JPH02897Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は小型高電圧発生変換器に係り、特に漏
洩磁路を構成する短冊状のリーケージコアを支持
する構造の改良に関するものである。

一般にネオントランスとか燃料点火用トランス
等の小型高電圧発生変圧器は、例えば第１図に示
すように、１対のＥ型とＥ型の磁性鋼板を適当に
積み重ねて設けた鉄心１の中央脚１ａにそれぞれ
所要のコイル２，３を挿入し、これらコイル２，
３を備えた上記鉄心１のそれぞれの脚部切断端面
同志を衝合させて、上記コイル２，３を鉄心１の
側脚１ｂにより囲繞し、コイル２，３間におい
て、しかも、中央脚１ａと各側脚１ｂとの間に短
冊状のリーケージコア４を介挿させて構成されて
いる。然るに、上記構成の変圧器においては、短
冊状のリーケージコア４をコイル２，３間におけ
る鉄心１の中央脚１ａと側脚１ｂとの間に一枚づ
つ挿入して積層していたので作業効率が非常に悪
かつた。又、リーケージコア４はコイル２，３間
に挾持されているだけであるため、コイルとか鉄
心が振動したりすると、上記リーケージコア４が
移動して変圧器の特性を変化させる虞れがあつ
た。上述の欠点を解消するために、リーケージコ
ア４を例えばコ字状の絶縁部材に収納してコイル
２，３間に挾持させることによつて、リーケージ
コアの取付けを簡易にしたり、移動を防止するよ
うにしたものも考案されているが、上記リーケー
ジコアを収納した絶縁部材はコイル２，３の押圧
によつて挾持されているのみであるため、製作途
中で振動等によつてコイル２，３の位置がずれた
りするとコイル間より脱落する虞れがあり、この
場合は、再組立を行う必要があるため、作業能率
を向上させることは困難であつた。その上、リー
ケージコアを収納するための絶縁部材を特別に必
要としていたので、不経済であつた。

本考案は上述の欠点を除去して、短冊状のリー
ケージコアを絶縁物からなる特別な支持部材を使
用することなく、所要のコイル間に振動や機械的
衝撃によつて脱落しないように支持するようにし
たリーケージコアの支持構造を備えた小型高電圧
発生変圧器を提供するもので、以下、本考案の実
施例を第２図乃至第４図により説明すると、１１
は本案変圧器の本体で、一対のＥ型の磁性鋼板を
適当枚数積層して設けた鉄心１２と、これら鉄心
１２のそれぞれの中央脚１２ａに挿入される例え
ば１次コイル１３，２次コイル１４と、上記コイ
ル１３，１４間に介在される短冊状のリーケージ
コア１５とによつて構成されている。そして、上
記鉄心１２を形成する一方のＥ型鉄心１２ｃの中
央脚１２ａに挿入される１次コイル１３は、第４
図に示すように、１次コイル用ボビン１６に巻回
されて設けられており、この１次コイル用ボビン
１６は、胴部の両側に鍔板１６ａ，１６ｂが一体
に形成され、一方の鍔板１６ａ上面には、Ｌ型の
ピン端子１７を挿着した端子１８が鍔板１６ａの
上方に向けて一体に突設されており、又、他方の
鍔板１６ｂ下面には、ボビン１６の鉄心挿入孔１
６′を第４図において左右方向から挾むような状
態で、リーケージコア１５の長さ寸法Ｌおよび積
厚寸法と相当する寸法で４枚の支持板１９が、
鉄心１１の積層方向に沿つて上記リーケージコア
１５の長さの寸法Ｌの間隔を保つて、上記鍔板１
６ｂと一体となつて下方に突出形成されている。
２０は鍔板１６ｂの側端の一部をコ字状に切欠い
た切欠溝、２１ａ，２１ｂ，２１ｃは切欠溝２０
に近接する鍔板１６ｂの側端縁と各端子１８の端
縁とにそれぞれ突設された口出線１３ａ，１３ｂ
等の取付片である。尚、高電圧出力発生用の２次
コイル１４は１次コイル１３と同様に、２次コイ
ル用ボビン２２に巻回形成されて、鉄心１１の他
方のＥ型鉄心１２ｄの中央脚１２ａに挿入され
る。

本考案は上述のような構成をなし、次に本案変
圧器の組立について説明すると、１次コイル用ボ
ビン１６に１次コイル１３を巻回し、この１次コ
イル１３の巻始め用口出線１３ａを切欠溝２０か
ら鍔板１６ｂの下側に引き出して取付片２１ａに
巻付け、この取付片２１ａと端子１８の端縁に設
けた取付片２１ｂとの間に配線されて一方がピン
端子１７と接続された接続線２３の他方を上記口
出線１３ａと半田付けにて接続する。又、１次コ
イル１３の巻終り用口出線１３ｂは、取付片２１
ｃに巻付後他方の端子１８に挿着したピン端子１
７と半田接続を行う。つづいて、上記１次コイル
１３を巻回した一次コイル用ボビン１６の鍔板１
６ｂ下側に設けた各支持板１９間に、第４図に示
す矢印方向から所要枚数積層したリーケージコア
１５をそれぞれ一括して挿入する。この際、リー
ケージコア１５は支持板１９間に挾持された状態
で保持される。このあと、１次コイル１３が巻回
された１次コイル用ボビン１６を、一方のＥ型鉄
心１２ｃの中央脚１２ａに鉄心挿入孔１６′を利
用して挿入する。次に他方のＥ型鉄心１２ｄの中
央脚１２ａには、高電圧出力発生用の２次コイル
１４を巻回形成した２次コイル用ボビン２２を挿
入する。上述のようにして、各Ｅ型鉄心１２ｃ，
１２ｄの中央脚１２ａに所要のコイル１３，１４
を挿入した後、上記Ｅ型鉄心１２ｃ，１２ｄの各
鉄心脚の切断端面同志を当接させ、この状態でＥ
型鉄心１２ｃ，１２ｄの各側脚１２ｂの切断端同
志を例えばアルゴン溶接等により溶着せしめて、
鉄心１１組立を行うことにより、本案小型高電圧
発生変圧器の組立を完了する。

変圧器の組立完了後、１次コイル用ボビン１６
と２次コイル用ボビン２２との間に介在されたリ
ーケージコア１５は、その長さ方向側の端面が、
１次コイル用ボビン１６の鍔板１６ｂに突設した
互いに相対向する支持板１９の板体に第３図で示
すように当接され、又、リーケージコア１５の幅
方向側の端面は、鉄心１１の中央脚１２ａと側脚
１２ｂとの間に当接可能に収納されているため、
上記リーケージコア１５はコイル１３，１４間か
ら脱落することはない。

本考案は以上説明したように、１次コイルを巻
回した１次コイル用ボビン下側の鍔板に、２次コ
イルを巻回した２次コイル用ボビンとの間でリー
ケージコアを揺動不能に支持する支持板を、上記
２次コイルボビン側に向けて突設し、上記リーケ
ージコアを、その長さ方向の端面を支持板により
保持させ、幅方向の端面は鉄心の中央脚と側脚と
により保持させて、１次コイルと２次コイルとの
間に揺動不能に介在させて小型高電圧発生変圧器
を構成したので、次に示すような効果を有する。

本考案は、従来のように、リーケージコアを
１次及び２次コイルの間に一枚づつ挿入した
り、あるいは、特殊な絶縁部材に収納した状態
で上記コイル間に挿入するようにした構造とは
全く異なり、１次コイル用ボビンの鍔板下面に
突設した支持板間に、リーケージコアを必要枚
数積層したものを一括して挿入するだけでよい
ので、リーケージコアの付けが簡単に行うこと
ができるとともに、特殊な絶縁部材を必要とし
ないので、変圧器を少ない部品点数で経済的に
製作することができる。

しかも、前記リーケージコアを支持板間に挿
入した場合、その長さ方向の端面側は常に支持
板の板体間に挟持され、かつ、幅方向の端面側
においては、鉄心の中央脚及び側脚とに当接さ
せて１次、２次コイルとの間の空所に収納保持
されているため、変圧器の組立中、あるいは、
組立後変圧器自体に大きな機械的衝撃が加えら
れても、上記リーケージコアは、支持板と鉄心
の脚部とによつて四方向から挟持されているの
で、１次コイルと２次コイルとの間の挟持場所
から脱落することなく、確実に１次、２次コイ
ルとの間で保持させることができる。

その上、リーケージコアの幅方向の端面側
は、鉄心の脚部、即ち、中央脚と側脚との間で
確実に当接させた状態で挟持されているので、
鉄心の各脚部とリーケージコアとの間で磁束の
流れが良好となり、しかも、上記支持板の存在
によつてリーケージコアが揺動不能に保持され
ていることと相まつて、変圧器の特性を著しく
向上させることができる。

又、本考案は、リーケージコアを鉄心の脚部
間に１次コイル用ボビンに突設した支持板を利
用して揺動しないように挟持している関係上、
上記リーケージコアと鉄心との接触状態は常に
良好に維持することができるため、リーケージ
コアはその積層枚数を適宜減らしても、変圧器
の特性に大きな支障をきたすことがほとんどな
いので、これにより、変圧器の小形軽量化をは
かることができるとともに、製作原価を低減す
ることが可能となる。

更に、リーケージコアの長さ方向の端面を挟
持する支持板は、１次コイル用ボビンの下側鍔
板に鉄心挿入孔の隅角部に担当する位置におい
て、リーケージコアの長さ方向の寸法に相当す
る間隔を保ち、しかも、積厚寸法の長さでもつ
て突設させてあるので、上記支持板は１次コイ
ル用ボビンの成形加工と同時に製作できるため
至便であり、かつ、支持板は、鍔板の鉄心孔の
隅角部位置に突設されているだけであるため、
リーケージコアは１次、２次コイルを重ね合せ
た状態で、相対向する支持板の板体間に所定枚
数積層した状態で容易に一括挿入することがで
きるので、リーケージコアの取付作業は迅速容
易に行うことができ、作業能率を向上させるこ
とができる。

しかも、前記支持板は１次コイル用ボビンの
余剰スペースを有効利用して突設されているの
で、支持板を設けるためのスペースは特に必要
とせず、その上、リーケージコアを介在させた
１次コイルと２次コイルとの間は、支持板の存
在によつて、リーケージコアの離脱を防ぐと同
時に、支持板のリーケージコアと接触していな
い反対側の端面は、１次コイル用ボビンと２次
コイル用ボビン２２の各鍔板の間が空洞となつ
て空気の通り抜けができるように構成されてい
るので、これによつて、通電中に、リーケージ
コアが局部的に過熱するのを防ぎ良好に冷却す
ることができる利点もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来におけるリーケージコアの取付状
態を示す小型高電圧発生変圧器の正面図、第２図
は本考案におけるリーケージコアの取付状態を示
す小型高電圧発生変圧器の正面図、第３図は側面
図、第４図は本考案変圧器の分解斜視図である。 １１・鉄心、１３・１次コイル、１４・２次コ
イル、１５・リーケージコア、１６・１次コイル
用ボビン、１９・支持板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一対のＥ型の磁性鋼板を積層して設けた鉄心１
   ２の中央脚１２ａに、一次コイル１３と２次コイ
   ル１４を相互に間隔を保つて挿入し、上記１，２
   次コイル１３，１４間にリーケージコア１５を介
   挿して構成した変圧器において、上記１次コイル
   １３を巻回した１次コイル用ボビン１６の２次コ
   イル１４を巻回した２次コイル用ボビン２２の鍔
   板と対向する鍔板１６ｂには、リーケージコア１
   ５の積厚寸法に相当する長さ寸法で４枚の支持板
   １９を、１次コイル用ボビン１６の鉄心挿入孔１
   ６′の隅角部に相当する位置において上記２次コ
   イル用ボビン２２側に向けて突設し、これら、支
   持板１９のそれぞれ相対向する板体間には、所定
   枚数積層したリーケージコア１５を一括して挿入
   し、上記リーケージコア１５の長さ方向の端面を
   上記支持板１９の板体に当接し、幅方向の端面
   を、それぞれ鉄心１２の中央脚１２ａと側脚１２
   ｂとの間に、該中央脚１２ａ及び側脚１２ｂと当
   接可能に収納し、上記リーケージコア１５を１次
   コイル１３と２次コイル１４との間で挿入支持さ
   せるようにしたことを特徴とする小型高電圧発生
   変圧器。