JP3650865B2 - 感熱転写記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、色調に優れ、高濃度で、良好な安定性を有するイミダゾアゾール、ピロロアゾール又はピラゾロアゾールメチン色素を用いた感熱転写記録材料(以下、記録材料とも記す)に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱転写記録は、操作や保守が容易であること、装置の小型化、低コスト化が可能なこと、更にランニングコストが安いこと等の利点を有している。
【0003】
熱転写方式の感熱転写記録においては、カラー画像を形成するために高感度・高濃度の画像を形成し得る記録材料が要求されており、各種の感熱転写記録材料が提案されている。特公平4−44918号にはメロシアニンメチン色素を用いた記録材料が開示されている。この記録材料から得られた画像は良好な色調を有しているが、熱、光に対する保存安定性に問題があり、又、記録材料自体も経時による保存安定性に問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点及び要求を解決する感熱転写記録材料を提供することにある。即ち、本発明の第1の目的は、モル吸光係数が高く、感度の高い、従って高濃度の画像を形成し得る感熱転写記録材料を提供することである。又、第2の目的は、熱、光に対する安定性に優れた画像を得ることが出来る感熱転写記録材料、ならびに保存安定性に優れた感熱転写記録材料を提供することである。更に第3の目的は、分光吸収がシャープで2次吸収が少なく、モル吸光係数が高い色素を用いた色再現上好ましい色調の画像を得ることが出来る感熱転写記録材料の提供にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意研究の結果、本発明の上記目的は、支持体上に下記一般式(3−1)又は(3−2)で表される色素を少なくとも1種類含有する感熱転写記録材料により達成されることを見い出し本発明を完成した。尚、以下には関連する一般式(1)等も記載する。
【0006】
【化6】
【0007】
式中、Qは炭素原子と共にイミダゾアゾール、ピロロアゾール又はピラゾロアゾール環を形成するのに必要な非金属原子を表し、Aは
【0008】
【化7】
【0009】
を表す。R1、R2、R3、R4及びR5は各々、水素原子又は1価の置換基を表し、B1及びB2は各々、5員又は6員の芳香族環残基又は複素環残基を表す。mは0、1又は2の整数を表し、nは1又は2の整数を表す。
【0010】
以下、本発明を更に詳述する。
【0011】
まず、本発明の特徴である一般式(1)で表される色素について述べる。
【0012】
一般式(1)において、Qと炭素原子から形成されるイミダゾアゾール、ピロロアゾール又はピラゾロアゾール環は更に置換基を有してもよく、他の炭素環(ベンゼン環、シクロヘキサン環等)や複素環(ピリジン環、ピリミジン環等)と縮合環を形成してもよい。
【0013】
環上の置換基としては、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、t−ブチル等)、ハロゲノアルキル基(クロロメチル、トリフルオロメチル等)、シクロアルキル基(シクロペンチル、シクロヘキシル等)、アラルキル基(ベンジル、2−フェネチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル、p−トリル、p−クロロフェニル等)、複素環基(ピリジル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ベンズイミダゾリル、フリル、チエニル等)、アシル基(アセチル、プロパノイル、ブチロイル等)、アリールカルボニル基(ベンゾイル等)、アルキルアミノ基(メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、モルホリノ等)、アリールアミノ基(メチルフェニルアミノ)、イミド基(フタルイミド等)、ニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基(アセチルアミノ、プロピオニルアミノ等)、アリールカルボニルアミノ基(ベンゾイルアミノ等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ブトキシ等)、アリールオキシ基(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、スルホニルアミノ基(メタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等)、ウレイド基(3−メチルウレイド、3,3ージメチルウレイド等)、スルファモイルアミノ基(ジメチルスルファモイルアミノ等)、カルバモイル基(メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル等)、スルファモイル基(エチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル等)、ヒドロキシル基、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、アルキルスルホニル基(メタンスルホニル、ブタンスルホニル等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル等)、ハロゲン原子(弗素、塩素、臭素等)、スルホ基、カルボキシル基、ホルミル基等であり、それらの基は更に置換されていてもよい。
【0014】
置換基が複数ある場合には、それぞれの置換基は同じでも異なってもよく、又、置換基同士が結合して環を形成してもよい。
【0015】
環上の置換基としてより好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲノアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基、アシル基、アリールカルボニル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、シアノ基、アシルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基である。更に好ましくはハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲノアルキル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基及び複素環基、炭素数2〜11のアシル基、アシルアミノ基、カルバモイル基及びアルコキシカルボニル基、炭素数5〜16のシクロアルキル基、炭素数6〜17のアリール基、アリールアミノ基及びアリールオキシ基、炭素数7〜17のアラルキル基、アリールカルボニル基及びアリールカルボニルアミノ基である。
【0016】
一般式(1)のQと炭素原子から形成されるイミダゾアゾール環は下記一般式(1−1)又は(1−2)、ピロロアゾール環は下記一般式(1−3)又は(1−4)、ピラゾロアゾール環は下記一般式(1−5)で表されるものが好ましい。
【0017】
【化8】
【0018】
式中、Za、Zb及びZcは各々、−N=又は−C(R8)=を表し、R6、R7及びR8は各々、水素原子又は1価の置換基を表す。
【0019】
R6、R7及びR8で表される1価の置換基は、前述のイミダゾアゾール、ピロロアゾール又はピラゾロアゾール環上の置換基と同義の基であり、より好ましくはハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、ハロゲノアルキル基、シクロアルキル基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アラルキル基、アリール基、複素環基、アリールカルボニル基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ウレイド基、カルバモイル基である。
【0020】
更に好ましくはハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲノアルキル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基及び複素環基、炭素数2〜11のアシル基、アシルアミノ基、カルバモイル基及びアルコキシカルボニル基、炭素数5〜16のシクロアルキル基、炭素数6〜17のアリール基、アリールアミノ基及びアリールオキシ基、炭素数7〜17のアラルキル基、アリールカルボニル基及びアリールカルボニルアミノ基である。
【0021】
上記一般式(1−1)で表されるイミダゾアゾール環は、下記一般式(2−1)又は(2−2)で示されるものがより好ましく、一般式(1−2)で表されるイミダゾアゾール環は、下記一般式(2−3)又は(2−4)で示されるものがより好ましい。
【0022】
【化9】
【0023】
式中、R6、R7及びR8は、それぞれ前記一般式(1−1)及び(1−2)のR6、R7及びR8と同義である。
【0024】
上記一般式(1−3)で表されるピロロアゾール環は、下記一般式(2−5)又は(2−6)で示されるものがより好ましく、一般式(1−4)で表されるピロロアゾール環は、下記一般式(2−7)又は(2−8)で示されるものがより好ましい。
【0025】
【化10】
【0026】
式中、R6、R7及びR8は、それぞれ前記一般式(1−3)のR6、R7及びR8と同義である。
【0027】
上記一般式(1−5)で表されるピラゾロアゾール環は、下記一般式(2−9)又は(2−10)で示されるものがより好ましい。
【0028】
【化11】
【0029】
式中、R6及びR8は、それぞれ前記一般式(1−5)のR6及びR8と同義である。
【0030】
一般式(1)のQと炭素原子から形成されるイミダゾアゾール、ピロロアゾール又はピラゾロアゾール環の内、特に好ましいのは一般式(2−9)で示されるピラゾロトリアゾール環である。
【0031】
Aが表す
【0032】
【化12】
【0033】
において、R1、R2、R3、R4及びR5で表される1価の置換基は、上記イミダゾアゾール、ピロロアゾール又はピラゾロアゾール環上の置換基と同義であり、それらの基は更に置換されてもよい。
【0034】
より好ましくはハロゲン原子、 シアノ基、アルキル基、ハロゲノアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、複素環基である。更に好ましくはハロゲン原子、 シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基及びハロゲノアルキル基、炭素数5〜16のシクロアルキル基である。
【0035】
mは0〜2の整数であるが、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。nは1又は2の整数であるが、好ましくは1である。
【0036】
B1及びB2は、各々5〜6員の芳香族環又は複素環を表すが、該環上には更に置換基を有してもよく、縮合環を有してもよい。
【0037】
該環の具体例としては、ベンゼン、3H−ピロール、オキサゾール、イミダゾール、チアゾール、3H−ピロリジン、オキサゾリジン、イミダゾリジン、チアゾリジン、3H−インドール、ベンゾオキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、ピリジン等の各環が挙げられる。これらの環は、更に他の炭素環(ベンゼン環、シクロヘキサン等)や複素環(ピリジン環、ピリミジン環等)と合環を形成してもよい。
【0038】
環上の置換基は、上記のイミダゾアゾール、ピロロアゾール又はピラゾロアゾール環上の置換基と同義の基であり、それらの基は更に置換されていてもよい。好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、複素環基、アシル基、アリールカルボニル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ウレイド基、カルバモイル基、ハロゲン原子である。置換基が複数ある場合には、それぞれの置換基は同じでも異なってもよく、又、置換基同士が結合して環を形成してもよい。
【0039】
前記一般式(1)で表される色素の内、下記一般式(3−1)又は(3−2)で示されるピラゾロトリアゾール系色素が特に好ましい。
【0040】
【化13】
【0041】
式中、R1、R4、R5、R6、R8、B1及びB2は、それぞれ前述のR1、R4、R5、R6、R8、B1及びB2と同義である。
【0042】
以下に、一般式(1)で表される色素(本発明の色素と称す)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0043】
【化14】
【0044】
【化15】
【0045】
【化16】
【0046】
【化17】
【0047】
【化18】
【0048】
【化19】
【0049】
【化20】
【0050】
【化21】
【0051】
これらの色素は公知の合成法により合成できる。以下に、代表的合成例を示す。合成スキーム中、Ac2Oは無水酢酸、MeOHはメタノール、cHClは濃塩酸、pTs-はp−トルエンスルホン酸アニオンを表す。
【0052】
合成例1(例示色素D−1の合成)
【0053】
【化22】
【0054】
p−メトキシアセトフェノン(a)30gをメタノール400mlに溶解し、内温を45℃に保ちながら、臭素30.42gを1時間かけて滴下した。そのまま1時間撹拌し、室温まで放冷後、溶媒を減圧溜去した。残渣にメタノール30mlを加えて溶解し、水中に滴下した。生じた結晶を濾取し、NMRより化合物(b)と同定した。収量22.4g(収率42%)。
【0055】
チオカルボヒドラジド7.1gをエタノール50mlに懸濁し、化合物(b)17.3gを加え、40℃で1時間加熱・撹拌した。溶媒を減圧溜去した後、残渣に水を加え、これに重炭酸ナトリウムを溶液のpHが8になるまで少しずつ加えた。生じた粘性物質を除き、水溶液を冷蔵保存し生じた結晶を濾取した。NMRから化合物(c)と確認した。収量7.5g(収率60%)。
【0056】
化合物(c)4.2gをアセトニトリル10mlに懸濁し、無水トリフルオロ酢酸を加え、1時間加熱・還流した。生じた結晶を濾取し、NMRから化合物(d)と確認した。収量4g(収率72%)。
【0057】
化合物(d)3.74gを無水酢酸17mlに溶解し、1時間加熱・還流した。室温まで放冷後、溶媒を減圧溜去し、メタノール25ml、濃塩酸3mlを加え、そのまま1時間室温で撹拌した。重炭酸ナトリウムを加えて中和した後、酢酸エチル抽出し、溶媒を溜去して粗結晶を得た。この粗結晶をカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物(e)を得た。NMRから目的物と同定した。収量1.2g(収率36%)。
【0058】
化合物(e)1gをトルエン20mlに溶解し、化合物(f)を1.16g、ピペリジン0.37gを加え、5時間加熱・還流した。溶媒を減圧溜去し、アセトニトリルから再結晶して例示色素D−1を得た。NMRから目的物と確認した。収量0.68g(収率35%)。
【0059】
この色素のアセトン溶液の紫外可視吸光スペクトルは、分光吸収が極めてシャープで可視光部に2次吸収の少ないものであった。
【0060】
合成例2(例示色素D−8の合成)
【0061】
【化23】
【0062】
化合物(g)50gをトルエン400mlに溶解し、m−メチル安息香酸クロリド(h)を38.6g加え、2時間加熱・還流した。室温まで放冷後、水800mlを加え、炭酸カリウムで水相を中和した。トルエン層を取り出し、溶媒を減圧溜去した後、残渣にアセトニトリル150mlを加え、生じた結晶を濾取した。NMRより化合物(i)であることを確認した。収量32.7g(収率58%)。
【0063】
化合物(i)9.94gをトルエン100mlに溶解し、オキシ塩化燐4.6gを加え、1時間加熱・還流した。トルエンを溜去し、メタノールを50ml添加した後、これを10%炭酸水素カリウム水溶液中に注ぎ、生じた結晶を濾取した。NMRより化合物(j)であることを確認した。収量4.83g(収率51%)。
【0064】
化合物(j)3.45gを水20mlに溶解し、酢酸5mlを加え、1時間加熱・還流した。水酸化ナトリウムで中和し、生じた結晶を濾取した。NMRより化合物(k)であることを確認した。収量1.5g(収率57%)。
【0065】
化合物(k)1.4g、化合物(l)3.34g及びトリエチルアミン1.76gをアセトン50mlに溶解し、1時間加熱・還流した。溶媒を溜去後、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した。NMRより例示色素D−8であることを確認した。収量0.32g(収率11%)。
【0066】
この色素のアセトン溶液の紫外可視吸光スペクトルは、可視光部に2次吸収が殆どないシャープなものであった。
【0067】
合成例3(例示色素D−12の合成)
【0068】
【化24】
【0069】
化合物(m)は合成例2中の化合物(k)と同様の方法により合成した。化合物(m)1.5gとp−ジメチルアミノシンナムアルデヒド(n)1.1gをトルエン15mlに溶解し、トリエチルアミン1.76gを加え1時間加熱・還流した。溶媒を溜去後、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した。NMRより例示色素D−12であることを確認した。収量1.3g(収率56%)。
【0070】
この色素のメタノール溶液の紫外可視吸光スペクトルは、可視光部に2次吸収が殆どないシャープなものであった。
【0071】
合成例4(例示色素D−28の合成)
【0072】
【化25】
【0073】
化合物(o)は上記合成例2中の化合物(k)と同様の方法により合成した。化合物(o)3.56gと化合物(p)7.5gをトルエン100mlに溶解し、トリエチルアミン2.22gを加え1時間加熱・還流した。溶媒を約1/3まで減圧濃縮後、冷蔵庫内で一晩放置した。生じた結晶を濾取し、アセトニトリルより再結晶した。NMRより例示色素D−28であることを確認した。収量4.70g(収率64%)。
【0074】
この色素のアセトン溶液の紫外可視吸光スペクトルは、可視光部に2次吸収が殆どなく極めてシャープなものであった。
【0075】
合成例5(例示色素D−33の合成)
【0076】
【化26】
【0077】
化合物(q)は特開平4−359967の21頁に記載の化合物(e)と同様の方法により合成した。化合物(q)3g、化合物(r)3.6gをトルエンに溶解し、ピペリジン1.57gを加え4時間加熱・還流した。溶媒を減圧溜去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した。アセトニトリルから再結晶した。NMRより例示色素D−33であることを確認した。収量1.13g(収率18%)。
【0078】
この色素のメタノール溶液の紫外可視吸光スペクトルは、可視光部に2次吸収が殆どないシャープなものであった。
【0079】
合成例6(例示色素D−37の合成)
【0080】
【化27】
【0081】
化合物(s)は特開平4−359968の28頁に記載の化合物(b)と同様の方法により合成した。化合物(s)4.2g、化合物(t)3.7gをトルエンに溶解し、ピペリジン1.78gを加え2時間加熱・還流した。溶媒を減圧溜去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した後、メタノールから再結晶した。NMRより例示色素D−37であることを確認した。収量1.58g(収率21%)。
【0082】
この色素のアセトニトリル溶液の紫外可視吸光スペクトルは、可視光部に2次吸収が殆どないシャープなものであった。
【0083】
合成例7(例示色素D−45の合成)
【0084】
【化28】
【0085】
化合物(u)は化合物(q)と同様の方法により合成した。化合物(u)3.8g、化合物(t)3.9gをトルエンに溶解し、ピペリジン3.5gを加え3時間加熱・還流した。溶媒を減圧溜去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した後、アセトニトリルから再結晶した。NMRより例示色素D−45であることを確認した。収量3.25g(収率45%)。
【0086】
この色素のメチルエチルケトン溶液の紫外可視吸光スペクトルは、可視光部に2次吸収が殆どないシャープなものであった。
【0087】
本発明の色素を感熱転写記録材料として用いる場合について説明する。本発明に係る色素を含有する層を支持体上に設けて色素含有層(以下、インク層と記す)とする。色素は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。更に、本発明の効果を損なわない範囲で本発明外の色素、例えばアゾメチン系色素、アゾ系色素、アントラキノン系色素等を併用してもよい。
【0088】
上記インク層における本発明に係る色素の含有量は、支持体1m2当たり0.05〜10gが好ましい。
【0089】
インク層は、色素をバインダーと共に溶媒中に溶解するか、あるいは溶媒中に微粒子状に分散させることによってインク層形成用インク液を調製し、必要に応じて有機、無機の非昇華性微粒子、分散剤、帯電防止剤、消泡剤、酸化防止剤、粘度調製剤等を加えて、支持体上に塗布し適宜乾燥することにより形成する。インク層の厚さは、乾燥膜厚で0.1〜10μmが好ましい。
【0090】
バインダーとしては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ニトロセルロース、エチルセルロース等の溶剤可溶性ポリマーが好ましい。これらのバインダーは、1種又は2種以上を有機溶媒に溶解して用いるだけでなく、ラテックス分散の形で使用してもよい。バインダーの使用量としては、支持体1m2当たり0.1〜20gが好ましい。
【0091】
インク液に用いられる有機溶媒としては、アルコール類(エタノール、プロパノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、芳香族類(トルエン、キシレン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサン等)等が挙げられる。
【0092】
支持体としては、寸法安定性が良く、記録の際に感熱ヘッド等の加熱に耐えるものであれば特に制限はないが、コンデンサー紙、グラシン紙等の薄葉紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート等の耐熱性のプラスチックフィルム等が好ましく用いられる。
【0093】
支持体の厚さは、2〜30μmが好ましく、又、支持体にはバインダーとの接着性の改良や色素の支持体側への転写、染着を防止する目的で下引層を有してもよい。更に支持体の裏面(インク層と反対側)には、感熱ヘッドが支持体に粘着するのを防止する目的でスリッピング層を有してもよい。又、必要に応じて、インク層の上に熱溶融性層を設けてもよい。
【0094】
記録材料をフルカラー画像記録が可能な感熱転写記録に適用するには、シアン色素を含有するシアン感熱転写層、マゼンタ色素を含有するマゼンタ感熱転写層、イエロー色素を含有するイエロー感熱転写層の3種を、それぞれ面順次に塗設することが好ましい。又、必要に応じて、他に黒色画像形成物質を含む感熱転写層を含む4種を塗設してもよい。
【0095】
本発明に係る色素により画像形成する受像材料は、一般に、紙、プラスチックフィルム、又は紙−プラスチックフィルム複合体を支持体とし、その上に受像層としてポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニルと他のモノマー(酢酸ビニル等)との共重合樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリカーボネート等の1種又は2種以上からなるポリマー層を形成して成る。
【0096】
受像材料は、必要に応じて受像層中に酸化防止剤、離型剤、金属イオン含有化合物等を含有してもよく、又、受像層の上に保護層を設けてもよく、更に、支持体と受像層の間に接着や断熱或いはクッション効果を目的として中間層を設けてもよい。
【0097】
支持体の裏面(受像層と反対側)には、帯電防止層、ブロッキング防止を目的として無機又は有機の非昇華性微粒子を含む背面層を設けてもよい。又、支持体両面に受像層を設けてもよい。又、支持体そのものを受像材料にすることもできる。
【0098】
本発明の記録材料は、前述の受像材料に普通紙の如く受像層を特に設けていないものを用いる目的で、特開昭59−106997号に記載される様な感熱転写層上に熱溶融性化合物を含有する熱溶融性層を有してもよい。この熱溶融性化合物としては、65〜150℃の温度で溶融する無色又は白色の化合物が好ましく用いられ、例えばカルナバ蝋、蜜蝋、カンデリンワックス等のワックス類が挙げられる。尚、これらの熱溶融性化合物を含有する熱溶融性層には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリエステル、酢酸ビニル等のポリマーが含有されてもよい。
【0099】
感熱転写記録方法にはサーマルヘッドによる加熱が一般的であるが、通電加熱やレーザーを用いた加熱でもよい。サーマルヘッド等による熱の付与は、記録材料のインク層側もしくは背面側からでも、又、受像材料の背面側からでも特に制限なく行われてよいが、色素の転写速度及び画像濃度等を考慮した場合、記録材料の背面側からが好ましい。
【0100】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0101】
実施例1
(インクの調製)
下記組成の原料を混合して本発明に係る色素を含有する均一な溶液のインクを得た。各々の色素の溶解性は良好であり、インク化適性も良好であった。
【0102】
インク液組成
色素(表1参照) 1.2g
ポリビニルアセタール樹脂(KY−24:電気化学工業製) 2.3g
メチルエチルケトン 53g
トルエン 22g
シリコン変性ウレタン樹脂(SP−2105:大日精化製) 1.8g
(記録材料の調製)
上記インクを、厚さ6μmのポリエチレンテレフタレート(PET)ベース上にワイヤーバーを用いて乾燥後の塗布量が2.0g/m2になるように塗布・乾燥して、PETベース上にインク層を有する感熱転写記録材料を調製した。乾燥は、ドライヤーで仮乾燥後、70℃のオーブン中で15分行った。
【0103】
尚、上記PETベースの裏面には、スティッキング防止層としてシリコン変性ウレタン樹脂(SP−2105:前出)を含むニトロセルロース層が設けられている。
【0104】
(受像材料の調製)
150μmの厚さを有する合成紙(製品名ユポFPG−150:王子油化製)上に、受像層としてエステル変性シリコン(X−24−8300:信越化学工業製、付量0.3g/m2)を含むポリビニルブチラール樹脂(S−LEC BX−1:積水化学工業製)を、付量6g/m2となるように塗布・乾燥して受像材料を得た。乾燥はドライヤーで仮乾燥後、100℃のオーブン中で15分行った。
【0105】
(感熱転写記録方法)
前記記録材料と上記受像材料とを重ね合わせ、感熱ヘッドを記録材料の裏面から当てて、下記の記録条件で画像記録を行い、色素画像を得た。
【0106】
(記録条件)
主走査、副走査の記録密度:8ドット/mm
記録電力:0.6W/ドット
加熱時間:20〜0.2msecの間で段階的に加熱時間を調整
又、本発明に係る色素を後記比較色素Aに変えた以外は、上記と同様にして本発明による感熱転写画像及び比較の感熱転写画像を得た(試料1〜16)。
【0107】
得られた画像の色調、最大濃度、保存安定性(耐光性、耐熱性)及び記録材料の保存安定性の評価を下記の方法で行った。評価結果を表1に示す。
【0108】
《色調》
色調の良し悪しを、実用上好ましい色調(○)、実用上問題のない色調(△)、悪い色調(×)の3段階に分け、目視により評価した。
【0109】
《最大濃度》
X−rite 310TRにより、画像の最大反射濃度(通常、印加時間が最大の部分)を測定した。
【0110】
《耐光性》
色素画像をキセノンフェードメーターで72時間光照射し、光照射前の濃度をD0、光照射後の濃度をD1として、(D1/D0)×100で求めた色素残存率(%)で評価した。
【0111】
《耐熱性》
色素画像を77℃・10%RH以下の条件下で7日間保存し、保存開始前の濃度をD0、保存後の濃度をD2として、(D2/D0)×100で求めた色素残存率(%)で評価した。
【0112】
(記録材料の保存安定性)
調製した記録材料を60℃で100時間放置し、保存後のインク層に受像材料を擦り合わせ、色素の移行が殆どないものを◎、僅かに移行するものを○、可成り移行するものを×とする3段階評価をした。
【0113】
【表1】
【0114】
【化29】
【0115】
表1から明らかな様に、本発明の感熱転写記録材料より形成された色素画像は好ましい色調を有し、十分な最大濃度であり、光及び熱に対する保存安定性に優れたものであり、本発明の記録材料が保存安定性に優れた感熱転写記録材料である。
【0116】
実施例2
実施例1で支持体として用いたPETベース上に、以下のイエロー画像形成用色素Y−1(付量0.5g/m2)を含むインク層、本発明に係るマゼンタ画像形成用色素(D−1)(付量0.5g/m2)を含むインク層、シアン画像形成用色素C−1(付量0.5g/m2)を含むインク層を面順次に塗設して記録材料を調製した。尚、各インク層のバインダーは実施例1と同じものを用いた。
【0117】
その後、実施例1で用いた受像材料と記録材料を積層し、ニコン製フルカラープリンターCP3000Dによりフルカラー画像記録を行い、色再現性に優れたフルカラーの画像を得た。
【0118】
【化30】
【0119】
【発明の効果】
本発明により、色調及び光、熱に対する保存安定性に優れた画像を形成し、かつ記録材料自体の保存安定性にも優れた感熱転写記録材料が提供できる。
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