JP3647485B2 - 注形用エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ノンハロゲン及びノンアンチモンで電気特性、難燃性に優れた、電子機器の高圧コイル等の絶縁処理に好適な注形用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、注形用樹脂組成物は、自動車やテレビの電子部品である高圧トランス等の絶縁処理に使用されている。そして、電子機器用トランス類のうち、テレビ用フライバックトランス等の比較的高周波かつ高電圧のトランスに使用されるものは、実用時における諸特性の安定性及び難燃性が要求される。特に最近では、信頼性の向上とともに環境の安全性重視の点から、ハロゲン化合物やアンチモン化合物を使用しない注形用樹脂組成物が求められてきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般に樹脂に難燃性を付与する方法としては、ハロゲン化合物とアンチモン化合物若しくは水酸化アルミニウムとの組合せ、或いは赤燐と水酸化アルミニウムとの組合せが最も有力である。しかし、いずれも将来の環境問題を考慮すると問題であり、またハロゲン化合物、アンチモン化合物、赤燐を使用せずに難燃性を付与するには、水酸化アルミニウムを多量に添加しなければならず、また満足する特性等が得られなかった。
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、ハロゲン化合物とアンチモン化合物を全く使用しない、ノンハロゲン及びノンアンチモンで電気的特性および難燃性に優れた注形用エポキシ樹脂組成物を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成しようと鋭意研究を進めた結果、後述の樹脂組成物を用いることによって、上記目的を達成できることを見いだし、本発明を完成したものである。
【0006】
即ち、本発明は、
(A)エポキシ樹脂、
(B)難燃剤として(a )水酸化アルミニウム、(b )メラミンおよび(c )ポリリン酸エステル化合物、
(C)硬化剤としてメチルテトラヒドロ無水フタル酸並びに
(D)硬化促進剤
を必須成分としてなることを特徴とする注形用エポキシ樹脂組成物である。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明に用いる(A)エポキシ樹脂しては、1 分子中に 2個以上のエポキシ基を有する化合物であればよく、汎用の液状エポキシ樹脂、固形エポキシ樹脂等特に制限はなく広く使用することができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸のグリシジルエーテル、シクロヘキサン誘導体のエポキシ化によって得られるエポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独または 2種以上混合して使用することができる。また、これらの他に必要に応じて液状のモノエポキシ樹脂等を使用することができる。
【0009】
本発明に用いる(B)難燃剤としては(a )水酸化アルミニウム、(b )メラミン、および(c )ポリリン酸エステル化合物の混合物である。ここで用いる(a )水酸化アルミニウムとしては、通常充填剤として使用されるものであれば特に制限はなく広く使用することができる。具体的な化合物としてハイジライトH42M、H31(昭和電工社製、商品名)等が挙げられ、これらは単独または 2種以上混合して使用することができる。
【0010】
難燃剤としての(b )メラミンは、通常メラミン樹脂のモノマーとして使用されるもので、2,4,6-トリアミノ-1,3,5- トリアジンである。
【0011】
難燃剤としての(c )ポリリン酸エステル化合物は、例えば、ポリフェニルフォスファイト等が使用され、具体的な化合物としてはフォスフレックス574(アクゾカシマ社製、商品名)等が挙げられ、これらは単独または混合して使用することができる。難燃剤としての(a )水酸化アルミニウム、(b )メラミン、(c )ポリリン酸エステル化合物は、これらの任意の量の組合せで使用することができる。
【0012】
本発明に用いる(C)硬化剤のメチルテトラヒドロ無水フタル酸としては、通常エポキシ樹脂の硬化剤として使用されるものを用いることができる。
【0013】
本発明に用いる(D)硬化促進剤としては、イミダゾール系など通常エポキシ樹脂の硬化促進剤として使用されるものを用いることができ、特に制限されるものではない。
【0014】
本発明に用いる注形用エポキシ樹脂組成物は、上述したエポキシ樹脂、複合難燃剤、特定の硬化剤及び硬化促進剤を必須の成分とするが、本発明の目的に反しない範囲においてその他の無機質充填剤、カップリング剤、消泡剤、顔料その他の成分を添加配合することができる。無機質充填剤としては、シリカ、タルク、炭酸カルシウム等が挙げられ、これらは単独または 2種以上混合して使用することができる。
【0015】
これらの各成分すなわち、エポキシ樹脂、難燃剤、硬化剤、硬化促進剤等を混合し、十分攪拌して容易に注形用エポキシ樹脂組成物を製造することができる。
【0016】
【作用】
本発明の注形用エポキシ樹脂組成物は、複合難燃剤として水酸化アルミニウム、メラミンおよびポリリン酸エステル化合物を用いることによって、従来のハロゲン化合物とアンチモン化合物を用いたものと同レベルの難燃性と電気特性を付与させることができた。
【0017】
【実施例】
次に本発明を実施例によって説明する。本発明はこれらの実施例よって限定されるものではない。以下の実施例および比較例において「部」とは「重量部」を意味する。
【0018】
実施例1
ビスフェノールAジグリシジルエーテル85部、モノエポキサイド15部、シリカ50部、水酸化アルミニウムH42M(昭和電工社製、商品名)30部、水酸化アルミニウムH31(昭和電工社製、商品名)150 部、メラミン50部、フォスフレックス574(アクゾカシマ社製、商品名)7 部、消泡剤TSA720(東芝シリコーン社製、商品名) 0.1部、シランカップリング剤 0.5部を混合して、次いで硬化剤としてメチルテトラヒドロ無水フタル酸85.5部、硬化促進剤として1-シアノエチル-2−エチル-4−メチルイミダゾール 1.5部を加えて注形用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0019】
実施例2
ビスフェノールAジグリシジルエーテル85部、モノエポキサイド15部、シリカ40部、水酸化アルミニウムH42M(昭和電工社製、商品名)40部、水酸化アルミニウムH31(昭和電工社製、商品名)140 部、メラミン50部、フォスフレックス574(アクゾカシマ社製、商品名)7 部、消泡剤TSA720(東芝シリコーン社製、商品名) 0.1部、シランカップリング剤 0.5部を混合して、次いで硬化剤としてメチルテトラヒドロ無水フタル酸85.5部、硬化促進剤として1-シアノエチル-2−エチル-4−メチルイミダゾール 1.5部を加えて注形用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0020】
比較例1
ビスフェノールAジグリシジルエーテル72部、モノエポキサイド5 部、ジブロモクレジルグリシジルエーテル23部、シリカ40部、水酸化アルミニウムH42M(昭和電工社製、商品名)20部、水酸化アルミニウムH31(昭和電工社製、商品名)50部、三酸化アンチモン10部、消泡剤TSA720(東芝シリコーン社製、商品名) 0.1部、シランカップリング剤 0.5部を混合して、次いで硬化剤としてメチルテトラヒドロ無水フタル酸85.5部、硬化促進剤として1-シアノエチル-2−エチル-4−メチルイミダゾール 1.5部を加えて注形用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0021】
比較例2
ビスフェノールAジグリシジルエーテル75部、ジブロモクレジルグリシジルエーテル25部、シリカ80部、水酸化アルミニウムH42M(昭和電工社製、商品名)30部、水酸化アルミニウムH31(昭和電工社製、商品名)50部、三酸化アンチモン10部、消泡剤TSA720(東芝シリコーン社製、商品名) 0.1部、シランカップリング剤 0.5を混合して、次いで硬化剤としてメチルテトラヒドロ無水フタル酸85.5部、硬化促進剤として1-シアノエチル-2−エチル-4−メチルイミダゾール 1.5部を加えて注形用エポキシ樹脂組成物を製造した。
【0022】
実施例1〜2及び比較例1〜2によって製造した注形用エポキシ樹脂組成物を用いて加熱硬化させた。これらの硬化物について難燃性、ガラス転移点、絶縁破壊の強さを試験したので、その結果を表1に示した。本発明の効果を確認することができた。
【0023】
【表1】
Figure 0003647485
【0024】
【発明の効果】
以上の説明および表1から明らかなように、本発明の注形用エポキシ樹脂組成物は、ハロゲン化合物とアンチモン化合物を全く使用しない、ノンハロゲン及びノンアンチモンで電気的特性および難燃性に優れたもので、環境問題に対応した信頼性の高いものである。

Claims (1)

  1. (A)エポキシ樹脂、
    (B)難燃剤として(a )水酸化アルミニウム、(b )メラミンおよび(c )ポリリン酸エステル化合物、
    (C)硬化剤としてメチルテトラヒドロ無水フタル酸並びに
    (D)硬化促進剤
    を必須成分としてなることを特徴とする注形用エポキシ樹脂組成物。
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