JP3649054B2 - 連続鋳造ビレット鋳片の圧延割れを防止する圧延方法 - Google Patents
連続鋳造ビレット鋳片の圧延割れを防止する圧延方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は棒鋼、線材等の条鋼圧延方法に関するもので、連続鋳造法で製造されたビレット鋳片を用いて条鋼圧延を行なう場合の、ビレットの内外部圧延割れを防止し、品質の良好な条鋼を製造することのできる圧延方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ビレット鋳片は、連続鋳造により断面サイズ縮小化が行われ製造されるのが一般的である。ビレット連続鋳造後の鋳片形状は方形断面が一般的であるが、凝固過程の不均一性により、内部割れの問題があった。特開平5−42304号公報では、条鋼圧延素材として連続鋳造によって得られた丸断面形状の鋳片を使用することによりモ−ルド内における凝固の均一性を保ち、凝固組織の不均一性に起因する凝固時の割れを防止する方法が提案されている。
【0003】
ビレット鋳片を用いた条鋼や線材の圧延方法としては、孔型ロ−ルを使用する圧延法が一般的であるが、ロ−ル寿命を延長することによるロ−ル原単位、稼働率向上を目的として、粗圧延、中間圧延段階にフラットロ−ルを用いて複数パス圧延し、仕上パスに孔型ロ−ルを用いて圧延するカリバ−レス圧延と呼ばれる方法が例えば特公昭54−37582号公報、特開昭58−23502号公報、特開昭58−68402号公報などに開示されている。この圧延方法は、減面率は低いが、製品サイズによってロールを交換する必要がないので、経済性に優れている。しかし一方で減面効率を稼ぐために粗圧延の最初のパスで強圧下する必要があり、フラットロ−ルを使用しているのでビレット側面に圧延割れが発生しやすいという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
条鋼の圧延においては、連続鋳造で製造された方形断面のビレット鋳片を使用するのが一般的であるが、丸断面に較べて連続鋳造の凝固過程および粗圧延時に内部割れが発生しやすいという問題点があった。しかし、丸断面のビレット鋳片を使用してこの問題を回避する場合も、これに上記のフラットロールを用いるカリバ−レス圧延方法を適用すると、フラットロ−ルによる粗圧延では、丸断面は方形断面に較べてビレット側面に発生する圧延方向引張応力が大きく、圧延割れが発生しやすいという問題点があった。
【0005】
また、断面形状に関わらず、連続鋳造ビレット鋳片を冷却せずに高温のままでカリバ−レス圧延方法を適用する場合には、ビレット鋳片は変態しておらず結晶粒が大きく圧延割れ感受性が高いといった問題点があった。
【0006】
従って、丸断面の連続鋳造ビレット鋳片を冷却せずに高温のままで、フラットロールによる圧延を行う場合には、圧延割れが非常に起き易いという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決し、連続鋳造ビレット鋳片を冷却しないまま圧延ラインに直送して圧延しても内外部圧延割れを生じにくい、フラットロールを用いた条鋼粗圧延方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は以下の発明により解決される。 連続鋳造ビレット鋳片から直送圧延により条鋼を製造する際に、丸形断面の連続鋳造ビレット鋳片を用い、粗圧延成形パスの1パス目に孔型ロ−ルを使用し、2パス目以降の粗圧延ではフラットロ−ルを使用することを特徴とする、連続鋳造ビレット鋳片の圧延割れを防止する圧延方法である。
【0009】
本発明で言う直送圧延とは、鋳造ビレットをA3 変態点以下まで冷却せずに、高温のままで圧延するもので、圧延前の復熱のために多少の加熱を行う場合も含まれる。本発明では、ビレット鋳片として丸断面形状を使用するので、方形断面を使用する場合に較べて凝固過程及び粗圧延時に内部割れが発生しにくい。さらに、粗圧延の最初のパスに孔型ロ−ルを用いることにより、ビレット側面は孔型斜面により幅方向に圧縮され、ビレット側面が圧延方向に延伸する場合に発生する圧延方向引張応力はフラットロ−ル圧延に比べて小さくなり、丸断面ビレットを用いた場合でもビレット側面の圧延割れが発生しにくくなる。また孔型ロ−ルの拘束により、小さい圧下率でフラットロ−ルと同等の減面効率を得ることができ、ビレット側面に発生する圧延方向引張応力はフラットロ−ル圧延に比べて小さくなり、ビレット側面の圧延割れが発生しにくくなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる丸断面形状ビレットは、連続鋳造法で製造する。ビレット鋳片は鋳造後、圧延ラインに直送して高温のままでフラットロールによる粗圧延を行う。搬送の過程でのビレットの温度低下が問題になる場合は、圧延前に加熱を行ってもよい。
【0011】
図1に本発明の1実施の形態を示す。図1 は粗圧延の各圧延工程( パス) におけるビレットの断面方向の形状変化を示したもので、連続鋳造ビレット鋳片として丸断面形状ビレット1を用い、粗圧延の最初の圧延(粗1パス)の孔型ロ−ル2により縦方向(もしくは横方向)に圧延し、次いで粗圧延の2 番目の圧延( 粗2パス) のフラットロ−ル3により横方向(もしくは縦方向)に圧延し、以下順次それに続く残りの粗圧延工程にフラットロ−ルを前パスと直行する方向に交互に配置し粗圧延を行う。中間圧延では、フラットロールを用いる場合もあれば、孔型ロールを用いる場合もある。その後の仕上げ圧延には、途中までフラットロールを用い最小限のパスに孔型ロールを用いる場合もあれば、すべてのパスに孔型ロールを用いて、棒鋼・ 線材の製品を製造する場合もある。
【0012】
孔型ロールとしては、オーバルカリバー、ボックスカリバ−等の孔型ロールを用いれば割れ防止の効果がある。
【0013】
【実施例】
連続鋳造で製造した丸断面ビレットを直送して(温度約1000℃)、最初の圧延(粗1パス)に孔型ロ−ルを、以下の圧延にはフラットロールを用いて粗圧延を行なう、本発明の製造方法を用いた場合( 本発明例) と、最初の圧延(粗1パス)にもフラットロ−ルを用いた従来技術を用いた場合(比較例)の比較を行った。図2に本発明例の、連続鋳造丸断面ビレット7を粗1パスで孔型ロ−ル6により縦方向に圧延した場合の圧延後形状8を示す。ビレット鋳片7は直径Dが200mmの丸断面で、粗1パスの孔型ロ−ル6はオ−バルカリバ−(曲率半径R=0.8D)である。ロールギャップを変更して、粗1パス後の割れの有無を観察した。結果を表1 に示す。その後、仕上げ圧延の3 パスまでフラットロールで圧延を行ない、スリット後に孔型ロールを用いて2 種類の径の丸棒を製造した。製造工程のいずれにおいても割れは発生しなかった。
【0014】
【表1】
【0015】
図3に比較例の、連続鋳造丸断面ビレット10を粗1パスでフラットロ−ル9により縦方向に圧延した場合の圧延後形状11を示す。丸ビレット鋳片は直径が200mmの丸断面で、フラットロ−ル直径は800mmである。 表2に種々のロールギャップの圧下条件で行った圧延試験結果を示す。表2から判るように,丸ビレットにフラットロ−ルを用いて圧下した場合には、圧延割れが多発する。図2と比較して、図3では圧延後のビレットの側面の変形が大きく、側面の圧延割れの原因になっていることが分かる。
【0016】
【表2】
【0017】
このように従来技術である粗圧延に全てフラットロールを用いた比較例の場合は、粗1パスの段階で割れが発生してしまったが、本発明の方法を用いると割れの発生を防止することができた。
【0018】
【発明の効果】
本発明の製造方法を用いると、ビレット鋳片の凝固過程及び粗圧延時に内部割れが発生しにくく、粗圧延時の内外部圧延割れを防止することができる。特に、ビレット側面の圧延割れが発生しにくくなる。従って、製品の歩留まりが向上し、生産効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施の形態を示す概念図である。
【図2】本発明例の粗1パス丸断面ビレットの圧延形状を示す図である。
【図3】比較例の粗1パス丸断面ビレットの圧延形状を示す図である。
【符号の説明】
1 丸断面形状ビレット
2 粗1パスの孔型ロ−ル
3 粗2パスのフラットロ−ル
4 粗3パスのフラットロ−ル
5 粗4パスのフラットロ−ル
6 粗1パスの孔型ロ−ル
7 粗1パス圧延前の連続鋳造丸断面ビレット形状
8 粗1パス圧延後の連続鋳造丸断面ビレット形状
9 粗1パスのフラットロ−ル
10 粗1パス圧延前の連続鋳造方形断面ビレット形状
11 粗1パス圧延後の連続鋳造方形断面ビレット形状
Claims (1)
- 連続鋳造ビレット鋳片から直送圧延により条鋼を製造するに際して、丸形断面の連続鋳造ビレット鋳片を用い、粗圧延成形パスの1パス目に孔型ロ−ルを使用し、2パス目以降の粗圧延ではフラットロ−ルを使用することを特徴とする、連続鋳造ビレット鋳片の圧延割れを防止する圧延方法。
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JP26056899A JP3649054B2 (ja) | 1999-09-14 | 1999-09-14 | 連続鋳造ビレット鋳片の圧延割れを防止する圧延方法 |
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JP26056899A JP3649054B2 (ja) | 1999-09-14 | 1999-09-14 | 連続鋳造ビレット鋳片の圧延割れを防止する圧延方法 |
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JP2001079601A JP2001079601A (ja) | 2001-03-27 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013129128A1 (ja) | 2012-02-29 | 2013-09-06 | Jfeスチール株式会社 | 内質に優れた鋼材の製造方法 |
CN103480649A (zh) * | 2013-10-12 | 2014-01-01 | 钢铁研究总院 | 一种直接轧制生产长型材的方法 |
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1999
- 1999-09-14 JP JP26056899A patent/JP3649054B2/ja not_active Expired - Fee Related
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WO2013129128A1 (ja) | 2012-02-29 | 2013-09-06 | Jfeスチール株式会社 | 内質に優れた鋼材の製造方法 |
CN103480649A (zh) * | 2013-10-12 | 2014-01-01 | 钢铁研究总院 | 一种直接轧制生产长型材的方法 |
CN103480649B (zh) * | 2013-10-12 | 2016-10-05 | 钢铁研究总院 | 一种直接轧制生产长型材的方法 |
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