JP2604197B2 - 液状エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

液状エポキシ樹脂組成物

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JP2604197B2 JP8209388A JP8209388A JP2604197B2 JP 2604197 B2 JP2604197 B2 JP 2604197B2 JP 8209388 A JP8209388 A JP 8209388A JP 8209388 A JP8209388 A JP 8209388A JP 2604197 B2 JP2604197 B2 JP 2604197B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、液状エポキシ樹脂組成物に関する。更に詳
しくは、含浸性に優れ、しかも難燃性、耐湿性に優れ、
均質な硬化物を付与し得る液状のエポキシ樹脂組成物に
関する。
[従来の技術とその課題] 従来、高圧電気部品等の注型樹脂として、エポキシ樹
脂が広く用いられている。又、エポキシ樹脂組成物を硬
化させるに際しては、通常、酸無水物系硬化剤と、主と
して第3級アミンやイミダゾール等のアミン系硬化促進
剤とが併用されている。
高圧電気部品用素材として使用されるエポキシ樹脂組
成物には、絶縁性、含浸性、耐湿性、易硬化性、熱衝撃
性、熱伝導性、難燃性等の諸特性が要求され、適用に際
しては、それらの特性が総合的に評価されているのが現
状である。
一般に、上記樹脂組成物の耐衝撃性、難燃性、及び熱
伝導性等を向上させるためには、当該樹脂組成物に無機
充填剤を大量に配合することが有効であるが、充填剤量
が増大するに従って樹脂組成物の粘度は増加し、その結
果、高圧電器部品への含浸、注型等の作業が困難とな
り、極端な場合には含浸不良により高圧電器部品のコロ
ナ劣化、絶縁破壊等の問題を生ずる原因となる。
エポキシ樹脂組成物の含浸性は、特に高圧電気部品に
おいては重要な特性であり、トランスコイルへの含浸性
を向上させるために、エステル、モノグリシジルエーテ
ル類等の各種希釈剤を配合してエポキシ樹脂組成物の粘
度を低減する方法が提案されている。しかし、低粘度化
のためには多量の希釈剤を必要とし、これが多すぎた場
合には耐熱温度が低下したり、吸水率が増加する結果、
耐湿性が減少する等の問題を生ずるために、その添加量
には限界があり、充分所期の目的を達成できるものとは
言えない。
本発明者らは、無機充填剤を多量に配合しても、低粘
度を維持し、電気部品等への含浸性が良好で、しかも無
機充填剤の沈降が抑制された結果、均質な硬化物を得る
ことができるエポキシ樹脂組成物を提供すべく鋭意検討
の結果、特定の液状エポキシ樹脂組成物において、ある
種の化合物を配合したエポキシ樹脂組成物が所定の特性
を具備することを見い出し、斯かる知見に基づいて本発
明を完成するに至った。
又、本発明の他の目的は、絶縁性、耐湿性、易硬化
性、熱衝撃性、熱伝導性等の諸特性が良好なエポキシ樹
脂組成物を提供することにある。
更に、本発明は、上記諸特性を保持すると共に難燃性
に優れたエポキシ樹脂組成物を提供することをもその目
的の一つとする。
[課題を解決するための手段] 本発明に係る液状エポキシ樹脂組成物は、下記の成分
(A)〜(E)を必須成分とし、必要に応じて(F)成
分を配合してなることを特徴とする。
(A)エポキシ樹脂、 (B)液状カルボン酸無水物 (C)水和アルミナ及び炭酸カルシウムを含む無機充填
剤、 (D)有機ホスフィン化合物、 (E)(1)〜(8)に表わされる化合物の1種又は2
種以上の混合物、 (7)ダイマー酸 (8)ロジン [上記各一般式において、R1は、ヒドロキシル基を有
していてもよい直鎖状若しくは分枝状である炭素数9〜
24のアルキル基又はアルケニル基を表わす。R2は、直鎖
状若しくは分枝状である炭素数6〜26のアルキル基、シ
クロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基を表
わす。R3、R4及びR5は、水素原子又は同一若しくは異な
っていてもよい直鎖状若しくは分枝状である炭素数1〜
26のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シ
クロアルケニル基、アリール基及びこれらのアルキレン
オキサイド付加物を表わす。但し、R3、R4、R5のすべて
が水素原子であることはない。R6、R7は、同一若しくは
異なっていてもよく、夫々、水素原子、ヒドロキシル基
を有していてもよい直鎖状若しくは分枝状である炭素数
1〜24のアルキル基又はアルケニル基を表わす。] (F)アンチモン系化合物、ハロゲン系化合物、リン系
化合物の1種又は2種以上の混合物。
本発明において使用されるエポキシ樹脂(A)として
は、特に限定されずこの分野で従来公知のものを広く使
用でき、具体的にはビスフェノールA型エポキシ樹脂、
ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラッ
ク型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹
脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジル
エステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ
樹脂、環式脂肪族エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹
脂、ハロゲン化エポキシ樹脂、1〜4価の脂肪族アルコ
ールから得られるグリシジルエーテル樹脂、ポリエーテ
ルポリオールから得られるグリシジルエーテル樹脂等を
例示できる。これらエポキシ樹脂は、単独で又は2種以
上混合して使用される。
又、必要に応じてフェニルグリシジルエーテル、2−
エチルヘキシルグリシジルエーテル、ジブロモクレジル
グリシジルエーテル、2,4,6,−トリブロモフェニルグリ
シジルエーテル、ネオ酸グリシジルエステル等の液状モ
ノエポキシ系化合物を加えることもできる。
高圧電気部品等への含浸性を高めるためには、室温で
液状のエポキシ樹脂を用いるのが好ましく、そのエポキ
シ当量は、最大300程度が推奨される。これ以上のエポ
キシ当量を有するエポキシ樹脂では、得られる樹脂組成
物が高粘度となり、本発明の所期の目的が達成され難
い。尚、室温で固体状のエポキシ樹脂であっても、物性
上、許容される範囲内で液状エポキシ樹脂や希釈剤等を
併用することにより液状化されるエポキシ樹脂であれ
ば、差支えなく使用できる。
本発明においてエポキシ樹脂硬化剤として用いられる
液状カルボン酸無水物(B)としては、25℃において液
状である化合物が推奨される。斯かるカルボン酸無水物
として、具体的には、3−メチルテトラヒドロ無水フタ
ル酸、4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸等のメチル
テトラヒドロ無水フタル酸(以下「Me−THPA」と略称す
る。)、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メ
チルヘキサヒドロ無水フタル酸等のメチルヘキサヒドロ
無水フタル酸(以下「Me−HHPA」と略称する。)、メチ
ルナジック酸無水物、ドデセニル無水コハク酸及びそれ
らの構造異性体若しくは幾何異性体を始め、ヘキサヒド
ロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、フタル酸
無水物、トリメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸無水物のような室温で固体の酸無水物と混合
変性して液状化したものを例示できる。カルボン酸無水
物は、夫々単独で用いてもよいし、2種以上を適宜併用
してもよい。これらのカルボン酸のうちMe−THPAやMe−
HHPAは粘度が低いため好ましく、中でも3−Me−THPA及
びこのものを50重量%以上含有してなるカルボン酸無水
物の混合物は、その粘度は低く、特に好ましいものであ
る。
カルボン酸無水物の配合量としては、用いられるエポ
キシ樹脂のエポキシ1当量当り通常0.5〜1.5当量程度、
好ましくは0.7〜1.0当量程度とするのがよい。この範囲
より少ない場合は、耐熱性、電気特性、機械的強度等の
低下につながり、又、逆に上記範囲より多くなると、耐
湿性や電気特性が低下する傾向にあるため、好ましくな
い。
本発明で適用される無機充填剤(C)は、水和アルミ
ナ及び炭酸カルシウムを必須成分として含有するもので
ある。
水和アルミナとは、Al2O3・3H2Oで示される粉末であ
って、特に限定されるものではないが、1〜30μ(沈降
法により重量基準で測定)程度の粒子径のものが適当で
ある。
本発明に係る炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウ
ム、軽質炭酸カルシウム、ゴ粉とその種類を問うもので
はなく、又、その粒子径も特に限定されるものではない
が、0.3〜30μ(沈降法により重量基準で測定)程度の
粒子径のものが適当である。
水和アルミナ、炭酸カルシウムとも上記粒子径より小
さい場合には系の粘度が高くなり、逆に粒子径が大きい
と保存中又は加熱硬化中に沈降する傾向があり、不都合
である。
水和アルミナの配合量としては、エポキシ樹脂100重
量部に対し、65〜190重量部程度が好ましく、炭酸カル
シウムの配合量としては、エポキシ樹脂100重量部に対
し、40〜150重量部程度が好ましい。特に、水和アルミ
ナ及び炭酸カルシウムの合計量で、エポキシ樹脂100重
量部に対し、120〜310重量部程度が好適である。両者合
計の配合量が上記範囲より少なくなると、得られる樹脂
組成物の難燃性が不充分になる傾向が生じ、一方、両者
合計の配合量が上記範囲より多くなると、得られる樹脂
組成物の粘度が上昇するため、好ましくない。
本発明では、水和アルミナ及び炭酸カルシウムと共
に、他の無機充填剤を併用してもよい。斯かる無機充填
剤としては、例えば二酸化ケイ素、カオリン、クレー、
タルク、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、
ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、
酸化チタン、ボロンナイトライド、ゼオライト等を挙げ
ることができる。
特に、二酸化ケイ素を使用するのが好適であって、二
酸化ケイ素を配合することにより、得られる樹脂硬化物
の機械的強度が向上し、耐湿性を改善することができ
る。この場合、例えば、エポキシ樹脂100重量部に対
し、二酸化ケイ素が75重量部を超えない範囲内で用いら
れるが、水和アルミナと二酸化ケイ素との合計量が160
重量部を超えないことが好ましい。水和アルミナ及び二
酸化ケイ素の合計量が160重量部を超えると、樹脂組成
物の粘度が高くなって、含浸性が低下する傾向があり、
好ましくない。
無機充填剤の全配合量は、エポキシ樹脂100重量部当
り、通常80〜400重量部程度、好ましくは120〜310重量
部程度である。無機充填剤の配合量が上記範囲より少な
くなると、本発明の所期の目的が達成され難くなり、一
方無機充填剤の配合量が上記範囲より多くなると、得ら
れる樹脂組成物の粘度が上昇するため、製品設計上好ま
しくない。
有機ホスフィン化合物(D)は、硬化促進剤として適
用される。このものは特に低粘度組成物を得るためには
有効である。
有機ホスフィン化合物としては、従来公知のもを広く
使用でき、例えば下記一般式(VII)で表わされる化合
物を挙げることができる。
[式中、R8、R9及びR10は、同一であっても異なってい
てもよく、夫々水素原子、アルキル基、フェニル基、ト
リル基のアリール基、シクロヘキシル基等のシクロアル
キル基、 (ここでRはアルキレン基を示す。R′及びR″は、同
一又は異なっていてもよく、夫々、水素原子、アルキル
基、フェニル基、トリル基等のアリール基又はシクロヘ
キシル基等のシクロアルキル基を示す。但し、R′及び
R″が共に水素原子である場合を除く。)等の有機ホス
フィンを含む有機基を表わす。但し、R8、R9及びR10
全て水素原子である場合を除く。] 斯かる有機ホスフィン化合物の具体例としては、トリ
フェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシク
ロヘキシルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等
の第3ホスフィン化合物、ブチルフェニルホスフィン、
ジフェニルホスフィン等の第2ホスフィン化合物、フェ
ニルホスフィン、オクチルホスフィン等の第1ホスフィ
ン化合物及びビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,
2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン等の第3ビス
ホスフィン化合物を例示できる。本発明では、上記有機
ホスフィン化合物を1種単独又は2種以上混合して使用
できる。上記有機ホスフィン化合物の中でもアリールホ
スフィン化合物が好ましく、トリフェニルホスフィン等
のトリアリールホスフィンが特に好適である。
有機ホスフィン化合物の配合量としては、エポキシ樹
脂100重量部当り、通常0.2〜5重量部程度、好ましくは
0.5〜3重量部程度である。有機ホスフィン化合物の配
合量が上記範囲より少なくなると、本発明の所期の目的
が達成され難くなり、有機ホスフィン化合物の配合量を
上記範囲より多くしても、効果上顕著な有意差はく、経
済性り点で好ましくない。
硬化促進剤成分として、有機ホスフィン化合物とアミ
ン系化合物とを併用することができる。
アミン系化合物を配合することにより、エポキシ樹脂
組成物の注型品に優れた耐湿性を付与することができ
る。
アミン系化合物としては、イミダゾール類及び第3級
アミン類が推奨される他、酸無水物系硬化剤と併用され
る各種化合物が使用できる。
イミダゾール類として、具体的には2−エチル−4−
メチルイミダゾール、2−メチルイミダール、1−ベン
ジル−2−メチルイミタゾール、2−ウンデシルイミダ
ゾール、2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル
−2−エチル−4−メチルイミダゾール等が例示され
る。
第3級アミンとして、具体的にはラウリルジメチルア
ミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルベンジルアミ
ン、ジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6−トリス
(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール(以下「DMP
−30」と略称する。)、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)
ウンデセン−7等が例示される。
又、これらのアミン系化合物の、ルイス酸塩、有機酸
塩及びアダクト化等による変性物も適当な化合物であ
る。
アミン系化合物の配合量としては、エポキシ樹脂100
重量部当り、0.2〜5重量部程度が好ましく、0.5〜3重
量部程度が特に好ましい。アミン系化合物の配合量が上
記範囲より少なくなると、所期の効果が発現され難くな
り、一方アミン系化合物の配合量が上記範囲より多くな
ると、ポットライフが短くなり、且つ硬化物の発熱量が
増加することにより内部応力が増加し、その結果硬化物
の歪みが生ずる等の問題を生じ、いずれも好ましくな
い。
本発明に係る無機充填剤の沈降を抑制若しくは防止す
る効果を有する各化合物(E)を具体的に例示する。
(1)の脂肪酸[一般式(I)]としては、カプリン
酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキ
ドン酸、ベヘニン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、エル
シン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸、ヒ
ドロキシステアリン酸、リシノール酸等の単体又はこれ
らの成分を含む天然脂肪酸及びその水素添加物、イソス
テアリン酸等が例示される。
(2)の二塩基酸[一般式(II)]としては、セバシン
酸、ドデカン二酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒド
ロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メ
チルテトラヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフ
タル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、ナジック
酸、フタル酸等が例示され、そのモノエステルとして
は、モノオレイルセバケート、モノブトキシエチル−3
−メチル−テトラヒドロフタレート、モノオレイルヘキ
サヒドロフタレート、モノ2−エチルヘキシルテトラヒ
ドフタレート等が例示できる。
(3)の亜リン酸エステル[一般式(III)]として
は、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニ
ル)ホスファイト、トリ−n−ブチルホスファイト、ト
リス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニル
モノデシルホスファイト、水素化ビスフェノールAホス
ファイトポリマー、トリラウリルトリチオホスファイ
ト、トリオレイルホスファイト等が例示できる。
(4)の亜リン酸エステル[一般式(IV)]としては、
ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイ
ドロゲンホスファイト等が例示できる。
(5)のアミン[一般式(V)]としては、ジメチルデ
シルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルステア
リルアミン、ジエチルラウリルアミン、メチルラウリル
アミン、ラウリルアミン、ステリルアミン、ジラウリル
アミン、トリラウリルアミン等が例示される。
(6)の脂肪酸アミド[一般式(VI)]としては、N,N
−ジメチルラウリルアミド、N,N−ジメチルステアリル
アミド、ステアリン酸アミド等が例示される。
上記の各化合物は、単独で用いても2種以上を併用し
ても差支えない。
適当な上記化合物の配合量は、無機充填剤の配合量に
よって適宜選択されるが、通常、エポキシ樹脂100重量
部当り0.03〜5重量部程度、好ましくは0.05〜3重量部
程度配合される。この範囲より少なければ所定の沈降防
止効果が得られにくく、多い場合には組成物の粘度が上
昇するため好ましくない。
本発明に係る樹脂組成物には、必要に応じて、その難
燃性を向上せしめる目的で難燃剤を配合することができ
る。
適当な難燃剤としては、例えば三酸化アンチモン等の
アンチモン系化合物、ヘキサブロモベンゼン、デカブロ
モジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノール
A、臭素化クレゾールモノグリシジルエーテル等のハロ
ゲン系化合物、赤リン等のリン系化合物を挙げることが
できる。
難燃剤の添加部数は、そり種類により適宜選択され、
例えば、エポキシ樹脂100重量部に対して赤リンでは2
〜50重量部程度、三酸化アンチモンの場合は3〜40重量
部程度、ハロゲン化合物では5〜50重量部程度使用され
る。これらの難燃剤は、夫々単独で用いても良く、2種
以上を併用しても良い。
更に、本発明の樹脂組成物には、天然若しくは合成ワ
ックス類、金属石鹸、脂肪酸アミド類、エステル類、パ
ラフィン類等の離型剤、カーボンブラック等の着色剤、
シランカップリング剤、希釈剤、消泡剤、可塑剤、酸化
防止剤等を適宜配合することができる。
本発明に係る樹脂組成物は、例えば次のようにして調
整される。
即ち、所定量のエポキシ樹脂及び無機充填剤を常温下
又は加温下にヘンシェルミキサー、バンバリーミキサ
ー、エクストルーダー、熱ロール、ニーダー等の混合機
により混合処理し、これにカルボン酸無水物系硬化剤、
有機ホスフィン系硬化促進剤及び沈降防止剤、必要なら
ば難燃剤を所定量添加すればよい。この際、原料成分の
配合順序は問わず、又、所定の原材料を一度に配合して
樹脂組成物を調製してもよい。更に、必要に応じて常温
下若しくは加温下において系を減圧にして脱気してもよ
い。
かくして得られるエポキシ樹脂組成物は、低粘度であ
るにもかかわらず無機充填剤の沈降がなく、その結果含
浸性が良好であると共に、絶縁性、耐湿性、易硬化性、
熱衝撃性、熱伝導性、難燃性等の諸特性に優れた硬化物
を得ることができる。
従って、本発明のエポキシ樹脂組成物は、フライバッ
クトランスの注型の他、コイル、コンデンサ等の各種電
気部品の注型等、絶縁性が特に要求される分野において
有効に使用できる。
[実施例] 以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を詳しく説明
する。
尚、各エポキシ樹脂組成物の特性評価は以下の方法に
より行なった。
粘度(ポイズ、P):25℃の温度条件下において、B型
粘度計により測定した。
含浸性:直径40μのエナメル線を200回巻いたボビンに
エポキシ樹脂組成物を50℃、3mmHgの真空下で含浸させ
た後、80℃−3時間次いで110℃−3時間の条件で硬化
物を得た。次に、この硬化物を巻線に垂直に切断し、次
式に従い含浸率を算出した。
含浸率(%)=[1−(切断面のボイドの数/切断面の
巻線の数)]×100 硬化物の吸湿性:エポキシ樹脂組成物を80℃−3時間次
いで110℃−3時間の硬化条件で得た硬化物の吸湿性を
プレッシャークッカーテスト(測定条件1:121℃、1.2kg
/cm2、50時間)により測定した。
硬化物の均質性:エポキシ樹脂組成物を高さ80mm、直径
15mmの円柱状に硬化し、これを上中下3層に切りJISK−
6911に従い各々の比重を測定した。次いで、下層部分の
比重から上層部分の比重を引いた値の大小により硬化時
における無機充填剤の沈降抑制の程度を評価した。
難燃性:1.5mm厚の硬化物をUL94規格に従い垂直燃焼試験
を行なった。
実施例1 エポキシ樹脂(1)としてビスフェノールA型エポキ
シ樹脂(エポキシ当量190)80重量部、エポキシ樹脂
(2)としてジグリシジルエーテル型希釈剤(エポキシ
当量150)20重量部、無機充填剤として水和アルミナ
(平均粒子径3.5μ)130重量部及び炭酸カルシウム(平
均粒子径3μ)60重量部、難燃剤としてヘキサブロベン
ゼン30重量部及び三酸化アンチモン10重量部を攪拌混合
して得た主剤と、カルボン酸無水物であるMe−THPA(リ
カシッドMT500:新日本理化(株)製)82重量部とトリフ
ェニルホスフィン2重量部、沈降防止剤としてオレイン
酸0.5部を溶解して得た硬化剤液を配合してエポキシ樹
脂組成物を得た。このものの粘度、含浸性、硬化物の吸
湿性、均質性及び難燃性を上記の方法に従って測定し
た。得られた結果を第1表に示す。
実施例2〜7 エポキシ樹脂(1)、エポキシ樹脂(2)、Me−THP
A、Me−HHPA(リカシッドMH−700:新日本理化(株)
製)、水和アルミナ、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素
(平均粒子径9μ)、難燃剤、硬化促進剤、沈降防止剤
を第1表に示した組成で配合して実施例1と同様にエポ
キシ樹脂組成物を調製し、このものの各種特性を測定し
た。得られた結果を第1表に示す。
実施例8〜16 沈降防止剤の種類、添加量を種々変更し、実施例1に
準じてエポキシ樹脂組成物を得た。この配合物の粘度と
硬化物の均質性(無機充填剤の沈降抑制の程度)を測定
した。得られた結果を第2表に示す。
比較例1 硬化促進剤にDMP−30を使用し、沈降防止剤を添加し
ない以外は実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を
得てその特性を評価した。得られた結果を第1表に示
す。
比較例2 硬化促進剤にDMP−30を使用し、炭酸カルシウムを配
合せず沈降防止剤を使用しない以外は実施例5と同様に
エポキシ樹脂組成物を得てその特性を評価した。得られ
た結果を第1表に示す。
比較例3 硬化促進剤にDMP−30を使用し、沈降防止剤を用いな
い以外は実施例3と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得
てその特性を評価した。得られた結果を第1表に示す。
比較例4 沈降防止剤としてオレイン酸を使用しない以外は実施
例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得てその特性を
評価した。得られた結果を第1表に示す。
比較例5 沈降防止剤の種類、添加量を種々変更し、実施例1に
準じてエポキシ樹脂組成物を得た。この配合物の粘度と
硬化物を均質性を測定した。得られた結果を第2表に示
す。比較例6におけるカプロン酸及び比較例7における
ジメチルヘキシルアミンは、夫々、アルキル鎖長の短い
化合物の一例として配合してものである。尚、比較例8
において配合した「エロジル#200」は、日本アエロジ
ル(株)製の超微粉末二酸化ケイ素である。
[発明の効果] 本発明に係る液状エポキシ樹脂組成物は、低粘度であ
るにもかかわらず、保存中及び加熱硬化中の無機充填剤
の沈降を防止又は抑制することができる。そのため、フ
ライバックトランス、スイッチングトランス等の電気部
品の注型に際して、含浸性が向上し、得られた硬化物も
均質であり、かつ耐湿性に優れたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 5/10 C08K 5/10 5/17 5/17 5/20 5/20 5/51 NLB 5/51 NLB C08L 63/00 NKC C08L 63/00 NKC

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の(A)〜(E)を必須成分とし、必
    要に応じて(F)成分を配合してなることを特徴とする
    液状エポキシ樹脂組成物。 (A)エポキシ樹脂、 (B)液状カルボン酸無水物 (C)水和アルミナ及び炭酸カルシウムを含む無機充填
    剤、 (D)有機ホスフィン化合物、 (E)(1)〜(8)に表わされる化合物の1種又は2
    種以上の混合物、 (7)ダイマー酸 (8)ロジン [上記各一般式において、R1は、ヒドロキシル基を有し
    ていてもよい直鎖状若しくは分枝状である炭素数9〜24
    のアルキル基又はアルケニル基を表わす。R2は、直鎖状
    若しくは分枝状である炭素数6〜26のアルキル基、シク
    ロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基を表わ
    す。R3、R4及びR5は、水素原子又は同一若しくは異なっ
    ていてもよい直鎖状若しくは分枝状である炭素数1〜26
    のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シク
    ロアルケニル基、アリール基及びこれらのアルキレンオ
    キサイド付加物を表わす。但し、R3、R4、R5のすべてが
    水素原子であることはない。R6、R7は、同一若しくは異
    なっていてもよく、夫々、水素原子、ヒドロキシル基を
    有していてもよい直鎖状若しくは分枝状である炭素数1
    〜24のアルキル基又はアルケニル基を表わす。] (F)アンチモン系化合物、ハロゲン系化合物、リン系
    化合物の1種又は2種以上の混合物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100365048C (zh) * 2003-05-15 2008-01-30 长兴化学工业股份有限公司 具有高介电常数的树脂组合物及其使用方法
US11505678B2 (en) 2016-11-07 2022-11-22 Omya International Ag Use of mono-substituted succinic anhydride

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