JP3651900B2 - エチレンコポリマーで可塑化したpvcの改良製造方法 - Google Patents
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Description
発明の分野
本発明は、高い分子量を有するエチレンコポリマー可塑剤で可塑化した(plasticized)時の可塑化PVCの改良製造方法に関する。より詳細には、本発明は、一般に存在しているゲルを少なくする工程改良に関し、これは、PVCと(架橋していない)高分子量のエチレンコポリマー可塑剤の配合に部分的に架橋しているエチレンコポリマー改質剤を少量添加することを伴う。この部分架橋エチレンコポリマー改質剤は、上記高分子量エチレンコポリマー可塑剤に組成の点で類似したエチレンコポリマーを基とした改質剤である。好適にはまた通常のPVC用低分子量可塑剤も上記改質剤の一部として存在させる。
関連技術の説明
PVCは長年に渡っていわゆる「単量体」可塑剤と低分子量の「重合体」可塑剤で可塑化されてきた。低分子量の「重合体」可塑剤は実際のところ周囲温度で液状のオリゴマー状ポリエステル材料である。
しばらく前に、PVCの可塑化でまた特定の高分子量エチレンコポリマー樹脂も用いられるようになってきた。このようなエチレンコポリマー類は、典型的に、酢酸ビニルを高レベルで含むエチレン/酢酸ビニルのビポリマー類、およびエチレンと酢酸ビニルまたはアクリル酸アルキルと一酸化炭素のターポリマー類である。上記ターポリマー中の酢酸ビニルまたはアクリル酸アルキル(モノマー類)の量は上記ビポリマー中の酢酸ビニルよりもかなり低くしてある、と言うのは、一酸化炭素は強力な極性を示し、そのことで混和性が向上し、他のコモノマーを混和性の目的で使用する必要があまりないからである。このようなエチレンコポリマー類は周囲温度で柔らかであるが本質的には流体でない。
この上に示した一酸化炭素含有エチレンターポリマー類は最初に米国特許第3,780,140号(Hammer)で開示された。これらはPVCおよび他のポリマー類と一緒にブレンドするに有用であるとして開示された。「相溶性(compatible)」混合物が2種類記述されていて、1つの種類の混合物に含まれるターポリマーはじん性を与えるが可塑化を有意にはもたらさず、もう1つの種類の混合物に含まれるエチレンターポリマーは分子規模で混和していて可塑化をもたらす、即ちPVCまたは他のポリマーの引張り応力を低くする。請求されているブレンド物はPVCのブレンド物であった。この種類のブレンド組成物は長年に渡って市販されてきた。本発明の改良製造方法が関係する可塑化PVCはこの種類の可塑化PVCである。上記特許にはまた高分子量可塑剤と「単量体」もしくは低分子量オリゴマー状の液状可塑剤を混合して用いることも開示されている。
米国特許第5,278,236号(Case他)には特にPVCで用いるのに有用な高分子量重合体可塑剤が開示されており、その可塑剤は、特殊な工程条件(鎖分枝を低レベルでもたらすと考えられる)下で製造されたエチレン/アクリル酸アルキル/一酸化炭素ポリマーである。このようなポリマーとPVCのブレンド物は成形品で滑らかな表面を与える。エチレン/アクリル酸n−ブチル/一酸化炭素が特に好適である。
米国特許第4,613,533号(Loomis他)には部分架橋エラストマー組成物が開示されており、その組成物は、一酸化炭素含有エチレンターポリマーとPVCのブレンド物である。架橋するエチレンターポリマー類は本発明に関係するエチレンターポリマーに類似している。このような架橋は典型的にPVCブレンド物で実施されるが、PVCとブレンドする前のエチレンターポリマーに架橋を起こさせることも可能である。そのブレンド物全体の架橋レベルと特別な相構造から、そのような生成物は加硫ゴムに関連した特性を示し、特に低い圧縮永久歪みを示す。また、このような架橋レベルと相構造の結果として、そのような組成物は典型的にメルトインデックス試験で全く流れを示さない。しかしながら、それらは相構造が原因で特定の条件下では流れを示すようになり得る。従って、それらは押し出し加工、カレンダー加工および射出成形で溶融加工可能である。このように、上記材料は、よく知られている熱可塑性エラストマーの範疇に入る。
米国特許第4,627,993号(Loomis)にも同様なエラストマー組成物が記述されており、その組成物は、一酸化炭素は用いられていないがコポリマー中にコモノマーをより高いレベルで含む架橋エチレンビポリマーコポリマーとPVCのブレンド物である。このような組成物も同様に典型的には流れを示さないが、溶融加工可能である。
この上に示した2つの特許に記述されているブレンド物は、化学的に、エチレンコポリマーで可塑化したPVCにいくらか類似してはいるが、それらが示す物理的挙動に関しては、架橋が存在していることで極めて異なる。このように、エチレンコポリマー可塑化PVCは、Loomisの熱可塑性エラストマー類とは全く対照的に、比較的高いメルトフローと劣った(高い)圧縮永久歪みを示す。
エチレンコポリマー可塑剤それら自身は周囲温度で流体ではないが、PVCの溶融加工温度では特徴的に低い粘度を示す(メルトフローが非常に高いことに相当する)。PVCは比較的高い溶融粘度を示し、従って低いメルトフローを示す。可塑化PVCで用いられる可塑剤の量は、可塑剤自身が示すメルトフローほど高くはないが充分なメルトフローを確保する量である。
可塑化PVCは、典型的に、粒状、即ち比較的小さい粒子サイズを有するPVCを用いて製造されている。エチレンコポリマー可塑化PVCの製造では、製造中、溶融粘度が比較的低いエチレンコポリマー可塑剤と溶融粘度が比較的高いPVCを溶融混合する時に高粘度の流体と低粘度の流体を混合することに関連した典型的な問題、即ち極めて厳しい混合条件を用いないと混合が不均一になると言った問題が起こり得る。このように、可塑化は混和性(misibility)を示唆するが、完全に均一な混合物を達成することの容易さは全く別の問題である。実際、高いせん断エネルギーを与えるように非常に高いトルクを用いない限り、未溶解(undissolved)[即ち未混合(unmixed)または「未融解(unfused)」または「流体になっていない(unfluxed)」]PVC粒または粒子が数多く存在するのが普通である。このような可塑化PVCでフィルムを作成すると、そのような粒子は、数多くのポリマーフィルムによく見られるゲルスポット(gelspots)に類似した形態で現れる。このような粒子が存在していると、結果として、その可塑化材料から作られる部品およびフィルムに光沢低下がもたらされかつ引張り強度の低下がもたらされる。不幸なことには、通常、そのような可塑化材料を製造する製造業者−加工業者が所有する混合装置は相対的にあまり強力でなく、その結果として、PVCの未溶解粒子または「ゲル」に関係した問題が非常によく起こる。
このようなゲルの量を低くしようとする1つのアプローチは、簡単に、より高い粘度を有するエチレンコポリマー可塑剤を用いることであった。このようなアプローチは、Journal of Vinyl Technology、1994年3月に公開された表題が「Plasticization of PVC ethylene copolymer resins」の論評に記述されている。しかしながら、これは全体的には満足される解決法でなく、使用可能な可塑剤の範囲を制限している。
可塑化PVCにおける初期ゲル問題を軽減して幅広い範囲の可塑剤、工程条件および加工装置を使用することができるようにしそして幅広い範囲の可塑化組成物を利用できるようにする方法が求められているままである。
発明の要約
本発明は、エチレンコポリマーで可塑化したPVC組成物の製造でゲル量が低くなるように改良した方法を提供する。本方法を用いると、以前に比べて幅広い範囲の工程条件を利用することが可能になりかつ幅広い範囲の可塑化組成物を利用することが可能になる。
エチレンと酢酸ビニルのビポリマー類、エチレンと酢酸ビニルと一酸化炭素のターポリマー類およびエチレンとアクリル酸C1−C8アルキルと一酸化炭素のターポリマー類から成る群から選択されて1から100のメルトインデックスを示すエチレンコポリマーである一次可塑剤を混和量で、PVC 100部当たり20から150部の範囲に入る量で用いてPVCを可塑化しそして任意にまた1番目の非エチレン系(non−ethylene)低分子量コポリマー二次可塑剤をPVC 100部当たり20部以下の量であるが上記一次可塑剤の部数より低い部数で用いて可塑化してもよい可塑化PVCを製造する方法であって、この方法は、PVCと該エチレンコポリマー一次可塑剤と任意に非エチレン系低分子量コポリマー二次可塑剤を溶融混合装置で混合することを含み、ここでの改良に、
PVCとの溶融混合を始める前に該20−150部の量の一次可塑剤のいくらかを改質剤で置き換える、即ち上記部数の中の5−30部の量で置き換える、
ことを含める。この改質剤に、
a)エチレンと酢酸ビニルのビポリマー類、エチレンと酢酸ビニルと一酸化炭素のターポリマー類およびエチレンとアクリル酸C1−C8アルキルと一酸化炭素のターポリマー類から成る群から選択した架橋前のエチレンコポリマーに25から80パーセントの範囲の架橋レベルで部分的架橋を受けさせたエチレンコポリマー、
b)2番目の非エチレン系低分子量コポリマー可塑剤[これを、該改質剤に含める架橋前のエチレンコポリマーに、該改質剤a)+b)総量の0−30%の量で添加しておく]、
を含める。
発明の詳細な説明
以下に行う開示において、言葉「コポリマー」は、モノマーを2種類以上用いて直接作られる本質的にランダムのコポリマーを意味する。これはグラフト−コポリマー(重合または他の手段を用いてモノマーまたは他の単位を現存モノマー鎖に結合させたコポリマー)から区別される。モノマーを2種類のみ共重合させる場合、具体的であることが求められる時、言葉「ビポリマー」を用いる。同様に、3種類のモノマー類を共重合させる場合、具体的であることが求められる時、言葉「ターポリマー」を用いる。用語「エチレン「と」別のモノマー(類)のコポリマー」は、そのコポリマーがエチレンと他のモノマー(類)から派生する単位を有することを意味する。
本開示において、ポリ(塩化ビニル)ポリマーは塩化ビニルと商業的によく知られている他のモノマー類とコポリマー類を数多く包含することを意味する。このようなポリマー類は熱的に不安定で、いろいろな安定剤が少量添加されているのが通常である。本開示で用語「PVC」を用いる場合、これに関連して区別する必要がない場合、一般に、このポリマー単独または典型的な熱安定剤パッケージと一緒のポリマーいずれかを意味する目的でこの用語を用いる。このポリマーが安定化されていないか或は安定化されているかを具体的に言及する必要がある場合、用語「PVCポリマー」および「安定化PVC」を用いる。用語「安定化PVCドライブレンド物」は、溶融させないで安定剤混合物と一緒に乾燥混合したPVCポリマーを意味する。
本開示において、未溶解であるか或は未混合であるか或は流体になっていないPVC粒子を記述する目的で言葉「ゲル」を用いる。この「ゲル」粒子は架橋していない。言葉「ゲル」は、通常、架橋材料の粒子の場合に用いられる。実際、ゲルは、連続した架橋網状組織を含む材料を具体的に記述する目的でしばしば用いられる技術的用語である。ここでは、単に便利さとして言葉ゲルを用いる。
PVCは堅くていくらか脆いポリマーであり、通常これは数多くの最終使用で可塑化されている。上記1番目の可塑剤は、液状の低分子量材料(たいていはエステル)、例えばフタル酸エステル(これは、混乱するが通常、時として「単量体」と呼ばれる)および液状の低分子量(時として「重合体」と呼ばれる)オリゴマー状ポリエステル材料[これはいろいろな組成(しばしば特許権が主張される)を有する]などであった。それらの分子量は典型的に約3000以下である。本開示の目的で、そのような可塑剤、即ち低分子量材料に一般的用語「非エチレン系低分子量コポリマー可塑剤」または「非エチレン系コポリマー可塑剤」または「低分子量可塑剤」(本文脈でより有効な用語いずれか)を与える。ここで用いる上記3種類の用語は意味において同義である。液状のオリゴマー状ポリエステルおよび流体でない高分子量のエチレンコポリマー可塑剤は両方とも重合体であり得るか或は重合体であるとして記述されてきたが、それらは本質的に全く異なることから、混乱を避ける目的で用語「重合体」を用いないことにする。
この上にしめしたように、有意な分子量を有する可塑剤が後に使用されるようになってきて、それらは流体でないエチレンコポリマー類であった。このようなエチレンコポリマー類は約250,000以下の重量平均分子量を持ち得る。これらには、酢酸ビニルとのビポリマー類、および酢酸ビニルまたはアクリル酸アルキルと一酸化炭素とのターポリマー類が含まれる。これらは、これらが有する分子量から、可塑化組成物において、旧式の低分子量可塑剤を用いた組成物よりも高い耐久度を示すと言った利点を有する。しかしながら、これらは、重量を基準にした場合、引張り応力または堅さを低くする(即ち可塑化する)点では確かに非エチレン系コポリマー可塑剤ほどには有効でない。加うるに、これらは、温度がより低い場合には確かに可塑化組成物を必ずしも軟質組成物としてもたらさない可能性がある(これに関して、ターポリマー型に入っているアクリル酸エステルコモノマーはかなり助けになり得るが)。時として、特性およびコストの理由で、両種類の可塑剤の混合物を用いることによる妥協が行われている。耐久度はいくらか低下し得るが、それでも、低分子量可塑剤のみを用いた時に比べると向上し得る。本発明は、可塑化でエチレンコポリマーが単独で用いられている場合のPVC可塑化方法に対する改良およびエチレンコポリマー類と低分子量可塑剤の組み合わせが用いられている場合のPVC可塑化方法に対する改良に関する。
可塑剤をこの用語として一般的に用い、そしてここで用いるように、可塑剤は本質的にその可塑化を受けさせるべきポリマーに混和し得る(単に相溶するのではなく)。この用語「相溶」は幅広く、この用語は、分離相として一緒に存在し得る物質、例えばじん性剤(tougheners)などばかりでなく実際に混和し得る物質も包含し得る。本発明に関係していてPVCに混和し得る高分子量のエチレンコポリマー可塑剤には、酢酸ビニルを55−75重量パーセント用いたエチレン/酢酸ビニルコポリマー、およびエチレンを少なくとも40重量パーセントと酢酸ビニルもしくはアクリル酸アルキルを10−50重量パーセント、好適には20−40重量パーセントと一酸化炭素を2−30重量パーセント、好適には5−15重量パーセント用いたエチレン/酢酸ビニルもしくはアクリル酸C1−C8アルキル/一酸化炭素のターポリマー類が含まれる。このC1−C8はアルキル基中の炭素数を指す。好適なアクリル酸アルキルは、アルキル基中の炭素数が4−8のアクリル酸n−アルキルであり、最も好適なものはアクリル酸n−ブチルである。コモノマー含有量の最も幅広い範囲は、その系列全体の混和性に関する限界を表す。勿論、個々のPVCグレードで、コポリマーのメルトインデックス(MI)が決まっている場合、そしてそのコポリマー中のコモノマーが決まっている場合、混和性を与え得るコモノマー含有量の正確な範囲はそのような幅広い範囲より狭くなるであろう。しかしながら、コモノマーの好適な範囲は、一般に、常に混和し得る範囲を表す。コモノマー含有量の可能な幅広い範囲内において全レベルで完全な混和性を与え得る正確な範囲またはより極端なコモノマー範囲の場合の混和性の範囲を描写することは、技術者の技術の範囲内である。本開示で、用語「混和量で、PVC 100部当たり20から150部の範囲に入る(可塑剤)量」を用いる場合、これは、この上に示す範囲内に入りかつまた混和し得る量を意味する。
本発明の方法が有効であり得る場合の上記一次可塑剤が示し得るMIは約1から100、最も好適には5から50である。2000以上に及ぶMIでもPVCの可塑化をもたらし、まだ、高分子量であると見なすことができる。しかしながら、MIが高くなると、そのような可塑剤は益々耐久度を与えなくなると予測され得る。しかしながら、MIが100を越えると、本発明の改良方法を用いたとしても役立たないであろうほどにまで混合問題がひどくなる。以下の実施例で示すように、可塑剤の粘度を低くすればするほど、即ちMIを高くすればするほど、よりひどい混和問題がより一層起こる。このように、可塑剤が示すMIが28であると、MIが8の場合に比較して、よりひどい問題が起こる。しかしながら、可塑剤のMIを高くすればするほど、より有効な可塑剤になり、ある場合にはこれを考慮すべきである。
また、非エチレン系低分子量コポリマー可塑剤もPVC 100部当たり20部以下の量で存在させてもよいが、その量はエチレンコポリマー可塑剤の部数に等しい量より少ない量である。可能な低分子量可塑剤には、分子量が通常約3000以下のよく知られている液状のオリゴマー状ポリエステルが含まれる。この種類のポリエステル特許品が市場に数多く出ている。他の可塑剤には、PVCで通常用いられる可塑剤が含まれ、これらはフタル酸エステル、アジピン酸エステル、アゼライン酸エステル、トリメリット酸エステルおよび燐酸エステルなどの如きエステルである。理想的な低コストの低分子量可塑剤はフタル酸ジイソノニル(DINP)である。PVC用のエチレンコポリマー可塑剤は一般にPVC用の非エチレン系コポリマー可塑剤に混和し得る。
また、そのような低分子量の可塑剤も存在させると、そのような可塑剤混合物の正味粘度とPVCの正味粘度との差が増す結果として混合が劣ると言った問題が増大することになる。従って、本発明の改良方法は、エチレンコポリマー一次可塑剤のみを存在させた時の方がより有効であろう。それにも拘らず、混合可塑剤を用いた方法でも改良を実現化することができる。しかしながら、以下に記述するように、好適には、正確に同じ種類の低分子量可塑剤を、本発明の方法における重要な要素である改質剤の部分にする。
低分子量可塑剤を用いて数多くの粒子グレードPVCの可塑化をそのPVCの溶融を起こさせることなく行うことができるが、本発明の方法に関係するエチレンコポリマー可塑剤を用いる場合、PVCが溶融する温度より高い温度でPVCと可塑剤を混合する必要がある。典型的には、バッチ式ミキサー、例えばバンバリー(Banbury)ミキサー、ニーダー、単軸および2軸溶融押出し機およびファレル(Farrell)連続ミキサーなどを含む溶融混合装置を用いて単にその2つを一緒に混合する。加工業者の溶融混合装置は、通常、特に強力、即ち高せん断装置ではなく、混合が不充分である。
混合で生じるゲル問題は、混合条件に応じた度合で起こるであろう。低強度(低トルク)の溶融混合を用いると、上記問題が特に緊急になる可能性がある。エチレンコポリマー一次可塑剤をより高いレベルで用いる場合にも、この一次可塑剤の粘度がより低い場合に上記問題が起こるのと同様に、この問題がより深刻になる。ある種の組成物を用いると、混合を強力にするか或は混合時間を非常に長くすることで上記問題を克服することができるが、安定剤を添加してPVCでも高温に長時間さらされると劣化を受けることから、好適には、混合時間を長くしないようにする。混合強度を低くしそして混合時間を短くした時でも上記問題が軽減されるように本発明を設計する。
ゲル問題に対する解決法は、PVCと一緒に溶融混合する前の可塑剤配合物に部分架橋の高分子量エチレンコポリマーをある量で添加する(それでエチレンコポリマー一次可塑剤の一部を置き換える)ことを伴う。この部分架橋エチレンコポリマーの調製で用いるエチレンコポリマー類は、上記一次可塑剤それら自身で通常用いられるコポリマー類と正確に同じコポリマー類であってもよい、即ちこれらはエチレン/酢酸ビニルのビポリマーであるか、或はエチレン/酢酸ビニルもしくはアクリル酸アルキル/一酸化炭素のターポリマー類であってもよい。しかしながら、部分架橋エチレンコポリマーで用いる特別なコポリマーに上記一次可塑化用コポリマーと同じ化学組成を持たせる必要はない。このように、上記一次可塑剤はエチレン/酢酸ビニルビポリマーであってもよい一方、この部分架橋ポリマーはターポリマー、即ちエチレンとアクリル酸n−ブチルと一酸化炭素のターポリマーから誘導される部分架橋ポリマーであってもよい。
この改質剤に必要な架橋度合は25から80%の範囲である。25%未満であると、ゲル総数の低下が充分でなくなる。80%を越えると、可塑化生成物の粘度が容認されなくなるほど高くなるであろう。好適なレベルは40から60%の範囲である。
また、この部分架橋エチレンコポリマー改質剤は、これを架橋させているにも拘らず、これをPVCと一緒に混合するとそのPVCを可塑化する(PVCの引張り応力を下げる)。更に、これが引張り応力を低くする効果は、匹敵するコモノマー含有量を有する未架橋のエチレンコポリマー可塑剤のそれに匹敵する。架橋を受けさせる前の出発ポリマーは、結局、可塑剤であり、そして上記架橋度合は、これが示す可塑化効果が有意に減じるほどに堅くならない程度である。この理由で、要求される引張り応力低下の達成で使用する可塑剤の全量が一定でありそしてその改質剤が化学的に類似している(架橋を除き)とすると、単に一次可塑剤の量を少なくしてそれを匹敵する量の改質剤で置き換えるのが便利である。
この部分架橋エチレンコポリマーに架橋を受けさせる前の出発ポリマーの場合のコモノマー含有量およびMIの可能な範囲は、可塑化用エチレンコポリマーの場合と同じである。好適な出発ポリマーの化学組成は、可塑剤に好適なポリマーのそれと同じである。このように、この部分架橋エチレンコポリマーの調製に好適なコポリマーはターポリマーであり、好適にはエチレン/アクリル酸n−ブチル/一酸化炭素のターポリマーである。特に適切な部分架橋コポリマーは、アクリル酸n−ブチルを30重量パーセントおよび一酸化炭素を10重量パーセント用いて5から30の範囲のMIを持たせたエチレン/アクリル酸n−ブチル/一酸化炭素のターポリマー(これはまたPVC用の好適な一次可塑剤でもある)から生じさせた部分架橋コポリマーである。勿論、この改質剤用出発エチレンコポリマーと上記エチレンコポリマー一次可塑剤とは化学組成の点で全く異なりかつそれが可塑剤として示す効果も異なることから、1対1で置き換えても同じ引張り応力低下が得られない可能性がある。このような場合、一定の引張り応力低下を得るには、上記一次可塑剤を少なくした量よりも多いか或は少ない量で改質剤を添加する必要があり得る。用語「置き換え」および「添加」は両方とも本方法で実際に行うことを記述する代替方法として使用可能であることは理解されるであろう。このように、PVCが100部で一次可塑剤が80部で改質剤が20部である最終組成物の場合、この組成物の調製で用いる方法は、混合前の100PVC/80一次可塑剤組成物に改質剤を20部添加した後に混合を行う方法として定義することができるか、或は100PVC/100一次可塑剤配合の一次可塑剤20部を混合前に20部の改質剤で置き換えた後に混合を行う方法として定義可能である。本開示では、添加ではなく用語「置き換え」を本発明の方法の記述で用いてきた。この用語をここで用いる場合、この用語は勿論、一次可塑剤を最初に入れた後にこれを改質剤に取り代える、即ち改質剤で置き換えることを意味するものでない。これは、単に、添加する改質剤の量と同じ量だけその配合に入れる一次可塑剤の量を少なくすることを意味する。
部分架橋エチレンコポリマーが何故いわゆるゲル粒子をなくす能力を有するか、理由は明らかでない。実際、架橋はその言葉が持つ一般的な意味においてゲル粒子に通常関連していることから、部分架橋材料を添加しても悪影響が生じないことは驚くべきことである。
エチレン/酢酸ビニルコポリマー類の製造は本技術分野でよく知られている。本発明で用いるに適切な種類のターポリマーの製造が米国特許第3,780,140号(これは引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。
可塑剤の配合に低分子量の可塑剤を存在させると本質的にゲルのレベルに悪影響が生じる可能性があることにも拘らず、有利には、上記部分架橋エチレンコポリマー改質剤に低分子量可塑剤を適度な量で混合することを上で述べた。実際的には、上記改質剤に部分架橋を受けさせる前の基となるエチレンコポリマーを上記低分子量可塑剤と一緒に混合する。
低分子量可塑剤を好適に上記改質剤の一部にする理由は2つ存在する。最初の理由(これは、特に、何故に架橋を受けさせる前の基のエチレンコポリマーに上記可塑剤を添加するかに関する)は、その結果として架橋したポリマーの架橋がより均一になるように思われる点である。低分子量可塑剤を存在させないと、その結果として生じる改質剤をPVCと一緒にブレンドした時にそのブレンド物が若干「ざらざらした(gritty)」品質を示すようになる。如何なる特別な理由にも拘束するものではないが、これは、その言葉の古典的な意味においてゲルの量が少ないことに関係し得る、即ち高度に架橋した材料の領域が狭いことに関係し得る。2番目の理由は、部分架橋エチレンコポリマーは可塑化をもたらすが、生成物の引張り応力に関する限り、それ単独で用いると、特に架橋レベルが高いと、生成物の粘度を高くすると言った理由である。このように、架橋が均一であると、架橋レベルが高い方がゲル量を下げるに有効であり得るが、ゲル量が低い可塑化生成物の場合には粘度上昇度合がより大きくなると言った欠点が生じる。低分子量可塑剤は、そのような上昇を大きく相殺し得ると言った効果を有する。製造業者−加工業者にとって便利であると言った観点から、匹敵する量で一次可塑剤を置き換えた時に粘度変化をもたらさない(粘度が変化しない結果として、最終生成物の加工方法が、そうしなかった場合の加工方法と同じである)改質剤が非常に便利である。さもなければ、製造業者−加工業者は、部分架橋エチレンコポリマー改質剤単独が示す粘度上昇効果を中和する量を見付け出すまで、低分子量可塑剤をいろいろなレベルで添加する実験を開始する必要があるであろう。このような「混合」改質剤はある種の「プレパッケージド(prepackaged)」代替可塑剤を形成し得る。
低分子量可塑剤を存在させて上記改質剤の一部を形成させてもよい量は、この改質剤全量の30重量パーセント以下であり、好適には10から20重量パーセント存在させる。最終可塑化PVCの粘度に対する影響が最小限である改質剤(これで等しい量の一次可塑剤を置き換えた時に)の例として、部分架橋エチレンコポリマー成分を40−60%含めそしてDINP低分子量可塑剤を15部含めた改質剤が理想的である。架橋レベルをより高くする場合には、この改質剤が可塑化生成物の粘度に対して示す影響が最小限になるように低分子量可塑剤のレベルをより高くする必要があるであろう。改質剤の架橋レベルが何らかの一定レベルである場合にこの改質剤が最終可塑化生成物の粘度に対して示す影響が最小限になるに必要な低分子量可塑剤量(この改質剤に入れる)は、試行錯誤で容易に決定可能である。
低分子量可塑剤を上記改質剤の1成分にしそしてゲルのレベルを改良(低く)することを求める方法が低分子量二次可塑剤を一次可塑剤と一緒に用いて生成物の特性のある種の具体的な均衡を得ようとする方法である場合、最終組成物に非エチレン系低分子量コポリマーを本質的に可塑剤配合の部分として含めそして別の低分子量可塑剤成分を上記改質剤の部分として含める(この2種の低分子量可塑剤は同じか或は異なっていてもよい)。そのような状況下では、低分子量可塑剤を上記改質剤に存在させると低分子量可塑剤の使用で探求する特性がある程度得られることから、低分子量二次可塑剤の量を少なくするのが好適であり得る。低分子量可塑剤全体の量が過剰であると可塑剤全体が与える耐久度が不可避的に低下するが、レベルを低くしてもそれに関する効果は中程度のみである。
上記改質剤の架橋レベルは25から80%であってもよい。これは、好適には40から60%である。このレベルを高くすればするほど、生成物フィルムにおけるゲル減少効果は高くなるが、可塑化生成物における粘度上昇もまた増すことになる。
試験方法
材料自身に関して、そして本発明の方法の生成物の評価で、いろいろな試験方法を用いる。
ASTM D−1238、条件Eを利用し、2160グラムの荷重を用いてメルトインデックス(MI)を190℃で測定する。
PVCのインヘレント粘度(IV)は、安定剤を添加したPVC「ドライブレンド物」にする前のポリマーに関して測定したIVを指す。ASTM D−1243−66Tを用いてこれの測定を行う。本実施例に示す値は製造業者の数値である。
L/Dが20/1の一定率GOTTFERT Rheograph2001レオメーターを利用し、通常のピストンレオロジー(piston rheology)を用いてレオロジーを190℃で測定する。
試験で用いた安定化PVCドライブレンド物の調製を、Vista Chemical Co.が製造しているPVCポリマー(グレードVISTA 5303)に下記の安定剤を下記の量(PVCポリマー100部当たり)で添加して混合することで行った:MARK 1900(Argus Chemicalが製造しているアルキル錫メルカプチド)を3部、DLTDP(ジラウリルチオジプロピオネート)を0.4部およびIRGANOX 1010(Chiba−Geigyが製造しているヒンダードフェノール系抗酸化剤)を0.4部。上記PVCポリマー自身のIVは0.73であった。
KAPTONフィルムに挟んだ2−3グラムの可塑化材料をChromeプレートでプレス加工して厚みが約5ミルのフィルムを得た後、マイクロフィッシュリーダー(microfiche reader)を用いてゲル粒子数を数えることによって、ゲル数を得た。数は視界当たりの平均ゲル粒子数を表す。18X倍率を用い、そして視界は4平方cmの面積を表す。平均は少なくとも3視界の数の平均である(ゲル粒子の計数をより容易にする目的で、サンプル調製中に炭酸カルシウムを少量添加してマイクロフィッシュ観察中のゲル粒子と背景の間のコントラストを得ることも可能であり、これを時には行った。これの存在はその総数にほとんどか或は全く影響を示さない)。
HAAKE System 90 Rheocordミキサーを用いて平衡時のトルクを測定した。
改質剤の架橋度合を下記の如く測定した。100mlのメチルエチルケトンに改質剤のサンプルを重量測定して約1グラム入れた後、3時間還流させた。約30ml取り出して、遠心分離を14,000rpmで20分間受けさせた。この溶液の一定分量10mlを取り出して、風袋を計ったアルミニウム鍋に入れた。このサンプルをフード内で一晩空気乾燥させた後、104℃の真空オーブンに1時間入れ、冷却した後、重量測定を行うことにより、溶解物の重量を決定した。溶液が100mlの場合の溶解物の全重量は、一定分量10mlで重量測定した溶解物の重量の10倍である。ゲルの重量である不溶物の重量は、サンプル重量から溶解物の重量を引いた量である。サンプルに入っているポリマーの量を基準にしてゲルパーセントを計算する、即ち如何なる低分子量可塑剤の重量もサンプルの重量から引く。
以下に示す方法で本実施例で使用する改質剤を調製した。ドラムタンブリング(drum tumbling)で、エチレン/アクリル酸n−ブチル/一酸化炭素(60/30/10重量)から作られていてMIが8のペレットを0.50重量パーセント量のLUPERSOL 231[これはフタル酸ブチルベンジル中80%の1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン混合物である]で被覆した。この架橋用パーオキサイド触媒で被覆したポリマーを約50pphの率で46mmのBUSSニーダーに送り込んだ。このニーダーの長さは560mmであった。DINP可塑剤を上記ニーダーのバレルにペレット供給口から約200cm離れた場所で最終生成物におけるDINP充填量が15%になるような率で供給した。ゾーン温度の設定値を160℃にし、スクリュー温度を100℃にし、そしてスクリュー速度を300rpmにした。この上に示した供給率において、溶融温度は200から250℃の範囲の温度に到達した。架橋度合の測定値は44%であった。
実施例
実施例1
HAAKE System 90 Rheocordミキサーを用いて材料を190℃で2.5分間ブレンドすることでサンプルの調製を行った。生じるサンプルの全体積が40ccになるようにサンプルに入れる各材料の量を調整した。混合時間と体積を一定に保つと、各サンプルは、材料の単位体積当たり、調節された量のエネルギー入力を受けることになるであろう。表1に示すように1組を15組成物にして、それら各々のサンプルを、60rpmのローラーブレード速度で調製した。15組成物から成る同じ組のサンプルをまた120rpmでも調製した。15組成物の中の9組成物のサンプルをまた90rpmでも調製した。このように、調製したサンプルは全部で39であった。
この表に示す組の15組成物の各々は、安定化PVCドライブレンド物(即ち、この上に記述した、安定剤と一緒にドライブレンドしたPVCポリマー)、エチレンターポリマー一次可塑剤および/または改質剤のブレンド物である。示す値は上記材料の重量部を表す。この15組成物から成る組は5サブセット(A、B、C、DおよびE)から成り、これらの各々に、いろいろな全体レベルで、一次可塑剤+改質剤総量を持たせる。各サブセット内に3組成物を存在させ、1番目の組成物に一次可塑剤のみを入れ、そして他の2組成物にいろいろな量で改質剤を入れる(等しい量の一次可塑剤の代わりに)。ミキサーに入れる各材料の正確な重量を計算する目的で、全体で40ccになるに必要な全重量を最初に計算する。これは、[各材料の重量分率(表に示すように、部数/全部数)xその材料の比重]x40の総計に等しい。ここで、各材料の重量は重量分率x全重量である。
上記ターポリマーは、モノマーの重量比が60/30/10でMIが8のエチレン/アクリル酸n−ブチル/一酸化炭素ポリマーであった。上記改質剤に同じポリマーを含めたが、これにDINPを15重量パーセント含有させ、約44%架橋させた。これの製造はこの上に記述してある。
ゲル数を表2に示す。100の値は100個以上であることを意味する。他の値は実際の数を表す。
60rpmで調製したサンプル(改質剤の効果が最も高い)に関するトルク値を表3に示す。
120rpmで調製したサンプル(この場合、ゲルが全く存在しなかった)に関するレオロジー(せん断速度を一定にした時の粘度で表される)を表4に示す。ゲルは粘度測定を妨げる傾向があり、値が信頼できなくなるであろう。
表2は、明らかに、可塑剤の充填量を高くすればするほどゲル粒子に関する問題が増すことを示している(最上方の横列)。また、混合する時のrpmを高くすればするほど上記問題が軽減され得ることもそこに示されている。120rpmにするとゲル問題は全く生じない(左側の縦列)。しなしながら、示されているように、この問題は、ゲルが有意に生じる場合に、即ちrpmが低い[これは混合強度がより低いことに相当する(右側の縦列)]時にゲル量をどのようにして下げるかである。添加剤全体のレベルを非常に高くした時以外は、一次可塑剤を改質剤で置き換える量を多くするにつれてゲル粒子数が減少することが分かるであろう(右側の縦列、上方5横列のゲル数はまだ100のままである)。
サンプルを60rpm(この場合には表3に示すようにゲルの問題が重大である)で調製する時に必要なトルクに関する値は、一次可塑剤を部分的に改質剤で置き換えたとしてもトルクが有意に上昇することはないことを示している。
表4に示す粘度値は、明らかに、一次可塑剤を部分的に改質剤で置き換えたとしてもレオロジー全体における差(即ちせん断速度範囲全体に渡る)はほとんどないことを示している。
従って、考慮に入れた組成物に関して、混合強度が低い場合および中程度である場合(このような場合、ゲル問題が重大である)には一次可塑剤を改質剤で置き換えるとゲルレベルが有意に低下し得ることが分かるであろう。
実施例2
この実施例では、一次可塑剤が実施例1のアクリル酸n−ブチルターポリマー一次可塑剤が示すMIより高いMIを示す(粘度が低い)エチレン/酢酸ビニル/一酸化炭素ターポリマーである場合の組成物を製造し、混合を2.5分間行った。MIは8であるのに比較して28であった。モノマーの重量比は同じ、即ち60/30/10であった。改質剤は実施例1と同じであり、そしてPVCも同じであった。同じブレンド方法を用いた。組成を表5に示す。測定ゲル数を表6に示し、そしてトルクを表7に示す。表8に示す見掛け粘度は60rpmで調製したサンプルに関して測定した粘度であったが、この場合、平衡トルクに到達するまで(約5から8分間)長期間に渡って混合した後の見掛け粘度であり、ゲルは存在していなかった。表6は、使用するターポリマーの粘度が低ければ低いほど(この実施例におけるMIは25で、実施例1の場合の8よりも高い)ゲルに関する問題が大きくなることを示している。このように、120rpmで強力混合を行ったとしても、実施例1のターポリマー(この場合には120rpmでゲルが全く生じなかった)とは対照的にゲル粒子が生じた。ターポリマーの化学組成が本質的に異なっていても(即ち、実施例1のアクリル酸n−ブチルターポリマーに比較して酢酸ビニルターポリマー)ゲルレベルに対する影響はほとんどなくそしてゲル量は可塑剤の粘度のみに関係していると考えられる。このように高いrpmを用いた混合で問題が生じる場合でも改質剤で置き換えるとゲル量が少なくなる。このような問題が常により深刻である低rpmの60rpmの場合にゲル量が少なくなるのは一次可塑剤+改質剤全体のレベルを低くした時のみである。それにも拘らず、可塑剤レベルが高い場合、可塑剤の粘度が低い場合そして存在させる混合強度が低い場合にはその度合は低くなるが、総合的に、改質剤を存在させることによってゲル量を有意に少なくすることができることは明らかである。そのような条件下でも、ゲル量を少なくしようとする時には改質剤のレベルをできるだけ高くするのが適切であろう。
表7に、60rpmにおける平衡時のトルクレベルを示す。一次可塑剤を改質剤で置き換えた時、トルクは可塑剤+改質剤全体のレベルを低くすればするほど若干上昇するが、総合的に、その上昇度合は有意でないと見なす。
表8に改質剤有り無しにおける流動挙動を示す。せん断が低くて添加剤の全体レベルが低い(典型的な可塑化組成物で通常用いられるであろうレベルよりも低い)時以外、一次可塑剤を改質剤で置き換えてもレオロジーの差はほとんどない。しかしながら、ここで、粘度が30%上昇(組成物5E対4Eの場合の6495対4973Pa.S)したとしてもこれは有意でないと見なす。その理由は、明らかに、低粘度(MI28)の可塑剤を高粘度の改質剤で置き換えていると言った理由である。実施例1では、高粘度(MI 8)の樹脂で置き換えており、このように、粘度における差異はより小さいと期待される。
一般的には、生成物の粘度が若干上昇して(せん断が低い時に観察される)これが加工性にとって有害であると見なされる場合、改質剤に入れる低分子量可塑剤のレベルを若干高くすることによって、それを中和することができるであろう。
上記実施例ではHAAKEミキサーで実施した方法で生成物の特性を例示してきた。各混合物はそれ自身の混合強度範囲を持つであろう。このように、例えば、高せん断スクリューが備わっているある種の押出し機を用いると生成物のゲルに関する問題が全く生じなくなる可能性はあるが、強力混合能力が中程度のみである数多くの押出し機ではゲル問題が生じ、このようなゲル問題は、本発明に記述した解決法を受け入れ得る。
Claims (4)
- エチレンと酢酸ビニルのビポリマー類、エチレンと酢酸ビニルと一酸化炭素のターポリマー類およびエチレンとアクリル酸C1−C8アルキルと一酸化炭素のターポリマー類から成る群から選択されて1から100のメルトインデックスを示すエチレンコポリマーである一次可塑剤を混和量で、PVC 100部当たり20から150部の範囲に入る量で用いてPVCを可塑化しそして任意にまた1番目の非エチレン系低分子量コポリマー二次可塑剤をPVC 100部当たり20部以下の量であるが上記一次可塑剤の部数より低い部数で用いて可塑化してもよい可塑化PVCを製造する方法であって、この方法は、PVCと該エチレンコポリマー一次可塑剤と任意の二次可塑剤を溶融混合装置で混合することを含み、ここでの改良が、
PVCとの溶融混合を始める前に該20−150部の量の一次可塑剤のいくらかを改質剤で置き換える、即ち上記部数の中の5−30部の量で置き換えるが、該改質剤に、
a)エチレンと酢酸ビニルのビポリマー類、エチレンと酢酸ビニルと一酸化炭素のターポリマー類およびエチレンとアクリル酸C1−C8アルキルと一酸化炭素のターポリマー類から成る群から選択した架橋前のエチレンコポリマーに25から80パーセントの範囲の架橋レベルで部分的架橋を受けさせたエチレンコポリマー、
b)2番目の非エチレン系低分子量コポリマー可塑剤を該改質剤a)+b)総量の0−30パーセント、
含めて、該2番目の非エチレン系低分子量コポリマー可塑剤を該架橋前改質剤のエチレンコポリマーに添加する、
ことを含む方法。 - 該改質剤の成分a)が部分架橋エチレンコポリマーターポリマーである請求の範囲第1項の方法。
- また該改質剤に非エチレン系コポリマー可塑剤を10から30重量パーセント含める請求の範囲第1項の方法。
- 該改質剤における架橋レベルを40から60パーセントにする請求の範囲第1項の方法。
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