JP3648825B2 - 加工性の良い継目無鋼管製造用連続鋳造丸鋳片の製造方 法 - Google Patents

加工性の良い継目無鋼管製造用連続鋳造丸鋳片の製造方 法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、継目無鋼管製造用素材として用いる、Cr含有の高合金鋼の丸鋳片を連続鋳造法で製造する方法に関するものであり、特に、センターポロシティ(以後、単にポロシティと記す。)および、凝固組織を消滅させて、内部品質を向上させることにより、マンネスマン穿孔時における疵の発生の少ない、加工性の良好な丸鋳片(本発明においては、丸鋳片に直径方向に加工を加えて偏平化した場合や、再び加工を加えて、真円断面とした場合の鋼片も丸鋳片と記す。したがって、丸鋳片には、その断面が真円でないものや加工を加えた鋼片も含まれるものとする。なお、丸鋳片をマンネスマン穿孔を行うために、所定の長さに切断したものを丸ビレットとする。)を連続鋳造法で製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
継目無鋼管の製造においては、連続鋳造法によるスラブやブルームを、分塊圧延を行って製造した、丸または角ビレットを用いるか、あるいは連続鋳造法により直接的(ビレットにする過程で再加熱を行わない。したがって、再加熱のための切断工程がない。)に製造した、丸または角ビレットを素材として用いることが一般的である。
【0003】
このビレットに対して、マンネスマン穿孔、プレス穿孔または押し出し穿孔等を行い中空の素管にし、その後に、エロンゲーター、プラグミル等の圧延機により延伸し、最終的にはサイザーやストレッチレデューサーにより、定径化する工程を与えて製品とする。
【0004】
一般的に、炭素鋼の様に連続鋳造が比較的容易であり、かつ、その鋳片の熱間加工性が良好なものは、鋳造ままのビレットを用いて穿孔を行うことにより、良好な内面性状の炭素鋼の素管が得られる。
【0005】
一方、Cr含有鋼等の、連続鋳造ままの場合には、軸芯部にポロシティや偏析が生じやすく熱間加工性の劣る鋼の、継目無鋼管の素管の製造においては、連続鋳造後に分塊圧延により大きな加工を与え、ポロシティや偏析を無くした圧延ビレットを用いることが一般的である。
【0006】
合金元素の含有量の多い鋼の熱間加工性が劣る主な原因は、溶鋼中のCrの含有量の増加に伴って、連続鋳造時に軸芯部偏析やポロシティの発生が、著しくなることによるとされている。
【0007】
連続鋳造鋳片においても、最終凝固段階においては鋳片の内部には空隙が発生する。一般的な炭素鋼の連続鋳造時においては、この空隙に溶鋼が容易に供給され、ポロシティは大きくは成長しない。これに対して、Crの含有量が多い鋼の場合は、溶鋼の粘度が高いためにそれが供給されにくく、ポロシティが発生しやすく、また大きく成長する。
【0008】
図8は、溶鋼中のCrの含有量と、溶鋼の粘度との関係を示した図である。溶鋼中のCr量が増加すると共に粘度が増大し、13%前後でピーク値を示している。なお、ポロシティの発生は、Cr量が0.5%以上になると顕著になることが知られている。
【0009】
この様な欠陥を内部に含む鋳造ままの鋳片を、継目無鋼管製造用の素材として用いると、製管工程の第一段階であるマンネスマン穿孔時において、圧縮力、剪断力、引張り力が複雑に作用する過酷な加工を受けるため、軸芯部のポロシティや偏析が起点となり、素管の内面に疵が発生する。その結果、不良品となるための歩留りの低下、疵の手入れによる能率の低下や製造コストの増加をきたしている。
【0010】
この様な事情にあるため、鋳造まま(熱間加工工程を経ずに)のビレットを用いてマンネスマン穿孔を行う場合は、疵の発生が懸念される難加工性材料と言われている材料はもちろん、Crを含有する鋼種の継目無鋼管の製造においても、内部品質を向上させるために再加熱し、圧延した素材よりなるビレットを用いることが不可欠とされてきた。
【0011】
すなわち、従来の製造方法はマンネスマン穿孔用の素材として、分塊圧延でポロシティを機械的に圧着させて、内部品質を改善した丸ビレットを用いることにより、製管時の疵の発生の問題を回避していた。
【0012】
1例をあげると、高Cr鋼の継目無鋼管用の素材の製造方法として、比較的大断面を持つ角形状のブルームを連続鋳造した後に、加熱・分塊圧延によって丸ビレットを製造する方法が、特開平7−136702号公報に示されている。
【0013】
しかしながら、この連続鋳造後に熱間加工を行う方法の場合は、まず加熱するために、鋳片を一定の長さに切断する必要がある。この切断した鋳片を圧延すると、圧延後の素材の端面が凹凸形状になる。この形状のままで穿孔すると内面疵の発生の原因となるため、切断、クロップの廃棄と言う工程が必要になり、もちろん歩留りも低下する。熱間加工を行うための加熱も製造コストの増大につながる。
【0014】
連続鋳造鋳片の内部品質を向上させるための技術も、これまでに相当数が開示されている。連続鋳造機の鋳型外に電磁攪拌装置を設置し、鋳型の中の溶鋼を攪拌する方法は広く実施されている。これは、鋳型内で溶鋼を電磁力で攪拌することにより、凝固核を生成させ、最終凝固部の鋳片の中心部分を等軸晶で満たし、ポロシティの発生を抑制すると言うものである。しかし、この技術のみではポロシティの発生を完全に防止することはできない。
【0015】
また、特開昭59−16862号公報に示されている様な、連続鋳造時に鋳片に圧下を加える、いわゆる、軽圧下技術も鋳片の内部品質を向上させる手段として知られている。この技術は、凝固末期の鋳片に凝固収縮分だけ、ロールで圧下を与えて、濃化溶鋼の流動を抑えて中心偏析を防止する技術である。
【0016】
この技術の実施例としては、たとえば、「材料とプロセス誌、第7巻、第1号、195頁、1994年発行」に示されている、SUS410鋼の丸ブルームの例がある。この例では内部が未凝固の状態で、二段で圧下するプロセスを適用しているが、圧下後の鋳片の軸芯部の密度は7.7g/cm3 である。この値はポロシティの無い場合の密度である7.8g/cm3 に対して99%以下であり、ポロシティを十分に圧着できていないと考えられる。(掲載されているミクロ写真にも軸芯部に若干のポロシティが認められる。)
この軽圧下プロセスを採用した場合の大きな問題点は、2つのロールによる圧下で引き起こされる鋳片形状の悪化と、圧下量が増加した場合に発生する可能性のある凝固界面近傍の割れである。
【0017】
単純に丸鋳片を1対の平ロールにより圧下すると、当然圧下部の断面形状は偏平化するが、偏平断面は製品の偏肉化につながる。ポロシティの圧着効果を高めために圧下量を増加させると、形状はさらに真円から遠ざかり、丸ビレットを転がせて搬送することも難しくなる。また、穿孔時の噛み込みが不安定になると言う重要な問題も生じる。穿孔時の割れの発生率も当然高くなる。
【0018】
これらの問題を解決するため、たとえば特開平7−108358号公報には、楕円形の断面のモールドを用い、楕円形の断面のビレットを製造し、楕円の長軸方向に圧下する技術が提案されている。この方法は圧下を行った後に、断面形状が真円に近いビレットを得られると言う点においては、上記の問題点を解決している。
【0019】
しかしながら、楕円形のモールドは真円のモールドに比較して、鋳造時の湯流れが不均一に成りやすく、それに起因する湯面の変動や、パウダーの巻き込みにより、新たな欠陥が発生しがちである。さらに、本来はこの形状の鋳型を必要としない鋼においても、鋳型を交換しない場合には、圧下を行うと言う不必要なプロセスが加わることになる。
【0020】
連続鋳造鋳片に対して大圧下を行い、鋳片の内部品質の向上を目的としたプロセスが「材料とプロセス誌、第7巻、第1号、179頁、1994」や、特開平63−183765号公報に開示されている。このプロセスは連続鋳造時に、一対の金型により大きな圧下をするものである。連続鋳造中に圧下を加えるため加熱が不要であり、またポロシティの圧下消滅の効果も大きいが、設備費が高いと言う欠点がある。
【0021】
なお、「鉄と鋼誌、第60巻、第7号、875頁、1974」には、インラインリダクション法として、同様の技術が示されているが、この方法は矩形断面の鋳片を対象とした技術であり、本発明が目指すところの、Cr等の合金元素の含有量が多い鋼の丸鋳片に適用するには問題が多い。
【0022】
以上に述べた様な事情により、マンネスマン穿孔に用いる丸ビレットの内部品質を向上させるための方法は、連続鋳造時に塑性変形を与える様な、大きな圧下を行う方法を採用するか、従来の方法である加熱−分塊圧延工程を採用するかの二者に絞られるが、前者は設備費が、後者は運転費が高いと言う欠点を持っている。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
以上に述べた様に、Cr等の合金元素の含有量の多い鋼の、継目無鋼管を製造するためのマンネスマン穿孔時に、内面疵の発生のない、または少ない丸ビレットを得るために、連続鋳造丸鋳片中のポロシティや凝固組織を消滅させて、丸鋳片の内部品質を向上させるための従来の技術は、いずれも技術的、または経済的に種々の問題点を内包している。
【0024】
したがって、鋳造ままの丸鋳片を用いて、再加熱工程を経ることなく丸ビレットとし、マンネスマン穿孔法により継目無鋼管の素管を製造した場合も、内面傷の発生の少ない連続鋳造法による丸鋳片の、簡便かつ経済的な製造方法が求められていた。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明は連続鋳造丸鋳片のポロシティおよび凝固組織を、比較的簡単かつ経済的な方法により効果的に消滅させ、その内部品質を向上させ、マンネスマン穿孔時に内面疵の発生が少ない加工性の良好な連続鋳造丸鋳片(以後、単に鋳片と記す。したがって、以後の記述はすべて連続鋳造丸鋳片を対象としている。)を得ることを目的としている。
【0026】
第1発明は、以下に示す工程を以下に示す順序で備えている、加工性の良い鋳片の製造方法である。
【0027】
イ)Crを0.5%以上含有する鋼の、外径170〜340mmφの丸鋳片を連続鋳造法により製造する工程。
【0028】
ロ)前記丸鋳片が凝固完了後に、フラットロール、フラットオーバル孔型を有するロール、または、オーバル孔型を有するロールにより圧下を加える工程。
【0029】
ハ)前記圧下を加えた丸鋳片に、ラウンド孔型を有するロールにより、最大径の方向に圧下を加え、縮径した丸鋳片とする工程。
【0030】
ニ)前記縮径した丸鋳片に、さらに、フラットロール、フラットオーバル孔型を有するロール、または、オーバル孔型を有するロールにより圧下を加える工程。
【0031】
ホ)前記圧下を加えた丸鋳片に、ラウンド孔型を有するロールにより、最大径の方向に圧下を加え、再び縮径した丸鋳片とする工程。
【0032】
また、第2発明は、第1発明において上記ニ)および、ホ)の工程を繰り返す加工性の良い鋳片の製造方法である。
【0033】
本発明は、Crを0.5%以上含有する鋼の、外径170〜340mmφの鋳片を対象としている。Cr量が0.5%未満の鋼の場合は、その溶鋼の粘度が低いためポロシティが発生しにくい。また、偏析も小さいため本発明の方法を用いることの効果は少ない。
【0034】
本発明にかかる鋳片の製造方法は、従来より行われてきた、鋳片を再加熱して熱間加工することなくビレットとし、それを用いてマンネスマン穿孔法により、継目無鋼管の素管を製造していた、すべての0.5%以上のCrを含有する鋼種に適用可能である。
【0035】
また、従来は鋳片を再加熱−圧延してビレットとし、マンネスマン穿孔を行っていたCr含有鋼種にも、適用可能なことは言うまでもなく、むしろ、これらの鋼種の継目無鋼管を製造する場合において、本発明の効果は著しい。
【0036】
本発明の特徴は、図1に示す様に鋳片の凝固完了以降(したがってピンチロール3以降に)に、2スタンドからなるミル(第1ミル)7を、複数個有する連続圧延機4を設置して凝固後の鋳片を圧下するものである。(本発明においては、圧延設備の総称を連続圧延機とする。また、1対のロールよりなる圧延装置をスタンドと、2つのスタンドを合わせてミルと仮称する。)
ミル(第1ミル)7は、ROスタンド(第1ROスタンド、ラウンドオーバル孔型を有するロールを持つスタンド等)5と、ORスタンド(第1ORスタンド、オーバルラウンド孔型を有するロールを持つスタンド)6の2つのスタンドからなり、この2つのスタンドをユニバーサル式(2組のロールのロール軸が互いに垂直)に配置している。
【0037】
ROスタンドは鋳片に圧下を加えて偏平化するスタンドであり、ORスタンドは偏平化した鋳片を、縮径し再び真円にするスタンドである。なお、図中の52は第2番目のROスタンド(3番目のスタンド)、62は第2番目のORスタンド(4番目のスタンド)、72は第2番目のミルであり、5nは第n番目のROスタンド{(2n−1)番目のスタンド}、6nは第n番目のORスタンド(2n番目のスタンド)、7nは第n番目のミルである。
【0038】
なお、本発明の実施においては、原則として溶鋼に対して鋳型1の中で電磁攪拌処理(必須ではない)を行うこととする。この電磁攪拌処理は従来の装置を用い、従来と同様の方法により行う。
【0039】
鋳片にまず圧下を加える第1番目のROスタンド(第1番目のスタンド)に組み込むロールの形状は、1)フラットロール、2)フラットオーバル孔型を有するロール、あるいは、3)オーバル孔型ロールを有するロールとする。
【0040】
これらのロールにより鋳片を圧下し、真円断面に鋳造された鋳片の断面形状を偏平化する。図2にフラットロール、図3にフラットオーバル孔型を有するロール、図4にオーバル孔型ロールを有するロール、および、それらにより圧下された鋳片断面の概略図を示す。
【0041】
ついで、ラウンド形状の孔型ロールを持つ、第1番目のORスタンド(第2番目のスタンド)において、断面がROスタンドの圧下により変形して、真円から外れた鋳片に対して、最大径の方向に圧下を加え、縮径して再度、真円断面の鋳片とする。図5にロールおよび、それにより圧下された鋳片断面の概略図を示す。
【0042】
ROスタンドに、フラットオーバルやオーバルの孔型を有するロールを用いる場合は、圧下が鋳片の中心に向ってかかるため、鋳片の軸芯部において圧縮応力場が形成されやすくなり、内部品質の向上が可能となる。この効果は、ラウンドの孔型を有するロールのORスタンドによる圧下により、更に大きくなる。
【0043】
また、ROスタンドにフラットロールを用いる場合も、次いでラウンド孔型のロールのORスタンドで圧下を行うため、フラットロールにより圧延時に微細な欠陥が発生しても、圧着されて同様に優れた内質を持つ鋳片が得られる。
【0044】
ついで、第1番目のスタンド(第1番目のROスタンド)と同様に、1)フラットロール、2)フラットオーバル孔型を有するロール、あるいは、3)オーバル孔型ロールを有するロールを持つ、第3番目のスタンド(第2番目のROスタンド)により、第2番目のスタンド(第1番目のORスタンド)で真円断面となった鋳片に、再び圧下を加えて円を押しつぶした形状に再加工(偏平化)し、ついで、第2番目のスタンドと同様に、ラウンド形状の孔型ロールを持つ第4番目のスタンド(第2番目のORスタンド)により縮径して再度、真円断面の鋳片とする。(真円化)
この、偏平化−真円化の工程を複数回繰り返すことにより、鋳片の内質が改善されるが、特に、複数回繰り返すことにより、
1)1回の圧下量を少なくすることが可能である。これは、個々のミルの剛性や、圧下力や圧延動力を小さくすることが可能なことを意味し、設備費の低減になる。
【0045】
2)1回の圧下量を少なくでき、また、縮径工程が1回毎に入るため、鋳片の内部に割れが発生しにくい。また、発生した割れが成長しにくい。さらに、発生した割れを鍛着させることもできるため、効果的に鋳片の内質を改善することができる。
【0046】
3)圧下工程を繰り返すことにより、大きな径の鋳片より種々の径のビレットを製造することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
図1に示した様に、鋳型1に注入された溶鋼は鋳片2になる。鋳片は図示した様に、凝固しつつある状態で垂直方向から曲げられ、水平方向に移行する。鋳片の移動速度(引抜き速度)はピンチロール3により一定速度に制御される。
【0048】
なお、図1においては、鋳片が水平方向に移動中に連続圧延を行っているが、もちろん、これに限定されるものではない。鋳片を垂直または斜め方向に移動中に圧下をかけることも可能である。当然、複数のミルを、おのおの、垂直、斜め方向、水平方向に鋳片が移動する位置に配置しても良い。
【0049】
従来の連続鋳造方法の場合は、鋳片を連続鋳造後にそのままカッターにより切断して丸ビレットにするか、先に述べた様にピンチロールにより、その効果が必ずしも十分でない圧下を加えた後に、切断して丸ビレットとするか、または、大きな設備投資を必要とする連続鍛圧機により、圧下した後に切断して丸ビレットとしていた。
【0050】
ROスタンドの標準的な減面率(Ar)は4〜25%、ORスタンドのそれは4〜20%であり、1つのミルにより、8〜40%程度の減面率の圧下を掛けることが可能である。この1つのミルの減面率は以下に示す(1)式で表すものとする。
【0051】
減面率(Ar)={(ROスタンド圧延前の鋳片径)2 −(ORスタンド圧延後の鋳片径)2 }/(ROスタンド圧延前の鋳片径)2 ・・・・・・・(1)
本発明においては、マンネスマン穿孔時において、疵の発生を大きく減少させる減面率として、有効減面率(Are)と言う概念を用いるが、以下にそれについて説明する。
【0052】
有効減面率は、この限界値以上の圧下を複数回繰り返すことにより、疵の発生率をさらに大きく低下させることが可能な減面率でもある。すなわち、有効減面率以下の圧下の複数回の繰り返しは、有効減面率以上の圧下の繰り返しに比較して、疵の発生を抑える効果は小さい。
【0053】
一般的に、マンネスマン穿孔後の素管の内面の疵の発生率が、10%以下の場合は疵の手入れは必要であるが、問題なく製品とすることができる。もちろん10%以下の場合も生産能率は若干低下し、また製造コストも若干は増大する。この疵の発生率を10%以下にするための減面率が、上記の有効減面率とほぼ等しいことを実験的に確認した。
【0054】
これは、10%以下の疵の発生率とするためには、かなりの内質の改善が必要であり、この程度の改善が行われて、始めて圧延の累積効果が大きく出てくるためと考えられる。なお、疵の発生率が10%を越える場合は、生産能率は低下し製造コストも増大する。従って製品化は相当に困難となる。
【0055】
本発明における疵の発生率は、疵の発生した鋼管の本数割合である。マンネスマン穿孔時の管の内面の疵の発生率が3%以下の場合は、疵手入れのための生産能率の低下はほとんど問題とならない。この状態は、ポロシティや鋳造組織をほぼ完全に消滅させることと対応しているため、内面疵の発生も抑えられると考えられる。
【0056】
有効減面率は、ミルによる圧下が繰り返されるにしたがって、低下する。即ち、第1ミルにおいては、例えば、10%であった場合も、第2ミル以降においてはその8%程度に低下する。
【0057】
本発明においては。1〜n(nは2以上の整数)のミルにより圧下を行うが、それらのミルにおける減面率(Ar1〜Arn)の内、少なくとも、任意の2つ以上のミルの減面率が、そのミルにおける有効減面率(Are1〜Aren)以上であることが望ましい。すなわち、
第1ミルの減面率(Ar1)≧第1ミルの有効減面率(Are1)
第2ミルの減面率(Ar2)≧第2ミルの有効減面率(Are2)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第nミルの減面率(Arn)≧第nミルの有効減面率(Aren)
の関係を満足する圧下が、2つ以上のミルで行われていることが望ましい。
【0058】
有効減面率は、また鋼中のCr量と、そのミルにおける圧延前の鋳片の径の関数であるが、Cr量が0.5〜15%、鋳片の径が170〜340mmφの範囲の場合においては大きくは変動しない。
【0059】
【実施例】
図6にCrを13%含有する鋼のマンネスマン穿孔用の170mmφビレットを製造する場合(当然、鋳片の径は異なる)の減面率と、マンネスマン穿孔後の素管の内面の疵の発生率との関係を示す。この図に示した例は圧下を2つのスタンド、1つのミルで行っており、本発明の比較例にあたる。
【0060】
疵の発生率が10%以下になる減面率は10%である。したがって、この場合の有効減面率は10%としてよい。減面率が20%の場合の疵の発生率は約5%である。また、実質的に疵の手入れが不要となる減面率は30%であることがわかる。ただし、減面率が30%の圧下を1つのミル(2つのスタンド)で加えるためには、ミルの剛性を高くする必要があり、また大きな動力を必要とする。なお、疵の発生率が10%以下になる有効減面率は10%であるが、Cr量が0.5〜15%の鋼で、鋳片の径が170〜340mmφの場合も大差はない。
【0061】
図7も図6と同じ成分の鋳片を用いてビレットとし、素官を製造した場合の疵の発生の状態を表したものである。”0”は圧下を行っていない場合であり、”1”は減面率が10%の圧下を1回行った場合である。この”0”および”1”は比較例である。圧下を行わない場合の疵の発生率は100%である。
【0062】
”2”は、第1ミルの減面率を10%、第2ミルの減面率を9.8%、とした場合の疵の発生率を示している。2つのミルによる圧下(合計の減面率は19%)により、疵の発生率は3%に低下しており、図6における1つのミルによる20%の圧下に比較して、内部品質を改善する効果が大きいことがわかる。
【0063】
”3”は、第1ミルの減面率を10%、第2ミルの減面率を9.8%、第3ミルの減面率を9.6%とした場合の疵の発生率を示している。(合計の減面率は27%)この場合は、疵が発生していないことがわかる。
【0064】
【発明の効果】
以上に示した様な圧下を加えることにより、鋳片のポロシティや凝固組織を十分に消滅させることができる。本発明の圧延方法は、そのロールの形状からも明らかな様に、圧延時に鋳片に加える歪みが、他の方法に比較して均一であると言う特徴がある。また。鋳片の内部にマンネスマン穿孔の際に、割れの発生の原因となる内部欠陥や変形を、生じさせないと言う長所も有している。
【0065】
本発明の完成により、Cr含有鋼の連続鋳造鋳片を、従来は必須であった切断・再加熱による熱間圧延を行うことなくビレットとする、鋳造工程−製管工程の一貫プロセス(ビレットの直鋳造化)による継目無鋼管の製造が可能となった。特に、丸ビレットの内質を大きく改善することが可能となったことによる、付加価値の高い高合金鋼管の、内面疵の少ない低コストかつ高能率の製造が、従来の装置を大きく改造することなく、可能となったことの意義は大きい。
【0066】
もちろん、炭素鋼鋼管の製造においても、品質の向上や疵取り工程の大幅省略による製造能率の向上の効果が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための連続鋳造装置(連続圧延機を含む)の概略図である。
【図2】本発明を実施するための奇数番スタンド(ROスタンド)に使用するフラットロールによる、鋳片の圧下の状態を示す概略図である。
【図3】本発明を実施するための奇数番スタンド(ROスタンド)に使用するフラットオーバル孔型を有するロールによる、鋳片の圧下の状態を示す概略図である。
【図4】本発明を実施するための奇数番スタンド(ROスタンド)に使用するオーバル孔型を有するロールによる、鋳片の圧下の状態を示す概略図である。
【図5】本発明を実施するための偶数番スタンド(ORスタンド)に使用するラウンド孔型を有するロールによる、鋳片の圧下の状態を示す概略図である。
【図6】減面率と疵の発生率の関係を示す図である。
【図7】本発明の実施例および比較例を比較して示す図である。
【図8】Cr含有量と溶鋼の粘性の関係を示す図である。
【符号の説明】
1・・・・・ 連続鋳造機の鋳型
2・・・・・ 鋳片
3・・・・・ ピンチロール
4・・・・・ 連続圧延機
5・・・・・ ROスタンド(1番目のROスタンド)
52・・・・ 2番目のROスタンド
5n・・・・ n番目のROスタンド
511・・・ フラットロール
512・・・ フラットオーバル孔型を有するロール
513・・・ オーバル孔型を有するロール
6・・・・・ ORスタンド(1番目のORスタンド)
62・・・・ 2番目のORスタンド
6n・・・・ n番目のORスタンド
611・・・ ラウンド孔型を有するロール
7・・・・・ ミル(1番目のミル)
72・・・・ 2番目のミル
7n・・・・ n番目のミル

Claims (2)

  1. 以下に示す工程を、以下に示す順序で備えていることを特徴とする、加工性の良い継目無鋼管製造用連続鋳造丸鋳片の製造方法。
    イ)Crを0.5%以上含有する鋼の、外径170〜340mmφの丸鋳片を連続鋳造法により製造する工程。
    ロ)前記丸鋳片が凝固完了後に、フラットロール、フラットオーバル孔型を有するロール、または、オーバル孔型を有するロールにより圧下を加える工程。
    ハ)前記圧下を加えた丸鋳片に、ラウンド孔型を有するロールにより、最大径の方向に圧下を加え、縮径した丸鋳片とする工程。
    ニ)前記縮径した丸鋳片に、さらに、フラットロール、フラットオーバル孔型を有するロール、または、オーバル孔型を有するロールにより圧下を加える工程。
    ホ)前記圧下を加えた丸鋳片に、ラウンド孔型を有するロールにより、最大径の方向に圧下を加え、再び縮径した丸鋳片とする工程。
  2. 請求項1において、上記ニ)および、ホ)の工程を繰り返すことを特徴とする、加工性の良い継目無鋼管製造用連続鋳造丸鋳片の製造方法。
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