JP2908619B2 - ハロゲン化銀写真感光材料及びその処理方法 - Google Patents

ハロゲン化銀写真感光材料及びその処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハロゲン化銀写真感光
材料に関するものであり、特に高照度短時間露光におい
て、高感度かつ迅速処理適性に優れたハロゲン化銀写真
感光材料およびその現像処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】写真感光材料の露光方法の一つに、原図
を走査し、その画像信号に基づいてハロゲン化銀写真感
光材料上に露光を行い、原図の画像に対応するネガ画像
もしくはポジ画像を形成する所謂スキャナー方式による
画像形成方法が知られている。スキャナー方式による画
像形成方法を実用した記録装置は種々あるが、網点発生
器を用いる所謂ドットジェネレーター方式が現在では数
多く用いられている。これらのスキャナー方式記録装置
の記録用光源としては、従来グローランプ、キセノンラ
ンプ、水銀ランプ、タングステンランプ、発光ダイオー
ドなどが用いられてきた。しかしこれらの光源はいずれ
も出力が弱く寿命が短いという実用上の欠点を有してい
た。これらの欠点を補うものとして、He−Neレー
ザ、アルゴンレーザ、He−Cdレーザ、半導体レーザ
などのコヒーレントなレーザ光源をスキャナー方式の光
源として用いるスキャナーがある。これらのスキャナー
に使用される感光材料には種々の特性が要求されるが、
特に10-3〜10-8秒という短時間露光で露光されるた
め、このような条件下でも高感度だけでなく高コントラ
ストであることが必須条件となる。
【0003】更に近年は、印刷業界においても作業の効
率化、スピードアップは強く望まれており、スキャニン
グの高速化及び感光材料の処理時間の短縮化に対する広
範囲なニーズが存在している。これら印刷分野のニーズ
に応えるために、露光機(スキャナー、プロッター)に
おいてはスキャニングの高速化、および高画質化のため
の線数増加やビームのしぼり込みが望まれており、ハロ
ゲン化銀写真感光材料においては、高感度で処理安定性
に優れ、かつ迅速に現像処理することができることが望
まれている。ここでいう迅速現像処理とはフィルムの先
端を自動現像機に挿入してから、現像槽、渡り部分、水
洗槽、乾燥部分を通過してフィルムの先端が乾燥部から
出て来た時間が15〜60秒である処理を言う。
【0004】これらの目的のために、塩化銀が30モル
%以上のハロゲン化銀粒子にロジウム化合物を含有する
と、高コントラスト化に効果があることは知られてい
た。しかしながら、ロジウム化合物を含有すると感度の
低下が大きく、また、現像進行速度も遅いため、現像時
間の短い迅速処理の場合にはさらに低感になるとともに
コントラストが低下することが問題であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、高照度露光時に高感硬調なハロゲン化銀写真感光材
料を提供することにある。本発明の第2の目的は、迅速
処理を行っても高感度でかつ良好な画質を与えるハロゲ
ン化銀写真感光材料及びその現像処理方法を提供するこ
とにある。本発明の第3の目的は、現像液、定着液の補
充量を下げても高感でかつ良好な画質を与えるハロゲン
化銀写真感光材料及びその現像処理方法を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、塩化銀
30モル%以上のハロゲン化銀からなりかつ銀に対して
10-6モル以下のロジウム化合物を含有し、かつ該ハロ
ゲン化銀粒子がテルル増感剤で増感されたことを特徴と
するハロゲン化銀写真感光材料を用いることにより達成
された。
【0007】本発明の具体的構成について詳細に説明す
る。本発明に係わるハロゲン化銀写真乳剤はハロゲン化
銀として、塩化銀、塩臭化銀もしくは塩沃臭化銀を含有
する。この時塩化銀は30モル%以上、より好ましくは
60モル%以上含有する。また沃化銀含有率は5モル%
以下、さらに好ましくは2モル%以下が良い。ハロゲン
化銀粒子の形状は、立方体、十四面体、八面体、不定
型、板状いずれでも良いが立方体もしくは板状が好まし
い。ハロゲン化銀粒子の平均粒径は0.01μm〜1μ
mが好ましいが、より好ましくは0.4μm以下であ
り、{(粒径の標準変差)/(平均粒径)}×100で
表わされる変動係数が15%以下、より好ましくは10
%以下の粒径分布の狭いものが好ましい。ハロゲン化銀
粒子は内部と表層が均一な相から成っていても、異なる
相からなっていてもよい。本発明に用いられる写真乳剤
は、P.Glafkides 著 Chimie et Physique Photographiq
ue(Paul Montel社刊、1967年)、G. F. Duffin著 P
hotographic Emulsion Chemistry(The Focal Press刊、
1966年)、V. L. Zelikman etal著 Making and Coa
ting Photographic Emulsion(The Focal Press 刊、1
964年)などに記載された方法を用いて調製すること
ができる。即ち、酸性法、中性法、アンモニア法等のい
ずれでもよく、又可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応
させる形成としては、片側混合法、同時混合法、それら
の組合せなどのいずれを用いてもよい。粒子を銀イオン
過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)
を用いることもできる。同時混合法の一つの形式として
ハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保つ
方法、即ち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット
法を用いることもできる。この方法によると、結晶形が
規則的で粒子サイズが均一に近いハロゲン化銀乳剤が得
られる。また、粒子サイズを均一にするためには、英国
特許1,535,016号、特公昭48−36890、
同52−16364号に記載されているように、硝酸銀
やハロゲン化アルカリの添加速度を粒子成長速度に応じ
て変化させる方法や、英国特許4,242,445号、
特開昭55−158124号に記載されているように水
溶液の濃度を変化させる方法を用いて、臨界飽和度を越
えない範囲において早く成長させることが好ましい。本
発明のハロゲン化銀乳剤の粒子形成は、四置換チオ尿
素、有機チオエーテル化合物の如きハロゲン化銀溶剤の
存在下で行うことが好ましい。本発明で用いられる好ま
しい四置換チオ尿素ハロゲン化銀溶剤は、特開昭53−
82408、同55−77737などに記載された次の
一般式(I)で表わされる化合物である。 一般式(I)
【0008】
【化1】
【0009】一般式(I)について説明する。式中、R
1 、R2 、R3 及びR4 は、置換または未置換のアルキ
ル基、アルケニル基(アリル基など)、あるいは、置換
または未置換のアリールを表わし、これらは互いに同じ
でも異なってもよく、R1 〜R4 の炭素数の合計は30
以下が好ましい。また、R1 とR2 、R2 とR3 、ある
いはR3 とR4 で結合して5ないし6員の複素環イミダ
ゾリジンチオン、ピペリジン、モルホリンなどを作るこ
ともできる。上記アルキル基は直鎖又は分岐のものの両
方が用いられる。アルキル基の置換基としては、例えば
ヒドロキシ基(−OH)、カルボキシ基、スルホン酸
基、アミノ基、アルキル残基が1〜5個の炭素原子を有
するアルコキシ基(o−アルキル)、フェニル基または
5ないし6員の複素環(フランなど)である。アリール
基の置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基また
はスルホン酸基である。ここで、特に好ましくは、R1
〜R4 のうち、アルキル基が3つ以上で、各アルキル基
の炭素数は1〜5、アリール基はフェニル基、さらにR
1 〜R4 の炭素数の合計は20以下である。本発明に用
いることのできる化合物の例として次のものを挙げるこ
とができる。
【0010】
【化2】
【0011】
【化3】
【0012】
【化4】
【0013】
【化5】
【0014】本発明に好ましく用いられる有機チオエー
テルハロゲン化銀溶剤は例えば特公昭47−11386
号(米国特許3,574,628号)等に記載された酸
素原子と硫黄原子がエチレンによりへだてられている基
(例えば−O−CH2 CH2 −S−)を少なくとも1つ
含む化合物、特開昭54−155828号(米国特許
4,276,374号)に記載された両端にアルキル基
(このアルキル基は各々ヒドロキシ、アミノ、カルボキ
シ、アミド又はスルホンの中から選ばれる少なくとも2
個の置換基を有する)を持つ鎖状のチオエーテル化合物
である。具体的には次のような例を挙げることができ
る。
【0015】
【化6】
【0016】ハロゲン化銀溶剤の添加量は、用いる化合
物の種類および目的とする粒子サイズ、ハロゲン組成な
どにより異なるが、ハロゲン化銀1モルあたり10-5
10-2モルが好ましい。ハロゲン化銀溶剤の使用により
目的以上の粒子サイズになる場合は粒子形成時の温度、
銀塩溶液、ハロゲン塩溶液の添加時間などを変えること
により所望の粒子サイズにすることができる。
【0017】本発明に用いられるロジウム化合物とし
て、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。例え
ば、ハロゲン化ロジウム(III) 化合物、またはロジウム
錯塩で配位子としてハロゲン、アミン類、オキザラト等
を持つもの、例えば、ヘキサクロロロジウム(III) 錯
塩、ヘキサブロモロジウム(III) 錯塩、ヘキサアンミン
ロジウム(III) 錯塩、トリオキザラトロジウム(III) 錯
塩などが挙げられる。これらのロジウム化合物は、水あ
るいは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化
合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方
法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭
酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン化アルカリ(例えば
KCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方
法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わ
りにハロゲン化銀粒子調製時に、あらかじめロジウムを
ドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解さ
せることも可能である。本発明に係わるロジウム化合物
の全添加量は、最終的に形成されるハロゲン化銀1モル
あたり1×10-9〜1×10-6モルが適当であり、好ま
しくは5×10-9〜1×10-6モルである。これらの化
合物の添加は、ハロゲン化銀乳剤粒子の製造時及び乳剤
を塗布する前の各段階において適宜行うことができる
が、特に粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組
み込まれることが好ましい。本発明においてはロジウム
化合物とともに鉄化合物、レニウム化合物、オスミウム
化合物、又はルテニウム化合物を用いることが好まし
い。
【0018】本発明に用いられる鉄化合物は2価または
3価の鉄イオン含有化合物で、好ましくは本発明で用い
られる濃度範囲で水溶性をもつ鉄塩や鉄錯塩である。具
体的には ヒ酸第一鉄 臭化第一鉄 炭酸第一鉄 塩化第一鉄 クエン酸第一鉄 フッ化第一鉄 ぎ酸第一鉄 グルコン酸第一鉄 水酸化第一鉄 よう化第一鉄 乳酸第一鉄 しゅう酸第一鉄 リン酸第一鉄 こはく酸第一鉄 硫酸第一鉄 チオシアン酸第一鉄 硝酸第一鉄 硝酸第一鉄アンモニウム 塩基性酢酸第二鉄 アルブミン酸第二鉄 酢酸第二鉄アンモニウム 臭化第二鉄 塩化第二鉄 クロル酸第二鉄 クエン酸第二鉄 フッ化第二鉄 ぎ酸第二鉄 グリセロ・リン酸第二鉄 水酸化第二鉄 酸性リン酸第二鉄 硝酸第二鉄 リン酸第二鉄 ピロリン酸第二鉄 ピロリン酸第二鉄ナトリウム チオシアン化第二鉄 硫酸第二鉄 硫酸第二鉄アンモニウム 硫酸第二鉄グアニジン クエン酸第二鉄アンモニウム ヘキサンシアノ鉄(II)酸カリウム ベンタシアノアンミン第一鉄カリウム エチレンジニトリロ四酢酸第二鉄ナトリウム ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム 塩化トリス(ジピリジル)第二鉄 ベンタシアノニトロシル第二鉄カリウム 塩化ヘキサレア第二鉄 特にヘキサシアノ鉄(II)酸塩、ヘキサシアノ鉄(III)
酸塩、チオシアン酸第一鉄塩やチオシアン酸第二鉄塩が
顕著な効果を表す。
【0019】本発明に用いられる、レニウム、ルテニウ
ム、オスミウム化合物はヨーロッパ公開特許(EP)0
336689A号、同0336427A1号、同033
6425A1号、同0336426A1号に記載された
六座配位錯体が好ましく、特にシアニド配位子を少なく
とも4個以上含むものが好ましい。好ましい態様におい
てはこれらの化合物は次のような式によって表わすこと
ができる。 〔M(Cn)6−yy n ここに、Mはレニウム、ルテニウム、オスミウムであ
り、Lは架橋配位子であり、yは整数0、1、又は2で
あり、そしてnは−2、−3又は−4である。具体例と
しては 〔Re(CN)5-4 〔Ru(CN)5-4 〔Os(CN)5-4 〔ReF(CN)5-4 〔RuF(CN)5-4 〔OsF(CN)5-4 〔ReCl(CN)5-4 〔RuCl(CN)5-4 〔OsCl(CN)5-4 〔ReBr(CN)5-4 〔RuBr(CN)5-4 〔OsBr(CN)5-4 〔ReI(CN)5-4 〔RuI(CN)5-4 〔OsI(CN)5-4 〔ReF2 (CN)4-4 〔RuF2 (CN)5-4 〔OsF2 (CN)5-4 〔ReCl2 (CN)4-4 〔RuCl2 (CN)4-4 〔OsCl2 (CN)4-4 〔RuBr2 (CN)4-4 〔OsBr2 (CN)4-4 〔ReBr2 (CN)4-4 〔RuI2 (CN)4-4 〔OsI2 (CN)5-4 〔Ru(CN)5(OCN)〕-4 〔Os(CN)5(OCN)〕-4 〔Ru(CN)5(SCN)〕-4 〔Os(CN)5(SCN)〕-4 〔Ru(CN)5(N3)〕-4 〔Os(CN)5(N3)〕-4 〔Ru(CN)5(H2 O)〕-3 〔Os(CN)5(H2 O)〕-3 が挙げられる。
【0020】上記の鉄、レニウム、ルテニウム、オスミ
ウム化合物は、ハロゲン化銀粒子形成中に添加すること
が好ましい。添加位置としては、粒子中に均一に分布さ
せても、また粒子形成の初期、中期、後期に局在化させ
ても良いが、粒子形成の後期、すなわち最終粒子径の5
0%、より好ましくは80%が形成された後に添加する
ことが好ましい。本発明においては第VIII族に含まれる
他の金属、すなわちコバルト、ニッケル、イリジウム、
パラジウム、白金などを併用しても良い。特に塩化イリ
ジウム、ヘキサクロロイリジウム(III)酸アンモニウム
のごときイリジウム塩との併用は高感、硬調な乳剤が得
られ有利である。
【0021】本発明で用いられるテルル増感剤として
は、米国特許第1,623,499号、同3,320,
069号、同3,772,031号、英国特許第23
5,211号、同1,121,496号、同1,29
5,462号、同1,396,696号、カナダ特許第
800,958号、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサ
イアティー・ケミカル・コミュニケーション(J. Chem.
Soc. Chem. Commun.)635(1980)、ibid 11
02(1979)、ibid 645(1979)、ジャー
ナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・ト
ランザクション(J.Chen. Soc. Perkin Trans.) 1,2
191(1980)等に記載の化合物を用いることが好
ましい。具体的なテルル増感剤としては、コロイド状テ
ルル、テルロ尿素類(例えばアリルテルロ尿素、N,N
−ジメチルテルロ尿素、テトラメチルテルロ尿素、N−
カルボキシエチル−N’,N’−ジメチルテルロ尿素、
N,N’−ジメチルエチレンテルロ尿素、N,N’−ジ
フェニルエチレンテルロ尿素)、イソテルロシアナート
類(例えばアリルイソテルロシアナート)、テルロケト
ン類(例えばテルロアセトン、テルロアセトフェノ
ン)、テルロアミド類(例えばテルロアセトアミド、
N,N−ジメチルテルロベンズアミド)、テルロヒドラ
ジド(例えばN,N’,N’−トリメチルテルロベンズ
ヒドラジド)、テルロエステル(例えばt−ブチル−t
−ヘキシルテルロエステル)、ホスフィンテルリド類
(例えばトリブチルホスフィンテルリド、トリシクロヘ
キシルホスフィンテルリド、トリイソプロピルホスフィ
ンテルリド、ブチル−ジイソプロピルホスフィンテルリ
ド、ジブチルフェニルホスフィンテルリド)、他のテル
ル化合物(例えば英国特許第1,295,462号記載
の負電荷のテルライドイオン含有ゼラチン、ポタシウム
テルリド、ポタシウムテルロシアナート、テルロペンタ
チオネートナトリウム塩、アリルテルロシアネート)等
があげられる。これらのテルル化合物のうち、好ましく
は以下の一般式(III)および(IV)があげられる。 一般式(III)
【0022】
【化7】
【0023】式中、R1 およびR2 およびR3 は脂肪族
基、芳香族基、複素環基、OR4 、NR5 (R6 )、S
7 、OSiR8 (R9 )(R10)、Xまたは水素原子
を表す。R4 およびR7 は脂肪族基、芳香族基、複素環
基、水素原子またはカチオンを表し、R5 およびR6
脂肪族基、芳香族基、複素環基または水素原子を表し、
8 、R9 およびR10は脂肪族基を表し、Xはハロゲン
原子を表す。 一般式(IV)
【0024】
【化8】
【0025】式中、R11、は脂肪族基、芳香族基、複素
環基または−NR13(R14)を表し、R12は−NR
15(R16)、−N(R17)N(R18)R19または−OR
20を表す。R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19
およびR20は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基
またはアシル基を表す。ここでR11とR15、R11
17、R11とR18、R11とR20、R13とR15、R13とR
17、R13とR18およびR13とR20は結合して環を形成し
てもよい。以下に本発明の一般式(III) および(IV)で表
される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定さ
れるものではない。
【0026】
【化9】
【0027】
【化10】
【0028】
【化11】
【0029】
【化12】
【0030】
【化13】
【0031】
【化14】
【0032】
【化15】
【0033】
【化16】
【0034】
【化17】
【0035】本発明の一般式(III)および(IV)で表され
る化合物は既に知られている方法に準じて合成すること
ができる。例えばジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイ
アティ(J. Chem. Soc. (A)) 1969,2927;ジャ
ーナル・オブ・オルガノメタリック・ケミストリー(J.
Organomet. Chem. )4,320(1965);ibid,
1,200(1963);ibid, 113,C35(19
76);フォスフォラス・サルファー(Phosphorus Sul
fur)15,155(1983);ヘミッシェ・ベリヒテ
(Chem.Ber.) 109,2996(1976);ジャーナ
ル・オブ・ケミカル・ソサイアティ・ケミカル・コミュ
ニケーション(J. Chem. Soc. Chem. Comm-un.)635
(1980);ibid, 1102(1979);ibid, 6
45(1979);ibid, 820(1987);ジャー
ナル・オブ・ケミカル・ソサイアティ・パーキン・トラ
ンザクション(J. Chem. Soc. Perkin. Trans.)1,21
91(1980);ザ・ケミストリー・オブ・オルガノ
・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウンズ(The
Chemistry of Organo Selenium and Tellurium Compo-
unds) 2巻の216〜267(1987)に記載の方法
で合成することができる。
【0036】本発明のハロゲン化銀写真乳剤は、化学増
感においてイオウ増感及び/又は金増感を併用すること
によりさらに高感度、低かぶりを達成することができ
る。イオウ増感は、通常、イオウ増感剤を添加して、高
温、好ましくは40℃以上で乳剤を一定時間攪拌するこ
とにより行われる。また、金増感は、通常、金増感剤を
添加して、高温、好ましくは40℃以上で乳剤を一定時
間攪拌することにより行われる。上記のイオウ増感には
硫黄増感剤として公知のものを用いることができる。例
えばチオ硫酸塩、チオ尿素類、アリルイソチアシアネー
ト、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダ
ニンなどが挙げられる。その他米国特許第1,574,
944号、同第2,410,689号、同第2,27
8,947号、同第2,728,668号、同第3,5
01,313号、同第3,656,955号各明細書、
ドイツ特許1,422,869号、特公昭56−249
37号、特開昭55−45016号公報等に記載されて
いる硫黄増感剤も用いることができる。硫黄増感剤の添
加量は、乳剤の感度を効果的に増大させるのに十分な量
でよい。この量は、pH、温度、ハロゲン化銀粒子の大
きさなどの種々の条件の下で相当の範囲にわたって変化
するが、ハロゲン化銀1モル当り1×10-7モル以上、
5×10-4モル以下が好ましい。
【0037】上記の金増感の金増感剤としては金の酸化
数が+1価でも+3価でもよく、金増感剤として通常用
いられる金化合物を用いることができる。代表的な例と
しては塩化金酸塩、カリウムクロロオーレート、オーリ
ックトリクロライド、カリウムオーリックチオシアネー
ト、カリウムヨードオーレート、テトラシアノオーリッ
クアシド、アンモニウムオーロチオシアネート、ピリジ
ルトリクロロゴールドなどが挙げられる。金増感剤の添
加量は種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲ
ン化銀1モル当り1×10-7モル以上5×10-4モル以
下が好ましい。化学熟成に際して、ハロゲン化銀溶剤お
よびテルル増感剤またはテルル増感剤と併用することが
できるイオウ増感剤および/または金増感剤等の添加の
時期および順位については特に制限を設ける必要はな
く、例えば化学熟成の初期(好ましくは)または化学熟
成進行中に上記化合物を同時に、あるいは添加時点を異
にして添加することができる。また添加に際しては、上
記の化合物を水または水と混合し得る有機溶剤、例えば
メタノール、エタノール、アセトン等の単液あるいは混
合液に溶解せしめて添加させればよい。
【0038】本発明の感光材料に用いられる各種添加
剤、現像処理方法に関しては特に制限はなく、例えば下
記に示す該当個所に記載されたものを好ましく用いるこ
とが出来る。 項 目 該 当 個 所 1) ヒドラジン造核剤 特開平2-12236 号公報第2 頁右上欄19行目から同第 7 頁右上欄3 行目 2) 造核促進剤 特開平2-103536号公報第9 頁右上欄13行目から同第 16頁左上欄10行目 3) ハロゲン化銀乳剤と 特開平2-97937 号公報第20頁右下欄12行目から同第 その製法 21頁左下欄14行目及び特開平2-12236 号公報第7 頁 右上欄19行目から同第8 頁左下欄12行目 4) 分光増感色素 特開平2-12236 号公報第8 頁左下欄13行目から同右 下欄4 行目及び特開平2-103536号公報第16頁右下欄 3 行目から同第17頁左下欄20行目 5) 界面活性剤・帯電防 特開平2-12236 号公報第9 頁右上欄7 行目から同右 止剤 下欄7 行目及び特開平2-18542 号公報第2 頁左下欄 13行目から同第4 頁右下欄18行目 6) カブリ防止剤・安定 特開平2-103526号公報第17頁右下欄19行目から同第 剤 18頁右上欄4 行目及び同右下欄1 行目から5 行目 7) ポリマーラテックス 同第18頁左下欄12行目から同20行目 8) 酸基を有する化合物 同第18頁右下欄6 行目から同第19頁左上欄1 行目 9) マット剤・滑り剤・ 同第19頁左上欄15行目から同第19頁右上欄15行目 可塑性剤 10) 硬膜剤 特開平2-103536号公報第18頁右上欄5 行目から同17 行目 11) 染料 同第17頁右下欄1行目から同18行目 12) バインダー 特開平2-18542 号公報第3 頁右下欄1 行目から20行 目 13) 現像液及び現像方法 特開平2-103536号公報第19頁右上欄16行目から同第 21頁左上欄8 行目 14) レドックス化合物 特開平2-301743号公報の一般式(I)で表わされる 化合物(特に化合物例1〜50)。 15) モノメチン化合物 特開平2-287532号公報の一般式(II)で表わされる 化合物(特に化合物例II−1〜II−26) 。 16) ジヒドロキシベンゼ 特開平3-39948 号公報第11頁左上欄から第12頁左下 ン類 欄 以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明す
る。
【0039】
【実施例】
実施例1 乳剤Aの調製 1液 水 1.0リットル ゼラチン 20g 塩化ナトリウム 20g 1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 6mg 2液 水 400ml 硝酸銀 100g 3液 水 400ml 塩化ナトリウム 28.8g 臭化カリウム 17.5g ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム 12ml (0.001%水溶液) ヘキサクロロロジウム(III)酸カリウム (表1の量) (0.001%水溶液) 38℃、pH4.5に保たれた1液に2液と3液を攪拌
しながら同時に10分間にわたって加え、0.16μm
の核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を10分間
にわたって加えた。さらにヨウ化カリウム0.15gを
加え粒子形成を終了した。 4液 水 400ml 硝酸銀 100g 5液 水 400ml 塩化ナトリウム 28.8g 臭化カリウム 17.5g ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム(0.1%水溶液) (表1の量) その後常法にしたがってフロキュレーション法によって
水洗し、ゼラチン30gを加えた。これを2等分し、p
Hを5.5、pAgを7.5に調整し、チオ硫酸ナトリ
ウム3.7mgと塩化金酸6.2mgを加え、65℃で
最適感度になるように化学増感した。一方の乳剤は、p
Hを5.3、pAgを7.5に調整し、チオ硫酸ナトリ
ウム2.6mgとトリイソプロピルホスフィンテルリド
1.3mg、ベンゼンチオスルホン酸ソーダを4mg、ベン
ゼンスルフィン酸ソーダを1mg添加して55℃で最適感
度になるように化学増感を施し、安定剤として、4−ヒ
ドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザ
インデン200mg、防腐剤としてフェノキシエタノール
を加えた。最終的に塩化銀を75モル%含む、平均粒子
径0.2μmのヨウ塩臭化銀立方体乳剤を得た。(変動
係数9%)
【0040】比較乳剤Bの調整 5液のヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム(0.1%水溶
液)の添加をやめ、3液にヘキサシアノ鉄(II)酸カリウ
ム(0.1%水溶液)を表1の量加えることにした以外
は乳剤Aと全く同様にして、最終的に塩化銀を75モル
%含む平均粒子径0.20μmのヨウ塩臭化銀立方体乳
剤を得た。 乳剤Cの調製 3液と5液の塩化ナトリウムと臭化カリウムをそれぞれ
11.6gと52.5gにした以外は乳剤Aと全く同様
にして、最終的に塩化銀を25モル%含む平均粒子径
0.19μmのヨウ塩臭化銀立方体乳剤を得た。
【0041】塗布試料の作成 乳剤A〜Eに増感色素のオルソ増感色素を5×10-4
モル/モルAg加えてオルソ増感を施した。さらにカブ
リ防止剤としてハイドロキノン、1−フェニル−5−メ
ルカプトテトラゾールをAg1モルあたりそれぞれ2.
5g、50mg、可塑剤としてポリエチルアクリレート
ラテックスをゼラチンバインダー比25%、硬膜剤とし
て2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタンを
加えて、ポリエステル支持体上にAg3.0g/m2、ゼ
ラチン0.5g/m2になるように塗布した。この上に、
下記組成の保護層下層及び保護層上層を塗布した。
【0042】 <保護層下層> ゼラチン 0.25g/m2 ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 4mg/m2 1,5−ジヒドロキシ−2−ベンズアルドキシム 25mg/m2 ポリエチルアクリレートラテックス 125mg/m2 <保護層上層> ゼラチン 0.25g/m2 平均サイズ3.4μmのマット剤 100mg/m2 化合物(ゼラチン分散物) 30mg/m2 化合物 5mg/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 22mg/m2 なお本実施例で使用したサンプルの支持体は下記組成の
バック層及びバック保護層を有する。 バック層 ゼラチン 2.0g/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 80mg/m2 化合物 70mg/m2 化合物 70mg/m2 化合物 90mg/m2 1,3−ジビニルスルホニル−2−プロパノール 60mg/m2 バック保護層 ゼラチン 0.5g/m2 ポリメチルメタクリレート(粒子サイズ4.7μm) 30mg/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 20mg/m2 化合物 2mg/m2 シリコーンオイル 100mg/m2
【0043】
【化18】
【0044】試料の評価 得られた試料を、488nmにピークをもつ干渉フィルタ
ーを介入し、発光時間10-5sec のキセノンフラッシュ
光で露光し、富士写真フイルム (株) 製自動現像機FG
−710NHを用いて下記に示した温度及び時間でセン
シトメトリーを行った。但し、現像液及び定着液はそれ
ぞれ富士写真フイルム (株) 製LD835とLF308
を用いた。 現像 38℃ 14秒 定着 37℃ 9.7秒 水洗 26℃ 9秒 スクイズ 2.4秒 乾燥 55℃ 8.3秒 合計 43.4秒 濃度3.0を与える露光量の逆数を感度とし、相対感度
で表1に示した。また、特性曲線で濃度0.1と3.0
の点を結ぶ直線の傾きを階調として同じく第1表に示し
た。
【0045】
【表1】
【0046】表1から明らかなように、ハロゲン化銀粒
子の30モル%以上が塩化銀でありかつ、ロジウム化合
物を含有し、かつ、該ハロゲン化銀粒子をテルル増感剤
で増感することにより、高感・硬調で、迅速処理適性を
持たせることができる。また、さらに鉄化合物を含有さ
せることにより、よりいっそうの高感化が達成できる。
【0047】実施例2 乳剤Dの調製 乳剤Aの3液のヘキサクロロロジウム(III) 酸カリウム
をヘキサブロモロジウム(III) 酸アンモニウムにかえ、
かつ、5液のヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムを表2に示
す化合物に変え、銀1モルに対して2×10-5モルにな
るように加えた以外は乳剤Aと全く同様にして、最終的
に塩化銀を75モル%含む平均粒子径0.20μmのヨ
ウ塩臭化銀立方体乳剤を得た。 塗布試料の作成 実施例1の増感色素を増感色素のパンクロ色素に変
え、銀1モルあたり100mg添加し、さらに、強色増感
及び安定化のために4,4’−ビス(4,6−ジナフト
キシ−ピリミジン−2−イルアミノ)−スチルベンジス
ルホン酸を銀1モルに対し300mg加えた以外は実施例
1と全く同様にして塗布試料を作成した。
【0048】
【化19】
【0049】試料の評価 実施例1の干渉フィルターを633nmにピークを持つ
干渉フィルターに変えた以外は実施例1と全く同様にし
て評価した。
【0050】
【表2】
【0051】表2からわかるように、ハロゲン化銀粒子
の30モル%以上が塩化銀からなり、かつ、ロジウム化
合物を含有し、かつ該ハロゲン化銀粒子をテルル増感剤
で増感したハロゲン化銀乳剤に、レニウム、ルテニウ
ム、オスミウム化合物を含有させても、鉄化合物を含有
させたときと同様に高感化が達成できる。
【0052】実施例3 ハロゲン組成 AgBr30Cl70 、塗布銀量3.6g/m2
フィルムを50%黒化露光後、下記組成の現像液A及び
定着液Aを用いFG710NH自動現像機で現像液、定
着液の補充量を180cc/m2 として600m2処理し、ラ
ンニング現像液(現像液B)及びランニング定着液(定
着液B)を作った。その後実施例1の試料番号1〜6の
試料を現像液A、定着液A及び現像液B、定着液Bを用
いて、実施例1と同様に処理し、写真性を評価した。
【0053】 (現像液A) g/リットル(使用液) 水酸化カリウム 24 亜硫酸カリウム 70 ジエチレントリアミン五酢酸 2.4 ホウ酸 10 ヒドロキノン 35 ジエチレングリコール 11.2 4−ヒドロキシメチル−4−メチル−1−フェニル −3−ピラゾリドン 2.5 5−メチルベンゾトリアゾール 0.06 pH 10.05 (定着液A) チオ硫酸アンモニウム 150g/リットル 化合物− 0.25モル/リットル 重亜硫酸ナトリウム 30g/リットル エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水塩 0.025g/リットル 水酸化ナトリウムでpHを6.0に調整
【0054】
【化20】
【0055】
【表3】
【0056】表3からわかるように、ハロゲン化銀粒子
の30モル%以上が塩化銀であり、かつ、ロジウム化合
物を含有し、かつ、該ハロゲン化銀粒子をテルル増感剤
で増感することにより、現像液、定着液の補充量が各々
200cc/m2以下の条件においても高感、硬調で、迅速
処理が達成できる。また、さらに鉄化合物を含有するこ
とにより、よりいっそうの高感化が達成できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03C 1/09 G03C 1/035 G03C 5/26

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に少なくとも1層の感光性ハロ
    ゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料にお
    いて、該ハロゲン化銀粒子の30モル%以上が塩化銀で
    あり、銀に対して10-6モル以下のロジウム化合物を含
    有し、かつ該ハロゲン化銀粒子がテルル増感剤で増感さ
    れたことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
  2. 【請求項2】 該ハロゲン化銀乳剤が10-3モル以下の
    鉄、レニウム、オスミウム、ルテニウムの少なくとも1
    種の化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の
    ハロゲン化銀写真感光材料。
  3. 【請求項3】 全処理時間が15秒〜60秒である自動
    現像機で処理することを特徴とする請求項1、2記載の
    ハロゲン化銀写真感光材料の現像処理方法。
  4. 【請求項4】 ラインスピードが1000mm/min
    以上の自動現像機を用いて処理することを特徴とする請
    求項1〜3のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感
    光材料の現像処理方法。
  5. 【請求項5】 現像液、定着液補充量が各々200cc
    /m以下である自動現像機を用いて処理することを特
    徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン
    化銀写真感光材料の現像処理方法。
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