JP3648759B2 - 車両後退警報装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は車両後退警報装置に関し、特に車両が後退(バック)するときに車外後方の人に注意を促す車両後退警報装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来においてこの様な車両後退警報装置は、図5に示すように、トランスミッション(図示せず)をバックギヤ(リバースギヤ)に入れると、バックギヤ・スイッチ1がONとなり、このスイッチ1と直列接続されているバックランプ2を点灯させる。
【0003】
スイッチ1がONとなると同時にアラーム・ユニット3に電源が与えられ、警報器4としてのブザーを鳴らす。或いは、この警報器4がスピーカである時には、アラーム・ユニット3で合成出力された音声で『バックします』とスピーカを鳴らして車外後方の人に対して警報を与える。従って、この警報器4は車両の外部後方に取り付けられるのが普通である。尚、このときのスピーカを以下、車外スピーカと称する。
【0004】
更に、バックギヤに入っていることを車内のドライバー等に警報するため、警報器4を車内に取り付ける場合もある。尚、このときのスピーカを以下、車内スピーカと称する。
【0005】
この場合には、音声による警報はブザーによる警報に比べてより具体的でドライバーに対し正確で判りやすい情報を提供する事ができる。
【0006】
しかしながら、アラーム・ユニット3に内蔵される音声合成IC(集積回路)は通常は一個である為、バックギヤ・スイッチ1がONのとき、車外スピーカと車内スピーカから例えば、『ピンポン、バックします。ご注意下さい。』という音声が同時に出力されることになる。
【0007】
この場合、車外の後方にいる人に対してはこの警報で良いが、車内のドライバー等に対しては正しい情報を提供していることにならない。即ち、下り坂等で、バックギヤに入れているだけでクラッチをつながなければ車両は後退せずに前進してしまうからである。
【0008】
この時の車内にいるドライバー等に対しての正しい警報は、『ピンポン、バックギヤに入っています。』となるが、今度はこれは車外後方にいる人に対しては不明確な表現となってしまう。
【0009】
このため、本発明者は、車外の後方にいる人並びに車内のドライバー等の双方に対して適切な音声警報を与えることが出来る車両後退警報装置を実現する事を目的として特願平5-270862号号において以下の提案を行っている。
【0010】
即ち、特願平5-270862号では、アラーム・ユニットがバックギヤ状態検出手段によってバックギヤに入ったことを検出したとき、車両後退を注意させる第1の音声警報信号を車外スピーカに対して与え、また後退が可能な準備状態にあることを知らせる第2の音声警報信号を車内スピーカに与える。
【0011】
これにより、車両後方の人に対しては車両がバックして来るので注意しなければならないという警報を与えることが出来るとともに、車内の人に対してはバックが可能な状態になっているとだけ知らせ実際に後退しているとは警報していないことになり、両者に対して適切な警報を発生させている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このような特願平5-270862号等においては、車内スピーカから連続して警報信号が発生されるので、車両後部から発せられる誘導又は警告のための音や声が聞き取り難くなるという問題点があった。
【0013】
従って本発明は、車両が後退(バック)するときに車内及び車外後方の人に注意を促す車両後退警報装置において、車内の警報信号により車外の警報音等が聞き取り難くならないようにすることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係る車両後退警報装置は、バックギヤ状態検出手段と、車両後部に設けた車外スピーカと、車内スピーカと、該検出手段がバックギヤに入ったことを検出したとき該車外及び車内スピーカに対しては車両後退を注意させる頭出し音及び音声警報信号を所定回数分出力させると共にその後は該頭出し音を該車外及び車内スピーカから出力させるが該音声警報信号は該車外スピーカからだけ出力させるアラーム・ユニットと、を備えている。
【0015】
上記のアラーム・ユニットは、該頭出し音を発生する音源と、該音声警報信号を発生する音声合成ICと、該頭出し音及び該音声警報信号を各スピーカに対応して切り替えて出力する手段とを含んでいる。
また、上記のアラーム・ユニットは、該所定回数以下であっても車速検出手段によって検出された車速が非停車状態を示す設定値以上であれば該頭出し音を該車外及び車内スピーカから出力させるが該音声警報信号は該車外スピーカからだけ出力させることができる。
【0017】
【作用】
本発明においては、バックギヤ状態検出手段によって車両がバックギヤに入った事が検出された時点で、アラーム・ユニットは、車両後退を注意させる頭出し音及び音声警報信号を車両後部に設けた車外スピーカと車両内部に設けた車内スピーカから所定回数(例えば2回)だけ発生させる。
【0018】
ただし、上記の所定回数以降については、車外スピーカへの警報信号は頭出し音と音声警報信号を連続して出力させるが、車内スピーカへの警報信号はバックギヤに入ったまま(好ましくは車速が停車状態を示す設定値以下)であれば上記の頭出し音のみを出力させ音声警報信号を出力させない。
【0019】
あるいは、上記の所定回数以下であっても車速が停車状態でない設定値以上であれば車両の走行音によっても音声警報信号が邪魔され得るので、この場合も頭出し音のみを出力させ音声警報信号の出力を中断する。
【0020】
これ以降は車内スピーカへの警報信号は頭出し音のみ出力させることとし、車外スピーカへ音声警報信号を出力させている間は車内スピーカへの警報信号を出力させない様にしている。
【0021】
【実施例】
図1は本発明に係る車両後退警報装置の実施例の構成を示したもので、図中、1はバックギヤ・スイッチ、2はバックランプ、3はアラーム・ユニット、41は車外スピーカ、42は車内スピーカ、5は車速センサ、そして6はキースイッチである。尚、上記の様に車外スピーカ41は車両後部に取り付けられる。
【0022】
また、アラーム・ユニット3は、MPU(マイクロプロセッサユニット)31と、共通バス32を介してMPU31に接続された音声合成IC33及び頭出し音音源34と、音声合成IC33及び頭出し音音源34の出力信号をそれぞれ共通に入力するとともにMPU31の制御により切替動作を行う切替スイッチSW1,SW2と、これら切替スイッチSW1,SW2の各出力信号を増幅してそれぞれ車外スピーカ41及び車内スピーカ42に与える増幅器A1,A2とで構成されている。
【0023】
なお、上記の切替スイッチSW1及びSW2のそれぞれの固定側接点a及びdは音声合成IC33に共通接続されており、また固定側接点b及びeは頭出し音音源34に共通接続されている。これらの切替スイッチSW1及びSW2はそれぞれ図示のように無接続側接点g及びhを有している。
【0024】
更に、切替スイッチSW1の可動側接点cは増幅器A1に接続されている。また、切替スイッチSW2の可動側接点fは増幅器A2に接続されている。
【0025】
図2には上記の実施例におけるMPU31で実行される制御プログラムのフローチャートが示されており、以下、このフローチャートを参照して図1の実施例の動作を説明する。
【0026】
まずドライバーがキースイッチ6をONにしたときにはMPU31は通常の如く初期設定(ステップS1)を行うが、これと共にまずフラグF1を“0”に初期設定し(ステップS2)、出力回数も“0”に初期設定する(ステップS3)。
【0027】
また、ドライバーがギヤをバックギヤ位置にシフトしない限りはステップS4を経由して上記のステップS2及びS3を通過することとなる。
【0028】
一方、ドライバーがバックギヤ位置にシフトすると、バックギヤ状態検出手段としてのバックスイッチ1がONとなり、バックランプ2が点灯すると共にステップS4からステップS5に進む。
【0029】
このステップS5においては最初はステップS2においてフラグF1が“0”に初期設定されている為、ステップS6に進み、出力回数が“0”であるか否かが判定されるが、このステップS6においても上記の通りステップS3において最初は出力回数が“0”に初期設定されている為、ステップS6からステップS9に進む。
【0030】
そして、ステップS9においては頭出し音の出力処理が実行される。この頭出し音出力処理においては、MPU31は頭出し音音源34をONにすると共に、切替スイッチSW1及びSW2を制御して可動側接点c,fをそれぞれの固定側接点b及びeに切り替える。
【0031】
これにより、頭出し音音源34からは頭出し音『ピンポン』が出力され切替スイッチSW1及びSW2を介してそれぞれ増幅器A1及びA2で増幅され、更にそれぞれ車外スピーカ41および車内スピーカ42に与えることにより、頭出し音を車内及び車外の両方のスピーカ41,42に出力させる。
【0032】
この後、音声警報出力処理(ステップS10)を実行する。この処理においては、MPU31は共通バス32を介して音声合成IC33をONとし、更に切替スイッチSW1及びSW2の可動側接点c,fを図示のごとく固定側接点a及びdに切り替える。
【0033】
したがって、音声合成IC33からの音声警報信号『バックします。ご注意下さい。』が切替スイッチSW1及びSW2を通って増幅器A1及びA2に送られ、ここで増幅されてそれぞれ車外スピーカ41及び車内スピーカ42において出力される。
【0034】
したがって、ステップS9及びステップS10に示すごとく、車外スピーカ41及び車内スピーカ42の双方において頭出し音と音声警報信号とが出力されることとなる。
【0035】
この後、出力回数を“1”だけインクリメントしておく(ステップS11)。
【0036】
このようなバックギヤ位置が継続していると、再び図2のフローチャートにおけるステップS4からステップS5に進むが、依然としてフラグF1は“0”であるため、ステップS6に進む。
【0037】
ステップS6においてはステップS11において出力回数が“1”だけインクリメントされているため、ステップS7に進み、車速センサ5から出力された車速が設定値より大きいか否かを判定する。
【0038】
この場合の設定値は車両が実質的に停車状態であるか否かを判定するための値であるので、車両が停車中であれば、ステップS8に進む。
【0039】
ステップS8では上記の出力回数が設定回数を越えたか否かを判定する。この場合の設定回数は例えば1回であり、ステップS9及びステップS10における頭出し音及び音声警報出力処理が1回行われていればステップS8からステップS12に進むが、そうでない時にはステップS9に進む。
【0040】
また、ステップS7において、車速が設定値よりも大きく車両が動き出した状態を示している時にもステップS12に進む。
【0041】
ステップS12においてはステップS9と同様に頭出し音の出力処理が実行される。
【0042】
この後、ステップS13に進んで音声警報信号の出力処理が行われるが、この場合には車外スピーカに対してのみ出力処理が行われる。
【0043】
即ち、このステップS13においては、MPU31は音声合成IC33をONにするとともに切替スイッチSW1の可動側接点cを図示のように固定側接点aに切り替えるが、切替スイッチSW2の可動側接点fに関しては非接続側接点hに切り換える。
【0044】
これにより、音声合成IC33からの音声警報信号『バックします。ご注意下さい。』は増幅器A1を介して車外スピーカ41からのみ出力されることとなる。
【0045】
このように頭出し音出力処理と音声警報信号の出力処理とを行った後、フラグF1を“1”に設定し(ステップS14)、このルーチンを出る。
【0046】
したがって、依然としてバックギヤスイッチ1がONとなっている場合にはステップS4からステップS5に進むが、今度はフラグF1が“1”となっているので、ステップS5からステップS12及びステップS13が引き続き実行されることとなる。
【0047】
図3には上記のステップS8における設定回数が“2”である場合のタイムチャートを示したもので、このタイムチャートでは図2のステップS7における車速が考慮されていない場合を示しており、ギヤがバック位置にシフトされると、切替スイッチSW1の可動側接点cは固定接点b側になり、切替スイッチSW2の可動側接点fは固定側接点eに切り替えられて車外スピーカ41及び車内スピーカ42から一定時間Tの間だけ頭出し音が出力される。
【0048】
この一定期間Tが経過すると今度は切替スイッチSW1,SW2がそれぞれ接点a,eの側に切り替えられるので、一定時間T’において音声合成IC33より音声警報信号が車外スピーカ41及び車内スピーカ42よりそれぞれ出力される。
【0049】
このように頭出し音と音声警報信号が図示のように「3回」繰り返されると、ステップS8において出力回数が設定回数“2”を越えるので、ステップS12及びステップS13に移行することにより、切替スイッチSW1はそのままであるが、切替スイッチ2については無接続側接点hに切り替わることとなり、車内スピーカ42からは音声信号が出力されない様になる。
【0050】
図4は同じく設定回数が“2”である場合に車速を考慮した場合のタイムチャートを示したものであり、図示のごとく車速が設定値(点線で示す)を越えた場合、切替スイッチ1は図3の場合と同様にそのまま変わらず動作を続けるが、切替スイッチSW2においては設定回数が「2」に達しない場合であっても車速が設定値を越えて走行していることを示している場合にはやはり無接続側接点hに切り換えられ、この後は車外スピーカ41からだけ音声警報信号が出力され車内スピーカ42からは音声警報信号が出力されない様になる。
【0051】
なお、このタイムチャートにおいて車速<設定値となっても上記のようにバックギヤ位置になっている限りステップS5でF1=1となっているため、ステップS12,S13を繰り返し、切替スイッチSW2の位置は変わらない。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る車両後退警報装置によれば、バックギヤに入ったことを検出したとき車外及び車内スピーカに対しては車両後退を注意させる頭出し音及び音声警報信号を所定回数分発生させるとともにその後は好ましくは車速が停車状態を示していれば頭出し音は車外及び車内スピーカから出力させるが音声警報信号は車内スピーカからは出力させず車外スピーカからだけ出力させるように構成したので、車両の後方から発せられる誘導や警報のための音や声を聞き取り易くなる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両後退警報装置の実施例の構成を示したブロック図である。
【図2】本発明に係る車両後退警報装置のMPUで実行される制御プログラムのフローチャート図である。
【図3】図2に示した実施例の動作タイムチャート図(その1)である。
【図4】図2に示した実施例の動作タイムチャート図(その2)である。
【図5】従来例を示したブロック図である。
【符号の説明】
1 バックギヤ・スイッチ
3 アラーム・ユニット
31 MPU
33 音声合成IC
34 頭出し音音源
SW1,SW2 切替スイッチ
41 車外スピーカ
42 車内スピーカ
5 車速センサ
6 キースイッチ
図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
Claims (2)
- バックギヤ状態検出手段と、車両後部に設けた車外スピーカと、車内スピーカと、該検出手段がバックギヤに入ったことを検出したとき該車外及び車内スピーカに対しては車両後退を注意させる頭出し音及び音声警報信号を所定回数分出力させると共にその後は該頭出し音を該車外及び車内スピーカから出力させるが該音声警報信号は該車外スピーカからだけ出力させるアラーム・ユニットと、を備え、該アラーム・ユニットが、該頭出し音を発生する音源と、該音声警報信号を発生する音声合成ICと、該頭出し音及び該音声警報信号を各スピーカに対応して切り替えて出力する手段とを含んでいることを特徴とした車両後退警報装置。
- 車速検出手段を更に設け、該アラーム・ユニットは、該所定回数以下であっても該車速が非停車状態を示す設定値以上であれば該頭出し音を該車外及び車内スピーカから出力させるが該音声警報信号は該車外スピーカからだけ出力させることを特徴とした請求項1に記載の車両後退警報装置。
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