JP3644114B2 - 電磁機器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、漏洩変圧器などの電磁機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術に係る漏洩変圧器である電磁機器の構成部品を図6を参照して説明する。
【0003】
5はけい素鋼板などからなるE形をした鋼板5aを積層したE形鉄心で、中央部に中央脚鉄心6が形成されている。10はけい素鋼板などからなるI形をした鋼板10aを積層したI形鉄心である。15はけい素鋼板などからなる略I形をした鋼板15aを積層したパスコアで、長手方向両端には略半円形をした嵌合凹部16,16がそれぞれ形成されている。
【0004】
20は絶縁材料である例えばエポキシ材からなる第1のコイルボビンで、両端に外郭が略矩形型をしたフランジ部21,21がそれぞれ形成された断面略コ字状をした電線巻回部22と、この電線巻回部22と直交する中心軸に形成された矩形型をした嵌合孔23と、この嵌合孔23を挟んで前記E形鉄心5の積層面7,7と対向して一方側のフランジ部21aの表面に対向してそれぞれ立設された突出片24,24とからなる。
【0005】
さらに、これら突出片24,24の裏面には、対向してそれぞれ前記パスコア15に形成された嵌合凹部16,16と嵌合する略半円形をした嵌合凸部25,25がそれぞれ突出形成されている。
【0006】
30は絶縁材料である例えばエポキシ材からなる第2のコイルボビンで、両端に外郭が略矩形型をしたフランジ部31,31がそれぞれ形成された断面略コ字状をした電線巻回部32と、この電線巻回部32と直交する中心軸に形成された矩形型をした嵌合孔23とから形成されている。
【0007】
前記第1のコイルボビン20および第2のコイルボビン30の電線巻回部22および電線巻回部32にそれぞれ電線12を巻回した1次コイル45および2次コイル50にE形鉄心5とI形鉄心10およびパスコア15,15を組合わせて形成されている。
【0008】
つぎに、漏洩変圧器などの電磁機器の組立て方法を説明する。
【0009】
最初に、1次コイル45の突出片24,24にそれぞれ形成された嵌合凸部25,25,25,25に一対のパスコア15の嵌合凹部16,16をそれぞれ嵌入して、1次コイル45の嵌合孔23を挟んだ両側のフランジ部21a,21aに対向して一対のパスコア15,15をそれぞれ保持させる。
【0010】
1次コイル45のパスコア15が保持されたフランジ部21aと対向させて2次コイル50のフランジ部31を配置し、1次コイル45の嵌合孔23と2次コイル50の嵌合孔23にE形鉄心5の中央脚鉄心6をそれぞれ嵌入するとともに、このE形鉄心5の先端面5bにI形鉄心10を突合せて位置合わせをする。最後に、E形鉄心5とI形鉄心10との接合縁を電気溶接で接合(図示せず)し、漏洩変圧器などの電磁機器の組立てる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように従来の電磁機器である第1のコイルボビン20の電線巻回部22に電線12を巻線機などで巻回する際、この電線12に張力を加えて電線巻回部22に電線12を巻回するため、電線巻回部22の両端に形成されているフランジ部21,21が、図7に示すように、外側に拡開してそれぞれ拡がることがある。フランジ部21,21が外側に拡開してそれぞれ拡がると、フランジ部21aに対向してそれぞれ立設されている突出片24,24が、突出片24,24間の距離を狭める方向に変形する。そのため、突出片24,24にそれぞれ突出形成されている嵌合凸部25,25間の距離L2は、パスコア15の長手方向両端にそれぞれ形成されている嵌合凹部16,16の底部間の距離L1より狭くなる。このような場合には、パスコアが突出片間に嵌入されないという問題があった。
【0012】
この問題を解決する第1の手段として、パスコア15の長手方向の寸法を短くする方法が考えられるが、図8に示すように、突出片24の根元部24aは殆ど変形せず、突出片24,24間の距離が、突出片24の先端側に行く程狭まくなるように変形する。そのため、パスコア15の嵌合凹部16,16を突出片24,24の嵌合凸部25,25に嵌入させて、パスコア15を突出片24,24間に組立てると、突出片24の嵌合凸部25の根元側に行くほど、パスコアの嵌合凹部と突出片の嵌合凸部との間のギャツプが大きくなる。
【0013】
この場合には、パスコアの嵌合凹部と突出片の嵌合凸部との嵌合は、突出片の根元側ではガタが生じ、エアギャップが変化して特性が悪化する恐れがあるという問題があった。
【0014】
また、第2の手段として、治具を使用して突出片の嵌合凸部間の間隔を拡げたのちに、パスコアを突出片間に嵌入することも考えられる。
【0015】
この場合には、治具を使用するため、作業性が悪くなるという問題があった。
【0016】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、治具を使用しないで、簡単に組立てが出来るとともに、特性が変化しない電磁機器を提供することを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するために、本発明の電磁機器は、両端にそれぞれフランジ部が形成された電線巻回部とこの電線巻回部の中心に嵌合孔を有するコイルボビンを一対設け、これらコイルボビンの電線巻回部に電線を巻回して1次コイルと2次コイルをそれぞれ形成し、これら1次コイルおよび2次コイルの対向するフランジ部間に前記嵌合孔に嵌入された中央脚鉄心を挟んで両側にパスコアを対向させてそれぞれ配置するとともに前記中央脚鉄心と連続して閉磁気回路を構成する側脚鉄心を有する漏洩変圧器であって、前記1次コイルおよび2次コイルの対向するフランジ部のいずれか一方のフランジ部に突出片を対向してそれぞれ立設し、これら突出片と対向するパスコアの長手方向両端にそれぞれ嵌合凸部または嵌合凹部を設けるとともに、前記突出片には前記パスコアの嵌合凸部または嵌合凹部と嵌合する嵌合凹部または嵌合凸部をそれぞれ設け前記パスコアを前記突出片間にそれぞれ保持させた電磁機器において、前記対向する突出片にこれら突出片間の距離を狭める傾斜面を前記中央脚鉄心の嵌入方向に沿って形成した押し拡げ部をそれぞれ設けたことを特徴とするものである。
【0018】
上記の構成において、1次コイルに形成された一対の突出片に突設形成された三角形状の押し拡げ部を設けたことにより、1次コイルの嵌合孔にE形鉄心の中央脚鉄心を嵌入する際、E形鉄心の中央脚鉄心で突出片の押し拡げ部を外方にそれぞれ押し拡げ、パスコアを突出片の嵌合凸部に治具を使用することなく簡単に嵌入することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図1ないし図5を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
図1はE形鉄心とI形鉄心を使用した本発明の一実施の形態に係る電磁機器の構成を示す分解斜視図である。なお、従来技術と同一の構成部品は同一の番号を付して説明する。
【0021】
第1のコイルボビン20には、第1のコイルボビン20の嵌合孔23を挟んで、突出片24,24間の距離を狭める方向に傾斜面61を有する三角形をした押し拡げ部60を対向して突出片24,24に対向してそれぞれ形成されている。この押し拡げ部60の稜線部62は、図3に示すように、前記嵌合孔23を延長した面と略同一の位置して形成されている。
【0022】
つぎに、電磁機器の組立て方法を説明する。
【0023】
最初に、第1のコイルボビン20および第2のコイルボビン30の電線巻回部22および電線巻回部32に電線12をそれぞれ巻回し、1次コイル45および2次コイル50を形成する。
【0024】
E形鉄心5の中央脚鉄心6を1次コイル45の突出片24が形成されていない側から、嵌合孔23に嵌入させるとともに、一対のパスコア15,15の嵌合凹部16,16を突出片24,24の嵌合凸部25,25にそれぞれ嵌入させて、E形鉄心5の中央脚鉄心6の両側に一対のパスコア15,15を配置する。
【0025】
つぎに、2次コイル50の嵌合孔23をE形鉄心5の中央脚鉄心6に嵌入するとともに、このE形鉄心5の先端面5bにI形鉄心10を当接させて位置合わせをする。最後に、E形鉄心5とI形鉄心10との接合縁を電気溶接で接合し、漏洩変圧器などの電磁機器を組立てる。上記のように、1次コイル45および2次コイル50の嵌合孔23に中央脚鉄心6が配置されるとともに、この中央脚鉄心6と連続して閉磁気回路を構成する側脚鉄心が1次コイル45および2次コイル50の周囲に配置されている。
【0026】
また、前記E形鉄心5およびI形鉄心10に代えて、図2に示すように、けい素鋼板などからなるT形をした鋼板を積層したT形鉄心52およびけい素鋼板などからなるL形をした鋼板を積層した一対のL形鉄心53,53を使用しても同一の作用効果を奏する。
【0027】
次に上記実施の形態の作用を説明する。
【0028】
第1のコイルボビン20の電線巻回部22に電線12を巻線機などで巻回する際、この電線12に張力を加えて電線巻回部22に電線12が巻回されるため、電線巻回部22の両端に形成されているフランジ部21,21が、図4に示すように、外側に拡開して拡がることがある。フランジ部21,21が外側に拡開して拡がると、フランジ部21,21に対向してそれぞれ立設されている突出片24,24が、突出片24,24間の距離を狭める方向に変形し、突出片24,24に突出形成されている嵌合凸部25,25間の距離が狭まる方向に変形するとともに、第1のコイルボビン20の嵌合孔23を挟んで突出片24,24間の距離を狭める方向に傾斜面61,61を有して形成されている三角形をした押し拡げ部60,60の稜線部62,62が、前記嵌合孔23を延長した面より内方側の位置までそれぞれ変形する。
【0029】
つぎに、図5に示すように、第1のコイルボビン20の突出片24が形成されていない側から、中央脚鉄心6を第1のコイルボビン20の嵌合孔23に嵌入させていくと、中央脚鉄心6の先端が、第1のコイルボビン20の嵌合孔23を挟んで突出片24,24間の距離を狭める方向に変形している押し拡げ部60,60の傾斜面61,61に突当る。さらに、中央脚鉄心6を押し込んでいくと、中央脚鉄心6が押し拡げ部60,60の傾斜面61,61を押圧しながら、突出片24,24の根元部24a,24aを支点として外側方向に突出片24,24をそれぞれ押し拡げていく。さらに、中央脚鉄心6を押し込んでいくと、中央脚鉄心6の積層方向の積層面7,7にそれぞれ押し拡げ部60,60の稜線部62,62が当接し、突出片24,24をそれぞれ元の位置に復くする。
【0030】
そのため、突出片24,24に形成されている嵌合凸部25,25も元の位置に復するので、パスコア15の長手方向両端にそれぞれ形成された嵌合凹部16,16を突出片24の嵌合凸部25,25に嵌入でき、パスコア15を第1のコイルボビン20の突出片24,24間に、容易に嵌入・保持することができる。
【0031】
このため、中央脚鉄心6を第1のコイルボビン20の嵌合孔23に嵌入させるだけで、内方側にそれぞれ変形している突出片24,24を元の位置に復することができ、治具を使用しないで、簡単に、パスコアをコイルボビンの突出片間に組立てることができる。
【0032】
さらに、パスコアの嵌合凹部と突出片の嵌合凸部とは、ガタなく組立てられるので、中央脚鉄心とパスコア、およびパスコアと側脚鉄心との間のギャップは変化しないので、特性も変化しない。
【0033】
【発明の効果】
以上詳記したように本発明によれば、突出片間の距離を狭める方向に傾斜面を先端に向けて形成した押し拡げ部を突出片に設けたので、コイルボビンの電線巻回部に電線を巻回する際、コイルボビンの両側にそれぞれ設けられたフランジ部が外側に拡開して変形しても、中央脚鉄心をコイルボビンの嵌合孔に嵌入させる際、この中央脚鉄心が突出片に設けた押し拡げ部により、突出片を略元の位置に復元させるので、パスコアの嵌合凹部と突出片の嵌合凸部とは、ガタなく組立てできるので、治具を使用しないで、簡単に、パスコアをコイルボビンの突出片間に組立て出来る。
【0034】
さらに、中央脚鉄心とパスコア、およびパスコアと側脚鉄心との間のギャップが変化しないので、特性も変化しない。
【0035】
なお、パスコアと突出片間との嵌合は、パスコアの長手方向両端にそれぞれ嵌合凸部を設け、このパスコアの嵌合凸部に対向する突出片にそれぞれ嵌合凹部を形成したものでも上記実施の形態と同一の作用・効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】E形鉄心とI形鉄心を使用した本発明の一実施の形態に係る電磁機器の構成を示す分解斜視図。
【図2】略T字形鉄心と略L字形鉄心を使用した本発明の一実施の形態に係る電磁機器の構成を示す分解斜視図。
【図3】同実施の形態における第1のコイルボビンを示す断面図。
【図4】同実施の形態における1次コイルにE形鉄心およびパスコアを嵌入前の状態を示す正面図。
【図5】同実施の形態における1次コイルにE形鉄心を嵌入し、パスコアを1次コイルに嵌入させる前の状態を示す正面図。
【図6】従来技術に係る電磁機器の構成を示す分解斜視図。
【図7】同上従来技術に係る1次コイルにパスコアを嵌入させる前の状態を示す正面図。
【図8】同上従来技術に係る1次コイルにパスコアを嵌入させた状態を示す断面図。
【符号の説明】
6…中央脚鉄心,
12…電線,
15…パスコア,
16…嵌合凹部,
21…フランジ部,
23…嵌合孔,
24…突出片,
25…嵌合凸部,
31…フランジ部,
45…1次コイル,
50…2次コイル,
60…押し拡げ部,
61…傾斜面。

Claims (1)

  1. 両端にそれぞれフランジ部が形成された電線巻回部とこの電線巻回部の中心に嵌合孔を有するコイルボビンを一対設け、
    これらコイルボビンの電線巻回部に電線を巻回して1次コイルと2次コイルをそれぞれ形成し、これら1次コイルおよび2次コイルの対向するフランジ部間に前記嵌合孔に嵌入された中央脚鉄心を挟んで両側にパスコアを対向させてそれぞれ配置するとともに前記中央脚鉄心と連続して閉磁気回路を構成する側脚鉄心を有する漏洩変圧器であって、
    前記1次コイルおよび2次コイルの対向するフランジ部のいずれか一方のフランジ部に突出片を対向してそれぞれ立設し、
    これら突出片と対向するパスコアの長手方向両端にそれぞれ嵌合凸部または嵌合凹部を設けるとともに、
    前記突出片には前記パスコアの嵌合凸部または嵌合凹部と嵌合する嵌合凹部または嵌合凸部をそれぞれ設け前記パスコアを前記突出片間にそれぞれ保持させた電磁機器において、
    前記対向する突出片にこれら突出片間の距離を狭める傾斜面を前記中央脚鉄心の嵌入方向に沿って形成した押し拡げ部をそれぞれ設けたことを特徴とする電磁機器。
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