸86,86を実線で示した位置まで上昇させて、レンズ受軸86,86の上端部を開口8から上方に突出させておく。この位置では、レンズ受軸86,86の軸線が左右の測定光学系の光軸OL,ORと一致するようにしておく。
【0057】
この状態からメガネ5を空間6内に入れて、メガネ5の左眼鏡レンズLLを左のレンズ受軸86とレンズ押さえ棒26,26との間に配設し、メガネ5の右の眼鏡レンズLRを右のレンズ受軸86とレンズ押さえ棒26,26との間に配設する。
【0058】
そして、メガネ5の左右のレンズ枠LF,RFの鼻当NP,NPを鼻当当接部材45に当接支持させる。これにより、メガネ5の左右の眼鏡レンズLL,LRを左右の測定光学系SL,SRに対して左右に正確に振り分けることができる。この状態で、この鼻当当接部材45ネジリコイルバネ43,46のバネ力に抗して下方に移動させることにより、図17の如くメガネ5の眼鏡レンズLL,LRをレンズ受軸86,86上に当接させる。
【0059】
この後、フレーム保持部材28,29の間隔を上述した実施例と同様に狭めて、フレーム保持部材28,29間でメガネ5のメガネフレームMF(レンズ枠RF,LF)を挟持させると共に、左右のレンズ押さえ棒26,26及び26,26を眼鏡レンズLL,LRにそれぞれ上方から当接させて保持する。
【0060】
次に、レンズ受機構80L,80Rの昇降手段83,83を作動させて、支持軸84,84、アーム85,85及びレンズ受軸86,86を図17の破線で示した位置まで降下させる。
【0061】
この状態では、メガネ5のメガネフレームMFのブリッジBが鼻当支持部材25により下方から支持され、眼鏡レンズLL,LRがレンズ押さえ棒26,26及び26,26により上方から長いえられていると共に、メガネフレームMFがフレーム保持部材28,29で前後から保持(挟持)されているので、レンズ受軸86,86が降下しても、メガネフレームMFの前後方向の位置及び眼鏡レンズLL,LRの上下方向の高さ(位置)がずれることはない。
【0062】
そして、レンズ受機構80L,80Rの駆動装置81,81を駆動して回転台82を回転駆動し、支持軸84,84、アーム85,85及びレンズ受軸86,86を図19の矢印87,87で示したように破線の位置まで回動させ、アーム85,85及びレンズ受軸86,86を測定光学系の光路からそれぞれ退避させる。この状態で、上述した実施例と同様にして、眼鏡レンズLL,LRの屈折特性(光学特性)の測定を行う。この様な駆動装置81や昇降手段83の作動制御は演算制御回路69により行わせる。また、アーム85の回動位置や昇降位置はセンサにより検出して位置決するようにしても良い。
【0063】
この様にすることで、眼鏡レンズLL,LRの下面の高さをより正確に特定して、左右の各受光光学系の測定光軸上において眼鏡レンズLL,LRの下面と受光光学系の受光手段までの距離をより正確に一定にして、眼鏡レンズの正確な屈折特性を測定することができる。即ち、本実施例の構成により、眼鏡レンズLL,LRの測定光軸上における下面は、眼鏡レンズLL,LRの厚さや、レンズ裏面(下面)のカーブ、フレームの湾曲形状等に左右されることなく、常に同じ高さの位置に配置できるので、左右の各受光光学系の測定光軸上において眼鏡レンズLL,LRの下面と受光光学系の受光手段までの距離をより正確に一定にして、眼鏡レンズの正確な屈折特性を測定することができる。
【0064】
しかも、眼鏡レンズLL(LR)の屈折特性(光学特性)を測定する際には測定光学系の光路中に測定光束を遮る部材がなく、正確な測定ができる。また、構成が簡単である。
【0065】
尚、上述した例では、レンズ受軸86の昇降手段83を駆動装置81で回転させてアーム84を水平回動させることにより、レンズ受軸86を回動するアーム84でレンズ支持位置と退避位置との2箇所に移動するようにしたが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、レンズ受軸86の昇降手段83を直線的に進退駆動させることにより、レンズ受軸86をレンズ支持位置と退避位置との2箇所で直線的に進退移動するようにしてもい。
(変形例)
尚、レンズ受軸86の他の例としては、図19(a)に示したように円錐台状で筒状の小径のレンズ受88や、図19(b)に示したように小円上に位置するように等ピッチに配列した複数のレンズ受軸89a,89a,89aをアーム85の先端部に設けた構成のレンズ受89としても良い。この場合には、眼鏡レンズLL(LR)を受けたとき、これらを安定して支持することができる。なお、この場合も、アーム55,55の先端同士を対向させたとき、レンズ受88の軸線O1やレンズ受軸89a,89a,89a間の中心線O2が光軸OL(OR)と一致するようにする。
(その他1)
上述した発明の実施の形態2において、フレーム保持部材28,29を設けずに、鼻当支持機構30の回動板42及び鼻当支持部材45を回動位置にロックするロック装置を設けた構成としても良い。
【0066】
この場合、左右のレンズ押さえ機構13,13がメガネ5の左右の眼鏡レンズLL,LRを上方から非常に小さなバネ圧で押さえるようにしておくことで、メガネフレームMFが大きく撓み変形することなく、レンズ押さえ機構13,13とロック装置付の鼻当支持機構30により、メガネ5の眼鏡レンズLL,LRをレンズ受で設定した位置に安定して保持できる。この構成によれば、構成が簡単となる。
【0067】
また、左右のレンズ押さえ機構13,13を省略して、鼻当支持機構30の回動板42及び鼻当支持部材45を回動位置にロックするロック装置と、鼻当支持部材45の両側にメガネ5の左右のレンズ枠LF,RF又は眼鏡レンズLL,LRを上下から保持するクリップ状のレンズ枠保持部材又はレンズ保持部材を設けた構成としても良い。
【0068】
この場合には、ロック装置付の鼻当支持部材45とクリップ状のレンズ枠保持部材又はレンズ保持部材により、メガネ5の眼鏡レンズLL,LRをレンズ受機構80で設定した高さ位置に正確に保持して、正確に屈折特性を測定できる。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明のレンズメータは、左右一対のレンズ受は、前記測定光学系の測定光軸と直交する水平軸を中心に両端部が上下回動する様に設けられたアームと、前記水平軸と直交し且つ前記測定光軸を含む面上に位置して前記アームに設けられた一対のレンズ支持突部を備えると共に、前記一対のレンズ支持突部は前記水平軸からの距離が等しく設けられている構成としたので、メガネの左右の眼鏡レンズを測定する光学系を一対設けても、各受光光学系の測定光軸上において眼鏡レンズの下面と受光光学系の受光手段までの距離を一定にして、眼鏡レンズの正確な屈折特性を測定することができる。
【0070】
また、請求項2の発明のレンズメータは、左右一対の各レンズ受は、駆動装置により前記各測定光路内の前記各眼鏡レンズを支持する位置と前記各測定光路から退避した位置との間で移動駆動可能に設けられている構成としたので、眼鏡レンズの下面の高さをより正確に特定して、各受光光学系の測定光軸上において眼鏡レンズの下面と受光光学系の受光手段までの距離をより正確に一定にして、眼鏡レンズの正確な屈折特性を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るレンズメータの斜視図である。
【図2】図1のレンズメータの開口部分におけるレンズ受の取付部の断面図である。
【図3】図2のB−B線に沿う断面図である。
【図4】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図5】図1に示したレンズ押さえ機構の部分の断面図である。
【図6】図3のC−C線に沿う断面図である。
【図7】図6の作用説明図である。
【図8】図1の鼻当支持機構の取付部の断面図である。
【図9】図8のフレーム保持部材への鼻当支持機構の取付部の拡大図である。
【図10】図8のD−D線に沿う断面図である。
【図11】図8の鼻当支持機構を矢印A方向から見た説明図である。
【図12】(a)は図11のF−F線に沿う断面図、(b)は鼻当支持部材の概略斜視図、(c)は鼻当支持部材の変形例を示す概略斜視図である。
【図13】図1〜図12に示したレンズメータの測定光学系の説明図である。
【図14】図4のレンズ受の作用説明図である。
【図15】図14のG−G線に沿う断面図である。
【図16】図14の部分拡大説明図である。
【図17】この発明の実施の形態2の要部説明図である。
【図18】図17の平面図である。
【図19】(a),(b)は、図17のレンズ受軸の他の構造例を示す説明図である。
【符号の説明】
LL,LR・・・眼鏡レンズ
1・・・装置本体(本体ケース)
9L,9R・・・レンズ受
SL,SR・・・測定光学系
10・・・受枠
10a・・・短辺(アーム)
11・・・支持軸(水平軸)
12・・・レンズ受軸(レンズ支持突部)
86・・・レンズ受軸(レンズ受)
88・・・レンズ受
89a・・・レンズ受軸
Claims (2)
- メガネの左右の眼鏡レンズをそれぞれ載置可能に設けられた左右一対のレンズ受と、前記一対のレンズ受に載置される眼鏡レンズの屈折特性をそれぞれ測定可能な左右一対の測定光学系を備えるレンズメータであって、
前記各レンズ受は、前記測定光学系の測定光軸と直交する水平軸を中心に両端部が上下回動する様に設けられたアームと、前記水平軸と直交し且つ前記測定光軸を含む面上に位置して前記アームに設けられた一対のレンズ支持突部を備えると共に、前記一対のレンズ支持突部は前記水平軸からの距離が等しく設けられていることを特徴とするレンズメータ。 - メガネの左右の眼鏡レンズをそれぞれ載置可能に設けられた左右一対のレンズ受と、前記一対のレンズ受に載置される眼鏡レンズの屈折特性をそれぞれ測定可能な左右一対の測定光学系と、前記左右の眼鏡レンズのレンズ枠を保持するレンズ保持部材を備えるレンズメータであって、
前記各レンズ受は、駆動装置により前記各測定光路内の前記各眼鏡レンズを支持する位置と前記各測定光路から退避した位置との間で移動駆動可能に設けられていることを特徴とするレンズメータ。
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