JP3139402B2 - 鋳片の未凝固圧下方法 - Google Patents

鋳片の未凝固圧下方法

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JP3139402B2
JP3139402B2 JP09002593A JP259397A JP3139402B2 JP 3139402 B2 JP3139402 B2 JP 3139402B2 JP 09002593 A JP09002593 A JP 09002593A JP 259397 A JP259397 A JP 259397A JP 3139402 B2 JP3139402 B2 JP 3139402B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は継目無し鋼管や条鋼
用の素材(ビレット)としての鋳片の連続鋳造方法に関
するもので、中心部の偏析や空隙(以下、中心部の空隙
をセンターポロシティまたは単にポロシティという)の
少ない鋳片を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】継目無し鋼管や条鋼の素材のビレット
(形状は丸形のほか正方形、多角形がある)の製造方法
は従来のインゴット法にかわって、連続鋳造化が進めら
れてきた。しかし、高炭素鋼、高合金鋼、またはCr含
有率の高い鋼種、特にステンレス鋼においては、直接丸
形状や多角形状、一般的には軸対称形状およびそれらに
近い偏平形状に鋳造すると、連続鋳造特有の中心部に線
条に現れる中心偏析や、センターポロシティの問題があ
った。これらの欠陥は、製品の腐食や破壊の起点になっ
たり、継ぎ目無し鋼管の内面疵になるおそれがある。
【0003】このような鋼種では、連続鋳造工程で一旦
矩形断面の素材(ブルーム)を鋳造後、分塊圧延によっ
て中心偏析・ポロシティを軽減してから、丸ビレットを
製造していた。しかし、分塊圧延工程の加熱および圧延
のコストアップや、端部の切捨てによる歩留り低下の問
題があり、工程管理面では製造期間の長期化が問題であ
った。さらに、一般の鋼種が次工程の素材形状そのまま
で連続鋳造できるようになるにつれて、分塊工程の稼働
率が著しく低下してきた。その結果、分塊工程を閉鎖し
て合理化しようとすると、前記の鋼種があるために、分
塊工程を閉鎖できないという問題があった。
【0004】中心偏析およびポロシティの対策として、
未凝固段階で鋳片を圧下する技術はスラブまたはブルー
ムの連続鋳造では種々開示され、あるいは実施されてい
る。スラブ未凝固圧下では、スラブ上下面はロールと全
面接触するので、両端凝固部は圧下され、未凝固部シェ
ルは圧下されず、不純物濃化溶鋼が後方に絞り出され
る。このとき、上下凝固界面での幅方向引張り応力はな
く、内部割れは発生しにくい。
【0005】ブルームの未凝固圧下では、例えば特開平
6−262325号公報では、図1に示すように、ブル
ームの中央部を狭幅のロールで圧下して、中心部ポロシ
ティを圧着する技術が開示されている。この技術では未
凝固部のみを上下から挟圧することにより、不純物濃化
溶鋼を後方に絞り出すことができる。未凝固部をロール
の水平部分で圧下するので、上下凝固界面での幅方向引
張り応力も作用しないため、内部割れは発生しにくい。
【0006】しかし、丸鋳片のような軸対称、またはそ
れに近い形状の鋳片を平ロールで圧下すると、図2に示
すように、上下の凝固シェルには曲げモーメントが働
き、凝固界面に引張り応力が作用し、星状の内部割れ6
が発生する。
【0007】丸鋳片もしくは多角形鋳片の中心偏析の対
策として、特開昭63−215353号公報では、鋳片
の未凝固段階で平ロールまたは孔型ロールを持つ水平ミ
ルと垂直ミルとで圧下する技術が開示されている。しか
し、その圧下条件、例えば固相率や圧下率は全く規定さ
れておらず、従来の常識を述べているにすぎない。
【0008】他の中心偏析の対策として、特開平7−8
0615号公報では、固相率90〜98%の所で大径ロール
を用いて2 〜5 %の圧下率で1回圧下する方法が開示さ
れている。この方法では内部割れを避けるため、5 %以
上の圧下を避け、かつ凝固がかなり進んだ段階で圧下す
るものとしている。不純物濃化溶鋼を排除し、ポロシテ
ィを圧着する狙いからすると不十分である。
【0009】丸鋳片の未凝固圧下の凝固界面割れを防止
するためには、凝固界面での幅方向応力を圧縮応力とす
ればよい。そのためには、3方向、あるいは十字形方向
から同時に圧下すれば、円周方向の凝固部各点で圧縮応
力となり、割れを防止できる。しかし、同時に長手方向
にも延伸するため、鋳片断面形状はほぼ相似的に変形
し、未凝固部は縮径するとともに長手方向に延伸するた
め、不純物濃化溶鋼を絞り出すことは困難である。従っ
て、中心偏析の改善はできず、ポロシティの圧着もでき
ない。
【0010】このように、丸鋳片の未凝固圧下において
は矩形鋳片では問題にならない中心偏析と、内部割れの
二律背反の問題がある。そのため、高炭素鋼、高合金
鋼、またはCr含有率の高い鋼種やステンレス鋼などに
おいては、依然として連続鋳造ブルームを更に分塊圧延
してビレットを製造している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は丸鋳片
等の軸対称鋳片を未凝固圧下する際、内部の凝固界面割
れを発生させず、かつ未凝固溶鋼を絞り出して、中心偏
析とセンターポロシティをなくす方法を提供することで
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の(1)項
から()項までの鋳片の未凝固圧下方法を要旨とす
る。
【0013】(1)連続鋳造した鋳片の固相率が0.2
〜0.8の時に、孔型を有するロール1対を備えた少な
くとも1つの圧延装置で、15%以上の圧下率で圧延す
る方法であって、ロールの孔型深さは圧下前鋳片の圧下
方向の径の30%〜40%で、孔型幅は圧下前鋳片の幅
方向の径の1〜1.1倍である孔型ロールを用いること
を特徴とする鋳片の未凝固圧下方法。
【0014】ここで、固相率とは、鋳片中心部の固液混
合状態での凝固量率である。鋳片成分、鋳込み速度、2
次冷却ゾーンにおける冷却パターンから、オフラインま
たはオンラインでの伝熱凝固計算モデルから温度を求
め、状態図から決まる固相、液相の比によって決められ
る。
【0015】また、圧下率とは、圧下量(すなわち圧下
前鋳片直径−圧下後鋳片直径)と圧下前鋳片直径との比
(百分率)である。
【0016】(2)連続鋳造した鋳片の固相率が0.2
〜0.8の時に、軸心を互いに直角に配置した2対のロ
ールを備えた少なくとも1つの圧延装置で、1対のロー
ルにあっては15%以上の圧下率を加えて、未凝固圧下
する方法であって、圧下時の幅広がり率が0〜10%に
なるように、2対のうちの1対のロール開度を与えるこ
とを特徴とする鋳片の未凝固圧下方法。
【0017】ここで、軸心を互いに直角に配置すると言
うことは、パスライン前方または後方から見て、2対の
ロール軸心が直角に配置されていることをいい、パスラ
イン前後方向に同位置、または若干ずれている場合も含
む。いずれも両対の圧下が相互に影響を及ぼす程度に近
接している場合を言う。
【0018】また、幅広がりとは図2の符号7で示すよ
うに、鋳片断面の圧下方向に対して直角の径方向(以
下、この方向を幅方向と言う)に鋳片が増大変形するこ
とを言う。また、幅広がり量7は元の鋳片の幅と圧下後
の鋳片の幅の差であり、幅広がり率は幅広がり量と圧下
前鋳片の幅の比(百分率)である。
【0019】(3)連続鋳造した鋳片の固相率が0.2
〜0.8の時に、軸心を互いに直角に配置した2対のロ
ールを備えた少なくとも1つの圧延装置で、1対のロー
ルにあっては15%以上の圧下率を加えて、未凝固圧下
する方法であって、2対のロールのうち一対のロールの
圧下率を他対のロールの圧下率より大きくとり、かつ圧
下率の大きい方のロール対と鋳片とで形成する接触弧面
と、圧下率の小さい方のロール対の軸心を通る平面とが
交差するよう配置して圧延することを特徴とする鋳片の
未凝固圧下方法。
【0020】(4)圧下時の幅広がり率が0〜10%に
なるように、2対のうちの1対のロール開度を与えるこ
とを特徴とする前記(3)項に記載の鋳片の未凝固圧下
方法。
【0021】図9で2対のロールの位置関係を説明す
る。圧下率の大きなロール対4に対して、圧下率の小さ
いロール対5はオフセット8の距離だけ入側にずらせて
いる。同図(b)の符号11aで示す斜線範囲がロール
4と鋳片1の接触弧面である。同図(a)での接触弧長
11bはパスライン中央での断面で示されている。本項
はロール5の軸心を結ぶ線が接触弧11bの間にあるこ
とを言う。
【0022】(5)未凝固圧下の後、1つ以上の圧下装
置を用いて凝固後の鋳片の断面形状を製品に適合した形
状に圧延することを特徴とする前記(1)項から(4)
項までのいずれか1項に記載の鋳片の未凝固圧下方法。
【0023】なお、本発明の説明では、通常の圧延機の
構成に準じ、未凝固圧下を行うロールをHロール(ホリ
ゾンタルすなわち「水平」の意味)、幅方向の圧下また
は幅の拘束を行うロールをVロール(バーチカルすなわ
ち「竪」あるいは「垂直」の意味)とも言う。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の鋳片の未凝固圧下
方法について説明する。
【0025】まず、比較例として、1対の平ロール(ロ
ール径φ600 mm)で丸鋳片(φ225mm)を圧下する場合
について、有限要素法(以下、FEMと言う)でシミュ
レーションを行った。図3はFEM解析による凝固界面
における応力分布を表す。鋳片径φ225 mm、鋼種は0.2%
炭素鋼、固相率は0.2 とした。圧下率は5.0%、および2
0.0% の2ケースである。同図(a) は幅方向応力分布、
同図(b) は長手方向の応力分布を示す。
【0026】同図(a) からわかるように、5.0%程度の軽
圧下でも幅方向に引っ張り応力の領域があり、割れが発
生する可能性があることを示している。
【0027】次に未凝固圧下の圧延装置を図5のような
孔型を持つ2対ロール(4ロール)の構成としてFEM
シミュレーションを行った。Hロール径(溝底径)はφ
600mm、Hロールの孔型カーブの曲率半径はR225 mmで
ある。Vロール径はφ500 mm、Vロール孔型曲率半径は
R337 mmとした。VロールはHロールに対して、軸心を
10mm入側にずらせている(オフセットとも言う)。
【0028】図4に4ロール圧延機による未凝固圧下で
の凝固界面の内部応力シミュレーション結果を示す。鋳
片の鋼種は0.2%炭素鋼、固相率は0.2 である。圧下率は
5.0%、20.0% の2つのケースについて計算した。Vロー
ル開度は鋳片径と同じ、すなわち幅広がり0%とした。同
図(a) は幅方向応力を示し、同図(b) は長手方向応力を
示す。
【0029】同図(a) からわかるように、圧下率が5%の
場合、Hロールの噛み込み位置で引っ張り応力、その前
後で圧縮応力が発生している。圧下率が20.0% の場合、
幅方向応力は圧縮側に保たれている。同図(b) からわか
るように、圧下率5.0%、20.0% のいずれの場合も、圧下
領域では引っ張り応力は発生しない。
【0030】図6は4ロールタイプでのHロール圧下率
に対して、幅方向応力が変化する様子を表したものであ
る。Vロール開度は鋳片径と同じ、すなわち幅広がりゼ
ロとした。同図からHロール圧下率が15% 以上なら、凝
固界面の幅方向の応力は圧縮応力状態が保たれ、割れ発
生が抑制されることがわかる。つまり、Vロールで幅広
がりを拘束すれば、圧下が大きくても割れが抑制される
ことがわかった。
【0031】図7は前記の4ロール構成で、固相率をパ
ラメータとした場合のFEM解析結果であり、割れの発
生限界を示したものである。同図(a) は0.2%炭素鋼、同
図(b) は9%Cr鋼の場合を表す。ある固相率において、曲
線より上の領域のHロール圧下率と幅広がり率(または
圧下率)で圧下すれば内部割れが発生しない。曲線より
下の領域、すなわち幅方向拘束が小さい領域では割れが
発生する。例えば、同図(a) の低炭鋼の例では、固相率
0.8 の鋳片を15% 圧下する場合、幅方向を無拘束、自由
幅広がりにすれば20% の幅広がりとなり(A点)、内部
割れが発生する。幅方向を拘束し幅広がり0%(B点)、
または元の鋳片幅に対して圧下をかければ(C点)、内
部割れは発生しない。
【0032】図7(a) において、固相率が0.2 〜0.8 ま
での間で割れ限界曲線にさほど大きな差がない理由は、
凝固シェルが薄いときは凝固界面側の引っ張り方向応力
が小さく、凝固シェルが厚いときは、鋳片が塑性変形
し、凝固界面への応力集中が緩和されるためである。
【0033】次に圧下による未凝固溶鋼の絞り出し効果
についてのべる。図8は圧下後の凝固相の量と全体との
比(以下、絞出し比と言う)を水平ロール、垂直ロール
の圧下率についてプロットしたものである。同図(a) 、
(b) 、(c) それぞれ固相率0.8 、0.5 、0.2 の場合であ
る。例えば図8(a) では固相率0.8 の場合、Hロール圧
下率を15% 、Vロールの幅広がり率を-5% (Vロール圧
下率5%)とすると(A点)、絞出し比は0.93となる。す
なわち、Hロール圧下に対してVロールでも圧下すると
鋳片が延伸して、かえってセンターポロシティ圧着が困
難になり、偏析溶鋼排出ができなくなる。Vロール幅広
がり率が0%で、水平ロール圧下を15% 以上(B点)とす
れば絞出し比は1、すなわち絞り出しが完全に行われる
ことを示している。
【0034】また、図8(a) と図8(c) とを比較する
と、固相率が小さいほど、Hロールで大きく圧下しない
と絞り出しが困難になる、すなわち偏析とポロシティの
解消は困難になる。
【0035】図8(a) 〜(c) より、溶鋼を絞り出すため
に、幅広がり0%以上の条件では、Hロールの圧下率を15
% 以上とすることが必要であることがわかる。
【0036】以上に述べたことから、内部割れを防止
し、かつ偏析とセンターポロシティを解消する条件とし
て、固相率は不純物濃化溶鋼の流動可能な0.8 以下で
あること、凝固シェルが破壊しないためには固相率0.
2 以上であること、濃化溶鋼の絞り出しのためHロー
ル圧下率は15% 以上であること、凝固界面の割れを防
止するためVロール幅広がり率を0 〜10% とすること、
の諸条件が導き出せる。
【0037】なお、4ロール方式ではHロールの圧下率
の上限は図8(c) の固相率0.2 、幅広がり0%の場合に示
すように、50% 程度である。
【0038】図9はHロールとVロールの軸心間の位置
関係を示したものである。オフセット8をゼロ、すなわ
ちHロール軸心とVロール軸心とを同じ面内(長手方向
の同位置)に配置した場合、鋳片は噛み込み位置から一
旦幅広がりとなり、その後Vロールで圧下されることに
なる。この幅広がりの段階で内部割れが発生する恐れが
ある。
【0039】逆にVロールが入側にオフセットし過ぎる
と、必要な幅方向拘束ができない。したがって、Vロー
ル軸心は水平ロールの噛み込み点から噛み放し点、すな
わちHロール軸心までの間にあればよい。孔型中央断面
での接触弧で見た場合、オフセット量8は接触弧長の0.
2 〜0.9 倍の距離とするのが望ましい。
【0040】水平ロールの孔型の曲率半径は大きいほど
(平ロールに近いほど)、絞り出し効果が大きい。一
方、孔型曲率半径が鋳片半径Rに近いほどロールと圧延
材とは孔型の広い範囲で接触し、凝固シェルの曲げモー
メントが小さくなるため、内部割れ抑制には有利にな
る。従って、孔型曲率半径は鋳片半径の1.5 〜4.0 倍の
範囲が望ましい。
【0041】Vロール孔型の曲率半径は小さいほど鋳片
の幅側面に全面で接触するため、幅方向拘束には有利で
あるが、Vロールエッジ部が鋳片に食い込むおそれがあ
る。従って、Vロール孔型の曲率半径は鋳片半径の2 〜
5 倍が望ましい。
【0042】次に1対のロール(2ロール)で未凝固圧
下する場合について述べる。前述のように、1対のフラ
ットロールによる圧下では内部割れが発生し、4ロール
構成で、Vロールで幅広がりを拘束すれば内部割れを防
止できることがわかった。そこで、孔型のある2ロール
で幅方向の拘束をすれば、同様に内面割れを防止できる
ものと考え、孔型ロールでの検討をした。
【0043】図11に2ロールタイプのロール孔型の図
を示す。同図(a) は本発明のロール同図(b) は比較例の
ロールの孔型例である。同図(a) 本発明例の孔型底部の
曲率半径r は入側鋳片の半径の3倍(R337mm )、孔型
の幅d1は鋳片直径d0の1.10倍とし、孔型深さh は鋳片直
径の35% とした。同図(b) 比較例の孔型底部の曲率半径
r は入側鋳片の直径の3倍(R337mm )、孔型の幅d1
鋳片直径d0の1.20倍、孔型深さh は鋳片直径の25% であ
る。
【0044】図12は図11の孔型ロールで圧下した場
合の凝固界面の応力をFEMシミュレーションしたもの
である。同図(a) は幅方向、同図(b) は長手方向の応力
をFEMシミュレーションしたものである。鋳片の鋼種
は0.2%炭素鋼、固相率0.2 である。圧下率は比較例と本
発明例とも20% について計算した。
【0045】同図(b) に示すように、長手方向にはいず
れの場合も引っ張り応力はないが、同図(a) に示すよう
に、比較例においては噛込み位置後に引っ張り応力が発
生している。
【0046】図13は2ロールタイプの溶鋼の絞り出し
効果を、本発明例の孔型と比較例の孔型について、固相
率をパラメータにしてプロットしたものである。本発明
例のロールは幅の拘束が強いので、溶鋼絞り出しの面で
は比較例ロールより若干不利であるが、適切な固相率の
もと、適切な圧下率を加えれば問題はない。
【0047】なお、2ロールタイプの圧下率の上限は、
孔型深さによる。すなわち、孔型深さをh 、丸鋳片直径
をd0、圧下率をRuとすると、Ru≦(1-2h/d0 )×100%で
ある。例えば、図13(c) に見られるように、孔型深さ
が圧下前鋳片の35% の場合、ロールカラー部が接触(キ
スロール状態)が発生する30% が圧下率の上限となる。
【0048】以上に述べたように、未凝固圧延は2ロー
ルでも4ロールでも本発明の課題を解決できる。しか
し、2ロール方式と4ロール方式を比較した場合、4ロ
ール方式の方が幅方向拘束の柔軟性がある。例えば、割
れ感受性の高い高Cr鋼や高炭素鋼では、幅方向の拘束性
を強めた方が内部割れ対策として有効であることから、
4ロール方式がより適している。
【0049】4ロールタイプにおいて、HV間のオフセ
ット量を調節できるようになっていると、HとVの圧下
の種々の条件に対応できるので更に望ましい。
【0050】4ロールタイプのHロール径は圧下の影響
が深部まで浸透する大径の方が望ましい。しかし、設備
上の制約(機械の大きさ、圧延荷重、モーターパワーな
ど)から、鋳片径(孔底部分の径)の2.0 〜5.0 倍の範
囲が適切である。これに対してVロール径は、Hロール
と同等の径が望ましいが、ロール替え装置などの機械設
備上の制約などから、Hロール径の0.5 〜2.0 倍が適切
である。
【0051】4ロール方式の場合、Hロールには大きな
負荷がかかるため、少なくとも1つのロールは駆動する
ことがのぞましい。Hロールを駆動してやればVロール
は必ずしも駆動する必要はない。また、ロール替え装置
や、Vロールの圧下位置を前後にシフトする機構を組み
込むことで機械回りが複雑になることなどから、Vロー
ルは無駆動とすることがむしろ好ましい。
【0052】2ロール方式の場合、少なくとも一つのロ
ールは駆動しなければならない。
【0053】図10に未凝固圧下圧延機1基、凝固後圧
下整形用のHロール圧延機、および整形用のVロール圧
延機を備えた丸鋳片の未凝固圧下圧延機および整形圧延
機10を備えた連続鋳造設備例の概念図を示す。
【0054】同図では未凝固圧下ロールを4ロールタイ
プとしている。また、未凝固圧下圧延機は1基のみ図示
しているが、複数基あってもよい。複数の未凝固圧下圧
延機は2ロールタイプと4ロールタイプを組み合わせて
もよい。その場合、複数の圧延機の未凝固圧下は同一方
向でなければならない。
【0055】同図では未凝固圧下をHロールで行う(垂
直方向圧下)ものとしているが、Vロールで行う(水平
方向圧下)こととしてもよい。
【0056】同図では整形圧延機はHロールおよびVロ
ールをぞれぞれ1基づつ図示しているが、それぞれが複
数基あってもよい。HロールとVロールの組み合わせの
みならず、拘束孔型を有するHロールのみまたはVロー
ルのみの組み合わせでもよい。この場合は未凝固圧下部
から鋳片が偏平形状で出てくる場合、Vロールのみで整
形ロールを構成してもよい。
【0057】また、整形圧延機はHVロールの組み合わ
せ以外に、3ロールタイプ若しくは4以上のロールで構
成されていてもよい。
【0058】同図でピンチロール9は未凝固圧下圧延機
の上流側に設置されているが、未凝固圧下圧延機群の下
流、或いは整形圧延機の下流に設置してもよい。もしく
はピンチロールの機能、すなわち鋳造速度の制御を未凝
固圧下圧延機あるいは整形圧延機に担わせて、ピンチロ
ールを除去してもよい。
【0059】
【実施例】(実施例1) 試験プラントで継ぎ目無し鋼管用丸ビレット材(C :0.
50、Mn:0.92、Si:0.19、Cr:0.03)φ225 mmを鋳造
し、固相率0.6 において4ロール圧延機で180 mmまで未
凝固圧下し(圧下率20%)、Vロールは225 mmの開度と
した(幅広がりゼロ)。圧延後の鋳片断面をマクロ写真
で観察したところ、センターポロシティと偏析は解消さ
れていた。また、断面のカラーチェックでも割れは見ら
れなかった。
【0060】比較例として、同じ鋳片でHロールで180
mmまで圧下し(圧下率20%)、Vロールは258 mmの開度
とした(幅広がり15%)。断面マクロ写真で観察したと
ころ、センターポロシティと偏析は解消されていた。し
かしながら、天地方向の鋳片中心から35mm付近にカラー
チェックによる内部割れが観察された。
【0061】(実施例2) 実施例1と同じ試験プラントで条鋼用低炭素鋼相当の鋳
片(C :0.06、Mn:0.82、Si:0.26、Cr:0.04)φ225
mmを鋳造し、固相率0.3 において図12(a) に示す2ロ
ールで 180mmまで、楕円状に圧下した(圧下率20%)。
断面マクロ写真で観察したところ、センターポロシティ
と偏析は解消されていた。また、断面のカラーチェック
でも割れは見られなかった。
【0062】比較例として、同じ鋳片を図12(b) に示
す2ロールで 180mmまで、楕円状に圧下した(圧下率20
%)。断面マクロ写真で観察したところ、センターポロ
シティと偏析は解消されていた。しかしながら、天地方
向の鋳片中心から40mm付近に内部割れが観察された。
【0063】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、丸ビレ
ットのような軸対称の鋳片を本発明による方法で未凝固
圧下すると、内部割れがなく、中心偏析やセンターポロ
シティのない健全な組織が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブルーム鋳片を幅方向に局部的に未凝固圧下す
る方法の模式図である。
【図2】丸鋳片の未凝固圧下による凝固界面の内部割れ
発生の状況の説明図である。
【図3】平ロール2つによる丸鋳片圧下の凝固界面の応
力のシミュレーション結果である。
【図4】4ロールによる丸鋳片圧下の凝固界面の応力の
シミュレーション結果である。
【図5】4ロールの構成を示す図である。
【図6】4ロールによる丸鋳片圧下の凝固界面の圧下率
を変更した場合の幅方向応力のシミュレーション結果で
ある。
【図7】Hロール圧下率およびVロールの幅広がり率
(圧下率)と内部割れ限界を示す図である。
【図8】Hロール圧下率およびVロール幅広がり率(圧
下率)と未凝固溶鋼の絞り出し比の関係を示す図であ
る。
【図9】HロールとVロールの位置関係の説明図であ
る。
【図10】本発明による連続鋳造設備のレイアウト例を
示す概念図である。
【図11】2ロールタイプ未凝固圧下に用いるロール孔
型の図である。
【図12】2ロールによる丸鋳片圧下の凝固界面応力の
シミュレーション結果である。
【図13】2ロールタイプの圧下率と未凝固溶鋼の絞り
出しの関係を示す図である。
【符号の説明】
1.鋳片 2.鋳片の凝固域 3.鋳片の未凝固域 4.未凝固部圧下ロール(Hロール) 5.幅広がり拘束ロール(Vロール) 6.凝固界面割れ(内部割れ) 7.鋳片の幅広がり 8.H、Vロールのオフセット 9.ピンチロール 10.整形圧延機 11a.接触弧長 11b.接触弧面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−206804(JP,A) 特開 昭63−215353(JP,A) 特開 平7−80615(JP,A) 特開 平6−262325(JP,A) 特開 平7−108358(JP,A) 特開 平10−175049(JP,A) 特開 平1−289552(JP,A) 実開 昭59−81554(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/128 350 B22D 11/128 340 B22D 11/00 B22D 11/20

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続鋳造した鋳片の固相率が0.2〜0.
    8の時に、孔型を有するロール1対を備えた少なくとも
    1つの圧延装置で、15%以上の圧下率で圧延する方法
    であって、ロールの孔型深さは圧下前鋳片の圧下方向の
    径の30%〜40%で、孔型幅は圧下前鋳片の幅方向の
    径の1〜1.1倍である孔型ロールを用いることを特徴
    とする鋳片の未凝固圧下方法。
  2. 【請求項2】 連続鋳造した鋳片の固相率が0.2〜0.
    8の時に、軸心を互いに直角に配置した2対のロールを
    備えた少なくとも1つの圧延装置で、1対のロールにあ
    っては15%以上の圧下率を加えて、未凝固圧下する方
    法であって、圧下時の幅広がり率が0〜10%になるよ
    うに、2対のうちの1対のロール開度を与えることを特
    徴とする鋳片の未凝固圧下方法。
  3. 【請求項3】 連続鋳造した鋳片の固相率が0.2〜0.
    8の時に、軸心を互いに直角に配置した2対のロールを
    備えた少なくとも1つの圧延装置で、1対のロールにあ
    っては15%以上の圧下率を加えて、未凝固圧下する方
    法であって、2対のロールのうち一対のロールの圧下率
    を他対のロールの圧下率より大きくとり、かつ圧下率の
    大きい方のロール対と鋳片とで形成する接触弧面と、圧
    下率の小さい方のロール対の軸心を通る平面とが交差す
    るよう配置して圧延することを特徴とする鋳片の未凝固
    圧下方法。
  4. 【請求項4】 圧下時の幅広がり率が0〜10%になるよ
    うに、2対のうちの1対のロール開度を与えることを特
    徴とする請求項3に記載の鋳片の未凝固圧下方法。
  5. 【請求項5】 未凝固圧下の後、1つ以上の圧下装置を用
    いて凝固後の鋳片の断面形状を製品に適合した形状に圧
    延することを特徴とする請求項1から請求項4までのい
    ずれか1項に記載の鋳片の未凝固圧下方法。
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