JP3650148B2 - 内部的にドープされたハロゲン化銀乳剤およびそれの調製方法 - Google Patents

内部的にドープされたハロゲン化銀乳剤およびそれの調製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、写真に関する。より具体的には、内部的にドープされたハロゲン化銀乳剤およびそれの調製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
元素周期表内の周期および族に関する全ての参照は、American Chemical Society に採用され、Chemical and Engineering News (1985年2月4日、ページ26)に発行されている周期表の構成に基づく。この形では、周期の前の番号付けが保留されているが、族のローマ数字による番号付け並びにAおよびB族の名称(米国および欧州では反対の意味を持つ)は、単に左から右へ1〜18の族の番号付けに置き換えられている。
【0003】
「ドーパント」の語を、面心ハロゲン化銀結晶格子に組み込まれた、銀もしくはハロゲン化物以外の任意の元素もしくはイオンを表わすために本明細書で用いる。
元素に言及する場合の「金属」の語は、次ぎの原子番号:2、5〜10、14〜18、33〜36、52〜54、85および86のもの以外の全ての元素を包含する。
【0004】
「VIII族金属」の語は、周期4、5もしくは6かつ8族〜10族のいずれか一つの族に由来する元素を包括して呼ぶ。
「VIII族貴金属」の語は、周期5もしくは6かつ8族〜10族のいずれか一つの族に由来する元素を包括して呼ぶ。
「パラジウム三つ組金属」の語は、周期5かつ8族〜10族のいずれか一つの族に由来する元素を包括して呼ぶ。
【0005】
「プラチナ三つ組金属」の語は、周期6かつ8族〜10族のいずれか一つの族に由来する元素を包括して呼ぶ。
「ハロゲン化物」の語を、ハロゲン化銀写真のその通常の使用において、塩化物、臭化物もしくは沃化物を示すために用いる。
「疑似ハロゲン化物」の語は、ハロゲン化物の性質に近い(即ち、十分に電気的に陰性な一価の陰イオン基で、少なくともハロゲン化物と同じ正のハメットシグマ値を表わす、例えば、CN- 、OCN- 、SCN- 、SeCN- 、TeCN- 、N3 - 、C(CN)3 - 、およびCH- )として知られているグループをいう。 「C−C、H−CもしくはC−N−H有機性」の語は、少なくとも一つの炭素−炭素結合、少なくとも一つの炭素−水素結合もしくは少なくとも一つの炭素−窒素−水素結合連鎖を持つ基をいう。
【0006】
繰返しを避けるために、写真乳剤への全ての言及は、示されている場合以外は、ネガ型写真乳剤である。
リサーチディスクロージャーは、Kenneth Mason Publication Ltd., Dudley House, 12a North Street, Emsworth, Hampshire PO10 7DQ, England によって出版されている。
【0007】
リサーチディスクロージャー、176巻、1978年12月、アイテム17643、セクションI、サブセクションAは、「銅、タリウム、鉛、ビスマス、カドミウム、およびVIII属貴金属の化合物のような増感化合物が、ハロゲン化銀乳剤の沈澱時に存在することができる」と、述べている。
次ぎの引例によって引用される部分は、沈澱時にドーパントとしてハロゲン化銀粒子に組み込まれた金属が、粒子感度を改良するようにはたらくことができる技術の一般的知識を説明する。
【0008】
リサーチディスクロージャー、308巻、1989年12月、アイテム308119、セクションI、サブセクションDは、「銅、タリウム、鉛、水銀、ビスマス、亜鉛、カドミウム、レニウムおよびVIII属金属(例えば、鉄、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、およびプラチナ)の化合物が、ハロゲン化銀乳剤の沈澱時に存在することができる」と、述べている。引用された部分は、前記金属が増感剤を超えて広がり、ハロゲン化銀沈澱時にドーパントとして包含される場合の写真性能を変えるものを包含している以外は、本質的に、リサーチディスクロージャー17643、セクションI、サブセクションAと重複する。
【0009】
リサーチディスクロージャー308119、サブセクションDは、これらハロゲン化銀写真調査の1978年〜1989年の発行日の間で、当該技術分野に生じた根本的な変化を更に進めて指摘する。
リサーチディスクロージャー308118、I〜Dは、更に:粒子核形成時および/もしくは粒子成長時に導入された金属が、ドーパントとして粒子に入り、それらのレベルおよび粒子内の位置に依存して写真性変えることができる。金属が、ヘキサ配位錯体もしくはテトラ配位錯体のような配位錯体の一部を形成する場合、この配位子もまた、粒子内に吸蔵されることができる。ハロ、アクオ、シアノ、シアネート、チオシナネート、ニトロシル、チオニトロシル、オキソ、およびカルボニルのような配位子が考えられ、乳剤性能を更に変えることができると述べている。
【0010】
長年、ハロゲン化銀乳剤の写真性能を、粒子沈澱時にドーパント金属イオンを導入することによって変えることができることが知られていたが、一般的に、偶然にハロゲン化物イオンである場合以外は、金属イオンの対になった陰イオンは、粒子構造に入らず、その対イオン選択は、写真性能に関係しないと、思われていた。Janusonis 等の米国特許第4,835,093号明細書;McDugle 等の米国特許第4,933,272号、同4,981,781号および同5,037,732号明細書;Marchetti 等の米国特許第4,937,180号明細書;並びにKeevert 等の米国特許第4,945,035号明細書は、ドーパント金属イオンと配位錯体を形成できる配位子が、粒子結晶構造に入ることができ、そして遷移金属イオン単独の組み込みによっては実現されない写真性能の改良を行うことができることを最初に実証した。これらの各特許明細書では、配位錯体の立体配置が、錯体中の金属イオンを隣接するハロゲン化物イオンを置き換える配位子と共に結晶格子の銀イオンを置き換えるという事実を強調する。
【0011】
それ以来、後知恵により、簡単な塩として、もしくは配位錯体としてのいずれかで、ドーパント金属イオンを添加するより早い開示が、偶然に、有用な配位子組み込みを開示していたことを悟った。
これらの偶然の技法のなかで、粒子沈澱時の鉄ヘキサシアニドの組み込みが最も著名であり、Shiba 等の米国特許第3,790,390号明細書;Ohkubo等の米国特許第3,890,154号明細書;Iwaosa等の米国特許第3,901,711号明細書およびHabu等の米国特許第4,173,483号明細書によって説明されている。
【0012】
Ohya等の欧州特許出願第0513748A1(1992年11月19日公開)は、−1.34V〜+1.66Vの酸化電位および−1.34Vより高くない還元電位を持つ金属錯体の存在下で沈澱し、そして金含有化合物の存在下で化学増感したハロゲン化銀写真乳剤を開示する。この特許明細書の2ページに前記酸化電位および還元電位を満足する具体的な錯体の表を掲げる。この表は、ハロゲン化物および疑似ハロゲン化物配位子からなる錯体に加えて、K2 [Fe(EDTA)](EDTAは、エチレンジアミン四酢酸の頭文字である)を包含する。好ましい変法では、必要とされる金属錯体とイリジウム含有化合物を組み合せて使用することを教示する。有用なイリジウム化合物は、簡単なハロゲン化物塩およびハロゲン化物配位子を含有する配位錯体に加えて、ヘキサアミンイリジウム(III)塩(即ち、[(NH36 Ir]+3塩)、ヘキサアミンイリジウム(IV)塩(即ち、[(NH36 Ir]+4塩、トリオキサレートイリジウム(III)塩およびトリオキサレートイリジウム(IV)塩を包含する。開示された金属と共に使用するための配位子の選択を幾分を広げることを提供するが、Ohya等は、配位子選択に注意を置いていなく、また沈澱時に粒子構造中に、配位子を組み込むか組み込まないかどうかに注意を向けていない。
【0013】
Ohkubo等の米国特許第3,672,901号明細書(以後、Ohkubo等の’901と表わす)は、鉄化合物の存在下でのハロゲン化銀沈澱を開示する。Ohkubo等は、具体的な例は、砒酸鉄(II)、臭化第一鉄、炭酸鉄(II)、塩化第一鉄、クエン酸第一鉄、弗化第一鉄、ぎ酸鉄、グルコン酸第一鉄、水酸化第一鉄、沃化第一鉄、乳酸第一鉄、蓚酸第一鉄、燐酸第一鉄、琥珀酸第一鉄、硫酸第一鉄、硝酸第一鉄、チオシアン酸第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、ヘキサシアノ鉄酸カリウム(II)、ペンタシアノアミン鉄酸カリウム(II)、塩基性酢酸鉄(III)、フェリックアルブミネート(ferric albuminate )、酢酸第二鉄アンモニウム、臭化鉄、塩化第二鉄、クロム酸二鉄、クエン酸第二鉄、弗化鉄(III)、ぎ酸第二鉄、グリセロリン酸第二鉄、水酸化第二鉄、酸性リン酸第二鉄、エチレンジニトリロ四酢酸第二鉄ナトリウム、ピロ燐酸第二鉄ナトリウム、チオシアン酸第二鉄、硫酸第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、硫酸第二鉄グアニジン、クエン酸第二鉄アンモニウム、ヘキサシアノ鉄酸カリウム(III)、トリス(ジピリジル)鉄(III)クロライド、ペンタシアノニトロシル第二鉄カリウム、およびヘキサウレア鉄(III)クロライドを包含することを述べている。例で報告している唯一の化合物は、ヘキサシアノ鉄酸塩(II)および(III)並びにチオシアン酸第二鉄である。
【0014】
Hayashi の米国特許第5,112,732号明細書は、フェロシアン化カリウム、フェリシアン化カリウムもしくはEDTA鉄錯体塩の存在下で沈澱した内部潜像生成ダイレクトポジ乳剤において得られた有用な結果を開示する。蓚酸鉄を用いるドーピングが効果的でないことが説明されている。
従来の技術は、粒子沈澱時にドーパント金属塩および配位錯体を添加することによって有用な写真性能の改良を達成しているが、従来達成されている写真的効果は、ドーパント金属単独で寄与するか、もしくはいくつかの限られたカテゴリーから選ばれる配位錯体配位子(ハロ、疑似ハロ、アクオ、ニトロシル、チオニトロシル、カルボニルおよびオキソ配位子)と共同して金属ドーパントが寄与するかであった。
【0015】
本発明の前に、報告された有機配位子を含有する金属配位錯体の粒子沈澱時の導入は、有機配位子が存在することによる写真的に有用な改質を明かにしていなく、実際、そのような配位錯体は、単純な塩の形で金属を導入することから予期される写真的改良を制限した。Ohya等およびOhkubo等の’901によって提案されたものに類似するタイプのエチレンジアミンおよびトリオキサレート金属配位錯体を使用する性能改良の失敗は、比較例として、後で紹介する。
【0016】
Bigelow の米国特許第4,092,171号明細書は、コーティングまでの任意の段階で、オルガノホスフィンプラチナおよびパラジウムキレートを用いるハロゲン化銀乳剤の化学増感を開示する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、初めて、粒子沈澱時に一つ以上のC−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子を含有するドーパント金属ヘキサ配位の配位錯体を導入し、そして特に、C−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子もしくはヘキサ配位錯体の配位子に起因する写真性能の改良を得た。これにより、特定の用途の要件に適合する写真性能に合わせて製造する、追加のそして有用な手段を、当該技術分野に提供する。
【0018】
【発明を解決するための手段】
一つの態様では、本発明は、元素の周期表の4、5および6周期でかつ3〜14族から選ばれる金属のヘキサ配位錯体を含有する面心立方結晶格子構造を示す放射線感受性ハロゲン化銀粒子を含んでなるハロゲン化銀写真乳剤であって、それぞれ、少なくとも一つの炭素−炭素結合、少なくとも一つの炭素−水素結合もしくは少なくとも一つの炭素−窒素−水素結合連鎖を持つ一つ以上の有機配位子が、配位錯体の金属配位位置の最大半分を占め、
そして配位錯体の金属配位位置の少なくとも半分が、ハロゲン化物もしくは疑似ハロゲン化物配位子によって与えられていることを特徴する写真乳剤に向けられている。
【0019】
もう一つの態様では、本発明は、金属ヘキサ配位錯体の存在下、分散媒体中の銀とハロゲン化物イオンとの反応を含んでなる放射線感受性ハロゲン化銀乳剤を調製する方法であって、
ヘキサ配位錯体が、少なくとも一つの炭素−炭素結合、炭素−水素結合もしくは炭素−窒素−水素結合連鎖を持つ少なくとも一つの有機配位子およびハロゲンもしくは疑似ハロゲン配位子によって占められている少なくとも半分の金属配位位置を含有し、前記錯体を形成する金属が、元素の周期表の4、5および6周期でかつ3〜14族から選ばれることを特徴とする方法に向けられている。
【0020】
本発明は、粒子沈澱時に、一つ以上のC−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子を持つ金属配位錯体が存在することに特に起因する、写真性能の改良を達成した。これらの有機配位子金属錯体の写真有効性は、当業者によって以前は決して認められていなかった選択基準を、認識することに起因する。
この錯体は、ヘキサ配位錯体の中から選ばれ、ハロゲン化銀粒子の面心立方結晶構造との立体的適合性を容易にする。元素周期表の周期4、5および6で、かつ3〜14族に由来する金属が、ヘキサ配位錯体を形成するとして知られており、従って特にこれらを企図する。配位錯体に含まれる好ましい金属は、VIII族金属である。第VIII族非貴金属(即ち、第4周期VIII族金属)が粒子組み込みに企図され、特に鉄が好ましいドーパント金属である。第VIII族貴金属(パラジウムおよびプラチナ三組元素に由来するもの)が企図され、特にルテニウムおよびロジウムが好ましい周期5金属ドーパントであり、イリジウムは特に好ましい周期6ドーパントである。
【0021】
配位錯体を更に定義するものは、それ等が含んでいる配位子である。配位錯体は、ハロゲン化物および/もしくは疑似ハロゲン化物(即ち、写真に有用であるとして良く知られている配位子)と有機配位子との均衡状態を有している。C−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子の存在に起因する写真性能の改良を達成するためには、金属イオンによって提供される配位位置の少なくとも半分が、疑似ハロゲン化物、ハロゲン化物もしくはハロゲン化物および疑似ハロゲン化物配位子の組合せによって、満たされていなければならず、かつ、金属イオンの配位位置の少なくとも一つが、有機配位子によって占められなければならない。C−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子が、錯体の配位位置の全部を占める場合もしくは大部分を占める場合、C−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子の存在に起因する写真性能の改良は不明である。
【0022】
驚くことに、C−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子を選択することは、既に引用した、Janusonis 等、McDugle 等、Marchetti 等およびKeevert 等によって示されている方法の立体配置の考察によって限定されないことを見出した。これらの各特許明細書が、結晶格子構造の単一のハロゲン化物イオンを正確に同一格子位置を占める非ハロゲン化物配位子で置き換えることを教示するのに対し、変化した立体配置のC−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子が、有効であることが観察されている。これらの有機配位子のより小さいものが、結晶格子構造でのハロゲン化物イオンの一対一の置換に役にたつということが、もっともであると思えるが、より大きなC−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子、および変化した立体形状のC−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子の有効性の証明は、ホスト面心立方結晶格子構造および金属ドーパント配位錯体の配位子の幾何学的配置逸脱において、従来可能であると教示されていたものよりも、より広がった許容量をはっきりと説明する。実際、観察される有機配位子の立体形状の変型は、有機配位子の立体形状もサイズも、それ自身写真的実用性の決定因子となり得ないという、結論を導いた。
【0023】
本発明の実施に用いるのに適当な金属ヘキサ配位錯体は、少なくとも一つのC−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子およびハロゲン化物および疑似ハロゲン化物配位子によって占められている少なくとも半分の金属配位位置を有する。種々のそのような錯体が知られている。具体的な態様を以下に掲げる。式中の頭文字を、それらが最初に出てきたところで定義する。
【0024】
MC−1 [Sc(NCS)3 (py)3
pyは、ピリジンである。
トリス(ピリジン)トリス(チオシアナート)スカンジウム(III)
Comprehensive Coordination Chemistry, Pergamon 1987 で、編者G. Wilkinson, R.D.GillおよびJ.A.McClevertyによって報告。
【0025】
MC−2 [M(Cl3)(1,10−フェナントロリン)(H2 O)]
Mは、La、Ce、Pr、Nd、Saである。
アクロトリクロロ(1,10−フェナントロリン)
J.Inorg. Nucl. Chem., 26, 579(1964) で、F.A.HartおよびF.P.Lming によって報告。
【0026】
MC−3 (Et4 N)[TiCl4 (MeCN)2
Etは、エチル、Meは、メチルである。
テトラエチルアンモニウムビス(アセトニトリル)テトラクロロチタン(III)
Chem. Comm.,1, 19(1966) で、B.T.RussおよびG.W.A.Fowlesによって報告。
MC−4 (R4 N)[TiCl4 (Eto)(MeCN)]
Etoは、CH3 CH2 Oである。
【0027】
MC−4a RがMeである。
テトラメチルアンモニウム(アセトニトリル)エトキシテトラクロロチタネート(IV)
MC−4b RがEtである。
テトラエチルアンモニウム(アセトニトリル)エトキシテトラクロロチタネート(IV)
a〜bは、Z.Anorg. Allgem. Chem., 338, 147(1965)で、F.A.HartおよびF.P.Lming によって報告。
【0028】
MC−5 (Et4 N)[TiCl5 (MeCN)]
テトラエチルアンモニウム(アセトニトリル)ペンタクロロチタネート(IV)
J.Electrochem. Soc.,111, 1065(1964) で、J.M.KolthoffおよびF.G.Thomasによって報告。
【0029】
MC−6 ピリジウム[V(NCS)4 (py)2
ピリジウムビス(ピリジン)テトラ(チオシアナート)バナデート(III)
Comprehensive Inorganic Chemistry, Vol.3,pp.544-545,編者A.F.Trotman-Dickerson, Pergoman Press, Oxford, 1973,で、J.H.Clark によって報告。
【0030】
MC−7 (Et4 N)[VCl4 (MeCN)2
テトラエチルアンモニウムビス(アセトニトリル)テトラクロロバナデート(III)ピリジウム
Comprehensive Inorganic Chemistry, Vol.3,pp.544-545,編者A.F.Trotman-Dickerson, Pergoman Press, Oxford, 1973,で、J.H.Clark によって報告。
【0031】
MC−8 [WCl4 (en)]
(エチレンジアミン)テトラクロロタングステン(IV)
J.Chem. Soc., 3392(1963) で、C.D.Kennedy およびR.D.Peacock によって報告。
MC−9 (Bu4 N)[Cr(NCO)4 (en)]
Buは、ブチルである。
【0032】
テトラブチルアンモニウム(エチレンジアミン)テトラ(シアナート)クロメート(III)
Z.Anorg. Allgem. Chem., 428, 254(1977)で、E.Blasius およびG.Klemm によって報告。
MC−10 (Bu4 N)[Cr(NCO)4 (1,2−プロパンジアミン)]
テトラブチルアンモニウムテトラ(シアナート)(1,2−プロパンジアミン)クロメート(III)
Z.Anorg. Allgem. Chem., 443, 265(1978)で、E.Blasius およびG.Klemm によって報告。
【0033】
MC−11 (Bu4 N)[Cr(NCO)4 (1,2−シクロヘキサンジアミン)]
テトラブチルアンモニウムテトラ(シアナート)(1,2−シクロヘキサンジアミン)クロメート(III)
Z.Anorg. Allgem. Chem., 443, 265(1978)で、E.Blasius およびG.Klemm によって報告。
【0034】
MC−12 [ReOCl3 (en)]
トリクロロ(エチレンジアミン)オキソレニウム(V)
J. Chem.Soc.(A), 1224(1966) で、D.E.Grove およびG.Wilkinson によって報告。
MC−13 [ReI4 (py)2
テトラヨードビス(ピリジン)レニウム(IV)
J. Chem.Soc., 4121(1960)で、R.Levitus およびG.Wilkinson によって報告。
【0035】
MC−14 Na3 [Fe(CN)5 L]
MC−14a Lは、(py)である。
ペンタシアノ(ピリジン)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14b Lは、ピラジン(pyz)である。
ペンタシアノ(ピラジン)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14c Lは、4,4’−ビピリジンである。
【0036】
ペンタシアノ(4,4’−ビピリジン)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14d Lは、3,3’−ジメチル−4,4’−ビピリジンである。
ペンタシアノ(3,3’−ジメチル−4,4’−ビピリジン)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14e Lは、3,8−フェナントロリンである。
【0037】
ペンタシアノ(3,8−フェナントロリン)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14f Lは、2,7−ジアザピレンである。
ペンタシアノ(2,7−ジアザピレン)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14g Lは、1,4−ビス(4−ピリジル)ブタジインである。
【0038】
ペンタシアノ[1,4−ビス(4−ピリジル)ブタジイン]鉄(II)酸ナトリウム
a〜gは、J.Am. Chem.Soc.,111, 1235-41(1989)で、G-H.Lee, L.D.CianaおよびA.Haimによって報告。
MC−14h Lは、(4−py)ピリジニウムである。
【0039】
ペンタシアノ(4−ピリジルピリジニウム)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14i Lは、1−メチル−4−(4−py)ピリジニウムである。
ペンタシアノ[1−メチル−4−(4−ピリジル)ピリジニウム]鉄(II)酸ナトリウム
MC−14j Lは、N−Me−ピラジニウムである。
【0040】
ペンタシアノ(N−メチルピラジニウム)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14k Lは、4−Cl(py)である。
ペンタシアノ(4−クロロピリジノ)鉄(II)酸ナトリウム
h〜kは、Inorg Chem. 12, 1039(1973)で、H.E.TomaおよびJ.M.Malin によって報告。
【0041】
MC−14l Lは、Ph3 pである。
Phは、フェニールである。
ペンタシアノ(トリフェニルホスフィン)鉄(II)酸ナトリウム
Polyhedron, 9, 2433(1990) で、M.M.MonzykおよびR.A.Holwerdaによって報告。
【0042】
MC−14m Lは、チオ尿素である。
ペンタシアノ(チオウレア)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14n Lは、ピラゾールである。
ペンタシアノ(ピラゾール)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14o Lは、イミダゾールである。
【0043】
ペンタシアノ(イミダゾール)鉄(II)酸ナトリウム
m〜oは、Inorg Chem. 23, 2754(1984)で、C.R.Johnson 、W.W.Henderson およびR.E.Shepherdによって報告。
MC−14p Lは、MeNH2 である。
ペンタシアノ(メチルアミン)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14q Lは、Me2 NHである。
【0044】
ペンタシアノ(ジメチルアミン)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14r Lは、Me3 NHである。
ペンタシアノ(トリメチルアミン)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14s Lは、EtNH2 である。
ペンタシアノ(エチルアミン)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14t Lは、BuNH2 である。
【0045】
ペンタシアノ(ブチルアミン)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14u Lは、シクロヘキシルアミンである。
ペンタシアノ(シクロヘキシルアミン)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14v Lは、ピペリジンである。
ペンタシアノ(ピペリジン)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14x Lは、アニリンである。
【0046】
ペンタシアノ(アニリン)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14y Lは、モルホリンである。
ペンタシアノ(モルホリン)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14y Lは、エタノールアミンである。
ペンタシアノ(エタノールアミン)鉄(II)酸ナトリウム
p〜yは、Inorg Chem. 17, 556(1978) で、N.E.Klatz 、P.J.Aymoneno、M.A.Blesa およびJ.A.Olabe によって報告。
【0047】
MC−14z Lは、P(OBu)3 である。
ペンタシア(トリブチルホスファイト)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14aa Lは、P(Bu)3 である。
ペンタシアノ[(トリブチル)ホスフィン]鉄(II)酸ナトリ
ウム
z〜aaは、Z.Anorg Allgem. Chem. 483, 75-85(1981)で、V.H.Inouye、E.Fluck 、H.BinderおよびS.Yanagisawaによって報告。
【0048】
MC−14bb Lは、p−ニトロソ−N,N−ジメチルアニリンである。
ペンタシアノ(p−ニトロソ−N,N−ジメチルアニリン)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14cc Lは、ニトロソベンゼンである。
【0049】
ペンタシアノ(ニトロソベンゼン)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14dd Lは、4−CN−(py)である。
ペンタシアノ(4−シアノピリジン)鉄(II)酸ナトリウム
bb〜ddは、J. Chem. Soc. 353(1975) で、Z.Bradic、M.Pridanic、およびS.Aspergerによって報告。
【0050】
MC−14ee Lは、3−[(H522 NC(O)](py)である。
ペンタシア(ニコチンアミド)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14ff Lは、4−[NH2 NHC(O)](py)である。
【0051】
ペンタシアノ(イソニコチノイルヒドラジン)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14gg Lは、3−CHO−(py)である。
ペンタシアノ(ニコチンアルデヒド)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14hh Lは、3−[NH2 C(O)](py)である。
【0052】
ペンタシアノ(ニコチンアミド)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14ii Lは、4−[NH2 C(O)](py)である。
ペンタシアノ(イソニコチンアミド)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14jj Lは、3−[- 0C(O)](py)である。
ペンタシアノ(ニコチネート)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14kk Lは、3−[- 0C(O)](py)である。
【0053】
ペンタシアノ(イソニコチネート)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14ll Lは、3−[- 0C(O)CH2 NHC(O)](py)である。
ペンタシアノ(ニコチノイルグリシナート)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14mm Lは、[H2 NC(O)](pyz)である。
【0054】
ペンタシアノ(ピラジンアミド)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14nn Lは、(pyz)−モノ−N−オキシドである。
ペンタシアノ(ピラジンモノ−N−オキシド)鉄(II)酸ナトリウム
ee〜nnは、Transition Metal Chem., 8 99(1983)で、P.J.Morando 、U.I.E.Bruyere 、およびM.A.Blesa によって報告。
【0055】
MC−14oo Lは、4−Ph(py)である。
ペンタシアノ(4−フェニルピリジン)鉄(II)酸ナトリ ウム
MC−14pp Lは、ピリダジンである。
ペンタシアノ(ピリダジン)鉄(II)酸ナトリウム
MC−14qq Lは、ピリミジンである。
【0056】
ペンタシアノ(ピリミジン)鉄(II)酸ナトリウム
oo〜qqは、J.Am. Chem.Soc. 94(8), 2583(1972) で、D.K.LaValleeおよびE.B.Fleischer によって報告。
MC−14rr Lは、Me2 SOである。
ペンタシアノ(ジメチルスルホキシド)鉄(II)酸ナトリウム
Inorg Chem.,12, 2884(1973)で、H.E.Toma、J.M.Malin およびE.Biesbrechtによって報告。
【0057】
MC−14ss Lは、2−クロロピラジンである。
ペンタシアノ(2−クロロピラジン)鉄(II)酸ナトリウム
MC−15 K 3[Ru(CN)5 L]
MC−15a Lは、(pyz)である。
ペンタシアノ(ピラジン)ルテネート(II)カリウム
Inorg Chem.,22, 2439(1983)で、C.R.Johnson およびR.E.Shepherdによって報告。
【0058】
MC−15b Lは、メチルピラジニウム。
ペンタシアノ(メチルピラジニウム)ルテネート(II)カリウム
MC−15c Lは、イミダゾールである。
ペンタシアノ(イミダゾール)ルテネート(II)カリウム
MC−15d Lは、4−ピリジルピリジニウムである。
【0059】
ペンタシアノ(4−ピリジルピリジニウム)ルテネート(II)カリウム
MC−15e Lは、4,4’−ビピリジンである。
ペンタシアノ(4,4’−ビピリジン)ルテネート(II)カリウム
MC−15f Lは、Me2 SOである。
【0060】
ペンタシアノ(ジメチルスルホキシド)ルテネート(II)カリウム
MC−15g Lは、(py)である。
ペンタシアノ(ピリジン)ルテネート(II)カリウム
MC−15h Lは、4−[- 0C(O)](py)である。
【0061】
ペンタシアノ(イソニコチナート)ルテネート(II)カリウム
b〜hは、Inorg Chem.,25, 2099(1986)で、M.A.HoddenbaghおよびD.A.McCartney によって報告。
MC−16 K2 [Co(CN)5 L]
MC−16a Lは、Meである。
【0062】
ペンタシアノ(メチル)コバルテート(III)カリウム
MC−16b Lは、Etである。
ペンタシアノ(エチル)コバルテート(III)カリウム
MC−16c Lは、トリルである。
ペンタシアノ(トリル)コバルテート(III)カリウム
MC−16d Lは、アセトアミドである。
【0063】
ペンタシアノ(アセトアミド)コバルテート(III)カリウム
MC−16e Lは、−CH2 C(O)O−である。
ペンタシアノ(アセテート)コバルテート(III)カリウム
MC−16f Lは、−CH2 C(O)OCH3 である。
ペンタシアノ(メチルアセテート)コバルテート(III)カリウム
MC−16g Lは、−CH2 CH2 C(O)OCH3 Meである。
【0064】
ペンタシアノ(メチルプロポナート)コバルテート(III)カリウム
a〜gは、J.Am. Chem.Soc.,87, 5361(1965)で、J.Halpern およびJ.P.Maher によって報告。
MC−17 K[Co(CN)4 (en)]
テトラシアノ(エチレンジアミン)コバルテート(III)カリウム
Bulletin of the Chemical Society of Japan,42, 3184-9(1969)で、K.Ohkawa、J.FujitaおよびY.Shimura によって報告。
MC−18 Ba[Co(CN)4 (tn)]
(tn)は、トリメチレンジアミンである。
【0065】
テトラシアノ(トリメチレンジアミン)コバルテート(III)バリウム
Bulletin of the Chemical Society of Japan,42, 3184-9(1969)で、K.Ohkawa、J.FujitaおよびY.Shimura によって報告。
MC−19 [RhL3 Cl3
MC−19a Lは、MeCNである。
【0066】
トリス(アセトニトリル)トリクロロロジウム(III)
MC−19b Lは、PhCNである。
トリス(ベンゾニトリル)トリクロロロジウム(III)
a〜bは、J.Chem.Soc.(A), 2904(1970)で、G.Beech およびG.Marrによって報告。
MC−20 Na2 [RhCl5 (SMe2 )]
ペンタクロロ(ジメチルスルフィド)ローデート(III)
J.Chem.Res.(M), 3601(1978)で、S.J.Anderson、J.R.Barnes、P.L.GogginおよびR.S.Goodfellowによって報告。
MC−21 シス,トランス−[RhX4 (SMe22
Xは、ハロである。
【0067】
シスもしくはトランス−テトラハロビス(ジメチルスルフィド)ローデート(III)
J.Chem.Res.(M), 3601(1978)で、S.J.Anderson、J.R.Barnes、P.L.GogginおよびR.S.Goodfellowによって報告。
MC−22 mer ,fac −[RhX3 (SMe23
mer もしくはfac −トリハロトリス(ジメチルスルフィド) ローデート(III)
J.Chem.Res.(M), 3601(1978)で、S.J.Anderson、J.R.Barnes、P.L.GogginおよびR.S.Goodfellowによって報告。
【0068】
MC−23 シス,トランス−[N(C374 ][RhCl4 (Me2 SO)2
テトラプロピルアンモニウムテトラクロロビス(ジメチルスルホキシド)ロジウム(III)
Russ. J.Inorg. Chem.( 訳),15 1032(1970) で、Y.N.Kukushkin 、N.D.RubtsoraおよびN.Y.Irannikovaによって報告。
MC−24 [RhCl3 (Me2 SO)3
トリクロロトリス(ジメチルスルホキシド)ロジウム(III)
Russ. J.Inorg. Chem.( 訳),15 1032(1970) で、Y.N.Kukushkin 、N.D.RubtsoraおよびN.Y.Irannikovaによって報告。
MC−25 K[RhCl4 L]
MC−25a Lは、1,10−フェナントロリンである。
【0069】
テトラクロロ(1,10−フェナントロリン)ローデート(III)カリウム
MC−25b Lは、5−メチル(1,10−フェナントロリン)である。
テトラクロロ[5−メチル(1,10−フェナントロリン)ローデート(III)カリウム
MC−25c Lは、5,6−ジメチル(1,10−フェナントロリン)である。
【0070】
テトラクロロ[5,6−ジメチル(1,10−フェナンロリン)]ローデート(III)カリウム
MC−25d Lは、5−ブロモ(1,10−フェナントロリン)である。
テトラクロロ[5−ブロモ(1,10−フェナントロリン)]ローデート(III)カリウム
MC−25e Lは、5−クロロ(1,10−フェナントロリン)である。
【0071】
テトラクロロ[5−クロロ(1,10−フェナントロリン)]ローデート(III)カリウム
MC−25f Lは、5−ニトロ(1,10−フェナントロリンである。
テトラクロロ[5−ニトロ(1,10−フェナントロリン)]ローデート(III)カリウム
MC−25g Lは、4,7−ジフェニル(1,10−フェナントロリンである。
【0072】
テトラクロロ[4,7−ジフェニル(1,10−フェナントロリン)]ローデート(III)カリウム
a〜gは、J.Am. Chem.Soc.,96, 4334(1974)で、R.J.Watts およびJ.Van Houtenによって報告。
MC−26 K[IrX4 (en)]
MC−26a Xは、Clである。
【0073】
テトラクロロ(エチレンジアミン)イリデート(III)カリウム
MC−26b Xは、Brである。
テトラブロモ(エチレンジアミン)イリデート(III)カリウム
Russ. J.of Inorg. Chem.(訳),19 1974 で、I.B.Barnovskii、R.E.Sevast'ynova, G.Y.MazoおよびV.I.Nefadov によって報告。
MC−27 K[IrClx (MeCN)v
MC−27a xは4、yは2である。
【0074】
テトラクロロビス(アセトニトリル)イリデート(III)カリウム
MC−27b xは5、yは1である。
ペンタクロロ(アセトニトリル)イリデート(III)カリウム
a〜bは、Inorg. Nucl.Chem. Lett.,9 1129-30(1973) で、B.D.CatsikisおよびM.L.Goodによって報告。
MC−28 [N(Me)4 ][IrCl4 (MeSCH2 CH2 SMe)]テトラメチルアンモニウムテトラクロロビス(2,5−ジチアヘキサン)イリデート(III)
J..Chem. Soc. Dalton訳、1872-8(1980)で、D.J.Gulliver, W.Levason, K.G.SmithおよびM.J.Selwood によって報告。
MC−29 Km [IrXx (pyz)y n
MC−29a XはCl、mは2、nは0、xは5、yは1である。
【0075】
ペンタクロロ(ピラジン)イリデート(III)カリウム
MC−29b XはCl、mは1、nは0、xは4、yは1、シス異性体である。
テトラクロロビスシス(ピラジン)イリデート(III)カリウム
MC−29c XはCl、mは1、nは0、xは4、yは2、トランス異性体である。
【0076】
テトラクロロビストランス(ピラジン)イリデート(III)カリウム
MC−29d XはCl、mは1、nは0、xは3、yは3である。
トリクロロトリス(ピラジン)イリデート(III)カリウム
a〜dは、C.R.Acad.Sc.Paris, 261,3420(1965) で、F.Larezeによって報告。
MC−30 Km [IK2 [IrCl5 (ピリミジン)]
沃化ジカリウムペンタクロロ(ピリミジン)イリデート(III)カリウム
C.R.Acad.Sc.Paris,277, 459(1973)で、F.LarezeおよびL.Bokobza-Sebaghによって報告。
MC−31 K4 [Ir2 Cl10(μ−pyz)]
デカクロロ(μ−ピラジン)ビス[ペンタクロロイリデート(III)]カリウム
C.R.Acad.Sc.Paris,282, 737(1976)で、F.Larezeによって報告。
MC−32 Km [IrClx (py)y n
MC−32a mは2、nは0、xは5、yは1である。
【0077】
ペンタクロロ(ピリジン)イリデート(III)カリウム
MC−32b mは1、nは0、xは4、yは2である。
テトラクロロビス(ピリジン)イリデート(III)カリウ ム
MC−32c mは0、nは0、xは3、yは3である。
【0078】
トリクロロトリス(ピリジン)イリデート(III)カリウム
MC−32d Lはピリダジン、mは0、nは1、xは5、yは0である。
ペンタクロロ(ピリダジン)イリデート(III)カリウム
a〜dは、Bull. Soc. Chemi. France,2393(1975) で、G.Rio およびF.Larezoによって報告。
【0079】
MC−32e Lは(C24 )、mは2、nは1、xは3、yは1である。
トリクロロ(オキサレート)(ピリジン)イリデート(III)カリウム
Bull. Soc. China, 7 750(1940) で、Y.Inamura によって報告。
【0080】
MC−32f Lは(HOH)、mは0、nは1、xは3、yは2である。
トリクロロモノアクオ(ピリジン)イリデート(III) カリウム
Comptes Rendus, 200 1373(1935)で、M.Delpine によって報告。
MC−33 K3 [IrCl4 (C24 )]
テトラクロロオキサラートイリデート(III)カリウム
Comptes Rendus, 152 1393(1911)で、A.Duffour によって報告。
MC−34 [In(チオウレア)3 (NCS)3
トリス(イソチオシアナート)トリチオウレアインジウム(III)
J. Chem. Soc.(A), 1188(1967)で、S.J.Patel, D.B.SowerbyおよびD.G.Tuckによって報告。
MC−35 [In(dimac)3 (NCS)3 ]dimacは、N,N−ジメチルアセトアミドである。
【0081】
トリス(N,N−ジメチルアセトアミド)トリス(イソチオシアナート)インジウム(III)
J. Chem. Soc.(A), 1188(1967)で、S.J.Patel, D.B.SowerbyおよびD.G.Tuckによって報告。
MC−36 [Et4 N]2 [Mem Sn(NCS)n
MC−36a mは2、nは4である。
【0082】
テトラエチルアンモニウムジメチルテトラ(イソチオシアナート)スタネート
MC−36b mは1、nは5である。
テトラエチルアンモニウムメチルペンタ(イソチオシアナート)スタネート
a〜bは、J.Inorg.Nucl.Chem., 27, 2275(1965)、A.Cassal, R.Portanova およびBarbieriによって報告。
MC−37 Na6 [Fe2 (CN)10(pyz)]
デカシアノ(μ−ピラジン)二鉄酸(II)ナトリウム
Inorg.Chem.,14, 2924(1975)、J.M.Malin, C.F.Schmitt, およびH.E.Tomaによって報告。
MC−38 Na6 [Fe2 (CN)10(μ−4,4’−ビピリジン)]デカシアノ(μ−4,4’−ビピリジン)二鉄酸(II)ナトリウム
J.Am.Chem.Soc., 99, 8417(1977)、J.E.Figard, J.V.Paukstelis, E.F.Byrne およびJ.D.Petersonによって報告。
MC−39 Na6 [Fe2 (CN)10L]
Lは、トランス−1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン
デカシアノ[μ−トランス−1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン]二鉄酸(II)ナトリウム
An.Quim.Ser.B,77(2), 154-6、N.E.Katzによって報告。
MC−40 Na5 [(CN)5 FeLCO(CN)5
MC−40a Lは、(pzy)である。
【0083】
デカシアノ(μ−ピラジン)鉄(II)酸コバルテート(III)ナトリウム
MC−40b Lは、4,4’−ビピリジンである。
デカシアノ(μ−4,4’−ビピリジン)鉄(II)酸コバルテート(III)ナトリウム
MC−40c Lは、4−シアノピリジンである。
【0084】
デカシアノ(μ−4−シアノピリジン)鉄(II)酸コバルテート(III)ナトリウム
Inorg.Chem.,21, 2477(1982)、K.J.Pfenning, L.Lee, H.D.WohlersおよびJ.D.Perterson によって報告。
具体的な公知の化合物に加えて、文献で探せない化合物も本発明の実施において合成し使用した。これらの化合物は、次ぎのものを包含する:
MC−41 K2 [IrCl5 (チアゾール)]
ペンタクロロ(チアゾール)イリデート(III)カリウム
MC−42 Na32 [IrCl5 (pyz)Fe(CN)5
ペンタクロロイリデート(III)(μ−ピラジン)ペンタシアノ鉄(II)酸カリウムナトリウム
MC−43 K5 [IrCl5 (pyz)Ru(CN)5
ペンタクロロイリデート(III)(μ−ピラジン)ペンタシアノルテネート(II)カリウム
MC−44 Na33 [Fe(CN)5 (pyz)Ru(CN)5
デカシアノ(μ−ピラジン)鉄(II)酸ルテネート(III)カリウムナトリウム
MC−45 K2 [RhCN5 (チアゾール)]
ペンタクロロ(チアゾール)ローデート(III)カリウム
MC−46 Na4 [Rh2 Cl10(pyz)]
デカクロロ(ピラジン)ローデート(III)ナトリウム
MC−47 Rh[Cl3 (オキサゾール)3
トリクロロトリス(オキサゾール)ロジウム(III)ナトリウム
MC−48 Na3 [Fe(CN)5 TQ]
TQは、(5−トリアゾーロ[4,3−a]キノリン)
ペンタシアノ(5−トリアゾーロ[4,3−a]キノリン)鉄(II)酸ナトリウム
これらの化合物の調製を以下に表わす。
【0085】
一般的に、ハロゲン化物もしくは疑似ハロゲン化物配位子によって金属配位位置の少なくとも半分が占められているドーパント金属ヘキサ配位錯体を形成できるC−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子はいずれも使用することができる。もちろん、EDTAそれ自身が、6つの配位位置を占め、他の配位子のために余地が残ってないので、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)金属錯体のような配位錯体は除外する。同様に、トリス(オキサレート)およびビス(オキサレート)金属配位錯体は、あまりに多くの金属配位位置を占めるので、必要なその他配位子を包含できない。
【0086】
定義により、考えているC−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子は、少なくとも一つの炭素−炭素結合、少なくとも一つの炭素−水素結合もしくは少なくとも一つの水素−窒素−炭素結合連鎖を包含しなければならない。単に炭素−炭素結合を有するという理由で分類できるC−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子の簡単な例は、オキサレート(−O(O)C−C(O)O−)配位子である。単に炭素−水素結合を有するという理由で分類できるC−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子の簡単な例は、メチル(−CH3 )配位子である。単に水素−窒素−炭素結合鎖を有するという理由で分類できるC−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子の簡単な例は、尿素[−NH−C(O)−NH−]配位子である。これらの配位子の全ては、有機配位子の通常の予想の範囲内にある。C−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子の定義は、アンモニアのような、そして単に窒素−水素結合、二酸化炭素を含むもの、そして単に炭素−酸素結合を含むもの、並びに単に炭素−窒素結合を含むシアニドのような、有機的性質のない化合物を除外する。
【0087】
C−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子を介して有用な写真性能の改良の実現は、性能比較に基づいており、特定の理論とは無関係である。有機配位子定義結合の要件を、ハロゲン化銀粒子構造に組み込まれているとして従来報告されている配位子に存在する結合を比較することにより、C−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子に存在する定義的に要求される結合が、公知の配位ドーパントと構造的に差異があることが認められる。有用な写真的効果を達成するために、一つ以上の有機配位子を持つハロゲン化物および疑似ハロゲン化物配位子をバランスさせることは、ハロゲン化物および疑似ハロゲン化物配位子が結晶構造のハロゲン化物イオン格子位置を占めることと一致する。一方、有用であると示されている有機配位子のサイズおよび空間形状の変化は、写真的効果が先行する置換モデルの規則を超えて拡張するという論拠を指示する。C−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子効果を、サイズもしくは立体構成と無関係とすることができ、金属ドーパントイオンヘキサ配位錯体の前記有機配位子の有効性によってのみ制約されることが、今や特に考えられる。それにもかかわらず、それ自身のために配位子サイズを増大すると認められている利点を有する、ホストの結晶格子立体適合性もしくは空間適合性に近づくことのいずれにも基づかない有機配位子選択の、不利益は知られていないために、以下に議論する好ましい有機配位子選択が、ホスト結晶格子適合性に近付くために最も好ましいと思われるものである。言い替えれば、本質的に欠くことのできない配位子実用性としてホスト結晶格子適合の規則を説明したが、ホスト結晶格子に正確にもしくは近似的に一致することに基づいて、C−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子を選択することによって著しい利点が得られる。
【0088】
一般的に、好ましい、個々のC−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子は、粒子構造内で、銀もしくはハロゲン化物イオン位置をしめるのに十分なサイズの原子を最大24まで(最適には、最大18)有する。別の言い方をすると、これらの有機配位子は、好ましくは、最大24まで(最適には、最大18)の非金属原子を有する。水素原子は、ハロゲン化銀面心立方結晶構造内で間入的に収容されるほど十分小さいので、有機配位子の水素含量は、選択において制約されない。これらの有機配位子は、金属イオンを含むことができるが、ハロゲン化銀の結晶格子構造内でまた容易に立体的に収容される、なぜなら、金属イオンは、一般的に、同様の原子番号の非金属イオンよりも、非常に小さいからである。例えば、銀イオン(原子番号47)は、臭化物イオン(原子番号35)よりも非常に小さい。圧倒的に多くの場合では、C−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子は、水素、並びに炭素、窒素、酸素、弗素、硫黄、セレン、塩素、および臭素の中から選択される非金属原子からなる。臭化銀面心立方結晶格子構造内の沃化物イオンの立体的収容は、写真においては周知である。このように、最も重い非金属原子(沃素およびテルル)でさえも、有機配位子内に包含されることができるが、それらの存在は、いずれの単一の有機配位子においても好ましくは制約される(例えば、最大2そして最適には1のみである)。
【0089】
上記配位錯体を有するC−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子の具体例に関して、広範囲の種々の有機配位子が選択可能である。C−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子は、広範囲の有機グループの中から選択することができ、置換したおよび非置換の脂肪族並びに芳香族炭化水素、第二級および第三級アミン類(ジアミン類およびジドラジン類を包含する)、ホスフィン類、アミド類(ヒドラジド類を包含する)、イミド類、ニトリル類、アルデヒド類、ケトン類、有機酸(遊離酸、塩類およびエステル類を包含する)、スルホキシド類並びにカルコゲン(即ち、酸素、硫黄、セレンおよびテルル)およびピニクチド(特に、窒素)複素環原子を持つ脂肪族および芳香族複素環類を包含する。次ぎに、限定されない好ましいC−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子カテゴリーの例を表わす:
最大10まで(最も好ましくは最大6まで)の非金属(例えば、炭素)原子を有する脂肪族炭化水素配位子であって、直鎖、分枝鎖および環状のアルキル、アルケニル、ジアルケニル、アルキニル並びにジアルキニル配位子を包含するもの。
【0090】
6〜14の環原子(特にフェニルおよびナフチル)を有する芳香族炭化水素配位子。
最大14の非金属(例えば、炭素および窒素)原子を有する脂肪族アザヒドロカーボン配位子。「アザヒドロカーボン」の語は、炭素原子の少なくとも一つ(但し、全部でない)の窒素原子置換を示す。最も安定で、従って好ましいアザヒドロカーボンは、僅かに一つの窒素−窒素結合を有する。環式および非環式の両方のアザヒドロカーボン類が、特に企図される。
【0091】
最大14(好ましくは、最大6)の炭素原子を有する脂肪族および芳香族ニトリル類。
脂肪族エーテルおよびチオエーテル配位子、後者はまた、ある意味でアザヒドロカーボンに類似する、チアヒドロカーボンとして、一般的に名付けられている。環式エーテルおよび非環式の両方のエーテル並びにチオエーテルが考えられる。
【0092】
アミン類(ジアミンを包含する)、最も好ましくは、窒素原子有機置換基当たり最大12(最適には、最大6)の非金属(例えば、炭素)原子を含むもの。アミン類は、第二級もしくは三級アミンでなければならないことに留意されたい。単独で用いられる「アミン」の語によって表わされる第一級アミン(H2 N−)は、有機配位子の定義を満足しないからである。
アミド類、最も好ましくは、最大12(最適には、最大6)の非金属(例えば、炭素)原子を含むもの。
【0093】
アルデヒド類、ケトン類、カルボキシレート類、スルホネート類およびホスホネート類(モノおよびジ塩基酸、塩およびエステルを包含する)であって、最大12(最適には、最大7)の非金属(例えば、炭素)原子を含むもの。
脂肪族成分当たり、最大12(最適には、最大6)の非金属(例えば、炭素)原子を含む脂肪族スルホキシド類。
【0094】
典型的に、ピニクチド(例えば、窒素)およびカルコゲン(例えば、酸素、硫黄、セレンおよびテルル)の中から選ばれる複素原子を持つ、最大18までの環原子を有する芳香族および脂肪族複素環式配位子。複素環式配位子は、少なくとも5員もしくは6員の複素環を有し、配位子の残りの部分は、環置換基(一つ以上の任意のペンダントもしくは縮合した、炭素環または複素環を包含する)によって形成されている。その最も簡単な形では、複素環は、5もしくは6つの非金属原子だけを有する。複素環構造の限定されない実例の具体的なものは、フラン類、チオフェン類、アゾール類、ジアゾール類、トリアゾール類、テトラゾール類、オキサゾール類、チアゾール類、イミダゾール類、アジン類、ジアジン類、トリアジン類、並びにそれらのビス(例えば、ビピラジン)および縮合環相当物(例えば、ベンゾ−およびナフト−類似物)を包含する。窒素複素原子が存在する場合、各三価の、プロトン化および四元化した形が考えられる。特に好ましい複素環成分は、1〜3の環窒素原子およびカルコゲン原子を有するアゾールを含むものである。
【0095】
上記のC−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子の全ては、置換もしくは非置換のいずれにもなることができる。広範囲の、安定かつ合成に都合の良い置換基が企図される。ハロゲン化物、疑似ハロゲン化物、ヒドロキシル、ニトロおよび有機置換基であって、直接または二価の酸素、硫黄もしくは窒素結合を介しているものが、特に考えられ、そして、上記有機置換基のタイプの単純なもしくは混成の形となることができる。
【0096】
少なくとも一つの配位錯体配位子が、C−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子であり、かつ配位子の半分が、ハロゲン化物もしくは疑似ハロゲン化物配位子であるという要件により、ヘキサ配位錯体の一つもしくは二つの配位子を、有機、ハロゲン化物および疑似ハロゲン化物配位子以外の配位子の中から選択することができる。例えば、ニトロシル(NO)、チオニトロシル(NS)、カルボニル(CO)、オキソ(O)、およびアクオ(HOH)配位子は、全て、ハロゲン化銀粒子構造中に成功裡に組入れ等る配位錯体を形成するとして知られている。これらの配位子が、本発明の要件を満足する配位錯体を包含すると、特に考えられる。
【0097】
一般的に、一つ以上のC−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子を持つハロおよび/もしくは疑似ハロ配位子の必要なバランスを含む公知のドーパント金属イオンヘキサ配位錯体のいずれも、本発明の実施に用いることができる。もちろんこれは、この配位錯体が、構造的に安定で、かつハロゲン化銀沈澱条件下で少なくともほんの僅かの水溶性しか示さないと思われる。ハロゲン化銀沈澱は、ちょうど室温までの範囲の温度(例えば、典型的に約30℃まで)で通常実施されるので、温度安定要求は最小である。当該技術分野において有用であるとして表わされているドーパントの極端に低いレベルの見地から、極端に低い水溶性レベルが求められる。
【0098】
上記要件を満足する配位錯体を含む有機配位子は、ハロゲン化銀沈澱時に、金属ドーパントイオンに有効であるとして知られている通常レベルで存在することができる。Evans の米国特許第5,024,931号明細書は、粒子当たり平均二つの金属ドーパントイオンを与える濃度で、二つ以上のVIII族貴金属を含む配位錯体を用いる有効なドーピングを開示する。これを達成するためには、乳剤と配合してドープする前に、溶液中に10-10 Mの金属イオン濃度を与える。典型的にに有効な金属ドーパントイオン濃度(銀に対して)は、10-10 〜10-3グラム原子/銀モルの範囲に渡る。特定の濃度選択は、得ようとするその特定の写真効果に依存する。例えば、Dostes等の防衛公開T962,004号は、低照度相反則不軌およびネガ型乳剤のキンク減感を少なくするために、最低10-10 グラム原子/モルAgからの範囲の金属イオンドーパント濃度を教示する。Spence等の米国特許第3,687,676号および同3,690,891号各明細書は、色素減感を避けるために、最高10-3グラム原子/モルAgに渡る金属イオンドーパント濃度を教示する。有効な金属イオンドーパント濃度は、その粒子のハロゲン化物含量、選択される金属イオンドーパント、その酸化状態、選択される特定の配位子、および得られる写真効果に依存して、広範囲に変ることができるが、著しく表面減感すること無しに表面潜像生成乳剤の性能を改良するために、10-6グラム原子/モルAg未満の濃度が、企図される。10-9〜10-6グラム原子/モルAgの濃度が、広く提案されている。偶然にもしくは故意に得られるスピード低下を伴うコントラストを増加する金属ドーパントを用いることを求めているグラフィックアート乳剤は、しばしば、最大10-4グラム原子/モルAgの濃度が通常である他のネガ型乳剤よりも、金属ドーパント濃度が幾分高い範囲に渡る。内部電子トラップのために、通常、ダイレクトポジ乳剤で求められるように、10-6グラム原子/モルAg濃度より高い濃度が、一般的に教示され、10-6〜10-4グラム原子/モルAgの範囲の濃度が通常使用される。単一の金属ドーパントイオンを含有する錯体においては、モルおよびグラム原子濃度は、等しく;二つの金属ドーパントイオンを含有する錯体においては、グラム原子濃度は、2倍のモル濃度である。以下の、当該記述分野で受け入れられている実施で、述べられているドーパント濃度は、公称濃度、即ち、それらは、乳剤沈澱前および乳剤沈澱時に反応容器に添加したドーパントおよび銀に基づく。
【0099】
金属ドーパントイオン配位錯体を、当該技術分野において周知の手順を用いる乳剤沈澱時に、導入することができる。配位錯体は、粒子各形成前に、反応容器に存在する分散媒体中に存在することができる。より典型的には、配位錯体は、ハロゲン化物イオンもしくは銀イオンジェットを通して、または別のジェットを通して、沈澱時に、少なくとも一部分導入される。配位錯体導入の代表的タイプは、Janusonis 等、McDugle 等、Marchetti 等、Keevert 等およびEvans 等によって、上記の各引用に開示され、参照することにより本明細書に組み入れる。以下の例において説明される、配位錯体を組み込む別の技法は、配位錯体の存在下でリップマン乳剤粒子を、粒子を沈澱し、次いでホスト粒子上にドープしたリップマン乳剤粒子を熟成することである。
【0100】
金属イオンドーパント配位錯体は別として、調製した乳剤は、いずれの都合の良い通常の形態を取ることができる。企図するハロゲン化銀乳剤は、臭化銀、沃臭化銀、塩化銀、塩臭化銀、臭塩化銀、沃塩化銀、沃臭塩化銀および沃塩臭化銀乳剤を包含する(ここで、混合ハロゲン化物の場合、モル基準でより高い濃度のハロゲン化物は、最後の名前のものである)。上記の全てのハロゲン化銀は、面心立方結晶格子構造を形成し、これに基づいて、高(>90モル%)沃化物粒子(希に、潜像形成のために用いる)から識別可能である。これらの調製のための通常の乳剤組成および方法は、リサーチディスクロージャー、アイテム308119、セクションIに概括される(参照することにより、本明細書に組み入れる)。他の写真的特徴は、以下の、アイテム308119のセクションに開示されている(参照することにより、本明細書に組み入れる)。
II. 乳剤洗浄、
III. 化学増感、
IV. 分光増感および減感、
V. 蛍光増白剤、
VI. カブリ防止剤および安定剤、
VII. 着色材料、
VIII. 吸収および散乱材料
IX. ベヒクルおよびベヒクル増量剤、
X. 硬膜剤、
XI. 塗布助剤、
XII. 可塑剤および潤滑剤、
XIII. 帯電防止剤、
XIV. 添加方法、
XV. 塗布および乾燥手順、
XVI. マット剤、
XVII. 支持体、
XVIII.露光、
XIX. 処理、
XX. 現像剤、
XXI. 現像改質剤、
XXII. 物理現像システム、
XXIII.画像転写システム、
XXIV. 乾燥現像システム、
本発明は、写真性能を改良するために金属ドーパントイオンを用いるとして知られている写真乳剤の改良に対して、一般的に適用性を有するが、特定の用途では、特別の利点が観察される。
【0101】
ヘキサハロゲン化ロジウムは、写真コントラストを増加するために用いられる周知のかつ広く用いられるドーパントのクラスの一つである。一般的に、ドーパントは、ロジウムの10-6〜10-4グラム原子/モルAgの範囲の濃度で用いられている。ロジウムドーパントは、面心立方結晶格子構造を示す全てのハロゲン化銀において用いられている。しかし、ロジウムドーパントの特に有用な用途は、グラフィックアート乳剤においてである。グラフィックアート乳剤は、典型的に、銀に対して少なくとも50モル%、好ましくは90モル%を超える塩化物を含有する。
【0102】
ヘキサハロゲン化ロジウムドーパントを用いる際に遭遇する一つの困難は、安定性に限界があり、使用条件を選択するのに注意が必要なことである。ヘキサハロゲン化ロジウムのハロゲン化物配位子の一つもしくは二つを、C−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子で置換すると、より安定なヘキサ配位錯体を生じることが見出された。従って、従来、写真乳剤をドーピングするのに使用されている、ヘキサハロゲン化ロジウム錯体を、本出願に開示するタイプのロジウム錯体と置換することが特に考えられる。
【0103】
別の特定の用途において、分光増感色素が、ハロゲン化銀粒子表面に吸収されると、その粒子は、より長い波長の電磁放射線を吸収できることが認められる。より長い波長の光子が、色素によって吸収され、次ぎに粒子表面に吸収される。それにより、エネルギーが粒子に移動し、潜像を生成することができる。
分光増感色素は、ハロゲン化銀粒子に、より長い波長の範囲に感度を与えるが、この色素はまた減感剤として作用することも、通常述べられいる。分光増感色素を吸収したハロゲン化銀粒子の固有の感度と、吸収しないものの固有の感度を比較することにより、吸収した色素の存在に起因する固有の分光領域感度の減少を同定することが可能である。この観察並びに他の間接的観察から、分光増感色素もまた、固有の感度のスペクトル領域の外側に、その全体の理論的増感能力より少なく生成することが通常認められている。
【0104】
少なくともC−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子を有しかつ0.50よりもよりプラスのハメットシグマ値を持つ疑似ハロゲン化配位子を有するヘキサ配位錯体を形成する8族金属ドーパントを用いて、ハロゲン化銀をドープすると、吸収した分光増感色素を含有する乳剤の分光増感を高めることを実現できることが、全く予期せずに観察されている。以下の疑似ハロゲン化物メタハメットシグマ値が典型的である:CN 0.61、SCN 0.63、およびSeCN 0.67。ブロモ、クロロおよびヨード配位子のメタハメットシグマ値は、0.35〜0.39の範囲である。ハロゲン化物配位子を持つものに比較して疑似ハロゲン化物含有錯体の驚くべき効果は、述べているハメットシグマ値を満足する疑似ハロゲン化物配位子のより大きな電子吸引能力に起因している。更に、増感効果は、ホールもしくは電子トラップのいずれかの結果として減感特性を有すると一般的に認められている、分光増感色素とともにそれ自身達成可能であることを示した。これに基づいて、ドーパントが、潜像を生成する分光増感した乳剤全ての乳剤に有効であると推論されている。ドーパントは、粒子内で均一もしくは非均一のいずれかで位置することができる。効果を最大にするためには、ドーパントが、好ましくは粒子表面の500オングストローム内に存在することが好ましく、粒子表面から少なくとも50オングストロームづつ離れていることが最適である。好ましい金属ドーパントイオン濃度は、10-6〜10-9グラム原子/モルAgの範囲である。
【0105】
別の形態では、本発明の要件を満足するコバルト配位錯体を用いて、最小限(<5%)もしくは写真コントラストを変えないで写真スピードを減らすことが考えられる。特定の目的の特性を満足する写真乳剤を調製する場合に、遭遇する問題の一つは、特定の用途に対してスピードが僅かに高すぎることに単に基づく好ましく無い乳剤の調節おいてであり、スピードだけでなく改良される特性曲線の全体形状もそうである。
【0106】
本発明の一般的要件を満足するコバルトヘキサ配位錯体が、特性曲線の形状を著しく変えること無しにlogE(Eは、ルックス−秒)露光軸にそって特性曲線を変えることができるということを、全く予期せず見いだした。特にコントラスト並びに最小および最大濃度はすべて維持されるが、ドーピングよって感度が減少する。好ましいコバルト錯体は、最大二つまで配位位置を占める一つもしくは二つのC−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子に加えて、0.50よりプラスのハメットシグマ値を示す疑似ハロゲン化物配位子を有するものである。コバルト錯体は、粒子内で均一もしくは非均一に分布することができる。好ましいコバルト濃度は、10-6〜10-9グラム原子/モルAgの範囲である。
本発明の更に別の特定の用途では、C−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子として脂肪族スルホキシド類を含有する本発明の要件を満足する8族金属配位錯体が、高塩化物(>50%)乳剤の感度を増加することができ、高臭化物(>50%)乳剤のコントラストを高めることができることが観察されている。好ましい、脂肪族スルホキシド類は、脂肪族成分当たり最大12(最も好ましくは、最大6)の非金属(例えば、炭素)原子を持つものである。配位錯体は、粒子構造内で、いずれの都合の良い位置を占めることができ、均一もしくは非均一に分布することができる。8族金属の好ましい濃度は、10-6〜10-9グラム原子/モルAgの範囲である。
【0107】
本発明の更に別の特定の用途では、[IrXx y ]ヘキサ配位錯体(式中、Xは、ClもしくはBrであり、xは4もしくは5であり、Lは、C−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子であり、そして、yは、1もしくは2である)が、高照度相反則不軌(HIRF)を小さくすることにおいて驚くほど効果があることが観察されている。ここで用いるHIRFは、等価露光(但し、10-1〜10-4秒の範囲の露光時間)の場合の写真特性の変化量の尺度である。全ての面心立方結晶格子構造ハロゲン化銀粒子をドーピングすると、HIRFの改良が、観察されるが、最も著しい改良が、高塩化物(>50%)乳剤において観察されている。好ましい有機配位子は、既に記載したタイプの芳香族複素環である。最も有効な有機配位子は、アゾール類であり、チアゾール配位子を用いて最良の結果が達成される。
【0108】
また、HIRFを小さくするのに予期せずに有効で有ると見出されたものは、陰イオン性[IrX5 LMX’5 ]ヘキサ配位錯体(式中、XおよびX’は、独立して、ClもしくはBrであり、Mは、8族金属、そしてLは、置換もしくは非置換の脂肪族または芳香族ジアザヒドロカーボンのような、C−C、H−CもしくはC−N−H有機架橋配位子)である。特に好ましい架橋有機配位子は、H2 N−R−NH2 (式中、Rは、2〜12非金属を有する置換もしくは非置換の脂肪族または芳香族炭化水素、並びに、ピラジン、4、4’−ビピラジン、3,8−フェナントロリン、2,7−ジアザピレンおよび1,4−[ビス(4−ピリジル)]ブタジインのような二つの環窒素原子を持つ置換もしくは非置換の複素環を包含する。
【0109】
HIRFを小さくするのに使用する、上記イリデート錯体が、面心立方結晶格子構造を有する全ての写真用ハロゲン化銀粒子において有効である。ひときわ優れた性能が、高塩化物(>50%)粒子構造において観察されている。配位錯体は、粒子構造内で、均一もしくは非均一のいずれにも配置することができる。好ましい濃度は、10-6〜10-9グラムIr原子/モルAgの範囲である。 調製
前記金属配位錯体の調製は、上記の、錯体が報告されている論文に記載する方法によって行うことができるので、元になる引例が挙げられていない金属配位錯体のみ調製法を提供する。
【0110】
MC−14ssの調製
[Fe(CN)5 (2−クロロピラジン)]3-:10gのクロロピラジンを10mlの水に加え、氷温まで冷却する。3gのNa3 Fe(CN)5 (NH3 ).3H2 Oを、20mlの脱泡かつ冷却した水に溶解し、そして15分かけてクロロピラジン溶液に、冷却した滴下じょうごから滴下した。この反応物を1時間攪拌し、その後この混合物を750mlの冷却したアセトンに注いだ。赤茶けた物質が沈澱し、デカントして、冷却したアセトンで2回洗浄した。この物質を窒素流で乾燥した。反応および乾燥の全体を暗がりで行った。2.88gの量の赤紫の生成物を得た。純度を核磁気共鳴分光測定によって測定した。
【0111】
MC−41の調製
[IrCl5 (チアゾール)]2-:12gのK2 IrCl5 (H2 O)を20mlの水中で2mlチアゾール(Ardrich)と反応させ、3日間攪拌した。その後、この溶液を蒸発させて容量を小さくし、エタノールを50ml加えて沈澱させた。沈澱物を濾過してエタノールで洗浄した。この化合物の同定を、赤外(IR)、紫外および可視(UV/Vis)並びに核磁気共鳴(NMR)分光分析、並びに炭素、水素および窒素(CHN)化学分析によって確認した。
【0112】
MC−42の調製
[IrCl5 (pyz)Fe(CN)55-:少量のH2 O中で、等モル量のK2 [IrCl5 (ピラジン)]およびNa3 [Fe(CN)5 (NH3 )].3H2 Oを、室温で24時間反応させることによって、Na32 [IrCl5 (ピラジン)Fe(CN)5 ]を調製した。窒素を流すことによりこの容量を減少させ、そしてエチルアルコールを加えて最終生成物を沈澱させた。この生成物は、IR、UV/VISおよびNMR分光分析並びにCHN化学分析により、Na32 [IrCl5 (ピラジン)Fe(CN)5 ]を与えた。
【0113】
MC−43の調製
[IrCl5 (pyz)Ru(CN)55-:少量のH2 O中で、等モル量のK3 [Ru(CN)5 (ピラジン)]およびK2 [IrCl5 (H2 O)]を、80℃の熱水浴で2時間反応させることによって、混合した金属ダイマーK5 [IrCl5 (ピラジン)Ru(CN)5 ]を調製した。窒素を流すことによりこの容量を減少させ、そしてエチルアルコールを加えて最終生成物を沈澱させた。このダイマーを最小限の量の水に溶解して再結晶させ、エチルアルコールを用いて沈澱させた。この生成物は、IR、UV/VISおよびNMR分光分析並びにCHN化学分析により、K5 [IrCl5 (ピラジン)Ru(CN)5 ]を与えた。
【0114】
MC−44の調製
Ru(CN) 5 (pyz)Fe(CN)56-:少量のH2 O中で、等モル量のK3 [Ru(CN)5 (ピラジン)]およびNa3 [Fe(CN)5 (NH3 )].3H2 Oを、室温で24時間反応させることによって、Na33 [Ru(CN)5 (ピラジン)Fe(CN)5 ]を同様に調製した。窒素を流すことによりこの容量を減少させ、そしてエチルアルコールを加えて最終生成物を沈澱させた。このダイマーを最小限の量の水に溶解して再結晶させ、エチルアルコールを用いて沈澱させた。この生成物は、IR、UV/VISおよびNMR分光分析並びにCHN化学分析により、Na33 [Ru(CN)5 (ピラジン)Fe(CN)5 ]を与えた。
MC−45の調製
[Rh(CN)5 (チアゾール)]2-:この化合物の合成は、Inorg. Chemi.13(2), 430-434においてG.L.Geoffroy, M.S.Wrighton, G.S.Hammond およびH.B.Gray等によって記載されている文献的方法と、ほとんど変らない、同様のものであった。1.5gのK3 [Rh(CN)6 ]を、100mlのH2 Oに溶解して、HClO4 でpHを2に調節した。この溶液を水晶管の中で水銀ランプを用いて、24時間照射した。この溶液をその後5mlまで蒸発させて冷蔵した。KClO4 を濾過して1mlのエタノール中の1mlのチアゾールを加えた。この溶液に再び水銀ランプを、今度は1時間照射した。容量を減少させ、エタノールを加えると最終生成物を生成した。生成したこの沈澱を、濾過してエタノールで洗浄した。この化合物の同定を、IR、UV/Vis並びにNMR分光分析よって確認した。
MC−46の調製
[Rh2 Cl10(pyz)]4-:100℃で最少限の水中で2:1.05(5%ピラジン過剰)でNa3 RhCl6 .12H2 Oとピラジンを1時間反応させることによって、Na4 [Rh2 Cl10(ピラジン)]を調製した。この冷却した溶液にアセトンを加えると、オイル状かつオレンジ色の液体を与え、そして浮遊物質をデカントした。このオイルをアセトンで数回洗浄しデカントした。アセトンをN2 流で除去すると、粘着質の赤い物質が得られ、その後100℃のオーブン内で1時間空気乾燥して、暗赤色の物質を得た。これを、最少量の水に2回溶解して再結晶させ、エチルアルコールで沈澱させた。最終物質を濾過して、エチルアルコールで洗浄し、空気乾燥した。この生成物は、IR、UV/VISおよびNMR分光分析並びにCHN化学分析により、Na4 [Rh2 Cl10(ピラジン)]を与えた。
【0115】
MC−47の調製
[RhCl3 (オキサゾール)3 ]:0.5gの(NH42 [RhCl5 (H2 0)]を、0.5mlのオキサゾールと15mlの水中で3日間反応させた。その後、この溶液を大量のアセトンに加えると、白色沈澱が出現した。この沈澱物(NH4 Cl)を濾過して除いた。濾液から溶剤を蒸発させた後、黄色固形分を得た。この黄色固形分を冷却アセトンを用いて洗浄したが、ほとんど溶解しなかった。アセトン溶液をゆっくりと気化させると、明黄色の結晶を与えた。この黄色生成物は、IR、UV/VISおよびNMR分光分析並びにCHN化学分析により、RhCl3 (オキサゾール)3 を与えた。
【0116】
MC−48の調製
[Fe(CN)3 TQ]3-:この化合物の合成は、種々のNax Fe(CN)5 L化合物[H.E.TomaおよびJ.M.Marin, Inorg.Chem.12(5), 1039-1045,(1973) ]の報告されている方法に類似している。1.5gのNa3 [Fe(CN)5 (NH3 )].3H2 Oを、5mlのH2 Oに溶解し、エタノール5ml中の0.26gのs−トリアゾーロ[4,3−a]キノリンに加えた。この溶液を1週間攪拌し、そして蒸発させて2mlにし、エタノールを加えて沈澱させた。これにより、オイルでかつ明るい茶色の沈澱物を生成した。この沈澱物を濾過して、溶液をオイルからデカントした。このオイルを少量のみずに溶解し、大量の過剰のエタノールに加えた。これによりより褐色の沈澱物を生成した。この沈澱物をエタノールで洗浄し、IR、UV/VISおよびNMR分光分析並びにCHN化学分析により分析した。
【0117】
【実施例】
以下の具体的な例を参照することにより本発明をより良く認識することができる。
比較ドーパント
比較ドーパント錯体CD−7およびCD−8以外は、表Iに掲げられている比較ドーパント(CD)錯体を市販されているものから入手した。CD−7およびCD−8は、Ann. Chim., 19, 145(1923) において、M.Delephine により報告されているように調製した。
EDTAは、エチレンジアミン四酢酸である。
【0118】
Figure 0003650148
例1
本例の目的は、ハロゲン化銀粒子構造内のC−C、H−CもしくはC−N−H有機配位子の組み込みを説明することである。
【0119】
乳剤F19を、以下のFシリーズ例の記載のように調製し、1ミリオン当たり43.7モル部(mppm)のドーパントMC−14cでドープした。
電子常磁性共鳴分光分析測定を、標準X−バンドホモダインEPR分光器並びに標準極低温および補助装置であって、例えば、Electoron Spin Resonance, 第2版、A Comprehensive Treatise on Experimental Techniques, C.P.Poole,Jr., John Wiley & Sons, New York, 1983,に記載されるものを用いて、5〜300゜Kの温度で、乳剤F19について行った。これらの測定は、ドーパントイオンの顕微鏡環境の詳細な構造データを提供し、本例において、沈澱中に加えられた全てのもしくは大部分の鉄が、Fe(II)原子価状態でハロゲン化銀粒子結晶構造中に組み込まれており、そして、組み込まれている全てのFe(II)イオンが、[Fe(CN)5ビピラジン)]3-が[AgCl65-成分と置き換わるように、完全にその配位子を有していたことを示した。
【0120】
気体塩素のような、軽もしくは強酸化物に暴露されない場合、ドープしたサンプルからEPR信号は、観察されなかった。260゜K〜室温の間でバンド毎に光励起(365nm)に暴露した後、5〜8゜KでEPR信号を観察した。露光後、ドープしていない対照サンプルからは、これらの信号は観察されなかった。これらの信号で認識できるものは、粉末もしくは凍結溶液の低対称性常磁性核種のランダムに配向された集団から典型的に観察されるもののような、粉末パターン線形状であった。最も強い粉末パターンは、2.924(位置I)、2.884(位置II)および2.810(位置III)(それぞれ1.0±0.1mTの半値線幅有する)で、g1 特徴を有し、金属イオンが低スピンd5 電子構成を有する[Fe(CN)5 (ビピリジル)]2-錯体の四つの独特の種類からであると以下に示される。ハロゲン化銀および構造的に関連する結晶中の置換性低スピンd5 遷移金属錯体の先の考察から類推して、例えば、AgClの(RuCl63-中心およびAgBrの(RuBr63-中心の場合の、J. Chem. Phys.70, 5676(1979)におけるD.A.Corrigan, R.S.Eachus, R.E.Gravesおよび M.T.Olm並びにAgClの(OsCl63-およびAgBrの(OsBr63-中心の場合の、Rad. Eff. 73, 69(1983)における R.S.Eachus および M.T.Olmよって記載されている、これらの[Fe(CN)5 (ビピリジル)]2-錯体は、塩化銀格子で中性の電荷を与えるために必要な関連する銀イオン空位の配置が異なる。主構造中心(位置I)に対応するg2 特徴は、2.286においてであった。その他の三つのg2 信号は、2.263(位置II)、2.213(位置III)および2.093 (位置IV)においてであった。AgCl(位置I)内の主[Fe(CN)5 (ビピリジル)]2-のg3 値は、1.376であった。三つの二級ビピラジル錯体に由来するg3 特徴は、我々の実験では分離されなかった。銀イオンを伴う[Fe(CN)5 (ビピリジル)]2-錯体の測定されたg値は、菱形、立方塩化銀格子の(AgCl65-を置換する低スピンFe(III)錯体の割り当てと一致する。 EPRスペクトルの粉末パターンもまた、ドープ後に観察され、未露光塩化銀乳剤は塩素ガスの酸化性雰囲気内におかれた。このパターンが、露光前には無く、化性雰囲気によって生成されたという観察結果は、[Fe(CN)5 (ビピリジル)]錯体ドーパントが、Fe(II)状態で金属イオンとともに組み込まれていおり、そしてEPR測定に対して不可視で有ること、並びにFe(II)イオンが、ホール(酸化されている)をトラップして、塩素もしくは光に対して暴露中にFe(III)酸化状態を生じることを確認した。
【0121】
塩化銀粉末をドープするときに得られる観察されたEPRスペクトルを、ドーパント合成もしくは乳剤沈澱時に生成されるかもしれないドーパント塩の、最も化学的に可能性があり、配位子変化した不純物と比較することによって、このドーパントが、主に配位子が第一鉄イオンをそのまま取り囲んだ[Fe(CN)5 (ビピリジル)]3-として組み込まれていることが確立された。核種[Fe(C N)64-、[Fe(CN)5 (H2 O)]3-、[Fe(CN)5 Cl]4-および[ Fe2(CN)106-を調査した。バンド毎の励起もしくは塩素暴露によって、塩化銀粒子に生成した対応するFe(III)核種のEPRスペクトルは、四つの[Fe(CN)5 (ビピリジル)]2-ドーパント錯体に割り当てられているものから、全く区別された。
【0122】
前述から、ビピリジル配位子が、水溶液中で十分に安定であり、沈澱中に塩素もしくは水に関してその交換を最小限にすると、結論づけられた。ドープした乳剤に由来する十分に分離したEPR粉末パターンの観察、高収量の低スピンFe(III)光生成物、六重配位の低スピンFe(III)の性質を考察すると、塩化銀中で、[AgCl65-成分と置き代わって、代わりに[Fe(CN)5 (ビピリジル)]3-が組み込まれていることは明かである。大きな有機配位子が存在するにもかかわらず、それは、分離相としてもしくは吸着した核種相として邪魔されなかった。
【0123】
Aシリーズ例
これらの例は、本発明の要件を満足する金属配位錯体を沈澱時に組み入れる結果として、八面体(即ち、正{111})臭化銀乳剤の色素減感の減少および高照度相反則不軌の減少を説明することを目的とする。これらの例は、金属配位錯体無しに調製された乳剤および鉄ヘキサシアニド(CD−5)の存在下で調製された乳剤の有利な比較を説明する。
【0124】
5種類の溶液を次ぎのように調製した:
溶液A:
ゼラチン(骨) 40g
蒸留水 1500g
溶液B:
2.5N臭化ナトリウム
溶液C:
2.5N硝酸銀
溶液D:
ゼラチン(フタル化) 50g
蒸留水 300g
溶液E:
ゼラチン(骨) 119g
蒸留水 1000g
乳剤A1を、次ぎのように調製した:溶液Aを、2NのHNO3 を用いて40℃でpH3に調節し、そしてその温度を70℃に調節した。溶液AのpAgを、溶液Bを用いて8.19に調節した。溶液BおよびCを、攪拌しながら溶液Aに1.25ml/分の定速で4分かけて、流し込んだ。添加速度を次ぎの40秒間で40ml/分に加速した。生じた乳剤を40℃まで冷却した。その後、攪拌しながら溶液Dを添加し、攪拌を5分間保持した。そしてpHを3.35に調節し、ゲルを固まらせた。この温度を15分間かけて15℃まで落し、液層をデカントした。そして、失った液体容量を蒸留水で補い、pHを4.5に再調節した。この混合物を攪拌しながら40℃で再分散し、pHを5に調節した。そしてpHを3.75に再調節して、もう一度ゲルを固まらせ、混合物を冷却し、液層をデカントした。温度を40℃に再調節して、溶液Eを加えた。最終pHおよびpAgは、それぞれおおよそ5.6および8.6であった。この様に調節した対照乳剤は、狭い分布のサイズおよび形態を有した(即ち、乳剤粒子は、八面体形状で、エッジ長0.5+/−0.05μm)。
【0125】
ドープした乳剤A1aを、薬品添加を速めた部分(溶液Bを603cc加えた後)の間、ドーパント溶液を溶液Bと取り換えた以外は、乳剤A1に記載したように調製した。ドーパント溶液が無くなった後は、溶液Bと置き換えた。
Figure 0003650148
このように調製したドープした乳剤をサイズおよび形状において単分散し、八面エッジ長0.5μ+/−0.05μを得た。生じたドープした乳剤A1aは、公称で、粒子体積の外側72%〜93.5%において、合計で11モル部/ミリオン(mppm)のドーパントを含有した。即ち、乳剤は、おおよそ40〜100オングストローム厚のドープされていない殻を有した。
【0126】
ドープした乳剤A1bを、ドーパント溶液を変えて、粒子体積の外側72%〜93.5%において、合計で55モル部/ミリオン(mppm)の比較ドーパントCD−5を導入した以外は、乳剤A1に記載したように調製した。
ドープした乳剤A2を、ドーパント溶液を変えて、粒子体積の外側72%〜93.5%において、合計で5.2モル部/ミリオン(mppm)のドーパントMC−14bおよび2.6mppmのMC−37を導入した以外は、乳剤A1に記載したように調製した。粒子体積の最初の0〜72%そして粒子体積の最終の93.5%〜100%はドープされていない。
【0127】
ドープした乳剤A3を、ドーパント溶液を変えて、粒子体積の外側72%〜93.5%の中に、11mppmのドーパントMC−37を導入した以外は、乳剤A2に記載したように調製した。
ドープした乳剤A4を、ドーパント溶液を変えて、粒子体積の外側72%〜93.5%の中に、2.6mppmのドーパントMC−14cおよび3.9mppmのMC−38を導入した以外は、乳剤A2に記載したように調製した。
【0128】
ドープした乳剤A5を、ドーパント溶液を変えて、粒子体積の外側72%〜93.5%の中に、12.9mppmのドーパントMC−14cおよび19.4mppmのMC−38を導入した以外は、乳剤A2に記載したように調製した。
ドープした乳剤A6を、ドーパント溶液を変えて、粒子体積の外側72%〜93.5%の中に、6.6mppmのMC−38を導入した以外は、乳剤A2に記載したように調製した。
【0129】
ドープした乳剤A7を、ドーパント溶液を変えて、粒子体積の外側0.5%〜93.5%の中に、28.9mppmのMC−38を導入した以外は、乳剤A2に記載したように調製した。この乳剤を、誘導結合プラズマ原子放出分光分析(ICP−AES)で分析すると、通常のドーパント陰イオン(Fe(CN)64-(60.7%+/−4.6%対73.6%+/−9.8%)を用いてドープした以外は、A7の様に調製した乳剤においては、実験誤差内でFeレベルは同じであることを示した。
【0130】
ドープした乳剤A8を、ドーパント溶液を変えて、粒子体積の外側72%〜93.5%の中に、5.6mppmのMC−48を導入した以外は、乳剤A2に記載したように調製した。
ドープした乳剤A9を、ドーパント溶液を変えて、粒子体積の外側72%〜93.5%の中に、10.3mppmのMC−15aを導入した以外は、乳剤A2に記載したように調製した。
【0131】
ドープした乳剤A10を、粒子体積の外側72%〜93.5%の中に、6.6mppmのMC−38を導入するように、ドーパントを181ccの水に溶解して、これを第三のジェットを介して乳剤に加えた以外は、乳剤A2に記載したように調製した。
ドープした乳剤A11を、ドーパント溶液を変えて、粒子体積の外側50%〜93.5%の中に、55.3mppmのMC−14lを導入した以外は、乳剤A2に記載したように調製した。
【0132】
ドープした乳剤A12を、ドーパント溶液を変えて、粒子体積の外側72%〜93.5%の中に、26mppmのMC−39を導入した以外は、乳剤A2に記載したように調製した。
ドープした乳剤A13を、ドーパント溶液を変えて、粒子体積の外側72%〜93.5%の中に、55mppmのMC−14nを導入した以外は、乳剤A2に記載したように調製した。
【0133】
ドープした乳剤A14を、ドーパント溶液を変えて、粒子体積の外側72%〜93.5%の中に、11mppmのドーパント[Fe(EDTA)]-1(CD−2)を導入した以外は、乳剤A2に記載したように調製した。
ドープした乳剤A15を、ドーパント溶液を変えて、粒子体積の外側50%〜93.5%の中に、55.3mppmのドーパント[Fe(C2433-(CD−6)を導入した以外は、乳剤A2に記載したように調製した。
【0134】
ドープした乳剤A16を、ドーパント溶液を変えて、粒子体積の外側50%〜93.5%の中に、55mppmのMC−15aを導入した以外は、乳剤A2に記載したように調製した。この乳剤を、イオン結合プラズマ質量分光分析(ICP−MS)で分析すると、Ru組み込みが、比較ドーパント陰イオン[Ru(CN)64-を用いてドープした同じ乳剤において測定されるものと少なくとも同じ位高いことを示した。
【0135】
写真比較
乳剤A1、A1a、A1b、A4、A5およびA6の一部を、28μモル/モルAgのチオ硫酸ナトリウムおよび22μモル/モルAgのビス(1,4,5−トリエチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート金(I)テトラフルオロボレートを添加し、次ぎに70℃で40分間熟成することにより増感した。化学増感した乳剤を3部に分割した。その内の二つに、メタノール溶液の赤分光増感色素(色素A)(5,5’−ジクロロ−3,3’,9−トリエチルチアカルボシアニン p−トルエンスルホネート)を、0.50および0.75ミリモル/モルAgのレベルで添加し、その後このサンプルを40℃で1時間保持した。
【0136】
酢酸セルロース支持体上に、10.8mgゼラチン/dm2 、界面活性剤および硬膜剤を含有する上塗り層を伴って、21.5mgAg/dm2 および54mgゼラチン/dm2 で、各乳剤の塗膜を作成した。各々増感した乳剤の塗膜を、標準センシトメーターで0.1秒間、365nmに対して露光し、そしてコダックラピッドX−Ray(商標)現像液、ヒドロキノン−Elon(商標)(N−メチル−p−アミノフェノール ヘミスルフェート)表面現像剤で、21℃で6分間現像した。塗膜に1/10000〜1秒の範囲に渡って、一連の較正露光(全エネルギー)を与えることにより、その他の塗膜を、相反則レスポンスについて評価した。これらをまた、ヒドロキノン−Elon表面現像剤で、21℃で6分間現像した。
【0137】
乳剤A1、A1a、A1b、A4、A5およびA6の写真レスポンスを表A−I〜A−IIIに表わす。
【0138】
【表1】
Figure 0003650148
【0139】
【表2】
Figure 0003650148
【0140】
【表3】
Figure 0003650148
【0141】
ΔDmin は、ドープしていない対照とドープした乳剤との間の最小光学濃度差×100である。値がより小さくなると、ドーピングに起因するDmin 増加が少なくなることを示す。
Δスピードは、ドープしていない対照とドープした乳剤との間のスピード(0.15光学濃度で測定)差×100である。値がより大きくなると、ドーピングに起因するスピード増加がより大きくなることを示す。
【0142】
二つに色素レベル(有効粒子表面積の60および90%被覆量に相当する)の結果を表AI−IIに表わす。乳剤によって吸収される光の量を増加し、それによって感度を増加するために、できるだけ多く色素レベルを増大することが望ましい。残念なことに、通常使用される多くの色素の場合、色素レベルが増加すると、感度の最大は、粒子表面の100%被覆量より小さい大きさに相当する色素レベルに到達する。この最大を超えて色素レベルを増加すると、全く追加のスピードを与えないか、スピード損失を起こすかのいずれかである。これらのより高い色素レベルでは、色素それ自身が、減感を起こす。感度を高める浅い電子トラッピング位置を形成することができる、遷移金属のヘキサ配位錯体の好ましいクラスを用いてドープした乳剤は、色素を加えた、ドープされていない乳剤に比べて、色素を加えた、ドープした乳剤のスピードが増加することによって証明される(Bell, Reed, Olm 等の米国特許第5,132,203号明細書を参照されたい)ように、高められた色素減感耐性を示す。このドープされた乳剤が遭遇する一つの問題は、より多くのドーパントを加えて色素減感耐性を高めると、Dmin のレベルが減少することである。このことは表A−Iの比較例の結果によって説明される。
【0143】
表A−IIは、比較乳剤A1aに比べて、本発明の化合物[MC−14c(上記の例で議論した)およびMC−38]を用いてドープされた乳剤が、改良された色素減感耐性を示し、そしてまた改良された色素減感耐性かもしくはより低いDmin のいずれか、または両方を示すことを表わす。
表A−IIIは、(CD−5)でドープされた乳剤と違って、本発明の化合物(MC−38)でドープされた乳剤が、高ドーパントレベルで、増加したDmin を示さないこと証明する。
【0144】
上記の各乳剤の一部を、チオ硫酸ナトリウムおよびビス(1,4,5−トリエチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート金(I)テトラフルオロボレートを添加し、次ぎに70℃で40分間熟成することにより最適に化学増感した。化学増感した乳剤を4部に分割した。その内の三つに、メタノール溶液の赤分光増感色素(色素A)(5,5’−ジクロロ−3,3’,9−トリエチルチアカルボシアニン p−トルエンスルホネート)を、0.25、0.50および0.75ミリモル/モルAgのレベルで添加し、その後このサンプルを40℃で1時間保持した。
【0145】
ドープされた乳剤A6および対照乳剤A1もまた、緑分光増感剤5,6,5’、6’−ジベンゾ−1,1’−ジエチル−2,2’−トリカルボシアニンヨウ化物(色素B)を色素Aに換えて、0.0375および0.075ミリモル/モルAgで用いた以外は、上記のように化学および分光増感した。
これらの乳剤を塗布して、露光してそして上記のように評価した。結果を表A−IV〜A−VIIに表わす。
【0146】
【表4】
Figure 0003650148
【0147】
a:スピードの数字がより大きくなると、ドープしていない対照よりもドープされた乳剤のスピードの改良がより大きくなる。スピードをDmin 上0.15光学濃度で測定した。
【0148】
【表5】
Figure 0003650148
【0149】
*:値が小さくなるとHIRFが少なくなることを示す。
【0150】
【表6】
Figure 0003650148
【0151】
色素を加えたドープされていない対照に比べて色素を加えたドープした本発明の乳剤のスピードの増加が、表A−IVおよび表A−VIに表わされている。色素Aもしくは色素Bのレベルが、増感された対照乳剤において増加すると、乳剤全体のスピードが減少した。色素を加えたドープした本発明の乳剤は、全てのクラスで、色素を加えたドープされていない対照乳剤よりもより高いスピードを示した。同様に、表A−Vから解るように、高照度相反則不軌が、ドープされていない対照乳剤に比べてドープした本発明の乳剤で改良された。
【0152】
【表7】
Figure 0003650148
【0153】
*:スピードの数字がより大きくなると、ドープしていない対照よりもドープされた乳剤のスピードの改良がより大きくなる。スピードをDmin 上0.15光学濃度で測定した。
比較乳剤A14およびA15をドーパント陰イオン[Fe(EDTA)]-1(CD−2)および[Fe(C2433-(CD−6)で、それぞれドープした。ドーパント陰イオン(CD−2)および(CD−6)は、本発明の要件を満足していない。解ゲルした乳剤A14のFe含量のICP−AES測定は、鉄の添加(比較ドーパント[Fe(EDTA)]-1を含有する)にもかかわらず、バックグランドレベルを超えるFeレベルの著しい増加を示さなかった。このFe組み込みの失敗は、(CD−2)を用いるドーピングの結果としての色素を加えないスピードの著しい変動に見られる失敗およびドープした乳剤A14の色素を加えたスピードの著しい減少の観察に反映されている。後者の変化は、粒子面上の組み込まれなかったドーパントの存在に起因している。乳剤A15の同様の影響を見ると、[Fe(C2433-(CD−6)が臭化銀粒子中に有効に組み込まれなかったことを示している。
【0154】
Bシリーズ例
これらの例は、本発明の要件を満足する金属配位錯体を沈澱時に組み入れる結果として、八面体(即ち、正{111})臭沃化銀乳剤の色素減感の減少および高照度相反則不軌の減少を説明することを目的とする。
乳剤B1
例Aに記載するダブルジェット沈澱法を変えて、0.5μm+/−0.05μmのエッジ長および乳剤粒子全体に均一に分布する沃化物を持つAgBr0.970.03八面体乳剤を生成した。
【0155】
乳剤B2を、粒子体積の外側72%〜93.5%の中に、合計で13.4mppmの陰イオンMC−38ドーパントを導入した以外は、乳剤B1のように沈澱させた。粒子体積の最初の0〜72%そして粒子体積の最終の93.5%〜100%はドープされていない。
これらの各乳剤の一部を、100mg/モルAgのチオシアン酸ナトリウム、16μモル/Agモルのチオ硫酸ナトリウムおよびビス(1,4,5−トリエチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート金(I)テトラフルオロボレートを40℃で添加し、次ぎに70℃で22分間熟成することにより、最適に化学増感した。化学増感した乳剤を3部に分割した。その内の二つに、メタノール溶液の赤分光増感色素(色素A)(5,5’−ジクロロ−3,3’,9−トリエチルチアカルボシアニン p−トルエンスルホネート)を、0.50および0.75ミリモル/モルAgのレベルで添加し、その後このサンプルを40℃で1時間保持した。
【0156】
写真比較
乳剤Bを、乳剤Aにおいて記載したように、塗布して露光した。
【0157】
【表8】
Figure 0003650148
【0158】
*:スピードの数字がより大きくなると、ドープしていない対照よりもドープされた乳剤のスピードの改良がより大きくなる。
【0159】
【表9】
Figure 0003650148
【0160】
*:差が少ないと改良されている。
増感した対照乳剤において色素Aのレベルが増加すると、乳剤全体のスピードが減少した。色素を加えたドープした乳剤は、全てのクラスで、色素を加えたドープされていない対照乳剤よりもより高いスピードを示した。色素を加えたドープされていない対照に対して、色素を加えたドープした乳剤のスピードの増加を表B−Iに示す。同様に、表B−IIに見られるように、高照度相反則不軌が、対照乳剤に色素を加えると一般的に増加した。ドープした乳剤では、高照度相反則不軌が改良された。
【0161】
Cシリーズ例
これらの例は、写真スピードを減少させるが、その他の乳剤特性(例えば、Dmin およびコントラスト)を失わない有機配位子を持つコバルト配位錯体の効果を説明する。
乳剤C1
ドーパント溶液を変えて、粒子体積の外側72%〜93.5%の中に、合計で11mppmのドーパント陰イオンMC−17を導入した以外は、例A7に記載するダブルジェット沈澱法を用いて、八面体AgBr粒子を生成した。
【0162】
この乳剤を、チオ硫酸ナトリウムおよびビス(1,4,5−トリエチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート金(I)テトラフルオロボレートを添加し、次ぎに70℃で40分間熟成することにより化学増感した。最適スピードおよび最小濃度を与えるのに必要なこれらの増感剤のレベルを、乳剤C1およびA1において決定し、これらを以下に記載する塗膜に用いた。
【0163】
写真比較
乳剤C1を、乳剤Aにおいて記載したように、塗布して露光した。
乳剤C1の写真パラメータを対照乳剤Aのものと表C−Iにおいて比較する。このレベルおよびドーパントMC−17の置き換えが、特性曲線形状を変えること無しにスピードを減少させるのに有効であることが解る。
【0164】
【表10】
Figure 0003650148
【0165】
Dシリーズ例
これらの例は、臭化銀乳剤のコントラストを高めるための脂肪族スルホキシド配位子を持つ配位錯体の効果を説明することを目的とする。
乳剤D1
ドーパント溶液を変えて、粒子体積の外側0.5%〜93.5%の中に、合計で46.7mppmのドーパント陰イオンMC−14rrを導入した以外は、例A2に記載するダブルジェット沈澱法を用いて、単分散の、0.5μmエッジ長、八面体乳剤を生成した。この乳剤を、最適に硫黄および金化学増感して、70℃で40分間熟成した。
【0166】
乳剤D2を、粒子体積の外側72%〜93.5%の中に、合計で100mppmのドーパント陰イオンMC−14rrを導入した以外は、乳剤D1のように調製した。この乳剤を、70℃で40分間熟成して最適に硫黄および金化学増感した。
最適化学増感の基準は、低最小濃度と共に、最大スピードおよびより高いコントラストであった。同様の化学増感を対照乳剤のサンプルにも行い、これらの乳剤を次ぎに記載する塗膜に用いた。
【0167】
写真比較
乳剤D1およびD2を、Aシリーズ乳剤において記載したように、塗布して露光した。
乳剤D1およびD2の写真パラメータを、表にD−Iで、対照乳剤A1と比較する。ドープされていない対照に比べてドープした乳剤のコントラストを高めるためにドーパントMC−14rrが、有効であることが解る。
【0168】
【表11】
Figure 0003650148
【0169】
Eシリーズ例
これらの例は、正立方粒子臭塩化銀乳剤のコントラストを高めるためのロジウム配位錯体および少なくとも一つの有機配位子の効果を説明することを目的とする。
乳剤E1を次ぎのように調製した:
溶液A:
ゼラチン(骨) 180g
蒸留水 7200g
溶液B:
1.2N臭化ナトリウム
2.8N塩化ナトリウム
溶液C:
2.0N硝酸銀
溶液D:
ゼラチン(骨) 180g
蒸留水 1000g
溶液Aを温度35℃でpH3に調節し、pAgをNaCl溶液を用いて7.87に調節した。溶液BおよびCを攪拌しながら溶液Aに入れた。溶液BおよびCをそれぞれ約17.3および30ml/分の速度で、最初の3分間加えた。溶液Cの添加速度を、その後、30から155ml/分に増加して、溶液Bを17.3から89.3ml/分に、12.5分で増加した。そして、溶液CおよびBをそれぞれ155ml/分および89.3ml/分で21分間加えた。溶液BおよびCを添加する間、pAgを7.87にコントロールした。そしてこの温度を40℃に上げpAgを8.06に調節した。この乳剤を、pAgが7.20になるまで洗浄した。この乳剤を濃縮して、溶液Dを加えた。pAgを7.60に調節し、pHを5.5に調節した。
【0170】
調製されたAgCl0.70Br0.30乳剤は、粒子サイズおよび形状の狭い分布を有した;乳剤粒子は、エッジ長0.17μmを持つ立方形状であった。
乳剤E1を、メタノール溶液の0.812mg/モルAgの4,4’−フェニル−ジスルフィドジアセトアニリド、13.35×10−6モル/モルAgの1,3−ジ(カルボキシメチル)−1,3−ジメチル−2−チオウレア二ナトリウムモノヒドレートおよび8.9×10−6モル/モルAgのテトラクロロアウレート(III)カリウムをを添加し、次ぎに65℃で10分間熟成することにより増感した。
【0171】
乳剤E2を、乳剤粒子全体に渡って合計で0.14mppmのドーパント陰イオンMC−46を導入するように、塩溶液を変えた以外は、乳剤剤E1の場合と同じように調製して増感した。
写真比較
酢酸セルロース支持体上に、10.8mgゼラチン/dm2 、界面活性剤および硬膜剤から作られた上塗り層を伴って、21.5mgAg/dm2 および54mgゼラチン/dm2 で、上記の最適に増感した各乳剤の塗膜を作成した。各々増感した乳剤の塗膜を、標準センシトメーターで0.1秒間、365nmに対して露光し、そしてヒドロキノン−Elon(N−メチル−p−アミノフェノール ヘミスルフェート)表面現像剤で、21℃で6分間現像した。
【0172】
乳剤E1およびE2の写真パラメータを表E−Iに表わす。
【0173】
【表12】
Figure 0003650148
【0174】
Fシリーズ例
これらの例は、正立方粒子塩化銀乳剤の感度を高め、相反則不軌を減少させるためのイリジウムおよび/もしくは鉄配位錯体並びに少なくとも一つの有機配位子の効果を説明することを目的とする。
対照乳剤F1を、ドーパント塩無しで調製した。5.7リットルの3.95重量%ゼラチン溶液を入れた反応容器に、46℃、pHを5.8およびNaClを加えてpAgを7.51に調製した。そして、水50ml中の1.2gの1,8−ジヒドロキシ−3,6−ジチアオクタンを、反応容器に加えた。AgNO3 の2M溶液およびNaClの2M溶液を、急速に攪拌しながら同時に加えた。それぞれの流速は、249ml/分であり、pAgを7.51にコントロールしたダブルジェット沈澱を21.5分間継続し、その後この乳剤を38℃まで冷却し、pAg7.26まで洗浄し、そして濃縮した。追加のゼラチンを銀1モル当たり43.4gのゼラチンになるまで導入し、この乳剤をpH5.7およびpAg7.50に調節した。生じた塩化銀乳剤は、立方粒子形状および0.34μm平均エッジ長を有した。
【0175】
乳剤F2を、次ぎのこと以外は、乳剤剤F1の場合と同じように調製した:沈澱中に、イリジウム含有ドーパントを、塩化物の流れ中に溶解して、粒子体積の外側93%〜95%の中に、合計で0.32mppmのドーパントMC−27aを導入されるように導入した。その後、純粋な塩化銀の殻(粒子体積の5%)を、沈澱して、ドープしたバンドを覆った。
【0176】
乳剤F3を、ドーパントMC−27aを、0.16mppmのレベルで粒子体積の外側93%〜95%の中に加えた以外は、乳剤F2に記載したように調製した。
乳剤F4を、ドーパントMC−32dを、合計0.32mppmのレベルで粒子体積の外側93%〜95%の中に導入した以外は、乳剤F2に記載したように調製した。ICP−MSによって、イリジウム組み込みの分析を行った。乳剤中のイリジウムレベルは、少なくとも最高で、通常のイリジウムドーパント陰イオン((IrCl63-もしくは(IrCl62-)でドープして比較乳剤において検出されるレベルであった。
【0177】
乳剤F5を、ドーパントMC−32dを、合計0.10mppmのレベルで粒子体積の外側93%〜95%の中に導入した以外は、乳剤F2に記載したように調製した。
乳剤F6を、MC−41を、合計0.32mppmのレベルで粒子体積の外側93%〜95%の中に導入した以外は、乳剤F2に記載したように調製した。ICP−MSによって、イリジウム組み込みの分析を行った。乳剤中のイリジウムレベルは、少なくとも最高で、通常のイリジウムドーパント陰イオン((IrCl63-もしくは(IrCl62-)でドープして比較乳剤において検出されるレベルであった。
【0178】
乳剤F7を、ドーパントMC−41を、合計0.16mppmのレベルで粒子体積の外側93%〜95%の中に導入した以外は、乳剤F2に記載したように調製した。
乳剤F8を、ドーパントMC−31を、合計0.16mppmのレベルで粒子体積の外側93%〜95%の中に導入した以外は、乳剤F2に記載したように調製した。
【0179】
乳剤F9を、ドーパントMC−29aを、合計0.32mppmのレベルで粒子体積の外側93%〜95%の中に導入した以外は、乳剤F2に記載したように調製した。乳剤中のイリジウムレベルは、少なくとも最高で、通常のイリジウムドーパント陰イオン((IrCl63-もしくは(IrCl62-)でドープして比較乳剤において検出されるレベルであった。
【0180】
乳剤F10を、ドーパントMC−29bを、合計0.32mppmのレベルで粒子体積の外側93%〜95%の中に導入した以外は、乳剤F2に記載したように調製した。
乳剤F11を、ドーパントMC−29cを、合計0.32mppmのレベルで粒子体積の外側93%〜95%の中に導入した以外は、乳剤F2に記載したように調製した。
【0181】
乳剤F12を、ドーパントMC−42を、合計0.32mppmのレベルで粒子体積の外側93%〜95%の中に導入した以外は、乳剤F2に記載したように調製した。
乳剤F13を、ドーパントMC−43を、合計0.32mppmのレベルで粒子体積の外側93%〜95%の中に導入した以外は、乳剤F2に記載したように調製した。
【0182】
乳剤F14を、ドーパントMC−14rrを、合計25mppmのレベルで粒子体積の外側79.5%〜92%の中に導入した以外は、乳剤F2に記載したように調製した。
乳剤F15を、ドーパントMC−14rrを、合計43.7mppmのレベルで粒子体積の外側7.9%〜95%の中に導入した以外は、乳剤F2に記載したように調製した。ICP−AESによるこの乳剤の分析は、実験誤差の範囲内で、組み込まれたFeレベルが、通常のドーパント陰イオン[Fe(CN)6]4−を用いてドープした同様に調製された乳剤と同じであったことを示した。
【0183】
乳剤F16を、EDTA(CD−1)を、ドーパントとして合計43.7mppmのレベルで粒子体積の外側7.9%〜95%の中に導入した以外は、乳剤F2に記載したように調製した。ICP−AESによるこの乳剤の分析は、Feレベルが、この分析技法の限界未満(AgCl中3mppmFe)あったことを示した。
【0184】
乳剤F17を、EDTA(CD−2)を、ドーパントとして合計43.7mppmのレベルで粒子体積の外側7.9%〜95%の中に導入した以外は、乳剤F2に記載したように調製した。ICP−AESによるこの乳剤の分析は、Feレベルが、この分析技法の限界未満(AgCl中3mppmFe)あったことを示した。
【0185】
乳剤F18を、ドーパント[Fe(CN)64-(CD−5)を、合計21.8mppmのレベルで粒子体積の外側7.9%〜95%の中に導入した以外は、乳剤F2に記載したように調製した。
乳剤F19を、ドーパントMC14−cを、0.1モル濃度のKClO4 水溶液の第三ジェットを介して、合計43.7mppmのレベルで粒子体積の外側7.9%〜95%の中に導入した以外は、乳剤F2に記載したように調製した。この乳剤をEPR分光分析によって調査し、結果は上記例1で記載したのと同じであった。
【0186】
乳剤F20を、ドーパントMC−41を、合計21.8mppmのレベルで粒子体積の外側7.9%〜95%の中に導入した以外は、乳剤F2に記載したように調製した。この乳剤を、ハロゲン化銀粒子構造内の有機配位子の組み込みを説明するために、EPR分光分析によって例1に記載したように調査した。180および240゜Kの間で乳剤F20を露光すると、良く分離したイリジウムおよび塩素超微細構造を有する、明瞭なEPRスペクトルを生じた。このスペクトルは、疑いもなく、ハロゲン化銀格子の銀位置でのイリジウム(II)イオンに割り当てることができた。EPRg値は次ぎの通りであった:g1 =2.911±0.001、g2 =2.634±0.001、g3 =1.871±0.001。これらは、AgClマトリックス中の(IrCl64-において、前に測定されたもの(g1 =g2 =2.772±0.001、g3 =1.883±0.001)もしくはAgClマトリックス中の(IrCl52 O)3-において、前に測定されたもの(g1 =3.006±0.001、g2 =2.702±0.001、g3 ≦2.0)と、著しく異なっている。これらの汚染されている可能性のあるものからのEPR信号はF20において、観察されなかったので、ドーパント錯体MC−41[(IrCl5 チアゾール)2-]は、無傷のままで組み込まれていると推論された。9.7露光で、電子を捕まえた[IrCl5 (チアゾール)]2-は、EPRによる調査で[IrCl5 (チアゾール)]3-を与えた。
【0187】
乳剤F21を、ドーパントMC−29aを、合計21.8mppmのレベルで粒子体積の外側7.9%〜95%の中に導入した以外は、乳剤F2に記載したように調製した。この乳剤を、EPR分光分析によって例1に記載したように調査した。210゜Kで乳剤F21を露光すると、良く分離したイリジウムおよび塩素超微細構造を有する、明瞭なEPRスペクトルを生じた。このスペクトルは、疑いもなく、ハロゲン化銀格子の銀位置でのイリジウム(II)イオンに割り当てることができた。EPRパラメータは次ぎの通りであった:g1 =3.043±0.001、g2 =2.503±0.001およびg3 =1.823±0.005。これらは、AgClマトリックス中の(IrCl64-もしくは(IrCl52 O)3-において、前に測定されたもの(上記パラメータを参照されたい)と、著しく異なっている。これらの汚染されている可能性のあるものからのEPR信号はF21において観察されなかったので、ドーパント錯体MC−29a[(IrCl5 (ピラジン)]2-は、無傷のままで組み込まれていると推論された。露光すると、電子を捕まえた[IrCl5 (ピラジン)]2-は、EPRによる調査で[IrCl5 (ピラジン)]3-を与えた。
【0188】
これらの一部(部分(I)と表わす)を、30mg/モルAgのコロイド状金スルフィド分散物を加え、次ぎに60℃で30分間熟成することにより化学および分光増感した。熟成に続いて、部分1のそれぞれを40℃に冷却し、300mg/モルの1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを加えて10分間保持し、次ぎに20mg/モルの赤スペクトル分光色素アンヒドロ−3−エチル−9,11−ネオペンチレン−3’−(3−スルホプロピル)チアジカルボシアニンヒドロキシド(色素C)を加えて20分間保持した。
【0189】
これらの一部(部分(Ia)と表わす)を、色素を加えないで、最後の20分保持を除いた以外は、部分(I)と同様に処理した。
これらの一部(部分(II)と表わす)を、コロイド状金スルフィド分散物を30mg/モルAgよりもむしろ50mg/モルAgを、各乳剤に加えた以外は、部分(I)と同じように化学および分光増感した。
【0190】
これらの一部(部分(III)と表わす)を、5、7.5もしくは10mg/モルAgでアウロスビス(1,4,5−トリアゾリム−1,2,4−トリメチル−3−チオレート)テトラフルオロボレート、そして0.75mg/モルAgでジ(カルボキシメチル)−ジメチルチオウレアを加え、次いで加熱熟成し、カブリ防止剤および色素を加えて、部分(I)に記載したように、化学および分光増感した。
【0191】
部分(IV)を、8.4mg/モルAgのコロイド状金スルフィドの分散物を加え、次いで60℃で30分間熟成することにより化学および分光増感した。そして、この乳剤を、1.3mg/モルAgのKBrを、色素添加の前に加えた以外は、部分(I)のように処理した。
写真比較
上記Fシリーズ乳剤の増感した部分(I、Ia、IIおよびIII)を、酢酸セルロースフィルム支持体上に、塩化銀21.53mg/dm2 およびゼラチン53.92mg/dm2 で、塗布した。ゼラチン上塗り層は、10.76mgゼラチン/dm2 および硬膜剤(ビス(ビニルスルホニルメチル)エーテル、全ゼラチンに対して1.5重量%のレベル)を含んでなっていた。これら塗布した写真要素のサンプルを、0.1秒間、365nm放射線に対して露光し、そしてコダックDK−50(商標)現像液で12分間現像することによって評価した。更に、塗膜に1/10000〜10秒の範囲に渡って、一連の較正(全エネルギー)白色露光を与えることにより、相反則レスポンスについて塗膜サンプルを評価した。これらをまた、ヒドロキノン−Elon表面現像剤で、21℃で6分間現像した。
【0192】
上記Fシリーズ乳剤の増感した部分(IV)を、写真紙支持体上に、1.83mg/dm2 および8.3mg/dm2 でのレベルで、それぞれ銀およびゼラチンを塗布した。4.2mg/dm2 のカプラC1および硬膜剤(ビス(ビニルスルホニルメチル)エーテル、全ゼラチンに対して1.5重量%のレベル)を含むゼラチン上塗り層を前記乳剤上に塗布した。
【0193】
【化1】
Figure 0003650148
【0194】
これら塗布した写真要素を、0.1秒間露光し、そしてコダックエクタカラーRA−4(商標)現像液で45秒間現像することによって評価した。
更に、塗膜に1/10000〜10秒の範囲に渡って、一連の較正(全エネルギー)白色露光を与え、次ぎに上記のように現像することにより、相反則レスポンスについて塗膜サンプルを評価した。表F−I、F−IIおよびF−IIIに、高照度相反則不軌(HIRF)および低照度相反則不軌(LIRF)を、HIRFにおいては10-4および10-1秒、LIRFにおいては10-1および10秒の露光で得られる、最小濃度+0.15光学濃度での相対対数スピード×100の差として報告する。全ての相反則不軌調査において、比較のために選定した正確な測定ポイントにかかわらず、理想的な特性は、スピード差が無い(例えば、HIRFもしくはLIRFが理想的には0もしくはできるだけ0に近い)ことである。
【0195】
【表13】
Figure 0003650148
【0196】
【表14】
Figure 0003650148
【0197】
【表15】
Figure 0003650148
【0198】
【表16】
Figure 0003650148
【0199】
a:0.1および100秒間の等価露光(照度×時間)のスピード差として、スピードRFを採用する。ゼロが理想的な差である。
b:肩Δ濃度は、1.0光学濃度スピードポイントの0.3logEスロー(slow)ポイントでの、二つの等価露光(一番目は0.1秒間そして二番目は100秒間)における、濃度差である。ゼロが理想的な差である。
【0200】
c:足Δ濃度は、1.0光学濃度スピードポイントの0.3logEファースト(fast)ポイントでの、二つの等価露光(一番目は0.1秒間そして二番目は100秒間)における、濃度差である。ゼロが理想的な差である。
【0201】
【表17】
Figure 0003650148
【0202】
乳剤Fの写真特性を、表F−I、F−II、F−III、F−IVおよびF−Vに表わす。部分(III)において、各乳剤の最良のAu(I)レベルを、写真結果に基づいて選定し、これらの結果を表F−IIIに表わす。
表F−I、F−IIおよびF−IIIは、粒子ドーパントとして、アセトニトリル、ピリダジン、チアゾールもしくはピラジン配位子を持つイリジウム錯体の組み込みによって生じたHIRFにおける著しい減少を示す。更に、これらの錯体は、LIRFを著しく減らすことができる。
【0203】
表F−IVの結果は、有機配位子を持つ鉄ペンタシアノ錯体が、ドーパントとして鉄ヘキサシアニド錯体を用いて得られるものよりも優れた性能特性を生じることができることを示す。更に、単独もしくは鉄の配位子として用いたEDTAが、本発明の要件を満足するドーパントにおいて説明した性能上の利点を生じないことを証明する。
【0204】
Gシリーズ例
これらの例は、塩化銀立方粒子乳剤上に、本発明の要件を満足する配位錯体をドープしたリップマン臭化銀乳剤を熟成すると、相反則不軌、熱安定性および潜像維持特性が改良された、ドープされた乳剤を生じることを説明する。
一連のG乳剤は、McBride の米国特許第3,271,157号明細書に記載するタイプのチオエーテルハロゲン化銀熟成剤を用いる通常の沈澱技法を使用した。
【0205】
支持乳剤S1を、以下のように調製した:
8.5リットルの2.8重量%ゼラチン水溶液および1.8gの1,8−ジヒドロキシ−3,6−ジチアオクタンを入れた反応容器を、68.3℃、pHを5.8およびNaClを加えてpAgを7.35に調製した。1658.0gのAgNO3 を水に含有する3.75M溶液および570.4gのNaClを水に含有する2.75M溶液を、急速に攪拌しながら同時に反応容器に加えた。それぞれの流速は、84ml/分であった。pAgを7.35にコントロールしてダブルジェット沈澱を31分間継続した。全部で9.76モルの塩化銀乳剤を沈澱し、この塩化銀は、0.6μm平均立方体長さの立方体形状を有した。
【0206】
一連のリップマン臭化物キャリヤー乳剤を、化学/分光増感段階時に乳剤粒子中にドーパント錯体を導入する方法として調製した。
ドープされていないリップマン対照乳剤L1を、以下のように調製した:
4.0リットルの5.6重量%ゼラチン水溶液を入れた反応容器を、40℃、pHを5.8およびAgBrを加えてpAgを8.86に調製した。1698.7gのAgNO3 を水に含有する2.5M溶液および1028.9gのNaBrを水に含有する2.5M溶液を、急速に攪拌しながら同時に反応容器に加えた。それぞれの流速は、200ml/分の低速であった。pAgを8.86にコントロールしてダブルジェット沈澱を3分間継続した。そして、pAgを直線的に8.86から8.06に減少している間、ダブルジェット沈澱を17分間継続した。全部で10モルの臭化銀乳剤(リップマン臭化物)を沈澱し、この臭化銀は、0.06μmの平均粒子サイズを有した。
【0207】
乳剤L2を、水25ml中の0.217gの[IrCl62-(CD−3)を、一定流速で、沈澱の開始50%および終了90%で加えた以外は、乳剤L1と正に同じように調製した。このトリプルジェット沈澱は、10モルの0.05μm粒子径の乳剤を生成した。
乳剤L3を、水25ml中の0.528gのMC−29aを、一定流速で、沈澱の開始50%および終了90%で加えた以外は、乳剤L1と正に同じように調製した。このトリプルジェット沈澱は、10モルの0.05μm粒子径の乳剤を生成した。
【0208】
乳剤L4を、水25ml中の0.488gのMC−31を、一定流速で、沈澱の開始50%および終了90%で加えた以外は、乳剤L1と正に同じように調製した。このトリプルジェット沈澱は、10モルの0.05μm粒子径の乳剤を生成した。
ドープ並びに化学および分光増感した乳剤を以下のように調製した:
対照乳剤G1を以下のように調製した:
乳剤S1のサンプル50ミリモルを40℃まで加熱し、14mgの青分光増感色素(色素D、アンヒドロ−5−クロロ−3,3’−ジ(3−スルホプロピル)ナフト[1,2−d]チアゾーロチアシアニンヒドロキシドトリエチルアンモニウム塩)を加えることにより増感した。
【0209】
次ぎに0.45モルの乳剤L1を加えた。温度を60℃に上げて、乳剤G1の粒子表面上へのリップマン臭化物の再結晶を促進した。この乳剤に、0.13mgのチオ硫酸ナトリウムおよび9.5mgの4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデンを加え、この乳剤を60℃で30〜50分間、最適な化学増感が得られるまで保持した。次ぎに1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを加えて、仕上げ操作を完了した。
【0210】
比較および例の乳剤(表G−Iに示す)を、乳剤G1において用いた0.45ミリモルの乳剤L1を、表G−Iに概説するように等量の乳剤L1と乳剤L2、L3もしくはL4の組合せと置き換えた以外は、乳剤G1において記載したように調製した。
【0211】
【表18】
Figure 0003650148
【0212】
この乳剤を、米国特許第4,994,147号明細書に記載するように、写真紙支持体上に、0.002g/m2 の2,4−ジヒドロキシ−4−メチル−1−ピメリジノシクロペンタン−3−オンおよび0.02g/m2 のKClを有する銀0.28g/m2 並びにイエロー色素生成カプラー:
【0213】
【化2】
Figure 0003650148
【0214】
1.08g/m2 を塗布して、ゼラチン0.166g/m2 を有する層を得た。1.1g/m2のゼラチン保護上塗りを、ビスビニルスルホンゼラチン硬膜剤と一緒に塗布した。
これらの塗膜を、種々の露光時間で階段タブレットを通して3000゜K光源に対して露光し、「Using KODAK EKTACOLOR RA Chemicals」(公開No.Z−130、イーストマン コダック カンパニーにより公開、1990)に提案されるように処理した。
【0215】
これらの乳剤で得られた写真パラメータを表G−IIおよびG−IIIに表わす。
【0216】
【表19】
Figure 0003650148
【0217】
a:スピードは、1.0の光学濃度を得るのに必要な露光に基づく。
b:インキュベーションΔスピードは、49℃および50%相対湿度条件で3週間貯蔵した塗膜と、−18℃および50%相対湿度条件で貯蔵した照合用塗膜との間のスピード差である。理想的には、この差がゼロであるのが良い。
【0218】
【表20】
Figure 0003650148
【0219】
a:熱感受性Δは、センシトメトリーの差として測定した、露光時間での温度の差(40℃対20℃)の効果を測定する。
b:0.1秒露光において測定したスピードおよび足。
c:足は、1.0光学濃度スピードポイントより小さい露光スケール値0.3logEでの、センシトメトリー曲線の濃度である。
【0220】
d:潜像維持変化は、センシトメトリーの(30’対30”)差として測定した、露光と処理との遅れの影響である。
表G−IIおよびG−IIIの結果は、イリジウムおよびピラジンを持つ配位錯体を用いてドープした乳剤が、改良された相反則特性、および比較ドーパント[IrCl62-(CD−3)と違って、良好な熱感受性および潜像位置特性を示すことを証明する。
【0221】
Hシリーズ例
これらの例は、沃臭化銀平板状粒子乳剤の高照度および低照度相反則不軌を減らすイリジウムおよびピラジン配位子の配位錯体の効果を説明する。
この一連の乳剤は、平均等価円直径約2.7μmおよび平均厚0.13μmを示すAgBr95.94.1 平板状粒子を含有した。
【0222】
乳剤H1(ドープされていない対照乳剤)を以下のように調製した:
溶液A:
ゼラチン(骨) 10g
NaBr 30g
2 O 5000g
溶液B:
0.393N、AgNO3 514ml
溶液C:
2N、NaBr 359ml
溶液D:
0.1286N、(NH42 SO4 350ml
溶液E:
2.5N、NaOH 40ml
溶液F:
4N、HNO3 25ml
溶液G:
ゼラチン(骨) 140.14g
2 O 加えて1820ml
溶液H:
2.709N、NaBr
0.0413N、KI
溶液I:
2.75N、AgNO3 4304ml
溶液J:
4.06N、NaBr 720ml
溶液K:
2.5N、AgI 0.3モル
2 O 760ml
溶液Aを反応容器に加えた。反応容器のpHを40℃で6に調節した。温度を65℃まで上げ、溶液BおよびCを64ml/分および15.3ml/分の速度でそれぞれ1分間加えた。そして、溶液D、E、FおよびGを連続的に加えた。pAgを9.07にコントロールしながら、溶液BおよびHを、87ml/分および13.9ml/分で5分間加えた。
【0223】
pAgをコントロールしながら、溶液IおよびCを加えた。速度および時間は、次ぎの通りである:
【0224】
【表21】
Figure 0003650148
【0225】
そして、溶液JおよびKを続けて加えた。その後、溶液Iを50ml/分速度で24分かけて加え、溶液Cを用いてpAgを8.17にコントロールした。この乳剤を40℃に冷却し、pAgが8.06に到達するまで洗浄し、そして濃縮した。
ドープした乳剤H2を、ドーパントMC−42を工程cの第1パートの水溶液から反応容器に導入した以外は、上記のように調製した。ドーパントMC−42を合計ドーパント濃度0.025mppmを与えるのに必要な量で加えた。
【0226】
ドープした乳剤H3を、ドーパントMC−31を工程cの第1パートの水溶液から反応容器に導入した以外は、上記のように調製した。ドーパントMC−31を合計ドーパント濃度0.013mppmを与えるのに必要な量で加えた。
ドープした乳剤H4を、ドーパントMC−31を工程cの第1パートの水溶液から反応容器に導入した以外は、上記のように調製した。ドーパントMC−31を合計ドーパント濃度0.025mppmを与えるのに必要な量で加えた。
【0227】
乳剤H1〜H3のサンプルを、40℃で溶解し、100mg/モルAgでNaSCNを加え、30mg/モルAgでベンゾチアゾリウムテトラフルオロベレート仕上げ改質剤を加え、色素E:色素Fのモル濃度比が3:1で、65%〜80%単層色素被覆量を与えるのに十分な量で緑増感色素(色素Eおよび色素F)を加え、アウロス(I)ジチオ硫酸塩ナトリウム二水和物の形で1.75mg/モルAg、金増感剤を加え、チオ硫酸ナトリウムの形で0.87mg/モルAg、硫黄増感剤を加えることにより増感した。そして、この混合物を60℃にし、7分間保持し、冷蔵した。色素Eは、アンヒドロ−5−クロロ−9−エチル−5’−フェニル−3’−(3−フルホブチル)−3−(スルホプロピル)オキサカルボシアニンヒドロキシド、ナトリウム塩であった。色素Fは、アンヒドロ−6,6’−ジクロロ−1,1’−ジエチル−3,3’−ビス(3−スルホプロピル)−5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ベンズイミダゾーロカルボシアニンヒドロキシド、ナトリウム塩であった。
【0228】
この増感した乳剤を、カプラー溶融物と混ぜ合わせて、酢酸セルロース写真フィルム支持体上に、53.82mg/dm2 ゼラチン、21.53mg/dm2 Ag、7.5mg/dm2 色素生成カプラーC3および1.75g/モルAgの5−メチル−s−トリアゾール−[2−3−a]−ピリミジン−7−オールナトリウム塩ゼラチンの塗布量を与えるために作成した。この支持体は、既にハレーション防止として3.44mg/dm2 Agおよび24.4mg/dm2 ゼラチンパッドが塗布されていた。カプラー含有乳剤層を、9.93mg/dm2ゼラチンおよびビス−(ビニルスルホニルメチル)エーテル硬膜剤(ゼラチンに対して、1.75重量%)で上塗りした。
【0229】
【化3】
Figure 0003650148
【0230】
塗膜に1/10000〜10秒の範囲に渡って、一連の較正(全エネルギー)白色露光を与え、次ぎに6分間コダックKRX(商標)現像液、ヒドロキノン−Elon(商標)(N−メチル−p−アミノフェノールヘミ硫酸塩)現像剤、で現像することにより、相反則レスポンスについて塗布した写真フィルムサンプルを評価した。
【0231】
結果を表H−IおよびH−IIに表わす。
【0232】
【表22】
Figure 0003650148
【0233】
【表23】
Figure 0003650148
【0234】
a:Dmin 上光学濃度0.75で測定した、0.1および10-4秒間等価露光で得られた相対対数スピード×100の差。理想値は、ゼロである。
b:Dmin 上光学濃度0.15で測定した、0.1および10秒間等価露光で得られた相対対数スピード×100の差。理想値は、ゼロである。
相反則の結果は、ピラジンを含むイリジウム配位錯体が、相反則不軌、特に低照度相反則不軌を減らすのに有効で有ることを証明する。
【0235】
ドープされていない対照乳剤H1およびMC−41をドープした例乳剤H4の一部を40℃で溶融し、次ぎにNaSCN120mg/Agモルを加え、色素G:色素Hのモル濃度比が9:1で、65%〜80%単層色素被覆量を与えるのに十分な量で赤分光増感色素色素G(アンヒドロ−5,5’−ジクロロ−9−エチル−3,3’−ジ(3−スルホプロピル)チアカルボシアニンヒドロキシド)、および色素H(アンヒドロ−9−エチル−5,5’−ジメチル−3,3’−ジ(3−スルホプロピル)チアカルボシアニンヒドロキシド、トリエチルアミン塩)を加え、ジチオ硫酸塩ナトリウム二水和物の形で1.75mg/モルAg、金増感剤を加え、チオ硫酸ナトリウムの形で3.5mg/モルAg、硫黄増感剤を加え、20mg/モルAgのベンゾチアゾリウムテトラフルオロボレート仕上げ改質剤を加えた。この混合物を60℃にし、20分間保持した。
【0236】
この増感した乳剤を、カプラー溶融物と混ぜ合わせて、酢酸セルロース写真フィルム支持体上に、32.29mg/dm2 ゼラチン、10.76mg/dm2 Ag、9.69mg/dm2 色素生成カプラーC4の塗布量を与えるために作成した。
【0237】
【化4】
Figure 0003650148
【0238】
この支持体は、既にハレーション防止として3.44mg/dm2 Agおよび24.4mg/dm2 ゼラチンパッドが塗布されていた。カプラー含有乳剤層を、9.93mg/dm2ゼラチンおよびビス−(ビニルスルホニルメチル)エーテル硬膜剤(ゼラチンに対して、1.75重量%)で上塗りした。
塗膜に1/10000〜10秒の範囲に渡って、一連の較正(全エネルギー)白色露光を与え、次ぎに2分15秒間コダックFlexicolorC−41(商標)現像液で現像することにより、相反則レスポンスについて塗布した写真フィルムサンプルを評価した。
【0239】
結果を表H−IIIに表わす。
【0240】
【表24】
Figure 0003650148
【0241】
c:Dmin 上光学濃度0.15で測定した、0.1および10秒間等価露光で得られた相対対数スピード×100の差。理想値は、ゼロである。
Iシリーズ例
これらの例は、写真スピードを高めるオキサレート配位子を持つイリジウム配位錯体の効果を説明する。比較は、金属配位位置の半分が、オキサレート配位子によって占められて入る場合、少しも感度増加が実現されなかったことを説明する。
【0242】
この例シリーズの比較のために調製した乳剤は、pAgサイクルによってドープし、ホスト粒子の表面にドープした臭化銀の薄い殻を生じた臭化銀正八面体であった。
乳剤I1
単分散した1μmエッジ長八面体AgBr乳剤を、例シリーズAに記載したダブルジェット技法を用いて調製し、沈澱開始時に反応容器中に500mppmの熟成剤1,10−ジチア−4,7,13,16−テトラオキサシクロオクタデカンを置くことにより変更して、より大きい粒子サイズを生成した。
【0243】
この乳剤を28の部分に分割した。これらを、一連のドーパント塩[IrCl6 −2n(C24 )n]3-(n=1、MC−33;n=2、CD−7’およびn=3、CD−8)並びにK224 .H2 O(CD−4)を用いて次ぎのように増感した:
40℃で測定した乳剤のpAgを、1.5モル%NaBr(溶液)を加えて、8.2から9.8に増加した。ドーパント塩を、表I−Iに記載する量で、希釈水溶液から加えた。この乳剤を40℃で15分間保持した。AgNO3 水溶液を1.5モル%の量加えた。この乳剤を15分間保持し、その後冷蔵した。この手順を、AgBrの薄い殻の中にドーパント錯体を埋めるために計画した。上記手順から生じた乳剤を、酢酸セルロース写真フィルム支持体上に26.9mg/dm2 Agおよび75.35mg/dm2 ゼラチンで塗布した。得られた写真要素を、1/10秒間、目盛り付き濃度フィルターを通して5500゜K色温度光源に露光し、コダックラピッドX−Ray現像液、ヒドロキノン−Elon現像剤、で12分間現像した。
【0244】
これらの錯体によって与えられた写真感度を次ぎの表I−Iに表わす:
【0245】
【表25】
Figure 0003650148
【0246】
【表26】
Figure 0003650148
【0247】
表I−Iから解るように、モノオキサレート錯体(MC−33)のみが、写真スピードの顕著な増加を示した。
Jシリーズ例
以下の乳剤を選択して、カメラスピードのカラーネガフィルムに使用した場合の、本発明の乳剤の実用性を説明した。
【0248】
乳剤J1(対照)
この乳剤は、核形成時に沃化物、核形成後に沃化物および塩化物の組合せ、そして、可溶性沃化物塩を単独で急速に添加して、成長時に粒子構造に挿入するより高い沃化物バンドを用いて調製された、ドープされていない対照高塩化物{100}平板状粒子乳剤である。
【0249】
0.87重量%の低メチオニンゼラチン(ゼラチン1gあたり、<12μモルのメチオニン)を含有する4.3リットル溶液、0.0057M塩化ナトリウムおよび消泡剤を、攪拌しながら45℃で反応容器に入れた。この溶液を激しく攪拌しながら、68mlの0.024M沃化カリウム溶液を加えた。次ぎに硝酸銀1モル当たり0.08mgの塩化水銀を含有する22.5mlの4M硝酸銀および22.5mlの4M塩化ナトリウム溶液を加えた。銀および塩化物溶液を、それぞれ45ml/分の速度で同時に加えた。次ぎに、0.00037Mの沃化カリウムおよび0.0058Mの塩化ナトリウムを含有する9.75リットル溶液を、45℃で3分かけて加えた。3分間保持して、硝酸銀1モル当たり0.08mgの塩化水銀を含有する4Mの硝酸銀溶液および4Mの塩化ナトリウムを、各15ml/分で、5分間、同時に加え、次ぎにpAgを7.1に維持しながら、46分かけて15ml/分から42.6ml/分に直線的に加速した。4.0Mの塩化ナトリウム溶液を15ml/分で5分間加えることによりpAgを1.8の調節した。これを30分保持し、続いて、15ml/分で5分間、4Mの硝酸銀溶液を加え、続いて0.45Mの沃化カリウムを75ml加え、そして20分間保持した。保持した後、pAgを7.1に維持しながら、4Mの銀および塩化物溶液を同時に、15ml/分で8分間加えた。そして、この乳剤を塩化ナトリウム溶液で処理して、pAgを7.6にし、限外濾過洗浄するとpAgが7.2になった。限外濾過後、低メチオニンゼラチン180gを加え、塩化ナトリウムでpAgを7.2に調節した。
【0250】
生じた乳剤は、塩化物であるハロゲンと均衡する0.6モル%沃化物を含有する高塩化物{100}平板状粒子ハロゲン化銀乳剤であった。全粒子投影面積の50%以上が、2より小さい隣接する平板状粒子主面エッジ長の比を有する{100}平板上粒子によって占められていた。この乳剤は、0.88μmの平均等価円直径(ECD)および0.08μmの平均粒子厚を示した。
【0251】
乳剤J2(対照)
この乳剤は、高塩化物{100}平板状粒子乳剤が、対照ドーパントCD3でドープされている以外は、対照乳剤J1に似た、対照を表わす。
0.2mg/モルAgでCD3を含有するドープした乳剤を、ドーパントを、沈澱時に銀の80.8%〜82.8%のバンド中に加えた以外は、対照乳剤と同様に調製した。ドーパントを含んだこと以外は、対照乳剤J2の粒子は、対照乳剤J1の粒子と同じであった。
【0252】
乳剤J3(例)
この乳剤は、チアゾール配位子を持つ対照乳剤J2を調製するのに用いたイリジウムヘキサクロライド配位錯体の塩化物配位子の一つを置き換えた効果を説明するために調製した。
3 IrCl6 を、MC−41と置き換えた以外は、対照乳剤J2と同様に調製した。ドーパントを含んだこと以外は、例乳剤J3の粒子は、対照乳剤J1の粒子と同じであった。
【0253】
乳剤の増感
これらの乳剤を、緑分光増感色素の存在下で最適に硫黄および金増感した。その後、1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール(APMT)70mg/モルを加え、この乳剤を冷蔵した。
写真比較
各増感した乳剤を、ハレーション防止層を有するフィルム支持体上に、銀10.76mg/dm2 、シアン色素生成カプラー9.68mg/dm2 、およびゼラチン32.28mg/dm2 で塗布した。この層を43.04mg/dm2 のゼラチンで上塗りし、塗膜全体をビス(ビニルスルホニルメチル)エーテル(塗布したゼラチン総量の1.75重量%)で硬化した。
【0254】
塗布したサンプルを365線路放射で、0.02秒間階段ウェッジを用いて露光した。他のサンプルに10-5〜10秒の範囲に渡って、一連の較正(全エネルギー)白色露光を与えることにより、相反則レスポンスについて評価した。露光した塗膜をコダックFlexicolorC−41カラーネガ処理で処理した。
結果を表J−Iに表わす。
【0255】
【表27】
Figure 0003650148
【0256】
これらのデータは、[Ir(Cl)62-(乳剤J2)低照度相反則不軌(LIRF)を減少させるが、高照度相反則不軌(HIRF)を増加し並びにスピードおよびコントラストを減少させることを証明する。Ir(Cl5 )チアゾール(MC−41)(乳剤J3)もまた、LIRFを減らすのに有効であるが、[Ir(Cl)62-(乳剤J2)に比較して、優れたスピードおよびコントラストを示す。
【0257】
Kシリーズ例
以下例は、カラーペーパー用途の本発明の乳剤の実用性を説明することを目的とする。
乳剤K1(対照)
これは、ドープされていない対照乳剤である。
【0258】
3.52重量%の低メチオニンゼラチン、0.0056M塩化ナトリウムおよび1.00×10-3Mの沃化カリウムを含有する4590ミリリットル溶液を、攪拌しながら40℃で反応容器に入れた。この溶液を激しく攪拌しながら、90mlの2M硝酸銀および90mlの1.99M塩化ナトリウム溶液を、各180ml/分の速度で加えた。この混合物を、温度40℃のままで3分間保持した。保持に続いて、0.5Mの硝酸銀溶液および0.5Mの塩化ナトリウム溶液を、24ml/分で、40分間同時に加え、次ぎにpAgを6.85に維持しながら、70分かけて24ml/分から37.1ml/分に直線的に加速した。これに続き、pAgを6.85に維持しながら、0.75Mの塩化銀溶液および0.75Mの塩化ナトリウム溶液を、37.1ml/分で90分間、同時に加えた。
そして、塩化ナトリウムを用いて、pAgを7.9にし、限外濾過洗浄するとpAgが、7.2となった。塩化ナトリウムを用いてpAgを7.55に調節した。
【0259】
生じた乳剤は、塩化物であるハロゲンと均衡する0.11モル%沃化物を含有する高塩化物{100}平板状粒子ハロゲン化銀乳剤であった。全粒子投影面積の50%以上が、2より小さい隣接する平板状粒子主面エッジ長の比を有する{100}平板上粒子によって占められていた。この乳剤は、1.59μmの平均等価円直径(ECD)および0.14μmの平均粒子厚を示した。
【0260】
乳剤の増感
乳剤K1を次ぎの手順により青光に対して増感した:
若干量の乳剤を40℃で溶融し、580mg/モルAgの増感色素色素Dを前記平板状乳剤に加え、20分保持した。硫化金を、2.4mg/モルAgで加え、5分保持した。そして温度を60℃に上げ、40分保持し、その後温度を40℃まで下げ、120mg/モルAgのAPMTを加え、10分保持し、その後冷蔵した。
【0261】
写真比較
増感した乳剤を、樹脂コートペーパー支持体上に、11mg/dm2 のイエロー色素生成カプラーC2および8.2mg/dm2 のゼラチンと共に2.8mg/dm2 の銀を塗布した。
塗布したサンプルを3000゜Kタングステンランプを装備する階段ウェッジセンシトメータを用いて、0.1秒間露光をすることにより、白色光感度について評価した。この塗膜をコダックRA−4カラーペーパー処理で処理した。色素濃度を標準反射幾何およびステータスA濾過を用いて測定した。
【0262】
乳剤K2(例)
この乳剤を、粒子体積がその最終体積の95〜100%に増加するときに、0.05mg/モルAgのMC−41を加えた以外は、対照乳剤K1と同じように調製し、塗布してテストした。ドーピングの変更は、得られた粒子の物理的形状になんら影響を及ぼさなかった。
【0263】
結果を次ぎの表K−Iに表わす。
【0264】
【表28】
Figure 0003650148
【0265】
表K−Iから、例乳剤K2が、低照度相反則不軌を減少させ、そしてスピードを0.06logE(Eを、ルックス−秒で測定する)増加させたことが明かである。従って、ドーパントMC−41は有効であった。
乳剤K3(例)
剤K3を、粒子体積がその最終体積の93〜95%に成長するときに、MC−41濃度を0.2mg/モルAgに増加してを加えた以外は、例乳剤K2と同じように調製し、塗布してテストした。ドーピングの変更は、得られた粒子の物理的形状になんら影響を及ぼさなかった。
【0266】
乳剤K4(対照)
乳剤K4を、MC−41をK2 IrCl6 と置き換えた以外は、例乳剤K3と同じように調製し、塗布してテストした。ドーピングの変更は、得られた粒子の物理的形状になんら影響を及ぼさなかった。
結果を次ぎの表K−IIに表わす。
【0267】
【表29】
Figure 0003650148
【0268】
表K−IIから、例乳剤K3が、対照乳剤K4と比較して、スピードおよびコントラスト高め、E4の低照度スピード損失(+9対−9)を証明しなかったことが解る。
乳剤K5(例)
この乳剤を、粒子体積がその最終体積の4.3〜95%に増加するときに、5ppmのMC−14ssを加えた以外は、対照乳剤K1と同じように調製し、塗布してテストした。ドーピングの変更は、得られた粒子の物理的形状になんら影響を及ぼさなかった。
【0269】
乳剤K6(例)
この乳剤を、粒子体積がその最終体積の4.3〜95%に増加するときに、5ppmのMC−14rrを加えた以外は、対照乳剤K1と同じように調製し、塗布してテストした。ドーピングの変更は、得られた粒子の物理的形状になんら影響を及ぼさなかった。
【0270】
乳剤K7(例)
この乳剤を、粒子体積がその最終体積の4.3〜95%に増加するときに、5ppmのMC−14cを加えた以外は、対照乳剤K1と同じように調製し、塗布してテストした。ドーピングの変更は、得られた粒子の物理的形状になんら影響を及ぼさなかった。
【0271】
結果を次ぎの表K−IIIに表わす。
【0272】
【表30】
Figure 0003650148
【0273】
表K−IIIから、例乳剤K5およびK6が、ドープされていない対照乳剤K1と比較して、スピードがより高いことを証明したことが解る。従って、ドーパントMC−14rrおよびMC−14ssは有効であった。
【0274】
【表31】
Figure 0003650148
【0275】
表K−IVから、例乳剤K7が、ドープされていない対照乳剤K1と比較して、低いLIRFであることを証明したことは明かである。従って、ドーパントMC−14cは有効であった。
乳剤K8(例)
この乳剤を、粒子体積がその最終体積の4.3〜90%に増加するときに、5ppmのMC−14jを加えた以外は、対照乳剤K1と同じように調製し、塗布してテストした。ドーピングの変更は、得られた粒子の物理的形状になんら影響を及ぼさなかった。
【0276】
この乳剤は、非常に高い照度(等エネルギー)の露光の写真特性曲線の上方スケール、肩における、写真スピードを改良するドーパントMC−14jの能力を説明する。肩HIRFは、Dmin +1.35の肩濃度で測定される10-5秒露光で得られるスピードと0.01秒露光で得られるスピードとの間の相対スピード差として表わされる。肩HIRFの理想値はゼロであり、高照度露光の肩スピードが変化しないことを示す。
【0277】
結果を次ぎの表K−Vに表わす。
【0278】
【表32】
Figure 0003650148
【0279】
表K−Vから、例乳剤K8が、ドープされていない対照乳剤K1と比較して、劇的に肩HIRFを減少させたことが解る。従って、ドーパントMC−14jは有効であった。

Claims (8)

  1. 金属ヘキサ配位錯体の存在下で分散媒体中の銀およびハロゲン化物イオンを反応させることを含んでなる放射線感受性ハロゲン化銀乳剤の調製方法であって、
    ヘキサ配位錯体が、少なくとも一つの炭素−炭素結合、炭素−水素結合、もしくは炭素−窒素−水素結合連鎖を含んでなる少なくとも一つの有機配位子、並びにハロゲン化物もしくは疑似ハロゲン化物配位子によって占められている少なくとも半分の金属配位位置を含み、前記錯体を生成する金属が、鉄、ルテニウム、およびイリジウムから選択されること、を特徴とする調製方法。
  2. ハロゲン化物イオンを選択して、臭化銀粒子、沃臭化銀粒子、塩化銀粒子、塩臭化銀粒子、臭塩化銀粒子、沃塩化銀粒子、沃臭塩化銀粒子もしくは沃塩臭化銀粒子を形成することを更に特徴とする請求項1に記載の放射線感受性ハロゲン化銀乳剤の調製方法。
  3. 有機配位子が最大24個までの非金属原子を含むことを更に特徴とする請求項1もしくは2に記載の放射線感受性ハロゲン化銀乳剤の調製方法。
  4. 有機配位子が、置換したおよび非置換の脂肪族並びに芳香族炭化水素、アミン類、ホスフィン類、アミド類、イミド類、ニトリル類、アルデヒド類、ケトン類、エーテル類、有機酸、スルホキシド類、並びにカルコゲンおよびピニクチド複素環原子の一つもしくは組合せを含む脂肪族および芳香族複素環類の中から選ばれることを更に特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の放射線感受性ハロゲン化銀乳剤の調製方法。
  5. 前記金属が鉄であることを更に特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の放射線感受性ハロゲン化銀乳剤の調製方法。
  6. 前記金属がイリジウムであることを更に特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の放射線感受性ハロゲン化銀乳剤の調製方法。
  7. 鉄、ルテニウム、およびイリジウムから選ばれる金属のヘキサ配位錯体を含む面心立方結晶格子構造を示す放射線感受性ハロゲン化銀粒子を含んでなるハロゲン化銀写真乳剤であって、
    少なくとも一つの炭素−炭素結合、少なくとも一つの炭素−水素結合、もしくは少なくとも一つの炭素−窒素−水素結合連鎖をそれぞれ含む一つ以上の有機配位子が、配位錯体の金属配位位置の最大半分を占め、そして配位錯体の金属配位位置の少なくとも半分が、ハロゲン化物もしくは疑似ハロゲン化物配位子によって提供されることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
  8. ハロゲン化銀粒子が、臭化銀粒子、沃臭化銀粒子、塩化銀粒子、塩臭化銀粒子、臭塩化銀粒子、沃塩化銀粒子、沃臭塩化銀粒子および沃塩臭化銀粒子の中から選ばれ、そして有機配位子が、最大18までの非金属原子を含みかつ置換したおよび非置換の脂肪族並びに芳香族炭化水素、アミン類、ホスフィン類、アミド類、イミド類、ニトリル類、アルデヒド類、エーテル類、ケトン類、有機酸、スルホキシド類、並びにカルコゲンおよびピニクチド複素環原子の一つもしくは組合せを含む脂肪族および芳香族複素環類の中から選ばれることを更に特徴とする請求項7に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
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