JP3646955B2 - 柱脚部の防水構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋上やバルコニーやベランダ等の建築物の屋外部分の床を支える梁に固定されて、前記床の周縁上部に設けられる腰壁や手摺の支持柱を固定する柱脚部の防水構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、屋上やバルコニーやベランダ等の建築物の屋外部分の周縁には、腰壁や手摺が設けられており、これら腰壁や手摺は支持柱によって支えられている。
【0003】
図1において、鉄骨造の建築物の場合、その支持柱20の底部は柱脚部Sに固定され、この柱脚部Sの底部は躯体の梁10に固定されている。
【0004】
そこで、その柱脚部Sおよびその周辺部分の構造を説明する。
柱脚部Sは、柱部S1とその上下端のフランジ部S2,S3とからなる。柱脚部Sの取付けは、下端のフランジ部S3が梁10にボルト・ナット40で固定されることによってなされる。上端のフランジ部S2は、支持柱20の底部を固定するのに使用される。また、柱脚部Sの取付けと同時に外壁30も取付けられる。
【0005】
柱脚部Sおよび外壁30が取付けられた後、屋上やバルコニーやベランダ等の床が施工される。この施工は、図9に示すように、まず、ALC等の床材11が梁10の上面に固定される。その後、例えば断熱材12,不燃板13,防水シート14,排水マット15,およびプレキャストブロック16等が順に載置される。
【0006】
特に前記防水シート14は、前記柱脚部Sの柱部S1の表面や外壁30の裏面および上端面等にも貼設され、雨水等の水が柱脚部Sの柱部S1の表面や外壁30を伝わって建築物内部に浸入することを防いでいる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の技術では、地震等の振動や変化する天候等により防水シート14が柱脚部Sの柱部S1の表面から剥がれて、柱部S1の表面と防水シート14との間に隙間ができると、その隙間から雨水等の水が毛細管現象により建築物内部に浸入するおそれがある。雨水等の水が建築物内部に浸入すると、梁10等の躯体を腐食させ、建築物の強度を弱める。
【0008】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、防水性の高い柱脚部の防水構造を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の柱脚部の防水構造は、柱脚部の上部表面にシーリング剤を塗布し、このシーリング剤の上から、少なくとも表面がポリ塩化ビニル等の合成樹脂でできている帯状の取付けシートを、その両端部が重なるように貼設し、少なくともこの取付けシートの両端部が重なった部分に固着具を打ち込み、この取付けシートの表面の合成樹脂と同種類の合成樹脂でできている防水部材を、その上端縁と前記取付けシートの上端縁とが略一致するようにして、溶着して取付け、更に、前記取付けシートおよび前記防水部材の上端縁部分をコーキングする防水構造である。
【0010】
また、柱脚部の上部表面にシーリング剤を塗布し、このシーリング剤の上から、少なくとも表面がポリ塩化ビニル等の合成樹脂でできている帯状の取付けシートを、その両端部が重なるように貼設し、少なくともこの取付けシートの両端部が重なった部分に固着具を打ち込み、前記取付けシートの表面の合成樹脂と同種類の合成樹脂でできていて、前記取付けシートの幅よりも幅が大きい仲介シートを、その上端縁と前記取付けシートの上端縁とが略一致するようにして溶着して巻き付け、この仲介シートの上から、その下部が重なるように、この仲介シートと同種類の合成樹脂でできている防水部材を溶着して取付け、更に、前記取付けシートおよび前記仲介シートの上端縁部分をコーキングしてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明するが、図2〜4,6,7では、図1に示す柱脚部Sの上端のフランジ部S2およびこのフランジ部S2に固定される支持柱20を省略している。
【0012】
まず、上記従来の技術と同様にして、図1に示すように、柱脚部Sが梁10にボルト・ナット40で固定される。そして、図9に示すように、ALC等の床材11が梁10の上面に固定された後、例えば断熱材12,不燃板13,および防水シート14が順に載置される。
【0013】
このとき、防水シート14の載置は従来の技術と異なり、柱脚部Sの柱部S1の表面には貼設されず、図2に示すように、柱脚部Sの柱部S1を回避して載置される。なお、防水シート14は、一般にポリ塩化ビニル等の合成樹脂でできている。
【0014】
次に、柱脚部Sの柱部S1の上部表面である図2の斜線部分Aにシーリング剤が塗布され、このシーリング剤の上から帯状の取付けシート1が貼設される。この取付けシート1は、帯状の薄い鋼板の表面および裏面に、前記防水シート14と同種類の合成樹脂のフィルムが貼着される等してできている。取付けシート1の貼設は、取付けシート1の両端部が重なるように行われる。
【0015】
なお、前記シーリング剤にはシリコンが適しているが、シーリング作用のある接着剤やシーリング作用のある両面テープであるブチルテープ等も前記シーリング剤に含まれる。
【0016】
取付けシート1が貼設された後は、図3に示すように、取付けシート1の両端部が重なった部分にリベット等の固着具2が打ち込まれ、取付けシート1が確実に固着される。この固着具2は、必要に応じて取付けシート1の他の位置にも打ち込まれてもよい。
【0017】
その後、図4に示すように、防水部材3が、その上端縁と前記取付けシート1の上端縁とが略一致するようにして、溶着されて取付けられる。この防水部材3は、前記取付けシート1の表面の合成樹脂と同種類の合成樹脂でできた成型品で、筒状部分3aとその一端部に形成されたフランジ部分3bとからなる。
【0018】
防水部材3の取付けは、この防水部材3に1本の切れ目を縦に入れ、この切れ目を開き、この開いた切れ目から前記柱脚部Sの柱部S1および取付けシート1を入れるようにして取付けてもいいし、図4に示すように、もう1本別の切れ目を縦に入れて防水部材3を2分割にし、この2分割された防水部材3で柱脚部Sの柱部S1および取付けシート1を挟むようにして取付けてもよい。そして、この取付け後、前記切れ目がコーキングされる。
【0019】
また、防水部材3の取付けは溶着で行われる。この溶着は、取付けシート1の表面およびこの表面と当接する防水部材3の筒状部分3aの内面、ならびに、防水部材3のフランジ部分3bの底面およびこの底面と当接する部分の防水シート14が熱風や炎等で溶かされてなされる。このように溶着が可能となるように、防水シート14,取付けシート1の表面,および防水部材3が同種類の合成樹脂でできている。
【0020】
防水部材3が溶着されて取付けられた後は、図5に示すように、取付けシート1および防水部材3の上端縁部分Bがコーキングされて、柱脚部Sの防水構造が完成する。そしてその後は、上記従来の技術と同様に、例えば排水マット15,およびプレキャストブロック16等が順に載置される。
【0021】
次に、他の実施の形態について説明するが、上述した実施の形態と異なる部分について主に説明し、同一部分又は相当部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
図6に示すように、柱脚部Sの柱部S1の上部に貼設された取付けシート1と防水シート14との距離が大きい場合は、仲介シート4を使用してもよい。すなわち、上述した実施の形態と同様にして取付けシート1にリベット等の固着具2が打ち込まれた後、仲介シート4が、その上端縁と取付けシート1の上端縁とが略一致するようにして、溶着されて巻き付けられる。
【0022】
この仲介シート4は、取付けシート1の表面の合成樹脂と同種類の合成樹脂でできている。仲介シート4の取付けシート1への溶着は、取付けシート1の表面およびこの表面と当接する仲介シート4の内面が熱風や炎等で溶かされてなされる。
【0023】
仲介シート4が溶着されて巻き付けられた後は、図7に示すように、防水部材3が、上述した実施の形態と同様にして、溶着されて取付けられる。すなわち、この溶着は、防水部材3の筒状部分3aの内面と上端縁およびこの内面と当接する仲介シート4の表面、ならびに、防水部材3のフランジ部分3bの底面およびこの底面と当接する部分の防水シート14が熱風や炎等で溶かされてなされる。
【0024】
防水部材3が溶着されて取付けられた後は、図8に示すように、上述した実施の形態と同様にして、取付けシート1および仲介シート4の上端縁部分Bがコーキングされて、柱脚部Sの防水構造が完成する。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の柱脚部の防水構造によれば、取付けシート,防水部材,および防水シートが溶着によって一体となり、その上端部はコーキングされ、その内面はシーリング剤によってシーリングされているので、防水性が高く、また、取付けシートが固着具によって確実に固着されているので、その一体となったものがずれたり動いたりすることがない。
【0026】
また、請求項2の柱脚部の防水構造によれば、取付けシート,仲介シート,防水部材,および防水シートが溶着によって一体となり、その上端部はコーキングされ、その内面はシーリング剤によってシーリングされているので、防水性が高く、また、取付けシートが固着具によって確実に固着されているので、その一体となったものがずれたり動いたりすくことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防水構造が施される柱脚部の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す柱脚部の防水構造の施工工程の斜視図である。
【図3】同柱脚部の防水構造の施工工程の斜視図である。
【図4】同柱脚部の防水構造の施工工程の斜視図である。
【図5】同柱脚部の防水構造の断面図である。
【図6】本発明の他の実施の形態の柱脚部の防水構造の施工工程の斜視図である。
【図7】同柱脚部の防水構造の施工工程の斜視図である。
【図8】同柱脚部の防水構造の断面図である。
【図9】従来の技術の柱脚部の防水構造の断面図である。
【符号の説明】
B 上端縁部分
S 柱脚部
1 取付けシート
2 固着具
3 防水部材
4 仲介シート
10 梁
20 支持柱
Claims (2)
- 屋上やバルコニーやベランダ等の建築物の屋外部分の床を支える梁に固定されて、前記床の周縁上部に設けられる腰壁や手摺の支持柱を固定する柱脚部において、
前記柱脚部の上部表面にシーリング剤を塗布し、
前記シーリング剤の上から、少なくとも表面がポリ塩化ビニル等の合成樹脂でできている帯状の取付けシートを、その両端部が重なるように貼設し、
少なくとも前記取付けシートの両端部が重なった部分に固着具を打ち込み、
前記取付けシートの表面の合成樹脂と同種類の合成樹脂でできている防水部材を、その上端縁と前記取付けシートの上端縁とが略一致するようにして、溶着して取付け、
更に、前記取付けシートおよび前記防水部材の上端縁部分をコーキングすることを特徴とする前記柱脚部の防水構造。 - 屋上やバルコニーやベランダ等の建築物の屋外部分の床を支える梁に固定されて、前記床の周縁上部に設けられる腰壁や手摺の支持柱を固定する柱脚部において、
前記柱脚部の上部表面にシーリング剤を塗布し、
前記シーリング剤の上から、少なくとも表面がポリ塩化ビニル等の合成樹脂でできている帯状の取付けシートを、その両端部が重なるように貼設し、
少なくとも前記取付けシートの両端部が重なった部分に固着具を打ち込み、前記取付けシートの表面の合成樹脂と同種類の合成樹脂でできていて、前記取付けシートの幅よりも幅が大きい仲介シートを、その上端縁と前記取付けシートの上端縁とが略一致するようにして溶着して巻き付け、
前記仲介シートの上から、その下部が重なるように、前記仲介シートと同種類の合成樹脂でできている防水部材を溶着して取付け、
更に、前記取付けシートおよび前記仲介シートの上端縁部分をコーキングすることを特徴とする柱脚部の防水構造。
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